(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】椅子及び姿勢判定方法
(51)【国際特許分類】
A47C 7/62 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
A47C7/62 Z
(21)【出願番号】P 2019525204
(86)(22)【出願日】2018-05-09
(86)【国際出願番号】 JP2018017939
(87)【国際公開番号】W WO2018230202
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2017118984
(32)【優先日】2017-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】杉山 慎二
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-081389(JP,A)
【文献】特開2016-150605(JP,A)
【文献】特開2002-257620(JP,A)
【文献】特開2015-107141(JP,A)
【文献】特開2002-008159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/62
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者の臀部を支持する着座部と、
前記着座部に設けられる3以上の圧力センサと、
前記3以上の圧力センサの計測結果に基づいて、前記着座部における前記着座者の重心位置を算出する重心位置算出部と、
前記着座者の重心位置が、前記着座部に設定した複数のエリアのいずれに位置するかに基づいて、前記着座者の姿勢を判定する姿勢判定部と、を備え
、
前記着座者が目標姿勢のときに前記重心位置算出部により算出された前記着座部における前記着座者の重心位置の軌跡に基づいて、前記着座者の重心位置の目標範囲を設定する目標範囲設定部をさらに備え、
前記姿勢判定部は、前記着座者の重心位置が前記目標範囲内か否かに基づいて、前記着座者が前記目標姿勢であるか否かを判定することを特徴とする椅子。
【請求項2】
前記3以上の圧力センサは、前記3以上の圧力センサを頂点として結ぶ図形が二次元平面をなすように配置されることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記複数のエリアの境界は、前記3以上の圧力センサのうち前端部と後端部の間にあることを特徴とする請求項1に記載の椅子。
【請求項4】
前記複数のエリアは、前記前端部と前記後端部の間において、前方から順に設けられた第1エリアと、第2エリアと、第3エリアを含み、
前記姿勢判定部は、前記重心位置が、前記第1エリアにある場合には、前記着座者の姿勢が、上体が起立した状態で前記着座部の前部に着座している第1着座姿勢であると判定することを特徴とする請求項3に記載の椅子。
【請求項5】
前記姿勢判定部は、前記重心位置が、前記第2エリアにある場合には、前記着座者の姿勢が、上体が後傾した状態で前記着座部の前部に着座している第2着座姿勢であると判定することを特徴とする請求項4に記載の椅子。
【請求項6】
前記姿勢判定部は、前記重心位置が、前記第3エリアにある場合には、前記着座者の姿勢が、上体が起立した状態で前記着座部の後部に着座している第3着座姿勢であると判定することを特徴とする請求項5に記載の椅子。
【請求項7】
前記第1エリアと前記第2エリアの境界である第1境界と前記後端部との距離は、前記第1境界と前記前端部の距離の4倍以上であることを特徴とする請求項5に記載の椅子。
【請求項8】
前記第2エリアと前記第3エリアの境界である第2境界は、前記前端部と前記後端部の略中央に位置することを特徴とする請求項6に記載の椅子。
【請求項9】
制御装置が、着座部に設けられる3以上の圧力センサの計測結果に基づいて、前記着座部における着座者の重心位置を算出するステップと、
前記制御装置が、前記着座者の重心位置が、前記着座部に設定した複数のエリアのいずれに位置するかに基づいて、前記着座者の姿勢を判定するステップと、
前記制御装置が、前記着座者が目標姿勢のときに前記重心位置を算出するステップにより算出された前記着座部における前記着座者の重心位置の軌跡に基づいて、前記着座者の重心位置の目標範囲を設定するステップと、を有し、
前記着座者の姿勢を判定するステップでは、前記制御装置が、前記着座者の重心位置が前記目標範囲内か否かに基づいて、前記着座者が前記目標姿勢であるか否かを判定することを特徴とする姿勢判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座者の姿勢を判定する椅子及び姿勢判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子の着座者の姿勢を判定するシステムが知られている(例えば特許文献1や特許文献2)。
例えば、特許文献1に記載のシステムでは、座部と背もたれ部にそれぞれ複数の検知電極を設け、さらに背もたれ部の角度を測定する角度センサを設けている。そして、検知電極と角度センサのセンサ信号に基づいて着座者の姿勢を判定している。
【0003】
また、特許文献2に記載のシステムでは、座部と背もたれ部にそれぞれ感圧チューブを設け、座部と背もたれ部のセンサ信号に基づいて、着座者の姿勢を判定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-233614号公報
【文献】特開2016-87237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の従来技術では、座部と背もたれ部の両方にセンサが必要であるため、必要とするセンサの数が多かった。また、座部と背もたれ部の両方のセンサからの信号を制御装置に伝送するため、配線も複雑となっていた。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、センサの数を抑制しつつ着座者の姿勢を判定できる椅子及び姿勢判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、本発明に係る椅子によれば、着座者の臀部を支持する着座部と、前記着座部に設けられる3以上の圧力センサと、前記3以上の圧力センサの計測結果に基づいて、前記着座部における前記着座者の重心位置を算出する重心位置算出部と、前記着座者の重心位置が、前記着座部に設定した複数のエリアのいずれに位置するかに基づいて、前記着座者の姿勢を判定する姿勢判定部と、を備え、前記着座者が目標姿勢のときに前記重心位置算出部により算出された前記着座部における前記着座者の重心位置の軌跡に基づいて、前記着座者の重心位置の目標範囲を設定する目標範囲設定部をさらに備え、前記姿勢判定部は、前記着座者の重心位置が前記目標範囲内か否かに基づいて、前記着座者が前記目標姿勢であるか否かを判定することにより解決される。
【0008】
また、上記の課題は、本発明に係る姿勢判定方法によれば、制御装置が、着座部に設けられる3以上の圧力センサの計測結果に基づいて、前記着座部における着座者の重心位置を算出するステップと、前記制御装置が、前記着座者の重心位置が、前記着座部に設定した複数のエリアのいずれに位置するかに基づいて、前記着座者の姿勢を判定するステップと、前記制御装置が、前記着座者が目標姿勢のときに前記重心位置を算出するステップにより算出された前記着座部における前記着座者の重心位置の軌跡に基づいて、前記着座者の重心位置の目標範囲を設定するステップと、を有し、前記着座者の姿勢を判定するステップでは、前記制御装置が、前記着座者の重心位置が前記目標範囲内か否かに基づいて、前記着座者が前記目標姿勢であるか否かを判定することにより解決される。
