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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】外部接続コネクタ収納構造
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
G06F1/16 313Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022124050
(22)【出願日】2022-08-03
【審査請求日】2022-08-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立川 秀明
(72)【発明者】
【氏名】立川 忠則
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-041186(JP,A)
【文献】特開2005-084705(JP,A)
【文献】特開2000-163161(JP,A)
【文献】特開平11-265238(JP,A)
【文献】特開平06-110580(JP,A)
【文献】特開平05-289776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/16-1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体型デスクトップパソコンの本体又はモニタの本体の下部に配設された箱と、
該箱に内蔵された小基板と、
ケーブルを接続可能な接続口を有し該小基板に実装される外部接続コネクタと、
前記箱の前方側上部に配設された回転軸と、
前記本体に配設され前記回転軸を支持する軸受部と、
前記本体に配設された係合突起と、
前記箱に配設されたプッシュ式ラッチと、
前記箱に配設されたトーションばねと、を備え、
前記箱を前記本体の内部に収納して前記外部接続コネクタの接続口を前記本体の底面側に位置付けた状態と、
前記本体の底面から前記本体の正面に向かう手前方向に前記回転軸を軸に前記箱を回転させ前記本体の内部から飛び出させて、前記外部接続コネクタの接続口を前記本体の正面側に位置付けた状態と、を切り替え可能であり、
前記箱が前記本体の内部に収納されている状態において、前記箱は、前記係合突起が前記プッシュ式ラッチに係合することで固定されており、
前記外部接続コネクタの接続口を前記本体の正面側に位置付ける際は、前記箱を下側から押すことで前記プッシュ式ラッチと前記係合突起との係合を解除して、前記トーションばねが蓄えていた付勢力によって前記箱が前記本体の底面から前記本体の正面に向かう手前方向に前記回転軸を軸に回転させる外部接続コネクタ収納構造。
【請求項2】
前記箱が前記本体の内部に収納されている状態において、前記箱に内蔵された前記小基板が水平面に対して垂直になるように立った状態、又は水平面に対して垂直に近い角度で立った状態となる請求項1に記載の外部接続コネクタ収納構造。
【請求項3】
前記回転軸は軸側ギアを備え、
前記軸受部は、前記箱の回転速度を調整するロータリダンパと、前記ロータリダンパに配設され前記軸側ギアと噛合する本体側ギアと、を備える請求項1又は2に記載の外部接続コネクタ収納構造。
【請求項4】
前記本体、又は前記箱のいずれか一方に前記本体の内部から飛び出した状態の前記箱を固定するロック機構を備える請求項1又は2に記載の外部接続コネクタ収納構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一体型デスクトップパソコン又はモニタにおける外部接続コネクタ収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されているような一体型デスクトップパソコン、又はパソコンのモニタにおいて、ユーザーの利便性のために装置の正面や側面、あるいは背面に外部接続コネクタを配置している。特にユーザーが頻繁に使用する外部接続コネクタを装置正面に配置することで使い勝手が良くなり、これをフロントアクセス収納構造と称している。
【0003】
しかし、該構造は常にユーザーの視界範囲に外部接続コネクタが露出した状態になるため、シンプルな美的デザインを追求するには好ましくない。これを解決する手段として外部接続コネクタを小基板に実装し、それを可動式の箱の内部に配置し、この箱が上下に直動して一体型デスクトップパソコン等の本体内部に収納され、未使用時にはユーザーの視界に入らないようにすることを可能とした構造が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-143133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
