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特許7197839ミリメートル波WLANネットワークにおける割り当て及び方向情報配信
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ミリメートル波WLANネットワークにおける割り当て及び方向情報配信
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/24 20090101AFI20221221BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20221221BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20221221BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20221221BHJP
【FI】
H04W40/24
H04W84/12
H04W72/04 131
H04W16/28
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021506936
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 IB2019056730
(87)【国際公開番号】W WO2020039290
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】62/719,782
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/203,164
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アブエルサウード モハメド
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-138951(JP,A)
【文献】特開2018-064267(JP,A)
【文献】特表2018-506219(JP,A)
【文献】特表2016-518068(JP,A)
【文献】特表2009-540765(JP,A)
【文献】特開2011-193044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークにおける無線通信装置であって、
(a)指向性通信を使用して少なくとも1つの他の無線通信回路と無線で通信するように構成された無線通信回路と、
(b)無線ネットワーク上で動作するように構成された局内の、前記無線通信回路に結合されたプロセッサと、
(c)前記プロセッサが実行できる命令を記憶した非一時的メモリと、
を備え、
(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、
(i)前記指向性通信の各方向における時間及びリソースの割り当てを識別する時間及び方向割り当てをブロードキャストするステップを実行し、
(ii)前記方向割り当ては、(A)競合ベースのアクセス期間(CBAP)又は通常のサービス期間(SP)チャネルアクセスでのスケジューリング割り当て及びこの割り当ての送信ビーム方向、又は(B)時分割二重(TDD)サービス期間(SP)チャネルアクセスのためのスロット構造及びスロットスケジュール情報、並びにこの割り当ての送信ビーム方向の通信、又は(C)送信又は受信アクティビティのアクティブな割り当てがスケジュールされた方向を含む方向情報要素の通信、としてブロードキャストされるネットワーク発見信号内で送信され、
さらに、ビーコン又はビームフォーミングフレームの送信ビームIDを前記割り当ての送信ビームIDと比較して、前記割り当てが、ビーコン又はビームフォーミングフレームを受信した方向に存在するか否かを判定するステップを実行する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、
(a)各方向の割り当てを記述する時分割二重(TDD)サービス期間(SP)スロットスケジュール及び構造のリストを各方向に送信するステップと、
(b)全ての時分割二重(TDD)サービス期間(SP)スロットスケジュール及び構造要素を全方向にブロードキャストするステップと、
(c)拡張指向性マルチギガビット(EDMG)スケジュール済み割り当て情報、並びに送信及び受信方向情報を全方向にブロードキャストするステップと、
(d)方向情報要素を全方向にブロードキャストするステップと、
から成る一群のブロードキャスト機構から選択された前記時間及び方向割り当てのブロードキャストを実行する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、時間及び方向割り当てを含むビーコン又はビームフォーミングフレームを前記局がその送信方向に送信するステップをさらに含み、前記ビーコン又はビームフォーミングフレームを受け取った局は、該ビーコン又はビームフォーミングフレームから前記ネットワークの送信の割り当て及び方向性に関する情報を取得することができる、
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、ビーコン又はビームフォーミングフレームを受け取ったその方向に干渉が発生していることを示すビーコン又はビームフォーミングフレームを受け取ったことに応答して受信機ビームフォーミングを実行するステップをさらに含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記受信機ビームフォーミングは、使用された前記ビーコン又は前記ビームフォーミングフレームに添付されたさらなるトレーニングフィールドを利用して実行される、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、自己の無線通信回路によって感知されたチャネル使用が意図するアクセス方向以外の方向からのものである場合に、たとえクリアチャネル評価(CCA)を満たしていない場合でも前記局がチャネルアクセスを取得できるように、受信機ビームフォーミング情報を利用してチャネル使用方向を識別するステップをさらに含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記無線通信回路は、指向性通信のために構成されたミリメートル波局を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記無線通信回路は、メッシュネットワーク及び非メッシュネットワークの両方で動作するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記無線通信回路は、第1の帯域では指向性通信を行い、第2の帯域では準全方向性通信を行うように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ネットワークにおける無線通信装置であって、
(a)指向性通信を使用して少なくとも1つの他の無線通信回路と無線で通信するように構成された無線通信回路と、
(b)無線ネットワーク上で動作するように構成された局内の、前記無線通信回路に結合されたプロセッサと、
(c)前記プロセッサが実行できる命令を記憶した非一時的メモリと、
を備え、
(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、
(i)前記指向性通信の各方向における時間及びリソースの割り当てを識別する時間及び方向割り当てをブロードキャストするステップを実行し、
(ii)時間及び方向割り当ては、(a)各方向の割り当てを記述する時分割二重(TDD)サービス期間(SP)スロットスケジュール及び構造のリストを各方向に送信するステップと、(b)全ての時分割二重(TDD)サービス期間(SP)スロットスケジュール及び構造要素を全方向にブロードキャストするステップと、(c)拡張指向性マルチギガビット(EDMG)スケジュール済み割り当て情報、並びに送信及び受信方向情報を全方向にブロードキャストするステップと、(d)方向情報要素を全方向にブロードキャストするステップと、から成る一群のブロードキャスト機構から選択され、
(iii)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、自己の無線通信回路によって感知されたチャネル使用が意図するアクセス方向以外の方向からのものである場合に、たとえクリアチャネル評価(CCA)を満たしていない場合でも前記局がチャネルアクセスを取得できるように、受信機ビームフォーミング情報を利用してチャネル使用方向を識別するステップをさらに含む、
ことを特徴とする装置。
【請求項11】
前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、時間及び方向割り当てを含むビーコン又はビームフォーミングフレームを前記局がその送信方向に送信するステップをさらに含み、前記ビーコン又はビームフォーミングフレームを受け取った局は、該ビーコン又はビームフォーミングフレームから前記ネットワークの送信の割り当て及び方向性に関する情報を取得することができる、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、ビーコン又はビームフォーミングフレームの送信ビームIDを前記割り当ての送信ビームIDと比較して、前記割り当てが、ビーコン又はビームフォーミングフレームを受信した方向に存在するか否かを判定するステップをさらに含む、
請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、その方向に干渉が発生していることを示すビーコン又はビームフォーミングフレームを受け取ったことに応答して受信機ビームフォーミングを実行するステップをさらに含む、
請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記受信機ビームフォーミングは、使用された前記ビーコン又は前記ビームフォーミングフレームに添付されたさらなるトレーニングフィールドを利用して実行される、
請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記無線通信回路は、指向性通信のために構成されたミリメートル波局を含む、
請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記無線通信回路は、メッシュネットワーク及び非メッシュネットワークの両方で動作するように構成される、
請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記無線通信回路は、第1の帯域では指向性通信を行い、第2の帯域では準全方向性通信を行うように構成される、
請求項10に記載の装置。
【請求項18】
ネットワークにおける無線通信の実行方法であって、
(a)指向性通信を使用して互いに無線で通信するように構成された無線通信回路、局間で無線で通信するステップと、
(b)(A)競合ベースのアクセス期間(CBAP)又は通常のサービス期間(SP)チャネルアクセスでのスケジューリング割り当て及びこの割り当ての送信ビーム方向、又は(B)時分割二重(TDD)サービス期間(SP)チャネルアクセスのためのスロット構造及びスロットスケジュール情報、並びにこの割り当ての送信ビーム方向の通信、又は(C)送信又は受信アクティビティのアクティブな割り当てがスケジュールされた方向を含む方向情報要素の通信、としてブロードキャストされるネットワーク発見信号内で送信される前記指向性通信の各方向の時間及びリソース割り当てを識別する時間及び方向割り当てをブロードキャストするステップと、
(c)ビーコン又はビームフォーミングフレームの送信ビームIDを前記割り当ての送信ビームIDと比較して、前記割り当てが、ビーコン又はビームフォーミングフレームを受信した方向に存在するか否かを判定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
自己の無線通信回路によって感知されたチャネル使用が意図するアクセス方向以外の方向からのものである場合に、たとえクリアチャネル評価(CCA)を満たしていない場合でも前記局がチャネルアクセスを取得できるように、受信機ビームフォーミング情報を利用してチャネル使用方向を識別するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
その方向に干渉が発生していることを示すビーコン又はビームフォーミングフレームを受け取ったことに応答して受信機ビームフォーミングを実行するステップをさらに含み、
前記受信機ビームフォーミングは、使用された前記ビーコン又は前記ビームフォーミングフレームに添付されたさらなるトレーニングフィールドを利用して実行される、
請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2018年8月20日に出願された米国仮特許出願第62/719,782号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この文献はその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
〔連邦政府が支援する研究又は開発に関する記述〕
該当なし
【0003】
〔コンピュータプログラム付属書の引用による組み入れ〕
該当なし
【0004】
〔著作権保護を受ける資料の通知〕
