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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】頸椎治療枕
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/01 20060101AFI20221221BHJP
   A47G 9/10 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A61F5/01 G
A47G9/10 V
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021088009
(22)【出願日】2021-05-25
(65)【公開番号】P2022181137
(43)【公開日】2022-12-07
【審査請求日】2021-05-25
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月1日に、森 亮一が森整形外科医院において販売。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年2月1日に、森 亮一が森整形外科医院において文書により公開。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】321003968
【氏名又は名称】森 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100201503
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 能裕
(72)【発明者】
【氏名】森 亮一
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-088548(JP,A)
【文献】登録実用新案第3187390(JP,U)
【文献】特開2020-175006(JP,A)
【文献】登録実用新案第3171999(JP,U)
【文献】登録実用新案第3106048(JP,U)
【文献】特表2013-540478(JP,A)
【文献】特開2012-245312(JP,A)
【文献】登録実用新案第3129197(JP,U)
【文献】特開平11-046952(JP,A)
【文献】特開2000-70094(JP,A)
【文献】登録実用新案第3216037(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/00 - A61G 5/40
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頸椎治療枕において、
仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を支持する頸部載置部材と、
前記頸部載置部材の鉛直方向に配置して、前記頸部載置部材と連結することで前記仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を前記頸部載置部材を介して支持する枕本体部材とを備えており、
前記頸部載置部材は、複数の矩形薄板状の頸部載置板が積層状に連結したもので、前記仰臥位の姿勢における使用者の後頸部と接触する面が平面であり、且つ短寸方向の長さが人体の対称軸に沿った後頸部の長さに略等しく、
前記枕本体部材は、平面視矩形状であり、且つ長寸方向の長さが前記頸部載置板の長寸方向の長さに略等しく、
前記枕本体部材は、側面視略台形状であり、前記略台形状側面における頭部側の上底端部から頭部側の下底端部に向かって漸次傾斜する後頭部案内傾斜面を備えており、
前記複数の頸部載置板は、上層頸部載置板、中間層頸部載置板及び下層頸部載置板であり、
前記上層頸部載置板は、裏面の長寸方向に沿う一方側及び他方側の夫々の端部に対して、レール状に面ファスナーを配置しており、
前記中間層頸部載置板及び前記下層頸部載置板は、夫々の表面と裏面の長寸方向に沿う一方側及び他方側の夫々の端部に対して、レール状に面ファスナーを配置しており、
前記枕本体部材は、上面の長寸方向に沿う一方側及び他方側の夫々の端部に対して、レール状に面ファスナーを配置しており、
前記上層頸部載置板と前記中間層頸部載置板、前記中間層頸部載置板と前記下層頸部載置板、前記下層頸部載置板と前記枕本体部材は、夫々互いに、前記面ファスナーで連結されており、
前記上層頸部載置板の短寸方向に沿う側部と前記中間層頸部載置板の短寸方向に沿う側部の間に第3開口部と、前記中間層頸部載置板の前記短寸方向に沿う側部と前記下層頸部載置板の短寸方向に沿う側部の間に第2開口部と、前記下層頸部載置板の前記短寸方向に沿う側部と前記枕本体部材の短寸方向に沿う側部の間に第1開口部とを備えたことを特徴とする頸椎治療枕。
【請求項2】
前記枕本体部材は、前記略台形状側面における背部側の上底端部から背部側の下底端部に向かって漸次傾斜する背部案内傾斜面を備えたことを特徴とする請求項1に記載の頸椎治療枕。
【請求項3】
前記頸部載置板は、前記頸部載置板の長寸方向に沿う一方側の側部及び短寸方向に沿う両側部に対して、前記夫々の側部の先端を縫い合わすことで一方側方向及び一方側方向に直交する方向に向かって突出する突出部と、前記頸部載置板の長寸方向に沿う他方側の側部に対して、他方側方向に向かって膨らむ膨出部とを備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の頸椎治療枕。
【請求項4】
前記頸部載置板は、前記頸部載置板の長寸方向に沿う一方側の側部に備える突出部と頸部載置板の短寸方向に沿う両側部に備える夫々の突出部が互いに交差する部位に対して、前記頸部載置板の厚さ方向の厚さが前記突出部よりも厚い重畳部を備えたことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の頸椎治療枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕に関し、特に頸椎治療用の枕に関するものである。
【背景技術】
【0002】
整形外科領域において、人間の望ましい姿勢の要件は、後頭部、背部、臀部、踵部の4点が一直線で並ぶことであると考えられている。この点、頭部載置部材を備えた一般の枕では、後頭部の持ち上げに伴い、必然的に上記要件を満たすことができず、人間の望ましい姿勢が形成できない。そのため、頭部載置部材を備えていない頸部用の枕が存在する。
例えば、頸部と接触する箇所に凸部を設けた頸部枕があった。具体的には、「人体頸部へ当てる枕に於いて、該枕の形を断面形状で梯形様にしてその頂点嶺辺の内側にピンポン球乃至テニスボール球位の大きさの球を一又は複数設けて人体頸部を挟む様にそれら球を複数列又は対に配置し突出させて、且つ該枕の高低を適宜調節可能にした側袋を該枕本体へ一体に形成し且つ該枕本体内部へ格納可能に設けて、
それらを構成したことを特徴とした頸骨矯正用枕。」である。(特許文献1)
また、頸部と接触する箇所を含めた枕全体を硬質材とした頸部枕があった。具体的には、「仰向寝姿勢で首の背面に当て、左右に首を転動させて指圧する枕であり、木製で枕体の上面が曲面状となった蒲鉾形状に形成されていることを特徴とする首指圧枕。」である。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録3030161号公報
【文献】特開2000-333806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される頸部枕は、仰臥位の姿勢において使用者の後頸部を頸部枕に設けた凸部間に載置することで、頭部の重みで頸部への左右からの押圧を凸部の突出によって得るものである。そのため、頸部後方からの持ち上げ、即ち頸椎の生理的前弯に対する凸部による局所的な持ち上げに伴い、頸椎が過伸展するため、治療目的の長時間使用は相応しくない。
また、特許文献1に記載される頸部枕は、高さ調整が必要な場合、枕の充填物であるクッション4を側袋5へ逃がして、高さ調整が不要の場合、枕本体内へ側袋5を格納する仕組みである。そのため、段階的に高さ調整をすること及び高さ調整のやり直しをすることが困難であると共に、高さ調整の設定が非常に不便である。
