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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】電池配線モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/572 20210101AFI20221221BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20221221BHJP
   H01M 50/298 20210101ALI20221221BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20221221BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20221221BHJP
【FI】
H01M50/572
H01M50/507
H01M50/298
H01M50/569
H01M50/204 401D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019098843
(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2020194675
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】柳田 泰次
(72)【発明者】
【氏名】下田 洋樹
【審査官】櫛引 明佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-060044(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0124763(KR,A)
【文献】国際公開第2019/064924(WO,A1)
【文献】特開2015-002164(JP,A)
【文献】特開2011-018478(JP,A)
【文献】特開2014-229594(JP,A)
【文献】特開2018-156933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に並べられた複数の電池セルにおける隣接する前記電池セルを電気的に接続する複数のバスバーと、
一端が外部接続用端子に接続され、他端に設けられた接続部が何れかの前記バスバーに接続される複数の被覆電線と、
前記バスバーを収容するバスバー用収容枠部と、前記被覆電線を配索する電線配索用通路が設けられた電線配索体と、
前記電線配索体に組付けられるサブアッシプロテクタとを含み、
前記サブアッシプロテクタは、前記電線配索体に対向して配置される上壁と、前記上壁から前記電線配索体に向かって突出すると共に隙間を隔てて対向する一対の側壁を含んで区画される領域を有しており、
前記サブアッシプロテクタは、前記領域に複数の前記被覆電線が収容され、前記被覆電線が、前記サブアッシプロテクタに結束テープ又は結束バンドで固定されて保持された状態で、前記電線配索体に組み付けられている、
電池配線モジュール。
【請求項2】
前記サブアッシプロテクタは複数の前記被覆電線を前記複数の配索経路毎に分けて保持する請求項1に記載の電池配線モジュール。
【請求項3】
前記サブアッシプロテクタが、
前記外部接続用端子に接続される前記被覆電線を保持する基端側電線保持部と、
前記基端側電線保持部に保持された前記被覆電線を、複数の前記配索経路に分けて保持する複数の分岐電線保持部と
を含む請求項2に記載の電池配線モジュール。
【請求項4】
一列に並べられた複数の電池セルにおける隣接する前記電池セルを電気的に接続する複数のバスバーと、
一端が外部接続用端子に接続され、他端に設けられた接続部が何れかの前記バスバーに接続される複数の被覆電線と、
前記バスバーを収容するバスバー用収容枠部と、前記被覆電線を配索する電線配索用通路が設けられた電線配索体と、
前記電線配索体に組付けられるサブアッシプロテクタとを含み、
前記サブアッシプロテクタは複数の前記被覆電線を保持し、
前記サブアッシプロテクタは複数の前記被覆電線を前記複数の配索経路毎に分けて保持し、
前記サブアッシプロテクタが、
前記外部接続用端子に接続される前記被覆電線を保持する基端側電線保持部と、
前記基端側電線保持部に保持された前記被覆電線を、複数の前記配索経路に分けて保持
する複数の分岐電線保持部と
を含み、
前記基端側電線保持部および各前記分岐電線保持部の少なくとも1つが、前記電線配索体に対向して配置される上壁と、前記上壁から前記電線配索体に向かって突出すると共に隙間を隔てて対向する一対の側壁と、各前記側壁の突出端側から他方の前記側壁に向かって延びる爪部を有しており、
前記上壁と前記側壁と前記爪部によって電線が保持される電池配線モジュール。
【請求項5】
前記分岐電線保持部の一対の側壁が前記電線配索体の前記電線配索用通路を構成する一対の側壁の対向面間に収容されるようになっている請求項3または請求項4に記載の電池配線モジュール。
【請求項6】
前記基端側電線保持部が、前記被覆電線の延び出し方向を規制する規制片を有している請求項3から請求項5の何れか1項に記載の電池配線モジュール。
【請求項7】