本特許文献中の資料の一部は、アメリカ合衆国及びその他の国の著作権法の下で著作権保護を受けることができる。著作権の権利所有者は、合衆国特許商標庁の一般公開ファイル又は記録内に表される通りに第三者が特許文献又は特許開示を複製することには異議を唱えないが、それ以外は全ての著作権を留保する。著作権所有者は、限定ではないが米国特許法施行規則§1.14に従う権利を含め、本特許文献を秘密裏に保持しておく権利のいずれも本明細書によって放棄するものではない。
【0005】
本開示の技術は、一般に指向性ミリメートル波(mmW)無線ネットワーク通信に関し、具体的には、時間及び方向割り当て情報の配信に関する。
【背景技術】
【0006】
メッシュネットワーク、並びにメッシュ及び非メッシュネットワークの混合を含む、特にミリメートル波長(mm波又はmmW)形態のミリメートル波(mmW)無線ローカルエリアネットワークがますます重要になってきている。この高容量ニーズを受けて、ネットワークオペレータらは高密度化を達成する様々な概念を受け入れ始めた。現在のsub-6GHz無線技術は、高データ需要に対処するには十分でない。1つの選択肢は、ミリメートル波帯(mmW)と呼ばれることも多い30~300GHz帯におけるさらなるスペクトルを利用することである。
【0007】
一般に、mmW無線ネットワーキングシステムを効率的に利用するには、これらの高周波帯のチャネル障害及び伝搬特性に正しく対応する必要がある。高自由空間経路損失、高い侵入損失、反射損失及び回折損失は、利用可能なダイバーシチを低減し、見通し外(NLOS)通信を制限する。さらに、mmWの短波長は、経路損失を克服して受信機における高い信号対雑音比(SNR)を確実にするのに十分な配列利得(array gain)を提供することができる実用的な寸法の高利得電子操作型指向性アンテナ(high-gain electronically steerable directional antennas)の使用を可能にする。mmW帯を用いた高密度展開環境における指向性分散ネットワーク(DN)は、局(STA)間の信頼できる通信を実現して見通し内チャネル制約を克服するための効率的な方法となり得る。
【0008】
新規局(STA又はノード)は、作動すると、参加すべきネットワーク内の発見すべき近隣STAを探す(探索する)。STAからネットワークへの初期アクセスプロセスは、近隣STAをスキャンして局所的近傍における全てのアクティブなSTAを発見することを含む。このプロセスは、参加すべき特定のネットワーク又はネットワークリストを新規STAが探索することを通じて、或いは新規STAを受け入れる予定のいずれかの既存のネットワークに参加するためのブロードキャスト要求を新規STAが送信することによって実行することができる。
【0009】
分散ネットワーク(DN)に接続するSTAは、近隣STAを発見して、ゲートウェイ/ポータルDN STAに到達するための最良の方法、及びこれらの各近隣STAの能力を判断する必要がある。新規STAは、候補となる近隣STAの全てのチャネルを特定の期間にわたって検査する。この特定の時間後にアクティブなSTAが検出されなければ、新規STAは次のチャネルの検査に移行する。STAが検出されると、新規STAは、自機の物理(PHY)層(例えば、OSIモデル)を調節領域(IEEE、FCC、ETSI、MKK等)における動作のために構成するのに十分な情報を収集する。mm波通信では、指向性送信に起因してこのタスクがさらに困難である。このプロセスにおける課題は、(a)周辺STA IDの知識、(b)ビームフォーミングにとっての(単複の)最良送信パターンの知識、(c)衝突及びデフネスに起因するチャネルアクセス問題、並びに(d)閉塞及び反射に起因するチャネル障害、として要約することができる。mm波D2D及びDN技術の普及を可能にするには、上記の一部又は全部を克服する近隣発見方法を設計することが何よりも重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ブロードキャストモードで動作するネットワークのDNアドレスを発見するためのほとんどの既存の技術は、指向性無線通信を伴うネットワークを目的としていない。また、指向性無線ネットワーク通信を利用するこれらの技術は、ビーコン信号の生成に関するオーバーヘッド要求が非常に高いことが多い。さらに、これらの技術は、発見の実行に伴うオーバーヘッド及びレイテンシを低減するのに十分な機構を欠いている。
【0011】
既存のmm波通信システムは、送信機(Tx)と受信機(Rx)との間の十分なリンクバジェットを得るために指向性通信に依拠する。局は、チャネルにアクセスするために、最初にリスニングを行って、媒体が占められているか、それとも空いているかをチェックする。通常、このリスニング段階は準全方向アンテナを使用して行われ、多くの場合はこれによって送信又は受信方向が実際の指向性信号の影響を受けることはないが、チャネルアクセスが妨げられる。
【0012】
従って、mm波指向性無線ネットワーク内でより効率的なチャネルアクセスを提供するための強化された機構に対するニーズが存在する。本開示は、このニーズを満たすとともに、これまでの技術を凌駕するさらなる利点をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0013】
干渉に起因してチャネルアクセスが妨げられる問題を解決するために、説明するような多くの異なる方法で割り当てをブロードキャストすることによって局(STA)がより効率的な時間及び方向割り当てを実行するmmW WLANプロトコルについて説明する。
【0014】
この手法では、準全方向アンテナなどを使用してチャネルをリスンした際にチャネルが遮断されていることを発見した局が、多くの場合は準全方向アンテナを通じて感知された信号によって実際の送信及び/又は受信方向が影響を受けていないことを示す追加情報を取得し続けることができる。さらに、本開示は、チャネルにアクセスしようと試みている局に感知信号が影響するかどうか、並びにチャネルが占められている方向及び空いている方向を判定し、近隣局がネットワーク性能を落とすことなく共存できるように干渉アンテナ方向に使用中としてマーキングするように構成される。
【0015】
これらの問題への対処において考えられる他の解決策は、指向性送信の場合にクリアチャネル評価閾値(clear channel assessment threshold)を下げることが挙げられる。しかしながら、このような手法は、他のノードに比べて高利得のノードに便宜を図りがちであり、依然としてチャネル使用を最適化するものではないと思われる。明示的指向性チャネル感知(Explicit directional channel sensing)を実行することもできるが、かなりのオーバーヘッドが発生する。
【0016】
開示する装置/システム/方法は、指向性WLANネットワークにおける割り当て及び方向性情報(例えば、送信及び受信)をブロードキャストするように構成される。このブロードキャストは、WLANネットワークを知らせるビーコンフレームに割り当て情報及び方向性情報を添付することを通じて行われる。その後、このビーコンを受け取ったいずれかのSTAが、チャネルが占められている時間、チャネルが空いている時間、占められている空間方向、及び占められていない空間方向を判定することができる。
【0017】
開示する無線指向性システムは、例えば、無線LAN(WLAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)及び屋外無線通信に適用できる装置間(D2D)、ピアツーピア(P2P)、無線及びメッシュネットワーキング用途などの幅広いネットワーク用途に適用可能である。例えば、対象用途としては、限定するわけではないが、Wi-Fi、WiGig及びその他の無線ネットワーク、モノのインターネット(IoT)用途、データのバックホール及びフロントホール、屋内及び屋外配信ネットワーク、メッシュネットワーク、D2D通信を伴う次世代セルラーネットワーク、並びに当業者であれば容易に認識する他の数多くの用途が挙げられる。
【0018】
本明細書の以下の部分では、本明細書で説明する技術のさらなる態様が明らかになり、この詳細な説明は、本技術の好ましい実施形態を制限することなく完全に開示するためのものである。
【0019】
本明細書で説明する技術は、例示のみを目的とする以下の図面を参照することによって十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】IEEE 802.11無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)において行われるアクティブスキャンのタイミング図である。
図2】DN局と非DN局との組み合わせを示す分散ネットワーク(DN)の局(STA)図である。
図3】IEEE 802.11 WLANのDN識別要素を示すデータフィールド図である。
図4】IEEE 802.11 WLANのDN構成要素を示すデータフィールド図である。
図5】IEEE 802.11adプロトコルでのアンテナセクタスイーピング(SSW)の概略図である。
図6】IEEE 802.11adプロトコルでのセクタレベルスイーピング(SLS)のシグナリングを示すシグナリング図である。
図7】IEEE 802.11adのセクタスイープ(SSW)フレーム要素を示すデータフィールド図である。
図8】IEEE 802.11adのSSWフレーム要素内のSSWフィールドを示すデータフィールド図である。
図9A】IEEE 802.11adに利用される、ISSの一部として送信される時に示されるSSWフィードバックフィールドを示すデータフィールド図である。
図9B】IEEE 802.11adに利用される、ISSの一部として送信されない時に示されるSSWフィードバックフィールドを示すデータフィールド図である。
図10】本開示の実施形態に従って利用される無線mmW通信局ハードウェアのブロック図である。
図11】本開示の実施形態に従って利用される図10の局ハードウェアのmmWビームパターン図である。
図12】本開示の実施形態による、発見帯通信アンテナ(すなわち、sub-6GHz)のビームパターン図である。
図13A】本開示の実施形態による、割り当て及び方向情報を含むWLANフレーム例を示すデータフィールド図である。
図13B】本開示の実施形態による、割り当て及び方向情報を含むWLANフレーム例を示すデータフィールド図である。
図14】本開示の実施形態による、割り当てリソースを示すWLANフレームを示すデータフィールド図である。
図15】本開示の実施形態による、割り当てリソースを通じて近隣局と通信する局のビームパターン図である。
図16】本開示の実施形態による、拡張DMG(EDMG)スケジューリングのデータフィールド図である。
図17】本開示の実施形態による、チャネル割り当てフィールドのデータフィールド図である。
図18】本開示の実施形態による、受信及び送信方向サブフィールドのデータフィールド図である。
図19】本開示の実施形態による、TDDスロットスケジュール要素のデータフィールド図である。
図20】本開示の実施形態による、スロットスケジュール制御フィールドのデータフィールド図である。
図21】本開示の実施形態による、方向情報要素のデータフィールド図である。
図22】本開示の実施形態による、別の方向情報要素のデータフィールド図である。
図23】本開示の実施形態による、時分割二重(TDD)方向及び割り当て情報を含むビーコン送信のフロー図である。
図24A】本開示の実施形態による、異なる方向に送信されるビーコンフレームのデータフィールド図である。
図24B】本開示の実施形態による、異なる方向に送信されるビーコンフレームのデータフィールド図である。
図25】本開示の実施形態による、時分割二重(TDD)方向及び割り当て情報を含むビーコン送信のフロー図である。
図26A】本開示の実施形態による、異なるビーコンフレーム送信のデータフィールド図である。
図26B】本開示の実施形態による、異なるビーコンフレーム送信のデータフィールド図である。
図27】本開示の実施形態による、方向情報要素を含むビーコン送信のフロー図である。
図28】本開示の実施形態による、局が割り当て及び方向情報を含むビーコンを別の局から受け取るフロー図である。
図29A】本開示の実施形態による、干渉を検出して処理する局間の通信プロセス図である。
図29B】本開示の実施形態による、干渉を検出して処理する局間の通信プロセス図である。
図29C】本開示の実施形態による、干渉を検出して処理する局間の通信プロセス図である。
図30A】本開示の実施形態に従って実行される、クリアチャネル評価(CCA)閾値を上回るチャネルにアクセスする局の通信プロセス図である。
図30B】本開示の実施形態に従って実行される、クリアチャネル評価(CCA)閾値を上回るチャネルにアクセスする局の通信プロセス図である。
図30C】本開示の実施形態に従って実行される、クリアチャネル評価(CCA)閾値を上回るチャネルにアクセスする局の通信プロセス図である。
図30D】本開示の実施形態に従って実行される、クリアチャネル評価(CCA)閾値を上回るチャネルにアクセスする局の通信プロセス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の用語は、本開示において使用する際には一般に後述する意味を有する。
【0022】
A-BFT:アソシエーション-ビームフォーミングトレーニング期間:ネットワークに参加する新規局(STA)のアソシエーション及びビームフォーム(BF)トレーニングに使用される、ビーコンで通知される期間。
