(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F25B 49/02 20060101AFI20221221BHJP
F25B 43/00 20060101ALI20221221BHJP
F25B 41/20 20210101ALI20221221BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
F25B49/02 540
F25B43/00 L
F25B41/20 D
F25B1/00 396D
(21)【出願番号】P 2021161998
(22)【出願日】2021-09-30
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 久美子
(72)【発明者】
【氏名】井吉 悠太
(72)【発明者】
【氏名】山野井 喜記
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208332770(CN,U)
【文献】米国特許第5586443(US,A)
【文献】特開2020-153557(JP,A)
【文献】中国実用新案第207688454(CN,U)
【文献】中国実用新案第207501503(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00-49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を貯留する冷媒容器(45)を有する冷媒回路(10)と、
第1接続部(97a)と、第2接続部(98a)と、前記冷媒容器と接続される第3接続部(99a)とを有し、前記第3接続部と前記第1接続部が連通する第1状態と、前記第3接続部と前記第2接続部が連通する第2状態とを切り換える流路切換部(96)と、
前記第1接続部または前記第2接続部に接続される第4接続部(91a、92a)を有し、前記冷媒容器内の冷媒圧力が所定条件を満たした場合に前記冷媒を外部に逃がす安全弁(91、92)と、
を備え、
前記安全弁は、少なくとも前記第4接続部がステンレス鋼製であり、
前記流路切換部は、
前記第1接続部の前記第4接続部との電位差が0.35V以下であり、
前記第2接続部の前記第4接続部との電位差が0.35V以下であり、
前記第1接続部に対する前記第4接続部の許容引張応力(前記第4接続部の許容引張応力/前記第1接続部の許容引張応力)が3.0倍以下であり、
前記第2接続部に対する前記第4接続部の許容引張応力(前記第4接続部の許容引張応力/前記第2接続部の許容引張応力)が3.0倍以下である、
冷凍サイクル装置(1)。
【請求項2】
前記流路切換部は、前記第3接続部を有する流路切換弁(99)と、前記第1接続部を有しており前記流路切換弁に接続された第1接続配管(97)と、前記第2接続部を有しており前記流路切換弁に接続された第2接続配管(98)と、を有している、
請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記第1接続部は、銅、銅合金またはステンレス鋼製であり、
前記第2接続部は、銅、銅合金またはステンレス鋼製である、
請求項1または2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記第1接続部および前記第2接続部は、ステンレス鋼製である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
前記安全弁は、前記第4接続部がネジ山(91x)を有するねじ込み式の安全弁であり、
前記流路切換部の前記第1接続部および前記第2接続部は、前記第4接続部に対応するネジ山を有している、
請求項1から4のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項6】
前記冷媒は、二酸化炭素冷媒を含む冷媒である、
請求項1から5のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項7】
前記冷媒容器(45)は、前記冷媒回路における高圧冷媒が流れる箇所に設けられている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍サイクル装置が備える冷媒回路において、冷媒を貯留させるためのレシーバが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開平07-324828号公報)に記載の冷凍サイクル装置では、冷媒回路において高圧レシーバと中間圧レシーバ等が用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、レシーバ等の圧力容器については、従来より、安全弁が接続されることで、装置の信頼性が確保されている。ここで、冷媒容器に接続された安全弁は、経年劣化等の不具合が生じうるおそれもあることから、1年等の所定の期間において安全性を点検する場合がある。この点検の際には、点検対象となる安全弁は冷媒容器から取り外される。そして、問題ないことが点検された安全弁は、再度、冷媒容器に接続される。
【0005】
このような安全弁の取り外しと再接続の作業を繰り返すと、安全弁の接続箇所がダメージを負うことが懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点に係る冷凍サイクル装置は、冷媒回路と、流路切換部と、安全弁と、を備えている。冷媒回路は、冷媒を貯留する冷媒容器を有している。流路切換部は、第1接続部と、第2接続部と、第3接続部と、を有している。第3接続部は冷媒容器と接続される。流路切換部は、第3接続部と第1接続部が連通する第1状態と、第3接続部と第2接続部が連通する第2状態とを切り換える。安全弁は、冷媒容器内の冷媒圧力が所定条件を満たした場合に冷媒を外部に逃がす。安全弁は、第4接続部を有している。第4接続部は、第1接続部または第2接続部に接続される。安全弁は、少なくとも第4接続部がステンレス鋼製である。第1接続部と第4接続部との電位差は、0.35V以下である。第2接続部と第4接続部との電位差は、0.35V以下である。第1接続部に対する第4接続部の許容引張応力(第4接続部の許容引張応力/第1接続部の許容引張応力)が3.0倍以下である。第2接続部に対する第4接続部の許容引張応力(第4接続部の許容引張応力/第2接続部の許容引張応力)が3.0倍以下である。
【0007】
なお、第1接続部と第4接続部との電位差は0.3V以下であり、第2接続部と第4接続部との電位差は0.3V以下であることが好ましく、第1接続部と第4接続部との電位差は0.2V以下であり、第2接続部と第4接続部との電位差は0.2V以下であることがより好ましい。
【0008】
電位差としては、海水中で流速24~40m/sの10~27℃の条件下で測定される値であってよい。
【0009】
なお、第1接続部に対する第4接続部の許容引張応力が2.5倍以下であり、第2接続部に対する第4接続部の許容引張応力が2.5倍以下であることが好ましく、第1接続部に対する第4接続部の許容引張応力が2.0倍以下であり、第2接続部に対する第4接続部の許容引張応力が2.0倍以下であることがより好ましい。
【0010】
第4接続部を有する安全弁は、第4接続部が第1接続部に接続される第1安全弁と、第4接続部が第2接続部に接続される第2安全弁と、を有することが好ましい。
【0011】
この冷凍サイクル装置では、安全弁の第4接続部がステンレス鋼製であるため、安全弁の接続部の強度が確保される。また、第1接続部と第4接続部との電位差および第2接続部と第4接続部との電位差が0.35V以下であるため、安全弁が接続されている際の金属腐食が抑制される。第1接続部に対する第4接続部の許容引張応力および第2接続部に対する第4接続部の許容引張応力が3.0倍以下であるため、安全弁の着脱に第1接続部または第2接続部に生じるダメージが抑制される。
【0012】
第2観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点の冷凍サイクル装置において、流路切換部は、第3接続部を有する流路切換弁と、第1接続部を有しており流路切換弁に接続された第1接続配管と、第2接続部を有しており流路切換弁に接続された第2接続配管と、を有している。
【0013】
この冷凍サイクル装置では、第1接続配管と第2接続配管に対して安全弁を接続することができる。
【0014】
第3観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点または第2観点の冷凍サイクル装置において、第1接続部は、銅、銅合金またはステンレス鋼製である。第2接続部は、銅、銅合金またはステンレス鋼製である。
【0015】
この冷凍サイクル装置では、安全弁の接続対象となる部分の強度を高めることが可能になる。
【0016】
第4観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第3観点のいずれかの冷凍サイクル装置において、第1接続部および第2接続部は、ステンレス鋼製である。
【0017】
ステンレス鋼としては、SUS304、SUS316、SUS303、SUS410、SUS430等のSUSが挙げられる。
【0018】
この冷凍サイクル装置では、安全弁の接続対象となる部分の強度を十分に高めることが可能になる。
【0019】
第5観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第4観点のいずれかの冷凍サイクル装置において、安全弁は、第4接続部がネジ山を有するねじ込み式の安全弁である。流路切換部の第1接続部および第2接続部は、第4接続部に対応するネジ山を有している。
【0020】
この冷凍サイクル装置では、安全弁のネジ山が、第1接続部のネジ溝または第2接続部のネジ溝を潰してしまうことが抑制される。
【0021】
第6観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第5観点のいずれかの冷凍サイクル装置において、冷媒は、二酸化炭素冷媒を含む冷媒である。
【0022】
この冷凍サイクル装置では、二酸化炭素冷媒を用いる場合においても、安全弁の信頼性を高めることができる。
【0023】
第7観点に係る冷凍サイクル装置は、第1観点から第6観点のいずれかの冷凍サイクル装置において、冷媒容器は、冷媒回路における高圧冷媒が流れる箇所に設けられている。
【0024】
この冷凍サイクル装置では、冷凍サイクルにおける高圧冷媒を貯留する箇所における安全弁の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】冷凍サイクル装置の概略機能ブロック構成図である。
【
図3】冷凍サイクル装置の冷房運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
【
図4】冷凍サイクル装置の暖房運転における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
【
図5】冷凍サイクル装置の冷暖同時運転(冷房主体)における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
【
図6】冷凍サイクル装置の冷暖同時運転(暖房主体)における動作(冷媒の流れ)を示す図である。
【
図7】二次側レシーバと流路切換部と第1安全弁と第2安全弁の概略構成図である。
【
図8】第1安全弁を取り外した状態の説明構成図である。
【
図9】他の実施形態Aに係る二次側レシーバと流路切換部と第1安全弁と第2安全弁の概略構成図である。
【
図10】他の実施形態Eに係る二次側レシーバと流路切換部と第1安全弁と第2安全弁の概略構成図である。
【
図11】他の実施形態Fに係る冷凍サイクル装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(1)冷凍サイクル装置の構成
図1は、冷凍サイクル装置1の概略構成図である。
図2は、冷凍サイクル装置1の概略機能ブロック構成図である。
【0027】
冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル運転を行うことによって、ビル等の室内の冷暖房に使用される装置である。
【0028】
冷凍サイクル装置1は、蒸気圧縮式の一次側冷媒回路5aと蒸気圧縮式の二次側冷媒回路10(冷媒回路に相当)とからなる二元冷媒回路を有しており、二元冷凍サイクルを行う。本実施形態においては、一次側冷媒回路5aには、冷媒として、例えば、R32またはR410A等が封入されている。二次側冷媒回路10には、冷媒として、例えば、二酸化炭素が封入されている。一次側冷媒回路5aと二次側冷媒回路10とは、後述するカスケード熱交換器35を介して、熱的に接続されている。
【0029】
冷凍サイクル装置1は、一次側ユニット5と、カスケードユニット2と、複数の分岐ユニット6a、6b、6cと、複数の利用ユニット3a、3b、3cと、が互いに配管を介して接続されて構成されている。一次側ユニット5とカスケードユニット2とは、一次側第1連絡管111および一次側第2連絡管112により接続されている。カスケードユニット2と複数の分岐ユニット6a、6b、6cとは、二次側第2連絡管9と二次側第1連絡管8と二次側第3連絡管7の3つの冷媒連絡管により接続されている。複数の分岐ユニット6a、6b、6cと複数の利用ユニット3a、3b、3cとは、第1接続管15a、15b、15cおよび第2接続管16a、16b、16cにより接続されている。一次側ユニット5は、本実施形態では、1台である。カスケードユニット2は、本実施形態では、1台である。複数の利用ユニット3a、3b、3cは、本実施形態では、第1利用ユニット3aと、第2利用ユニット3bと、第3利用ユニット3cと、の3台である。複数の分岐ユニット6a、6b、6cは、本実施形態では、第1分岐ユニット6aと、第2分岐ユニット6bと、第3分岐ユニット6cと、の3台である。
【0030】
そして、冷凍サイクル装置1では、各利用ユニット3a、3b、3cが個別に冷房運転または暖房運転を行うことが可能になっており、暖房運転を行う利用ユニットから冷房運転を行う利用ユニットに冷媒を送ることで利用ユニット間において熱回収を行うことが可能になるように構成されている。具体的には、本実施形態では、冷房運転と暖房運転とを同時に行う冷房主体運転や暖房主体運転を行うことで、熱回収が行われる。また、冷凍サイクル装置1では、上記の熱回収(冷房主体運転や暖房主体運転)も考慮した複数の利用ユニット3a、3b、3c全体の熱負荷に応じて、カスケードユニット2の熱負荷をバランスさせるように構成されている。
【0031】
(2)一次側冷媒回路