前記電線配索体が、複数の前記電池セルの一方側の電極端子側に配置されており、前記バスバー用収容枠部と前記電線配索用通路を備える第一配索部と、複数の前記電池セルの他方側の電極端子側に配置されており、前記バスバー用収容枠部と前記電線配索用通路を備える第二配索部と、を有し、
前記サブアッシプロテクタが、前記電線配索体の長手方向の中間部分に組み付けられており、
複数の前記分岐電線保持部が、前記第一配索部の一端側に前記被覆電線を分岐する第一分岐部と、他端側に前記被覆電線を分岐する第二分岐部と、前記第二配索部の一端側に前記被覆電線を分岐する第三分岐部と、他端側に前記被覆電線を分岐する第四分岐部とを含む請求項3から請求項6の何れか1項に記載の電池配線モジュール。
【請求項8】
前記電線配索体の前記第一配索部と前記第二配索部が、伸縮変形可能な第一伸縮部を介して連結されており、
前記サブアッシプロテクタが、前記第一分岐部と前記第二分岐部を含む第一配索部側部位と、前記第三分岐部と前記第四分岐部を含む第二配索部側部位とを含んでおり、
前記第一配索部側部位は前記第一配索部に嵌合され、
前記第二配索部側部位は前記第二配索部に嵌合され、
前記第一配索部側部位と前記第二配索部側部位は伸縮変形可能な第二伸縮部を介して連結されている請求項7に記載の電池配線モジュール。
【請求項9】
前記サブアッシプロテクタが、把持部を有している請求項1から請求項8の何れか1項に記載の電池配線モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の電池セルに装着される複数の電線と各電線を配索する電線配索体とを有する電池配線モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両では、車両を駆動するための電源として複数の電池セルを積層した電池集合体を用いている。電池集合体は、例えば、特許文献1に開示された電池配線モジュールを用いて、一列に並べられた複数の電池セルの電気的な接続が行われる。電池配線モジュールは、隣り合う電池セルの電極を接続するバスバーを収容するバスバー用収容枠部や、バスバーに接続された被覆電線を配索する電線配索用通路等が設けられた電線配索体を備えている。これにより、電線配索体に対して、多数のバスバーや多数の被覆電線が、安定した状態で組み付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-164591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の電池配線モジュールでは、電線配索体のバスバー用収容枠部に収容された何れかのバスバーに対して、所定の被覆電線の他端に設けられた接続部を接続し、接続部から延び出す被覆電線を電線配索用通路に収容させる必要がある。それゆえ、複数の被覆電線が絡み合ったり、被覆電線の配索方向が分からなくなるなどの問題が生じ易く、電線配索作業の作業性の悪化や、誤配索が生じるおそれもあった。
【0005】
そこで、電線配索作業の作業性が向上され、誤配索の発生を防止乃至は低減することができる、新規な構造の電池配線モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電池配線モジュールは、一列に並べられた複数の電池セルにおける隣接する前記電池セルを電気的に接続する複数のバスバーと、一端が外部接続用端子に接続され、他端に設けられた接続部が何れかの前記バスバーに接続される複数の被覆電線と、前記バスバーを収容するバスバー用収容枠部と、前記被覆電線を配索する電線配索用通路が設けられた電線配索体と、前記電線配索体に組付けられるサブアッシプロテクタとを含み、前記サブアッシプロテクタは、前記電線配索体に対向して配置される上壁と、前記上壁から前記電線配索体に向かって突出すると共に隙間を隔てて対向する一対の側壁を含んで区画される領域を有しており、前記サブアッシプロテクタは、前記領域に複数の前記被覆電線が収容され、前記被覆電線が、前記サブアッシプロテクタに結束テープ又は結束バンドで固定されて保持された状態で、前記電線配索体に組み付けられている、電池配線モジュールである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電線配索作業の作業性が向上され、誤配索の発生を防止乃至は低減することができる電池配線モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る電池配線モジュールと電池集合体を示す分解斜視図である。
図2図2は、図1に示す電池配線モジュールの分解斜視図である。
図3図3は、図1に示す電池配線モジュールの要部拡大斜視図である。
図4図4は、図3におけるIV-IV断面要部拡大図である。
図5図5は、図3に示すサブアッシプロテクの拡大斜視図である。
図6図6は、図5に示すサブアッシプロテクを別の方向から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の電池配線モジュールは、
(1)一列に並べられた複数の電池セルにおける隣接する前記電池セルを電気的に接続する複数のバスバーと、一端が外部接続用端子に接続され、他端に設けられた接続部が何れかの前記バスバーに接続される複数の被覆電線と、前記バスバーを収容するバスバー用収容枠部と、前記被覆電線を配索する電線配索用通路が設けられた電線配索体と、前記電線配索体に組付けられるサブアッシプロテクタとを含み、前記サブアッシプロテクタは、前記電線配索体に対向して配置される上壁と、前記上壁から前記電線配索体に向かって突出すると共に隙間を隔てて対向する一対の側壁を含んで区画される領域を有しており、前記サブアッシプロテクタは、前記領域に複数の前記被覆電線が収容され、前記被覆電線が、前記サブアッシプロテクタに結束テープ又は結束バンドで固定されて保持された状態で、前記電線配索体に組み付けられている、電池配線モジュールである。