【0023】
AP:アクセスポイント:1つの局(STA)を含み、関連するSTAの無線媒体(WM)を通じて配信サービスへのアクセスを提供するエンティティ。
【0024】
ビームフォーミング(BF):指向性アンテナシステム又はアレイからの、全方向又は準全方向アンテナを使用しない、対象の受信機における受信信号電力又は信号対雑音比(SNR)を改善する情報を決定するための指向性送信であり、局は、この送信に基づいて、時間及び割り当て情報を相関させる情報を取得することができる。
【0025】
BSS:ベーシックサービスセット:ネットワーク内のAPとの同期に成功した一連の局(STA)。
【0026】
BI:ビーコン間隔は、ビーコン送信時間の合間の時間を表す周期的スーパーフレーム期間(cyclic superframe period)である。
【0027】
BRP:BF精緻化プロトコルは、受信機トレーニングを可能にし、指向性通信を最適化(最良を達成)するために送信機側及び受信機側を繰り返しトレーニングするBFプロトコルである。
【0028】
BSS:ベーシックサービスセットは、実際にはSTA同士の通信を可能にする無線媒体に接続するSTAの組であるBSSの周囲に構築されるIEEE802.11 WLANアーキテクチャのコンポーネントである。
【0029】
BTI:ビーコン送信間隔は、連続するビーコン送信間の間隔である。
【0030】
CBAP:競合ベースのアクセス期間は、競合ベースの拡張分散チャネルアクセス(enhanced distributed channel access:EDCA)を利用する指向性マルチギガビット(DMG)BSSのデータ転送間隔(DTI)内の期間である。
【0031】
CCA:クリアチャネル評価は、IEEE 802.11において規定される無線キャリア感知機構である。
【0032】
DMG:指向性マルチギガビットは、IEEE 802に記載されている高スループット無線通信の形態である。
【0033】
EDMG:拡張指向性マルチギガビット。
【0034】
DTI:データ転送間隔は、完全なBFトレーニングに続いて実際のデータ転送を行うことができる期間である。DTIは、1又は2以上のサービス期間(SP)及び競合ベースのアクセス期間(CBAP)を含むことができる。
【0035】
LOS:見通し線:送信機及び受信機が表面上互いの視界内に存在する、反射信号の通信の結果ではない通信。逆の状態は、局が互いにLOS内に存在しない見通し外を表すNLOSである。
【0036】
MACアドレス:媒体アクセス制御(MAC)アドレス。
【0037】
MBSS:メッシュベーシックサービスセットは、分散ネットワーク(DN)局(DN STA)の自己完結型ネットワーク(self-contained network)を形成するベーシックサービスセット(BSS)であり、配信システム(DS)として使用することができる。
【0038】
MCS:変調符号化スキーム:物理(PHY)層(例えば、OSIモデル)データレートに換算できる指数を定義する。
【0039】
MSTA:メッシュ局(MSTA)は、メッシュ施設を実装する局(STA)であり、メッシュBSS内での動作時には他のMSTAに配信サービスを提供することができる。
【0040】
DN STA:分散ネットワーク(DN)局(DN STA)は、DN施設を実装する局(STA)である。DN BSS内で動作するDN STAは、他のDN STAに配信サービスを提供することができる。
【0041】
全方向性:無指向性アンテナを利用する送信モード。
【0042】
準全方向性:最も広いビーム幅を達成できる指向性マルチギガビット(DMG)アンテナを利用する通信モード。
【0043】
受信セクタスイープ(RXSS):連続する受信間にスイープが行われる、異なるセクタを介した(にわたる)セクタスイープ(SSW)フレームの受信。
【0044】
RSSI:(dBm単位の)受信信号強度インジケータ。
【0045】
SLS:セクタレベルスイープ段階は、SSWフィードバック及びSSW ACKなどを使用してイニシエータをトレーニングするためのイニシエータセクタスイープ(ISS)、レスポンダリンクをトレーニングするためのレスポンダセクタスイープ(RSS)といった4つほどのコンポーネントを含むことができるBFトレーニング段階である。
【0046】
SNR:dB単位の受信信号対雑音比。
【0047】
SP:サービス期間は、アクセスポイント(AP)によってスケジュールされる期間であり、スケジュールされたSPは一定の時間間隔で開始する。
【0048】
スペクトル効率:特定の通信システムにおいて所与の帯域幅を通じて送信できる情報率であり、通常はビット/秒又はHzで表される。
【0049】
SSID:サービスセット識別子は、WLANネットワークに割り当てられた名称である。
【0050】
STA:局は、無線媒体(WM)への媒体アクセス制御(MAC)及び物理層(PHY)インターフェイスの個別にアドレス指定可能なインスタンスである論理エンティティである。
【0051】
スイープ:送信機又は受信機のアンテナ構成が送信間で変更される、短期ビームフォーミングインターフレーム(SBIFS)間隔によって分離された一連の送信。
【0052】
SSW:セクタスイープは、異なるセクタ(方向)で送信を行って、受信信号及び強度などに関する情報を収集する動作である。
【0053】
TDD:時分割二重は、異なるアップリンク及びダウンリンクデータ送信フローに合わせて調整するために同じ周波数帯で異なるタイムスロットを割り当てることによってアップリンクがダウンリンクから分離される通信リンクの二重化を可能にする。
【0054】
TDD SP:時分割二重サービス期間は、TDDチャネルアクセスを含むサービス期間であり、一連のTDDスロットをさらに含む一連のTDD間隔を含む。
【0055】
送信セクタスイープ(TXSS):連続する送信間にスイープが行われる、異なるセクタを介した複数のセクタスイープ(SSW)又は指向性マルチギガビット(DMG)ビーコンフレームの送信。
【0056】
1.既存の指向性無線ネットワーク技術
1.1.WLANシステム
802.11などのWLANシステムでは、パッシブスキャン及びアクティブスキャンという2つのスキャンモードが規定される。以下は、パッシブスキャンの特性である。(a)ネットワークに参加しようと試みる新規局(STA)は、各チャネルを検査し、最大でMaxChannelTimeにわたってビーコンフレームを待つ。(b)ビーコンが受け取られなかった場合、新規STAは別のチャネルに移行し、従ってスキャンモードで信号を送信しないのでバッテリ電力を節約する。STAは、ビーコンを見逃さないように各チャネルにおいて十分な時間にわたって待つべきである。ビーコンが失われた場合、STAはさらなるビーコン送信間隔(BTI)にわたって待つべきである。
【0057】
以下は、アクティブスキャンの特性である。(a)ローカルネットワークに参加したいと望む新規STAは、以下に従って各チャネル上でプローブ要求フレームを送信する。(a)(1)新規STAは、あるチャネルに移行して、着信フレーム、又はプローブ遅延タイマの満了を待つ。(a)(2)タイマの満了後にフレームが検出されなかった場合、このチャネルは未使用とみなされる。(a)(3)チャネルが未使用である場合、STAは新たなチャネルに移行する。(a)(4)チャネルが使用中である場合、STAは、通常のDCFを使用して媒体にアクセスしてプローブ要求フレームを送信する。(a)(5)チャネルがそれまでに使用中でなかった場合、STAは、プローブ要求に対する応答を受け取るために所望の期間(例えば、Minimum Channel Time)にわたって待つ。チャネルが使用中であってプローブ応答が受け取られた場合、STAは、さらなる時間(例えば、Maximum Channel Time)にわたって待つ。
【0058】
(b)プローブ要求は、一意のサービスセット識別子(SSID)、SSIDのリスト又はブロードキャストSSIDを使用することができる。(c)周波数帯によっては、アクティブスキャンが禁止されていることもある。(d)アクティブスキャンは、特に多くの新規STAが同時に到着してネットワークにアクセスしようと試みる場合に干渉及び衝突の原因となり得る。(e)アクティブスキャンは、パッシブスキャンの使用に比べてSTAがビーコンを待つ必要がないので、STAがネットワークにアクセスするための高速な(遅延が少ない)方法である。(f)インフラストラクチャベーシックサービスセット(BSS)及びIBSSでは、少なくとも1つのSTAがプローブを受け取って応答しようと目を光らせている。(g)分散ネットワーク(DN)ベーシックサービスセット(MBSS)内のSTAは、いずれかの時点で応答に目を光らせていないこともある。(h)無線測定キャンペーンがアクティブの時には、STAがプローブ要求に応答しないこともある。(i)プローブ応答の衝突が生じることもある。STAは、最後のビーコンを送信したSTAが最初のプローブ応答を送信できるようにすることによってプローブ応答の送信を協調させることもできる。他のSTAは、衝突を回避するためにバックオフ時間及び通常の分散制御機構(DCF)チャネルアクセスに従ってこれらを使用することができる。
【0059】
図1に、プローブを送信するスキャン局と、プローブを受け取ってこれに応答する2つの応答局とを示す、IEEE 802.11 WLANにおけるアクティブスキャンの使用を示す。この図には、最小プローブ応答タイミング及び最大プローブ応答タイミングも示す。図示の値G1は、確認応答の送信前のフレーム間間隔であるSIFSに設定されるのに対し、値G3は、バックオフ期間の完了後であってRTSパッケージの送信前に送信側が待機する時間遅延を表すDCFフレーム間間隔であるDIFSである。
【0060】
1.2.IEEE 802.11s 分散ネットワーク(DN)WLAN
IEEE 802.11s(以下、802.11s)は、802.11標準に無線メッシュネットワーキング能力を加えた標準である。802.11sでは、新たなタイプの無線局と、メッシュネットワーク発見、ピアツーピア接続の確立及びメッシュネットワークを通じたデータのルーティングを可能にする新たなシグナリングとが規定される。
【0061】
図2には、非メッシュSTAの混合がメッシュSTA/APに接続し(実線)、メッシュSTAがメッシュポータルを含む他のメッシュSTAに接続する(点線)メッシュネットワークの一例を示す。メッシュネットワーク内のノードは、802.11標準で規定されている同じスキャン技術を近隣発見に使用する。メッシュネットワークの識別は、ビーコン及びプローブ応答フレームに含まれるメッシュID要素によって行われる。1つのメッシュネットワークでは、全てのメッシュSTAが同じメッシュプロファイルを使用する。メッシュプロファイルは、メッシュプロファイル内の全てのパラメータが一致する場合に同じものとみなされる。メッシュプロファイルは、その近隣のメッシュSTAがスキャンを通じてメッシュプロファイルを取得できるようにビーコン及びプローブ応答フレームに含まれる。
【0062】
メッシュSTAがスキャンプロセスを通じて近隣メッシュSTAを発見すると、発見されたメッシュSTAはピアメッシュSTA候補とみなされる。このメッシュSTAは、発見されたメッシュSTAがメンバであるメッシュネットワークのメンバになって近隣メッシュSTAとのメッシュピアリングを確立することができる。発見された近隣メッシュSTAは、受信ビーコンと同じメッシュプロファイルを使用している場合、或いはプローブ応答フレームがその近隣メッシュSTAを示す場合、ピアメッシュSTA候補とみなすことができる。
【0063】
メッシュSTAは、(a)近隣MACアドレス、(b)動作チャネル番号、及び(c)最近観察されたリンク状況及び品質情報を含む発見された近隣情報をメッシュ近隣テーブル内に維持しようと試みる。近隣が検出されなかった場合、メッシュSTAは、その最優先プロファイルのメッシュIDを使用してアクティブな状態を保つ。近隣メッシュSTAを発見するための上述したシグナリングは全てブロードキャストモードで実行される。802.11sは、指向性無線通信を伴うネットワークを対象としたものではないと理解されたい。
【0064】
図3に、メッシュネットワークの識別を広告するために使用されるメッシュ識別要素(メッシュID要素)を示す。メッシュIDは、メッシュネットワークに参加する用意がある新規STAによってプローブ要求で送信され、また既存のメッシュネットワークSTAによってビーコン及び信号で送信される。長さ0のメッシュIDフィールドは、プローブ要求フレーム内で使用されるワイルドカードメッシュIDを示す。ワイルドカードメッシュIDは、非メッシュSTAがメッシュネットワークに参加するのを防ぐ特定のIDである。なお、メッシュ局は、非メッシュ局よりも多くの特徴を有するSTAであり、例えばメッシュネットワークは、他のいくつかのモジュールに加えてメッシュ機能を提供するモジュールとして動作するSTAを有するようなものであると認識されたい。STAがこのメッシュモジュールを有していない場合には、メッシュネットワークへの接続を許可すべきではない。
【0065】
図4に、メッシュSTAによって送信されるビーコンフレーム及びプローブ応答フレームに含まれる、メッシュサービスの広告に使用されるメッシュ構成要素を示す。メッシュ構成要素の主要内容は、(a)経路選択プロトコル識別子、(b)経路選択メトリック識別子、(c)輻輳制御モード識別子、(d)同期方法識別子、及び(e)認証プロトコル識別子である。メッシュ構成要素の内容は、メッシュIDと共にメッシュプロファイルを形成する。
