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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/08 20060101AFI20221221BHJP
   F24F 7/007 20060101ALI20221221BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20221221BHJP
【FI】
F24F7/08 101J
F24F7/007 B
F24F11/70
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021030451
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022131485
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2022-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】溝端 和彦
(72)【発明者】
【氏名】砂山 昂之
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-298252(JP,A)
【文献】特開2020-008251(JP,A)
【文献】特開2018-159476(JP,A)
【文献】特開昭62-026434(JP,A)
【文献】特表2007-510885(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/08
F24F 7/007
F24F 11/00-11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間(S1)の換気を行う換気装置(11)と、前記対象空間外(S2)の気温である第1温度(K1)を検出する第1検出部(38)と、前記対象空間内(S1)の気温である第2温度(K2)を検出する第2検出部(39)と、前記換気装置(11)の運転を制御するコントローラ(36)と、を備え、
前記換気装置(11)が、熱交換器(32)と、前記対象空間の内部(S1)と外部(S2)とを前記熱交換器(32)を経由して連通させる給気通路(47)及び排気通路(46)と、前記対象空間外(S2)の空気を前記給気通路(46)を介して前記対象空間内(S1)に給気する給気ファン(34)と、前記対象空間内(S1)の空気を前記排気通路(46)を介して前記対象空間外(S2)に排気する排気ファン(33)と、を備え、
前記コントローラ(36)が、前記給気ファン(34)及び前記排気ファン(33)を運転させる第1モード、及び前記給気ファン(34)を停止、間欠運転、若しくは平均給気風量(QS2)を前記第1モードよりも低下させた状態で前記給気ファン(34)を運転させる第2モード、又は、前記排気ファン(33)を停止、間欠運転、若しくは平均排気風量(QE2)を前記第1モードよりも低下させた状態で前記排気ファン(33)を運転させる第3モード、を実行可能であり、
前記第1モードの実行中、前記コントローラ(36)が、前記第1温度(K1)の変化を確認し、前記第1温度(K1)が低下することによって前記第2温度(K2)と前記第1温度(K1)との差が第2所定値(T2)以下になったと判断した場合に、
前記コントローラ(36)が、前記第1モードから前記第2モードに切り替える、又は、
前記第1モードの実行中、前記コントローラ(36)が、前記第2温度(K2)の変化を確認し、前記第2温度(K2)が上昇することによって前記第2温度(K2)と前記第1温度(K1)との差が前記第2所定値(T2)以下になったと判断した場合に、
前記コントローラ(36)が、前記第1モードから前記第3モードに切り替える、換気システム(10)。
【請求項2】
前記第1モードの実行中、前記第1温度(K1)が前記第1所定値(T1)以上であり、かつ、前記第2温度(K2)と前記第1温度(K1)との差が第2所定値(T2)以下である場合、
前記コントローラ(36)が、前記第1モードから前記第2モード又は前記第3モードに切り替える、請求項1に記載の換気システム(10)。
【請求項3】
対象空間(S1)の換気を行う換気装置(11)と、前記対象空間外(S2)の気温である第1温度(K1)を検出する第1検出部(38)と、前記対象空間内(S1)の気温である第2温度(K2)を検出する第2検出部(39)と、前記換気装置(11)の運転を制御するコントローラ(36)と、を備え、
前記換気装置(11)が、熱交換器(32)と、前記対象空間の内部(S1)と外部(S2)とを前記熱交換器(32)を経由して連通させる給気通路(47)及び排気通路(46)と、前記対象空間外(S2)の空気を前記給気通路(47)を介して前記対象空間内(S1)に給気する給気ファン(34)と、前記対象空間内(S1)の空気を前記排気通路(46)を介して前記対象空間外(S2)に排気する排気ファン(33)と、を備え、
前記コントローラ(36)が、前記給気ファン(34)及び前記排気ファン(33)を運転させる第1モード、及び、前記給気ファン(34)を停止、間欠運転、若しくは平均給気風量(QS2)を前記第1モードよりも低下させた状態で前記給気ファン(34)及び前記排気ファン(33)を運転させる第2モード、及び、前記排気ファン(33)を停止、間欠運転、若しくは平均排気風量(QE2)を前記第1モードよりも低下させた状態で前記給気ファン(34)及び前記排気ファン(33)を運転させる第3モード、を実行可能であり、
前記第1モードの実行中、前記コントローラ(36)が、前記第1温度(K1)の変化を確認し、前記第1温度(K1)が低下することによって前記第2温度(K2)と前記第1温度(K1)との差が前記第2所定値(T2)以下になったと判断した場合に
前記コントローラ(36)が、前記第1モードから前記第2モードに切り替え、かつ、
前記第1モードの実行中、前記コントローラ(36)が、前記第2温度(K2)の変化を確認し、前記第2温度(K2)が上昇することによって前記第2温度(K2)と前記第1温度(K1)との差が前記第2所定値(T2)以下になったと判断した場合に、
前記コントローラ(36)が、前記第1モードから前記第3モードに切り替える、換気システム(10)。
【請求項4】
前記第1モードの実行中、前記第1温度(K1)が前記第1所定値(T1)以上であり、かつ、前記第2温度(K2)と前記第1温度(K1)との差が第2所定値(T2)以下である場合、
前記コントローラ(36)が、前記第1モードから前記第2モード及び前記第3モードに切り替える、請求項に記載の換気システム(10)。
【請求項5】
前記第2モード又は前記第3モードの実行中、前記差が、前記第2所定値(T2)より大きい値である第3所定値(T3)を超えた場合、