【0010】
本開示の電池配線モジュールによれば、電線配索体に対して後付けされるサブアッシプロテクタを備えており、このサブアッシプロテクタの複数の被覆電線を保持するようになっている。そして、予め、サブアッシプロテクタに対して複数の被覆電線を配索した状態で保持させておくことができる。それゆえ、複数の被覆電線が配索経路毎に整理されて保持されたサブアッシプロテクタを、電線配索体に組み付けるだけで、各被覆電線を所定の方向に配索して、被覆電線の他端に設けられた接続部を所定のバスバー用収容枠部に容易に収容することができる。その結果、従来構造で問題となっていた、被覆電線の絡みや、配索方向の間違いなどの問題が生じ難く、被覆電線の配索作業の作業性向上と、誤配索発生の低減乃至は防止を有利に達成することができる。
【0011】
なお、サブアッシプロテクタに保持される被覆電線の他端に設けられる接続部としては、電圧検出端子や測温素子など、要求される用途に応じた任意のものが採用され得る。また、部品交換等の観点から、サブアッシプロテクタは、電線配索体に対してロック機構等を介して着脱自在に組み付けられることが好ましいが、離脱不能に組み付けられてもよい。さらに、サブアッシプロテクタは、1つの電線配索体に対して1つ設けるようにしてもよいし、電線配索体が装着される電池集合体の構成によっては、複数設けることもできる。
【0012】
(2)前記サブアッシプロテクタは複数の前記被覆電線を前記複数の配索経路毎に分けて保持することが好ましい。予め、サブアッシプロテクタに対して複数の被覆電線を配索経路毎に分けて保持させておくことができることから、複数の被覆電線が保持されたサブアッシプロテクタを、電線配索体に組み付けるだけで、各被覆電線を所定の方向に配索することができる。それゆえ、従来構造で問題となっていた、被覆電線の絡みや、配索方向の間違いなどの問題がより生じ難く、被覆電線の配索作業の作業性向上と、誤配索発生の低減乃至は防止を一層有利に達成することができる。
【0013】
複数の被覆電線の複数の配索経路としては、例えば、外部接続端子に接続される経路と、電線配索用通路の一方側に接続される経路と他方側に接続される経路等が含まれ得る。外部接続端子が複数種類ある場合等には、異なる外部接続端子に向かう複数の配索経路が含まれ得る。
【0014】
(3)前記サブアッシプロテクタが、前記外部接続用端子に接続される前記被覆電線を保持する基端側電線保持部と、前記基端側電線保持部に保持された前記被覆電線を、複数の前記配索経路に分けて保持する複数の分岐電線保持部とを含むことが好ましい。サブアッシプロテクタが外部接続用端子に接続される被覆電線を保持する基端側電線保持部を有することにより、外部機器と接続される外部接続用端子(コネクタ等を構成)と基端側電線保持部との間の被覆電線の長さ寸法を、予め正確に設定することができる。従来構造では、被覆電線の他端に設けられた接続部をバスバーに接続させ、接続部から延び出す被覆電線を電線配索用通路に挿通して、電線配索体に設けられた電線引出口からまとめて引き出す必要がある。そのため、公差の積み重なりにより電線引出口から外部接続用端子(コネクタ等を構成)までの被覆電線の寸法が不正確になりがちであった。このような従来構造の問題も有利に解決して、組み付け作業性の更なる向上や製品品質の安定性を実現することができる。
【0015】
(4)一列に並べられた複数の電池セルにおける隣接する前記電池セルを電気的に接続する複数のバスバーと、一端が外部接続用端子に接続され、他端に設けられた接続部が何れかの前記バスバーに接続される複数の被覆電線と、前記バスバーを収容するバスバー用収容枠部と、前記被覆電線を配索する電線配索用通路が設けられた電線配索体と、前記電線配索体に組付けられるサブアッシプロテクタとを含み、前記サブアッシプロテクタは複数の前記被覆電線を保持し、前記サブアッシプロテクタは複数の前記被覆電線を前記複数の配索経路毎に分けて保持し、前記サブアッシプロテクタが、前記外部接続用端子に接続される前記被覆電線を保持する基端側電線保持部と、前記基端側電線保持部に保持された前記被覆電線を、複数の前記配索経路に分けて保持する複数の分岐電線保持部とを含み、前記基端側電線保持部および各前記分岐電線保持部の少なくとも1つが、前記電線配索体に対向して配置される上壁と、前記上壁から前記電線配索体に向かって突出すると共に隙間を隔てて対向する一対の側壁と、各前記側壁の突出端側から他方の前記側壁に向かって延びる爪部を有しており、前記上壁と前記側壁と前記爪部によって電線が保持されることが好ましい。両側壁から突出する一対の爪部の間から上壁に向かって被覆電線を押し込むことで、上壁に片持ち梁状に保持された一対の側壁の外方への弾性変形や、爪部の上壁側への弾性変形により、上壁と側壁と爪部で囲まれた領域内へ被覆電線を容易に挿入することができる。挿入後は一対の側壁や爪部が弾性復帰して、爪部間の隙間が縮小乃至は消滅することで、上記領域内に電線を安定して保持することができる。
【0016】