【0009】
上記の椅子及び姿勢判定方法によれば、着座者の姿勢を着座部に設けた圧力センサの計測結果に基づいて判定できる。これにより、センサの数を抑制した簡易な構成で、着座者の姿勢を判定することができる。
また、着座者の姿勢が目標姿勢であるか否かを精度良く判定できる。
【0010】
上記の椅子において、前記3以上の圧力センサは、前記3以上の圧力センサを頂点として結ぶ図形が二次元平面をなすように配置されることとする。
こうすることで、着座者の重心位置を精度良く得ることができる。
【0011】
上記の椅子において、前記複数のエリアの境界は、前記3以上の圧力センサのうち前端部と後端部の間にあることとする。
こうすることで、重心位置が位置するエリアに基づいて、着座者の姿勢を精度良く判定できる。
【0012】
上記の椅子において、前記複数のエリアは、前記前端部と前記後端部の間において、前方から順に設けられた第1エリアと、第2エリアと、第3エリアを含み、前記姿勢判定部は、前記重心位置が、前記第1エリアにある場合には、前記着座者の姿勢が、上体が起立した状態で前記着座部の前部に着座している第1着座姿勢であると判定することとする。
こうすることで、着座者の重心位置に基づいて、着座者の具体的姿勢を判定できる。
【0013】
上記の椅子において、前記姿勢判定部は、前記重心位置が、前記第2エリアにある場合には、前記着座者の姿勢が、上体が後傾した状態で前記着座部の前部に着座している第2着座姿勢であると判定することとする。
こうすることで、着座者の重心位置に基づいて、着座者の具体的姿勢を判定できる。
【0014】
上記の椅子において、前記姿勢判定部は、前記重心位置が、前記第3エリアにある場合には、前記着座者の姿勢が、上体が起立した状態で前記着座部の後部に着座している第3着座姿勢であると判定することとする。
こうすることで、着座者の重心位置に基づいて、着座者の具体的姿勢を判定できる。
【0015】
上記の椅子において、前記第1エリアと前記第2エリアの境界である第1境界と前記後端部との距離は、前記第1境界と前記前端部の距離の4倍以上であることとする。
こうすることで、着座者の姿勢が第1着座姿勢であるか第2着座姿勢であるかを精度良く判定できる。
【0016】
上記の椅子において、前記第2エリアと前記第3エリアの境界である第2境界は、前記前端部と前記後端部の略中央に位置することとする。
こうすることで、着座者の姿勢が第2着座姿勢であるか第3着座姿勢であるかを精度良く判定できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、センサの数を抑制した簡易な構成で、着座者の姿勢を判定することができる。
本発明によれば、着座者の重心位置を精度良く得ることができる。
本発明によれば、重心位置が位置するエリアに基づいて、着座者の姿勢を精度良く判定できる。
本発明によれば、着座者の重心位置に基づいて、着座者の具体的姿勢を判定できる。
本発明によれば、着座者の姿勢が第1着座姿勢であるか第2着座姿勢であるかを精度良く判定できる。
本発明によれば、着座者の姿勢が第2着座姿勢であるか第3着座姿勢であるかを精度良く判定できる。
本発明によれば、着座者の姿勢が目標姿勢であるか否かを精度良く判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】圧力センサの配置と座標を説明する図である。
【
図8】圧力センサと着座姿勢の関係を示す図である。
【
図12】エリアと着座姿勢の関係を示す他の例である。
【
図13】第2実施形態に係る椅子の構成を示す図である。
【
図14】操作端末に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図15】操作端末に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図16】操作端末に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図17】操作端末に表示される操作画面の一例を示す図である。
【
図18】第2実施形態に係る制御装置の全体処理のフロー図である。
【
図19】第2実施形態に係る制御装置の姿勢判定処理のフロー図である。
【
図20】第2実施形態に係る制御装置の姿勢判定処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1乃至
図20を参照しながら、本発明の実施の形態(以下、本実施形態)に係る椅子1及び姿勢判定方法について説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、以下に説明する部材の形状、寸法、配置等については、本発明の趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0021】
以下の説明中、「前後方向」とは、椅子1の着座者から見たときの前後方向を意味する。
「椅子幅方向」とは、椅子1の横幅方向を意味し、椅子1の着座者から見たときの左右方向と一致する。
また、「上下方向」とは、椅子1の高さ方向を意味し、椅子1を正面から見たときの上下方向と一致する。
【0022】
[椅子1の構成]
図1には、第1実施形態に係る椅子1の全体構成を示す。
図1に示されるように、椅子1は、主要な構成として、着座部11、背もたれ部12、支柱13、脚部14、センサ部20及び制御装置30を備える。
【0023】
着座部11は、着座者の臀部を支持する部分である。具体的には、着座部11の上面が着座者の臀部を支持する着座面となる。そして、着座部11の下面には、支柱13が接続され、着座部11は支柱13により支持される。
【0024】
背もたれ部12は、着座者の背部を支持する部分である。背もたれ部12は、着座部11の後端に連結し、着座部11の前面が着座者の背部を支持する背もたれ面となる。
【0025】
支柱13は、着座部11を下方から支持する柱状部材である。支柱13は、図示しない操作部による操作に応じて上下に伸縮する伸縮機構を備える。これにより、着座部11の高さが調整可能である。
【0026】
脚部14は、支柱13の下部に取り付けられ、支柱13を支持する部分である。脚部14は、支柱13を中心として例えば所定角度(例えば60度、90度)ごとに設けられるものである。そして、脚部14の先端部にはキャスターが取り付けられ、椅子1の床上での移動を容易としている。
【0027】
センサ部20は、着座部11に設けられ、椅子1の着座者の着座状態を検出するデバイスである。
図1及び
図2に示されるように、センサ部20は、着座部11に設けられる3以上の圧力センサを有する。
具体的には、センサ部20は、第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21c、第4圧力センサ21d、第1伝送部22、第2伝送部23、接続部24を備える。
【0028】
第1圧力センサ21aは、着座部11の右後部に配され、着座部11の右後部に掛かる圧力を計測するセンサである。
第2圧力センサ21bは、着座部11の右前部に配され、着座部11の右前部に掛かる圧力を計測するセンサである。
第3圧力センサ21cは、着座部11の左前部に配され、着座部11の左前部に掛かる圧力を計測するセンサである。
