IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気硝子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ガラス板の製造方法 図1
  • 特許-ガラス板の製造方法 図2
  • 特許-ガラス板の製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ガラス板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 25/12 20060101AFI20221221BHJP
   C03B 17/06 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
C03B25/12
C03B17/06
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019561055
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(86)【国際出願番号】 JP2018046174
(87)【国際公開番号】W WO2019124271
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】P 2017244008
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】櫻林 達
(72)【発明者】
【氏名】梅村 博通
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/185976(WO,A1)
【文献】特開2007-186406(JP,A)
【文献】国際公開第2009/093550(WO,A1)
【文献】特開2007-051028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 25/12
C03B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
が3質量%以下のガラスとなるように調製されたガラスバッチを電気溶融炉で溶融する溶融工程、溶融ガラスを板状ガラスに成形する成形工程、板状ガラスを徐冷炉で徐冷する徐冷工程、徐冷した板状ガラスを所定寸法に切断することによって、β-OH値が0.2/mm未満で、熱収縮率が15ppm以下、歪点が710℃以上のガラス板を得る切断工程、を含み、前記ガラス板の熱収縮率を測定し、熱収縮率の目標値に対するばらつきが±1ppm以下となるように徐冷工程における前記板状ガラスの冷却速度を調整することを特徴とするガラス板の製造方法。
【請求項2】
実質的にBを含有しないことを特徴とする請求項1に記載のガラス板の製造方法。
【請求項3】
板状ガラスの冷却速度が、徐冷点から(徐冷点-100℃)の温度範囲で300℃/分~1000℃/分の平均冷却速度であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板の製造方法。
【請求項4】
成形工程が、ダウンドロー成形であり、徐冷炉の長さが3m以上であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
【請求項5】
ガラス板が、短辺1500mm以上、長辺1850mm以上の寸法を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
【請求項6】
ガラス板が、0.7mm以下の厚みを有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮率が低いガラス板を安定して製造することができるガラス板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にガラス原料を溶融するガラス溶融炉としては、ガス燃焼を利用するガス燃焼炉が広く利用されている。
【0003】
ガス燃焼を利用するガラス溶融炉は、炉内で常時ガス燃焼を行っているため、溶融ガラスの水分濃度は、バーナー燃焼の排ガスの水分量に実質的に支配されており、比較的高い水準で維持される。その結果、製造されるガラスの水分量(β-OH値)が高くなり、歪点が低下し、ガラス板の熱的寸法安定性を示す熱収縮率が高くなる。低温ポリシリコンTFTや有機EL等のディスプレイ用ガラス基板の場合、高温の熱処理が施され、熱的寸法安定性に劣るガラス板を使用すると、ディスプレイ装置の表示不良が発生しやすくなるため、特に熱収縮率が低く、熱収縮率のばらつきが小さいガラス板が要求されている。
【0004】