特許文献2に記載される頸部枕は、枕全体が木製であるため、頸椎棘突起に痛みが発生すると共に、頸部後方からの持ち上げ、即ち頸椎の生理的前弯に対する持ち上げが強すぎることに伴い、頸椎が過伸展するため、治療目的の長時間使用は相応しくない。
【0005】
上記特許文献1、2の頸部枕は、発明者が頸椎の解剖を理解していないこと、長時間使用時の頸部の経時的変化を考慮していないこと、及び背部と頸部の個人差を考慮していないことにより生じる問題と考えられる。
整形外科医師である本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、仰臥位の姿勢における使用者の後頭部、背部、臀部、踵部が寝床に対して一列に並ぶ状態を長時間維持しつつ、頸椎過伸展の発生を防止すると共に、使用者ごとの状態(生理的前弯の消失、例えばストレートネック、頸椎後弯など)に適合した段階的な頸椎の高さ調整を容易にした、頸椎治療枕を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明に係る頸椎治療枕の特徴構成は、
頸椎治療枕において、
仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を支持する頸部載置部材と、
前記頸部載置部材の鉛直方向に配置して、前記頸部載置部材と連結することで前記仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を前記頸部載置部材を介して支持する枕本体部材とを備えており、
前記頸部載置部材は、複数の矩形薄板状の頸部載置板が積層状に連結したもので、前記仰臥位の姿勢における使用者の後頸部と接触する面が平面であり、且つ短寸方向の長さが人体の対称軸に沿った後頸部の長さに略等しく、
前記枕本体部材は、平面視矩形状であり、且つ長寸方向の長さが前記頸部載置板の長寸方向の長さに略等しく、
前記枕本体部材は、側面視略台形状であり、前記略台形状側面における頭部側の上底端部から頭部側の下底端部に向かって漸次傾斜する後頭部案内傾斜面を備えており、
前記複数の頸部載置板は、上層頸部載置板、中間層頸部載置板及び下層頸部載置板であり、
前記上層頸部載置板は、裏面の長寸方向に沿う一方側及び他方側の夫々の端部に対して、レール状に面ファスナーを配置しており、
前記中間層頸部載置板及び前記下層頸部載置板は、夫々の表面と裏面の長寸方向に沿う一方側及び他方側の夫々の端部に対して、レール状に面ファスナーを配置しており、
前記枕本体部材は、上面の長寸方向に沿う一方側及び他方側の夫々の端部に対して、レール状に面ファスナーを配置しており、
前記上層頸部載置板と前記中間層頸部載置板、前記中間層頸部載置板と前記下層頸部載置板、前記下層頸部載置板と前記枕本体部材は、夫々互いに、前記面ファスナーで連結されており、
前記上層頸部載置板の短寸方向に沿う側部と前記中間層頸部載置板の短寸方向に沿う側部の間に第3開口部と、前記中間層頸部載置板の前記短寸方向に沿う側部と前記下層頸部載置板の短寸方向に沿う側部の間に第2開口部と、前記下層頸部載置板の前記短寸方向に沿う側部と前記枕本体部材の短寸方向に沿う側部の間に第1開口部とを備えた点にある。
【0008】
本構成の頸椎治療枕によれば、後頭部案内傾斜面は、傾斜角度が緩やかな傾斜平面状であり、傾斜曲面状のような後頭部後方からの持ち上げがなく、頭部側の寝床方向に向かって漸次傾斜する面として使用者の後頭部を支持しつつ寝床方向に案内することで仰臥位の姿勢における使用者の後頭部、背部、臀部、踵部が寝床に対して一列に並ぶ状態を長時間維持できる。また、頸部載置板における仰臥位の姿勢における使用者の後頸部と接触する載置面が、平面であるため、頸椎の生理的前弯に対する凸部による局所的な持ち上げがなく、頸椎過伸展の発生を防止できる。さらに、面ファスナーで連結させた頸部載置板同士又は頸部載置板と枕本体部材同士を分離又は連結させることにより、使用者ごとの状態(生理的前弯の消失、例えばストレートネック、頸椎後弯など)に適合した段階的な頸椎の高さ調整が容易にできる。
【0009】
本発明に係る頸椎治療枕において、
前記枕本体部材は、前記略台形状側面における背部側の上底端部から背部側の下底端部に向かって漸次傾斜する背部案内傾斜面を備えていることが好ましい。
【0010】
本構成の頸椎治療枕によれば、背部案内傾斜面は、傾斜角度が緩やかな傾斜平面状であり、傾斜曲面状のような胸椎後方からの持ち上げがなく、背部側の寝床方向に向かって漸次傾斜する面として使用者の背部を支持しつつ寝床方向に案内することで仰臥位の姿勢における使用者の後頭部、背部、臀部、踵部が寝床に対して一列に並ぶ状態を長時間維持できる。
【0011】
本発明に係る頸椎治療枕において、
前記頸部載置板は、前記頸部載置板の長寸方向に沿う一方側の側部及び短寸方向に沿う両側部に対して、前記夫々の側部の先端を縫い合わすことで一方側方向及び一方側方向に直交する方向に向かって突出する突出部と、前記頸部載置板の長寸方向に沿う他方側の側部に対して、他方側方向に向かって膨らむ膨出部とを備えていることが好ましい。
【0012】
本構成の頸椎治療枕によれば、面ファスナーで連結されている頸部載置板同士又は頸部載置板と枕本体部材同士を分離する際に、他方側方向に向かって膨らむことで面積が大きくなっている膨出部に対して、指の中で一番太い親指の腹で押圧しつつ、同時に一方側方向及び一方側方向に直交する方向に向かって突出する突出部に対して、使用者の人差し指、中指及び/又は薬指で係合させつつ他方側方向に向かって引っ張る。その結果、膨出部と親指の腹との接触の機会が増えて、頸部載置板に対する押圧がしやすくなるのと同時に、突出部に対して指が係り合いやすく、他方側方向に向かって引っ張りやすくなるため、容易に、頸部載置板同士を分離できる。
【0013】
本発明に係る頸椎治療枕において、
前記頸部載置板は、前記頸部載置板の長寸方向に沿う一方側の側部に備える突出部と前記頸部載置板の短寸方向に沿う両側部に備える夫々の突出部が互いに交差する部位に対して、前記頸部載置板の厚さ方向の厚さが前記突出部よりも厚い重畳部を備えていることが好ましい。
【0014】
本構成の頸椎治療枕によれば、面ファスナーで連結されている頸部載置板同士又は頸部載置板と枕本体部材同士を分離する際に、頸部載置板の厚さ方向の厚さが前記突出部よりも厚くなっている重畳部に対して、親指と人差し指及び/又は中指で摘まみつつ長寸方向に向かって引っ張る。その結果、重畳部は、頸部載置板の角部に設けられており、且つ突出部との厚さの違いから手触りでの判別のしやすさから、摘まみ上げがしやすく、重畳部を備えていない場合と比較して、長寸方向に向かって引っ張りやすくなるため、より容易に、頸部載置板同士を分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の斜視図である。
図2図2は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の正面図である。
図3図3は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の背面図である。
図4図4は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の右側面図である。
図5A図5Aは、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の上層頸部載置板の表面図である。
図5B図5Bは、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の上層頸部載置板の裏面図である。
図6A図6Aは、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の中間層頸部載置板の表面図である。
図6B図6Bは、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の中間層頸部載置板の裏面図である。
図7A図7Aは、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の下層頸部載置板の表面図である。
図7B図7Bは、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の下層頸部載置板の裏面図である。