一次側冷媒回路5aは、一次側圧縮機71と、一次側切換機構72と、一次側熱交換器74と、一次側第1膨張弁76と、一次側過冷却熱交換器103と、一次側過冷却回路104と、一次側過冷却膨張弁104aと、第1液閉鎖弁108と、一次側第1連絡管111と、第2液閉鎖弁106と、第2冷媒配管114と、一次側第2膨張弁102と、二次側冷媒回路10と共有しているカスケード熱交換器35と、第1冷媒配管113と、第2ガス閉鎖弁107と、一次側第2連絡管112と、第1ガス閉鎖弁109と、一次側アキュムレータ105と、を有している。この一次側冷媒回路5aは、具体的には、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを有している。
【0032】
一次側圧縮機71は、一次側の冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、圧縮機モータ71aをインバータ制御することで運転容量を可変することが可能なスクロール型等の容積式圧縮機からなる。
【0033】
一次側アキュムレータ105は、一次側切換機構72と一次側圧縮機71の吸入側とを接続する吸入流路の途中に設けられている。
【0034】
カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の蒸発器として機能させる場合には、一次側切換機構72は、一次側圧縮機71の吸入側とカスケード熱交換器35の一次側流路35bのガス側とを接続する第5接続状態となる(
図1の一次側切換機構72の実線を参照)。また、一次側切換機構72は、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の放熱器として機能させる場合には、一次側圧縮機71の吐出側とカスケード熱交換器35の一次側流路35bのガス側とを接続する第6接続状態となる(
図1の一次側切換機構72の破線を参照)。このように、一次側切換機構72は、一次側冷媒回路5a内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機器であり、例えば、四路切換弁からなる。そして、一次側切換機構72の切り換え状態を変更することによって、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の蒸発器または放熱器として機能させることが可能になっている。
【0035】
カスケード熱交換器35は、一次側の冷媒であるR32等の冷媒と、二次側の冷媒である二酸化炭素等の冷媒と、の間で互いに混合させることなく熱交換を行わせるための機器である。カスケード熱交換器35は、例えば、プレート型熱交換器からなる。カスケード熱交換器35は、二次側冷媒回路10に属する二次側流路35aと、一次側冷媒回路5aに属する一次側流路35bと、を有している。二次側流路35aは、そのガス側が第3配管25を介して二次側切換機構22に接続され、その液側が第4配管26を介してカスケード膨張弁36に接続されている。一次側流路35bは、そのガス側が、第1冷媒配管113、第2ガス閉鎖弁107、一次側第2連絡管112、第1ガス閉鎖弁109、一次側切換機構72を介して一次側圧縮機71に接続され、その液側が、一次側第2膨張弁102が設けられた第2冷媒配管114に接続されている。
【0036】
一次側熱交換器74は、一次側の冷媒と屋外空気との熱交換を行うための機器である。一次側熱交換器74のガス側は、一次側切換機構72から延びる配管に接続されている。一次側熱交換器74は、例えば、多数の伝熱管およびフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。
【0037】
一次側第1膨張弁76は、一次側熱交換器74の液側から一次側過冷却熱交換器103まで延びる液配管に設けられている。一次側第1膨張弁76は、一次側冷媒回路5aの液側の部分を流れる一次側の冷媒の流量の調節等を行う、開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0038】
一次側過冷却回路104は、一次側第1膨張弁76と一次側過冷却熱交換器103との間から分岐し、吸入流路のうち一次側切換機構72と一次側アキュムレータ105との間の部分に接続されている。一次側過冷却膨張弁104aは、一次側過冷却回路104のうち、一次側過冷却熱交換器103より上流側に設けられており、一次側の冷媒の流量の調節等を行う、開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0039】
一次側過冷却熱交換器103は、一次側第1膨張弁76から第1液閉鎖弁108に向けて流れる冷媒と、一次側過冷却回路104において一次側過冷却膨張弁104aにおいて減圧された冷媒と、を熱交換させる熱交換器である。
【0040】
一次側第1連絡管111は、第1液閉鎖弁108と第2液閉鎖弁106を接続する配管であり、一次側ユニット5とカスケードユニット2を接続している。
【0041】
一次側第2連絡管112は、第1ガス閉鎖弁109と第2ガス閉鎖弁107を接続する配管であり、一次側ユニット5とカスケードユニット2を接続している。
【0042】
第2冷媒配管114は、カスケード熱交換器35の一次側流路35bの液側から第2液閉鎖弁106まで延びた配管である。
【0043】
一次側第2膨張弁102は、第2冷媒配管114に設けられている。一次側第2膨張弁102は、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れる一次側の冷媒の流量の調節等を行う、開度調節が可能な電動膨張弁である。
【0044】
第1冷媒配管113は、カスケード熱交換器35の一次側流路35bのガス側から第2ガス閉鎖弁107まで延びた配管である。
【0045】
第1ガス閉鎖弁109は、一次側第2連絡管112と一次側切換機構72との間に設けられている。
【0046】
(3)二次側冷媒回路
二次側冷媒回路10は、複数の利用ユニット3a、3b、3cと、複数の分岐ユニット6a、6b、6cと、カスケードユニット2と、が互いに接続されて構成されている。各利用ユニット3a、3b、3cは、対応する分岐ユニット6a、6b、6cと、1対1に接続されている。具体的には、利用ユニット3aと分岐ユニット6aとは第1接続管15aおよび第2接続管16aを介して接続され、利用ユニット3bと分岐ユニット6bとは第1接続管15bおよび第2接続管16bを介して接続され、利用ユニット3cと分岐ユニット6cとは第1接続管15cおよび第2接続管16cを介して接続されている。また、各分岐ユニット6a、6b、6cは、カスケードユニット2と、3つの連絡管である二次側第3連絡管7と二次側第1連絡管8と二次側第2連絡管9とを介して接続されている。具体的には、カスケードユニット2から延び出した二次側第3連絡管7と二次側第1連絡管8と二次側第2連絡管9とは、それぞれ複数に分岐して、各分岐ユニット6a、6b、6cに接続されている。
【0047】
二次側第1連絡管8には、運転状態に応じて、気液二相状態の冷媒とガス状態の冷媒とのいずれかの冷媒が流れる。なお、二次側第1連絡管8には、運転状態に応じて超臨界状態の冷媒が流れる。二次側第2連絡管9には、運転状態に応じて、気液二相状態の冷媒とガス状態の冷媒とのいずれかの冷媒が流れる。二次側第3連絡管7には、運転状態に応じて、気液二相状態の冷媒と液状態の冷媒とのいずれかの冷媒が流れる。なお、二次側第3連絡管7には、運転状態に応じて超臨界状態の冷媒が流れる。
【0048】
二次側冷媒回路10は、カスケード回路12と、分岐回路14a、14b、14cと、利用回路13a、13b、13cと、が互いに接続されて構成されている。
【0049】
カスケード回路12は、主として、二次側圧縮機21と、二次側切換機構22と、第1配管28と、第2配管29と、吸入流路23と、吐出流路24と、第3配管25と、第4配管26と、第5配管27と、カスケード熱交換器35と、カスケード膨張弁36と、第3閉鎖弁31と、第1閉鎖弁32と、第2閉鎖弁33と、二次側アキュムレータ30と、油分離器34と、油戻し回路40と、二次側レシーバ45(冷媒容器に相当)と、流路切換部96と、第1安全弁91と、第2安全弁92と、バイパス回路46と、バイパス膨張弁46aと、二次側過冷却熱交換器47と、二次側過冷却回路48と、二次側過冷却膨張弁48aと、を有している。この二次側冷媒回路10のカスケード回路12は、具体的には、カスケード熱交換器35の二次側流路35aを有している。
【0050】
なお、第1安全弁91と第2安全弁92は、流路切換部96を介して二次側レシーバ45と接続されているが、詳細については後述する。
【0051】
二次側圧縮機21は、二次側の冷媒を圧縮するための機器であり、例えば、圧縮機モータ21aをインバータ制御することで運転容量を可変することが可能なスクロール型等の容積式圧縮機からなる。なお、二次側圧縮機21は、運転時の負荷に応じて、負荷が大きいほど運転容量が大きくなるように制御される。
【0052】
二次側切換機構22は、二次側冷媒回路10の接続状態、特に、カスケード回路12内における冷媒の流路を切り換えることが可能な機構である。本実施形態では、二次側切換機構22は、吐出側連絡部22xと、吸入側連絡部22yと、第1切換弁22aと、第2切換弁22bと、を有している。吐出側連絡部22xには、吐出流路24の二次側圧縮機21側とは反対側の端部が接続されている。吸入側連絡部22yには、吸入流路23の二次側圧縮機21側とは反対側の端部が接続されている。第1切換弁22aと第2切換弁22bとは、二次側圧縮機21の吐出流路24と吸入流路23との間に互いに並列に設けられている。第1切換弁22aは、吐出側連絡部22xの一端部と、吸入側連絡部22yの一端部が接続されている。第2切換弁22bは、吐出側連絡部22xの他端部と、吸入側連絡部22yの他端部が接続されている。本実施形態において、第1切換弁22aおよび第2切換弁22bは、いずれも四路切換弁により構成されている。第1切換弁22aおよび第2切換弁22bは、それぞれ第1接続ポート、第2接続ポート、第3接続ポート、第4接続ポートの4つの接続ポートを有している。本実施形態の第1切換弁22aおよび第2切換弁22bでは、各第4ポートが閉塞されており、二次側冷媒回路10の流路接続されていない接続ポートである。第1切換弁22aは、第1接続ポートが吐出側連絡部22xの一端部と接続され、第2接続ポートがカスケード熱交換器35の二次側流路35aから延びる第3配管25に接続され、第3接続ポートが吸入側連絡部22yの一端部と接続されている。第1切換弁22aは、第1接続ポートと第2接続ポートが接続され、第3接続ポートと第4接続ポートが接続された切換状態と、第3接続ポートと第2接続ポートが接続され、第1接続ポートと第4接続ポートが接続された切換状態と、を切り換える。第2切換弁22bは、第1接続ポートが吐出側連絡部22xの他端部と接続され、第2接続ポートが第1配管28に接続され、第3接続ポートが吸入側連絡部22yの他端部と接続されている。第2切換弁22bは、第1接続ポートと第2接続ポートが接続され、第3接続ポートと第4接続ポートが接続された切換状態と、第3接続ポートと第2接続ポートが接続され、第1接続ポートと第4接続ポートが接続された切換状態と、を切り換える。
【0053】
二次側切換機構22は、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させつつ、二次側圧縮機21から吐出される二次側の冷媒が二次側第1連絡管8に送られることを抑制する場合には、第1切換弁22aにより吐出流路24と第3配管25とが接続され、第2切換弁22bにより第1配管28と吸入流路23とが接続される第1接続状態に切り換えられる。二次側切換機構22の第1接続状態は、後述する冷房運転時に採用される接続状態である。また、二次側切換機構22は、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の蒸発器として機能させる場合には、第2切換弁22bにより吐出流路24と第1配管28とが接続され、第1切換弁22aにより第3配管25と吸入流路23とが接続される第2接続状態に切り換えられる。二次側切換機構22の第2接続状態は、後述する暖房運転時および暖房主体運転時に採用される接続状態である。また、二次側切換機構22は、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させつつ、二次側圧縮機21から吐出される二次側の冷媒を二次側第1連絡管8に送る場合には、第1切換弁22aにより吐出流路24と第3配管25とが接続され、第2切換弁22bにより吐出流路24と第1配管28とが接続される第3接続状態に切り換えられる。二次側切換機構22の第3接続状態は、後述する冷房主体運転時に採用される接続状態である。
【0054】
カスケード熱交換器35は、上述の通り、一次側の冷媒であるR32等の冷媒と、二次側の冷媒である二酸化炭素等の冷媒と、の間で互いに混合させることなく熱交換を行わせるための機器である。なお、カスケード熱交換器35は、二次側冷媒回路10の二次側の冷媒が流れる二次側流路35aと、一次側冷媒回路5aの一次側の冷媒が流れる一次側流路35bと、を有することで、一次側ユニット5とカスケードユニット2とで共有されている。なお、本実施形態では、カスケード熱交換器35は、カスケードユニット2の図示しないカスケードケーシングの内部に配置されている。カスケード熱交換器35の一次側流路35bのガス側は、第1冷媒配管113と第2ガス閉鎖弁107を経て、カスケードケーシング外の一次側第2連絡管112まで延びている。カスケード熱交換器35の一次側流路35bの液側は、一次側第2膨張弁102が設けられた第2冷媒配管114と第2液閉鎖弁106を経て、カスケードケーシング外の一次側第1連絡管111まで延びている。
【0055】
カスケード膨張弁36は、カスケード熱交換器35を流れる二次側の冷媒の流量の調節等を行うための膨張弁である。カスケード膨張弁36は、カスケード熱交換器35の液側に接続された開度調節が可能な電動膨張弁である。カスケード膨張弁36は、第4配管26に設けられている。
【0056】
第3閉鎖弁31、第1閉鎖弁32および第2閉鎖弁33は、外部の機器・配管(具体的には、連絡管7、8および9)との接続口に設けられた弁である。具体的には、第3閉鎖弁31は、カスケードユニット2から引き出される二次側第3連絡管7に接続されている。第1閉鎖弁32は、カスケードユニット2から引き出される二次側第1連絡管8に接続されている。第2閉鎖弁33は、カスケードユニット2から引き出される二次側第2連絡管9に接続されている。
【0057】