第4圧力センサ21dは、着座部11の左後部に配され、着座部11の左後部に掛かる圧力を計測するセンサである。
なお、以下において、第1圧力センサ21a~第4圧力センサ21dに共通する事項については圧力センサ21と表記して説明する。
【0029】
センサ部20は、複数の圧力センサ21における圧力の計測値を、第1伝送部22、第2伝送部23、接続部24を通じて制御装置30に伝送する。
具体的には、各圧力センサ21は、導線と導線保持フィルムからなる第1伝送部22に接続されている。そして、制御装置30は、先端部にコネクタが設けられたハーネスである第2伝送部23に接続されている。なお、第1伝送部22と第2伝送部23とは、接続部24において接続される。
このように、各圧力センサ21で計測された圧力値は、第1伝送部22、接続部24、第2伝送部23を通じて、制御装置30に入力される。
なお、各圧力センサ21により計測される圧力値は、椅子1に対する着座者の着座姿勢によって変化する。
【0030】
制御装置30は、センサ部20に接続し、センサ部20の各圧力センサ21の計測値を受信する。そして、制御装置30は、センサ部20から受信した各圧力センサ21の計測値に基づいて、椅子1の着座者の姿勢を判定する。なお、制御装置30による姿勢判定処理の詳細については後述する。
【0031】
以下、
図2及び
図3を参照しながら、着座部11、センサ部20及び制御装置30の構成について説明する。
【0032】
図2は、着座部11及び制御装置30の構成を示す図である。
図2に示されるように、着座部11は、樹脂フレーム11a、パッド材11b及び表皮材11cを備える。
具体的には、着座部11は、樹脂フレーム11aの上にパッド材11bを載置し、パッド材11bを表皮材11cで覆うことによって構成される。
また、パッド材11bと表皮材11cの間には、センサ部20が配される。
【0033】
樹脂フレーム11aは、略平板状に形成された樹脂製のフレーム部材である。そして、樹脂フレーム11aには複数の貫通孔が形成されており、センサ部20の第2伝送部23等の線状部材を上下に通すことが可能となっている。
なお、樹脂フレーム11aは、パッド材11bを下方から支えるのに十分なサイズを有する。また、樹脂フレーム11aの縁部(前端部等)は、僅かに下方に向けて湾曲している。これにより、樹脂フレーム11aが着座者の大腿部に当たることを抑制し、着座部11における座り心地が向上するようにしている。
【0034】
パッド材11bは、ウレタンフォーム等の発泡樹脂からなるクッション部材である。パッド材11bの上面には、センサ部20の圧力センサ21(第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21c、第4圧力センサ21d)が設けられる。
【0035】
パッド材11bの略中心部には、貫通孔15が形成されている。
この貫通孔15は、後方から前方にかけて下がるように傾斜したスリットである。そして、貫通孔15には、センサ部20の第2伝送部23及び接続部24が通される。具体的には、貫通孔15は、接続部24が挿通可能な幅のスリットであり、センサ部20を着座部11に取り付けた状態において、接続部24は貫通孔15に保持される。
そして、第2伝送部23は、パッド材11bの貫通孔15、及び樹脂フレーム11aの貫通孔を通じて、樹脂フレーム11aの下部に取り付けられた制御装置30に接続される。
【0036】
表皮材11cは、例えばクロスや革等の部材であり、パッド材11bを被覆し、着座部11の表面を構成する。また、上述したように、センサ部20の圧力センサ21は、パッド材11bと表皮材11cの間に配置される。
【0037】
図2に示されるように、制御装置30は、ハードウェアとして、プロセッサ31、メモリ32及び通信インターフェース33を備える。なお、制御装置30は、制御装置30の駆動電源となる乾電池等のバッテリとともに保持カバーの中に保持された状態で、着座部11の下面に取り付けられる。
【0038】
プロセッサ31は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェア(例えばCPU)である。そして、プロセッサ31は、メモリ32に記憶されるプログラムやデータに基づいて各種の演算処理を実行するとともに、制御装置30の各部を制御する。
【0039】
メモリ32は、各種のプログラムやデータを記憶する記憶装置である。また、メモリ32は、プロセッサ31のワークメモリとしても用いられる。なお、メモリ32には、フラッシュメモリ、光学ディスク等の情報記憶媒体が含まれていてもよい。
【0040】
通信インターフェース33は、センサ部20の第2伝送部23と接続し、センサ部20の各圧力センサ21における計測値を受信する信号受信部である。
【0041】
また、
図3には、制御装置30のプロセッサ31が、メモリ32に記憶されるプログラムに基づいて動作することにより実現される機能を示す。
図3に示されるように、制御装置30は、重心位置算出部35及び姿勢判定部36を備える。
【0042】
[重心位置算出部35]
重心位置算出部35は、3以上の圧力センサ21の計測結果に基づいて、着座部11における着座者の重心位置を算出する。なお、本実施形態では、重心位置算出部35は、4つの圧力センサ21の計測結果に基づいて、着座部11における着座者の重心位置を算出する。
【0043】
上記の「重心位置」とは、着座部11に設定した座標系(着座部座標系)における着座者の重心位置を示す座標である。なお、重心位置算出部35は、上記の「重心位置」として、少なくとも重心位置の前後方向の座標を得ることとする。もちろん、重心位置算出部35は、重心位置の左右方向の座標をさらに得ても構わない。
ここで、着座部座標系については、
図4を参照しながら説明する。
【0044】
図4に示されるように、着座部座標系は、着座部11を真上から見た面上の位置を示す座標系である。ここで、着座部座標系の原点は、第1圧力センサ21aと第4圧力センサ21dの中間位置とする。そして、原点から左右方向にX軸、前後方向にY軸をとり、着座部11の着座面の座標を(x,y)で表す。
【0045】
本実施形態では、第1圧力センサ21aの座標は(x1、0)、第2圧力センサ21bの座標は(x1、y1)、第3圧力センサ21cの座標は(-x1、y1)、第4圧力センサ21dの座標は(-x1、0)となる。x1,y1の値は任意に設定可能であるが、本実施形態では、一例として、x1=60mm、y1=85mmとする。
【0046】
なお、センサ部20に備えられる3以上の圧力センサ21を頂点として結ぶ図形は、二次元平面をなすように配置される。
すなわち、3以上の圧力センサ21のうちX座標が同じである圧力センサ21の数は最大で2つとする。また、3以上の圧力センサ21のうちY座標が同じである圧力センサ21の数は最大で2つとする。
【0047】
ここで、着座部座標系において、着座者の重心位置Gの座標は、(Gx、Gy)として表される。
このとき、重心位置Gの前後方向(Y軸方向)の座標Gyは以下の式(1)により算出される。
Gy=y1・(B+C)/(A+B+C+D) ・・・(1)
なお、A,B,C,Dはそれぞれ、第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21c、第4圧力センサ21dで計測された圧力値である。
【0048】
重心位置算出部35は、主に制御装置30のプロセッサ31、メモリ32、通信インターフェース33により以下のように実現される。