【0066】
802.11a標準は、メッシュ発見、メッシュピアリング管理、メッシュセキュリティ、メッシュビーコン送信及び同期、メッシュ調節機能、メッシュ電力管理、メッシュチャネルスイッチング、3アドレス、4アドレス、及び拡張アドレスフレームフォーマット、メッシュ経路選択及び転送、外部ネットワークとの相互作用、メッシュ間輻輳制御、並びにメッシュBSSにおける緊急サービスサポートを含む多くの手順及びメッシュ機能を定める。
【0067】
1.3.WLANにおけるミリメートル波
一般に、ミリメートル波帯におけるWLANでは、高い経路損失を考慮して通信にとって十分なSNRを提供するために、送信、受信、又はこれらの両方に指向性アンテナを使用する必要がある。送信又は受信において指向性アンテナを使用すると、スキャンプロセスも指向性になる。IEEE 802.11ad及び新たな標準802.11ayでは、ミリメートル波帯を介した指向性送受信のためのスキャン及びビームフォーミング手順が規定されている。
【0068】
1.4.IEEE 802.11adのスキャン及びBFトレーニング
mm波WLANの最先端システムの例は、802.11ad標準である。
【0069】
1.4.1.スキャン
新規STAは、特定のSSID、SSIDリスト、又は全ての発見されたSSIDをスキャンするためにパッシブ又はアクティブスキャンモードで動作する。パッシブなスキャンを行うには、STAが、SSIDを含むDMGビーコンフレームをスキャンする。アクティブなスキャンを行うには、DMG STAが、所望のSSID又は1又は2以上のSSIDリスト要素を含むプローブ要求フレームを送信する。DMG STAは、プローブ要求フレームの送信前に、DMGビーコンフレームの送信又はビームフォーミングトレーニングの実行を行うことが必要な場合もある。
【0070】
1.4.2.BFトレーニング
BFトレーニングは、セクタスイープを使用するBFトレーニングフレーム送信の双方向シーケンスであり、各STAが送信及び受信の両方に適したアンテナシステム設定を決定するために必要なシグナリングを行う。
【0071】
802.11adのBFトレーニングプロセスは、3段階で実行することができる。(1)セクタレベルスイープ段階を実行することにより、リンク取得のために指向性送信及び低利得(準全方向性)受信を実行する。(2)複合送受信(combined transmit and receive)のために、受信利得及び最終調整を加える精緻化段階を実行する。(3)その後、データ送信中にトラッキングを実行して、チャネル変更に合わせた調整を行う。
【0072】
1.4.3.802.11adのSLS BFトレーニング段階
このSLS BFトレーニング段階は、802.11ad標準のセクタレベルスイープ(SLS)必須段階に焦点を置く。SLS中には、一対のSTAが、異なるアンテナセクタを介して一連のセクタスイープ(SSW)フレーム(又は、PCP/APにおける送信セクタトレーニングの場合にはビーコン)を交換して、最も高い信号品質を提供するセクタを発見する。最初に送信を行う局はイニシエータと呼ばれ、2番目に行う局はレスポンダと呼ばれる。
【0073】
送信セクタスイープ(TXSS)中には、異なるセクタ上でSSWフレームが送信され、対を成すSTA(レスポンダ)が準全方向性パターンを利用してこれを受け取る。レスポンダは、最良のリンク品質(例えば、SNR)を提供するイニシエータのアンテナアレイセクタを決定する。
【0074】
図5に、802.11adでのセクタスイープ(SSW)の概念を示す。この図には、STA1がSLSのイニシエータであってSTA2がレスポンダである例を示す。STA1は、送信アンテナパターン微細セクタ(transmit antenna pattern fine sectors)を全てスイープし、STA2は、準全方向性パターンで受け取る。STA2は、STA1から受け取った最良のセクタをSTA2にフィードバックする。
【0075】
図6に、802.11ad仕様で実装されるセクタレベルスイープ(SLS)プロトコルのシグナリングを示す。送信セクタスイープの各フレームは、セクタカウントダウン指示(CDOWN)、セクタID及びアンテナIDに関する情報を含む。最良のセクタID及びアンテナID情報は、セクタスイープフィードバック及びセクタスイープACKフレームと共にフィードバックされる。
【0076】
図7に、以下で概説するフィールドを含む、802.11ad標準で利用されるセクタスイープフレーム(SSWフレーム)のフィールドを示す。Duration(継続時間)フィールドは、SSWフレーム送信の最後までの時間に設定される。RAフィールドは、セクタスイープの所定の受信者であるSTAのMACアドレスを含む。TAフィールドは、セクタスイープフレームの送信側STAのMACアドレスを含む。
【0077】
図8に、SSWフィールド内のデータ要素を示す。SSWフィールドで搬送される主要情報は以下の通りである。Direction(方向)フィールドは、0に設定されると、ビームフォーミングイニシエータによってフレームが送信されることを示し、1に設定されると、ビームフォーミングレスポンダによってフレームが送信されることを示す。CDOWNフィールドは、TXSSの最後までの残りのDMGビーコンフレーム送信の数を示すダウンカウンタである。セクタIDフィールドは、このSSWフィールドを含むフレームを送信するセクタ番号を示すように設定される。DMG Antenna(アンテナ)IDフィールドは、送信機がこの送信のために現在どのDMGアンテナを使用しているかを示す。RXSS Length(長さ)フィールドは、CBAPで送信された時にのみ有効であり、そうでない場合には保留される。このRXSS Lengthフィールドは、送信側STAによって要求された受信セクタスイープの長さを指定し、SSWフレームの単位で定義される。SSW Feedback(SSWフィードバック)フィールドについては以下で定義する。
【0078】
図9A及び図9Bに、SSWフィードバックフィールドを示す。図9Aに示すフォーマットは、内部下位層サービス(ISS)の一部として送信される時に利用され、図9Bのフォーマットは、ISSの一部として送信されない時に使用される。Total Sectors in the ISS(ISS内総セクタ)フィールドは、イニシエータがISSにおいて使用する総セクタ数を示す。Number of Rx DMG Antennas(Rx DMGアンテナ数)サブフィールドは、イニシエータが次の受信セクタスイープ(RSS)中に使用する受信DMGアンテナの数を示す。Sector Select(セクタ選択)フィールドは、直前のセクタスイープにおいて最良の品質で受け取られたフレーム内のSSWフィールドのvalue of Sector ID(セクタID値)サブフィールドを含む。DMG Antenna Select(DMGアンテナ選択)フィールドは、直前のセクタスイープにおいて最良の品質で受け取られたフレーム内のSSWフィールドのDMG Antenna ID(DMGアンテナID)サブフィールドの値を示す。SNRレポートフィールドは、直前のセクタスイープ中に最良の品質で受け取られた、セクタ選択フィールドに示されるフレームのSNRの値に設定される。Poll Required(ポール要求)フィールドは、非PCP/非AP STAによって1に設定されると、PCP/APに非PCP/非APとの通信を開始するように要求することを示す。Poll Requiredフィールドは、0に設定されると、PCP/APが通信を開始するかどうかに関する設定を非PCP/非APが有していないことを示す。
【0079】
2.局(STA)ハードウェア構成
図10に、STAにセンサ及びアクチュエータなどへの外部I/OをもたらすI/O経路12に結合されたバス14にコンピュータプロセッサ(CPU)16及びメモリ(RAM)18結合されたハードウェアブロック13内へのI/O経路12を示す、STAハードウェア構成の実施形態例10を示す。プロセッサ16上では、STAが「新規STA」又は既にネットワーク内に存在するSTAのうちの1つの機能を実行できるように、通信プロトコルを実装するプログラムを実行するための、メモリ18からの命令が実行される。また、このプログラミングは、現在の通信状況でどのような役割を果たしているかに応じて異なるモード(ソース、中間、宛先)で動作するように構成されると理解されたい。この図示のホストマシンは、近隣STAとの間でフレームを送受信する複数のアンテナ24a~24n、26a~26n、28a~28nへの無線周波数(RF)回路22a、22b、22cに結合されたmmWモデム20を含むように構成される。また、このホストマシンは、(単複の)アンテナ34への無線周波数(RF)回路32に結合されたsub-6GHzモデム30を含むことも分かる。
【0080】
従って、この図示のホストマシンは、2つの異なる帯域で通信を行えるように、2つのモデム(マルチバンド)及びその関連するRF回路を含むように構成される。限定ではなく一例として、対象の指向性通信帯には、mmW帯でデータを送受信できるようにmmW帯モデム及びその関連するRF回路が実装される。本明細書では一般に発見帯と呼ぶ他方の帯域は、sub-6GHz帯でデータを送受信できるようにsub-6GHzモデム及びその関連するRF回路を含む。
【0081】
この例では、mmW帯のためのRF回路を3つ示しているが、本開示の実施形態は、あらゆる任意の数のRF回路に結合されたモデム20を含むように構成することができる。一般に、使用するRF回路の数が多ければ多いほど、アンテナビーム方向のカバレッジが広くなる。なお、利用するRF回路の数及びアンテナの数は、特定の装置のハードウェア制約によって決まると理解されたい。RF回路及びアンテナの中には、STAが近隣STAと通信する必要がないと判断した時に無効にできるものもある。少なくとも1つの実施形態では、RF回路が、周波数変換器及びアレイアンテナコントローラなどを含み、送受信のためにビームフォーミングを実行するように制御される複数のアンテナに接続される。このように、STAは、複数のビームパターンの組を使用して信号を送信することができ、各ビームパターン方向がアンテナセクタとみなされる。
【0082】
図11に、STAが複数の(例えば、36個の)mm波アンテナセクタパターンを生成するために利用できるmm波アンテナ方向の実施形態例50を示す。この例では、STAが、3つのRF回路52a、52b、52cと接続アンテナとを実装し、各RF回路及び接続アンテナは、ビームフォーミングパターン54a、54b、54cを生成する。図示のアンテナパターン54aは、12個のビームフォーミングパターン56a、56b、56c、56d、56e、56f、56g、56h、56i、56j、56k及び56n(「n」は、あらゆる数のパターンをサポートできることを表す)を有する。この特定の構成を使用する局の例は36個のアンテナセクタを有するが、本開示は、あらゆる所望の数のアンテナセクタをサポートすることができる。説明を容易かつ明確にするために、以下の節では一般にさらに少ない数のアンテナセクタを有するSTAについて説明するが、これを実装制限と解釈すべきではない。なお、アンテナセクタにはあらゆる任意のビームパターンをマッピングすることができると理解されたい。通常、ビームパターンは、鋭角ビーム(sharp beam)を生成するように形成されるが、複数の角度から信号を送受信するようにビームパターンを生成することも可能である。
【0083】
アンテナセクタは、mm波RF回路の選択と、mm波アレイアンテナコントローラによって指示されるビームフォーミングとによって決まる。STAハードウェアコンポーネントは、上述したものとは異なる機能分割を有することもできるが、このような構成は、説明する構成の変形例とみなすことができる。mm波RF回路及びアンテナの中には、STAが近隣STAと通信する必要がないと判断した時に無効にできるものもある。
【0084】
少なくとも1つの実施形態では、RF回路が周波数変換器及びアレイアンテナコントローラなどを含み、送受信のためにビームフォーミングを実行するように制御される複数のアンテナに接続される。このように、STAは、複数のビームパターンの組を使用して信号を送信することができ、各ビームパターン方向がアンテナセクタとみなされる。
【0085】
図12に、RF回路72に取り付けられた準全方向アンテナ74を使用するように想定されたsub-6GHzモデムのアンテナパターンの実施形態例70を示すが、他の回路及び/又はアンテナを制限なく利用することもできる。
【0086】
3.本開示における割り当て情報の配信
本開示では、時間及び方向割り当て情報の配信及び使用を可能にする複数の要素について教示する。
【0087】
図13A及び図13Bに、WLANスーパーフレームの実施形態例90、110を示す。図13Aの第1の例には、現在のビーコン間隔に関するスケジュールされた情報を示すビーコン送信をBTI92、102が含むスーパーフレーム90の例を示す。BTI間隔中に送信されるビーコンは、スケジュールされた様々な期間(SP97、TDD-SP98、CBAP100)などの割り当てリソース96に関する情報を有する。BTI中に送信されるビーコンは、送信及び受信方向に関する情報も有する。BTI中に送信されるビーコンは、アクセススキームに割り当てられていない時間リソース、或いはビーコンによって空又は未スケジュールとして定められる時間リソースを表す未使用のリソース(スケジュールされていない時間リソース)に関する情報94も提供する。
【0088】