第1配管28は、第1閉鎖弁32と二次側切換機構22とを接続する冷媒配管である。具体的には、第1配管28は、第1閉鎖弁32と、二次側切換機構22のうちの第2切換弁22bの第2接続ポートと、を接続している。
【0058】
吸入流路23は、二次側切換機構22と二次側圧縮機21の吸入側とを連絡する流路である。具体的には、吸入流路23は、二次側切換機構22のうちの吸入側連絡部22yと、二次側圧縮機21の吸入側と、を接続している。吸入流路23の途中には、二次側アキュムレータ30が設けられている。
【0059】
第2配管29は、第2閉鎖弁33と吸入流路23の途中とを接続する冷媒配管である。なお、本実施形態では、第2配管29は、吸入流路23のうち、二次側切換機構22における吸入側連絡部22yと、二次側アキュムレータ30と、の間の部分である接続箇所において、吸入流路23に接続されている。
【0060】
吐出流路24は、二次側圧縮機21の吐出側と二次側切換機構22とを接続する冷媒配管である。具体的には、吐出流路24は、二次側圧縮機21の吐出側と、二次側切換機構22のうちの吐出側連絡部22xと、を接続している。
【0061】
第3配管25は、二次側切換機構22とカスケード熱交換器35のガス側とを接続する冷媒配管である。具体的には、第3配管25は、二次側切換機構22のうちの第1切換弁22aの第2接続ポートと、カスケード熱交換器35における二次側流路35aのガス側端部とを接続している。
【0062】
第4配管26は、カスケード熱交換器35の液側(ガス側とは反対側、二次側切換機構22が設けられている側とは反対側)と、二次側レシーバ45と、を接続する冷媒配管である。具体的には、第4配管26は、カスケード熱交換器35における二次側流路35aの液側端部(ガス側とは反対側の端部)と、二次側レシーバ45とを接続している。
【0063】
二次側レシーバ45は、二次側冷媒回路10における余剰冷媒を貯留する冷媒容器である。二次側レシーバ45からは、第4配管26と、第5配管27と、バイパス回路46と、が延びだしている。
【0064】
バイパス回路46は、二次側レシーバ45内部の上方の領域である気相領域と、吸入流路23と、を接続する冷媒配管である。具体的には、バイパス回路46は、吸入流路23のうち二次側切換機構22と二次側アキュムレータ30との間に接続されている。バイパス回路46には、バイパス膨張弁46aが設けられている。バイパス膨張弁46aは、開度調節により二次側レシーバ45内から二次側圧縮機21の吸入側に導く冷媒の量を調節可能な電動膨張弁である。
【0065】
第5配管27は、二次側レシーバ45と第3閉鎖弁31とを接続する冷媒配管である。
【0066】
二次側過冷却回路48は、第5配管27の一部と、吸入流路23と、を接続する冷媒配管である。具体的には、二次側過冷却回路48は、吸入流路23のうち二次側切換機構22と二次側アキュムレータ30との間に接続されている。なお、本実施形態においては、二次側過冷却回路48は、二次側レシーバ45と二次側過冷却熱交換器47との間から分岐するように延びている。
【0067】
二次側過冷却熱交換器47は、第5配管27に属する流路を流れる冷媒と、二次側過冷却回路48に属する流路を流れる冷媒と、で熱交換を行わせる熱交換器である。本実施形態においては、第5配管27のうち、二次側過冷却回路48が分岐している箇所と、第3閉鎖弁31と、の間に設けられている。二次側過冷却膨張弁48aは、二次側過冷却回路48における第5配管27からの分岐箇所と、二次側過冷却熱交換器47と、の間に設けられている。二次側過冷却膨張弁48aは、二次側過冷却熱交換器47に対して減圧された冷媒を供給するものであり、開度調節可能な電動膨張弁である。
【0068】
二次側アキュムレータ30は、二次側の冷媒を溜めることが可能な容器であり、二次側圧縮機21の吸入側に設けられている。
【0069】
油分離器34は、吐出流路24の途中に設けられている。油分離器34は、二次側の冷媒に伴って二次側圧縮機21から吐出された冷凍機油を二次側の冷媒から分離して、二次側圧縮機21に戻すための機器である。
【0070】
油戻し回路40は、油分離器34と吸入流路23とを接続するように設けられている。油戻し回路40は、油分離器34から延び出た流路が、吸入流路23のうち二次側アキュムレータ30と二次側圧縮機21の吸入側との間の部分に合流するように延びた油戻し流路41を有している。油戻し流路41の途中には、油戻しキャピラリーチューブ42と油戻し開閉弁44とが設けられている。油戻し開閉弁44が開状態に制御されることで、油分離器34において分離された冷凍機油は、油戻し流路41の油戻しキャピラリーチューブ42を通過して、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。ここで、本実施形態では、油戻し開閉弁44は、二次側冷媒回路10において二次側圧縮機21が運転状態の場合には、開状態を所定時間維持し閉状態を所定時間維持することを繰り返すことにより、油戻し回路40を通じた冷凍機油の返油量が制御される。なお、油戻し開閉弁44は、本実施形態では開閉制御される電磁弁であるが、開度調節が可能な電動膨張弁としつつ油戻しキャピラリーチューブ42を省略した構成としてもよい。
【0071】
以下、利用回路13a、13b、13cについて説明するが、利用回路13b、13cは利用回路13aと同様の構成であるため、利用回路13b、13cについては、利用回路13aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付すものとして各部の説明を省略する。
【0072】
利用回路13aは、主として、利用側熱交換器52aと、第1利用配管57aと、第2利用配管56aと、利用側膨張弁51aと、を有している。
【0073】
利用側熱交換器52aは、冷媒と室内空気との熱交換を行うための機器であり、例えば、多数の伝熱管およびフィンによって構成されたフィン・アンド・チューブ型熱交換器からなる。なお、複数の利用側熱交換器52a、52b、52cは、二次側切換機構22と吸入流路23とカスケード熱交換器35に対して互いに並列に接続されている。
【0074】
第2利用配管56aは、その一端が第1利用ユニット3aの利用側熱交換器52aの液側(ガス側とは反対側)に接続されている。第2利用配管56aの他端は、第2接続管16aに接続されている。第2利用配管56aの途中には、上述した利用側膨張弁51aが設けられている。
【0075】
利用側膨張弁51aは、利用側熱交換器52aを流れる冷媒の流量の調節等を行う、開度調節が可能な電動膨張弁である。利用側膨張弁51aは、第2利用配管56aに設けられている。
【0076】
第1利用配管57aは、その一端が第1利用ユニット3aの利用側熱交換器52aのガス側に接続されている。本実施形態では、第1利用配管57aは、利用側熱交換器52aの利用側膨張弁51a側とは反対側に接続されている。第1利用配管57aは、その他端が、第1接続管15aに接続されている。
【0077】
以下、分岐回路14a、14b、14cについて説明するが、分岐回路14b、14cは分岐回路14aと同様の構成であるため、分岐回路14b、14cについては、分岐回路14aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付すものとして各部の説明を省略する。
【0078】
分岐回路14aは、主として、合流配管62aと、第1分岐配管63aと、第2分岐配管64aと、第1調節弁66aと、第2調節弁67aと、バイパス管69aと、逆止弁68aと、第3分岐配管61aと、を有している。
【0079】
合流配管62aは、その一端が第1接続管15aに接続されている。合流配管62aの他端には、第1分岐配管63aと第2分岐配管64aが分岐して接続されている。
【0080】
第1分岐配管63aは、合流配管62側とは反対側が、二次側第1連絡管8に接続されている。第1分岐配管63aには、開閉可能な第1調節弁66aが設けられている。
【0081】
第2分岐配管64aは、合流配管62側とは反対側が、二次側第2連絡管9に接続されている。第2分岐配管64aには、開閉可能な第2調節弁67aが設けられている。
【0082】
バイパス管69aは、第1分岐配管63aのうちの第1調節弁66aよりも二次側第1連絡管8側の部分と、第2分岐配管64aのうちの第2調節弁67aよりも二次側第2連絡管9側の部分と、を接続する冷媒配管である。このバイパス管69aの途中には、逆止弁68aが設けられている。逆止弁68aは、第2分岐配管64a側から第1分岐配管63a側に向かう冷媒流れのみを許容し、第1分岐配管63a側から第2分岐配管64a側に向かう冷媒流れは許容しない。
【0083】
第3分岐配管61aは、その一端が第2接続管16aに接続されている。第3分岐配管61aは、その他端が二次側第3連絡管7に接続されている。
【0084】
そして、第1分岐ユニット6aは、後述の冷房運転を行う際には、第1調節弁66aを閉状態とし、第2調節弁67aを開状態にすることで、以下のように機能することができる。第1分岐ユニット6aは、二次側第3連絡管7を通じて第3分岐配管61aに流入する冷媒を、第2接続管16aに送る。なお、第2接続管16aを通じて第1利用ユニット3aの第2利用配管56aを流れる冷媒は、利用側膨張弁51aを通じて、第1利用ユニット3aの利用側熱交換器52aに送られる。そして、利用側熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって蒸発した後、第1利用配管57aを介して、第1接続管15aを流れる。第1接続管15aを流れた冷媒は、第1分岐ユニット6aの合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第1分岐配管63a側には流れず、第2分岐配管64a側に流れる。第2分岐配管64aを流れる冷媒は、第2調節弁67aを通過する。第2調節弁67aを通過した冷媒の一部は、二次側第2連絡管9に送られる。また、第2調節弁67aを通過した冷媒の残りの一部は、逆止弁68aが設けられたバイパス管69aに分岐するように流れ、第1分岐配管63aの一部を通過した後、二次側第1連絡管8に送られる。これにより、利用側熱交換器52aで蒸発した二次側のガス状態の冷媒を二次側圧縮機21に送る際の合計の流路断面積を大きくすることができるため、圧力損失を低減させることができる。
【0085】
また、第1分岐ユニット6aは、後述の冷房主体運転を行う際と暖房主体運転を行う際に、第1利用ユニット3aにおいて室内を冷房する場合には、第1調節弁66aを閉状態にしつつ第2調節弁67aを開状態にすることで、以下のように機能することができる。第1分岐ユニット6aは、二次側第3連絡管7を通じて第3分岐配管61aに流入する冷媒を、第2接続管16aに送る。なお、第2接続管16aを通じて第1利用ユニット3aの第2利用配管56aを流れる冷媒は、利用側膨張弁51aを通じて、第1利用ユニット3aの利用側熱交換器52aに送られる。そして、利用側熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって蒸発した後、第1利用配管57aを介して、第1接続管15aを流れる。第1接続管15aを流れた冷媒は、第1分岐ユニット6aの合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第2分岐配管64aに流れて第2調節弁67aを通過した後、二次側第2連絡管9に送られる。
【0086】
また、第1分岐ユニット6aは、後述の暖房運転を行う際には、第2調節弁67aを閉状態にし、かつ、第1調節弁66aを開状態にすることで、次のように機能することができる。第1分岐ユニット6aでは、二次側第1連絡管8を通じて第1分岐配管63aに流入する冷媒が、第1調節弁66aを通過して、合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第1接続管15aを介して、利用ユニット3aの第1利用配管57aを流れて、利用側熱交換器52aに送られる。そして、利用側熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって放熱した後、第2利用配管56aに設けられた利用側膨張弁51aを通過する。第2利用配管56aを通過した冷媒は、第2接続管16aを介して、第1分岐ユニット6aの第3分岐配管61aを流れた後、二次側第3連絡管7に送られる。
【0087】
また、第1分岐ユニット6aは、後述の冷房主体運転を行う際と暖房主体運転を行う際に、第1利用ユニット3aにおいて室内を暖房する場合には、第2調節弁67aを閉状態にし、かつ、第1調節弁66aを開状態にすることで、次のように機能することができる。第1分岐ユニット6aでは、二次側第1連絡管8を通じて第1分岐配管63aに流入する冷媒が、第1調節弁66aを通過して、合流配管62aに送られる。合流配管62aを流れた冷媒は、第1接続管15aを介して、利用ユニット3aの第1利用配管57aを流れて、利用側熱交換器52aに送られる。そして、利用側熱交換器52aに送られた冷媒は、室内空気との熱交換によって放熱した後、第2利用配管56aに設けられた利用側膨張弁51aを通過する。第2利用配管56aを通過した冷媒は、第2接続管16aを介して、第1分岐ユニット6aの第3分岐配管61aを流れた後、二次側第3連絡管7に送られる。
【0088】
このような機能は、第1分岐ユニット6aだけでなく、第2分岐ユニット6b、第3分岐ユニット6cも同様に有している。このため、第1分岐ユニット6a、第2分岐ユニット6b、第3分岐ユニット6cは、ぞれぞれ、各利用側熱交換器52a、52b、52cについて、冷媒の蒸発器として機能させるか、または、冷媒の放熱器として機能させるか、を個別に切り換えることが可能になっている。
【0089】
(4)一次側ユニット
一次側ユニット5は、利用ユニット3a、3b、3cや分岐ユニット6a、6b、6cが配置された空間とは異なる空間や屋上等に設置されている。
【0090】
一次側ユニット5は、上述の一次側冷媒回路5aの一部と、一次側ファン75と、各種センサと、一次側制御部70と、図示しない一次側ケーシングと、を有している。
【0091】
一次側ユニット5は、一次側冷媒回路5aの一部として、一次側圧縮機71と、一次側切換機構72と、一次側熱交換器74と、一次側第1膨張弁76と、一次側過冷却熱交換器103と、一次側過冷却回路104と、一次側過冷却膨張弁104aと、第1液閉鎖弁108と、第1ガス閉鎖弁109と、一次側アキュムレータ105と、を一次側ケーシング内に有している。
【0092】
一次側ファン75は、一次側ユニット5内に設けられており、屋外空気を一次側熱交換器74に導いて、一次側熱交換器74を流れる一次側の冷媒と熱交換させた後に、屋外に排出させる、という空気流れを生じさせる。一次側ファン75は、一次側ファンモータ75aによって駆動される。