(5)上記(3)または(4)において、前記分岐電線保持部の一対の側壁が、前記電線配索体の前記電線配索用通路を構成する一対の側壁の対向面間に収容されるようになっていることが好ましい。これにより、被覆電線の噛み込みを有利に防止することができる。
【0017】
(6)上記(3)から(5)のいずれか1つにおいて、前記基端側電線保持部が、前記被覆電線の延び出し方向を規制する規制片を有していることが好ましい。基端側電線保持部が規制片を有することにより、基端側電線保持部から引き出される複数の被覆電線の延出方向を有利に規制することができ、他部材との干渉防止や、省スペースな被覆電線の配索を実現することができる。特に、規制片に対して被覆電線が固定されている場合には、被覆電線の延出方向や、コネクタ等を構成する外部接続用端子と基端側電線保持部との間の被覆電線の長さ寸法を、所望の方向や寸法に安定して保持することができる。ここで、規制片に対する被覆電線の固定方法は、結束テープや結束バンド等を用いた任意の固定方法が採用され得る。
【0018】
(7)上記(3)から(6)のいずれか1つにおいて、前記電線配索体が、複数の前記電池セルの一方側の電極端子側に配置されており、前記バスバー用収容枠部と前記電線配索用通路を備える第一配索部と、複数の前記電池セルの他方側の電極端子側に配置されており、前記バスバー用収容枠部と前記電線配索用通路を備える第二配索部と、を有し、前記サブアッシプロテクタが、前記電線配索体の長手方向の中間部分に組み付けられており、複数の前記分岐電線保持部が、前記第一配索部の一端側に前記被覆電線を分岐する第一分岐部と、他端側に前記被覆電線を分岐する第二分岐部と、前記第二配索部の一端側に前記被覆電線を分岐する第三分岐部と、他端側に前記被覆電線を分岐する第四分岐部とを含むことが好ましい。サブアッシプロテクタが、電線配索体における第一配索部と第二配索部のそれぞれの一端側と他端側に電線を分岐する第一から第四の4つの分岐部を備えている。これにより、電線配索体に組み付けられる複数の被覆電線を考えられ得る配索方向に対して確実に整理して保持することができる。しかも、サブアッシプロテクタは電線配索体の長手方向の中間部分の任意の部位に組み付けられればよい。ここで、長手方向の中間部分とは、長手方向の両端部を除く任意の部分を指す。それゆえ、例えば、基端側電線保持部から引き出される被覆電線の一端が接続される外部接続用端子の装着部位に近い位置に、サブアッシプロテクタを組み付けるようにすることができる。これにより、外部接続用端子まで引き延ばす被覆電線の長さを短くしたり、任意の部位から被覆電線を引き出すことができ、設計自由度の向上を図ることができる。
【0019】
(8)上記(7)において、前記電線配索体の前記第一配索部と前記第二配索部が、伸縮変形可能な第一伸縮部を介して連結されており、前記サブアッシプロテクタが、前記第一分岐部と前記第二分岐部を含む第一配索部側部位と、前記第三分岐部と前記第四分岐部を含む第二配索部側部位とを含んでおり、前記第一配索部側部位は前記第一配索部に嵌合され、前記第二配索部側部位は前記第二配索部に嵌合され、前記第一配索部側部位と前記第二配索部側部位は伸縮変形可能な第二伸縮部を介して連結されていることが好ましい。電池集合体においては、各電池セルの一対の電極端子間の寸法公差があることから、寸法公差を吸収するように、複数の電池セルの一方側の電極端子側に配置されている電線配索体の第一配索部と、他方側の電極端子側に配置されている第二配索部とが、第一伸縮部を介して連結されている。さらに、サブアッシプロテクタが、第一分岐部と第二分岐部を含む第一配索部側部位と、第三分岐部と第四分岐部を含む第二配索部側部位とを含んでおり、第一配索側部位と第二配索側部位が伸縮変形可能な第二伸縮部を介して連結されている。それゆえ、サブアッシプロテクタの第一配索部側部位を第一配索部に組み付け、第二配索部側部位を第二配索部に組み付ける構成を採用した場合でも、サブアッシプロテクタが電線配索体の第一配索部と第二配索部の変位に追従して伸縮変位することができる。これにより、各電池セルの一対の電極端子間の寸法公差の吸収が可能なサブアッシプロテクタを電線配索体に安定して組み付け状態に保持できる。
【0020】
(9)前記サブアッシプロテクタが、把持部を有していることが好ましい。サブアッシプロテクタを電線配索体に組み付ける際に、作業者や組み付け用の設備が把持部を把持することができ、サブアッシプロテクタの組み付け作業を容易化することができる。さらに、サブアッシプロテクタに被覆電線を組み付ける際には、把持部を治具に保持させることができ、被覆電線の組み付け作業の容易化も併せて達成できる。
【0021】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の電池配線モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0022】
<実施形態1>
以下、実施形態1に係る電池配線モジュール10について具体的に説明する前に、電池集合体12の概要について図1を参照しながら説明する。なお、以下では、Z方向を上方、Y方向を前方、X方向を右方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0023】
<電池集合体12>