図8図8は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の枕本体部材の斜視図である。
図9図9は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の頸部載置板の開口部に指を挿入させて面ファスナーの連結を解除させている図である。
図10図10は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の頸部載置板の突出部に指を係合させている図である。
図11図11は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の頸部載置板の突出部に指を係合させて面ファスナーの連結を解除させている図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態の一例について図1から図11に基づいて説明する。
【0021】
<実施形態1>
本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、頸部載置部材10と、枕本体部材20とを備える。
【0022】
<頸部載置部材>
頸部載置部材10は、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を支持するものである。
本実施形態において、頸部載置部材10は、矩形薄板状の上層頸部載置板11、中間層頸部載置板12及び下層頸部載置板13が積層状になるように積み重ねて連結したものであり、頸椎治療枕100の高さ調整を実現する部材である。
上層頸部載置板11、中間層頸部載置板12及び下層頸部載置板13の連結手段は、面ファスナー30を用いた連結であり、折り畳み式による連結ではない。そのため、上層頸部載置板11、中間層頸部載置板12及び下層頸部載置板13は、夫々が単独で分離独立したものである。
【0023】
<頸部載置板>
頸部載置板は、頸部載置部材10を構成するものであり、矩形薄板状の上層頸部載置板11、中間層頸部載置板12及び下層頸部載置板13がある。
「上層頸部載置板11」とは、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を載置する頸部載置板を意味する。したがって、上層頸部載置板11は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の高さ調整の際に、必ず最上位の層に配置される頸部載置板である。また、上層頸部載置板11は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の高さ調整を最も低くする際、枕本体部材20と連結する頸部載置板でもある。
「中間層頸部載置板12」とは、上層頸部載置板11と下層頸部載置板13に挟まれる頸部載置板を意味する。中間層頸部載置板12は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の高さ調整の際に、除去又は追加配置する頸部載置板である。
「下層頸部載置板13」とは、中間層頸部載置板12と枕本体部材20に挟まれる頸部載置板であり、枕本体部材20と連結する頸部載置板を意味する。下層頸部載置板13は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の高さ調整の際に、除去又は追加配置する頸部載置板である。
【0024】
頸部載置板は、矩形薄板状であり、且つ短寸方向Sの長さが人体の対称軸に沿った後頸部の長さに略等しく、長寸方向Lの長さが枕本体部材20の長寸方向Lの長さに略等しい。
「人体の対称軸に沿った後頸部の長さ」とは、解剖学的に頸椎の生理的前弯を再現した際の外後頭隆起(僧棒筋付着部)から第7頸椎の棘突起までの長さ(約7.0cm)を意味する。
そのため、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部と接触する頸部載置板の載置面に対して使用者の後頭部の一部が載置しない構成を採用している。
「枕本体部材20の長寸方向Lの長さ」とは、約30cmを意味する。
また、頸部載置板における仰臥位の姿勢における使用者の後頸部と接触する載置面は、平面であり、載置面上には凹凸がない。
【0025】
頸部載置板の厚みは、約1.0cmである。また、枕本体部材20の上面20aから上層頸部載置板11の表面11aまでの長さ、即ち枕本体部材20の上面20aから下層頸部載置板13、中間層頸部載置板12を介して上層頸部載置板11の表面11aまでの長さは、約5.0cmである。これに対して、中間層頸部載置板12を分離させた場合の枕本体部材20の上面20aから上層頸部載置板11の表面11aまでの長さ、即ち枕本体部材20の上面20aから下層頸部載置板13を介して上層頸部載置板11の表面11aまでの長さは、約3.5cmである。また、中間層頸部載置板12及び下層頸部載置板13を分離させた場合の枕本体部材20の上面20aから上層頸部載置板11の表面11aまでの長さは、約2.0cmである。
したがって、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、約1.5cmごとの段階的な高さ調整を実現する構成を採用している。
【0026】
頸部載置板は、頸部載置板の長寸方向Lに沿う一方側の側部11g、12g、13g及び短寸方向Sに沿う左右の両側部11i、12i、13iに対して、夫々の側部11g、12g、13g、11i、12i、13iの先端を縫い合わすことで一方側方向及び一方側方向に直交する方向に向かって突出する突出部14と、頸部載置板の長寸方向Lに沿う他方側の側部11h、12h、13hに対して、他方側方向に向かって膨らむ膨出部16とを備えている。
「一方側」とは、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を支持する状態における頸部載置板の頭部側H、即ち仰臥位の姿勢における使用者の頭部側Hを意味する。
「他方側」とは、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を支持する状態における頸部載置板の背部側B、即ち仰臥位の姿勢における使用者の背部側Bを意味する。
「一方側方向に直交する方向」とは、短寸方向Sに直交する方向即ち、頸部載置板の長寸方向を延長した方向を意味する。
したがって、突出部14は、頭部側H方向及び頭部側H方向に直交する方向(即ち、頸部載置板の長寸方向を延長した方向)に向かって突出するように設けられており、膨出部16は、背部側B方向に向かって膨らむように設けられている。
【0027】
したがって、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、突出部14を設けた上層頸部載置板11の長寸方向Lに沿う頭部側Hの側部11g、突出部14を設けた中間層頸部載置板12の長寸方向Lに沿う頭部側Hの側部12g、及び突出部14を設けた下層頸部載置板13の長寸方向Lに沿う頭部側Hの側部13gは、夫々頭部側Hに向いており、膨出部16を設けた上層頸部載置板11の長寸方向Lに沿う背部側Bの側部11h、膨出部16を設けた中間層頸部載置板12の長寸方向Lに沿う背部側Bの側部12h、及び膨出部16を設けた下層頸部載置板13の長寸方向Lに沿う背部側Bの側部13hは、夫々背部側Bに向いている頸椎治療枕である。
【0028】
頸部載置板は、頸部載置板の長寸方向Lに沿う一方側、即ち頭部側Hの側部11g、12g、13gに備える突出部14と頸部載置板の短寸方向Sに沿う左右の両側部11i、12i、13iに備える夫々の突出部14とが互いに交差する部位に対して、頸部載置板の厚さ方向の厚さ、即ち本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の高さ方向に沿う厚さが突出部14よりも厚い重畳部15を備えている。
したがって、1つの頸部載置板は、2つの重畳部15を備えることになる。具体的には、上層頸部載置板11の1つ目の重畳部15は、上層頸部載置板11の長寸方向Lに沿う頭部側Hの側部11gに備える突出部14と上層頸部載置板11の短寸方向Sに沿う左の側部11iに備える突出部14が互いに交差する部位に対して備えており、上層頸部載置板11の2つ目の重畳部15は、上層頸部載置板11の長寸方向Lに沿う頭部側Hの側部11gに備える突出部14と上層頸部載置板11の短寸方向Sに沿う右の側部11iに備える突出部14が互いに交差する部位に対して備えている。なお、中間層頸部載置板12の重畳部15、下層頸部載置板13の重畳部15も同様である。