【0093】
また、一次側ユニット5には、各種のセンサが設けられている。具体的には、一次側熱交換器74を通過する前の屋外空気の温度を検出する外気温度センサ77と、一次側圧縮機71から吐出された一次側の冷媒の圧力を検出する一次側吐出圧力センサ78と、一次側圧縮機71に吸入される一次側の冷媒の圧力を検出する一次側吸入圧力センサ79と、一次側圧縮機71に吸入される一次側の冷媒の温度を検出する一次側吸入温度センサ81と、一次側熱交換器74を流れる冷媒の温度を検出する一次側熱交温度センサ82と、が設けられている。
【0094】
一次側制御部70は、一次側ユニット5内に設けられている各部71(71a)、72、75(75a)、76、104aの動作を制御する。そして、一次側制御部70は、一次側ユニット5の制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行うことや、カスケードユニット2のカスケード側制御部20や分岐ユニット制御部60a、60b、60cや利用側制御部50a、50b、50cとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0095】
(5)カスケードユニット
カスケードユニット2は、利用ユニット3a、3b、3cや分岐ユニット6a、6b、6cが配置された空間とは異なる空間や屋上等に設置されている。
【0096】
カスケードユニット2は、連絡管7、8、9を介して分岐ユニット6a、6b、6cに接続されており、二次側冷媒回路10の一部を構成している。また、カスケードユニット2は、一次側第1連絡管111および一次側第2連絡管112を介して、一次側ユニット5と接続されており、一次側冷媒回路5aの一部を構成している。
【0097】
カスケードユニット2は、主として、上述したカスケード回路12と、各種センサと、カスケード側制御部20と、一次側冷媒回路5aの一部を構成する第2液閉鎖弁106、第2冷媒配管114、一次側第2膨張弁102、第1冷媒配管113、および、第2ガス閉鎖弁107と、図示しないカスケードケーシング等と、を有している。
【0098】
カスケードユニット2には、二次側圧縮機21の吸入側における二次側の冷媒の圧力を検出する二次側吸入圧力センサ37と、二次側圧縮機21の吐出側における二次側の冷媒の圧力を検出する二次側吐出圧力センサ38と、二次側圧縮機21の吐出側における二次側の冷媒の温度を検出する二次側吐出温度センサ39と、二次側圧縮機21の吸入側における二次側の冷媒の温度を検出する二次側吸入温度センサ88と、カスケード熱交換器35の二次側流路35aとカスケード膨張弁36との間を流れる二次側の冷媒の温度を検出する二次側カスケード温度センサ83と、二次側レシーバ45から二次側過冷却熱交換器47との間を流れる二次側の冷媒の温度を検出するレシーバ出口温度センサ84と、バイパス回路46におけるバイパス膨張弁46aの下流側を流れる二次側の冷媒の温度を検出するバイパス回路温度センサ85と、二次側過冷却熱交換器47と第3閉鎖弁31との間を流れる二次側の冷媒の温度を検出する過冷却出口温度センサ86と、二次側過冷却回路48における二次側過冷却熱交換器47の出口を流れる二次側の冷媒の温度を検出する過冷却回路温度センサ87と、が設けられている。
【0099】
カスケード側制御部20は、カスケードユニット2のカスケードケーシング内部に設けられた各部21(21a)、22、36、44、46a、48a、102の動作を制御する。カスケード側制御部20は、カスケードユニット2の制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、一次側ユニット5の一次側制御部70や利用ユニット3a、3b、3cの利用側制御部50a、50b、50cや分岐ユニット制御部60a、60b、60cとの間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0100】
なお、このように、カスケード側制御部20は、二次側冷媒回路10のカスケード回路12を構成する各部だけでなく、一次側冷媒回路5aの一部を構成する一次側第2膨張弁102の制御を行うことができる。このため、カスケード側制御部20は、自身が制御するカスケード回路12の状況に基づいて、自ら一次側第2膨張弁102の弁開度を制御することにより、カスケード回路12の状況を所望の状況に近づけることができる。具体的には、カスケード回路12におけるカスケード熱交換器35の二次側流路35aを流れる二次側の冷媒が、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れる一次側の冷媒から受ける熱量または当該一次側の冷媒に与える熱量を制御することが可能になる。
【0101】
(6)利用ユニット
利用ユニット3a、3b、3cは、ビル等の室内の天井に埋め込みや吊り下げ等、または、室内の壁面に壁掛け等により設置されている。
【0102】
利用ユニット3a、3b、3cは、連絡管7、8、9を介してカスケードユニット2に接続されている。
【0103】
利用ユニット3a、3b、3cは、二次側冷媒回路10の一部を構成する利用回路13a、13b、13cを有している。
【0104】
以下、利用ユニット3a、3b、3cの構成について説明する。なお、第2利用ユニット3bおよび第3利用ユニット3cは、第1利用ユニット3aと同様の構成であるため、ここでは、第1利用ユニット3aの構成のみ説明し、第2利用ユニット3bおよび第3利用ユニット3cの構成については、それぞれ、第1利用ユニット3aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0105】
第1利用ユニット3aは、主として、上述の利用回路13aと、室内ファン53aと、利用側制御部50aと、各種センサと、を有している。なお、室内ファン53aは、室内ファンモータ54aを有している。
【0106】
室内ファン53aは、ユニット内に室内空気を吸入して、利用側熱交換器52aを流れる冷媒と熱交換させた後に、供給空気として室内に供給する空気流れを生じさせる。室内ファン53aは、室内ファンモータ54aによって駆動される。
【0107】
利用ユニット3aには、利用側熱交換器52aの液側における冷媒の温度を検出する液側温度センサ58aが設けられている。また、利用ユニット3aには、室内から取り込まれた空気であって、利用側熱交換器52aを通過する前の空気の温度である室内温度を検出する室内温度センサ55aが設けられている。
【0108】
利用側制御部50aは、利用ユニット3aを構成する各部51a、53a(54a)の動作を制御する。そして、利用側制御部50aは、利用ユニット3aの制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行うことや、カスケードユニット2のカスケード側制御部20や分岐ユニット制御部60a、60b、60cや一次側ユニット5の一次側制御部70との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0109】
なお、第2利用ユニット3bは、利用回路13b、室内ファン53b、利用側制御部50b、室内ファンモータ54bを有している。第3利用ユニット3cは、利用回路13c、室内ファン53c、利用側制御部50c、室内ファンモータ54cを有している。
【0110】
(7)分岐ユニット
分岐ユニット6a、6b、6cは、ビル等の室内の天井裏の空間等に設置されている。
【0111】
分岐ユニット6a、6b、6cは、利用ユニット3a、3b、3cと1対1に対応しつつ接続されている。分岐ユニット6a、6b、6cは、連絡管7、8、9を介してカスケードユニット2に接続されている。
【0112】
次に、分岐ユニット6a、6b、6cの構成について説明する。なお、第2分岐ユニット6bおよび第3分岐ユニット6cは、第1分岐ユニット6aと同様の構成であるため、ここでは、第1分岐ユニット6aの構成のみ説明し、第2分岐ユニット6bおよび第3分岐ユニット6cの構成については、それぞれ、第1分岐ユニット6aの各部を示す符号の添字「a」の代わりに、「b」または「c」の添字を付して、各部の説明を省略する。
【0113】
第1分岐ユニット6aは、主として、上述の分岐回路14aと、分岐ユニット制御部60aと、を有している。
【0114】
分岐ユニット制御部60aは、分岐ユニット6aを構成する各部66a、67aの動作を制御する。そして、分岐ユニット制御部60aは、分岐ユニット6aの制御を行うために設けられたCPUやマイクロコンピュータ等のプロセッサとメモリを有しており、リモコン(図示せず)との間で制御信号等のやりとりを行うことや、カスケードユニット2のカスケード側制御部20や利用ユニット3a、3b、3cや一次側ユニット5の一次側制御部70との間で制御信号等のやりとりを行うことができるようになっている。
【0115】
なお、第2分岐ユニット6bは、分岐回路14bと分岐ユニット制御部60bを有している。第3分岐ユニット6cは、分岐回路14cと分岐ユニット制御部60cを有している。
【0116】
(8)制御部
冷凍サイクル装置1では、上述のカスケード側制御部20、利用側制御部50a、50b、50c、分岐ユニット制御部60a、60b、60c、一次側制御部70が、有線または無線を介して相互に通信可能に接続されることで、制御部80を構成している。したがって、この制御部80は、各種センサ37、38、39、83、84、85、86、87、88、77、78、79、81、82、58a、58b、58c等の検出情報および図示しないリモコン等から受け付けた指示情報等に基づいて、各部21(21a)、22、36、44、46a、48a、51a、51b、51c、53a、53b、53c(54a、54b、54c)、66a、66b、66c、67a、67b、67c、71(71a)、72、75(75a)、76、104aの動作を制御する。
【0117】
(9)冷凍サイクル装置の動作
次に、冷凍サイクル装置1の動作について、
図3~
図6を用いて説明する。
【0118】
冷凍サイクル装置1の冷凍サイクル運転は、主として、冷房運転と、暖房運転と、冷房主体運転と、暖房主体運転と、に分けることができる。
【0119】
ここで、冷房運転は、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転を行う利用ユニットだけが存在し、利用ユニット全体の蒸発負荷に対してカスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0120】
暖房運転は、利用側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する運転を行う利用ユニットだけが存在し、利用ユニット全体の放熱負荷に対してカスケード熱交換器35を二次側の冷媒の蒸発器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0121】
冷房主体運転は、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転を行う利用ユニットと、利用側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する運転を行う利用ユニットと、を混在させる運転である。冷房主体運転は、利用ユニット全体の熱負荷のうち蒸発負荷が主体である場合に、この利用ユニット全体の蒸発負荷を処理するためにカスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0122】
暖房主体運転は、利用側熱交換器が冷媒の蒸発器として機能する運転を行う利用ユニットと、利用側熱交換器が冷媒の放熱器として機能する運転を行う利用ユニットと、を混在させる運転である。暖房主体運転は、利用ユニット全体の熱負荷のうち放熱負荷が主体である場合に、この利用ユニット全体の放熱負荷を処理するためにカスケード熱交換器35を二次側の冷媒の蒸発器として機能させる冷凍サイクル運転である。
【0123】
なお、これらの冷凍サイクル運転を含む冷凍サイクル装置1の動作は、上記の制御部80によって行われる。
【0124】
(9-1)冷房運転
冷房運転では、例えば、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cの全てが冷媒の蒸発器として機能する運転を行い、カスケード熱交換器35が二次側の冷媒の放熱器として機能する運転を行う。この冷房運転では、冷凍サイクル装置1の一次側冷媒回路5aおよび二次側冷媒回路10は、
図3に示すように構成される。なお、
図3の一次側冷媒回路5aに付された矢印および二次側冷媒回路10に付された矢印は、冷房運転時の冷媒の流れを示している。
【0125】
具体的には、一次側ユニット5においては、一次側切換機構72を第5接続状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。なお、一次側切換機構72の第5接続状態は、
図3の一次側切換機構72において実線で示す接続状態である。これにより、一次側ユニット5では、一次側圧縮機71から吐出された一次側の冷媒は、一次側切換機構72を通過して、一次側熱交換器74において一次側ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで凝縮する。一次側熱交換器74において凝縮した一次側の冷媒は、全開状態に制御された一次側第1膨張弁76を通過し、一部の冷媒が、一次側過冷却熱交換器103を通じて第1液閉鎖弁108に向けて流れ、他の一部の冷媒が、一次側過冷却回路104に分岐して流れる。一次側過冷却回路104を流れる冷媒は、一次側過冷却膨張弁104aを通過する際に減圧される。一次側第1膨張弁76から第1液閉鎖弁108に向けて流れる冷媒は、一次側過冷却熱交換器103において、一次側過冷却膨張弁104aで減圧されて一次側過冷却回路104を流れる冷媒との間で熱交換を行い、過冷却状態となるまで冷却される。過冷却状態となった冷媒は、一次側第1連絡管111、第2液閉鎖弁106、第2冷媒配管114の順に流れた冷媒は、一次側第2膨張弁102を通過する際に減圧される。ここで、一次側第2膨張弁102は、一次側圧縮機71に吸入される一次側の冷媒の過熱度が所定条件を満たすように弁解度が制御される。一次側第2膨張弁102で減圧された一次側の冷媒は、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れる際に、二次側流路35aを流れる二次側の冷媒と熱交換することで蒸発し、第1冷媒配管113を通じて第2ガス閉鎖弁107に向けて流れる。第2ガス閉鎖弁107を通過した冷媒は、一次側第2連絡管112と第1ガス閉鎖弁109を通過した後、一次側切換機構72に至る。一次側切換機構72を通過した冷媒は、一次側過冷却回路104を流れた冷媒と合流した後、一次側アキュムレータ105を介して、一次側圧縮機71に吸入される。