外部接続コネクタを本体内部に収納することでデザイン性と機能性との両立を図ることが可能となったが、収納する箱に配置される小基板が水平方向に平行に配置されることにより箱の奥行き寸法が大きくなる。これによって装置本体側の厚さが増すことになり、一体型デスクトップパソコン等の薄型化を訴求した昨今のデザインにおいて不利な状況となっている。そこで、小基板を水平面に対して垂直に配置しストレートタイプの外部接続コネクタを使用することも考えられるが、コネクタの種類によっては市販品が存在せずカスタムメイドすることになり、技術的な問題や開発費用、コネクタ構成部品の金型費等、多額のコストが発生する。
【0006】
よって、一体型デスクトップパソコン又はモニタに配設される外部接続コネクタ収納構造においては、既存のコネクタを使用しつつ一体型デスクトップパソコン等の薄型化を図るとともに、外部接続コネクタを使用する使用者の利便性を向上させるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る外部接続コネクタ収納構造は、一体型デスクトップパソコンの本体又はモニタの本体の下部に配設された箱と、ケーブルを接続可能な接続口を有し該箱に内蔵された小基板に実装される外部接続コネクタと、前記箱の前方側上部に配設された回転軸と、前記本体に配設され前記回転軸を支持する軸受部と、前記本体に配設された係合突起と、前記箱に配設されたプッシュ式ラッチと、前記箱に配設されたトーションばねと、を備え、前記箱を前記本体の内部に収納して前記外部接続コネクタの接続口を前記本体の底面側に位置付けた状態と、前記本体の底面から前記本体の正面に向かう手前方向に前記回転軸を軸に前記箱を回転させ前記本体の内部から飛び出させて、前記外部接続コネクタの接続口を前記本体の正面側に位置付けた状態と、を切り替え可能であり、前記箱が前記本体の内部に収納されている状態において、前記箱は、前記係合突起が前記プッシュ式ラッチに係合することで固定されており、前記外部接続コネクタの接続口を前記本体の正面側に位置付ける際は、前記箱を下側から押すことで前記プッシュ式ラッチと前記係合突起との係合を解除して、前記トーションばねが蓄えていた付勢力によって前記箱が前記本体の底面から前記本体の正面に向かう手前方向に前記回転軸を軸に回転させる。
【0008】
本発明に係る外部接続コネクタ収納構造において、例えば、前記箱が前記本体の内部に収納されている状態において、前記箱に内蔵された前記小基板が水平面に対して垂直になるように立った状態、又は水平面に対して垂直に近い角度で立った状態とする。
【0010】
本発明に係る外部接続コネクタ収納構造においては、例えば、前記回転軸は軸側ギアを備え、前記軸受部は、前記箱の回転速度を調整するロータリダンパと、前記ロータリダンパに配設され前記軸側ギアと噛合する本体側ギアと、を備える。
【0011】
本発明に係る外部接続コネクタ収納構造は、例えば、前記本体、又は前記箱のいずれか一方に前記本体の内部から飛び出した状態の前記箱を固定するロック機構を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る外部接続コネクタ収納構造は、前記外部接続コネクタに対して使用者が各種のケーブルを抜き差しする必要がないとき等においては、一体型デスクトップパソコンの本体又はモニタの本体の下部に配設された箱を、前記本体の内部に収納して前記外部接続コネクタの接続口を前記本体の底面側に位置付けた状態とし、外部接続コネクタの接続口に使用者が各種のケーブルを差し込む際等においては、本体の底面から本体の正面に向かう手前方向に向かって、本体側の軸受部に支持された回転軸を軸に箱を回転させ本体の内部から飛び出させて、外部接続コネクタの接続口を本体の正面側に位置付けた状態に切り替えることができる。そして、例えば一体型デスクトップパソコンの本体を従来よりも薄型化できるとともに、外部接続コネクタを使用する使用者の利便性が向上する。また、外部接続コネクタの不使用時において、本体内部に箱が収納されていることで、シンプルな美的デザインを損なうこともない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本実施形態の外部接続コネクタ収納構造が配設される一体型デスクトップパソコンの一例を示す正面図である。
図2図2は、パソコン本体の外周枠の下部に配設された外部接続コネクタ収納構造の箱が、外周枠内部から飛び出ており、外部接続コネクタの接続口がパソコン本体の正面側に位置付けられた状態を、箱の天板側から見た斜視図である。