前記コントローラ(36)が、前記第2モード又は前記第3モードから前記第1モードに切り替える、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の換気システム(10)。
【請求項6】
所定時間(X)以上前記第2モード又は前記第3モードの実行が継続された場合、
前記コントローラ(36)が、前記第2モード又は前記第3モードから前記第1モードに切り替える、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の換気システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給気ファン、排気ファン、熱交換器、及びコントローラを備えた換気装置を用いた換気システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。前記換気システムは、対象空間を換気する。前記換気システムは、対象空間外の湿度が高く、かつ、対象空間内の湿度が低くなる条件下で使用した場合に、換気装置内の給気通路で結露が生じる可能性があることが知られている。このため、特許文献1記載の換気システムでは、対象空間外から対象空間内に取り入れる外気の状態を検出する給気状態検出器を給気通路内に設け、コントローラが、給気状態検出器の検出結果に基づいて、外気が良好なものでないときに、給気ファンを停止もしくは間欠運転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-293880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、外気の湿度が高い場合であっても、それに比べて対象空間内の湿度が低い場合が多かったため、対象空間内の空気を排気することで熱交換器の水分含有量を低く抑制することができていた。しかしながら、近年建物の高気密化が進んだこと等に起因して、対象空間内の湿度が上昇しやすくなっている。このため、対象空間内の湿度が高い条件下で前記換気システムが使用されることが増えており、これに伴って熱交換器の水分含有量が許容量を超える場合が増えており、これにより換気装置から水漏れすることがある。
【0005】
本開示は、換気装置からの水漏れを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の換気システムは、
対象空間の換気を行う換気装置と、前記対象空間外の気温である第1温度を検出する第1検出部と、前記対象空間内の気温である第2温度を検出する第2検出部と、前記換気装置の運転を制御するコントローラと、を備え、
前記換気装置が、熱交換器と、前記対象空間の内部と外部とを前記熱交換器を経由して連通させる給気通路及び排気通路と、前記対象空間外の空気を前記給気通路を介して前記対象空間内に給気する給気ファンと、前記対象空間内の空気を前記排気通路を介して前記対象空間外に排気する排気ファンと、を備え、
前記コントローラが、前記給気ファン及び前記排気ファンを運転させる第1モード、及び前記給気ファンを停止、間欠運転、若しくは平均給気風量を前記第1モードよりも低下させた状態で前記給気ファンを運転させる第2モード、又は、前記排気ファンを停止、間欠運転、若しくは平均排気風量を前記第1モードよりも低下させた状態で前記排気ファンを運転させる第3モード、を実行可能であり、
前記第1モードの実行中、前記第2温度と前記第1温度との差が第2所定値以下である場合に、
前記コントローラが、前記第1モードから前記第2モード又は前記第3モードに切り替える。
【0007】
対象空間外及び対象空間内の湿度が高い状態で第1モードを実行すると、対象空間内及び対象空間外の双方から湿度の高い空気が熱交換器に流れ、熱交換器の水分含有量が許容量を超え、換気装置からの水漏れが発生する可能性が高くなる。本開示では、第1モードの実行中、第2温度と第1温度との差が第2所定値以下である場合に、対象空間の内部及び外部の温度に基づき、対象空間の内部及び外部の湿度が高いと推測することができる。対象空間の内部及び外部の湿度が高いと推測した場合に、第1モードから第2モード又は第3モードに切り替えて給気ファン及び排気ファンを運転させることで、湿度の高い空気が熱交換器を通るのを抑制し、換気装置からの水漏れを抑制することができる。
【0008】
(2)好ましくは、前記第1モードの実行中、前記第1温度が前記第1所定値以上である場合、前記コントローラが、前記第1モードから前記第2モード又は前記第3モードに切り替える。
この構成によれば、対象空間外の空気の湿度が高くなっていない場合に、換気装置が第1モードから第2モード又は第3モードに不必要に切り替えられるのを抑制することができる。
【0009】
(3)好ましくは、前記第1モードの実行中、前記第1温度が低下することによって前記第2温度と前記第1温度との差が前記第2所定値以下となった場合、前記コントローラが、前記第1モードから前記第2モードに切り替える。
この構成によれば、第1温度が低下して第1温度と第2温度との差が第2所定値以下となっていた場合には、対象空間外の湿度が高いと推測することができる。この場合に、換気装置の運転モードを第2モードに切り替えることで、対象空間外の湿度の高い空気が、熱交換器に流れ込むのを抑制することができる。
【0010】
(4)好ましくは、前記第1モードの実行中、前記第2温度が上昇することによって前記第2温度と前記第1温度との差が前記第2所定値以上となった場合、前記コントローラが、前記第1モードから前記第3モードに切り替える。
この構成によれば、第2温度が上昇して、第1温度と第2温度との差が第2所定値以下となっていた場合には、対象空間内の湿度が高いと推測することができる。この場合に、換気装置の運転モードを第3モードに切り替えることで、対象空間内の湿度の高い空気が、熱交換器に流れ込むのを抑制することができる。
【0011】
(5)本開示の換気システムは、
対象空間の換気を行う換気装置と、前記対象空間外の気温である第1温度を検出する第1検出部と、前記対象空間内の気温である第2温度を検出する第2検出部と、前記換気装置の運転を制御するコントローラと、を備え、
前記換気装置が、熱交換器と、前記対象空間の内部と外部とを前記熱交換器を経由して連通させる給気通路及び排気通路と、前記対象空間外の空気を前記給気通路を介して前記対象空間内に給気する給気ファンと、前記対象空間内の空気を前記排気通路を介して前記対象空間外に排気する排気ファンと、を備え、
前記コントローラが、前記給気ファン及び前記排気ファンを運転させる第1モード、及び、前記給気ファンを停止、間欠運転、若しくは平均給気風量を前記第1モードよりも低下させた状態で前記給気ファンを及び前記排気ファンを運転させる第2モード、及び、前記排気ファンを停止、間欠運転、若しくは平均排気風量を前記第1モードよりも低下させた状態で前記給気ファン及び前記排気ファンを運転させる第3モード、を実行可能であり、