【0126】
また、カスケードユニット2においては、二次側切換機構22を第1接続状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させるようになっている。なお、二次側切換機構22の第1接続状態では、第1切換弁22aにより吐出流路24と第3配管25とが接続され、第2切換弁22bにより第1配管28と吸入流路23とが接続される。第1~第3利用ユニット3a、3b、3cにおいては、第2調節弁67a、67b、67cは、開状態に制御される。これにより、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cの全てが、冷媒の蒸発器として機能する。また、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cの全てとカスケードユニット2の二次側圧縮機21の吸入側とは、第1利用配管57a、57b、57c、第1接続管15a、15b、15c、合流配管62a、62b、62c、第2分岐配管64a、64b、64c、バイパス管69a、69b、69c、第1分岐配管63a、63b、63cの一部、二次側第1連絡管8および二次側第2連絡管9を介して接続された状態になっている。また、二次側過冷却膨張弁48aは、二次側過冷却熱交換器47の出口を二次側第3連絡管7に向けて流れる二次側の冷媒の過冷却度が所定条件を満たすように開度制御されている。バイパス膨張弁46aは、閉状態に制御される。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。
【0127】
なお、冷房運転では、二次側冷媒回路10では、例えば、利用側熱交換器52a、52b、52cにおける二次側の冷媒の蒸発温度が所定の二次側蒸発目標温度となるように二次側圧縮機21の周波数が制御されることにより、能力制御が行われる。カスケード膨張弁36は、カスケード熱交換器35を流れる二次側の冷媒が臨界圧力以下となるように開度調節される。また、一次側冷媒回路5aでは、例えば、カスケード熱交換器35の一次側流路35bにおける一次側の冷媒の蒸発温度が所定の一次側蒸発目標温度となるように一次側圧縮機71の周波数が制御されることにより、能力制御が行われる。このように、冷房運転では、カスケード膨張弁36の弁開度を上げる制御と、一次側冷媒回路5aにおける一次側圧縮機71の周波数を上げる制御と、のいずれかまたは両方の制御を実行することで、カスケード熱交換器35を流れる二酸化炭素冷媒が臨界点を超えないように制御される。
【0128】
このような二次側冷媒回路10において、二次側圧縮機21で圧縮され吐出された二次側の高圧冷媒は、二次側切換機構22の第1切換弁22aを通じて、カスケード熱交換器35の二次側流路35aに送られる。カスケード熱交換器35では、二次側流路35aを流れる二次側の高圧冷媒は放熱し、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れる一次側の冷媒は蒸発する。カスケード熱交換器35において放熱した二次側の冷媒は、開度調節されているカスケード膨張弁36を通過した後、二次側レシーバ45に流入し、二次側レシーバ45から流出した冷媒の一部は、二次側過冷却回路48に分岐して流れ、二次側過冷却膨張弁48aにおいて減圧された後に、吸入流路23に合流する。二次側過冷却熱交換器47では、二次側レシーバ45から流出した冷媒の他の一部が、二次側過冷却回路48を流れる冷媒によって冷却された後、第3閉鎖弁31を通じて、二次側第3連絡管7に送られる。
【0129】
そして、二次側第3連絡管7に送られた冷媒は、3つに分岐されて、各第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cの第3分岐配管61a、61b、61cを通過する。その後、各第2接続管16a、16b、16cを流れた冷媒は、各第1~第3利用ユニット3a、3b、3cの第2利用配管56a、56b、56cに送られる。第2利用配管56a、56b、56cに送られた冷媒は、利用ユニット3a、3b、3cの利用側膨張弁51a、51b、51cに送られる。
【0130】
そして、開度調節されている利用側膨張弁51a、51b、51cを通過した冷媒は、利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて、室内ファン53a、53b、53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52a、52b、52cを流れる冷媒は、蒸発し、低圧のガス冷媒となる。室内空気は、冷却されて室内に供給される。これにより、室内空間が冷房される。利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、第1利用配管57a、57b、57cを流れ、第1接続管15a、15b、15cを流れた後、第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cの合流配管62a、62b、62cに送られる。
【0131】
そして、合流配管62a、62b、62cに送られた低圧のガス冷媒は、第2分岐配管64a、64b、64cと、に流れる。第2分岐配管64a、64b、64cにおいて第2調節弁67a、67b、67cを通過した冷媒は、一部が、二次側第2連絡管9に送られる。第2調節弁67a、67b、67cを通過した残りの一部の冷媒は、バイパス管69a、69b、69cを通過して、第1分岐配管63a、63b、63cの一部を流れた後、二次側第1連絡管8に送られる。
【0132】
そして、二次側第1連絡管8および二次側第2連絡管9に送られた低圧のガス冷媒は、第1閉鎖弁32、第2閉鎖弁33、第1配管28、第2配管29、二次側切換機構22の第2切換弁22b、吸入流路23および二次側アキュムレータ30を通じて、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。
【0133】
このようにして、冷房運転における動作が行われる。
【0134】
(9-2)暖房運転
暖房運転では、例えば、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cの全てが冷媒の放熱器として機能する運転を行う。また、暖房運転では、カスケード熱交換器35が二次側の冷媒の蒸発器として機能する運転を行う。暖房運転では、冷凍サイクル装置1の一次側冷媒回路5aおよび二次側冷媒回路10は、
図4に示すように構成される。
図4の一次側冷媒回路5aに付された矢印および二次側冷媒回路10に付された矢印は、暖房運転時の冷媒の流れを示している。
【0135】
具体的には、一次側ユニット5においては、一次側切換機構72を第6運転状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の放熱器として機能させるようになっている。一次側切換機構72の第6運転状態は、
図4の一次側切換機構72において破線で示す接続状態である。これにより、一次側ユニット5では、一次側圧縮機71から吐出され、一次側切換機構72を通過して、第1ガス閉鎖弁109を通過した一次側の冷媒は、一次側第2連絡管112と第2ガス閉鎖弁107を通過して、カスケード熱交換器35の一次側流路35bに送られる。カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れる冷媒は、二次側流路35aを流れる二次側の冷媒と熱交換することで凝縮する。カスケード熱交換器35において凝縮した一次側の冷媒は、第2冷媒配管114を流れる際に、全開状態に制御された一次側第2膨張弁102を通過する。一次側第2膨張弁102を通過した冷媒は、第2液閉鎖弁106、一次側第1連絡管111、第1液閉鎖弁108、一次側過冷却熱交換器103の順に流れて、一次側第1膨張弁76において減圧される。なお、暖房運転時には、一次側過冷却膨張弁104aは閉状態に制御されることで、一次側過冷却回路104には冷媒は流れないため、一次側過冷却熱交換器103における熱交換も行われない。なお、一次側第1膨張弁76は、例えば、一次側圧縮機71に吸入される冷媒の過熱度が所定条件を満たすように弁開度が制御される。一次側第1膨張弁76において減圧された冷媒は、一次側熱交換器74において一次側ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで蒸発し、一次側切換機構72、一次側アキュムレータ105を通過して、一次側圧縮機71に吸入される。
【0136】
また、カスケードユニット2においては、二次側切換機構22を第2接続状態に切り換える。これにより、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。二次側切換機構22の第2接続状態では、第2切換弁22bにより吐出流路24と第1配管28とが接続され、第1切換弁22aにより第3配管25と吸入流路23とが接続される。また、カスケード膨張弁36は、開度調節されている。第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cにおいては、第1調節弁66a、66b、66cが開状態に制御され、第2調節弁67a、67b、67cが閉状態に制御される。これにより、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cの全てが冷媒の放熱器として機能する。そして、利用ユニット3a、3b、3cの利用側熱交換器52a、52b、52cとカスケードユニット2の二次側圧縮機21の吐出側とは、吐出流路24、第1配管28、二次側第1連絡管8、第1分岐配管63a、63b、63c、合流配管62a、62b、62c、第1接続管15a、15b、15c、第1利用配管57a、57b、57cを介して接続された状態になっている。また、二次側過冷却膨張弁48aおよびバイパス膨張弁46aは、閉状態に制御される。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。
【0137】
なお、暖房運転では、二次側冷媒回路10では、二次側圧縮機21について、利用側熱交換器52a、52b、52cにおける負荷を処理可能な周波数となるように、能力制御が行われる。これにより、暖房運転では、二次側圧縮機21から吐出される二次側の冷媒が臨界圧力を超えた臨界状態となりうるように制御される。また、一次側冷媒回路5aでは、例えば、カスケード熱交換器35の一次側流路35bにおける一次側の冷媒の凝縮温度が所定の一次側凝縮目標温度となるように一次側圧縮機71の周波数を制御することにより、能力制御が行われる。
【0138】
このような二次側冷媒回路10において、二次側圧縮機21で圧縮され吐出された高圧冷媒は、二次側切換機構22の第2切換弁22bを通じて、第1配管28に送られる。第1配管28に送られた冷媒は、第1閉鎖弁32を通じて、二次側第1連絡管8に送られる。
【0139】
そして、二次側第1連絡管8に送られた高圧冷媒は、3つに分岐されて、運転中の利用ユニットである各利用ユニット3a、3b、3cの第1分岐配管63a、63b、63cに送られる。第1分岐配管63a、63b、63cに送られた高圧冷媒は、第1調節弁66a、66b、66cを通過し、合流配管62a、62b、62cを流れる。その後、第1接続管15a、15b、15cおよび第1利用配管57a、57b、57cを流れた冷媒が、利用側熱交換器52a、52b、52cに送られる。
【0140】
そして、利用側熱交換器52a、52b、52cに送られた高圧冷媒は、利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて、室内ファン53a、53b、53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52a、52b、52cを流れる冷媒は、放熱する。室内空気は、加熱されて室内に供給される。これにより、室内空間が暖房される。利用側熱交換器52a、52b、52cにおいて放熱した冷媒は、第2利用配管56a、56b、56cを流れて、開度調節されている利用側膨張弁51a、51b、51cを通過する。なお、利用側膨張弁51a、51b、51cを通過した二次側の冷媒は、臨界圧力以下となっている。その後、第2接続管16a、16b、16cを流れた冷媒は、各分岐ユニット6a、6b、6cの第3分岐配管61a、61b、61cを流れる。
【0141】
そして、第3分岐配管61a、61b、61cに送られた冷媒は、二次側第3連絡管7に送られて合流する。
【0142】
そして、二次側第3連絡管7に送られた冷媒は、第3閉鎖弁31を通過した後、カスケード膨張弁36に送られる。カスケード膨張弁36に送られた冷媒は、カスケード膨張弁36において流量調節された後、カスケード熱交換器35に送られる。カスケード熱交換器35では、二次側流路35aを流れる二次側の冷媒は蒸発して低圧のガス冷媒となって二次側切換機構22に送られ、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れる一次側の冷媒は凝縮する。そして、二次側切換機構22の第1切換弁22aに送られた二次側の低圧のガス冷媒は、吸入流路23および二次側アキュムレータ30通じて、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。
【0143】
このようにして、暖房運転における動作が行われる。
【0144】
(9-3)冷房主体運転
冷房主体運転では、例えば、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cが冷媒の放熱器として機能する運転を行う。冷房主体運転では、カスケード熱交換器35は、二次側の冷媒の放熱器として機能する。冷房主体運転では、冷凍サイクル装置1の一次側冷媒回路5aおよび二次側冷媒回路10は、
図5に示されるように構成される。
図5の一次側冷媒回路5aに付された矢印および二次側冷媒回路10に付された矢印は、冷房主体運転時の冷媒の流れを示している。
【0145】
具体的には、一次側ユニット5においては、一次側切換機構72を第5接続状態(