図3図3は、パソコン本体の外周枠の下部に配設された外部接続コネクタ収納構造の箱が、外周枠内部から飛び出ており、外部接続コネクタの接続口がパソコン本体の正面側に位置付けられた状態を、箱の正面板側から見た斜視図である。
図4図4は、外部接続コネクタを実装した小基板が内蔵された箱の一例を示す斜視図である。
図5図5は、パソコン本体の外周枠内に収納された状態の箱の内部の構造の一例を示す断面図である。
図6図6は、プッシュ式ラッチに係合突起が係合しているとともに、回転軸の軸側ギアと軸受部のロータリダンパに配設されたパソコン本体側ギアとが噛合している状態を示す平面図である。
図7図7は、パソコン本体の内部から飛び出した状態の箱を固定するロック機構を説明する斜視図である。
図8図8は、パソコン本体の外周枠の内部に箱が収納されており、外部接続コネクタの接続口がパソコン本体の底面側に位置付けられた状態を示す斜視図である。
図9図9は、従来の外部接続コネクタ収納構造がパソコン本体に配設されている場合において、箱が外周枠の内部に収納された状態を説明する断面図である。
図10図10は、パソコン本体の外周枠の内部に対して、箱を戻して収納させる場合を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態に係る図1に示す外部接続コネクタ収納構造3は、例えば液晶画面などの表示装置14がパソコン本体10と一体化されたデスクトップ型のパーソナルコンピュータ1(以下、一体型デスクトップパソコン1とする)に配設されている。なお、外部接続コネクタ収納構造3は、表示装置として独立したパソコンモニタに配設されていてもよい。
【0015】
以下の各図では、便宜上、方向(X方向、Y方向、Z方向)が規定されている。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交している。そしてX方向及びY方向で形成される平面を水平面とし、Z方向を鉛直方向とする。X方向は、+X方向と-X方向とを含む。Y方向は、+Y方向と-Y方向とを含む。Z方向は、+Z方向(上方向)と-Z方向(下方向)とを含む。
【0016】
本体10の正面側(-Y方向側)を向く表示装置14は、例えば、公知のLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどであり、正面視略矩形の筐体である本体10に一体的に取り付けられている。
【0017】
本体10の内部には、CPU、メモリ等の記録媒体、GPU、マザーボード、及び各種のドライブ等が収容されている。また、本体10は、表示装置14が嵌められて取り付けられる外周枠103を備えている。
【0018】
外周枠103の少なくとも下部側は、本実施形態に係る外部接続コネクタ収納構造3を収容可能な内部空間を形成している。なお、図1においては、本体10の外周枠103の下部に配設された外部接続コネクタ収納構造3の箱4が、外周枠103内部から飛び出ている状態を示している。図2に示すように、本体10の下部側、即ち、外周枠103の下部側は、例えば、本体10の正面側(表示装置14側となる-Y方向側)に位置する前壁104と、前壁104に対してY方向において反対側(本体10の背後側)に位置する後壁105と、前壁104と後壁105の下端に連結された底板106とを少なくとも備えている。そして、前壁104と、後壁105と、底板106とによって、本体10の外周枠103の下部には、外部接続コネクタ収納構造3の各構成を設置可能で一体型デスクトップパソコン1の幅方向(X方向)に延在する溝状の下部空間108が形成されている。
【0019】
図1に示すように、本体10を形成する外周枠103の底板106下面の左右の領域には、本体10を支える脚部13がそれぞれ配設されている。一体型デスクトップパソコン1は、デスク等の設置面Bに脚部13を介して設置され、本体10の底板106の下面は、設置面Bから上方向に離間している。そして、外部接続コネクタ収納構造3の箱4の回転による外周枠103からの飛び出しを許容する空間が、本体10の底板106と設置面Bとの間に形成されている。
【0020】
例えば、図2に示すように、本体10の外周枠103の下側部分となる前壁104、底板106、及び後壁105の一部分にかけては、一体的に正面視矩形状に切り欠かれており、外周枠103の溝状の下部空間108の中において、箱4の回転を許容する回転許容空間109がさらに形成されている。
【0021】