プロセッサ31は、通信インターフェース33を介して、第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21c、第4圧力センサ21dのそれぞれで計測された圧力値を受信する。そして、プロセッサ31は、上記の式(1)に基づいて、着座部11における着座者の重心位置の前後方向の座標Gyを算出する。
そして、プロセッサ31は、上記算出した座標Gyを、メモリ32に記憶する。
なお、プロセッサ31は、センサ部20から圧力値を受信するごとに、上記の座標Gyを算出してもよいし、所与のタイミングで上記の座標Gyを算出してもよい。例えば、上記の所与のタイミングは、姿勢の判定の要求を受け付けたタイミングとしてよい。
【0049】
[姿勢判定部36]
姿勢判定部36は、着座者の重心位置が、着座部11に設定した複数のエリアのいずれに位置するかに基づいて、着座者の姿勢を判定する。
【0050】
「着座者の重心位置」は、重心位置算出部35により算出された重心位置である。なお、上記の「着座者の重心位置」は、例えば着座部座標系における前後方向の座標位置を少なくとも含む。
【0051】
「複数のエリア」とは、着座部11の上面に設定される複数の区画である。具体的には、上記の「複数のエリア」は、着座部11の座標系(着座部座標系)に設定した範囲により規定される。例えば、「エリア」は、矩形領域、円形領域、多角形領域等の任意の形状の領域であってよい。なお、本実施形態では、上記の「エリア」を矩形領域して設定した例について説明する。この場合、制御装置30のメモリ32には、各矩形領域の左上と右下の頂点の座標が「エリア」を特定するためのデータとして記憶される。
【0052】
そして、本実施形態では「複数のエリア」には、第1エリア、第2エリア、第3エリアが含まれる。そして、第1エリア、第2エリア、第3エリアのそれぞれに対しては着座者の第1着座姿勢P1、第2着座姿勢P2、第3着座姿勢P3が関連付けて定められる。
以下、
図5乃至
図9を参照しながら、上記の「複数のエリア」の各々に関連付けられる着座者の着座姿勢について説明する。
【0053】
図5には、着座者Uが第1着座姿勢P1で椅子1に着座している状態を示した。
図5に示されるように、第1着座姿勢P1は、着座者Uの上体U1が起立した状態で、着座者Uの臀部U2が着座部11の前部に支持されている状態に対応する。換言すれば、第1着座姿勢P1とは、着座者Uの上体U1が背もたれ部12にもたれかからず、且つ、着座者Uが椅子1の前部に着座している状態を示す。
そして、第1着座姿勢P1においては、着座者Uの腰椎U3が起立した状態となっている。
なお、上記の「着座部11の前部に着座している」とは、着座部11の前後方向における半分よりも前側に体重が掛かった状態を意味する。
【0054】
図6には、着座者Uが第2着座姿勢P2で椅子1に着座している状態を示した。
図6に示されるように、第2着座姿勢P2は、着座者Uの上体U1が後傾した状態で、着座者Uの臀部U2が着座部11の前部に支持されている状態に対応する。換言すれば、第2着座姿勢P2とは、着座者Uの上体U1が背もたれ部12に大きくもたれかかった状態であり、且つ、着座者Uが着座部11の前部に着座している状態を示す。
なお、第2着座姿勢P2においては、着座者Uの腰椎U3が後湾した状態となっている。すなわち、第2着座姿勢P2では、腰椎U3が第1着座姿勢P1とは逆側に湾曲した状態となっている。
【0055】
図7には、着座者Uが第3着座姿勢P3で椅子1に着座している状態を示した。
図7に示されるように、第3着座姿勢P3は、着座者Uの上体U1が起立した状態で、着座者Uの臀部U2が主に着座部11の後部に支持されている状態に対応する。換言すれば、第3着座姿勢P3とは、着座者Uの上体U1が背もたれ部12に僅かにもたれかかった状態であり、且つ、着座者Uは椅子1の後部側に着座している状態を示す。
そして、第3着座姿勢P3においては、着座者Uの腰椎U3が起立した状態となっている。
なお、上記の「着座部11に深く着座している」とは、着座部11の前後方向における半分よりも後ろ側に体重が掛かった状態を意味する。
【0056】
ここで、
図8には、第1着座姿勢P1、第2着座姿勢P2、第3着座姿勢P3のそれぞれの場合における、センサ部20の第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21c、第4圧力センサ21dの計測値(圧力値)を示した。
なお、第1圧力センサ21aの計測値を第1計測値、第2圧力センサ21bの計測値を第2計測値、第3圧力センサ21cの計測値を第3計測値、第4圧力センサ21dの計測値を第4計測値とする。
【0057】
図8に示されるように、第1着座姿勢P1においては、着座部11の前部に圧力が集中する。すなわち、着座部11の前部に配される第2圧力センサ21b及び第3圧力センサ21cに高い圧力値が計測されるが、後方に配される第1圧力センサ21a及び第4圧力センサ21dには殆ど圧力値が計測されていない。
【0058】
一方、第2着座姿勢P2においては、着座部11の前後に分散して圧力が掛かる。すなわち、着座部11に配される第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21c及び第4圧力センサ21dの全てにおいて圧力値が計測される。
なお、第2着座姿勢P2においては、着座部11の前方に掛かる圧力が、後方に掛かる圧力よりも大きくなる。すなわち、後方に配される第2圧力センサ21b及び第3圧力センサ21cで検出される圧力値が、前方に配される第1圧力センサ21a及び第4圧力センサ21dで検出される圧力値よりも大きくなる。
【0059】
そして、第3着座姿勢P3においては、第2着座姿勢P2に比べて着座部11の前部よりも後部により大きな圧力が掛かる。すなわち、第3着座姿勢P3においては、後方に配される第1圧力センサ21a及び第4圧力センサ21dで検出される圧力値が、前方に配される第2圧力センサ21b及び第3圧力センサ21cで検出される圧力値よりも大きくなる。
【0060】
そして、
図9には、第1着座姿勢P1、第2着座姿勢P2、第3着座姿勢P3のそれぞれの場合における、着座者の重心位置GのY座標(Gy)を示した。なお、
図9においては、第1圧力センサ21a及び第4圧力センサ21dのY座標は0、第2圧力センサ21b及び第3圧力センサ21cのY座標y1とし、y1=85(mm)とする。
【0061】
図9に示されるように、第1着座姿勢P1においては、Gyが略85mm程度となる。そして、第2着座姿勢P2においては、Gyが略65mm程度となる。そして、第3着座姿勢P3においては、Gyが略40mm程度となる。
【0062】
そして、
図9に示されるように、第1着座姿勢P1は、重心位置のY座標が第1の閾値T1(=70mm)より大きい場合に対応する。そして、第2着座姿勢P2は、重心位置のY座標が第2の閾値(=45mm)より大きく第1の閾値以下である場合に対応する。そして、第3着座姿勢P3は、重心位置のY座標が第2の閾値以下である場合に対応する。
【0063】
ここで、
図10には、着座姿勢とエリアの関係を示した。なお、第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21c、第4圧力センサ21dを結ぶ矩形領域は、重心位置を検出可能な重心位置検出範囲Aとなる。
ここで、重心位置検出範囲Aを、Y=T1のラインを第1境界C1、Y=T2のラインを第2境界C2として、第1エリアA1、第2エリアA2、第3エリアA3の3つのエリアに分ける。
【0064】
そして、第1エリアA1、第2エリアA2及び第3エリアA3の境界(第1境界C1及び第2境界C2)は、センサ部20の圧力センサ21の前端部E1と後端部E2の間にある。