重畳部15は、積層状に連結している頸部載置部材10の上層頸部載置板11、中間層頸部載置板12及び下層頸部載置板13の少なくともいずれか一方を分離させて、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の高さ調整を行う際に、使用者の親指と人差し指及び/又は中指で摘まみつつ頸部載置板の長寸方向に向かって引っ張る部位である。
【0029】
頸部載置板は、布製の生地を袋状に成型したものに対してウレタン(イノアックコーポレーション製 カラーフォームECS)を格納して縫合したものである。
そのため、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100における頸部載置部材10は、弾力性を有しており、後頸部の筋緊張を緩和させると共に、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部に対する頸椎棘突起への痛み発生及び頸椎過伸展の発生を伴わない、治療目的の長時間使用が相応しい構成を採用している。
【0030】
上層頸部載置板11は、裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの夫々の端部11e、11fに対して、レール状に面ファスナー30を配置しており、中間層頸部載置板12及び下層頸部載置板13は、夫々の表面12a、13aと裏面12b、13bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの夫々の端部12c、12d、12e、12f、13c、13d、13e、13fに対して、レール状に面ファスナー30を配置している。
なお、上記「レール状」とは、図5Bのように、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの夫々の端部11e、11fに対して、長寸方向Lに沿って2列になって平行に並ぶように面ファスナー30を配置すること、及び図6A図6B図7A図7Bのように、中間層頸部載置板12及び下層頸部載置板13の夫々の表面12a、13aと裏面12b、13bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの夫々の端部12c、12d、12e、12f、13c、13d、13e、13fに対して、長寸方向Lに沿って2列になって平行に並ぶように面ファスナー30を配置することを意味する。
【0031】
「上層頸部載置板11の裏面11b」とは、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を支持する際に使用者の後頸部と相対する面の裏側の面即ち、中間層頸部載置板12の表面12aと相対する面を意味する。
「中間層頸部載置板12の表面12a」とは、上層頸部載置板11の裏面11bと相対する面を意味する。
「中間層頸部載置板12の裏面12b」とは、下層頸部載置板13の表面13aと相対する面を意味する。
「下層頸部載置板13の表面13a」とは、中間層頸部載置板12の裏面12bと相対する面を意味する。
「下層頸部載置板13の裏面13b」とは、以下に示す枕本体部材20の上面20aと相対する面を意味する。
「枕本体部材20の上面20a」とは、下層頸部載置板13の裏面13bと相対する面を意味する。
【0032】
なお、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100における中間層頸部載置板12は、一層であるが、一層に限らず、複数層でもよく、中間層頸部載置板12の数は限定されない。
したがって、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100における頸部載置板の層数は、一層の上層頸部載置板11、一層の中間層頸部載置板12及び一層の下層頸部載置板13の合計三層に限らず、中間層頸部載置板12の数の増加に比例して合計四層以上になることがあり、頸部載置板の層数は限定されない。
【0033】
なお、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、突出部14は、頸部載置板の頭部側Hでなく、頸部載置部材10の背部側Bに設けてもよく、同時に、膨出部16は、頸部載置板の背部側Bでなく、頸部載置部材10の頭部側Hに設けてもよい。
この場合、頸部載置板は、頸部載置板の長寸方向Lに沿う背部側Bの側部11h、12h、13h及び短寸方向Sに沿う左右の両側部11i、12i、13iに対して、夫々の側部11h、12h、13h、11i、12i、13iの先端を縫い合わした突出部14と、頸部載置板の長寸方向Lに沿う頭部側Hの側部11g、12g、13gに対して、頭部側H方向に膨らむ膨出部16とを備えることになる。
【0034】
<枕本体部材>
枕本体部材20は、頸部載置部材10と分離可能であり、頸部載置部材10の鉛直方向即ち、頸部載置部材10の下方に配置して、頸部載置部材10と連結することで仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を頸部載置部材10を介して支持するものである。即ち、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部は、頸部載置部材10と枕本体部材20の両方で支持される。
【0035】
枕本体部材20は、平面視矩形状であり、且つ短寸方向Sの長さが人体の対称軸に沿った寝床に対して後頭部を載置した地点から背部までの長さに略等しく、長寸方向Lの長さが頸部載置板の長寸方向Lの長さに略等しい。
「人体の対称軸に沿った寝床に対して後頭部を載置した地点から背部までの長さ」とは、約15cmを意味する。
「頸部載置板の長寸方向Lの長さ」とは、約30cmを意味する。
したがって、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を上層頸部載置板11に対して載置した際、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、後頭部と背部の間で包含される。そのため、使用者の後頭部と背部が、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100に対して接触することに伴う違和感が生じない構成を採用している。
また、枕本体部材20は、側面視略台形状であり、且つ下底26が上底25より長く、略台形状の上底25の長さが頸部載置板の短寸方向Sの長さに略等しい。
【0036】
枕本体部材20は、布製の生地を袋状に成型したものに対してウレタン(イノアックコーポレーション製 カラーフォームECS)を格納して縫合したものである。
そのため、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100における枕本体部材20は、頸部載置部材10と同様の弾力性を有しており、頸部載置部材10と共に、後頸部の筋緊張を緩和させると共に、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部に対する頸椎棘突起への痛み発生及び頸椎過伸展の発生を伴わない、治療目的の長時間使用が相応しい構成を採用している。
【0037】
枕本体部材20は、上面20aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの夫々の端部20c、20dに対して、レール状に面ファスナー30を配置しており、上層頸部載置板11と中間層頸部載置板12、中間層頸部載置板12と下層頸部載置板13、下層頸部載置板13と枕本体部材20は、夫々互いに、面ファスナー30で連結される。
「枕本体部材20の上面20a」とは、下層頸部載置板13の裏面13bと相対する面を意味する。
なお、上記「レール状」とは、図8のように、枕本体部材20の上面20aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの夫々の端部20c、20dに対して、長寸方向Lに沿って2列になって平行に並ぶように面ファスナー30を配置することを意味する。