このような事情からガラス原料を調整することによって、ガラス板の熱収縮率のばらつきを低減することが提案されている(特許文献1、2を参照)。またダウンドロー成形装置の徐冷炉外部空間の気圧を、徐冷炉内部空間の気圧に対して低くすることによって、ガラス板の熱収縮率のばらつきを低減することが提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-88306号公報
【文献】特表2017-530928号公報
【文献】特開2013-126946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1は、ガラス原料とカレットの混合比を制御してガラスのβ-OH値を調整し、また特許文献2は、ガラスバッチ材料を選択してガラスのβ-OH値を調整するものである。
【0007】
近年、表示画面の高精細化に伴い、低温ポリシリコンTFTや有機EL等のディスプレイ用ガラス基板には、ますます熱収縮率を低くすることが要求され、具体的には、熱収縮率を15ppm以下にすることが要求されてきている。
【0008】
しかしながら特許文献1、2のように、ガラス原料とカレットの混合比を変更したり、ガラスバッチ材料を選択してガラスのβ-OH値を調整する方法では、ガラス板の熱収縮率が15ppm以下の極めて低いレベルでばらつきを調整することが困難である。つまりガラス板の熱収縮率の目標値が20ppm程度のレベルでは、ガラス原料やカレットの変更によりガラスのβ-OH値を調整することは可能であるが、ガラス板の熱収縮率を15ppm以下にするには、ガラス原料の水分量を極限近くまで低減させる必要がある。そのためガラスの溶融条件等の変動により、ガラス板の熱収縮率が15ppmを超えたとしても、ガラス原料を変更することによって、ガラスのβ-OH値を更に低下させる対策は採りにくく、ガラス板の熱収縮率の低下を図ることは困難である。
【0009】
また特許文献3は、ダウンドロー装置の徐冷炉内部の温度のばらつきを抑制することによって、ガラス板の幅方向での熱収縮率のばらつきを小さくするものであり、ガラスのβ-OH値の変動によって生じる生産時期の異なるガラス板間の熱収縮率のばらつきを抑制することは意図していない。またガラスのβ-OH値を低減して熱収縮率を15ppm以下にすることも想定されていない。
【0010】
本発明は、熱収縮率を15ppm以下にしながら、熱収縮率のばらつきを安定して抑えることが可能なガラス板の製造方法を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために創案された本発明のガラス板の製造方法は、Bが3質量%以下のガラスとなるように調製されたガラスバッチを電気溶融炉で溶融する溶融工程、溶融ガラスを板状ガラスに成形する成形工程、板状ガラスを徐冷炉で徐冷する徐冷工程、徐冷した板状ガラスを所定寸法に切断することによって、β-OH値が0.2/mm未満で、熱収縮率が15ppm以下のガラス板を得る切断工程、を含み、前記ガラス板の熱収縮率を測定し、熱収縮率の目標値に対するばらつきに応じて徐冷工程における前記板状ガラスの冷却速度を調整することを特徴とする。ここでガラスバッチとは、ガラス原料と、ガラス物品を細かく破砕したカレットとの総称である。
【0012】
本発明の方法によれば、Bが3質量%以下のガラスとなるように調製されたガラスバッチを電気溶融炉で溶融するため、ガラスのβ-OH値が0.2/mm未満で、熱収縮率が15ppm以下のガラス板を得ることが容易となる。
【0013】
すなわちガラスのβ-OH値は、ガラス溶融炉に投入されるガラスバッチに含まれる水分の影響を受けやすく、特にホウ素源となるガラス原料は吸湿性があり、また結晶水を含むものもあるため、ガラス中に水分を持ち込みやすい。そのためガラス中のBの含有量を少なくするほど、ガラスのβ-OH値が低くなり、ガラス板の熱収縮率の低下が図りやすくなる。さらに電気溶融炉を用いてガラスを溶融すると、溶融炉内におけるガス燃焼等に起因する雰囲気の水分量の上昇が抑えられるため、ガス燃焼炉に比べて溶融ガラス中の水分量を低減しやすい。そのため電気溶融炉で製造したガラスは、β-OH値が低くなり、熱収縮率の低いガラス板が得られやすくなる。以上の理由から、本発明においては、実質的にBを含有しないことが好ましい。ここで実質的にBを含有しないとは、意図的に原料としてBを含有させないという意味であり、不純物からの混入を否定するものではない。具体的にはBの含有量が0.1質量%以下であることを意味する。
【0014】
通常、ガラスバッチの水分量やガラスの溶融条件の変動に伴って、ガラスのβ-OH値は変動し、ガラス板の熱収縮率が変動するが、本発明では、ガラス板の熱収縮率を測定し、その目標値に対するばらつきに応じて徐冷工程における板状ガラスの冷却速度を調整する。具体的にはガラス板の熱収縮率の目標値に対するばらつきが大きい場合に徐冷工程の板状ガラスの徐冷速度を調整することによって、ガラス板の熱収縮率の目標値に対するばらつきを補正するようにする。これにより、熱収縮率のばらつきの小さいガラス板を安定して製造することが可能となる。ガラス板の熱収縮率の目標値のばらつきは、±1ppm以下となるように冷却速度を調整することが好ましい。ここでガラス板の熱収縮率の目標値に対するばらつきが±1ppm以下とは、例えばガラス板の熱収縮率の目標値が10ppmの場合、熱収縮率が9ppm~11ppmの範囲内で維持されることを意味する。またガラス板の熱収縮率の測定は、生産する全てのガラス板に対して行う必要はなく、一部のガラス板を抜き取り検査で行えば良い。