すなわち、重心位置検出範囲Aは、圧力センサ21の前端部E1と後端部E2の間に設けられ、その内部に前方から順に設けられた第1エリアと、第2エリアと、第3エリアを含む。
なお、前端部E1とは、圧力センサ21のうち最も前に配置された圧力センサ21の前端である。すなわち、本実施形態における第2圧力センサ21b及び第3圧力センサ21cの位置が上記の前端部E1に当たる。
また、後端部E2とは、圧力センサ21のうち最も後ろに配置された圧力センサ21の後端である。すなわち、本実施形態における第1圧力センサ21a及び第4圧力センサ21dの位置が上記の後端部E2に当たる。
【0065】
例えば、第1エリアA1と第2エリアA2の境界である第1境界C1と、後端部E2との距離は、第1境界C1と前端部E1の距離の4倍以上である。
具体的には、第1境界C1と後端部E2の距離(d1)を70mm、第1境界C1と前端部E1の距離(d2)を15mmとする。この場合、d1はd2の4倍以上となっている。
【0066】
また、第2エリアA2と第3エリアA3の境界である第2境界C2は、前端部E1と後端部E2の略中央に位置する。
具体的には、前端部E1と第2境界C2の距離(d3)を40mm、後端部E2と第2境界C2の距離(d4)を45mmとする。この場合、第2境界C2は前端部E1と後端部E2の略中央に位置することとなる。例えば、d3/d4は、0.8~1.2の関係にあることとしてよい。
【0067】
本実施形態では、第1エリアA1はY座標がT1より大きいエリアである。ここで、第1エリアA1は、第1着座姿勢P1に対応するエリアである。
そして、第2エリアA2は、Y座標がT2より大きく、T1以下であるエリアである。ここで、第2エリアA2は、第2着座姿勢P2に対応するエリアである。
そして、第3エリアA3は、Y座標がT2以下であるエリアである。ここで、第3エリアA3は、第3着座姿勢P3に対応するエリアである。
【0068】
すなわち、姿勢判定部36は、着座者Uの重心位置が、第1エリアA1にある場合には、着座者Uの姿勢が、上体が起立した状態で着座部11の前部に着座している第1着座姿勢P1であると判定する。
【0069】
また、姿勢判定部36は、着座者Uの重心位置が、第2エリアA2にある場合には、着座者Uの姿勢が、上体が後傾した状態で着座部11の前部に着座している第2着座姿勢P2であると判定する。
【0070】
そして、姿勢判定部36は、着座者Uの重心位置が、第3エリアA3にある場合には、着座者Uの姿勢が、上体が起立した状態で着座部11の後部に着座している第3着座姿勢P3であると判定する。
【0071】
姿勢判定部36は、制御装置30のプロセッサ31、メモリ32により以下のように実現される。
まず、メモリ32には、上記のT1及びT2の値が予め記憶される。
そして、プロセッサ31は、重心位置算出部35で算出されたGyがT1より大きい場合には、重心位置が第1エリアA1にあるとし、着座者Uの姿勢を第1着座姿勢P1と判定する。
また、プロセッサ31は、重心位置算出部35で算出されたGyがT2より大きくT1以下である場合には、重心位置が第2エリアA2にあるとし、着座者Uの姿勢を第2着座姿勢P2と判定する。
また、プロセッサ31は、重心位置算出部35で算出されたGyがT2以下である場合には、重心位置が第3エリアA3にあるとし、着座者Uの姿勢を第3着座姿勢P3と判定する。
【0072】
制御装置30は、姿勢判定部36による判定結果を、図示しない表示装置、スピーカー等に出力することとしてもよい。また、制御装置30は、姿勢判定部36による判定結果に応じて、図示しない振動モーターを動作させるようにしてもよい。すなわち、姿勢判定部36による判定結果が、第1着座姿勢P1と第3着座姿勢P3である場合には、腰椎U3が起立した姿勢であるため、制御装置30は、振動モーターを動作させない。一方で、姿勢判定部36による判定結果が、第2着座姿勢P2である場合には、腰椎U3が後湾した姿勢であるため、制御装置30は、振動モーターを動作させて、着座者Uに対して姿勢を正すように注意喚起することとしてもよい。
【0073】
[姿勢判定処理のフロー]
次に、
図11に示すフロー図を参照しながら、制御装置30により実行される椅子1の着座者の姿勢判定処理の流れについて説明する。
【0074】
図11に示されるように、制御装置30のプロセッサ31は、通信インターフェース33を介してセンサ部20から計測値を取得する(ステップS1)。具体的には、プロセッサ31は、センサ部20の第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21c、第4圧力センサ21dの各々の計測値を取得する。
【0075】
そして、プロセッサ31は、上記取得した計測値に基づいて、着座者Uの重心位置を算出する(ステップS2)。ここでは、重心位置のY座標(前後方向の位置座標)を算出する。なお、重心位置のY座標は、上述した式(1)に基づいて算出される。
【0076】
次に、プロセッサ31は、上記算出した重心位置が第1エリアA1、第2エリアA2、第3エリアA3のいずれに位置するかを判定する(ステップS3)。
具体的には、プロセッサ31は、上記算出した重心位置のY座標がTH1より大きければ、重心位置は、第1エリアA1に位置すると判定する。
また、プロセッサ31は、上記算出した重心位置のY座標がTH2より大きく、TH1以下であれば、重心位置は、第2エリアA2に位置すると判定する。
また、プロセッサ31は、上記算出した重心位置のY座標がTH2以下であれば、重心位置は、第3エリアA3に位置すると判定する。
【0077】
次に、S3の判定の結果、重心位置が第1エリアにある場合には(ステップS3:第1エリア)、プロセッサ31は、着座者Uの着座姿勢は第1着座姿勢P1であると判定する(ステップS4)。
また、S3の判定の結果、重心位置が第2エリアにある場合には(ステップS3:第2エリア)、プロセッサ31は、着座者Uの着座姿勢は第2着座姿勢P2であると判定する(ステップS5)。
また、S3の判定の結果、重心位置が第3エリアにある場合には(ステップS3:第3エリア)、プロセッサ31は、着座者Uの着座姿勢は第3着座姿勢P3であると判定する(ステップS6)。
【0078】
なお、プロセッサ31は、S4、S5、S6の判定結果に応じた報知音を出力することで、着座者Uに着座姿勢の判定結果を知らせるようにしてもよい。
また、プロセッサ31は、以上の処理を定期的に実行することとしてよい。
【0079】
[第2実施形態]
次に、
図13乃至
図20に基づいて、本発明の第2実施形態に係る椅子1について説明する。
図13に示されるように、第2実施形態に係る椅子1では、椅子1に備えられる制御装置30が、操作端末40と通信可能に接続されている。そして、操作端末40の入力装置としてのタッチパネルディスプレイ44を操作することで、椅子1の操作が可能であるとともに、操作端末40の表示装置としてのタッチパネルディスプレイ44に椅子1の着座者Uの情報が表示可能となっている。
なお、本実施形態では、制御装置30と操作端末40とは互いに無線通信用のチップを備え、無線通信することとするが、制御装置30と操作端末40とは互いに有線により接続されていてもよい。
【0080】
操作端末40は、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等のコンピュータである。
図13に示されるように、操作端末40は、ハードウェアとして、プロセッサ41、メモリ42、通信インターフェース43及びタッチパネルディスプレイ44を備える。