図13Bの第2の例には、BTI112と122との間のスーパーフレーム110がスケジュール済みのTDD-SP114である例を示す。このフレームでは、BTIにおいて送信されるビーコンが、TDD-SPスケジュールに関する情報を有する。このビーコンを受け取ったノードは、スケジュールされていない(未スケジュールの)TDDスロット116、又はこのノードに干渉しないと思われる他のユーザにスケジュールされたTDDスロット118、120を把握(決定)することができる。一例として、図には送信(Tx)118及び受信(Rx)120のための複数の期間を示す。
【0089】
4.方向チャネル情報
STAは、データ送信及び受信が行われる方向に関する情報を送信する。この情報は、スケジュールされた時間領域情報を送信及び受信方向にマッピングするために近隣ノードにブロードキャストされる。少なくとも1つの実施形態における方向情報は、各割り当てられた送信又は特定のサービス期間内に発生し得る送信のセクタID及びアンテナIDを含む。
【0090】
図14に、ユーザに時間リソースを割り当てる(134)WLANフレームの実施形態例130を示す。図示のフレームは、ビーコン送信期間(BTI)132、(例えば、セクタ5として示す)サービス期間(SP)(Tx/Rx)136、(例えば、セクタ12、25として示す)競合ベースのアクセス期間(CBAP)(Tx/Rx)138、142、及び(例えば、セクタ34として示す)時分割二重サービス期間(TDD-SP)(Tx/Rx)140として示すフィールドを含む。これらの各フィールドの使用については、図15の指向性送信例に関連して後述する。
【0091】
図15に、局(STA4)が全方向に情報を送信する実施形態例150を示す。複数のSTAノードを、152 STA1、154 STA2、156 STA3及び158 STA4として示す。なお、STA4は、説明を単純にするために図示していない他のSTAとも通信する。
【0092】
図示のSTA4は、この例図において強調表示するセクタ方向5、12、25及び34を含む全方向にビーコンを送信している。STA1 152は、STA4からのセクタID5から図14のビーコン130を受け取っており(153)、従って送信のスケジュール済みSP期間136及びCBAP期間142内のデータを取得する。STA2 154は、セクタ8からのものとして示すビーコンを受け取る155が、ビーコンにはこのセクタのための特定のデータは存在しない。同様に、STA3 156は、セクタID12からのビーコンを受け取り(157)、図14のフィールド138に示すスケジュール済みCBAP期間内のデータを取得する。
【0093】
図14を参照すると、158 STA4は、図示していないSTAにセクタ25及び34の割り当てデータを通信することも分かる。なお、ビーコンを受け取った周辺エリア内のSTAは、ビーコン内に示される割り当てが、ビーコンを受け取った同じ方向からのものであるか否かを自力で判定することができる。例えば、この判定は、示される割り当てのセクタIDと受信ビーコンのセクタIDとを比較することによって行うことができる。受信ビーコンのセクタIDが割り当てのセクタIDに一致する場合、STAは、この占められたリソースの割り当てを干渉の原因となる恐れがあるものとみなす。
【0094】
5.WLAN共存
ネットワーク内のノードが他のノードによるチャネルへのアクセスを認識するようになれば、これらのノード間の全体的効率及び共存を高めることができる。TDD SPチャネルアクセスでは、ノードが感知せずにチャネルにアクセスできるので、TDDチャネルの使用を認識している他のノードは、TDD SPチャネルとの共存の可能性を高めるのに役立つことができる。TDDスロット構造、TDDネットワーク内のノードのTDDスケジューリング及び送信方向などの情報は、周辺エリア内の全ノードにブロードキャストされることが好ましい。周辺エリア内の他のノードは、この情報が存在する場合にはこれを走査して自機のチャネルアクセスのために使用する。CBAP又は通常のSPのような他のアクセススキームを使用する他のSTAは、他のSTも同様に共存してより効率的にチャネルにアクセスするのに役立つようにチャネル使用の方向及び時間割り当てをブロードキャストすることができる。
【0095】
5.1.TDD SPネットワーク
TDD SPを使用するSTAは、少なくとも潜在的データ送信又は受信の方向にビーコンを送信するように構成される。データ送信方向は、STAが別のSTAとビームフォーミングして関連付けられる方向である。WLANネットワークビーコンは、TDD SP構造及び割り当ての詳細を一切含まない割り当て情報を伝えることができる。また、WLANネットワークビーコンは、これらの割り当てがアクティブである方向の詳細を一切含まない割り当て情報を伝えることもできる。
【0096】
(A)TDD-SPを使用するネットワーク内のSTAの修正は以下のように行われる。(1)TDD SPを使用する各STAは、少なくとも別のSTAがTDD SPを使用して通信している方向にビーコンを送信する。(2)少なくとも1つの実施形態では、ビーコンが、TDD SP内の各割り当てのTDDスロット構造及びTDDスケジュール要素を含む。(3)少なくとも1つの実施形態では、TDDスケジュール要素が、スロット割り当て及び送信方向(送信のセクタID及びDMGアンテナID)を含む。
【0097】
(B)通知を受け取ったSTAの修正は以下のように行われる。(1)(例えば、TDD-SPチャネルアクセス又はその他のチャネルアクセス法を使用する)TDD-SPネットワーク外のSTAは、自機が送信又は受信を行っていない状態でビーコンがその受信方向に向けてビームフォーミングされた場合にブロードキャストビーコンを受け取ることができる。(2)ビーコンを受け取ったSTAは、ビーコンを容易に復号することができる。(3)STAは、スケジュールされたSP及びTDD-SPスロットに関する情報を取得することができる。(4)STAは、関心方向のスケジュールされたスロットに関する情報を取得することができる。(5)STAは、その送信又は受信方向における干渉のない通信を取得するために空いているスロット又は時間を識別することができる。(6)STAは、検出されたビーコンを受け取ったSTAと素早くビームフォーミングして、発見されたSTAとの関連付け又は認証を伴わずに潜在的な干渉の方向のみを決定する。(7)STAは、たとえ準全方向アンテナを使用して測定されたクリアチャネル評価(Clear Channel Assessment(CCA))閾値が満たされていなくても、検出された干渉が通信対象の方向以外の異なる方向から検出された場合にはチャネルにアクセスすることができる。
【0098】
5.2.CBAP及び通常のSPネットワーク
CBAP及び通常のSPを使用するSTAは、ビーコンを全方向に送信する。STAは、少なくとも潜在的データ送信又は受信方向にビーコンを送信すべきである。データ送信方向は、STAが別のSTAとビームフォーミングして関連付けられる方向である。WLANネットワークビーコンは、ビーコンを送信するSTAが使用する送信及び受信アンテナの詳細を一切含まない割り当て情報を有する拡張スケジュール要素を伝えることができる。STAがTDD SPとCBAP又は通常のSPとを両方とも使用する場合、拡張スケジュール要素は、スロットスケジュール及びスロット構造要素と共に送信される。これにより、異なる割り当て期間の合間であってTDD SP期間内でもある空いている時間に関する情報が提供される。
【0099】
(A)方向及び割り当て情報を通知するSTAの修正は以下のように行われる。(1)各STAは、少なくとも別のSTAが通信している方向にビーコンを送信する。(2)ビーコンは、全ての割り当てを含むEDMG拡張スケジュール要素を含むべきである。(3)EDMG拡張スケジュール要素内の各割り当ては、この割り当てに使用されるTx及びRxアンテナ構成(送信のアンテナタイプ、セクタID、及びDMGアンテナID)を指定すべきである。
【0100】
(B)通知を受け取ったSTAの修正は以下のように行われる。(1)(いずれかのチャネルアクセススキームを使用できる)BSS外のSTAは、自機が送信又は受信を行っていない状態でビーコンがその受信方向に向けてビームフォーミングされた場合にブロードキャストビーコンを受け取ることができる。(2)ビーコンを受け取ったSTAは、ビーコンを復号することができる。(3)STAは、他のノードがチャネルにアクセスしているアクティブ期間に関する情報をビーコンから取得することができる。(4)STAは、関心方向にスケジュールされた期間に関する情報を取得することができる。(5)STAは、その送信又は受信方向における干渉のない通信を形成するために空いている期間を識別することができる。(6)STAは、検出されたビーコンを受け取ったSTAと素早くビームフォーミングして、発見されたSTAとの関連付け又は認証を伴わずに潜在的な干渉の方向のみを決定する。(7)STAは、たとえ準全方向アンテナを使用して測定されたCCA閾値が満たれていなくても(例えば、チャネルが遮断されたように見えても)、検出された干渉が通信対象の方向以外の異なる方向から検出された場合にはチャネルにアクセスすることができる。
【0101】
5.3.送信通知の一般的方向
いくつかの例では、STAがビーコンを全方向に送信する。STAは、少なくとも潜在的データ送信又は受信方向にビーコンを送信すべきである。データ送信方向は、STAが別のSTAとビームフォーミングして関連付けられる方向である。本開示の実施形態によるビーコンは、アクティブな送信又は受信の方向を含む新たな要素を伝えることができる。
【0102】
(A)方向及び割り当て情報を通知するSTAの修正は以下のように行われる。(1)各STAは、少なくとも別のSTAと通信している方向にビーコンを送信する。(2)少なくとも1つの実施形態では、ビーコンが、全てのアクティブな送信及び受信ビーム方向を含む方向情報要素を含む。(3)少なくとも1つの実施形態では、方向情報要素内のアクティブな各送信又は受信が、このアクティブな通信に使用されるTx及びRxアンテナ構成(送信のアンテナタイプ、セクタID、及びDMGアンテナID)を指定する。
【0103】
(B)通知を受け取ったSTAの修正は以下のように行われる。(1)(例えば、いずれかのチャネルアクセススキームを使用できる)BSS外のSTAは、自機が送信又は受信を行っていない状態でビーコンがその受信方向に向けてビームフォーミングされた場合にブロードキャストビーコンを受け取ることができる。(2)ビーコンを受け取ったSTAは、ビーコンを復号することができる。(3)STAは、ビーコンに含まれる割り当て情報からアクティブな通信方向に関する情報を取得することができる。(4)STAは、検出されたビーコンを受け取ったSTAと素早くビームフォーミングして、発見されたSTAとの関連付け又は認証を伴わずに潜在的な干渉の方向のみを決定する。(5)STAは、たとえ準全方向アンテナを使用して測定されたCCA閾値が満たれていなくても(チャネルが閉鎖されたように見えても)、検出された干渉が通信対象の方向とは異なる方向から検出された場合にはチャネルにアクセスすることができる。
【0104】
6.修正された及び新たな情報要素
6.1.EDMG拡張スケジュール要素及び方向情報
EDMG拡張スケジュール要素は、どのチャネル上で割り当てがスケジュールされているかについての指示を含む、EDMG BSSのチャネルスケジューリングを定める。
【0105】
図16に、EDMG拡張スケジュール要素フォーマットの実施形態例170を示す。要素ID(element ID)、要素ID拡張(Element ID extension)及び長さ(length)は、要素のタイプ及び要素の長さを示す。EDMG割り当て制御(EDMG Allocation Control)フィールドは、EDMG割り当てプロセスに対するいくつかの制御ビットを含む。割り当て数(Number of Allocations)フィールドは、要素内の割り当ての数を示す。チャネル割り当て数(number of channel allocations)フィールドは、後述するように示される。
【0106】
図17に、チャネル割り当て(channel Allocation)フィールドの実施形態例190を示す。スケジューリングタイプ(Scheduling type)は、1の場合にはチャネル割り当てフィールドが完全な割り当て情報を含み、それ以外の場合には補完情報しか含まないことを示す。チャネル集約(channel aggregation)及びBWサブフィールドは、割り当てが使用しているBWを定める。非対称ビームフォーミング(Asymmetric Beamforming)、NSTS、及びNmax STSサブフィールドは、非対称ビームフォーミングサブフィールドが1の場合に非対称ビームフォーミングトレーニング割り当てを構成するために使用される。受信方向(Receive Direction)及び送信方向(Transmit Direction)サブフィールドは、割り当て中にPCP又はAPが使用する受信アンテナ及び送信アンテナ構成を示し、以下に示すようにフォーマットされる。非対称ビームフォーミングトレーニングサブフィールドが1の場合、受信方向及び送信方向サブフィールドは保留される。
【0107】