【0038】
枕本体部材20は、略台形状側面20bにおける頭部側Hの上底端部20eから頭部側Hの下底端部20fに向かって漸次傾斜する傾斜平面状とすることで、前記頭部側の寝床方向に向かって漸次傾斜する面として使用者の後頭部の一部を支持しつつ支持されていない後頭部を寝床方向に案内する後頭部案内傾斜面21を備えている。
後頭部案内傾斜面21は、傾斜角度が緩やかな傾斜平面状であり、傾斜曲面状のような後頭部後方からの持ち上げがなく、使用者の後頭部の一部を支持しつつ支持されていない後頭部を寝床方向に案内することで仰臥位の姿勢における使用者の後頭部、背部、臀部、踵部が寝床に対して一列に並ぶ状態を長時間維持させると共に、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を上層頸部載置板11に対して載置した際、頸部載置部材10が頭部方向へぐらつくことを防止するものである。
【0039】
また、枕本体部材20は、略台形状側面20bにおける背部側Bの上底端部20gから背部側Bの下底端部20hに向かって漸次傾斜する傾斜平面状とすることで、前記背部側の寝床方向に向かって漸次傾斜する面として使用者の背部の一部を支持しつつ支持されていない背部を寝床方向に案内する背部案内傾斜面22を備えている。
背部案内傾斜面22は、傾斜角度が緩やかな傾斜平面状であり、傾斜曲面状のような胸椎後方からの持ち上げがなく、使用者の背部の一部を支持しつつ支持されていない背部を寝床方向に案内することで仰臥位の姿勢における使用者の後頭部、背部、臀部、踵部が寝床に対して一列に並ぶ状態を長時間維持させると共に、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部を上層頸部載置板11に対して載置した際、頸部載置部材10が背部方向へぐらつくことを防止するものである。


【0040】
本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、上層頸部載置板11の短寸方向Sに沿う側部11iと中間層頸部載置板12の短寸方向Sに沿う側部12iの間に第3開口部19と、中間層頸部載置板12の短寸方向Sに沿う側部12iと下層頸部載置板13の短寸方向Sに沿う側部13iの間に第2開口部18と、下層頸部載置板13の短寸方向Sに沿う側部13iと枕本体部材20の短寸方向Sに沿う側部20iの間に第1開口部17とを備えている。
【0041】
本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の高さ調整を行った場合の開口部の名称の第1、第2、第3の夫々の数字は、層数に応じて付すことになる。
したがって、第3開口部19とは、三層目の頸部載置板の短寸方向Sに沿う側部と二層目の頸部載置板の短寸方向Sに沿う側部の間に設けた開口部を意味し、第2開口部18とは、二層目の頸部載置板の短寸方向Sに沿う側部と一層目の頸部載置板の短寸方向Sに沿う側部の間に設けた開口部を意味し、第1開口部17とは、一層目の頸部載置板の短寸方向Sに沿う側部と枕本体部材20の短寸方向Sに沿う側部20iの間に設けた開口部を意味する。
例えば、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の高さ調整を行った結果、頸部載置板が三層から二層になった場合、即ち中間層頸部載置板12が除去されて、上層頸部載置板11と下層頸部載置板13の二層になった場合は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、二層目の上層頸部載置板11の短寸方向Sに沿う側部11iと一層目の下層頸部載置板13の短寸方向Sに沿う側部13iの間に第2開口部18と、一層目の下層頸部載置板13の短寸方向Sに沿う側部13iと枕本体部材20の短寸方向Sに沿う側部20iの間に第1開口部17とを備えることになる。
また、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の高さ調整を行った結果、頸部載置板が三層から一層になった場合、即ち中間層頸部載置板12、下層頸部載置板13が除去されて、上層頸部載置板11の一層になった場合は、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、一層目の上層頸部載置板11の短寸方向Sに沿う側部11iと枕本体部材20の短寸方向Sに沿う側部20iの間に第1開口部17を備えることになる。
【0042】
なお、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100における上層頸部載置板11、中間層頸部載置板12、下層頸部載置板13、及び枕本体部材20に対して夫々配置される面ファスナー30は種類を問わず、頸部載置板同士及び頸部載置板と枕本体部材20が、夫々互いに、雄面ファスナーと雌面ファスナーで連結されればよく、いずれが雄面ファスナーであるか、雌面ファスナーであるかは問わない。
したがって、例えば、上層頸部載置板11の裏面11bが雄面ファスナー、中間層頸部載置板12の表面12aが雌面ファスナー、裏面12bが雄面ファスナー、下層頸部載置板13の表面13aが雌面ファスナー、裏面13bが雄面ファスナー、枕本体部材20の上面20aが雌面ファスナーであってもよく、上層頸部載置板11の裏面11bが雌面ファスナー、中間層頸部載置板12の表面12aが雄面ファスナー、裏面12bが雌面ファスナー、下層頸部載置板13の表面13aが雄面ファスナー、裏面13bが雌面ファスナー、枕本体部材20の上面20aが雄面ファスナーであってもよい。
【0043】
なお、頸部載置板の表面12a、13aと裏面11b、12b、13bの夫々の面に対して配置する面ファスナー30の数は、頸部載置板の表面と裏面の夫々の面における長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの夫々の端部に対して、レール状に2列で配置することなく、長寸方向Lに沿って中央部に1列で配置してもよく、面ファスナー30の数は限定されない。
また、枕本体部材20の上面20aに対して配置する面ファスナー30の数は、枕本体部材20の上面20aにおける長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの夫々の端部に対して、レール状に2列で配置することなく、長寸方向Lに沿って中央部に1列で配置してもよく、面ファスナー30の数は限定されない。
なお、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100における頸部載置板同士及び頸部載置板と枕本体部材20の連結手段は、面ファスナー30に限定されることなく、ボタン式、紐などあらゆる連結手段を採用してもよい。
【0044】
なお、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100における頸部載置板及び枕本体部材20は、布製の生地を袋状に成型したものに対してウレタン(イノアックコーポレーション製 カラーフォームECS)を格納して縫合したものであるが、ウレタンに限定されない。したがって、例えばウレタンに代えて樹脂などの後頸部の筋緊張を緩和させると共に、仰臥位の姿勢における使用者の後頸部に対する頸椎棘突起への痛み発生及び頸椎過伸展の発生を伴わない素材を格納させてもよい。
【0045】
なお、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100における開口部は、3つであるが限らず、複数でもよく、開口部の数は限定されない。
したがって、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100における開口部の数は、第3開口部19、第2開口部18及び第1開口部17の合計3つに限らず、頸部載置板の層数に比例して合計3つ以上になることがあり、開口部の数は限定されない。
【0046】
<実施形態1の頸椎治療枕の高さ調整>
本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の高さ調整の手法としては、「開口部17、18、19を用いた高さ調整(図9を参照)」、「重畳部15を用いた高さ調整」、及び「膨出部16と突出部14を用いた高さ調整(図10図11を参照)」の3つのパターンがある。夫々の高さ調整について以下説明する。