【0081】
プロセッサ41は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェア(例えばCPU)である。そして、プロセッサ41は、メモリ42に記憶されるプログラムやデータに基づいて各種の演算処理を実行するとともに、操作端末40の各部を制御する。
メモリ42は、各種のプログラムやデータを記憶する記憶装置である。また、メモリ42は、プロセッサ41のワークメモリとしても用いられる。なお、メモリ42には、フラッシュメモリ、光学ディスク等の情報記憶媒体が含まれていてもよい。
通信インターフェース43は、制御装置30の通信インターフェース33と無線通信し、制御装置30との間で信号を送受信する。
タッチパネルディスプレイ44は、ディスプレイに直接触れることにより入力が可能な装置である。プロセッサ41は、表示画面を生成してタッチパネルディスプレイ44に表示するとともに、タッチパネルディスプレイ44を介してユーザからの操作入力を受け付ける。
【0082】
図13に示されるように、第2実施形態に係る制御装置30は機能として、重心位置算出部35、姿勢判定部36及び目標範囲設定部37を備える。
重心位置算出部35、姿勢判定部36及び目標範囲設定部37はそれぞれ、制御装置30のプロセッサ31が、メモリ32に記憶されるプログラムに基づいて動作することにより実現される。
なお、重心位置算出部35は、第1実施形態から相違点がないため説明を省略する。目標範囲設定部37は、第1実施形態には含まれていない。また、姿勢判定部36は、目標範囲設定部37により設定される目標範囲を用いる処理の点で第1実施形態と相違する。以下では、まず目標範囲設定部37について説明する。
【0083】
目標範囲設定部37は、着座者Uが目標姿勢のときに重心位置算出部35により算出された着座部11における着座者Uの重心位置の軌跡に基づいて、着座者Uの重心位置の目標範囲を設定する。
上記の「目標姿勢」とは、椅子1の着座部11に着座する着座者Uの所定の姿勢である。例えば、着座部11に着座者Uが正常に座っている姿勢(以下、標準座位)を上記の「目標姿勢」とする。また、目標姿勢は、上記の標準座位に限られるものではなく、例えば「端座位」、「半座位」、「右傾座位」、「左傾座位」等を上記の「目標姿勢」としても構わない。
なお、「端座位」とは、着座者Uが着座部11の前端に寄って着座している状態をいう。例えば、第1着座姿勢P1が「端座位」に相当する。
「半座位」とは、着座者Uが上体を後傾させて背もたれ部12に寄り掛かった状態で着座部11に着座している状態をいう。例えば、第2着座姿勢P2が「半座位」に相当する。
「右傾座位」とは、着座者Uが右側に傾いた状態で着座部11に着座している状態をいう。
「左傾座位」とは、着座者Uが左側に傾いた状態で着座部11に着座している状態をいう。
【0084】
また、上記の「重心位置の軌跡」とは、着座者Uが目標姿勢のときに重心位置算出部35により算出される重心位置を繋いで形成される曲線である。
上記の「目標範囲」とは、重心位置の軌跡に対応する領域である。例えば、重心位置の軌跡を円近似により表した目標円が、上記の「目標範囲」に相当する。なお、上記の目標円は、真円であってもよいし、楕円であってもよい。
例えば、「目標範囲」を円により表す場合には、「目標範囲」は、着座部11の座標系(着座部座標系)における中心位置と、半径により規定される。
また、「目標範囲」は、円に限られず、矩形、その他の任意の形状としてもよい。
【0085】
目標範囲設定部37は、目標範囲を適宜更新することができる。例えば、椅子1に座る着座者Uごとに目標範囲を設定することができる。この際、着座者Uの識別情報に目標範囲を関連付けて設定し、着座者Uの識別情報に基づいて目標範囲を読み出し可能としてもよい。
【0086】
姿勢判定部36は、第1実施形態と同様の処理が可能であり、それに加えて以下の判定が可能である。
すなわち、姿勢判定部36は、着座者Uの重心位置が目標範囲内か否かに基づいて、着座者Uが目標姿勢であるか否かを判定する。
具体的には、姿勢判定部36は、着座者Uの重心位置が、目標範囲設定部37により設定した目標範囲にある場合には、着座者Uの姿勢が目標姿勢であると判定する。一方で、姿勢判定部36は、着座者Uの重心位置が、目標範囲設定部37により設定した目標範囲にない場合には、着座者Uの姿勢が目標姿勢でないと判定する。
ここで、重心位置が目標範囲にあるとは、例えば着座者Uの重心位置の計測期間において重心位置が目標範囲にある期間が所定の割合以上であることとしてよい。
【0087】
次に、
図14乃至
図17に基づいて、第2実施形態に係る椅子1における処理の流れについて説明する。
図14に示される操作画面50は、操作端末40のタッチパネルディスプレイ44に表示される画面の一例である。
図14に示される操作画面50は、メニュー画面である。そして、
図14の操作画面50は、操作情報表示領域51及び重心軌跡表示領域52を含む。
【0088】
操作情報表示領域51は、着座者Uの着座姿勢のイメージ画像や指示を表示するための姿勢イメージ表示領域51A、目標範囲の設定処理を実行するための第1アイコン51B、着座者Uの姿勢の判定処理を実行するための第2アイコン51Cを含む。
【0089】
重心軌跡表示領域52は、重心位置算出部35により算出される着座者Uの重心位置の軌跡を表示する領域である。
具体的には、重心軌跡表示領域52の四隅は、着座部座標系における第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21c、第4圧力センサ21dのそれぞれの座標位置に相当する。
ここで、操作情報表示領域51の第1アイコン51Bが選択されると、
図15に示す操作画面50が表示される。
【0090】
図15に示される操作画面50は、目標範囲の設定処理の開始画面である。
図15に示されるように、操作情報表示領域51には、着座姿勢の指示とともに、目標範囲の設定のための重心位置の計測期間を示すタイマー表示領域51Tが表示される。
本例では、タイマー表示領域51Tには、計測時間をカウントダウンして表示するようにしているが、これに限られず、計測時間をカウントアップして表示するようにしてもよい。
【0091】
図16に示される操作画面50は、目標範囲の設定処理の終了画面である。
図16の操作情報表示領域51には、タイマー表示領域51Tの残り時間が0であること、目標範囲の設定が完了したことが示されている。
ここで、重心軌跡表示領域52には、目標範囲の設定処理において計測された重心軌跡53Aが表示される。さらに、重心軌跡表示領域52には、重心軌跡53Aを所定のアルゴリズムにより近似円に変換した目標範囲54が示される。なお、上記の近似円の内部が目標範囲54となる。
また、
図16の操作画面50の上部には、メニュー表示用アイコン50Mが表示されており、メニュー表示用アイコン50Mを選択することにより、
図14に示すメニュー画面に遷移することができる。
【0092】
図17には、メニュー画面から姿勢判定処理を実行するための第2アイコン51Cが選択された場合に表示される操作画面50の一例を示した。
図17に示される操作画面50には、姿勢判定結果表示領域55と重心軌跡表示領域52が含まれる。
ここで、重心軌跡表示領域52には、姿勢判定処理の計測期間において計測された着座者Uの重心位置の軌跡である重心軌跡53Bが表示される。そして、椅子1の制御装置30は、重心軌跡53Bが目標範囲54に含まれているか否かを判定する。本例では、重心軌跡53Bが目標範囲54に含まれていると判定される。