図18に、受信及び送信方向サブフィールドの実施形態例210を示す。IsDirectionalサブフィールドは、1に設定されると、PCP又はAPが指向性の非準全方向アンテナパターンを使用して割り当て中の受信時にフレームを受け取って送信時にフレームを送信することを示し、それ以外の場合は0に設定される。IsDirectionalサブフィールドが0の場合、セクタID(Sector ID)サブフィールドは保留される。それ以外の場合、セクタIDサブフィールドは、PCP又はAPがこの割り当て中の受信時にフレームを受け取って送信時にフレームを送信するために使用するセクタを示す。IsDirectionalサブフィールドが0の場合、DMGアンテナID(DMG Antenna ID)サブフィールドは保留される。それ以外の場合、DMGアンテナIDサブフィールドは、PCP又はAPがこの割り当て中の受信時にフレームを受け取って送信時にフレームを送信するために使用するDMGアンテナを示す。
【0108】
6.2.TDD SP割り当て及び方向性のブロードキャスト
TDDスケジュール(TDD Schedule)要素は、TDD SP内のTDDスロットに対するDMG STAのアクセス割り当てに関する情報を含む。この要素は、割り当てられたTDD-SP期間内でいつ送信を行って受信を期待すべきかについてSTAに通知するために使用される。
【0109】
図19に、TDDスロットスケジュール(TDD slot schedule)要素フォーマットの実施形態例230を示す。要素ID、長さ、及び要素ID拡張は、要素のタイプ及び要素の長さを示す。ビットマップ及びアクセスタイプスケジュール(Bit Map and Access Type Schedule)フィールド及びスロットカテゴリスケジュール(Slot Category Schedule)フィールドは、この特定の割り当ての送信及び受信のマッピング、並びにスロットのタイプを示す。
【0110】
図20に、スロットスケジュール制御(slot schedule Control)フィールドフォーマットの実施形態例250を示す。チャネル集約及びBWサブフィールドは、割り当てが使用しているBWを定める。スロットスケジュール開始時間(slot schedule start time)は、スケジュール要素情報がいつ有効になるかを示す。ビットマップ内TDD間隔数(Number of TDD Intervals in the Bitmap)は、TDDスケジュール開始時間後のビットマップ内のTDD間隔の数を示す。割り当てID(allocation ID)は、このIDによって識別される特定の割り当てを示す。TxセクタID(Tx sector ID)及びTx DMGアンテナID(Tx DMG antenna ID)は、この要素の送信時にこの割り当ての送信に使用されているセクタID及びDMGアンテナIDを示す。RxセクタID(Rx sector ID)及びRx DMGアンテナID(Rx DMG antenna ID)は、この要素の送信時にこの割り当ての受信に使用されているセクタID及びDMGアンテナIDを示す。また、少なくとも1つの実施形態では、追加機能をサポートするためにビットが保留される。
【0111】
6.3.方向情報要素
準全方向アンテナを使用した指向性ビーム又は異なる帯域を通じて全方向にブロードキャストされるフレームと共に送信できる場合には、新たな要素が導入される。例えば、この新たな要素は、DMGビーコン送信のビーコンに添付することができる。以下の図には、この要素の例を示す。
【0112】
図21に、方向情報(DI)要素の実施形態例270を示す。DI要素は、要素のタイプ及び要素の長さを示す要素ID、長さ、及び要素ID拡張を含む。アンテナビーム構成数(Number of antenna beam configuration)には、構成されるアンテナビームの数が示される。この数は、要素内のアンテナ構成フィールドの数を決定する。各アンテナ構成は、少なくとも1つの送信方向(Transmit direction)及び受信方向(Receive direction)フィールドの対を含み、より典型的には複数方向の送信及び受信情報を含む複数のペアを含む。送信方向及び受信方向フィールドは、図18で定義したフィールドに類似する。
【0113】
図22に、別の方向情報(DI)要素の実施形態例290を示す。この要素は、要素のタイプ及び要素の長さを示す要素ID、長さ、及び要素ID拡張を含む。この要素は、各DMGアンテナのアクティブビームのためのマップを含む。DMGアンテナ数(Number of DMG antenna)フィールドは、要素内のTx、Rxマップフィールドの数を示す。Txビームパターン数及びRxビームパターン数は、Tx及びRxマップのサイズを示す。各DMGアンテナは、Tx及びRxビームIDマップを有する。マップ位置に関連するビームIDは、Tx又はRxビームIDマップ内のTx又は受信においてアクティブな場合に設定される。
【0114】
7.割り当て及び方向Txブロードキャスト例
7.1.TDD SPスケジューリング及び割り当て情報の割り当てTxの方向のみのブロードキャスト
方向「i」に送信される各ビーコンは、この方向でのアクティブな送信のためのTDDスロットスケジュール及びTDDスロット構造を含む。この方向に複数のアクティブな送信又は受信が存在する場合、これらのアクティブなTx/RxのためのTDDスケジュール及び構造要素がビーコンと共に含まれる。少なくとも1つの実施形態では、ノードが、これらのアクティブなTx/Rxのための同じTDDスケジュール及び構造要素を近隣方向に送信して、近隣のアクティブなビームからの漏出の可能性を通知する。
【0115】
図23に、TDD方向及び割り当て情報を含むビーコンを送信する実施形態例310を示す。処理を開始して(312)、方向「i」へのビーコン送信を準備する(314)。方向「i」にアクティブな送信又は受信が存在するかどうかをチェックする(316)。この方向にアクティブなTx/Rxが存在する場合には、ブロック318においてこの方向のビーコン送信にTDDスケジュール構造を追加して、実行はブロック320に進む。ブロック316においてこの方向にアクティブなTx/Rxが存在しない場合、実行は直接ブロック320に進んで方向「i」にビーコンを送信する。次に、送信すべきビーコンがさらに存在するかどうかをチェックする(322)。送信すべきビーコンがさらに存在する場合には、方向iを次のビーコン送信方向に更新して(324)ブロック314に戻り、そうでなければ処理を終了する(326)。
【0116】
図24A及び図24Bに、異なるビーコンフレーム方向に送信されるフレームの実施形態例330、340を示す。図24Aには、方向「i」においてアクティブな2つの割り当て(割り当て1及び割り当て2)のためのTDDスロットスケジュール及び構造情報要素と共に方向「i」に送信されるビーコンフレームの例を示す。図24Bでは、ビーコンフレームの例が、方向i+1においてアクティブな1つの割り当て(nAllocation3)のためのTDDスロットスケジュール及び構造情報要素と共に方向i+1に送信される。
【0117】
7.2.TDD SPチャネルアクセスのための、割り当てTxの全てのスケジューリング、割り当て及び方向の全方向へのブロードキャスト
いずれかの方向「i」に送信される各ビーコンは、全方向などの全てのアクティブな送信のためのTDDスロットスケジュール及びTDDスロット構造要素を含む。これらの各要素は特定の割り当てIDを示し、この割り当てに使用されるビームIDを定める。受信側STAは、この情報を利用して、意図される受信又は送信方向が、干渉を引き起こす恐れがある割り当てID及びビームIDに一致するかどうかを判定する。
【0118】
図25に、TDD方向及び割り当て情報を含むビーコンを送信するステップの実施形態例390を示す。処理を開始した(392)後に、現在のノード(STA)と通信している「n」個のアクティブなピアのリストを準備する(394)。処理シーケンスは、いずれかのアクティブなピアが存在するかどうか、又はこれらのピアが全て処理されたかどうかを判定する(396)ことによって開始する。この処理シーケンスは、減分カウントシーケンスを使用して示しているが、増分カウントシーケンスを使用することも、又はアクティブなピアの各々に対処できるように非シーケンスコーディングを使用することもできると理解されたい。
【0119】
アクティブなピアが存在する場合にはブロック398に進み、ビーム情報要素(IE)にTDDスケジュールを追加する。その後、アクティブピアカウンタを減分して(400)ブロック396に戻る。
【0120】
一方でピア又はさらなるアクティブなピアが存在しない場合にはブロック402に進み、準備された情報要素(IE)を追加して方向「i」にビーコンを送信する。その後、ブロック404において、送信すべきさらなるビーコンが存在するかどうかをチェックする。さらなるビーコンが存在する場合には、ブロック406において方向を更新してブロック402に戻り、そうでなければブロック408において実行を終了する。
【0121】
従って、全てのアクティブな送信及び受信のためにTDDスロットスケジュール及びTDDスロット構造要素が準備されることが分かる。TDDスロットスケジュール及びTDDスロット構造要素は、送信される各ビーコンに全て追加される。
【0122】
図26A及び図26Bに、異なるビーコンフレーム送信の実施形態例410、420を示す。図26Aでは、全方向においてアクティブな「n」個の割り当てのためのTDDスロットスケジュール及び構造情報要素と共にビーコンフレームが方向「i」に送信され、図26Bでは、全方向に同じ要素が追加されたビーコンフレームが方向i+1に送信される。
【0123】
7.3.送信及び受信方向情報を含む拡張DMG割り当て情報のブロードキャスト
STAは、EDMG拡張割り当て要素内の各割り当てフィールドに送信及び受信方向を追加する。STAは、割り当てのいずれかがTDD SP割り当てである場合、上記の例で説明したようにTDDスケジューリング及び構造要素を追加するように構成される。
【0124】
7.4.方向情報要素のブロードキャスト
図27に、方向情報要素(IE)を含むビーコンを送信する実施形態例430を示す。処理を開始して(432)、ノードとアクティブに通信している「n」個のピアのリストを準備する(434)。全てのTx及びRxマップがヌル(ゼロ)に設定された方向情報(IE)を準備する(436)。ブロック438において、いずれかの処理すべきアクティブなピアがさらに存在するかどうかをチェックする。ブロック438においてさらなるアクティブピアが発見された場合、ブロック440において、特定のDMGアンテナのビームID位置についてTx及びRxマップにビーム情報を記録する。ブロック442においてループ制御を更新し、この例では「n」の値を減分する。アクティブなピアが存在しなかった場合、又は上記のシーケンスにおいて全てのアクティブなピアを処理し終えた場合、ブロック444において、準備した情報要素(IE)をビーコンに追加し、このビーコンを方向「i」に送信する。ブロック446において、送信すべきビーコンがさらに存在するかどうかをチェックする。さらなるビーコンが存在する場合には、ブロック448において方向を更新してブロック444に戻り、そうでなければブロック450において実行を終了する。
【0125】
従って、上記では、送信される各ビーコンが方向情報要素を伝えることが分かる。方向情報要素は、他のピアSTAとの全てのアクティブな通信を調べ、対応するDMGアンテナに関してマップ内のアクティブなTx及びRxビームIDに使用中としてマーキングすることによって準備される。STAは、Tx Rxマップ内の全てのビットをゼロ(未使用の指示)に設定し、全てのアクティブな通信を順に辿って、Tx及びRxに使用されるビームIDを1(使用中の指示)に設定する。全てのアクティブな通信が実行されると、いずれかの送信されるビーコン又はブロードキャストされるフレームと共に情報要素を送信して方向情報を通知する。
【0126】
8.割り当て及び方向Tx又はRx情報を含むビーコンを受け取るSTA
ビーコンフレームなどを通じてTDD SPスケジュール及び構造要素、拡張スケジュール要素又は方向情報要素を受け取ったいずれかのSTAは、これらの要素が受け取られた方向のスペクトル割り当てに関する情報を抽出することができる。割り当てスケジュールに方向情報が含まれている場合、STAは、受け取ったビーコンの送信ビームIDを割り当て情報内の方向情報と比較する。ビーコンのTxビームIDが、スケジューリング要素に含まれている割り当ての指向性ビームIDのいずれかと一致する場合には、その方向にアクティブな送信又は受信が存在することを示す。これに応答して、STAは、以下の節で説明する複数の行動のうちの1つを取ることができる。
【0127】
図28に、ビーコンを受け取るSTAの実施形態例470を示す。処理を開始して(472)、ビーコンが受け取られたかどうかをチェックする(474)。ビーコンが受け取られていない場合、実行はブロック474に戻り、或いは処理を他のタスクの実行に移して後でビーコンの受け取りをチェックする。ビーコンが受け取られたと判明した場合、ブロック476において、ビーコンが割り当て又は方向情報要素を含むかどうかをチェックする。さらなる情報要素が存在しない場合、実行はブロック486に進む。そうでなければ、ブロック478において情報要素の処理を開始し、割り当て情報に方向情報が含まれているかどうかをチェックする。方向情報が存在しない場合、割り当て情報を処理するブロック480を実行し、実行はブロック486に進む。一方で方向情報が存在する場合には、ブロック482に進んでビーコンTxビームIDが方向割り当て情報に一致するかどうかをチェックする。一致する場合には、ブロック484において方向及び割り当て情報を処理し、実行はブロック486に進む。一方でブロック482において一致しない場合、実行は直接ブロック486に進む。ブロック486において、受け取ったビーコンを処理した後に、このプロセスは終了する(488)。