前記第1モードの実行中、前記第2温度と前記第1温度との差が前記第2所定値以下である場合において、
前記コントローラが、前記第1モードから前記第2モード及び前記第3モードに切り替える。
この構成によれば、第1モードの実行中、第2温度と第1温度との差が第2所定値以下である場合に、第1モードから第2モード及び第3モードに切り替えて給気ファン及び排気ファンを運転させることで、対象空間内及び対象空間外の湿度の高い空気が双方から熱交換器に流入するのを抑制し、換気装置からの水漏れを抑制することができる。
【0012】
(6)好ましくは、前記第1モードの実行中、前記第1温度が前記第1所定値以上である場合、前記コントローラが、前記第1モードから前記第2モード及び前記第3モードに切り替える。
この構成によれば、対象空間外の空気の湿度が高くなっていない場合に、換気装置が第1モードから第2モード及び第3モードに不必要に切り替えられるのを抑制することができる。
【0013】
(7)好ましくは、前記第2モード又は前記第3モードの実行中、前記差が、前記第2所定値より大きい値である第3所定値を超えた場合に、前記コントローラが、前記第2モード又は前記第3モードから前記第1モードに切り替える。
この構成によれば、第1温度と第2温度との差が第3所定値を超えた場合に、対象空間内及び対象空間外の湿度が高くなくなったと推測することができる。この場合に、換気装置の運転モードを第1モードに切り替えることで、対象空間内の換気量を通常の量へ速やかに戻すことができる。
【0014】
(8)好ましくは、所定時間以上前記第2モード又は前記第3モードの実行が継続された場合、前記コントローラが、前記第2モード又は前記第3モードから前記第1モードに切り替える。
この構成によれば、第2モード及び第3モードの状態が所定時間以上継続した場合に、換気装置の運転モードを第1モードに切り替えることができる。これにより、対象空間内の換気量が低下している状態が所定時間以上継続されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の換気システムの概略的な構成図である。
図2】換気装置を上から見た概略的な断面説明図である。
図3図2のA-A線における概略的な断面説明図である。
図4図2のB-B線における概略的な断面説明図である。
図5】熱交換器の斜視図である。
図6A】第1モード及び第2モードにおける給気ファンの運転状態(第2モードで停止する場合)を示す説明図である。
図6B】第1モード及び第2モードにおける給気ファンの運転状態(第2モードで間欠運転する場合)を示す説明図である。
図6C】第1モード及び第2モードにおける給気ファンの運転状態(第2モードで弱運転する場合)を示す説明図である。
図7A】第1モード及び第3モードにおける排気ファンの運転状態(第3モードで停止する場合)を示す説明図である。
図7B】第1モード及び第3モードにおける排気ファンの運転状態(第3モードで間欠運転する場合)を示す説明図である。
図7C】第1モード及び第3モードにおける排気ファンの運転状態(第3モードで弱運転する場合)を示す説明図である。
図8】本開示の換気システムにおける運転モードの切り替え手順を示す説明図である。
図9】本開示の換気システムにおける運転モードの切り替え手順の別実施例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1は、本開示に係る換気システムの概略的な構成図である。図1に示す換気システム10は、本開示の換気システムの実施形態であり、換気装置11と、コントローラ36と、第1温度センサ38と、第2温度センサ39とを備えている。
【0017】
(換気装置11の構成)
換気装置11は、室内空間S1の換気を行う。室内空間S1は、換気システム10により換気を行う対象空間の一例であり、部屋Rの内部の空間である。部屋Rの外部の空間を室外空間S2という。本実施形態では、室外空間S2を屋外としている。室外空間S2は、室内空間S1の外部であって屋外との間で直接空気の行き来が可能な空間であればよく、例えば建屋内の空間であってもよい。換気装置11は、部屋Rの天井裏のスペースS3に設置されており、ダクト45a~45dを介して室内空間S1及び室外空間S2と接続されている。
【0018】
図2は、換気装置を上から見た概略的な断面説明図である。図3は、図2のA-A線における概略的な断面説明図である。図4は、図2のB-B線における概略的な断面説明図である。
【0019】
図2図4に示すように、換気装置11は、略直方体の箱形状を有するケーシング31を有する。ケーシング31内には、熱交換器32と、排気ファン33と、給気ファン34と、が収容されている。ケーシング31には、還気取入口41、排気吹出口42、外気取入口43、及び、給気吹出口44が設けられている。ケーシング31の外部には、コントローラ36が設けられている。コントローラ36は、ケーシング31の外部に設けられた制御ボックス37内に収容されている。
【0020】
(コントローラ36の構成)
コントローラ36(以下、「換気コントローラ」ともいう)は、換気装置11の動作を制御する装置であり、換気装置11に備えられたファンの動作を制御する。換気コントローラ36は、例えば、CPU等のプロセッサ、RAM、ROM等のメモリを備えたマイクロコンピュータにより構成される。換気コントローラ36は、LSI、ASIC、FPGA等を用いてハードウェアとして実現されるものであってもよい。換気コントローラ36は、メモリにインストールされたプログラムをプロセッサが実行することによって、所定の機能を発揮する。なお、換気コントローラ36は、換気装置11の一部として当該換気装置11と一体で設けてもよいし、換気装置11とは別の装置として別体で設けてもよい。
【0021】
(リモートコントローラ25の構成)
図1に示すように、換気装置11は、さらにリモートコントローラ25を備えている。リモートコントローラ25は、換気装置11の運転開始/運転停止の操作や、室内の湿度、送風の強弱等の動作設定を行うために用いられる。リモートコントローラ25は、換気コントローラ36に有線又は無線で通信可能に接続されている。ユーザは、リモートコントローラ25を使用することによって、遠隔で換気装置11を操作することができる。
【0022】
(給気通路及び排気通路の構成)
図1図4に示すように、還気取入口41は、室内空間S1からの空気(還気)RAをケーシング31内に取り入れるために用いられる。排気吹出口42は、ケーシング31内に取り入れられた還気RAを、排気EAとして室外空間S2に排出するために用いられる。外気取入口43は、室外空間S2からの空気(外気)OAをケーシング31内に取り入れるために用いられる。給気吹出口44は、ケーシング31内に取り入れられた外気OAを、給気SAとして室内空間S1に供給するために用いられる。