【0093】
そして、姿勢判定結果表示領域55には、着座者Uの重心位置に基づく姿勢判定処理の結果が表示される。姿勢判定結果表示領域55には、第1姿勢画像56A、第2姿勢画像56B、第3姿勢画像56C、第4姿勢画像56D及び第5姿勢画像56Eが表示される。
第1姿勢画像56Aは、「端座位」に相当し、第2姿勢画像56Bは、「標準座位」に相当し、第3姿勢画像56Cは、「半座位」に相当し、第4姿勢画像56Dは「右傾座位」に相当し、第5姿勢画像56Eは、「左傾座位」に相当する。
そして、制御装置30の姿勢判定結果に基づいて、第1姿勢画像56A~第5姿勢画像56Eのいずれかに判定結果特定枠57が表示される。
なお、
図17に示す例では、着座者Uの姿勢が標準座位と判定されたことが表示されている。
【0094】
次に、
図18乃至
図20に示すフロー図に基づいて、第2実施形態に係る椅子1の制御装置30が実行する処理の流れについて説明する。
【0095】
図18に示されるように、制御装置30のプロセッサ31は、センサ部20から計測値を取得する(S11)。具体的には、プロセッサ31は、センサ部20の第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21c、第4圧力センサ21dの各々の計測値を取得する。
【0096】
ここで、プロセッサ31は、センサ部20から取得した計測値に基づいて、着座者Uの着座位置が適正か否かを判定する(S12)。具体的には、プロセッサ31は、第1圧力センサ21a、第4圧力センサ21dの各々の値が所定範囲にある場合に、適正と判定し、そうでない場合に適正でないと判定する。
【0097】
着座者Uの着座位置が適正でない場合には(S12:No)、プロセッサ31は、通信インターフェース33を通じて操作端末40のタッチパネルディスプレイ44に着座位置の指示を表示させる(S13)。
ここで、着座位置の指示は、センサ部20による計測値に基づいて、着座者Uが着座部11のどの部分に座っているかを判定し、その判定結果に応じて変えてもよい。
【0098】
次に、プロセッサ31は、目標範囲の設定を開始する場合には(S14:Yes)、S15の処理に進む。
例えば、プロセッサ31は、操作端末40から目標範囲の設定要求を受け付けた場合に、S15の処理を実行するようにしてよい。なお、操作端末40は、タッチパネルディスプレイ44に表示した
図14に示される操作画面50のうち第1アイコン51Bの選択を受け付けた場合に、上記の目標範囲の設定を制御装置30に要求する。
【0099】
次に、プロセッサ31は、操作端末40に着座者Uが標準座位(目標姿勢)を取るように着座姿勢を指示するとともに(S15)、計測時間の計時を開始する(S16)。
なお、プロセッサ31は、通信インターフェース33を通じて、操作端末40のタッチパネルディスプレイ44に表示される操作画面50に、着座姿勢の指示を表示させるようにする。
また、プロセッサ31は、計測時間の残り時間や経過時間を、操作画面50のタイマー表示領域51Tに表示させるようにする。
【0100】
ここで、プロセッサ31は、センサ部20から順次取得する計測値に基づいて、着座者Uの重心位置を順次算出する(S17)。
そして、プロセッサ31は、上記算出した重心位置の軌跡を記録する(S18)。また、プロセッサ31は、重心位置の軌跡のデータを、操作端末40に送信し、操作端末40のタッチパネルディスプレイ44に表示される重心軌跡表示領域52に、重心位置の軌跡を表示させる。
【0101】
ここで、S16の計時開始から所定時間が経過しないうちは(S19:No)、プロセッサ31は、S17に戻り処理を継続する。
そして、S16の計時開始から所定時間が経過すると(S19:Yes)、プロセッサ31は、重心位置の記録を終了し、記録された重心位置の軌跡に基づいて、着座者Uの標準座位に対応する目標範囲を設定する(S20)。
具体的には、プロセッサ31は、記録された重心位置の軌跡の近似円を、上記の目標範囲に設定する。
【0102】
S20の後、又はS14において目標範囲の設定を開始しない場合には(S14:No)、プロセッサ31はS21に進む。
S21において、プロセッサ31は、姿勢判定処理を実行しない場合には(S21:No)、S14に戻り、姿勢判定処理を実行する場合には(S21:Yes)、S22に進む。
なお、姿勢判定処理を実行するか否かは、プロセッサ31が、操作端末40から姿勢判定処理の実行要求を受け付けたか否かに基づいて判定する。
例えば、操作端末40は、タッチパネルディスプレイ44に表示した
図14に示される操作画面50のうち第2アイコン51Cの選択を受け付けた場合に、上記の姿勢判定処理の実行を制御装置30に要求する。
S22の姿勢判定処理の詳細については、
図19及び
図20に示すフロー図に基づいて説明する。
【0103】
図19に示されるように、プロセッサ31は、センサ部20から計測値を取得し(S31)、計測値に基づいて着座者Uの重心位置を算出する(S32)。ここで、第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21c、第4圧力センサ21dの各々の計測値をV1、V2、V3、V4とする。そして、重心位置の指標として以下のようにGy、Gxf、Gxrの3つを算出する。なお、α,βは係数であり、例えばα=85、β=60とする。
Gy=α×(V2+V3)/(V1+V2+V3+V4)
Gxf=β×(V2-V3)/(V2+V3)
Gxr=β×(V1-V4)/(V1+V4)
【0104】
そして、上記算出した重心位置が目標範囲内にある場合には(S33:Yes)、プロセッサ31は、着座者Uの姿勢が標準座位であると判定する(S34)。
そして、プロセッサ31は、着座者Uの姿勢の判定結果を、操作端末40のタッチパネルディスプレイ44に表示させる(S35)。例えば、プロセッサ31は、操作画面50の姿勢判定結果表示領域55に、着座者Uの姿勢の判定結果を表示させることとする。
【0105】
また、S33において、重心位置が目標範囲内にない場合には(S33:No)、プロセッサ31はS36に進む。
そして、S36において、Gyがα1以上である場合には(S36:Yes)、プロセッサ31はS37に進む。
そして、S37において、第1圧力センサ21aの計測値V1と第4圧力センサ21dの計測値V4がそれぞれα2以下である場合には(S37:Yes)、プロセッサ31は、着座者Uの姿勢が端座位であると判定する(S38)。そして、プロセッサ31は、判定結果を操作端末40のタッチパネルディスプレイ44に表示させる(S35)。
【0106】
一方で、S36でGyがα1以上でない場合(S36:No)、S37でP1+P4がα2以下でない場合(S37:No)には、プロセッサ31はS39に進む。
そして、S39では、Gyがα3以上である場合には(S39:Yes)、プロセッサ31は着座者Uの姿勢が半座位であると判定する(S40)。そして、プロセッサ31は、判定結果を操作端末40のタッチパネルディスプレイ44に表示させる(S35)。
なお、α1、α2、α3はそれぞれ閾値であり、α1>α3>α2とする。具体的には、例えばα1=80、α2=20、α3=67とする。
【0107】
一方で、S39でGyがα3以上でない場合には(S39:Yes)、プロセッサ31は、
図20に示すS41に進む。
そして、S41では、Gxrがα4以上である場合には(S41:Yes)、プロセッサ31は着座者Uの姿勢が右傾座位であると判定する(S42)。そして、プロセッサ31は、判定結果を操作端末40のタッチパネルディスプレイ44に表示させる(S35)。