図2図4において、外部接続コネクタ31を実装した小基板32(図5参照)が内蔵された箱4の一例の斜視図を示す。図2図5に示す箱4は、例えば、平面視略矩形の天板40と、天板40の下面から垂下する正面視略矩形の正面板41と、天板40の下面から垂下し天板40の長手方向において対向する二枚の側板42、43と、天板40の下面に連結され正面板41側に向かって湾曲しながら下方に延びる背板44と、正面板41、二枚の側板42、43、及び背板44の下端に連結された底板45と、を備えている。本実施形態においては、正面板41、二枚の側板42、43、背板44、及び底板45は一体的に連結されており、天板40が正面板41、二枚の側板42、43、及び背板44から取り外し可能となっている。なお、図2図3においては、箱4が一体型デスクトップパソコン1の本体10から飛び出た状態を示しており、図5においては、箱4が本体10内に収納された状態を示している。
【0022】
本実施形態においては、図5に示すように、底板45の箱4の内部側面に天板40側に向かって延在する柱状の口径部451が形成されている。口径部451の先端から内部にかけては図示しない雌ネジ穴が形成されている。また、天板40の内部側面の口径部451に対応する位置には、外周面に図示しない雄ネジが形成され口径部451の図示しない雌ネジ穴に螺合するボス部406が形成されている。そして、口径部451の雌ネジ穴にボス部406の雄ネジが螺合することで、天板40が正面板41、二枚の側板42、43、背板44に取り外し可能に接続されてされる。
【0023】
図3に示すように、正面板41の前後面は、略平坦面となっている。正面板41には厚さ方向に例えば正面視略矩形の貫通孔411が貫通形成されており、該貫通孔411は、外部接続コネクタ31の接続口311に連通している。また、図3に示す例においては、貫通孔411に、X方向に並べて、オーディオ端子等を接続するための端子開口412が形成されている。
【0024】
外部接続コネクタ31は、図示の例においてはUSB(ユニバーサル シリアル バス)ケーブルを接続可能なタイプである。なお、外部接続コネクタ31は、HDMI(登録商標)ケーブル等の他のケーブルが接続可能なコネクタであってもよい。外部接続コネクタ31の種類としては、例えば、使用者が頻繁に使用して、かつ頻繁に抜き差しを繰り返す種類のものである。
【0025】
図3図5に示すように、箱4の内部に、外部接続コネクタ31が収容されている。外部接続コネクタ31は、従来から知られているものであって、図示の例においては、取付タイプがスルーホールで、ボディ向きがストレートタイプのものであるが、これに限定されるものではない。外部接続コネクタ31は、例えばUSBケーブルを挿入可能な接続口311を有するコネクタケース312を備えている。コネクタケース312の内部には、図示しない接続ピン、及び端子が取り付けられている。コネクタケース312の接続口311は、正面板41に形成された貫通孔411と同程度の大きさに設定されており、貫通孔411と連通している。
【0026】
例えば、図5に示すように、コネクタケース312の上面には、係合片313が形成されている。外部接続コネクタ31は、図5に示す小基板32に係合片313が係合して連結されている。小基板32は、例えば天板40と略平行に延在しており天板40に取り付けられている。
【0027】
例えば、図5に示す外部接続コネクタ31のコネクタケース312の接続口311の反対側となる後方側には、一体型デスクトップパソコン1の本体10内部に収容されたマザーボード等に接続する図示しないケーブルが電気的に接続されている。外部接続コネクタ31に一端が接続された図示しないケーブルは、例えばフレキシブルフラットケーブル(FFC)等であって、ケーブルクランプ351によって束ねられて箱4内部で天板40側に向かって立ち上がるように延在する。
【0028】
図4図5に示すように、天板40の上面の大部分は、略平坦面に形成されており、また、天板40の上面の一部は略三角台状に盛り上がったケーブル逃げ部407となっている。ケーブル逃げ部407は、内部に空洞を備えており、該空洞内で前記図示しないFFC等が正面板41側に向かって湾曲される。図4に示すように、天板40のケーブル逃げ部407の前方となる位置には、ケーブル通過口408が天板40の厚さ方向に貫通形成されている。そして、ケーブル通過口408を図示しないFFC等の他端側が通過して箱4の外部に位置付けされて、さらに、FFC等の他端側が本体10内部でマザーボード等と接続可能となる。
【0029】
図3図5に示すように、例えば、底板45は、下方に向かって突出するように所定の角度で曲げられており、使用者が箱4を本体10の外周枠103の下側内部に収容する際に、底板45を把持しやすくなっている。
【0030】