【0047】
<実施形態1の頸椎治療枕の開口部を用いた高さ調整(三層から二層)>
本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の開口部17、18、19を用いた高さ調整について、三層の頸部載置板から二層の頸部載置板に調整する手順を説明する。
【0048】
第1段階として、使用者は第3開口部19に対して、人差し指又は中指を挿入させて頸部載置板の長寸方向Lに向かって引っ張ることで、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30と中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の長寸方向Lに沿って次第に解除される。その後、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0049】
第2段階として、使用者は第2開口部18に対して、人差し指又は中指を挿入させて頸部載置板の長寸方向Lに向かって引っ張ることで、中間層頸部載置板12の裏面12bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30と下層頸部載置板13の表面13aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の長寸方向Lに沿って次第に解除される。その後、中間層頸部載置板12の裏面12bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、下層頸部載置板13の表面13aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0050】
第3段階として、使用者は上層頸部載置板11の裏面11bの面ファスナー30と枕本体部材20と連結している下層頸部載置板13の表面13aの面ファスナー30を連結させる。
その結果、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、三層の頸部載置板から二層の頸部載置板へ高さが低く調整される。
【0051】
<実施形態1の頸椎治療枕の開口部を用いた高さ調整(三層から一層)>
本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の開口部17、18、19を用いた高さ調整について、三層の頸部載置板から一層の頸部載置板に調整する手順を説明する。
【0052】
第1段階として、使用者は第3開口部19に対して、人差し指又は中指を挿入させて頸部載置板の長寸方向Lに向かって引っ張ることで、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30と中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の長寸方向Lに沿って次第に解除される。その後、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0053】
第2段階として、使用者は第1開口部17に対して、人差し指又は中指を挿入させて頸部載置板の長寸方向Lに向かって引っ張ることで、下層頸部載置板13の裏面13bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30と枕本体部材20の上面20aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の長寸方向Lに沿って次第に解除される。その後、下層頸部載置板13の裏面13bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、枕本体部材20の上面20aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0054】
第3段階として、使用者は上層頸部載置板11の裏面11bの面ファスナー30と枕本体部材20の上面20aの面ファスナー30を連結させる。
その結果、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、三層の頸部載置板から一層の頸部載置板へ高さが低く調整される。
【0055】
なお、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の開口部17、18、19を用いた高さ調整について、二層の頸部載置板から一層の頸部載置板に調整する手順は、上記の三層から二層の頸部載置板又は三層から一層の頸部載置板に調整する手順と同様に行われる。
【0056】
<実施形態1の頸椎治療枕の開口部を用いた高さ調整(一層から二層又は三層)>
本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の開口部17、18、19を用いた高さ調整について、一層の頸部載置板から二層又は三層の頸部載置板に調整する手順を説明する。
なお、一層の頸部載置板の頸椎治療枕100とは、上層頸部載置板11の裏面11bの面ファスナー30と枕本体部材20の上面20aの面ファスナー30を連結させた頸椎治療枕100を意味する。この場合、上層頸部載置板11の短寸方向Sに沿う側部11iと枕本体部材20の短寸方向Sに沿う側部20iの間に第1開口部17(段落0041参照)が設けられる。
【0057】
第1段階として、使用者は第1開口部17に対して、人差し指又は中指を挿入させて頸部載置板の長寸方向Lに向かって引っ張ることで、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30と枕本体部材20の上面20aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の長寸方向Lに沿って次第に解除される。その後、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、枕本体部材20の上面20aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0058】
第2段階として、一層から二層に高さ調整する場合、使用者は上層頸部載置板11の裏面11bの面ファスナー30と下層頸部載置板13の表面13aの面ファスナー30を連結させた2つの頸部載置板に関する下層頸部載置板13の裏面13bの面ファスナー30と枕本体部材20の上面20aの面ファスナー30を連結させる。
その結果、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、一層の頸部載置板から二層の頸部載置板へ高さが高く調整される。
また、一層から三層に高さ調整する場合、使用者は上層頸部載置板11の裏面11bの面ファスナー30と中間層頸部載置板12の表面12aの面ファスナー30を連結させた2つの頸部載置板に関する中間層頸部載置板12の裏面12bの面ファスナー30と下層頸部載置板13の表面13aの面ファスナー30を連結させる。その後、上層頸部載置板11の裏面11bの面ファスナー30と中間層頸部載置板12の表面12aの面ファスナー30、中間層頸部載置板12の裏面12bの面ファスナー30と下層頸部載置板13の表面13aの面ファスナー30を夫々連結させた3つの頸部載置板に関する下層頸部載置板13の裏面13bの面ファスナー30と枕本体部材20の上面20aの面ファスナー30を連結させる。
その結果、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、一層の頸部載置板から三層の頸部載置板へ高さが高く調整される。
【0059】
<実施形態1の頸椎治療枕の重畳部を用いた高さ調整(三層から二層)>
本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の重畳部15を用いた高さ調整について、三層の頸部載置板から二層の頸部載置板に調整する手順を説明する。
【0060】