電池集合体12は、一列に配列された複数の電池セル14を備える。なお、図1においては、24個の電池セル14を備える電池集合体12が例示されているが、電池集合体12が備える電池セル14の個数はこれに限らない。また、電池集合体12は、一列に配列された複数の電池セル14を複数列分備える場合もある。
【0024】
複数の電池セル14は、電池セルケース16内において、一定方向に沿って配列される。より詳細には、電池セル14は、一対の正電極端子18aおよび負電極端子18bが突設された電極形成面を有する。以下では、当該電極形成面を電池セル14の上面と呼ぶことがある。複数の電池セル14は、電池セルケース16内において、その電極形成面を上に向けて配列される。さらに、複数の電池セル14は、3個毎に、隣接する電池セル14の正電極端子18aと負電極端子18bとが交互に位置するように配列される。したがって、複数の電池セル14の配列方向に沿って形成される端子列18cは、3個毎に、正電極端子18aと負電極端子18bとが交互に並ぶことになる。
【0025】
隣接する電池セル14の間には樹脂等により形成された図示しないセパレータが配置され、複数の電池セル14は、電池セルケース16内に配列された状態において、互いの側面が密着しないように微小な隙間をおいて配列される。隣接する電池セル14の間に微小な隙間が形成されることによって、各電池セル14の放熱性を最低限確保することができる。
【0026】
当該電池セル14を並列および直列に接続するために電池集合体12は、電池配線モジュール10を備えている。電池配線モジュール10は、各端子列18cに取付けられる。
【0027】
<電池配線モジュール10>
図1図3に示すように、本開示の実施形態1の電池配線モジュール10は、一列に並べられた複数の電池セル14における3個毎に隣接する電池セル14を電気的に接続する複数のバスバー20と、複数のバスバー20を収容するバスバー用収容枠部22を有する絶縁プレート24を備えている。
【0028】
<バスバー20>
バスバー20は、最も左方側の3個の電池セル14の負電極端子18bと最も右方側の3個の電池セル14の正電極端子18aを電気的に接続する。また、バスバー20は、3個の電池セル14を一セットとして隣接するセットの正電極端子18aと負電極端子18bを電気的に接続する。これにより、並列接続された3個の電池セル14のセットが直列に接続されている。
【0029】
各バスバー20は、導電体、例えば、銅製の板部材であり、電池セル14の正電極端子18aと負電極端子18bがそれぞれ通される一対の貫通孔26,26を備えている。これにより、正電極端子18aと負電極端子18bに各貫通孔26を挿入してそれぞれ図示しないナットを螺合させることで、各バスバー20と正電極端子18aおよび/または負電極端子18bを固定して電気的に接続可能としている。
【0030】
各バスバー20の一つの貫通孔26には、導電体、例えば、銅製の板部材で形成された接続部を構成する電圧検出端子28がそれぞれ重ね合わされるようになっている。各電圧検出端子28には圧着部30が設けられており、例えば、絶縁被覆を剥いて芯線を露出させた被覆電線32の一方の端部が接続されている。被覆電線32は、もう一方の端部が外部接続用端子34に接続されてコネクタ36を構成するハウジング内に収容されており、コネクタ36を介して図示しない電圧検出器に接続されている。これにより、各セットの電池セル14の電圧を検出可能に形成されている。加えて、被覆電線32の一方の端部に測温素子38が接続されたものも有しており、被覆電線32のもう一方の端部が外部接続用端子34に接続されてコネクタ36を介して図示しない温度検出器に接続されている。
【0031】
<絶縁プレート24>
絶縁プレート24は、例えば、剛性樹脂製の板部材であり、電池集合体12の正電極端子18aと負電極端子18bがそれぞれ挿入される複数の穴を備えている。絶縁プレート24は、電池集合体12の正電極端子18aあるいは負電極端子18bが突設された面に対応する大きさに形成されている。絶縁プレート24のバスバー用収容枠部22は、断面がU字状の溝であり、溝に収容され底面に載置されたバスバー20と、バスバー20に重ね合わされた電圧検出端子28を図示しない係合部材で固定可能に形成されている。隣り合うバスバー用収容枠部22間は逆U字状の連結部40によって連結されており、連結部40が伸縮することにより隣り合うバスバー用収容枠部22間の公差が有利に吸収されている。なお、絶縁プレート24の長手方向の両端部及び中央部には、測温素子38を収容する測温素子収容部41が形成されている。
【0032】
また、絶縁プレート24には、図3および図4に示すように、被覆電線32を配索する電線配索用通路42が設けられている。バスバー用収容枠部22と電線配索用通路42を含めて電線配索体44が構成されている。電線配索用通路42は、例えば、断面U字状の樋状部46の上方開口部を蓋48で塞いで筒状に形成されている。蓋48の縁には、樋状部46の外壁に設けられた係合枠体50に係合固定される係合突起52が設けられている。被覆電線32を電線配索用通路42の樋状部46に収容した後に、蓋48を樋状部46に組付けることにより、筒状の電線配索用通路42が形成可能となっている。
【0033】
<電線配索体44>
電線配索体44は、複数の電池セル14の一方側(前方側)の電極端子18側に配置され、バスバー用収容枠部22と電線配索用通路42を備える第一配索部54を有している。加えて、電線配索体44は、複数の電池セル14の他方側(後方側)の電極端子18側に配置され、バスバー用収容枠部22と電線配索用通路42を備える第二配索部56を有している。第一配索部54と第二配索部56は、図2および図3に示すように、伸縮変形可能な7つの第一伸縮部57を介して連結されている。