図2に示すように、外周枠103の下部の回転許容空間109のX方向両側の近傍における前壁104の内側面と後壁105の内側面とには、Y方向において対向する一対の突壁が形成されており、この一対の突壁の間に箱4に配設された回転軸50の一端と他端とがそれぞれ入り込む支持窪み111が形成されている。
【0031】
図2図4、及び図5に示すように、箱4の前方側上部、即ち、天板40の正面板41との接続部分(稜線部分)には、軸方向が天板40の延在方向(X方向)と略平行である回転軸50が配設されている。図2、及び図4に示すように、回転軸50の-X方向の一端側は、箱4の側板43から箱4の外部に所定長さだけ突き出ており、図2に示す外周枠103の一方の支持窪み111に入れられるとともに、ベアリング等を備える一方の軸受部112によって回転可能に支持されている。外周枠103下部の溝状の下部空間108に配設された一方の軸受部112は、底板106の上面に固定されている。
【0032】
また、図2図4に示す回転軸50の+X方向の他端側は、箱4の側板42から箱4の外部に所定長さだけ突き出ており、該突出した部分は、図2に示す外周枠103の他方の支持窪み111に配置されベアリング151を介して支持されている。例えば、回転軸50の+X方向の他端側の該突出した部分(他方の支持窪み111よりさらに外側に位置する部分)には、平歯車等の軸側ギア503が形成されている。
【0033】
図2、及び図6に示す回転軸50の+X方向の他端側を回転可能に支持する軸受部15は、例えば、上記ベアリング151と、箱4の回転速度を調整するロータリダンパ153と、ロータリダンパ153に配設され軸側ギア503と噛合する本体側ギア154と、を備えている。
【0034】
例えば、ロータリダンパ153の図示しないロータリシャフトに平歯車等の本体側ギア154が挿通されて取り付けられている。また、ロータリダンパ153は、L型固定金具155によって外周枠103の底板106の上面に固定されている。
【0035】
図2図3、及び図6に示すように、箱4の天板40の正面板41側から見て奥側の一角となる領域には、例えばプッシュ式ラッチ61が配設されている。図2図3に示すように箱4が本体10の外周枠103の下部側から飛び出した状態、即ち、外部接続コネクタ31の接続口311が本体10の正面側(-Y方向側)に向いた状態においては、プッシュ式ラッチ61の一対のアーム610は、天板40の上面から突出して開いた状態になっている。
【0036】
図2に示すように外周枠103の前壁104下部の内側面には、プッシュ式ラッチ61が係合する係合突起63が配設されている。係合突起63は、図2に示すように箱4が本体10の外周枠103から飛び出した状態においては、プッシュ式ラッチ61の一対のアーム610から外れた状態になっており、外周枠103の回転許容空間109内において後壁105側に向かって延在している。また、係合突起63は、図6に示すように、箱4が外周枠103内に収納されている状態においては、プッシュ式ラッチ61を押した状態で一対のアーム610によって挟まれてロックされた状態になっている。
【0037】
図2図4に示すように、例えば、箱4の天板40の前方側上部には、ヒンジ645を介してトーションばね64が装着されている。図2に示す外周枠103の下部側の前壁104の内側面には一対の突片643が形成されており、トーションばね64の一端の直線部640が一対の突片643の間に収納されてX方向におけるずれが規制された状態で、前壁104に当接している。また、トーションばね64の他端の直線部641は、可動面である天板40の上面に沿うように接触している。
【0038】
例えば、図2図7に示すように、本実施形態の外部接続コネクタ収納構造3は、本体10の外周枠103の下部側に、外周枠103から飛び出した状態の箱4を固定するロック機構70を備えている。なお、ロック機構70は、箱4側に配設されていてもよい。ロック機構70は、本実施形態においては、かんぬき式であるがこれに限定されない。
【0039】
図7に示すように、ロック機構70は、例えば外周枠103の底板106上面における箱4の側方近傍に配設されており、使用者がX方向にスライド可能なロックボタン71(図8参照)が、本体10の外周枠103の下部側の底面に設けられたボタン用開口から外側に露出している。また、本体10の外周枠103の下部側の内部側の面には、ロックボタン71と連結されたスライダ72が取り付けられている。
【0040】
ばねが内蔵されたスライダ72は、外周枠103の底板106の上面に取り付けられX方向に延在するガイドバー73によってガイドされつつ、X方向に直動可能となっている。スライダ72の箱4側に向く側面には、支持窪み111を形成する突壁を貫通して箱4に接触可能な嵌合突起74が形成されている。嵌合突起74は例えば四角柱状に形成されている。また、例えば、箱4の側板43の嵌合突起74に対向する箇所には、四角柱状の図示しない嵌合穴が形成されている。なお、嵌合突起74が円柱状であって、図示しない嵌合穴も円柱状となっていてもよい。