なお、α4は正の値であり、一例としてはα4=18とする。
【0108】
一方で、S41でGxrがα4以上でない場合には(S39:No)、プロセッサ31はS43に進む。
そして、S43では、Gxrが-α4以下である場合には(S43:Yes)、プロセッサ31は着座者Uの姿勢が左傾座位であると判定する(S44)。そして、プロセッサ31は、判定結果を操作端末40のタッチパネルディスプレイ44に表示させる(S35)。
また、S43において、Gxrが-α4以下でない場合には(S43:No)、プロセッサ31は着座者Uの姿勢が標準座位であると判定する(S45)。そして、プロセッサ31は、判定結果を操作端末40のタッチパネルディスプレイ44に表示させる(S35)。
そして、プロセッサ31はS35によって姿勢判定処理を終了するとともに、全体処理を終了する。
【0109】
第2実施形態に係る椅子1によれば、着座者Uは操作端末40を通じて自らの姿勢の状態を容易に認識できる。また、着座者Uに応じて目標姿勢に対応した目標範囲を設定できるため、個々の着座者Uに応じて姿勢判定の精度を向上できる。
また、第2実施形態に係る椅子1において、目標範囲を設定しない場合には、デフォルトの目標範囲を用いることとしてよい。
【0110】
[まとめ]
以上説明した椅子1は、着座者Uの臀部を支持する着座部11と、着座部11に設けられる3以上の圧力センサ21と、3以上の圧力センサ21の計測結果に基づいて、着座部11における着座者Uの重心位置を算出する重心位置算出部35と、着座者Uの重心位置が、着座部11に設定した複数のエリアのいずれに位置するかに基づいて、着座者Uの姿勢を判定する姿勢判定部36と、を備える。
椅子1によれば、着座者Uの姿勢を着座部11に設けた圧力センサ21の計測結果に基づいて判定できる。これにより、背もたれ部12にセンサを設ける必要がないため、センサの数を抑制できる。すなわち、椅子1によれば、センサの数を抑制した簡易な構成で、着座者の姿勢を判定することができる。
【0111】
椅子1では、3以上の圧力センサ21は、3以上の圧力センサ21を頂点として結ぶ図形が二次元平面をなすように配置される。
こうすることで、圧力センサ21から着座者の重心位置を得ることができる。
【0112】
椅子1では、第1エリアA1、第2エリアA2及び第3エリアA3の境界は、3以上の圧力センサ21のうち前端部E1と後端部E2の間にある。
こうすることで、着座者Uの重心位置がどのエリアに位置するかに基づいて、着座者Uの姿勢を精度良く判定できる。
【0113】
椅子1では、着座者Uの重心位置が、第1エリアA1にある場合には、着座者Uの姿勢が、上体が起立した状態で着座部11の前部に着座している第1着座姿勢P1であると判定する。
椅子1では、着座者Uの重心位置が、第2エリアA2にある場合には、着座者Uの姿勢が、上体が後傾した状態で着座部11の前部に着座している第2着座姿勢P2であると判定する。
椅子1では、着座者Uの重心位置が、第3エリアA3である場合には、着座者Uの姿勢が、上体が起立した状態で着座部11の後部に着座している第3着座姿勢P3であると判定する。
こうすることで、着座者の重心位置から、着座者の具体的姿勢を判定できる。
【0114】
椅子1では、第1エリアA1と第2エリアA2の境界である第1境界C1と後端部E2との距離は、第1エリアA1と前端部E1の距離の4倍以上とする。
こうすることで、着座者Uの姿勢が第1着座姿勢P1であるか第2着座姿勢P2であるかを精度良く判定できる。
【0115】
椅子1では、第2エリアA2と第3エリアA3の境界である第2境界C2は、前端部E1と後端部E2の略中央に位置する。
こうすることで、着座者Uの姿勢が第2着座姿勢P2であるか第3着座姿勢P3であるかを精度良く判定できる。
【0116】
椅子1では、着座者Uが目標姿勢のときに重心位置算出部35により算出された着座部11における着座者Uの重心位置の軌跡に基づいて、着座者Uの重心位置の目標範囲を設定する目標範囲設定部37をさらに備える。姿勢判定部36は、着座者Uの重心位置が目標範囲内か否かに基づいて、着座者Uが目標姿勢であるか否かを判定する。
こうすることで、着座者Uの姿勢が目標姿勢であるか否かを精度良く判定できる。
【0117】
[その他の実施形態]
本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態ではセンサ部20には4つの圧力センサを含む例を示したが、センサ部20には3又は5以上のセンサを含むこととしてもよい。
【0118】
なお、
図12には、センサ部20を構成する圧力センサが3つである場合の着座姿勢とエリアの関係を示した。
図12に示されるように、センサ部20は、第1圧力センサ21a、第2圧力センサ21b、第3圧力センサ21cを備える。
そして、第1圧力センサ21aは、後方中央部に配される点で、前述した実施形態と相違するが、前方に配される第2圧力センサ21b及び第3圧力センサ21cの配置には相違がない。
【0119】
図12に示されるように、圧力センサ21が3つの場合においても、重心位置検出範囲Aのうち、Y座標がT1より大きいエリアを第1エリアA1、Y座標がT2以上、T1より小さいエリアを第2エリアA2、Y座標がT2以下のエリアを第3エリアA3とする。
そして、重心位置が第1エリアA1、第2エリアA2、第3エリアA3のいずれに位置するかに基づいて、着座者Uの姿勢が第1着座姿勢P1、第2着座姿勢P2又は第3着座姿勢P3であるかを判定することができる。
具体的には、重心位置が第1エリアA1に位置する場合には第1着座姿勢P1、重心位置が第2エリアA2に位置する場合には第2着座姿勢P2、重心位置が第3エリアA3に位置する場合には第3着座姿勢P3と判定される。
また、圧力センサ21の数が5以上においても同様に姿勢を判定することができる。なお、判定結果となる姿勢の数は3に限られず2又は4以上としてもよい。
【0120】
上記の実施形態では、本発明を事務椅子に適用した例について説明したが、本発明は事務椅子に限らず、乗物用シート、観客席シート等の各種シートにも適用可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 椅子
11 着座部
11a 樹脂フレーム
11b パッド材
11c 表皮材
12 背もたれ部
13 支柱
14 脚部
15 貫通孔
20 センサ部
21 圧力センサ
21a 第1圧力センサ
21b 第2圧力センサ
21c 第3圧力センサ
21d 第4圧力センサ
22 第1伝送部
23 第2伝送部
24 接続部
30 制御装置
31 プロセッサ
32 メモリ
33 通信インターフェース
35 重心位置算出部
36 姿勢判定部
37 目標範囲設定部
40 操作端末
41 プロセッサ
42 メモリ
43 通信インターフェース
44 タッチパネルディスプレイ
50 操作画面
50M メニュー表示用アイコン
51 操作情報表示領域
51A 姿勢イメージ表示領域
51B 第1アイコン
51C 第2アイコン
51T タイマー表示領域
52 重心軌跡表示領域
53A 重心軌跡
53B 重心軌跡
54 目標範囲
55 姿勢判定結果表示領域
56A 第1姿勢画像
56B 第2姿勢画像
56C 第3姿勢画像
56D 第4姿勢画像
56E 第5姿勢画像
57 判定結果特定枠
A 重心位置検出範囲
A1 第1エリア
A2 第2エリア
A3 第3エリア
C1 第1境界
C2 第2境界
E1 前端部
E2 後端部
G 重心位置
P1 第1着座姿勢
P2 第2着座姿勢
P3 第3着座姿勢
U 着座者
U1 上体
U2 臀部
U3 腰椎