【0015】
本発明においては、徐冷工程で板状ガラスを移動させながら徐々に冷却するが、その冷却速度は、徐冷点から(徐冷点-100℃)の温度範囲で300℃/分~1000℃/分の平均冷却速度であることが好ましい。ガラス板の熱収縮率は、板状ガラスを徐冷する時の冷却速度で変動する。すなわち早く冷却されたガラス板は、熱収縮率が高くなり、逆にゆっくり冷却されたガラス板は、熱収縮率が低くなる。したがってガラス板の熱収縮率を測定し、熱収縮率が目標値より大きい場合は、徐冷点から(徐冷点-100℃)の温度範囲の平均冷却速度が300℃/分~1000℃/分の範囲で低くなるように調整し、逆に目標値より小さい場合は、徐冷点から(徐冷点-100℃)の温度範囲の平均冷却速度が300℃/分~1000℃/分の範囲で高くなるように調整すれば良い。
【0016】
尚、本発明においては、生産性を向上するという観点から、徐冷工程において、徐冷点より高い温度範囲の平均冷却速度と、(徐冷点-100℃)より低い温度範囲の平均冷却速度は、それぞれ徐冷点から(徐冷点-100℃)の温度範囲の平均冷却速度より大きくなるように設定すれば良く、具体的には、徐冷点から(徐冷点-100℃)の温度域の平均冷却速度の1.1倍~20倍、さらには1.5倍~15倍となるように設定することが好ましい。
【0017】
本発明において、ガラス板の熱収縮率が12ppm以下、10ppm以下、9ppm以下、8ppm以下、7ppm以下、6ppm以下、特に5ppm以下であることが好ましい。ただしガラス板の熱収縮率を0ppmにするには、生産性の著しい低下を伴うため、1ppm以上、2ppm以上、特に3ppm以上であることが好ましい。またガラス板の熱収縮率の目標値に対するばらつきは±0.7ppm以下、特に±0.5ppm以下であることが好ましい。ガラス板の熱収縮率が高いと、低温ポリシリコンTFTや有機ELのディスプレイ装置の表示不良が発生しやすくなり、またガラス板の熱収縮率のばらつきが大きいと、ディスプレイ基板を安定して生産することができなくなる。
【0018】
本発明の成形方法は、特に制限されるものではないが、徐冷工程を長くできるという観点からはフロート法が好ましく、またガラス板の表面品位の向上を図ったり、その厚みを小さくしたりするという観点からは、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法が好ましい。オーバーフローダウンドロー法では、ガラス基板の表裏面となるべき面が成形体に接触せず、自由表面の状態で成形される。このため未研磨で表面品位に優れた(表面粗さやうねりが小さい)ガラス板を安価に製造することができる。
【0019】
本発明において、ダウンドロー法を採用する場合、徐冷炉の長さ(高低差)は3m以上であることが好ましい。徐冷工程は、ガラス板の歪を除去するための工程であるが、徐冷炉が長いほど、冷却速度を調整しやすく、ガラス板の熱収縮率を低くすることが容易となる。よって徐冷炉の長さは、5m以上、6m以上、7m以上、8m以上、9m以上、特に10m以上であることが好ましい。
【0020】
本発明において、ガラス板の短辺は1500mm以上、長辺は1850mm以上であることが好ましい。すなわちガラス板の寸法が大きくなるほど、一枚のガラス板から作製できるガラス基板が増加し、ガラス基板の生産効率が向上するが、ガラス板の熱収縮率がばらつきやすくなる。しかしながら本発明の方法によると、寸法の大きなガラス板を製造しても、ガラス板の熱収縮率のばらつきを確実に抑えることができ、低熱収縮ガラスを安定して生産することが可能となる。ガラス板の短辺は、1950mm以上、2200mm以上、2800mm以上、特に2950mm以上が好ましく、長辺は2250mm以上、2500mm以上、3000mm、特に3400mm以上であることが好ましい。
【0021】
本発明において、ガラス板の厚みは0.7mm以下、0.6mm以下、0.5mm以下、特に0.4mm以下であることが好ましい。これによりガラス板の軽量化を図ることができ、モバイル型ディスプレイ基板に好適となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、熱収縮率を15ppm以下にしながら、熱収縮率のばらつきの小さいガラス板を安定して製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のガラス板の製造方法に使用される設備を示す説明図である。