【0041】
図8では、一体型デスクトップパソコン1の本体10の外周枠103の下部内部に箱4の略全体が収納された状態になっており、使用者が外部接続コネクタ31を使用していない状態となっている。この状態においては、図6に示すプッシュ式ラッチ61に係合突起63が係合している。即ち、プッシュ式ラッチ61の一対のアーム610の間に係合突起63が入り込み、係合突起63がプッシュ式ラッチ61を押した状態で一対のアーム610によって把持されている。また、図8に示すトーションばね64の他端の直線部641が、天板40によって外周枠103の前壁104側に押されるとともに、箱4を回転軸50を軸として回転させるための付勢力をトーションばね64が蓄えた状態となっている。また、ロック機構70の嵌合突起74(図7参照)は、箱4の側板43に当接した状態になっている。
【0042】
また、箱4が本体10の外周枠103の内部に収納されている状態において、図5に示すように、箱4に内蔵された小基板32が水平面(XY平面)に対して垂直に近い角度で立った状態となる。なお、小基板32が、水平面(XY平面)に対して垂直に立った状態になってもよい。
【0043】
図9は、従来の外部接続コネクタ収納構造39の一例を示す断面図である。従来の外部接続コネクタ収納構造39は、例えば、図1に示す一体型デスクトップパソコン1の外周枠103の下部に配設されており、図示しない上下動機構によって箱49がZ方向に直動する構造となっている。そして、外周枠103の下面に形成された進退出口から箱49が外部に向かって飛び出る、又は外部から外周枠103内に収納される。そして、外部接続コネクタ31が小基板328に実装されて、箱49内部に収納されている。従来の外部接続コネクタ収納構造39においては、図9に示すように、箱49が外周枠103の内部に収納されている状態において、箱49に内蔵された小基板328が水平面(XY平面)に対して略平行な状態となる。従来の外部接続コネクタ収納構造39を備えている場合には、外周枠103のY方向における厚さが例えば厚さL1となる。
【0044】
本発明に係る外部接続コネクタ収納構造3では、図5に示すように、回転軸50を軸に回転可能な箱4が本体10の外周枠103の内部に収納されている状態において、箱4に内蔵された小基板32が水平面(XY平面)に対して垂直に近い角度で立った状態となっている。そして、外周枠103のY方向における厚さが例えば厚さL2である。そして、本発明に係る外部接続コネクタ収納構造3では、図5図9に示すように、一体型デスクトップパソコン1のY方向における厚さL2を、一体型デスクトップパソコン1が従来の外部接続コネクタ収納構造39を備えている場合のY方向における厚さL1と比べて小さくすることが可能となる。即ち、常に小基板32がY方向において最も長くなっている状態でしか箱49を外周枠103に収納できない従来の外部接続コネクタ収納構造39と比べて、本発明に係る外部接続コネクタ収納構造3は、箱4が本体10の外周枠103の内部に収納されている状態において、小基板32を水平面(XY平面)に対して垂直に近い角度で立った状態として、一体型デスクトップパソコン1のY方向における厚さを小さくすることが可能となる。
【0045】
図8に示すように、箱4が本体10の外周枠103の内部に収納されている状態においては、一体型デスクトップパソコン1の外周枠103の下面と箱4の正面板41とが略面一な状態となり、シンプルな美的デザインが損なわれていない。なお、図8に示す状態において、外周枠103の前壁104と天板40との間には所定の隙間が設けられており、天板40に形成されたケーブル通過口408から箱4の外部に出てマザーボード等とつながる図示しないFFCは、該隙間に位置しており、前壁104と天板40とにより挟まれて押圧されてしまうことがない状態になっている。さらに、後述する箱4の回転の際においても、該図示しないFFCは該隙間内を移動して、前壁104と天板40とにより挟まれて押圧されてしまうことはない。
【0046】