【0023】
図1に示すように、還気取入口41は、ダクト45cを介して室内空間S1に繋がっている。排気吹出口42は、ダクト45bを介して室外空間S2に繋がっている。以下の説明では、これらのダクト45b、45cによって、ケーシング31を介して、室内空間S1と室外空間S2とを繋ぐ風路を排気通路(後述する排気通路46)ともいう。
【0024】
外気取入口43は、ダクト45aを介して室外空間S2に繋がっている。給気吹出口44は、ダクト45dを介して室内空間S1に繋がっている。以下の説明では、これらのダクト45a、45dによって、ケーシング31を介して、室内空間S1と室外空間S2とを繋ぐ風路を給気通路(後述する給気通路47)ともいう。
【0025】
図2に示すように、ケーシング31の内部において、還気取入口41から取り入れられた還気RAは熱交換器32を通過し、排気EAとして排気吹出口42から室外空間S2へ排気される。以下、この空気の流れを「第1の空気流F1」ともいう。外気取入口43から取り入れられた外気OAは熱交換器32を通過し、給気SAとして給気吹出口44から室内空間S1へ供給される。以下、この空気の流れを「第2の空気流F2」ともいう。
【0026】
(熱交換器32の構成)
図5は、熱交換器の斜視図である。本実施形態における熱交換器32は、第1の空気流F1と、第2の空気流F2とがほぼ直交するように構成された直交型の全熱交換器である。この熱交換器32は、仕切板32aと、隔壁板32bとを有している。仕切板32aと隔壁板32bとは適宜の接着剤により交互に積層されている。熱交換器32は、全体としてほぼ四角柱形状に形成されている。
【0027】
仕切板32aは、伝熱性及び透湿性を有し、平板状に形成されている。隔壁板32bは、ほぼ三角形状の断面が連続して形成された波板状に形成されている。隔壁板32bは、隣り合う2枚の仕切板32aの間に空気の通路を形成する。隔壁板32bは、仕切板32aと隔壁板32bとの積層方向(図5における上下方向)で1枚ごとに90度角度を変えて積層されている。これにより、1枚の仕切板32aを挟んでその両側に、第1の空気流F1を通すための排気側通路32cと第2の空気流F2を通すための給気側通路32dとが互いに直交して形成される。排気側通路32cを流れる空気と、給気側通路32dを流れる空気とは、伝熱性及び透湿性を有する仕切板32aを介して顕熱及び潜熱の交換(全熱交換)が行われるようになっている。
【0028】
図2図4に示すように、ケーシング31の内部は、熱交換器32によって室内空間S1側と室外空間S2側との2つの領域に区画されている。図2及び図3に示すように、ケーシング31内には、熱交換器32よりも第1の空気流F1の上流側に上流側排気通路46aが形成され、熱交換器32よりも第1の空気流F1の下流側に下流側排気通路46bが形成されている。上流側排気通路46aと下流側排気通路46bとによって、室内空間S1(図1参照)と室外空間S2(図1参照)とを熱交換器32を経由して連通させる排気通路46が構成される。
【0029】
図2及び図4に示すように、ケーシング31内には、熱交換器32よりも第2の空気流F2の上流側に上流側給気通路47aが形成され、熱交換器32よりも第2の空気流F2の下流側に下流側給気通路47bが形成されている。上流側給気通路47aと下流側給気通路47bとによって、室内空間S1と室外空間S2とを熱交換器32を経由して連通させる給気通路47が構成されている。
【0030】
図3及び図4に示すように、上流側排気通路46aと下流側給気通路47bとの間には、区画壁51が設けられている。下流側排気通路46bと上流側給気通路47aとの間には、区画壁52が設けられている。
【0031】
図2及び図3に示すように、下流側排気通路46bにおいて、排気吹出口42の近傍には排気ファン33が配置されている。この排気ファン33が運転されることによって第1の空気流F1が生成され、室内空間S1からの還気RAが排気通路46を通り排気EAとして室外空間S2に排出される。
【0032】
図2及び図4に示すように、下流側給気通路47bにおいて、給気吹出口44の近傍には給気ファン34が配置されている。この給気ファン34が運転されることによって第2の空気流F2が生成され、室外空間S2の外気OAが給気通路47を通り、給気SAとして室内空間S1に供給される。
【0033】
(第1温度センサ38について)
図2及び図4に示すように、上流側給気通路47aにおいて、外気取入口43の近傍には第1温度センサ38が配置されている。この第1温度センサ38は、上流側給気通路47aを通る外気OAの温度を検出する。言い換えると、第1温度センサ38は、室外空間S2の空気の温度を検出する。なお、本実施形態では、第1温度センサ38を、ケーシング31内の上流側給気通路47aに設けているが、第1温度センサ38の設置位置はこれに限定されない。第1温度センサ38は、室外空間S2の空気の温度を検出可能な位置に設置することができ、例えば、室外空間S2やダクト45aの内部に設置してもよい。
【0034】
図1に示すように、第1温度センサ38が室外空間S2の温度を検出すると、その検出信号は換気コントローラ36に入力される。換気コントローラ36は、この第1温度センサ38の温度の検出値(以下、第1検出値K1という)に基づいて、排気ファン33及び給気ファン34の動作を制御する。
【0035】
(第2温度センサ39について)
図2及び図3に示すように、上流側排気通路46aにおいて、還気取入口41の近傍には第2温度センサ39が配置されている。この第2温度センサ39は、上流側排気通路46aを通る還気RAの温度を検出する。言い換えると、第2温度センサ39は、室内空間S1の空気の温度を検出する。なお、本実施形態では、第2温度センサ39を、ケーシング31内の上流側排気通路46aに設けているが、第2温度センサ39の設置位置はこれに限定されない。第2温度センサ39は、室内空間S1の空気の温度を検出可能な位置に設置することができ、例えば、室内空間S1やダクト45cの内部に設置してもよい。
【0036】
図1に示すように、第2温度センサ39が室内空間S1の空気の温度を検出すると、その検出信号は換気コントローラ36に入力される。換気コントローラ36は、この第2温度センサ39の温度の検出値(以下、第2検出値K2という)に基づいて、排気ファン33及び給気ファン34の動作を制御する。
【0037】
(換気装置11の運転モードについて)
換気システム10は、換気装置11の運転モードとして「第1モード」と「第2モード」と「第3モード」とを備えている。「第1モード」は、通常時の運転モードである。「第2モード」は、室外空間S2の湿度が高い場合に適した運転モードである。「第3モード」は、室内空間S1の湿度が高い場合に適した運転モードである。
【0038】