図2】本発明のガラス板の製造方法に使用されるオーバーフローダウンドロー装置を示す説明図である。
図3】ガラス板の熱収縮率を測定する方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るガラス板の製造方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明のガラス板の製造方法に使用される設備を示す説明図であり、上流側から順に電気溶融炉1と、清澄槽2と、均質化槽(撹拌槽)3と、ポット4と、成形体5とを備え、これらは各移送管6~9によって接続されている。
【0026】
電気溶融炉1には、ガラス原料やカレットを調合したガラスバッチを供給するための原料供給装置1aが設けられている。原料供給装置1aとしては、スクリューフィーダーや振動フィーダーが使用でき、電気溶融炉1のガラス液面上にガラスバッチが順次供給される。電気溶融炉1は、モリブデン、白金、錫等からなる電極1bを複数配設した構造を有するものであり、これらの電極1bの間に電気を印加することにより、溶融ガラスが通電され、そのジュール熱によりガラスが連続的に溶融される。尚、補助的にヒーターやバーナーによる輻射加熱を併用しても良いが、バーナー燃焼によって生じた水分が溶融ガラス中に取り込まれ、溶融ガラスの水分濃度を低下させ難くなるため、ガラスのβ-OH値を低下させる観点からは、バーナーを用いない完全電気溶融とすることが望ましい。
【0027】
電極1bとしては、モリブデン電極を使用することが好ましい。モリブデン電極は、配置場所や電極形状の自由度が高いため、電気を通し難い無アルカリガラスであっても、最適な電極配置、電極形状を採用することができ、通電加熱が容易になる。電極1bの形状は、ロッド形状であることが好ましい。ロッド形状であれば、電気溶融炉1の側壁面や底壁面の任意の位置に所望の電極間距離を保って所望の数の電極1bを配設することが可能である。電極1bの配設は、電気溶融炉1の壁面(側壁面、底壁面等)、特に底壁面に電極間距離を短くして複数対配設することが望ましい。
【0028】
原料供給装置1aから電気溶融炉1のガラス液面上に供給されたガラスバッチは、ジュール熱によって溶解され、溶融ガラスとなる。ガラスバッチ中に塩化物が含まれている場合、塩化物が分解、揮発することによってガラス中の水分を雰囲気中に持ち去り、ガラスのβ-OH値を低減する。またガラスバッチ中に含まれる錫化合物等の多価酸化物は、溶融ガラス中に溶解し、清澄剤として作用する。例えば錫成分は、昇温過程で酸素泡を放出する。放出された酸素泡は、溶融ガラスMG中に含まれる泡を拡大、浮上させてガラスから除去する。また錫成分は、降温過程では酸素泡を吸収することでガラス中に残存する泡を消滅させる。
【0029】
電気溶融炉1に供給するガラスバッチは、ガラス原料の調合物を使用すれば良いが、ガラス原料に加えてカレットを使用しても良い。カレットを使用する場合、ガラス原料とカレットを調合したガラスバッチの総量に対するカレットの使用割合が多いほど、ガラスの溶融性が向上するため、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、特に20質量%以上であることが好ましい。カレットの使用割合の上限に制約はないが、50質量%以下、45質量%以下、特に40質量%以下であることが好ましい。
【0030】
ガラス原料やカレットは、できるだけ水分含有量が少ないものを使用する。また、これらを保管中に大気中の水分を吸収することがあるため、個々のガラス原料を秤量、供給するための原料サイロや、調製されたガラスバッチを溶融炉に供給するための炉前サイロ(図示省略)等の内部に乾燥空気を供給することが好ましい。
【0031】
本発明においては、ガラスバッチの水分量を極力低下させると共に、電気溶融炉1でガラスを溶融することによって、β-OH値が0.2/mm未満のガラスを製造することが可能となる。ガラスのβ-OH値が低下するほど、ガラスの歪点が高くなり、熱収縮率が低くなるため、β-OH値は、0.15/mm以下、0.1/mm以下、0.07/mm以下、特に0.05/mm以下であることが好ましい。
【0032】
電気溶融炉1で溶融されたガラスは、次に移送管6を介して清澄槽2に送られる。溶融ガラスは、清澄槽2で、清澄剤などの働きによって清澄(泡抜き)される。尚、清澄槽2は、必ずしも設ける必要はなく、ガラスの清澄工程は、電気溶融炉1の下流側で行うことも可能である。
【0033】
こうして清澄された溶融ガラスは、移送管7を介して均質化槽3に送られる。溶融ガラスは、均質化槽3で、撹拌翼3aにより撹拌され、均質化される。
【0034】
こうして均質化された溶融ガラスは、移送管8を介してポット4に送られる。溶融ガラスは、ポット4内で成形に適した状態(粘度等)に調整される。
【0035】