以下に、外部接続コネクタ収納構造3において、使用者が外部接続コネクタ31を使用する場合、即ち、外部接続コネクタ31に使用者がUSBケーブル等を差し込む場合について説明する。図8に示す本体10の外周枠103の内部に収納されている状態の箱4の下側を向いた正面板41の主に+Y方向側の領域を、使用者が下方から上方に向かって押すことで、図6に示すプッシュ式ラッチ61の一対のアーム610に把持されている係合突起63がプッシュ式ラッチ61を押す。そして、係合突起63とプッシュ式ラッチ61との係合が解除される。これに伴って、図8に示すトーションばね64が蓄えていた付勢力によって、トーションばね64の他端の直線部641が箱4の天板40を下方に向かって押していき、図2図4に示す回転軸50を軸に+X方向側から見て時計回り方向(手前方向)に箱4を回転させていく。
【0047】
本実施形態においては、図2に示す回転軸50の軸側ギア503と軸受部15のロータリダンパ153に配設された本体側ギア154とが噛合しており、回転軸50の回転とともに回転する箱4の回転速度は、ロータリダンパ153内のオイルの粘性抵抗により発生する制動力(ブレーキ力)によって調整(減速)され、回転軸50と他方の軸受部15、及び一方の軸受部112との接触部位を破損させる瞬間的な撃力を発生させないようにしている。
【0048】
上記のように、箱4が回転軸50を軸にして本体10の底面から本体10の正面に向かう手前方向に図2図3に示す回転許容空間109内で回転することで、箱4が本体10の外周枠103の下部から飛び出てくる。そして、例えば、天板40が水平面(XY平面)と略平行な状態になることで、箱4の回転が停止し、図2図3に示すように、箱4の正面板41及び外部接続コネクタ31の接続口311が本体10の正面側(-Y方向側)に位置付けされる。なお、天板40に形成されたケーブル通過口408から箱4の外部に出ている図示しないFFC等は、前壁104の背後に隠れて使用者からは目視できないようになり美観が損なわれない。
【0049】
次いで、使用者が、図2図3に示すロック機構70のロックボタン71をスライドさせることに伴って、箱4の側板43の図示しない嵌合穴に嵌合突起74が嵌合する。そして、ロック機構70によって、本体10の外周枠103の下部側から出てきた箱4が、使用者が外部接続コネクタ31の接続口311に図示しないUSBケーブルを差し込む際の押圧力等によって、外周枠103側に回転して戻ってしまわないように固定される。
【0050】
このように、外部接続コネクタ31の使用時は、一体型デスクトップパソコン1の本体10の底面から本体10の正面に向かう手前方向に、回転軸50を軸に箱4を回転させ本体10の外周枠103の内部から飛び出させる。そして、外部接続コネクタ31の接続口311を本体10の正面側に位置付けた状態にすることで、外部接続コネクタ31の接続口311に使用者がUSBケーブル等を挿し込みやすいようになり、また、USBケーブル等を外部接続コネクタ31から引き抜きやすくなる。
【0051】
以下に、外部接続コネクタ収納構造3において、図10に示す箱4を再び一体型デスクトップパソコン1の本体10の外周枠103の下部に収納する場合について説明する。収納する工程は、基本的には、箱4を本体10の外周枠103の下部から飛び出させる上記工程と逆の工程となる。なお、再び収納する場合において、外部接続コネクタ31は、USBケーブル等が使用者によって外された状態であってもよいし、USBケーブル等が差し込まれた状態であってもよい。
【0052】
使用者が、図10に示すロックボタン71を箱4から離間する方向(-X方向)へ移動させることで、嵌合突起74(図8参照)が箱4の側板43の図示しない嵌合孔から引き抜かれてロックが解除され、箱4が外力を加えることで回転可能な状態になる。
【0053】
次いで、使用者が例えば箱4の底板45を把持して、図10に示す箱4を本体10の正面側(-Y方向側)から手前奥側(+Y方向側)に向かって回転させるように押していく。そして、プッシュ式ラッチ61を図2に示す係合突起63で押すとともに、一対のアーム610に係合突起63を把持させる。また、トーションばね64の一端の直線部640及び他端の直線部641が一対の突片に収納されるとともに、トーションばね64が付勢力を蓄えた状態になる。なお、天板40のケーブル通過口408から箱4の外部に出ている図示しないFFC等は、前壁104と天板40との間に形成された隙間を移動していくため、前壁104と天板40とにより挟まれて押圧されてしまうことはない。
【0054】
そして、箱4を本体10の外周枠103内に収納し、外部接続コネクタ31の接続口311を本体10の底面側に位置付けた図8に示す状態で、プッシュ式ラッチ61により箱4を固定する。再び、箱4が本体10の外周枠103の内部に収納されている状態において、箱4に内蔵された小基板32が水平面(XY平面)に対して垂直に近い角度になるように立った状態(図5参照)となる。また、正面板41が外周枠103の底板106と略面一な状態になる。
【0055】