換気システム10では、通常時は換気装置11を第1モードで運転する。換気システム10では、室外空間S2の湿度が高い場合に、運転モードを第1モードから第2モードに切り替えて運転する。換気システム10では、室内空間S1の湿度が高い場合に、運転モードを第1モードから第3モードに切り替えて運転する。換気システム10では、換気コントローラ36が、排気ファン33及び給気ファン34の動作を制御することによって、第1モード、第2モード、及び第3モードを切り替えて実行する。
【0039】
(第1モードについて)
図6A図6Cには、第1モード及び第2モードにおける給気ファン34の運転状態を模式的に示している。図7A図7Cには、第1モード及び第3モードにおける排気ファン33の運転状態を模式的に示している。図6A図6Cでは、換気装置11を、時刻t1から時刻t2の間は第1モードで運転し、時刻t2に第1モードから第2モードに切り替えて、時刻t2から時刻t3の間は第2モードで運転した場合を示している。図7A図7Cでは、換気装置11を、時刻t1から時刻t2の間は第1モードで運転し、時刻t2に第1モードから第3モードに切り替えて、時刻t2から時刻t3の間は第3モードで運転した場合を示している。
【0040】
図6A図6Cに示すように、第1モードでは、通常の給気風量で給気ファン34を運転する。このときの通常の給気風量を平均給気風量QS1という。図7A図7Cに示すように、第1モードでは、通常の排気風量で排気ファン33を運転する。このときの通常の排気風量を平均排気風量QE1という。なお、ここでいう「通常の排気風量」及び「通常の給気風量」とは、次の少なくとも一つを意味する。
1.室内空間S1においてユーザが所望する通常の換気量(換気回数)を確保することができる排気風量及び給気風量。
2.室内空間S1に対して設定された設計上の換気量(換気回数)を確保することができる排気風量及び給気風量。
3.第1モードについて設定された目標回転数で排気ファン33及び給気ファン34を運転して得られる排気風量及び給気風量。
【0041】
換気装置11を第1モードで運転した場合、室内空間S1から平均排気風量QE1の還気RAが室外空間S2に排出されるととともに、室外空間S2から平均給気風量QS1の外気OAが室内空間S1に供給され、室内空間S1の換気が行われる。さらに室内空間S1からの還気RAと室外空間S2からの外気OAとの間で顕熱及び潜熱の交換が行われ、室内空間S1における温度及び湿度の変化を抑制することができる。
【0042】
(第2モードについて)
図6A図6Cに示すように、第2モードでは、換気コントローラ36によって、給気ファン34の動作を変更する。言い換えると、第2モードにおいて給気ファン34の動作を変更する場合、図6A図6Cに示す何れかの態様で給気ファン34を運転する。
【0043】
図6Aに示す態様では、第2モードによる換気装置11の運転中、給気ファン34は停止している。この場合、室外空間S2から室内空間S1に供給される給気SA(外気OA)の風量(平均給気風量QS2)が「0」となる。
【0044】
図6Bに示す態様では、第2モードによる換気装置11の運転中、給気ファン34は間欠運転している。言い換えると、給気ファン34は、第1モードと同じ平均給気風量QS1で運転する状態と停止する状態とを交互に繰り返している。この場合、室外空間S2から室内空間S1に供給される給気SA(外気OA)の風量(平均給気風量QS2)が、第1モードにおける平均給気風量QS1に比べて少なくなる。
【0045】
図6Cに示す態様では、第2モードによる換気装置11の運転中、給気ファン34は、第1モードにおける平均給気風量QS1に比べて少ない風量で連続運転している。この場合、室外空間S2から室内空間S1に供給される給気SA(外気OA)の風量(平均給気風量QS2)が、第1モードにおける平均給気風量QS1に比べて少なくなる。以下では、第1モードに比べて少ない風量で各ファン33、34を連続運転する態様を「弱運転」ともいう。言い換えれば、図6Cに示す第2モードでは、給気ファン34は弱運転している。
【0046】
図6A図6Cに示す各第2モードでは、第1モード時の平均給気風量QS1に比べて平均給気風量QS2が少なくなるように、換気コントローラ36が給気ファン34の動作を制御している。なお、各第2モードにおける排気ファン33の排気風量は、特に他の運転モードに変更されない限り、第1モードにおける排気風量と同じであってもよい。
【0047】
このため、換気システム10では、給気ファン34の動作を第2モードに変更した場合、第1モード時に比べて少ない風量の外気OAが給気通路47(図4参照)を通って熱交換器32に流入し、室内空間S1に給気される。言い換えると、第2モード時は、熱交換器32に流入する外気OAの風量を、第1モード時に比べて低減することができる。これにより、熱交換器32の水分含有量を抑制することができる。
【0048】
(第3モードについて)
図7A図7Cに示すように、第3モードでは、換気コントローラ36によって、排気ファン33の動作を変更する。言い換えると、第3モードにおいて排気ファン33の動作を変更する場合、図7A図7Cに示す何れかの態様で排気ファン33を運転する。
【0049】
図7Aに示す態様では、第3モードによる換気装置11の運転中、排気ファン33は停止している。この場合、室内空間S1から室外空間S2に排気される排気EA(還気RA)の風量(平均排気風量QE2)が「0」となる。
【0050】
図7Bに示す態様では、第3モードによる換気装置11の運転中、排気ファン33は間欠運転している。言い換えると、排気ファン33は、第1モードと同じ平均排気風量QE1で運転する状態と停止する状態とを交互に繰り返している。この場合、室内空間S1から室外空間S2に排気される排気EA(還気RA)の風量(平均排気風量QE2)が、第1モードにおける平均排気風量QE1に比べて少なくなる。
【0051】
図7Cに示す態様では、第3モードによる換気装置11の運転中、排気ファン33は弱運転している。この場合、室内空間S1から室外空間S2に放出される還気RA(排気EA)の風量(平均排気風量QE2)が、第1モードにおける平均排気風量QE1に比べて少なくなる。
【0052】
図7A図7Cに示す各第3モードでは、第1モード時の平均排気風量QE1に比べて平均排気風量QE2が少なくなるように、換気コントローラ36が排気ファン33の動作を制御している。なお、各第3モードにおける給気ファン34の給気風量は、特に他の運転モードに変更されない限り、第1モードにおける給気風量と同じであってもよい。
【0053】
このため、換気システム10では、排気ファン33の動作を第3モードに変更した場合、第1モード時に比べて少ない風量の還気RAが排気通路46(図3参照)を通って熱交換器32に流入し、室外空間S2に排気される。言い換えると、第3モードでは、熱交換器32に流入する還気RAの風量を、第1モード時に比べて低減することができる。これにより、熱交換器32の水分含有量を抑制することができる。