ポット4内の溶融ガラスは、移送管9を介して成形体5に送られる。本実施形態の成形体5は、オーバーフローダウンドロー法によって溶融ガラスGmを板状に成形し、ガラス板を製造するものである。
【0036】
成形体5は、断面形状が略楔形状の耐火物から作製され、成形体5の上部にオーバーフロー溝(図示省略)が形成されている。移送管9によって溶融ガラスGmをオーバーフロー溝に供給した後、溶融ガラスGmをオーバーフロー溝から溢れ出させて、成形体5の両側の側壁面に沿って流下させる。そして、その流下させた溶融ガラスGmを側壁面の下頂部で融合させ、下方に延伸することにより板状ガラスに成形する。
【0037】
尚、オーバーフローダウンドロー法で用いる成形体5の構造や材質は、所望の寸法や表面精度を実現できるものであれば特に限定されない。また各移送管6~9は、例えば白金又は白金合金からなる円筒管で構成されており、溶融ガラスGmを横方向に移送する。各移送管6~9は、必要に応じて通電加熱される。
【0038】
図2は、本発明ガラス板の製造方法に使用されるオーバーフローダウンドロー装置10を示す説明図である。上述の通り、成形体5の上部にはオーバーフロー溝が形成され、成形体5の直下には、エッジローラ11が設けられ、徐冷炉12内には、複数のヒーター13と引っ張りローラ14が設けられている。これらのエッジローラ11や引っ張りローラ14が、板状ガラスGrの両端部を把持して回転することによって、板状ガラスGrを所定の厚みに延伸しながら冷却するようになっている。また徐冷炉12内のヒーター13は、内壁の高さ方向と幅方向に複数取り付けられ、徐冷炉12内の雰囲気温度を区画毎に制御することが可能であり、下流側に配置されているヒーター13ほど低い温度に設定されている。つまり上流側から下流側に向かって、ヒーター13の設定温度を徐々に低くすることにより、徐冷炉12の高さ方向に温度勾配が形成され、板状ガラスGrの冷却速度を調整できるようになっている。またヒーター13は、徐冷炉12の幅方向にも温度勾配を形成することができ、例えば板状ガラスの中央部に位置するヒーターの設定温度を、板状ガラスの両端部に位置するヒーター13の設定温度より低くすることができる。
【0039】
各引っ張りローラ14は、回転速度を適宜調整することが可能であり、板状ガラスGrを下方へ延伸成形する際に、力を印加する方法は特に限定されない。例えば、両端部近傍に、板状ガラスGrに接触する耐熱性ロールを有する引っ張りローラを用いて延伸する方法や、複数の対に分離し、板状ガラスGrの端部に接触する耐熱性ロールを有する引っ張りローラで延伸する方法が採用できる。
【0040】
本発明においては、ガラス板の熱収縮率を測定し、熱収縮率の目標値に対するばらつきが大きくなった際、徐冷炉12内の各ヒーター13の温度や、引っ張りローラ14の回転速度を調節することにより、板状ガラスGrの冷却速度を適切に調整すれば良い。尚、徐冷炉12内の雰囲気温度は、上昇気流により乱れやすくなるため、できるだけ上昇気流が少なくなるように炉内外の気圧を調整したり、上昇気流が炉内に侵入するのを抑制する機構を設けることが望ましい。
【0041】
こうして徐冷された板状ガラスGrは、冷却室15内で冷却される。冷却室15には、ヒーターが設けられておらず、板状ガラスGrは、冷却室16内で自然冷却される。冷却室15の長さ(高低差)は、例えば2~10m程度に設定すれば良い。
【0042】
冷却室15での冷却工程を経た後、板状ガラスGrは、切断室16内の切断装置16aにより所定寸法に切断されてガラス板Gsとなる。尚、切断装置16aは、例えば、スクライブ機構と折り割り機構を有するものが適している。
【0043】
本発明においては、ガラス板が、質量%で、SiO 50~70%、Al 10~25%、B 0~3%、MgO 0~10%、CaO 0~15%、SrO 0~10%、BaO 0~15%、ZnO 0~5%、ZrO 0~5%、TiO 0~5%、P 0~10%、SnO 0~0.5%からなり、実質的にアルカリ金属酸化物を含有しない無アルカリガラス板であることが好ましい。上記のように各成分の含有量を規制した理由を以下に説明する。尚、以下の各成分の%表示は、特に断りのない限り、質量%を指す。
【0044】
SiOは、ガラスの骨格を形成する成分である。SiOの含有量は、50%以上、55%以上、58%以上、特に60%以上であることが好ましい。また70%以下、66%以下、64%以下、63%以下、特に62%以下であることが好ましい。SiOの含有量が少なくなると、密度が高くなりすぎると共に、耐酸性が低下しやすくなる。一方、SiOの含有量が多くなると、高温粘度が高くなり、溶融性が低下しやすくなると共に、クリストバライト等の失透結晶が析出しやすくなって液相温度が上昇しやすくなる。
【0045】