上記のように、本実施形態の外部接続コネクタ収納構造3は、外部接続コネクタ31に対して使用者が例えばUSBケーブル等の抜き差しを行わない状態では、一体型デスクトップパソコン1の本体10の外周枠103の下部に配設された箱4を、本体10の内部に収納して外部接続コネクタ31の接続口311を本体10の底面側に位置付ける。また、外部接続コネクタ31を使用者がUSBケーブル等を差し込んで使用する際には、本体10の底面から本体10の正面に向かう手前方向に向かって、本体10側の一方の軸受部112及び他方の軸受部15に支持された回転軸50を軸に箱4を回転させ、本体10の外周枠103の内部から飛び出させる。そして、外部接続コネクタ31の接続口311を本体10の正面側(-Y方向側)に位置付ける。そして、一体型デスクトップパソコン1の本体10を従来よりも薄型化できるとともに、外部接続コネクタ31を使用する使用者の利便性を向上させることができる。また、外部接続コネクタ31の不使用時において、本体10内部に箱4が収納されていることで、シンプルな美的デザインを損なうこともない。
【0056】
なお、外部接続コネクタ31の接続口311は、本体10の底面側に位置付けた状態と本体10の正面側に位置付けた状態とのいずれにおいても、外周枠103から露出した状態となるため、例えば図示しないUSBケーブルを外部接続コネクタ31に差した状態でも箱4を本体10内部に収納でき、箱4の本体10内部への収納時にUSBケーブルが本体10と干渉しないため、外部接続コネクタ31及びUSBケーブルを破損させるおそれもない。
【0057】
本実施形態の外部接続コネクタ収納構造3は、例えば、本体10の外周枠103に配設された係合突起63と、箱4に配設されたプッシュ式ラッチ61と、箱4に配設されたトーションばね64と、を備えることで、箱4が本体10の外周枠103の内部に収納されている状態において、箱4は、係合突起63がプッシュ式ラッチ61に係合することで固定できる。また、外部接続コネクタ31の接続口311を本体10の正面側に位置付ける際は、箱4を下側から押すだけでプッシュ式ラッチ61と係合突起63との係合を解除して、トーションばね64が蓄えていた付勢力によって箱4が本体10の底面から本体10の正面に向かう手前方向に回転軸を軸に回転させることができ、使用者の外部接続コネクタ31の使用時の利便性が向上する。
【0058】
また、本実施形態の外部接続コネクタ収納構造3は、回転軸50は軸側ギア503を備え、軸受部15は、箱4の回転速度を調整するロータリダンパ153と、ロータリダンパ153に配設され軸側ギア503と噛合する本体側ギア154と、を備えることで、箱4を回転して本体10の正面側に向かって引き出す際の回転軸50や軸受部15等の破損の発生を抑制することができる。
【0059】
本実施形態の外部接続コネクタ収納構造3は、例えば本体10の外周枠103に、本体10の外周枠103の内部から飛び出した状態の箱4を固定するロック機構70を備えることで、使用者が外部接続コネクタ31の接続口311にUSBケーブル等を容易に差し込むことが可能となる。
【0060】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1:一体型デスクトップパソコン 10:一体型デスクトップパソコンの本体 103:外周枠
14:表示装置
15:軸受部 151:ベアリング 153:ロータリダンパ 154:本体側ギア
3:外部接続コネクタ収納構造
31:外部接続コネクタ 311:接続口
4:箱
40:天板 42、43:側板 44:背板 45:底板
50:回転軸 503:軸側ギア
61:プッシュ式ラッチ
63:係合突起
64:トーションばね
70:ロック機構
【要約】
【課題】一体型デスクトップパソコンに配設される外部接続コネクタ収納構造において、一体型デスクトップパソコンの薄型化を図る。
【解決手段】一体型デスクトップパソコンの本体又はモニタの本体の下部に配設された箱と、該箱に内蔵された小基板と、ケーブルを接続可能な接続口を有し該小基板に実装される外部接続コネクタと、前記箱の前方側上部に配設された回転軸と、前記本体に配設され前記回転軸を支持する軸受部と、を備え、前記箱を前記本体の内部に収納して前記外部接続コネクタの接続口を前記本体の底面側に位置付けた状態と、前記本体の底面から前記本体の正面に向かう手前方向に前記回転軸を軸に前記箱を回転させ前記本体の内部から飛び出させて、前記外部接続コネクタの接続口を前記本体の正面側に位置付けた状態と、を切り替え可能な外部接続コネクタ収納構造。
【選択図】図3
図1
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図10