【0128】
従って、上記の処理は、BSSの一部であるBSS内の別のSTA、又は異なるBSSのSTAからビーコンを受け取ることができることを示す。STAは、たとえ自機が一部を成すBSS以外の異なるBSSからのものであった場合でもビーコン情報を処理することができる。STAは、ビーコンを受け取ると、その中に割り当て情報が存在しない場合には通常の方法でビーコンを処理する。割り当て情報(TDD SPスケジュール及び構造又は拡張スケジュール要素)が存在する場合、STAは、ビーコンに指向性送信及び受信情報が添付されているかどうかをモニタする。ビーコン内に指向性送信及び受信情報(アクティブな送信及び受信の送信及び受信方向)が含まれていない場合、STAは、ビーコン内の割り当て情報のみを処理する。
【0129】
この処理は、以下のような複数の利点をもたらす。(a)他のノードの送信又は受信がアクティブである時点での送信又は受信を回避する。(b)ノードとビームフォーミングを実行して干渉の方向を割り当て、従って使用中としてマーキングする。(c)予想される干渉を推定し、別の(単複の)期間と比べて干渉が少ないと予想される(単複の)期間を決定する。(d)特定のSTAの占有レベルを推定して、そのSTAとの直接通信が保証される状況が存在するかどうかを判定する。
【0130】
方向情報の利用を可能にすることにより、受信側STAに干渉が影響するかどうか、又は影響する可能性があるかどうかをより確実に判定できるようになると理解されたい。一方で、方向情報がビーコンのTxビームIDに一致しない場合、STAは、この割り当ては自機が受信できないと考えられる異なる方向に存在するためノードに影響を与えていないと想定する。STAは、アクティブな送信又は受信中に干渉方向からの干渉局からビーコンが受け取られない限り、このビーコンを自機の通信に対する脅威とはみなさず、通常の方法でビーコンを処理する。
【0131】
9.潜在的干渉方向を発見するためのビームフォーミング
方向及び割り当て情報を含むビーコンを受け取ったSTAは、特定の時間割り当てに関する潜在的干渉の存在について知らされる。通常、感知は準全方向アンテナを使用して行われるので、どの方向がこの干渉局の影響を受け得るかは分からない。潜在的干渉を検出したSTAは、潜在的干渉局の方向を特定するためにビームフォーミングをトリガすることができる。この例におけるビームフォーミングの目的は、発見されたノードとのリンクの設定、或いは認証又は関連付けを行うことではない。このビームフォーミングは、TDDビームフォーミングであるか、それとも通常のビームフォーミングであるかにかかわらず、発見されたSTAが使用しているチャネルアクセスタイプに基づいてトリガされる。このRxビームフォーミングを実行する1つの実装は、ビーコン又はSSWフレームと共にTRNフィールド(トレーニングフィールド)を送信することによるものである。この実装は、STAが他のSTAと通信する必要なく干渉方向を発見するのに役立つと思われる。STAは、干渉局とのビームフォーミング後に干渉の到来方向を特定し、この方向のスペクトルへのアクセス時にこれを考慮することができる。
【0132】
図29A図29Cに、STA A520、STA B512及びSTA C514を示す実施形態例510、530、550を示す。図29Aでは、STA B512が、STA C514の方向にビーコンを送信する(516)プロセスでSTA C514と通信し、アクティブなTx/Rx通信518を確立している。STA A520も、準全方向アンテナを使用してビーコンを受け取る(522)ことが分かる。図29Bでは、STA A520が干渉を発見し、干渉局の方向を特定するためにRXビームフォーミング532を実行する。図29Cでは、STA A520が干渉局の方向を特定する(552)。
【0133】
10.CCA閾値を上回るチャネルへのアクセス
図30A図30Dに、CCA閾値を上回るチャネルにアクセスする実施形態例610、630、650、670を示す。準全方向アンテナを使用してチャネルを感知するSTAは、使用したいと思っている方向の誤ったチャネル使用指示を取得することがある。STAは、チャネルを感知して送信を発見しなかった場合には、このチャネルに自由にアクセスできるはずであるが、CCAが満たされていない場合には、感知された干渉に関連する異なる方向に通信しているので誤報となり得る。
【0134】
mmWネットワークの局所的部分に局(STA)STA A616、STA B612、STA C614及びSTA D618を示す。図30Aでは、STA B612及びSTA C614が、その方向セクタ(チャネル)を占める通信620を確立している。STA A616及びSTA D618は、チャネルアクセスを試行し、(624)クリアチャネル評価(CCA)を満たしていない(622)。
【0135】
図30Bでは、STA A616が、CCAを満たさなかった後にビーコンをリスンする(635)。図30Aでは、STA Aによるチャネルアクセス試行が失敗し、従ってSTA Aは、依然としてビーコンのリスニングを通じてチャネルにアクセスしようと試みている(634)。ここで述べた全ての手順は、割り当て及び方向情報を含むビーコンをSTA B612が送信している632ように見えるチャネルアクセス試行の一部である。本開示では、(ここではSTA Bからとして示すような)指向性送信情報を含むビーコンが発見された場合、これを使用して対象の通信方向に干渉が来ているかどうかを発見する。ビーコンは、チャネル内の割り当て及び送信方向に関する情報を伝える。受け取ったビーコンからの受信ビームIDが割り当てビームIDに一致する場合には、干渉が脅威になり得ることを示す。一致しない場合には、感知ノードに影響を与えない方向に干渉局が位置すると考えられることを意味する。
【0136】
図30Cでは、STA B612がTxアンテナトレーニング652を実行しており、STA A616がRxアンテナトレーニング654を実行しているのが分かる。なお、本開示では、少なくとも1つの例においてビーコンが潜在的干渉局(例えば、干渉源(interferer))としてマーキングされた場合、STAは、干渉源とのビームフォーミングを実行してその影響を受ける方向を特定すると認識される。少なくとも1つの実施形態例では、ビーコンを送信しているSTAが、他方のSTAのRxビームトレーニングを支援するためにTRNフィールド(トレーニングフィールド)を送信するが、他の干渉対処法を実行することもできる。
【0137】
図30Dでは、STA Aが、干渉を引き起こしているアンテナ方向セクタを特定し、少なくともこのセクタに使用中としてマーキングする。本開示は、受信電力閾値が高い場合、或いはノード移動の知識などの他の情報などに基づいて、必要に応じて近隣セクタにも使用中としてマーキングする能力を有するようにも構成されると理解されたい。なお、使用中としてマーキングされた方向は、他の何らかのノードがこの方向に情報を送信していて干渉が高いという理由でアクセスが妨げられる。しかしながら、STA(STA A)は、この例では他の「使用中でない」方向(STA D)にアクセスすることができる。
【0138】
11.開示要素の概要
以下の概要は、本開示のいくつかの重要な要素を開示するものであるが、この概要は、本開示の重要な要素のみを説明するものとして解釈すべきではない。
【0139】
STAは、自機の時間割り当て及び割り当ての方向性をネットワーク発見信号と共にブロードキャストすることによってこの情報を通知する。ブロードキャストされる割り当て及び方向情報は、いずれも各方向に割り当てられた時間リソースを識別するものである。この情報は、以下のようにブロードキャストすることができる。(a)CBAP又はSPチャネルアクセスの場合には、STAスケジューリング割り当て及びこの割り当てのTxビーム方向が通信される。(b)TDD SPチャネルアクセスの場合には、STAスロット構造及びスロットスケジュール情報、及びこの割り当てのTxビーム方向が通信される。(c)アクティブな割り当て(送信又は受信アクティビティ)がスケジュールされている方向を含む方向情報要素が通信される。
【0140】
STAは、以下の方法のうちのいずれか1つによって割り当て及び方向情報を送信することができる。(a)各方向の割り当てに関連するTDD SPスロットスケジュール及び構造のリストの各方向への送信。(b)全てのTDD SPスロットスケジュール及び構造要素の全方向へのブロードキャスト。(c)EDMGスケジュール済み割り当て情報、並びに送信及び受信方向情報の全方向へのブロードキャスト。(d)方向情報要素の全方向へのブロードキャスト。
【0141】
STAは、少なくとも送信方向にビーコンを送信すべきである。ビーコンは、全ての割り当て及び方向情報を含むことができる。ビーコンを受け取った他のSTAは、ネットワーク内の送信の割り当て及び方向性に関する情報を取得することができる。
【0142】
STAは、ビーコンTxビームIDを割り当てTxビームIDと比較して、受信方向に割り当てが存在するか否かを認識する。
【0143】
受け取ったビーコンがその方向の干渉を示している場合、STAは、このビーコンを使用してRxビームフォーミングを実行することができる。こRxビームフォーミングは、ビーコンに添付して送信されたさらなるトレーニングフィールドの使用又はその他のビームフォーミング技術を通じて実行することができる。
【0144】
STAは、Rxビームフォーミング情報を使用してチャネル使用方向を識別することができる。感知されたチャネル使用が対象のアクセス方向以外の方向からのものであると分かった場合、STAは、たとえCCAを満たしていない場合でもこのチャネルにアクセスすることができる。
【0145】
12.実施形態の一般的範囲
提示した技術の説明した強化は、様々な無線通信局のプロトコル内に容易に実装することができる。また、無線通信局が、1又は2以上のコンピュータプロセッサ装置(例えば、CPU、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、コンピュータ対応ASICなど)、及び命令を記憶する関連するメモリ(例えば、RAM、DRAM、NVRAM、FLASH、コンピュータ可読媒体など)を含むように実装されることにより、メモリに記憶されたプログラム(命令)がプロセッサ上で実行されて、本明細書で説明した様々なプロセス法のステップを実行することが好ましいと理解されたい。
【0146】
当業者は、無線通信局の制御に関連するステップを実行するコンピュータ装置の使用を認識しているため、簡略化のために全ての図にコンピュータ装置及びメモリ装置を示しているわけではない。提示した技術は、メモリ及びコンピュータ可読媒体が非一時的であり、従って一時的電子信号を構成しない限り、これらに関して限定するものではない。
【0147】
本明細書では、コンピュータプログラム製品としても実装できる、本技術の実施形態による方法及びシステム、及び/又は手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式又はその他の計算表現のフローチャートを参照して本技術の実施形態を説明することができる。この点、フローチャートの各ブロック又はステップ、及びフローチャートのブロック(及び/又はステップ)の組み合わせ、並びにあらゆる手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式、又は計算表現は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はコンピュータ可読プログラムコードの形で具体化された1又は2以上のコンピュータプログラム命令を含むソフトウェアなどの様々な手段によって実装することができる。理解されるように、このようなあらゆるコンピュータプログラム命令は、以下に限定されるわけではないが、汎用コンピュータ又は専用コンピュータ、又は機械を生産するための他のあらゆるプログラマブル処理装置を含む1又は2以上のコンピュータプロセッサ上によって実行して、コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置上で実行されるコンピュータプログラム命令が、(単複の)特定される機能を実施するための手段を生み出すようにすることができる。
【0148】
従って、本明細書で説明したフローチャートのブロック、並びに手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式、又は計算表現は、(単複の)特定の機能を実行する手段の組み合わせ、(単複の)特定の機能を実行するステップの組み合わせ、及びコンピュータ可読プログラムコード論理手段の形で具体化されるような、(単複の)特定の機能を実行するコンピュータプログラム命令をサポートする。また、本明細書で説明したフローチャートの各ブロック、並びに手順、アルゴリズム、ステップ、演算、数式、又は計算表現、及びこれらの組み合わせは、(単複の)特定の機能又はステップを実行する専用ハードウェアベースのコンピュータシステム、又は専用ハードウェアとコンピュータ可読プログラムコードとの組み合わせによって実装することもできると理解されるであろう。
【0149】