図5の一次側切換機構72の実線で示された状態)に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。これにより、一次側ユニット5では、一次側圧縮機71から吐出された一次側の冷媒は、一次側切換機構72を通過して、一次側熱交換器74において一次側ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで凝縮する。一次側熱交換器74において凝縮した一次側の冷媒は、全開状態に制御された一次側第1膨張弁76を通過し、一部の冷媒が、一次側過冷却熱交換器103を通じて第1液閉鎖弁108に向けて流れ、他の一部の冷媒が、一次側過冷却回路104に分岐して流れる。一次側過冷却回路104を流れる冷媒は、一次側過冷却膨張弁104aを通過する際に減圧される。一次側第1膨張弁76から第1液閉鎖弁108に向けて流れる冷媒は、一次側過冷却熱交換器103において、一次側過冷却膨張弁104aで減圧されて一次側過冷却回路104を流れる冷媒との間で熱交換を行い、過冷却状態となるまで冷却される。過冷却状態となった冷媒は、一次側第1連絡管111、第2液閉鎖弁106、第2冷媒配管114の順に流れ、一次側第2膨張弁102において減圧される。なお、この際、一次側第2膨張弁102は、例えば、一次側圧縮機71に吸入される冷媒の過熱度が所定条件を満たすように弁開度が制御される。一次側第2膨張弁102で減圧された一次側の冷媒は、カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れる際に、二次側流路35aを流れる二次側の冷媒と熱交換することで蒸発し、第1冷媒配管113を通じて第2ガス閉鎖弁107に向けて流れる。第2ガス閉鎖弁107を通過した冷媒は、一次側第2連絡管112と第1ガス閉鎖弁109を通過した後、一次側切換機構72に至る。一次側切換機構72を通過した冷媒は、一次側過冷却回路104を流れた冷媒と合流した後、一次側アキュムレータ105を介して、一次側圧縮機71に吸入される。
【0146】
また、カスケードユニット2においては、二次側切換機構22について、第1切換弁22aにより吐出流路24と第3配管25とが接続され、第2切換弁22bにより吐出流路24と第1配管28とが接続される第3接続状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の放熱器として機能させるようになっている。また、カスケード膨張弁36は、開度調節されている。第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cにおいては、第1調節弁66c、および、第2調節弁67a、67bが開状態に制御され、かつ、第1調節弁66a、66b、および、第2調節弁67cが閉状態に制御される。これにより、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bが冷媒の蒸発器として機能し、かつ、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cが冷媒の放熱器として機能する。また、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bとカスケードユニット2の二次側圧縮機21の吸入側とが二次側第2連絡管9を介して接続された状態になり、かつ、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cとカスケードユニット2の二次側圧縮機21の吐出側とが二次側第1連絡管8を介して接続された状態になっている。また、二次側過冷却膨張弁48aは、二次側過冷却熱交換器47の出口を二次側第3連絡管7に向けて流れる二次側の冷媒の過冷却度が所定条件を満たすように開度制御されている。バイパス膨張弁46aは、閉状態に制御される。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。
【0147】
なお、冷房主体運転では、二次側冷媒回路10において、例えば、利用側熱交換器52a、52b、52cのうち二次側の冷媒の蒸発器として機能する熱交換器における蒸発温度が所定の二次側蒸発目標温度となるように二次側圧縮機21の周波数が制御されることにより、能力制御が行われる。カスケード膨張弁36は、カスケード熱交換器35を流れる二次側の冷媒が臨界圧力以下となるように開度調節される。また、一次側冷媒回路5aでは、例えば、カスケード熱交換器35の一次側流路35bにおける一次側の冷媒の蒸発温度が所定の一次側蒸発目標温度となるように一次側圧縮機71の周波数が制御されることにより、能力制御が行われる。このように、冷房運転では、カスケード膨張弁36の弁開度を上げる制御と、一次側冷媒回路5aにおける一次側圧縮機71の周波数を上げる制御と、のいずれかまたは両方の制御を実行することで、カスケード熱交換器35を流れる二酸化炭素冷媒が臨界点を超えないように制御される。
【0148】
このような二次側冷媒回路10において、二次側圧縮機21で圧縮され吐出された二次側の高圧冷媒は、その一部が、二次側切換機構22の第2切換弁22b、第1配管28および第1閉鎖弁32を通じて、二次側第1連絡管8に送られ、残りが、二次側切換機構22の第1切換弁22aおよび第3配管25を通じて、カスケード熱交換器35の二次側流路35aに送られる。
【0149】
そして、二次側第1連絡管8に送られた高圧冷媒は、第1分岐配管63cに送られる。第1分岐配管63cに送られた高圧冷媒は、第1調節弁66cおよび合流配管62cを通じて、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cに送られる。
【0150】
そして、利用側熱交換器52cに送られた高圧冷媒は、利用側熱交換器52cにおいて、室内ファン53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52cを流れる冷媒は、放熱する。室内空気は、加熱されて室内に供給されて、利用ユニット3cの暖房運転が行われる。利用側熱交換器52cにおいて放熱した冷媒は、第2利用配管56cを流れ、利用側膨張弁51cにおいて流量調節される。その後、第2接続管16cを流れた冷媒は、分岐ユニット6cの第3分岐配管61cに送られる。
【0151】
そして、第3分岐配管61cに送られた冷媒は、二次側第3連絡管7に送られる。
【0152】
また、カスケード熱交換器35の二次側流路35aに送られた高圧冷媒は、カスケード熱交換器35において、一次側流路35bを流れる一次側の冷媒と熱交換を行うことによって放熱する。カスケード熱交換器35において放熱した二次側の冷媒は、カスケード膨張弁36において流量調節された後、二次側レシーバ45に流入する。二次側レシーバ45から流出した冷媒の一部は、二次側過冷却回路48に分岐して流れ、二次側過冷却膨張弁48aにおいて減圧された後に、吸入流路23に合流する。二次側過冷却熱交換器47では、二次側レシーバ45から流出した冷媒の他の一部が、二次側過冷却回路48を流れる冷媒によって冷却された後、第3閉鎖弁31を通じて、二次側第3連絡管7に送られて、利用側熱交換器52cにおいて放熱した冷媒と合流する。
【0153】
そして、二次側第3連絡管7において合流した冷媒は、2つに分岐して、分岐ユニット6a、6bの各第3分岐配管61a、61bに送られる。その後、第2接続管16a、16bを流れた冷媒は、各第1~第2利用ユニット3a、3bの第2利用配管56a、56bに送られる。第2利用配管56a、56bを流れる冷媒は、利用ユニット3a、3bの利用側膨張弁51a、51bを通過する。
【0154】
そして、開度調節されている利用側膨張弁51a、51bを通過した冷媒は、利用側熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン53a、53bによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52a、52bを流れる冷媒は、蒸発し、低圧のガス冷媒となる。室内空気は、冷却されて室内に供給される。これにより、室内空間が冷房される。利用側熱交換器52a、52bにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、第1~第2分岐ユニット6a、6bの合流配管62a、62bに送られる。
【0155】
そして、合流配管62a、62bに送られた低圧のガス冷媒は、第2調節弁67a、67bおよび第2分岐配管64a、64bを通じて、二次側第2連絡管9に送られて合流する。
【0156】
そして、二次側第2連絡管9に送られた低圧のガス冷媒は、第2閉鎖弁33、第2配管29、吸入流路23および二次側アキュムレータ30を通じて、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。
【0157】
このようにして、冷房主体運転における動作が行われる。
【0158】
(9-4)暖房主体運転
暖房主体運転では、例えば、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bが冷媒の放熱器として機能し、かつ、利用側熱交換器52cが冷媒の蒸発器として機能する運転を行う。暖房主体運転では、カスケード熱交換器35は、二次側の冷媒の蒸発器として機能する。暖房主体運転では、冷凍サイクル装置1の一次側冷媒回路5aおよび二次側冷媒回路10は、
図6に示すように構成される。
図6の一次側冷媒回路5aに付された矢印および二次側冷媒回路10に付された矢印は、暖房主体運転時の冷媒の流れを示している。
【0159】
具体的には、一次側ユニット5においては、一次側切換機構72を第6運転状態に切り換えることによって、カスケード熱交換器35を一次側の冷媒の放熱器として機能させるようになっている。一次側切換機構72の第6運転状態は、
図6の一次側切換機構72において破線で示された接続状態である。これにより、一次側ユニット5では、一次側圧縮機71から吐出され、一次側切換機構72を通過して、第1ガス閉鎖弁109を通過した一次側の冷媒は、一次側第2連絡管112と第2ガス閉鎖弁107を通過して、カスケード熱交換器35の一次側流路35bに送られる。カスケード熱交換器35の一次側流路35bを流れる冷媒は、二次側流路35aを流れる二次側の冷媒と熱交換することで凝縮する。カスケード熱交換器35において凝縮した一次側の冷媒は、第2冷媒配管114を流れる際に、全開状態に制御された一次側第2膨張弁102を通過した後、第2液閉鎖弁106、一次側第1連絡管111、第1液閉鎖弁108、一次側過冷却熱交換器103の順に流れて、一次側第1膨張弁76において減圧される。なお、暖房主体運転時には、一次側過冷却膨張弁104aは閉状態に制御されることで、一次側過冷却回路104には冷媒は流れないため、一次側過冷却熱交換器103における熱交換も行われない。なお、一次側第1膨張弁76は、例えば、一次側圧縮機71に吸入される冷媒の過熱度が所定条件を満たすように弁開度が制御される。一次側第1膨張弁76において減圧された冷媒は、一次側熱交換器74において一次側ファン75から供給される外気と熱交換を行うことで蒸発し、一次側切換機構72、一次側アキュムレータ105を通過して、一次側圧縮機71に吸入される。
【0160】
カスケードユニット2においては、二次側切換機構22を第2接続状態に切り換える。二次側切換機構22の第2接続状態では、第2切換弁22bにより吐出流路24と第1配管28とが接続され、第1切換弁22aにより第3配管25と吸入流路23とが接続される。これによって、カスケード熱交換器35を二次側の冷媒の蒸発器として機能させるようになっている。また、カスケード膨張弁36は、開度調節されている。第1~第3分岐ユニット6a、6b、6cにおいては、第1調節弁66a、66b、および、第2調節弁67cが開状態に制御され、かつ、第1調節弁66c、および、第2調節弁67a、67bが閉状態に制御される。これによって、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bは冷媒の放熱器として機能し、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cは冷媒の蒸発器として機能する。そして、利用ユニット3cの利用側熱交換器52cとカスケードユニット2の二次側圧縮機21の吸入側とは、第1利用配管57c、第1接続管15c、合流配管62c、第2分岐配管64c、および二次側第2連絡管9を介して接続された状態になる。また、利用ユニット3a、3bの利用側熱交換器52a、52bとカスケードユニット2の二次側圧縮機21の吐出側とは、吐出流路24、第1配管28、二次側第1連絡管8、第1分岐配管63a、63b、合流配管62a、62b、第1接続管15a、15b、第1利用配管57a、57bを介して接続された状態になっている。また、二次側過冷却膨張弁48aおよびバイパス膨張弁46aは、閉状態に制御される。利用ユニット3a、3b、3cにおいては、利用側膨張弁51a、51b、51cは、開度調節されている。
【0161】
なお、暖房主体運転では、二次側冷媒回路10において、例えば、利用側熱交換器52a、52b、52cのうち二次側の冷媒の放熱器として機能する熱交換器における負荷が処理されるように二次側圧縮機21の周波数が制御されることにより、能力制御が行われる。これにより、暖房主体運転では、二次側圧縮機21から吐出される二次側の冷媒が臨界圧力を超えた臨界状態となりうるように制御される。また、一次側冷媒回路5aでは、例えば、カスケード熱交換器35の一次側流路35bにおける一次側の冷媒の凝縮温度が所定の一次側凝縮目標温度となるように一次側圧縮機71の周波数が制御されることにより、能力制御が行われる。
【0162】
このような二次側冷媒回路10において、二次側圧縮機21で圧縮され吐出された二次側の高圧冷媒は、二次側切換機構22の第2切換弁22b、第1配管28および第1閉鎖弁32を通じて、二次側第1連絡管8に送られる。
【0163】
そして、二次側第1連絡管8に送られた高圧冷媒は、2つに分岐されて、運転中の利用ユニットである各第1利用ユニット3aと第2利用ユニット3bにそれぞれ接続されている第1分岐ユニット6aと第2分岐ユニット6bの第1分岐配管63a、63bに送られる。第1分岐配管63a、63bに送られた高圧冷媒は、第1調節弁66a、66b、合流配管62a、62b、および第1接続管15a、15bを通じて、第1利用ユニット3aと第2利用ユニット3bの利用側熱交換器52a、52bに送られる。
【0164】
そして、利用側熱交換器52a、52bに送られた高圧冷媒は、利用側熱交換器52a、52bにおいて、室内ファン53a、53bによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52a、52bを流れる冷媒は、放熱する。室内空気は、加熱されて室内に供給される。これにより、室内空間が暖房される。利用側熱交換器52a、52bにおいて放熱した冷媒は、第2利用配管56a、56bを流れ、開度調節されている利用側膨張弁51a、51bを通過する。なお、利用側膨張弁51a、51bを通過した二次側の冷媒は、臨界圧力以下となっている。その後、第2接続管16a、16bを流れた冷媒は、分岐ユニット6a、6bの第3分岐配管61a、61bを介して、二次側第3連絡管7に送られる。