【0054】
(第1検出値K1及び第2検出値K2による湿度の推定について)
室外空間S2が高湿になる場合には、例えば、夜間等に室外空間S2の気温が下がって空気の相対湿度が上昇したような場合が該当する。室内空間S1が高湿になる場合には、例えば、室内空間S1の空調が停止され室内空間S1の空気が除湿されなくなった場合、室外空間S2から室内空間S1に外気OAが流入した場合、及び夜間等に外気温が下がることに伴って室内空間S1の温度が下がり室内空間S1の空気の相対湿度が上昇した場合、等が該当する。これらの場合は、何れも室内空間S1の温度と室外空間S2の温度が近づく場合であると想定される。
【0055】
換気システム10では、室内空間S1の温度(第2検出値K2)と室外空間S2の温度(第1検出値K1)との差に着目することで、室内空間S1及び室外空間S2が高湿になっているか否かを推定している。換気システム10では、室内空間S1の温度と室外空間S2の温度との差が所定値以下となった場合、室内空間S1と室外空間S2の何れかの湿度が高くなったと推定する。
【0056】
換気装置11からの水漏れは夏季に起こりやすいこと、及び冷房を行わない時期(中間期)には室内空間S1と室外空間S2の温度差が少ないことに着目し、換気システム10では、運転モードの切り替え条件に、室外空間S2の温度を加えている。これにより、換気システム10では、中間期に相当する条件下において、換気装置11が第1モードから第2モード及び第3モードに不必要に切り替えられることを抑制している。
【0057】
(換気システム10の動作について)
換気システム10は、図8に示すフロー図に従って、第1モードと第2モードと第3モードとを切り替えて運転する。換気システム10では、リモートコントローラ25によって、ユーザが換気装置11を「ON」にすると、換気装置11が第1モードで運転すると共に、換気コントローラ36による換気装置11の制御が開始する。
【0058】
図8に示すように、換気装置11の制御が開始すると、換気コントローラ36は、ステップ(ST101)を実行する。ステップ(ST101)において、換気コントローラ36は、第1温度センサ38の第1検出値K1(室外空間S2の温度)が第1所定値T1以上であるか否かを判定する。本実施形態では、第1所定値T1を17(℃)としている。第1所定値T1の値は換気コントローラ36に記憶されており、リモートコントローラ25を用いて、その値を適宜変更することができる。
【0059】
ステップ(ST101)において、第1温度センサ38の第1検出値K1が第1所定値T1未満である場合(NOの場合)、換気コントローラ36はステップ(ST101)を繰り返して実行する。なお、換気システム10において、ステップ(ST101)は省略してもよい。
【0060】
ステップ(ST101)において、第1温度センサ38の第1検出値K1が第1所定値T1以上である場合(YESの場合)、換気コントローラ36はステップ(ST102)を実行する。
【0061】
ステップ(ST102)において、換気コントローラ36は、第1検出値K1と第2温度センサ39の第2検出値K2との差分の絶対値(|K1-K2|)を算出し、この算出した値(|K1-K2|)が第2所定値T2以下であるか否かを判定する。本実施形態では、第2所定値T2を2.0(℃)としている。第2所定値T2の値は換気コントローラ36に記憶されており、リモートコントローラ25を用いて、その値を適宜変更することができる。第2所定値T2の値としては、例えば、0.5~2.5℃の間の値を採用することができる。
【0062】
ステップ(ST102)において、前記算出した値(|K1-K2|)が第2所定値T2より大きい(|K1-K2|>T2)場合(NOの場合)、換気コントローラ36は、処理をステップ(ST101)に戻す。
【0063】
ステップ(ST102)において、前記算出した値(|K1-K2|)が第2所定値T2以下(|K1-K2|≦T2)の場合(YESの場合)、換気コントローラ36はステップ(ST103)を実行する。
【0064】
ステップ(ST103)において、換気コントローラ36は、前記条件(|K1-K2|≦T2)を満たしたときの第1検出値K1の変化を確認する。ステップ(ST103)において、第1検出値K1が低下して前記条件(|K1-K2|≦T2)を満たすこととなっていた場合(YESの場合)、換気コントローラ36は、室外空間S2の湿度が高いと判断してステップ(ST104)を実行し、換気装置11の運転モードを第1モードから第2モードに切り替える。
【0065】
ステップ(ST103)において、第1検出値K1が低下せずに前記条件(|K1-K2|≦T2)を満たすこととなっていた場合(NOの場合)、換気コントローラ36はステップ(ST105)を実行する。
【0066】
ステップ(ST105)において、換気コントローラ36は、前記条件(|K1-K2|≦T2)を満たしたときの第2検出値K2の変化を確認する。ステップ(ST105)において、第2検出値K2が上昇して前記条件(|K1-K2|≦T2)を満たすこととなっていた場合(YESの場合)、換気コントローラ36はステップ(ST106)を実行する。
【0067】
ステップ(ST105)において、第2検出値K2が上昇せずに前記条件(|K1-K2|≦T2)満たすこととなっていた場合(NOの場合)、換気コントローラ36は、処理をステップ(ST101)に戻す。
【0068】
ステップ(ST106)において、換気コントローラ36は、第1検出値K1が第2検出値K2より大きいか否か(K1>K2、言い換えると、室外空間S2の気温が室内空間S1の気温より高いか否か)を判定する。ステップ(ST106)において、前記条件(K1>K2)を満たすことが確認された場合(YESの場合)、換気コントローラ36は、室内空間S1の湿度が高いと判断してステップ(ST107)を実行し、換気装置11の運転モードを第1モードから第3モードに切り替える。
【0069】
ステップ(ST106)において、前記条件(K1>K2)を満たさないことが確認された場合(NOの場合)、換気コントローラ36は、処理をステップ(ST101)に戻す。外気OAの温度が還気RAの温度より低い場合でも、還気RAの温度が急激に上昇して外気OAを越えたような場合には、還気RAが高湿ではない可能性が高い。ステップ(ST106)は、このような場合を除外するために設けている。
【0070】
ステップ(ST108)において、換気コントローラ36は、これらの各モードによる運転時間が所定時間Xを経過しているか否かを判定する。ステップ(ST108)において、換気モードは第2モード又は第3モードによって運転中である。本実施形態では、所定時間Xを5(分)としている。所定時間Xの値は換気コントローラ36に記憶されており、リモートコントローラ25を用いて、その値を適宜変更することができる。なお、換気システム10では、このステップ(ST108)を省略してもよい。