Alも、ガラスの骨格を形成する成分であり、また歪点やヤング率を高めると共に、分相を抑制する成分である。Alの含有量は、10%以上、12%以上、13%以上、14%以上、15%以上、16%以上、17%以上、18%以上、特に19%以上であることが好ましい。また25%以下、24%以下、23%以下、22%以下、特に20%以下であることが好ましい。Alの含有量が少なくなると、歪点、ヤング率が低下しやすくなると共に、ガラスが分相しやすくなる。一方、Alの含有量が多くなると、ムライトやアノーサイト等の失透結晶が析出しやすくなって液相温度が上昇しやすくなる。
【0046】
は、溶融性を高めると共に、耐失透性を高める成分であるが、Bの含有量が多くなると、ガラス原料からの水分の持ち込みが多くなると共に、歪点やヤング率が低下しやすくなる。Bの含有量は、3%以下、3%未満、2.5%以下、2%以下、1.9%以下、1.6%以下、1.5%以下、1%以下、0.8%以下、0.5%以下、特に実質的に含有しないことが好ましい。ただし、ガラスの溶融性の向上を優先させる場合には、Bを0.1%以上、0.2%以上、さらには0.3%以上含有させることが好ましい。
【0047】
MgOは、高温粘性を下げて溶融性を高める成分であり、アルカリ土類金属酸化物の中では、ヤング率を顕著に高める成分である。MgOの含有量は、10%以下、9%以下、8%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3.5%以下、特に3%以下であることが好ましい。また1%以上、1.5%以上、特に2%以上であることが好ましい。MgOの含有量が少なくなると、溶融性やヤング率が低下しやすくなる。一方、MgOの含有量が多くなると、耐失透性や歪点が低下しやすくなる。
【0048】
CaOは、歪点を低下させずに、高温粘性を下げて溶融性を顕著に高める成分である。またアルカリ土類金属酸化物の中では、導入原料が比較的安価であるため、原料コストを低廉価する成分である。CaOの含有量は、15%以下、12%以下、11%以下、8%以下、6%以下、特に5%以下であることが好ましい。また1%以上、2%以上、3%以上、特に4%以上であることが好ましい。CaOの含有量が少なくなると、上記効果を享受し難くなる。一方、CaOの含有量が多くなりすぎると、ガラスが失透しやすくなると共に、熱膨張係数が高くなりやすい。
【0049】
SrOは、ガラスの分相を抑制し、耐失透性を高める成分である。さらに歪点を低下させずに高温粘性を下げて溶融性を高めると共に、液相温度の上昇を抑制する成分である。SrOの含有量は、10%以下、7%以下、5%以下、3.5%以下、特に3%以下であることが好ましい。また0.1%以上、0.2%以上、0.3%以上、0.5%以上、1.0%以上、特に1.5%以上であることが好ましい。SrOの含有量が少なくなると、上記効果を享受し難くなる。一方、SrOの含有量が多くなると、ストロンチウムシリケート系の失透結晶が析出しやすくなって耐失透性が低下しやすくなる。
【0050】
BaOは、耐失透性を顕著に高める成分である。BaOの含有量は、15%以下、14%以下、13%以下、12%以下、11%以下、10.5%以下、10%以下、9.5%以下、特に9%以下であることが好ましい。また1%以上、3%以上、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、特に8%以上であることが好ましい。BaOの含有量が少なくなると、上記効果を享受し難くなる。一方、BaOの含有量が多くなると、密度が高くなりすぎると共に、溶融性が低下しやすくなる。またBaOを含む失透結晶が析出しやすくなって液相温度が上昇しやすくなる。
【0051】
ZnOは、溶融性を高める成分である。しかしZnOの含有量が多くなると、ガラスが失透しやすくなると共に歪点が低下しやすくなる。ZnOの含有量は0~5%、0~4%、0~3%、0~2%、0~1%、特に0~0.5%であることが好ましい。
【0052】
ZrOは、化学的耐久性を高める成分であるが、ZrOの含有量が多くなると、ZrSiOの失透ブツが発生しやすくなる。ZrOの含有量は、0~5%、0~4%、0~3%、0.1~2%、特に0.1~0.5%であることが好ましい。
【0053】
TiOは、高温粘性を下げて溶融性を高めると共に、ソラリゼーションを抑制する成分であるが、TiOの含有量が多くなると、ガラスが着色して透過率が低下しやすくなる。TiOの含有量は、0~5%、0~4%、0~3%、0~2%、特に0~0.1%であることが好ましい。
【0054】
は、歪点を高めると共に、アノーサイト等のアルカリ土類アルミノシリケート系の失透結晶の析出を抑制する成分である。ただしPを多量に含有させると、ガラスが分相しやすくなる。Pの多量量は、好ましくは、0~10%、0~9%、0~8%、0~7%、0~6%、特に0~5%である。
【0055】