【0165】
そして、二次側第3連絡管7に送られた冷媒は、その一部が、分岐ユニット6cの第3分岐配管61cに送られ、残りが、第3閉鎖弁31に向けて流れる。
【0166】
そして、第3分岐配管61cに送られた冷媒は、第2接続管16cを介して、利用ユニット3cの第2利用配管56cを流れ、利用側膨張弁51cに送られる。
【0167】
そして、開度調節されている利用側膨張弁51cを通過した冷媒は、利用側熱交換器52cにおいて、室内ファン53cによって供給される室内空気と熱交換を行う。これにより、利用側熱交換器52cを流れる冷媒は、蒸発し、低圧のガス冷媒となる。室内空気は、冷却されて室内に供給される。これにより、室内空間が冷房される。利用側熱交換器52cにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、第1利用配管57cと第1接続管15cを通過し、合流配管62cに送られる。
【0168】
そして、合流配管62cに送られた低圧のガス冷媒は、第2調節弁67cおよび第2分岐配管64cを通じて、二次側第2連絡管9に送られる。
【0169】
そして、二次側第2連絡管9に送られた低圧のガス冷媒は、第2閉鎖弁33、第2配管29、吸入流路23および二次側アキュムレータ30を通じて、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。
【0170】
また、第3閉鎖弁31に向けて流れた冷媒は、カスケード膨張弁36に送られる。カスケード膨張弁36に送られた冷媒は、開度調節されているカスケード膨張弁36を通過した後、カスケード熱交換器35の二次側流路35aにおいて、一次側流路35bを流れる一次側の冷媒と熱交換を行う。これにより、カスケード熱交換器35の二次側流路35aを流れる冷媒は、蒸発して低圧のガス冷媒になり、二次側切換機構22の第1切換弁22aに送られる。二次側切換機構22の第1切換弁22aに送られた低圧のガス冷媒は、吸入流路23において利用側熱交換器52cにおいて蒸発した低圧のガス冷媒と合流する。合流した冷媒は、二次側アキュムレータ30を介して、二次側圧縮機21の吸入側に戻される。
【0171】
このようにして、暖房主体運転における動作が行われる。
【0172】
(10)二次側レシーバと流路切換部と第1安全弁と第2安全弁
図7に、二次側レシーバ45と流路切換部96と第1安全弁91と第2安全弁92の概略構成図を示す。
図8に、第1安全弁91が取り外された状態の概略説明図を示す。
【0173】
二次側レシーバ45は、本実施形態では、鉄製または炭素鋼等の鉄合金製である。なお、二次側レシーバ45が炭素鋼製である場合の炭素の含有量は、0.04重量%以上2重量%以下である。この二次側レシーバ45は、容器本体45xと、第1連絡部45aと、第2連絡部45bと、第3連絡部45cと、第4連絡部45dと、を有している。容器本体45xは、二次側冷媒回路10に充填される冷媒量等に応じた内容積を有する略円筒形状の容器であり、二次側冷媒回路10を流れる冷媒を一時的に貯留する。第1連絡部45aは、容器本体45xの周面の一部から側方に向けて伸び出した配管であり、流路切換部96の第3接続部99aに接続される。第2連絡部45bは、容器本体45xの周面の一部から側方に向けて伸び出した配管であり、二次側冷媒回路10における第4配管26の一部を構成している。第3連絡部45cは、容器本体45xの周面の一部から側方に向けて伸び出した配管であり、二次側冷媒回路10におけるバイパス回路46の一部を構成している。第4連絡部45dは、容器本体45xの底部から下方に向けて伸び出した配管であり、二次側冷媒回路10における第5配管27の一部を構成している。第3連絡部45cの容器本体45x内の端部は、第2連絡部45bの容器本体45x内の端部や第4連絡部45dの容器本体45x内の端部よりも上方に位置している。
【0174】
なお、容器本体45xに対する、第1連絡部45aと、第2連絡部45bと、第3連絡部45cと、第4連絡部45dと、の接続箇所、および、接続の方向については、特に限定されない。
【0175】
流路切換部96は、本実施形態では、ステンレス鋼製である。ステンレス鋼は、鉄を主成分とし、クロムの含有率が10.5重量%以上で、炭素の含有率が1.2重量%以下の合金である(以下、同じ)。なお、ステンレス鋼としては、SUS304、SUS316、SUS303、SUS410、SUS430等が挙げられるが、なかでも、SUS304TP、SUS304HTP、SUS304LTP、SUS316LTPのいずれかが好ましい。流路切換部96は、流路切換弁99と、第3接続部99aと、第1接続配管97と、第2接続配管98と、を有している。
【0176】
第1接続配管97は、流路切換弁99の接続ポートの1つから延び出しており、端部に第1接続部97aを有している。第1接続配管97の第1接続部97aには、第1安全弁91の第1安全弁接続部91aが接続される。なお、第1接続配管97と流路切換弁99とは、例えば、互いに溶接接続される。また、第1接続部97aには、後述する第1安全弁91の第1安全弁接続部91aが有するネジ山91xに対応したネジ溝97xが設けられている。これにより、第1安全弁91は、第1接続部97aに対してねじ込み接続される。
【0177】
第2接続配管98は、流路切換弁99の接続ポートの1つから延び出しており、端部に第2接続部98aを有している。第2接続配管98の第2接続部98aには、第2安全弁92の第2安全弁接続部92aが接続される。なお、第2接続配管98と流路切換弁99とは、例えば、互いに溶接接続される。また、第2接続部98aには、後述する第2安全弁92の第2安全弁接続部92aが有する図示しないネジ山に対応したネジ溝が設けられている。これにより、第2安全弁92は、第2接続部98aに対してねじ込み接続される。
【0178】
第3接続部99aは、流路切換弁99の接続ポートの1つと、二次側レシーバ45の第1連絡部45aと、を接続する。なお、流路切換弁99と第3接続部99aと第1連絡部45aとは、例えば、互いに溶接接続される。
【0179】
流路切換弁99は、複数の接続ポートを有しており、第3接続部99aと第1接続部97aとが接続された状態と、第3接続部99aと第2接続部98aとが接続された状態と、を切り換える切換弁である。本実施形態では、流路切換弁99は、例えば、手動弁である。流路切換弁99としては、例えば、3方弁で構成されていてもよいし、4方弁のうちの3つの接続ポートを用いたものとして構成されていてもよい。
【0180】
第1安全弁91と第2安全弁92は、それぞれ二次側レシーバ45と連通した状態で機能するものであり、二次側レシーバ45内の二次側の冷媒の圧力が所定値以上になった場合に、二次側の冷媒を自動的に外部に逃がすことが可能である。このような安全弁は、圧力逃がし弁とも称され、例えば、圧力逃がし弁を有している。これにより、二次側レシーバ45内の二次側の冷媒の圧力が異常上昇することが抑制される。このような安全弁としては、例えば、おもり安全弁、てこ安全弁、ばね安全弁等のいずれかを用いることができる。なお、安全弁は、1年に1度等の所定の頻度で、取り外され、適切に機能することの確認作業が行われる。当該確認作業としては、例えば、安全弁がばね安全弁である場合には、ばねが適切に機能するか否か等が確認される。
【0181】
第1安全弁91は、本実施形態では、ステンレス鋼製である。なお、第1安全弁91と流路切換部96とは、異なる種類のステンレス鋼製であってもよいが、電位差による腐食を抑制させる観点から同じ種類であることが好ましい。第1安全弁91は、第1接続部97aの第1接続部97aに接続するための第1安全弁接続部91aを有している。第1安全弁接続部91aは、第1接続部97aに設けられたネジ溝97xに対応したネジ山91xを有している。
【0182】
第2安全弁92は、本実施形態では、ステンレス鋼製である。なお、第2安全弁92と流路切換部96とは、異なる種類のステンレス鋼製であってもよいが、電位差による腐食を抑制させる観点から同じ種類であることが好ましい。第2安全弁92は、第2接続部98aの第2接続部98aに接続するための第2安全弁接続部92aを有している。第2安全弁接続部92aは、第2接続部98aに設けられたネジ溝に対応した図示しないネジ山を有している。
【0183】
以上の流路切換部96と第1安全弁91と第2安全弁92とは、以下の材質の関係を満たしている。
【0184】
流路切換部96の第1接続部97aと、第1安全弁91の第1安全弁接続部91aと、の電位差は0.35V以下であり、0.3V以下であることが好ましく、0.2V以下であることがより好ましい。流路切換部96の第2接続部98aと、第2安全弁92の第2安全弁接続部92aと、の電位差は0.35V以下であり、0.3V以下であることが好ましく、0.2V以下であることがより好ましい。接続部分同士の電位差が0.35Vよりも小さいため、当該接続箇所における金属腐食が抑制される。なお、電位差としては、海水中で流速24~40m/sの10~27℃の条件下で測定される値であってよい。
【0185】
流路切換部96の第1接続部97aに対する第1安全弁91の第1安全弁接続部91aの許容引張応力(第1安全弁91の第1安全弁接続部91aの許容引張応力/流路切換部96の第1接続部97aの許容引張応力)が3.0倍以下であり、2.5倍以下であることが好ましく、2.0倍以下であることがより好ましい。流路切換部96の第2接続部98aに対する第2安全弁92の第2安全弁接続部92aの許容引張応力(第2安全弁92の第2安全弁接続部92aの許容引張応力/流路切換部96の第2接続部98aの許容引張応力)が3.0倍以下であり、2.5倍以下であることが好ましく、2.0倍以下であることがより好ましい。接続部分同士の許容引張応力の比の値が3.0倍以下であるため、流路切換部96の第1接続部97aの許容引張応力が第1安全弁91の第1安全弁接続部91aの許容引張応力に比べて小さすぎることがない、このため、第1安全弁91の着脱の繰り返しにより、流路切換部96の第1接続部97aのネジ溝97xが潰れてしまうことが抑制される。また、接続部分同士の許容引張応力の比の値が3.0倍以下であり、流路切換部96の第2接続部98aの許容引張応力が第2安全弁92の第2安全弁接続部92aの許容引張応力に比べて小さすぎることがない。このため、第2安全弁92の着脱の繰り返しにより、流路切換部96の第2接続部98aのネジ溝が潰れてしまうことが抑制される。なお、許容引張応力は、安全弁の取り外し作業が行われる環境である常温下における値であってよい。
【0186】
なお、流路切換部96の第1接続部97aに対する第1安全弁91の第1安全弁接続部91aの許容引張応力の下限は、特に限定されないが、例えば、0.3以上であってよく、0.5以上であることが好ましく、1.0以上でもよい。また、流路切換部96の第2接続部98aに対する第2安全弁92の第2安全弁接続部92aの許容引張応力の下限についても、特に限定されないが、例えば、0.3以上であってよく、0.5以上であることが好ましく、1.0以上でもよい。これにより、第1安全弁91の第1安全弁接続部91aと第2安全弁92の第2安全弁接続部92aについて着脱の繰り返しによりダメージを受けることが抑制される。
【0187】
なお、以上の第1安全弁91と第2安全弁92は、流路切換部96の流路切換弁99によって流路が切り換えられることで、第1安全弁91と第2安全弁92のうち二次側レシーバ45と連通した状態になっている方が、安全弁として機能することになる。例えば、第1安全弁91と二次側レシーバ45とが連通した状態で冷凍サイクル装置1が所定の期間使用された後に、冷凍サイクル装置1の運転を停止させ、第1安全弁91と第2安全弁92の両方が流路切換部96にねじ込み接続された状態で、第1安全弁91と二次側レシーバ45とが連通した状態から第2安全弁92と二次側レシーバ45とが連通した状態に切り換えられる。この状態にすることで、第1安全弁91が流路切換部96から取り外され、第1安全弁91の点検を行うことができる。なお、第1安全弁91が流路切換部96から取り外された状態であっても、二次側冷媒回路10の冷媒容器である二次側レシーバ45には、第2安全弁92が接続された状態が維持される。このため、第1安全弁91が取り外されて点検されている際においても、二次側レシーバ45における二次側の冷媒の圧力が異常上昇することが抑制され、二次側冷媒回路10の信頼性が確保される。なお、第1安全弁91と第2安全弁92の2つの安全弁を用いることにより、安全弁の点検作業を行う度に二次側冷媒回路10における冷媒を回収する等の作業を行わなくて済む。
【0188】
(11)実施形態の特徴
本実施形態の冷凍サイクル装置1では、流路切換部96の第1接続部97aと第1安全弁91の第1安全弁接続部91aとの電位差と、流路切換部96の第2接続部98aと第2安全弁92の第2安全弁接続部92aとの電位差が小さいため、当該接続箇所における金属腐食が抑制される。
【0189】
また、流路切換部96の第1接続部97aに対する第1安全弁91の第1安全弁接続部91aの許容引張応力の比(第1安全弁接続部91aの許容引張応力/第1接続部97aの許容引張応力)の値が小さい。このため、第1安全弁91の着脱の繰り返しにより、流路切換部96の第1接続部97aのネジ溝97xが潰れてしまうことが抑制される。また、流路切換部96の第2接続部98aに対する第2安全弁92の第2安全弁接続部92aの許容引張応力の比(第2安全弁接続部92aの許容引張応力/第2接続部98aの許容引張応力)の値が小さい。このため、第2安全弁92の着脱の繰り返しにより、流路切換部96の第2接続部98aのネジ溝が潰れてしまうことが抑制される。
【0190】
特に、本実施形態では、流路切換部96と第1安全弁91と第2安全弁92がいずれもステンレス鋼製であるため、強度が十分に確保されており、第1安全弁91と第2安全弁92の着脱が繰り返されたとしても、第1安全弁91と第2安全弁92と流路切換部96との各接続部の状態が良好に維持される。
【0191】
本実施形態の冷凍サイクル装置1では、二次側冷媒回路10において二酸化炭素冷媒が充填されている。この二酸化炭素冷媒は、超臨界状態になると、冷媒温度の挙動が不安定になるおそれがある。これに対して、本実施形態では、二酸化炭素冷媒の温度ではなく、二酸化炭素冷媒の圧力に応じて機能する安全弁が用いられている。これにより、冷凍サイクル装置1の信頼性を高めることができている。
【0192】
(12)他の実施形態
(12-1)他の実施形態A