第1段階として、使用者は上層頸部載置板11の重畳部15に対して、親指と人差し指及び/又は中指で摘まみつつ長寸方向Lに向かって引っ張ることで、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30と中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の長寸方向Lに沿って次第に解除される。その後、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0061】
第2段階として、使用者は中間層頸部載置板12の重畳部15に対して、親指と人差し指及び/又は中指で摘まみつつ長寸方向Lに向かって引っ張ることで、中間層頸部載置板12の裏面12bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30と下層頸部載置板13の表面13aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の長寸方向Lに沿って次第に解除される。その後、中間層頸部載置板12の裏面12bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、下層頸部載置板13の表面13aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0062】
第3段階として、使用者は上層頸部載置板11の裏面11bの面ファスナー30と枕本体部材20と連結している下層頸部載置板13の表面13aの面ファスナー30を連結させる。
その結果、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、三層の頸部載置板から二層の頸部載置板へ高さが低く調整される。
【0063】
<実施形態1の頸椎治療枕の重畳部を用いた高さ調整(三層から一層)>
本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の重畳部15を用いた高さ調整について、三層の頸部載置板から一層の頸部載置板に調整する手順を説明する。
【0064】
第1段階として、使用者は上層頸部載置板11の重畳部15に対して、親指と人差し指及び/又は中指で摘まみつつ長寸方向Lに向かって引っ張ることで、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30と中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の長寸方向Lに沿って次第に解除される。その後、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0065】
第2段階として、使用者は下層頸部載置板13の重畳部15に対して、親指と人差し指及び/又は中指で摘まみつつ長寸方向Lに向かって引っ張ることで、下層頸部載置板13の裏面13bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30と枕本体部材20の上面20aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の長寸方向Lに沿って次第に解除される。その後、下層頸部載置板13の裏面13bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、枕本体部材20の上面20aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0066】
第3段階として、使用者は上層頸部載置板11の裏面11bの面ファスナー30と枕本体部材20の上面20aの面ファスナー30を連結させる。
その結果、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、三層の頸部載置板から一層の頸部載置板へ高さが低く調整される。
【0067】
なお、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の重畳部15を用いた高さ調整について、二層から一層の頸部載置板に調整する手順は、上記の三層から二層の頸部載置板又は三層から一層の頸部載置板に調整する手順と同様に行われる。
また、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の重畳部15を用いた高さ調整について、一層の頸部載置板から二層又は三層の頸部載置板に調整する手順については、上記実施形態1の頸椎治療枕100の開口部17、18、19を用いた高さ調整について、一層の頸部載置板から二層又は三層の頸部載置板に調整する手順と同様に行われる。
【0068】
<実施形態1の頸椎治療枕の膨出部と突出部を用いた高さ調整(三層から二層)>
本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の膨出部16と突出部14を用いた高さ調整について、三層の頸部載置板から二層の頸部載置板に調整する手順を説明する。
【0069】
第1段階として、使用者は親指を上層頸部載置板11の膨出部16に対して押圧しつつ、人差し指、中指及び/又は薬指を突出部14に対して係合させる。次に、突出部14に対して係合させている人差し指、中指及び/又は薬指を同時に背部側B方向へ引っ張ることで、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30と中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30の連結が頸部載置板の短寸方向に沿う左右の両側部11i、12iに向かって次第に解除される。
その後、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30が中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30から完全に分離された後、上層頸部載置板11の背部側B方向へ引っ張り続けることで、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う背部側Bの面ファスナー30と中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の短寸方向に沿う左右の両側部11i、12iに向かって次第に解除される。
その結果、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0070】
第2段階として、使用者は親指を中間層頸部載置板12の膨出部16に対して押圧しつつ、人差し指、中指及び/又は薬指を突出部14に対して係合させる。次に、突出部14に対して係合させている人差し指、中指及び/又は薬指を同時に中間層頸部載置板12の背部側B方向へ引っ張ることで、中間層頸部載置板12の裏面12bの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30と下層頸部載置板13の表面13aの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30の連結が頸部載置板の短寸方向に沿う左右の両側部12i、13iに向かって次第に解除される。
その後、中間層頸部載置板12の裏面12bの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30が下層頸部載置板13の表面13aの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30から完全に分離された後、中間層頸部載置板12の背部側B方向へ引っ張り続けることで、中間層頸部載置板12の裏面12bの長寸方向Lに沿う背部側Bの面ファスナー30と下層頸部載置板13の表面13aの長寸方向Lに沿う背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の短寸方向に沿う左右の両側部12i、13iに向かって次第に解除される。
その結果、中間層頸部載置板12の裏面12bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、下層頸部載置板13の表面13aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0071】
第3段階として、使用者は上層頸部載置板11の裏面11bの面ファスナー30と枕本体部材20と連結している下層頸部載置板13の表面13aの面ファスナー30を連結させる。