SnOは、高温域で良好な清澄作用を有し、歪点を高めると共に高温粘性を低下させる成分である。またモリブデン電極を使用した電気溶融炉の場合、電極を浸食しないという利点がある。SnOの含有量は、0~0.5%、0.001~0.5%、0.001~0.45%、0.001~0.4%、0.01~0.35%、0.1~0.3%、特に0.15~0.3%であることが好ましい。SnOの含有量が多くなると、SnOの失透結晶が析出しやすくなり、またZrOの失透結晶の析出を促進しやすくなる。SnOの含有量が0.001%より少ないと、上記効果を享受し難くなる。
【0056】
本発明においては、上記した成分以外にも、Cl、F、SO、C、CeO或いはAl、Si等の金属粉末を合量で3%まで含有させることができる。AsやSbは、環境や電極の浸食防止の観点から実質的に含有しないことが望ましい。
【0057】
本発明において実質的にアルカリ金属酸化物を含有しないとは、原料から意図的にLiO、NaO、KOを含有させないという意味であり、具体的にはアルカリ金属酸化物の含有量が0.2%以下であることを意味する。
【0058】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラスは、歪点が710℃以上、720℃以上、730℃以上、740℃、特に750℃以上であることが好ましい。ただし歪点を高めようとするほど、溶融時や成形時の温度が高くなり、ガラス板の製造コストが高騰するため、歪点は800℃以下とすることが好ましい。
【0059】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラスは、10dPa・sに相当する温度が、1380℃以下、1370℃以下、特に1360℃以下であることが好ましい。10dPa・sに相当する温度が高くなると、成形時の温度が高くなりすぎて、製造歩留まりが低下しやすくなる。
【0060】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラスは、102.5dPa・sに相当する温度が1670℃以下、1660℃以下、特に1650℃以下であることが好ましい。102.5dPa・sに相当する温度が高くなると、ガラスが溶融し難くなり、泡等の欠陥が増加したり、製造歩留まりが低下しやすくなる。
【0061】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラスは、徐冷点が、750℃以上、780℃以上、800℃以上、810℃以上、特に820℃以上であることが好ましい。
【0062】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラスは、液相温度が1250℃未満、1240℃未満、1230℃未満、特に1220℃未満であることが好ましい。このようにすれば、ガラス製造時に失透結晶が発生し難くなる。またオーバーフローダウンドロー法で成形しやすくなるため、ガラス板の表面品位を向上すると共に、製造歩留まりの低下を抑えることができる。ここで近年のガラス基板の大型化やディスプレイの高精細化の観点から、表面欠陥となり得る失透物を極力抑えるためにも、耐失透性を高める意義は非常に大きい。
【0063】
本発明の方法によって得られる無アルカリガラスは、液相温度における粘度が104.9dPa・s以上、105.1dPa・s以上、105.2dPa・s以上、特に105.3dPa・s以上であることが好ましい。このようにすれば、成形時に失透が生じ難くなるため、オーバーフローダウンドロー法でガラス板を成形しやすくなり、ガラス板の表面品位を高めることができる。尚、液相温度における粘度は、成形性の指標であり、液相温度における粘度が高い程、成形性が向上する。
【実施例
【0064】
(実施例1)
表1、2は、本発明に使用できる実施例(試料No.1~9)のガラスを示すものである。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
表1、2のガラス試料は、次にようにして作製した。まず表中の組成となるようにガラス原料を調合したガラスバッチを白金坩堝に入れた後、1600~1650℃で24時間溶融した。ガラスバッチの溶融にあたっては、白金スターラーを用いて撹拌し、均質化を行った。次いで、溶融ガラスをカーボン板上に流し出して板状に成形した後、徐冷点付近の温度で30分間徐冷した。こうして得られた各試料について、密度、ヤング率、歪点、徐冷点、10dPa・sに相当する温度、102.5dPa・sに相当する温度、液相温度TL、液相温度における粘度Log10ηTLを測定した。
【0068】
尚、密度は、周知のアルキメデス法で測定した。
【0069】
ヤング率は、曲げ共振法により測定した。
【0070】
歪点、徐冷点は、ASTM C336の方法で測定した。
【0071】
高温粘度10dPa・s、102.5dPa・sに相当する温度は、白金球引き上げ法で測定した。
【0072】