上記実施形態では、流路切換部96が第1接続部97aを有する第1接続配管97と第2接続部98aを有する第2接続配管98とを有する場合を例として挙げて説明した。
【0193】
これに対して、例えば、
図9に示すように、他の実施形態Aの流路切換部96としては、上記実施形態における第1接続配管97と第2接続配管98とを有さないものであってもよい。そして、他の実施形態Aの流路切換部96は、上記実施形態の第1接続部97aの代わりに第1接続部99bを有し、第2接続部98aの代わりに第2接続部99cを有していてもよい。
【0194】
第1接続部99bは、流路切換弁99の接続ポートの1つと、第1安全弁91の第1安全弁接続部91aと、を接続する。第1接続部99bは、第1安全弁91の第1安全弁接続部91aのネジ山91xに対応するネジ溝が設けられている。第2接続部99cは、流路切換弁99の接続ポートの1つと、第2安全弁92の第2安全弁接続部92aと、を接続する。第2接続部99cは、第2安全弁92の第2安全弁接続部92aのネジに対応するネジ溝が設けられている。
【0195】
以上の構成によっても、上記実施形態と同様に、接続部における金属腐食を抑制しつつ、ネジ溝が潰れることが抑制される。
【0196】
(12-2)他の実施形態B
上記実施形態では、第1安全弁91がネジ山91xを有し、第2安全弁92がネジ山を有し、第1接続配管97の第1接続部97aがネジ溝97xを有し、第2接続配管98の第2接続部98aがネジ溝を有する場合を例として挙げて説明した。
【0197】
これに対して、ネジ山とネジ溝の関係は、これに限定されるものではなく、例えば、上記実施形態とは反対に、第1安全弁91と第2安全弁92がネジ溝を有し、第1接続配管97の第1接続部97aと第2接続配管98の第2接続部98aがネジ山を有していてもよい。
【0198】
(12-3)他の実施形態C
上記実施形態では、流路切換部96と第1安全弁91と第2安全弁92がいずれもステンレス鋼製である場合を例として挙げて説明した。
【0199】
これに対して、例えば、これらの材質の関係は、これに限定されるものではなく、例えば、第1安全弁91と第2安全弁92がステンレス鋼製であって、流路切換部96が銅と亜鉛の銅合金であって、亜鉛が20重量%以上配合された真鍮製であってもよい。このような真鍮としては、例えば、JISに規定のC3601BD、C3602BE、C3602BD、C3603BD、C3604BE、C3604BD、C3712BE、C3712BD、C3771BE、C3771BD等が挙げられる。ステンレス鋼と真鍮とでは、異種金属接続とはなるが、電位差が0.2V程度に低いため、金属腐食が生じにくい。また、ステンレス鋼と真鍮とでは、許容引張応力の比(ステンレス鋼/真鍮)が1.4~1.6程度であるため、安全弁の着脱が繰り返されることによる接続部分へのダメージも小さく抑えることができる。
【0200】
さらに、上記以外にも、例えば、第1安全弁91と第2安全弁92がステンレス鋼製であって、流路切換部96が銅または銅合金製であってもよい。このような銅または銅合金としては、例えば、JISに規定のC1220T、C1220TS等が挙げられる。ステンレス鋼とこれらの銅または銅合金とでは、異種金属接続とはなるが、電位差が0.2V程度に低いため、金属腐食が生じにくい。また、ステンレス鋼とこれらの銅または銅合金とでは、許容引張応力の比(ステンレス鋼/真鍮)が1.1~2.1程度であるため、安全弁の着脱が繰り返されることによる接続部分へのダメージも小さく抑えることができる。
【0201】
(12-4)他の実施形態D
上記実施形態では、流路切換部96の全体がステンレス鋼等の同一素材で構成されている場合を例に挙げて説明した。
【0202】
これに対して、流路切換部96は、流路切換弁99と、第1接続配管97と、第2接続配管98と、が互いに異なる金属により構成されていてもよい。この場合において、第1安全弁91または第2安全弁92との接続部を有する第1接続配管97と第2接続配管98については、着脱時の接続部のダメージを小さく抑えるために、流路切換弁99よりも許容引張応力が高い材料で構成されていることが好ましい。
【0203】
具体的には、例えば、第1接続配管97と第2接続配管98がステンレス鋼製であり、流路切換弁99が真鍮製または他の銅合金製であってもよい。また、例えば、第1接続配管97と第2接続配管98が真鍮製であり、流路切換弁99が他の銅合金製であってもよい。
【0204】
(12-5)他の実施形態E
上記実施形態では、流路切換部96が、二次側レシーバ45の容器本体45xから延びる第1連絡部45aに対して接続される場合を例に挙げて説明した。
【0205】
これに対して、例えば、
図10に示すように、二次側レシーバ45の容器本体45xから延びる第1連絡部45aは設けられておらず、流路切換部96は、二次側レシーバ45の容器本体45xに接続されていてもよい。具体的には、流路切換部96の第3接続部99aが、二次側レシーバ45の容器本体45xに設けられた開口に接続されていてもよい。
【0206】
(12-6)他の実施形態F
上記実施形態では、1つの一次側ユニット5に対して1つのカスケードユニット2が接続された冷凍サイクル装置1を例に挙げて説明した。
【0207】
これに対して、冷凍サイクル装置1としては、例えば、
図11に示すように、1つの一次側ユニット5に対して複数のカスケードユニットである第1カスケードユニット2a、第2カスケードユニット2b、第3カスケードユニット2cが互いに並列に接続されることで、第1カスケード回路12aを有する第1二次側冷媒回路10aと第2カスケード回路12bを有する第2二次側冷媒回路10bと第3カスケード回路12cを有する第3二次側冷媒回路10cとを備えたものであってもよい。なお、
図11において、第1カスケードユニット2a、第2カスケードユニット2b、第3カスケードユニット2cの各内部構造は、上記実施形態のカスケードユニット2と同様であるため、一部のみを示すことで省略している。
【0208】
ここで、第1カスケードユニット2a、第2カスケードユニット2b、第3カスケードユニット2cのぞれぞれは、図示は省略するが、上記実施形態と同様に、複数の分岐ユニット6a、6b、6c、複数の利用ユニット3a、3b、3cと接続される。具体的には、第1カスケードユニット2aは、二次側第3連絡管7a、二次側第1連絡管8a、二次側第2連絡管9aを介して、複数の分岐ユニットおよび利用ユニットと接続される。第2カスケードユニット2bは、二次側第3連絡管7b、二次側第1連絡管8b、二次側第2連絡管9bを介して、第1カスケードユニット2aと接続されているものとは異なる別の複数の分岐ユニットおよび利用ユニットと接続される。第3カスケードユニット2cは、二次側第3連絡管7c、二次側第1連絡管8c、二次側第2連絡管9cを介して、第1カスケードユニット2aに接続されているものとは異なり第2カスケードユニット2bに接続されているものとも異なる別の複数の分岐ユニットおよび利用ユニットと接続される。
【0209】
ここでは、一次側ユニット5と第1カスケードユニット2aとは、一次側第1連絡管111aと一次側第2連絡管112aを介して接続される。一次側ユニット5と第2カスケードユニット2bとは、一次側第1連絡管111aから分岐した一次側第1連絡管111bと、一次側第2連絡管112aから分岐した一次側第2連絡管112bと、を介して接続される。一次側ユニット5と第3カスケードユニット2cとは、一次側第1連絡管111aから分岐した一次側第1連絡管111cと、一次側第2連絡管112aから分岐した一次側第2連絡管112cと、を介して接続される。
【0210】
ここで、第1カスケードユニット2a、第2カスケードユニット2b、第3カスケードユニット2cは、それぞれ、自己が開度制御する一次側第2膨張弁102を有している。また、第1カスケードユニット2aが有する第1カスケード側制御部20a、第2カスケードユニット2bが有する第2カスケード側制御部20b、第3カスケードユニット2cが有する第3カスケード側制御部20cは、それぞれ対応する一次側第2膨張弁102の開度制御を行う。なお、上記実施形態と同様に、第1カスケード側制御部20a、第2カスケード側制御部20b、第3カスケード側制御部20cのそれぞれは、自身が制御する第1カスケード回路12a、第2カスケード回路12b、第3カスケード回路12cの状況に基づいて、自ら対応する一次側第2膨張弁102の弁開度を制御する。これにより、一次側冷媒回路5aを流れる一次側の冷媒は、第1二次側冷媒回路10a、第2二次側冷媒回路10b、第3二次側冷媒回路10cにおける負荷の違いに対応するように、一次側第1連絡管111aおよび一次側第2連絡管112aにおける一次側の冷媒の流量と、一次側第1連絡管111bおよび一次側第2連絡管112bにおける一次側の冷媒の流量と、一次側第1連絡管111cおよび一次側第2連絡管112cにおける一次側の冷媒の流量と、が制御される。
【0211】
(12-7)他の実施形態G
上記実施形態では、一次側冷媒回路5aにおいて用いられる冷媒としてR32またはR410Aを例示し、二次側冷媒回路10において用いられる冷媒として二酸化炭素を例示した。
【0212】
これに対して、一次側冷媒回路5aにおいて用いられる冷媒としては、特に限定されるものではなく、HFC-32、HFO系冷媒、HFC-32とHFO系冷媒の混合冷媒、二酸化炭素、アンモニア、プロパン等を用いることができる。
【0213】
さらに、冷媒が流れる一次側冷媒回路5aの代わりに、水やブラインなどの熱媒体が流れる熱媒体回路を用いてもよい。この場合には、熱媒体回路としては、温熱源または冷熱源として機能する熱源と、熱媒体を循環させるためのポンプと、を有するものであってよい。この場合には、ポンプにより流量調節が可能になり、温熱源または冷熱源により熱量をコントロールすることが可能になる。
【0214】
また、二次側冷媒回路10において用いられる冷媒としては、特に限定されるものではなく、HFC-32、HFO系冷媒、HFC-32とHFO系冷媒の混合冷媒、二酸化炭素、アンモニア、プロパン等を用いることができる。
【0215】
なお、HFO系冷媒としては、例えば、HFO-1234yfやHFO-1234ze等を用いることができる。
【0216】
また、一次側冷媒回路5aと二次側冷媒回路10とでは、同じ冷媒が用いられていてもよいし、異なる冷媒が用いられていてもよいが、二次側冷媒回路10で用いられる冷媒は、一次側冷媒回路5aで用いられる冷媒よりも、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が低いか、オゾン層破壊係数(ODP:Ozone Depletion Potential)が低いか、燃焼性が低いか、毒性が低いか、の少なくともいずれかであることが好ましい。ここで、燃焼性は、例えば、ASHRAE34の燃焼性に関する区分に応じて比較することができる。また、毒性は、例えば、ASHRAE34安全等級に関する区分に応じて比較することができる。特に、一次側冷媒回路5aの総合内容容積よりも、二次側冷媒回路10の総合内容容積の方が大きい場合に、二次側冷媒回路10において地球温暖化係数(GWP)とオゾン層破壊係数(ODP)と燃焼性と毒性の少なくともいずれか一次側冷媒回路5aの冷媒よりも低い冷媒を用いることにより、漏洩が生じた場合の悪影響を小さく抑えることが可能になる。
【0217】
(付記)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0218】
1 :冷凍サイクル装置
2 :カスケードユニット
2x :カスケードケーシング
3a :第1利用ユニット
3b :第2利用ユニット
3c :第3利用ユニット
5 :一次側ユニット
5a :一次側冷媒回路
10 :二次側冷媒回路(冷媒回路)
12 :カスケード回路
13a、13b、13c:利用回路
20 :カスケード側制御部
21 :二次側圧縮機
21a :圧縮機モータ
22 :二次側切換機構
22a :第1切換弁
22b :第2切換弁
22x :吐出側連絡部
22y :吸入側連絡部
23 :吸入流路
24 :吐出流路
25 :第3配管
26 :第4配管
27 :第5配管
28 :第1配管
29 :第2配管
30 :二次側アキュムレータ
34 :油分離器
35 :カスケード熱交換器
35a :二次側流路
35b :一次側流路
36 :カスケード膨張弁
45 :二次側レシーバ(冷媒容器)
45a :第1連絡部
45b :第2連絡部
45c :第3連絡部
45d :第4連絡部
46 :バイパス回路
46a :バイパス膨張弁
47 :二次側過冷却熱交換器
48 :二次側過冷却回路
48a :二次側過冷却膨張弁
50a-c:利用側制御部
51a-c:利用側膨張弁
52a-c:利用側熱交換器
53a-c:室内ファン
58a、58b、58c:液側温度センサ
60a、60b、60c:分岐ユニット制御部
66a、66b、66c:第1調節弁
67a、67b、67c:第2調節弁
68a、68b、68c:逆止弁
69a、69b、69c:バイパス管
70 :一次側制御部
71 :一次側圧縮機
72 :一次側切換機構
74 :一次側熱交換器
76 :一次側第1膨張弁
80 :制御部
91 :第1安全弁(安全弁)
91a :第1安全弁接続部(第4接続部)
91x :ネジ山
92 :第2安全弁(安全弁)
92a :第2安全弁接続部(第4接続部)
96 :流路切換部
97 :第1接続配管
97a :第1接続部
97x :ネジ溝
98 :第2接続配管
98a :第2接続部
99 :流路切換弁
99a :第3接続部
102 :一次側第2膨張弁
103 :一次側過冷却熱交換器
104 :一次側過冷却回路
104a :一次側過冷却膨張弁
105 :一次側アキュムレータ
111 :一次側第1連絡管
112 :一次側第2連絡管
113 :第1冷媒配管
114 :第2冷媒配管
【先行技術文献】
【特許文献】
【0219】
【要約】 (修正有)
【課題】安全弁の接続箇所の信頼性を高めることが可能な冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】二次側レシーバ45を有する二次側冷媒回路と、第1接続部97aと、第2接続部98aと、二次側レシーバ45と接続される第3接続部99aと流路切換部96及び第1接続部97aまたは第2接続部98aに接続される安全弁接続部91a、92aとを有し、少なくとも安全弁接続部91a、92aがステンレス鋼製であり、流路切換部96は、第1接続部97aの安全弁接続部91aとの電位差が0.35V以下であり、第2接続部98aの安全弁接続部92aとの電位差が0.35V以下であり、第1接続部97aに対する安全弁接続部91aの許容引張応力が3.0倍以下であり、第2接続部98aに対する安全弁接続部92aの許容引張応力が3.0倍以下である。
【選択図】
図7