【0034】
<サブアッシプロテクタ58>
後述するように、電線配索用通路42には、複数の被覆電線32を5つの配索経路毎に分けて保持した状態で電線配索体44に組み付けられる合成樹脂製のサブアッシプロテクタ58を含んでいる。複数の被覆電線32の複数の配索経路としては、例えば、外部接続用端子34に接続される経路と、電線配索用通路42の長手方向一方側に接続される経路と他方側に接続される経路等が含まれ得る。すなわち、サブアッシプロテクタ58は、図3図5および図6に示すように、基端側電線保持部60と、分岐電線保持部としての第一分岐部62a,第二分岐部62b,第三分岐部62c,第四分岐部62dと、を含んでいる。なお、外部接続用端子34が接続される外部機器が複数種類ある場合等には、異なる外部機器に向かう複数の配索経路が含まれ得る。
【0035】
サブアッシプロテクタ58は、図3図5および図6に示すように、第一配索部側部位64と、第二配索部側部位66と、両者64,66を連結する連結部68と、を含んでいる。サブアッシプロテクタ58は、電線配索体44の長手方向の中間部分における中央よりも右寄りの部位に組み付けられているが、これに限定されない。第一配索部側部位64は、第一配索部54の一端側に被覆電線32を分岐する第一分岐部62aと、他端側に被覆電線32を分岐する第二分岐部62bと、を含んでいる。第二配索部側部位66は、第二配索部56の一端側に被覆電線32を分岐する第三分岐部62cと、他端側に被覆電線32を分岐する第四分岐部62dと、を含んでいる。加えて、第一配索部54の第一分岐部62a側には、左方斜め上方に突出後に左方に向かって延び出す基端側電線保持部60が設けられている。基端側電線保持部60の左方に向かって延び出す規制片70によって、規制片70に固定される被覆電線32の延び出し方向が規制されている。
【0036】
基端側電線保持部60と各分岐部62a,62b,62c,62dと連結部68はいずれも、絶縁プレート24に構成されている電線配索体44に対向して配置される上壁72と、上壁72から電線配索体44に向かって突出すると共に隙間を隔てて対向する一対の側壁74,74を有している。第一分岐部62aを除く3つの分岐部62b,62c,62dと連結部68の一対の側壁74,74にはそれぞれ、各側壁74の突出端側から他方の側壁74に向かって延びる一対の爪部76,76が形成されている。上壁72と一対の側壁74,74と一対の爪部76,76によって、被覆電線32を収容して保持する被覆電線32が保持される領域77が区画されている。なお、本実施形態1では、一対の爪部76,76の突出寸法が異なっている。
【0037】
加えて、分岐部62a,62b,62cにおける一対の側壁74,74の外面の基端部には、逆L字状の係合突起78が突設されている。また、第一配索部側部位64と第二配索部側部位66の上壁72には、長手方向中央部から外方に向かって突出する矩形平板状の把持部80が設けられている。さらに、連結部68の中央部には、U字状の第二伸縮部82が設けられている。
【0038】
<電池配線モジュール10の組み付け程>
続いて、電池配線モジュール10の組み付け程の一例について説明する。電池配線モジュール10の組み付け程は、以下の記載に限定されない。
まず、一方の端部に電圧検出端子28が圧着され、もう一方の端部に外部接続用端子34が接続された被覆電線32と、一方の端部に測温素子38が接続され、もう一方の端部に外部接続用端子34が接続された被覆電線32を、例えば配索治具を用いて所望の形状に構成する。このように所望の形状に構成された複数の被覆電線32に対して、サブアッシプロテクタ58を組み付ける。組み付けは、例えば、配線板の所定位置にサブアッシプロテクタ58を図6に示す上下逆向きでセットして行ってもよい。この時、サブアッシプロテクタ58の一対の把持部80,80が治具に保持されることで、サブアッシプロテクタ58が配線板で位置決めされて保持される。このようにして、上下逆向きにセットされたサブアッシプロテクタ58の基端側電線保持部60と各分岐部62a~62dに対して、上方から複数の被覆電線32を組み付ける。この際、被覆電線32が保持される領域77を有する第二分岐部62b,第三分岐部62c,第四分岐部62dと、連結部68では、一対の爪部76,76が下方に向かって弾性変形すると共に一対の側壁74が外方に向かって弾性変形することにより、領域77への複数の被覆電線32の挿入が許容され、複数の被覆電線32が領域77に収容されると、一対の爪部76,76が弾性復帰して複数の被覆電線32の領域77からの離脱が防止される。ここで、サブアッシプロテクタ58の各分岐部62a~62dや連結部68に配索された被覆電線32はサブアッシプロテクタ58に対して非固定の状態で保持されている。
そして、外部接続用端子34はコネクタ36に挿入される。基端側電線保持部60に配索された外部接続用端子34に接続される被覆電線32を、基端側電線保持部60からコネクタ36までの寸法が、所定の寸法となるように調整した状態で、規制片70に対して例えば結束テープ84を用いて固定する。なお、規制片70に対する被覆電線32の固定方法は、結束テープ84の他に結束バンド等を用いた任意の固定方法が採用され得る。