液相温度TLは、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに投入し、1100℃から1350℃に設定された温度勾配炉中に24時間保持した後、白金ボートを取り出し、ガラス中に失透(結晶異物)が認められた温度を測定した。
【0073】
液相温度における粘度Log10ηTLは、白金球引き上げ法で液相温度におけるガラスの粘度を測定した
【0074】
表から明らかなように、No.1~9の各試料は、歪点が735℃以上、徐冷点が785℃以上であるため、熱収縮率の低下を図りやすいガラスである。また液相温度が1230℃以下、液相温度における粘度が104.9dPa・s以上であるため、成形時に失透が生じ難い。特にNo.1、2、6~9の各試料は、液相温度における粘度が105.2dPa・s以上であるため、オーバーフローダウンドロー法により成形することが容易である。
【0075】
(実施例2)
表1の試料No.6のガラスとなるようにガラスバッチを調製した。次いで、このガラスバッチを電気溶融炉に投入し、1650℃で溶融した後、清澄槽、均質化槽内で溶融ガラスを清澄均質化した後、ポット内で成形に適した粘度に調整した。次いで溶融ガラスをオーバーフローダウンドロー装置により板状に成形し、徐冷炉で徐冷した。その後、板状ガラスを切断することにより、1500×1850×0.7mmの寸法を有するガラス板を作製した。
【0076】
このオーバーフローダウンドロー装置の徐冷炉の長さは5mとし、徐冷炉の内壁に配置された複数のヒーターの温度を適切に調整しながら、板状ガラスの板引き速度を350cm/分とすることにより、徐冷点から(徐冷点-100℃)の温度範囲での平均冷却速度を385℃/分に設定した。こうして得られたガラス板は、β-OH値が0.1/mmであり、熱収縮率が10ppmであった。
【0077】
次に、ガラスの溶融条件(温度、時間等)を変化させ、板引き速度や平均冷却速度は変化させずにガラス板を作製したところ、β-OH値が0.18/mmで、熱収縮率が11ppm超となったが、板引き速度を250cm/分、徐冷点から(徐冷点-100℃)の温度範囲での平均冷却速度を275℃/分に変更することによって、熱収縮率を10ppmに戻すことができた。
【0078】
尚、本発明における板引き速度とは、連続的に成形される板状ガラスの板幅方向中央部が徐冷領域を通過する速度を指し、本実施例においては、板幅方向中央部の徐冷領域の中間点(徐冷点-50℃に相当する温度に相当する位置)に測定用ローラを当接させて測定した。また平均冷却速度とは、板状ガラスが徐冷点から(徐冷点-100℃)の温度範囲に相当する区域(徐冷領域)を通過する時間を算出し、中央部又は端部の徐冷領域内の温度差を、通過時間で除することにより算出した速度を指す。
【0079】
またガラスのβ-OH値は、FT-IRを用いてガラスの透過率を測定し、下記の式を用いて求めた。
β-OH値 = (1/X)log(T1/T2)
X:ガラス肉厚(mm)
T1:参照波長3846cm-1における透過率(%)
T2:水酸基吸収波長3600cm-1付近における最小透過率(%)
【0080】
またガラス板の熱収縮率は、次の方法で測定した。まず図3(a)に示すように、ガラス板の試料として160mm×30mmの短冊状試料Gを準備した。この短冊状試料Gの長辺方向の両端部のそれぞれに、#1000の耐水研磨紙を用いて、端縁から20~40mm離れた位置でマーキングMを形成した。その後、図3(b)に示すように、マーキングMを形成した短冊状試料GをマーキングMと直交方向に沿って2つに折り割って、試料片Ga、Gbを作製した。そして、一方の試料片Gbのみを、常温から500℃まで5℃/分で昇温させ、500℃で1時間保持した後に、5℃/分で降温させる熱処理を行った。上記熱処理後、図3(c)に示すように、熱処理を行っていない試料片Gaと、熱処理を行った試料片Gbを並列に配列した状態で、2つの試料片Ga、GbのマーキングMの位置すれ量(△L1、△L2)をレーザー顕微鏡によって読み取り、下記の式により熱収縮率を算出した。尚、式中のlは、初期のマーキングM間の距離である。
熱収縮率(ppm) = [{△Ll(μm)+△L2(μm)}×10]/l(mm)
【0081】
上記実施例2の結果から、ガラス板の熱収縮率が15ppm以下で、熱収縮率の目標値に対するばらつきが大きくなった場合でも、徐冷工程の板状ガラスの冷却速度を調整することによって、ガラスのβ-OH値を調整することなくガラス板の熱収縮率を補正できることが理解できる。
【符号の説明】
【0082】
1 電気溶融炉
1a 原料供給装置
1b 電極
2 清澄槽
3 均質化槽(撹拌槽)
3a 撹拌翼
4 ポット
5 成形体
6~9 移送管
10 オーバーフローダウンドロー装置
11 エッジローラ
12 徐冷炉
13 ヒーター
14 引っ張りローラ
15 冷却室
16 切断室
16a 切断装置
Gm 溶融ガラス
Gr 板状ガラス
Gs ガラス板
図1
図2
図3