【0071】
ステップ(ST108)において、各モードによる運転時間が所定時間Xを経過している場合(YESの場合)、換気コントローラ36は、ステップ(ST110)を実行し、換気装置11の運転モードを各モードから第1モードに切り替えると共に、処理をステップ(ST101)に戻す。
【0072】
ステップ(ST108)において、各モードによる運転時間が所定時間Xを経過していない場合(NOの場合)、換気コントローラ36はステップ(ST109)を実行する。
【0073】
ステップ(ST109)において、換気コントローラ36は、前記算出した値(|K1-K2|)が第3所定値T3より大きいか否かを判定する。第3所定値T3は、第2所定値T2より大きい値である。ステップ(ST109)において、前記算出した値(|K1-K2|)が第3所定値T3を超えている場合(YESの場合)、換気コントローラ36は、ステップ(ST110)を実行し、換気装置11の運転モードを各モードから第1モードに切り替えると共に、処理をステップ(ST101)に戻す。
【0074】
ステップ(ST109)において、前記算出した値(|K1-K2|)が第3所定値T3を超えていない場合(NOの場合)、換気コントローラ36は、第2モード又は第3モードによる換気装置11の運転を継続して、ステップ(ST108)及びステップ(ST109)を繰り返して実行する。
【0075】
換気システム10では、リモートコントローラ25によって、ユーザが換気装置11を「OFF」とするまで、換気コントローラ36が上記各ステップ(ST101)~(ST110)を繰り返して実行する。
【0076】
本実施形態の換気システム10は、第1温度センサ38及び第2温度センサ39を用いて、室外空間S2の湿度が高くなっていることを推定することができる。言い換えれば、換気システム10は、湿度センサを用いずに、室外空間S2の湿度が高くなっていることを推定することができる。換気システム10では、室外空間S2の湿度が高くなっていると推定された場合に、換気装置11の運転モードを第1モードから第2モードに切り替えることができる。したがって、湿度の高い空気が熱交換器32に流入することが抑制され、熱交換器32の水分含有量を抑制すると共に、換気装置11からの水漏れを抑制することができる。
【0077】
本実施形態の換気システム10は、第1温度センサ38及び第2温度センサ39を用いて、室内空間S1の湿度が高くなっていることを推定することができる。言い換えれば、換気システム10は、湿度センサを用いずに、室内空間S1の湿度が高くなっていることを推定することができる。換気システム10では、室内空間S1の湿度が高くなっていると推定された場合に、換気装置11の運転モードを第1モードから第3モードに切り替えることができる。したがって、湿度の高い空気が熱交換器32に流入することが抑制され、熱交換器32の水分含有量を抑制すると共に、換気装置11からの水漏れを抑制することができる。
【0078】
本実施形態の換気システム10では、湿度センサを設けなくてよいため、換気装置11からの水漏れを抑制することが可能な換気システム10をより低コストで構築することができる。温度センサのみを備えた既存の換気システムについて、その制御プログラムを本実施形態の換気システム10と同じように書き換えることで、既存の換気装置からの水漏れを抑制することが可能になる。
【0079】
(換気システム10の動作の別実施例について)
換気システム10は、図9に示すフロー図に従って運転することができる。図9に示すフロー図は、図8に示すフロー図に比べて、ステップ(ST103)~(ST107)に代えて、ステップ(ST111)を加えている点が異なっている。以下の説明では、図8に示すフロー図と異なるステップに関連する部分のみを説明する。
【0080】
ステップ(ST102)において、前記算出した値(|K1-K2|)が第2所定値T2より大きい(|K1-K2|>T2)場合(NOの場合)、換気コントローラ36は、処理をステップ(ST101)に戻す。
【0081】
ステップ(ST102)において、前記算出した値(|K1-K2|)が第2所定値T2以下(|K1-K2|≦T2)の場合(YESの場合)、換気コントローラ36はステップ(ST111)を実行する。ステップ(ST111)において、換気コントローラ36は、換気装置11の運転モードを第1モードから第2モード及び第3モードに切り替える。
【0082】
換気システム10では、排気ファン33及び給気ファン34の動作を同時に変更することができ、第2モード及び第3モードを同時に実行することができる。この場合、換気システム10では、給気ファン34の動作態様として、停止、間欠運転、又は弱運転の何れかを選択することができ、かつ、排気ファン33の動作態様として、停止、間欠運転、又は弱運転の何れかを選択することができる。
【0083】
換気システム10では、第2モード及び第3モードを同時に実行した場合、熱交換器32に流入する還気RA及び外気OAの両方の量を、第1モード時に比べて低減することができる。これにより、熱交換器32の水分含有量をより抑制することができ、熱交換器32の水分含有量を確実に抑制することができる。換気システム10では、排気ファン33及び給気ファン34の両方の動作を変更した場合、熱交換器32の水分含有量を抑制すると共に、室内空間S1の室圧が正圧あるいは負圧になるのを抑制することができる。
【0084】
[実施形態の作用効果]
上述した換気システム10は、室内空間S1の換気を行う換気装置11と、室外空間S2の気温である第1温度(第1検出値K1)を検出する第1温度センサ38と、室内空間S1の気温である第2温度(第2検出値K2)を検出する第2温度センサ39と、換気装置11の運転を制御する換気コントローラ36と、を備えている。換気装置11が、熱交換器32と、室内空間S1と室外空間S2とを熱交換器32を経由して連通させる給気通路47及び排気通路46と、室外空間S2の空気を給気通路47を介して室内空間S1に給気する給気ファン34と、室内空間S1の空気を排気通路46を介して室外空間S2に排気する排気ファン33と、を備えている。換気コントローラ36が、給気ファン34及び排気ファン33を運転させる第1モード、及び給気ファン34を停止、間欠運転、若しくは平均給気風量を第1モードよりも低下させた状態で給気ファン34を運転させる第2モード、又は、排気ファン33を停止、間欠運転、若しくは平均排気風量を第1モードよりも低下させた状態で排気ファン33を運転させる第3モード、を実行可能である。第1モードの実行中、第1検出値K1が第1所定値T1以上であって、かつ、第2検出値K2と第1検出値K1との差が第2所定値T2以下である場合に、換気コントローラ36が、第1モードから第2モード又は第3モードに切り替える。