【0039】
次に、サブアッシプロテクタ58に組み付けられた状態のワイヤハーネス86を、絶縁プレート24の各バスバー用収容枠部22にそれぞれバスバー20が収容固定された電線配索体44に対して組み付ける。はじめに、電線配索体44の所定部位にサブアッシプロテクタ58を装着する。この装着は、サブアッシプロテクタ58の係合突起78を、樋状部46の係合枠体50に係合することによって行われる。この時、電線配索用通路42の樋状部46の上方開口部がサブアッシプロテクタ58によって部分的に覆蓋される。この状態で、第一分岐部62a~第四分岐部62dにより、配索経路毎に整理されて保持された被覆電線32を、電線配索体44の電線配索用通路42に収容する。そして、電圧検出端子28を所定のバスバー20に重ね合わせて各バスバー用収容枠部22に固定し、測温素子38を、絶縁プレート24の測温素子収容部41に固定して所定のバスバー20に重ね合せる。この際、各分岐部62a~62dや連結部68に配索された被覆電線32がサブアッシプロテクタ58に対して非固定とされていることから、作業をスムーズに行うことができる。その後、樋状部46の上方開口部を覆蓋するように蓋48を固定する。この固定は、蓋48の係合突起52を、樋状部46の係合枠体50に係合することによって行われる。その結果、サブアッシプロテクタ58が、複数の被覆電線32が複数の配索経路毎に分けて保持した状態で電線配索体44に組み付けられて、本開示の電池配線モジュール10が完成する。これにより、第一配索部側部位64は第一配索部54に嵌合され、第二配索部側部位66は第二配索部56に嵌合されるようになっており、第一配索部側部位64と第二配索部側部位66が伸縮変形可能な第二伸縮部82を介して連結されている。また、基端側電線保持部60に保持された被覆電線32が、分岐部62a,62b,62c,62dにより複数の配索経路に分けて保持されている。さらに、図4に示すように、被覆電線32が保持される領域77を備えた分岐部62b,62c,62dでは、領域77を区画する一対の側壁74,74が電線配索体44の電線配索用通路42を構成する一対の側壁88,88の対向面間に収容されるようになっている。
【0040】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、予めサブアッシプロテクタ58に対して複数の被覆電線32を配索経路毎に分けて保持した状態で、絶縁プレート24に設けられた電線配索体44の電線配索用通路42に組付けることができる。それゆえ、複数の被覆電線32の一方の端部に設けられた接続部たる電圧検出端子28を所定のバスバー用収容枠部22に収容されたバスバー20上に容易に重ね合せて固定することができる。その結果、従来構造で問題であった、被覆電線32の絡みや、配索方向の間違いなどの問題が生じ難く、被覆電線32の配索作業の作業性向上と、誤配索発生の低減乃至は防止を有利に達成することができる。
【0041】
サブアッシプロテクタ58が外部接続用端子34に接続される被覆電線32を保持する基端側電線保持部60を有していることにより、コネクタ36を構成する外部接続用端子34と、被覆電線32が電池配線モジュール10から延び出す長さ寸法を、予め正確に設定することができる。特に本実施形態では、分岐従来構造では、被覆電線32を電池配線モジュール10に設けられた電線引出口からまとめて引き出す必要があったことから、公差の積み重なりにより電線引出口からコネクタ36を構成する外部接続用端子34までの被覆電線32の長さ寸法が不正確になりがちであった。本実施形態によれば、このような従来構造の問題も有利に解決して、組み付け作業性の更なる向上や製品品質の安定性を実現することができる。
【0042】
また、サブアッシプロテクタ58の一対の側壁74,74から突出する一対の爪部76,76の間から上壁72に向かって被覆電線32を押し込むだけで、一対の爪部76,76が上壁72側に弾性変形すると共に、側壁74が外方に弾性変形することで、上壁72と側壁74と爪部76で囲まれた領域77内へ被覆電線32を容易に挿入することができる。挿入後は一対の爪部76,76が弾性復帰して、一対の爪部76,76間の隙間が縮小乃至は消滅することで、上記領域77内に被覆電線32を安定して保持できる。さらに、分岐部62b,62c,62dの被覆電線32が保持される領域77を区画する一対の側壁74,74が電線配索体44の電線配索用通路42を構成する一対の側壁88,88の対向面間に収容されていることから、被覆電線32の噛み込みを有利に防止することができる。
【0043】
本実施形態によれば、基端側電線保持部60が規制片70を有することにより、基端側電線保持部60から引き出される複数の被覆電線32の延出方向を有利に規制することができる。特に、規制片70が電線配索体44と略平行に延び出していることから、ワイヤハーネス86の上方への突出を抑えることができ、他部材との干渉防止や、電池配線モジュール10の低背化など、省スペースな被覆電線32の配索を実現することができる。
【0044】