さらに、コンピュータ可読プログラムコードなどの形で具体化されるこれらのコンピュータプログラム命令を、コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置に特定の態様で機能するように指示することができる1又は2以上のコンピュータ可読メモリ又はメモリ装置に記憶して、これらのコンピュータ可読メモリ又はメモリ装置に記憶された命令が、(単複の)フローチャートの(単複の)ブロック内に指定される機能を実施する命令手段を含む製造の物品を生産するようにすることもできる。コンピュータプログラム命令をコンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置によって実行し、コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置上で一連の動作ステップが実行されるようにしてコンピュータで実施される処理を生成し、コンピュータプロセッサ又は他のプログラマブル処理装置上で実行される命令が、(単複の)フローチャートの(単複の)ブロック、(単複の)手順、(単複の)アルゴリズム、(単複の)ステップ、(単複の)演算、(単複の)数式、又は(単複の)計算表現に特定される機能を実施するためのステップを提供するようにすることもできる。
【0150】
さらに、本明細書で使用する「プログラム」又は「プログラム実行文」という用語は、本明細書で説明した1又は2以上の機能を実行するために1又は2以上のコンピュータプロセッサが実行できる1又は2以上の命令を意味すると理解されるであろう。命令は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで具体化することができる。命令は、装置の非一時的媒体に局所的に記憶することも、又はサーバなどに遠隔的に記憶することもでき、或いは命令の全部又は一部を局所的に又は遠隔的に記憶することもできる。遠隔的に記憶された命令は、ユーザが開始することによって、或いは1又は2以上の要因に基づいて自動的に装置にダウンロード(プッシュ)することができる。
【0151】
さらに、本明細書で使用するプロセッサ、ハードウェアプロセッサ、コンピュータプロセッサ、中央処理装置(CPU)及びコンピュータという用語は、命令、並びに入力/出力インターフェイス及び/又は周辺装置との通信を実行できる装置を示すために同義的に使用されるものであり、プロセッサ、ハードウェアプロセッサ、コンピュータプロセッサ、CPU及びコンピュータという用語は、単一の又は複数の装置、シングルコア装置及びマルチコア装置、及びこれらの変種を含むように意図するものであると理解されるであろう。
【0152】
本明細書の説明から、本開示は、限定ではないが以下の内容を含む複数の実施形態を含むことができると理解されるであろう。
【0153】
1.ネットワークにおける無線通信装置であって、(a)指向性通信を使用して少なくとも1つの他の無線通信回路と無線で通信するように構成された無線通信回路と、(b)無線ネットワーク上で動作するように構成された局内の、前記無線通信回路に結合されたプロセッサと、(c)前記プロセッサが実行できる命令を記憶した非一時的メモリと、を備え、(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、(d)(i)前記指向性通信の各方向における時間及びリソースの割り当てを識別する時間及び方向割り当てをブロードキャストするステップを実行し、(d)(ii)前記方向割り当ては、(A)競合ベースのアクセス期間(CBAP)又は通常のサービス期間(SP)チャネルアクセスでのスケジューリング割り当て及びこの割り当ての送信ビーム方向、又は(B)時分割二重(TDD)サービス期間(SP)チャネルアクセスのためのスロット構造及びスロットスケジュール情報、並びにこの割り当ての送信ビーム方向の通信、又は(C)送信又は受信アクティビティのアクティブな割り当てがスケジュールされた方向を含む方向情報要素の通信、としてブロードキャストされるネットワーク発見信号内で送信される、装置。
【0154】
2.ネットワークにおける無線通信装置であって、(a)指向性通信を使用して少なくとも1つの他の無線通信回路と無線で通信するように構成された無線通信回路と、(b)無線ネットワーク上で動作するように構成された局内の、前記無線通信回路に結合されたプロセッサと、(c)前記プロセッサが実行できる命令を記憶した非一時的メモリと、を備え、(d)前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、(d)(i)前記指向性通信の各方向における時間及びリソースの割り当てを識別する時間及び方向割り当てをブロードキャストするステップを実行し、(d)(ii)前記時間及び方向割り当ては、(A)競合ベースのアクセス期間(CBAP)又は通常のサービス期間(SP)チャネルアクセスでのスケジューリング割り当て及びこの割り当ての送信ビーム方向、又は(B)時分割二重(TDD)サービス期間(SP)チャネルアクセスのためのスロット構造及びスロットスケジュール情報、並びにこの割り当ての送信ビーム方向の通信、又は(C)送信又は受信アクティビティのアクティブな割り当てがスケジュールされた方向を含む方向情報要素の通信、としてブロードキャストされるネットワーク発見信号内で送信され、(d)(iii)時間及び方向割り当ては、(A)各方向の割り当てを記述する時分割二重(TDD)サービス期間(SP)スロットスケジュール及び構造のリストを各方向に送信するステップと、(B)全ての時分割二重(TDD)サービス期間(SP)スロットスケジュール及び構造要素を全方向にブロードキャストするステップと、(C)拡張指向性マルチギガビット(EDMG)スケジュール済み割り当て情報、並びに送信及び受信方向情報を全方向にブロードキャストするステップと、(D)方向情報要素を全方向にブロードキャストするステップと、から成る一群のブロードキャスト機構から選択される、装置。
【0155】
3.ネットワークにおける無線通信の実行方法であって、(a)指向性通信を使用して互いに無線で通信するように構成された無線通信回路、局間で無線で通信するステップと、(b)(i)競合ベースのアクセス期間(CBAP)又は通常のサービス期間(SP)チャネルアクセスでのスケジューリング割り当て及びこの割り当ての送信ビーム方向、又は(b)(ii)時分割二重(TDD)サービス期間(SP)チャネルアクセスのためのスロット構造及びスロットスケジュール情報、並びにこの割り当ての送信ビーム方向の通信、又は(b)(iii)送信又は受信アクティビティのアクティブな割り当てがスケジュールされた方向を含む方向情報要素の通信、としてブロードキャストされるネットワーク発見信号内で送信される前記指向性通信の各方向の時間及びリソース割り当てを識別する時間及び方向割り当てをブロードキャストするステップと、を含む方法。
【0156】
4.前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、(a)各方向の割り当てを記述する時分割二重(TDD)サービス期間(SP)スロットスケジュール及び構造のリストを各方向に送信するステップと、(b)全ての時分割二重(TDD)サービス期間(SP)スロットスケジュール及び構造要素を全方向にブロードキャストするステップと、(c)拡張指向性マルチギガビット(EDMG)スケジュール済み割り当て情報、並びに送信及び受信方向情報を全方向にブロードキャストするステップと、(d)方向情報要素を全方向にブロードキャストするステップと、から成る一群のブロードキャスト機構から選択された前記時間及び方向割り当てのブロードキャストを実行する、いずれかの先行する実施形態の装置又は方法。
【0157】
5.前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、時間及び方向割り当てを含むビーコン又はビームフォーミングフレームを前記局がその送信方向に送信するステップをさらに含み、前記ビーコン又はビームフォーミングフレームを受け取った局は、該ビーコン又はビームフォーミングフレームから前記ネットワークの送信の割り当て及び方向性に関する情報を取得することができる、いずれかの先行する実施形態の装置又は方法。
【0158】
6.前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、ビーコン又はビームフォーミングフレームの送信ビームIDを前記割り当ての送信ビームIDと比較して、前記割り当てが前記受信方向に存在するか否かを判定するステップをさらに含む、いずれかの先行する実施形態の装置又は方法。
【0159】
7.前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、その方向に干渉が発生していることを示すビーコン又はビームフォーミングフレームを受け取ったことに応答して受信機ビームフォーミングを実行するステップをさらに含む、いずれかの先行する実施形態の装置又は方法。
【0160】
8.前記受信機ビームフォーミングの実行は、使用された前記ビーコン又は前記ビームフォーミングフレームに添付されたさらなるトレーニングフィールドを利用することを含む、いずれかの先行する実施形態の装置又は方法。
【0161】
9.前記命令は、前記プロセッサによって実行された時に、感知されたチャネル使用が意図するアクセス方向以外の方向からのものである場合に、たとえクリアチャネル評価(CCA)に合格しなかった場合でも前記局がチャネルアクセスを取得できるように、受信機ビームフォーミング情報を利用してチャネル使用方向を識別するステップをさらに含む、いずれかの先行する実施形態の装置又は方法。
【0162】
10.前記無線通信回路は、指向性通信のために構成されたミリメートル波局を含む、いずれかの先行する実施形態の装置又は方法。
【0163】
11.前記無線通信回路は、メッシュネットワーク及び非メッシュネットワークの両方で動作するように構成される、いずれかの先行する実施形態の装置又は方法。
【0164】
12.前記無線通信回路は、第1の帯域では指向性通信を行い、第2の帯域では準全方向性通信を行うように構成される、いずれかの先行する実施形態の装置又は方法。
【0165】
本明細書で使用する単数形の「a、an(英文不定冠詞)」及び「the(英文定冠詞)」は、文脈において別途明確に示されていない限り複数形の照応を含む。ある物体に対する単数形での言及は、明確にそう述べていない限り「唯一」を意味するものではなく、「1又は2以上」を意味する。
【0166】
本明細書で使用する「組(set)」という用語は、1又は2以上の物体の集合を意味する。従って、例えば物体の組は、単一の物体又は複数の物体を含むことができる。
【0167】
本明細書で使用する「実質的に(substantially)」及び「約(about)」という用語は、わずかな変動の記述及び説明のために使用するものである。これらの用語は、事象又は状況に関連して使用した時には、これらの事象又は状況が間違いなく発生する場合、及びこれらの事象又は状況が発生する可能性が非常に高い場合を意味することができる。これらの用語は、数値に関連して使用した時には、その数値の±5%以下、±4%以下、±3%以下、±2%以下、±1%以下、±0.5%以下、±0.1%以下、又は±0.05%以下などの、±10%以下の変動範囲を意味することができる。例えば、「実質的に」整列しているということは、±5°以下、±4°以下、±3°以下、±2°以下、±1°以下、±0.5°以下、±0.1°以下、又は±0.05°以下などの、±10°以下の角度変動範囲を意味することができる。
【0168】
また、本明細書では、量、比率及びその他の数値を範囲形式で示すこともある。このような範囲形式は、便宜的に簡略化して使用するものであり、範囲の限界として明確に指定された数値を含むが、この範囲に含まれる全ての個々の数値又は部分的範囲も、これらの各数値及び部分的範囲が明確に示されているかのように含むものであると柔軟に理解されたい。例えば、約1~約200の範囲内の比率は、約1及び約200という明確に列挙した限界値を含むが、約2、約3、約4などの個々の比率、及び約10~約50、約20~約100などの部分的範囲も含むと理解されたい。
【0169】
本明細書の説明は多くの詳細を含んでいるが、これらは本開示の範囲を限定するものではなく、現在のところ好ましい実施形態の一部を例示するものにすぎないと解釈すべきである。従って、本開示の範囲は、当業者に明らかになると考えられる他の実施形態も完全に含むと理解されるであろう。
【0170】
当業者に周知の本開示の実施形態の要素の構造的、化学的及び機能的同等物も、引用によって本明細書に明確に組み入れられ、本特許請求の範囲に含まれるように意図される。さらに、本開示の要素、構成要素又は方法ステップは、これらが特許請求の範囲に明示されているかどうかにかかわらず、一般に公開されるように意図するものではない。本明細書における請求項の要素については、その要素が「~のための手段」という表現を使用して明確に示されていない限り、「ミーンズプラスファンクション」の要素として解釈すべきではない。また、本明細書における請求項の要素については、その要素が「~のためのステップ」という表現を使用して明確に示されていない限り、「ステッププラスファンクション」の要素として解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0171】
150 全方向に情報を送信する実施形態例
152 STA1
153 STA1:セクタID5からビーコンを受信
154 STA2
155 STA2:セクタID8からビーコンを受信
156 STA3
157 STA3:セクタID12からビーコンを受信
158 STA4
図1
図2
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