【0085】
以上のような構成では、室内空間S1と室外空間S2の温度に基づき、室内空間S1と室外空間S2の湿度を推測することができる。室内空間S1及び室外空間S2の湿度が高い状態で第1モードを実行すると、室内空間S1及び室外空間S2の双方から湿度の高い空気が熱交換器32に流れ、熱交換器32の水分含有量が許容量を超え、換気装置11からの水漏れが発生する可能性が高くなる。本開示では、第1モードの実行中、第1検出値K1が第1所定値T1以上であって、かつ、第2検出値K2と第1検出値K1との差が第2所定値T2以下である場合に、第1モードから第2モード又は第3モードに切り替えて給気ファン34及び排気ファン33を運転させることで、湿度の高い空気が熱交換器32を通るのを抑制し、換気装置11からの水漏れを抑制することができる。
【0086】
上述した換気システム10では、第1モードの実行中、第1検出値K1が第1所定値T1以上である場合、換気コントローラ36が、第1モードから第2モード又は第3モードに切り替える。
この構成によれば、室外空間S2の空気の湿度が高くなっていない場合に、換気装置11が第1モードから第2モード又は第3モードに不必要に切り替えられるのを抑制することができる。
【0087】
上述した換気システム10では、第1モードの実行中、第1検出値K1が第1所定値T1以上で、かつ、第1検出値K1が低下することによって第2検出値K2と第1検出値K1との差が第2所定値T2以下となった場合、換気コントローラ36が、第1モードから第2モードに切り替える。
このような構成によれば、室外空間S2の温度(第1検出値K1)が低下して第1検出値K1と第2検出値K2との差が第2所定値T2以下となっていた場合には、室外空間S2の湿度が高いと推測することができる。この場合に、換気装置11の運転モードを第2モードに切り替えることで、室外空間S2の湿度の高い空気が、熱交換器32に流れ込むのを抑制することができる。
【0088】
上述した換気システム10では、第1モードの実行中、第1検出値K1が第1所定値T1以上で、かつ、第2検出値K2が上昇することによって第2検出値K2と第1検出値K1との差が第2所定値T2以下となった場合、換気コントローラ36が、第1モードから第3モードに切り替える。
このような構成によれば、室内空間S1の温度(第2検出値K2)が上昇して、第1検出値K1と第2検出値K2との差が第2所定値T2以下となっていた場合には、室内空間S1の湿度が高いと推測することができる。この場合に、換気装置11の運転モードを第3モードに切り替えることで、室内空間S1の湿度の高い空気が、熱交換器32に流れ込むのを抑制することができる。
【0089】
上述した換気システム10では、室内空間S1の換気を行う換気装置11と、室外空間S2の気温である第1温度(第1検出値K1)を検出する第1温度センサ38と、室内空間S1の気温である第2温度(第2検出値K2)を検出する第2温度センサ39と、換気装置11の運転を制御する換気コントローラ36と、を備えている。換気装置11が、熱交換器32と、室内空間S1と室外空間S2とを熱交換器32を経由して連通させる給気通路47及び排気通路46と、室外空間S2の空気を給気通路47を介して室内空間S1に給気する給気ファン34と、室内空間S1の空気を排気通路46を介して室外空間S2に排気する排気ファン33と、を備えている。換気コントローラ36が、給気ファン34及び排気ファン33を運転させる第1モード、及び給気ファン34を停止、間欠運転、若しくは平均給気風量を第1モードよりも低下させた状態で給気ファン34を運転させる第2モード、及び、排気ファン33を停止、間欠運転、若しくは平均排気風量を第1モードよりも低下させた状態で排気ファン33を運転させる第3モード、を実行可能である。換気システム10では、第1モードの実行中、第1検出値K1が第1所定値T1以上で、かつ、第2検出値K2と第1検出値K1との差が第2所定値T2以下である場合に、換気コントローラ36が、第1モードから第2モード及び第3モードに切り替える。
このような構成によれば、第1モードの実行中、第1検出値K1が第1所定値T1以上であって、かつ、第2検出値K2と第1検出値K1との差が第2所定値T2以下である場合に、第1モードから第2モード及び第3モードに切り替えて給気ファン34及び排気ファン33を運転させることで、室内空間S1及び室外空間S2の湿度の高い空気が双方から熱交換器32に流入するのを抑制し、換気装置11からの水漏れを抑制することができる。
【0090】
上述した換気システム10では、第1モードの実行中、第1検出値K1が第1所定値T1以上である場合、換気コントローラ36が、第1モードから第2モード及び第3モードに切り替える。
この構成によれば、室外空間S2の空気の湿度が高くなっていない場合に、換気装置11が第1モードから第2モード及び第3モードに不必要に切り替えられるのを抑制することができる。
【0091】
上述した換気システム10では、第2モード又は第3モードの実行中、第2検出値K2と第1検出値K1との差が、第2所定値T2より大きい値である第3所定値T3を超えた場合、換気コントローラ36が、第2モード又は第3モードから第1モードに切り替える。
このような構成によれば、第1検出値K1と第2検出値K2との差が第3所定値T3を超えた場合に、室内空間S1及び室外空間S2の湿度が高くなくなったと推測することができる。この場合に、換気装置11の運転モードを第1モードに切り替えることで、室内空間S1の換気量を通常の量へ速やかに戻すことができる。
【0092】
上述した換気システム10は、所定時間X以上第2モード又は第3モードの実行が継続された場合、換気コントローラ36が、第2モード又は第3モードから第1モードに切り替える。
このような構成によれば、第2モード及び第3モードの状態が所定時間X以上継続した場合に、換気装置11の運転モードを第1モードに切り替えることができる。これにより、室内空間S1の換気量が低下している状態が所定時間X以上継続されるのを防止することができる。
【0093】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
10 :換気システム
11 :換気装置
32 :熱交換器
33 :排気ファン
34 :給気ファン
36 :換気コントローラ(コントローラ)
38 :第1温度センサ(第1検出部)
39 :第2温度センサ(第2検出部)
46 :排気通路
47 :給気通路
S1 :室内空間(対象空間)
S2 :室外空間(対象空間の外部)
K1 :第1検出値(第1温度)
K2 :第2検出値(第2温度)
T1 :第1所定値
T2 :第2所定値
T3 :第3所定値
X :所定時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9