サブアッシプロテクタ58が、電線配索体44の第一配索部54と第二配索部56のそれぞれの一端側と他端側に被覆電線32を分岐する第一から第四の4つの分岐部62a,62b,62c,62dを備えている。それゆえ、電線配索体44に組み付けられる複数の被覆電線32を考えられ得る全ての配索方向に対して確実に整理して保持することができる。特に、本実施形態では、サブアッシプロテクタ58は電線配索体44の長手方向の中央よりもやや右寄りの位置に設けられている。これにより、各分岐部62a~62dに収容される被覆電線32の量を有利に分散化乃至は均等化することができる。なお、サブアッシプロテクタ58の電線配索体44への組み付け位置は、基端側電線保持部60から引き出される被覆電線32が接続される外部機器の配設位置に応じて任意に設定可能である。それゆえ、本実施形態においても、外部機器まで延ばす被覆電線32の長さを短くすることができる位置に、サブアッシプロテクタ58が取り付けられている。
【0045】
また、電線配索体44の第一配索部54と第二配索部56が伸縮変形可能な第一伸縮部57を介して連結されている。これにより、電池集合体12における各電池セル14の一対の電極端子18a,18b間の寸法公差を有利に吸収することができる。さらに、サブアッシプロテクタ58の第一配索部側部位64と第二配索部側部位66が、伸縮変形可能な第二伸縮部82を介して連結されている。それゆえ、サブアッシプロテクタ58の第一配索部側部位64を第一配索部54に組み付け、第二配索部側部位66を第二配索部56に組み付けた場合でも、第二伸縮部82により電線配索体44の第一配索部54と第二配索部56の変位に追従することができる。
【0046】
サブアッシプロテクタ58が把持部80を有していることから、サブアッシプロテクタ58を電線配索体44に組み付ける際に、作業者や組み付け用の設備が把持部80を把持することができ、組み付け作業を容易化することができる。さらに、サブアッシプロテクタ58に対して被覆電線32を組み付ける際には、把持部80を治具に保持させることができることから、被覆電線32の組み付け作業の容易化も併せて達成できる。
【0047】
<変形例1>
以上、本開示の具体例として、実施形態1について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例1も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)本開示の電池配線モジュール10では、電線配索体44に対して1つのサブアッシプロテクタ58を組み付ける構造電池配線モジュール10として説明したが、これに限定されない。電池集合体12の構成に応じて、複数のサブアッシプロテクタ58を組み付けるようにしてもよい。また、部品交換等の観点から、サブアッシプロテクタ58は、電線配索体44に対してロック機構等を介して着脱自在に組み付けられることが好ましいが、離脱不能に組み付けられてもよい。なお、サブアッシプロテクタ58に保持される被覆電線32の一方の端部に設けられる接続部としては、電圧検出端子28や測温素子38など、要求される用途に応じた任意のものが採用され得る。
(2)本開示の電池配線モジュール10では、分岐電線保持部を構成する第二分岐部62b,第三分岐部62c,第四分岐部62dに加え、連結部68が、被覆電線32が保持される領域77を有していたが、これに限定されない。サブアッシプロテクタ58が装着される電線配索体44側の形状等に応じて、サブアッシプロテクタ58の任意の部位に1つまたは複数の領域77が設けられていればよいし、領域77は必須ではない。
(3)本開示のサブアッシプロテクタ58は、1つの基端側電線保持部60と、分岐電線保持部となる4つの分岐部62a,62b,62c,62dを有していたが、基端側電線保持部60や分岐電線保持部の数や組み合わせは、配線構造に応じて任意に設定が可能である。例えば、分岐電線保持部の数は、1個でもよい。
(4)本開示の電池配線モジュール10では、電池集合体12の複数の電池セル14を、隣接する電池セル14が並列接続された複数の電池セル14群を直列接続する構成のものを例示して説明を行ったが、それに限定されない。例えば、隣接する電池セル14の全てが直列に接続された電池集合体においては、バスバー20の数やバスバー20に接続される電圧検出用等の被覆電線32の数が増大することから、サブアッシプロテクタの利点を一層有利に活用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 電池配線モジュール
12 電池集合体
14 電池セル
16 電池セルケース
18 電極端子
18a 正電極端子
18b 負電極端子
18c 端子列
20 バスバー
22 バスバー用収容枠部
24 絶縁プレート
26 貫通孔
28 電圧検出端子(接続部)
30 圧着部
32 被覆電線
34 外部接続用端子
36 コネクタ
38 測温素子
40 連結部
41 測温素子収容部
42 電線配索用通路
44 電線配索体
46 樋状部
48 蓋
50 係合枠体
52 係合突起
54 第一配索部
56 第二配索部
57 第一伸縮部
58 サブアッシプロテクタ
60 基端側電線保持部
62a 第一分岐部(分岐電線保持部)
62b 第二分岐部(分岐電線保持部)
62c 第三分岐部(分岐電線保持部)
62d 第四分岐部(分岐電線保持部)
64 第一配索部側部位
66 第二配索部側部位
68 連結部
70 規制片
72 上壁
74 側壁
76 爪部
77 領域
78 係合突起
80 把持部
82 第二伸縮部
84 結束テープ
86 ワイヤハーネス
88 側壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6