その結果、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、三層の頸部載置板から二層の頸部載置板へ高さが低く調整される。
【0072】
<実施形態1の頸椎治療枕の膨出部と突出部を用いた高さ調整(三層から一層)>
本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の膨出部16と突出部14を用いた高さ調整について、三層の頸部載置板から一層の頸部載置板に調整する手順を説明する。
【0073】
第1段階として、使用者は親指を上層頸部載置板11の膨出部16に対して押圧しつつ、人差し指、中指及び/又は薬指を突出部14に対して係合させる。次に、突出部14に対して係合させている人差し指、中指及び/又は薬指を同時に上層頸部載置板11の背部側B方向へ引っ張ることで、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30と中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30の連結が頸部載置板の短寸方向に沿う左右の両側部11i、12iに向かって次第に解除される。
その後、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30が中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30から完全に分離された後、上層頸部載置板11の背部側B方向へ引っ張り続けることで、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う背部側Bの面ファスナー30と中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の短寸方向に沿う左右の両側部11i、12iに向かって次第に解除される。
その結果、上層頸部載置板11の裏面11bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、中間層頸部載置板12の表面12aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0074】
第2段階として、使用者は親指を下層頸部載置板13の膨出部16に対して押圧しつつ、人差し指、中指及び/又は薬指を突出部14に対して係合させる。次に、突出部14に対して係合させている人差し指、中指及び/又は薬指を同時に下層頸部載置板13の背部側B方向へ引っ張ることで、下層頸部載置板13の裏面13bの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30と枕本体部材20の上面20aの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30の連結が頸部載置板の短寸方向に沿う左右の両側部13i、20iに向かって次第に解除される。
その後、下層頸部載置板13の裏面13bの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30が枕本体部材20の上面20aの長寸方向Lに沿う頭部側Hの面ファスナー30から完全に分離された後、下層頸部載置板13の背部側B方向へ引っ張り続けることで、下層頸部載置板13の裏面13bの長寸方向Lに沿う背部側Bの面ファスナー30と枕本体部材20の上面20aの長寸方向Lに沿う背部側Bの面ファスナー30の連結が頸部載置板の短寸方向に沿う左右の両側部13i、20iに向かって次第に解除される。
その結果、中間層頸部載置板12と連結している下層頸部載置板13の裏面13bの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30が、枕本体部材20の上面20aの長寸方向Lに沿う頭部側H及び背部側Bの面ファスナー30から完全に分離される。
【0075】
第3段階として、使用者は上層頸部載置板11の裏面11bの面ファスナー30と枕本体部材20の上面20aの面ファスナー30を連結させる。
その結果、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100は、三層の頸部載置板から一層の頸部載置板へ高さが低く調整される。
【0076】
なお、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の膨出部16と突出部14を用いた高さ調整について、二層の頸部載置板から一層の頸部載置板に調整する手順は、上記の三層から二層の頸部載置板又は三層から一層の頸部載置板に調整する手順と同様に行われる。
また、本発明に係る実施形態1の頸椎治療枕100の膨出部16と突出部14を用いた高さ調整について、一層の頸部載置板から二層又は三層の頸部載置板に調整する手順については、上記実施形態1の頸椎治療枕100の開口部17、18、19を用いた高さ調整について、一層の頸部載置板から二層又は三層の頸部載置板に調整する手順と同様に行われる。
【0077】
<実施形態2>
本発明に係る実施形態2の頸椎治療枕は、突出部14を設けた上層頸部載置板11の長寸方向Lに沿う頭部側Hの側部11gと膨出部16を設けた中間層頸部載置板12の長寸方向Lに沿う頭部側Hの側部12hは、互いに長手方向に沿って頭部側Hに向いており、突出部14を設けた中間層頸部載置板12の長寸方向Lに沿う背部側Bの側部12gと膨出部16を設けた下層頸部載置板13の長寸方向Lに沿う背部側Bの側部13hは、互いに長手方向に沿って背部側Bに向いている頸椎治療枕である。
【0078】
本発明に係る実施形態2の頸椎治療枕は、膨出部16と突出部14を用いた高さ調整について、人差し指、中指及び/又は薬指を上層頸部載置板11の突出部14に対して係合させる際に、一段下の層である中間層頸部載置板12の膨出部16が滑り面の役割を果たして、人差し指、中指及び/又は薬指が突出部14に対して効率良く係合すると共に、人差し指、中指及び/又は薬指を中間層頸部載置板12の突出部14に対して係合させる際に、一段下の層である下層頸部載置板13の膨出部16が滑り面の役割を果たして、人差し指、中指及び/又は薬指が突出部14に対して効率良く係合できる。
【0079】
<実施形態2の頸椎治療枕の高さ調整>
本発明に係る実施形態2の頸椎治療枕の高さ調整の手法としては、「開口部17、18、19を用いた高さ調整」、「重畳部15を用いた高さ調整」、及び「膨出部16と突出部14を用いた高さ調整」がある。
夫々の高さ調整は、実施形態1の頸椎治療枕と同様に行われる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る頸椎治療枕は、医療用分野に限定されることなく、一般用の枕においても利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
100 頸椎治療枕
10 頸部載置部材
11 上層頸部載置板
11a 上層頸部載置板の表面
11b 上層頸部載置板の裏面
11c 上層頸部載置板の表面の長寸方向に沿う一方側(頭部側H)の端部
11d 上層頸部載置板の表面の長寸方向に沿う他方側(背部側B)の端部
11e 上層頸部載置板の裏面の長寸方向に沿う一方側(頭部側H)の端部
11f 上層頸部載置板の裏面の長寸方向に沿う他方側(背部側B)の端部
11g 上層頸部載置板の長寸方向に沿う一方側(頭部側H)の側部
11h 上層頸部載置板の長寸方向に沿う他方側(背部側B)の側部
11i 上層頸部載置板の短寸方向に沿う側部
12 中間層頸部載置板
12a 中間層頸部載置板の表面
12b 中間層頸部載置板の裏面
12c 中間層頸部載置板の表面の長寸方向に沿う一方側(頭部側H)の端部
12d 中間層頸部載置板の表面の長寸方向に沿う他方側(背部側B)の端部
12e 中間層頸部載置板の裏面の長寸方向に沿う一方側(頭部側H)の端部
12f 中間層頸部載置板の裏面の長寸方向に沿う他方側(背部側B)の端部
12g 中間層頸部載置板の長寸方向に沿う一方側(頭部側H)の側部
12h 中間層頸部載置板の長寸方向に沿う他方側(背部側B)の側部
12i 中間層頸部載置板の短寸方向に沿う側部
13 下層頸部載置板
13a 下層頸部載置板の表面
13b 下層頸部載置板の裏面
13c 下層頸部載置板の表面の長寸方向に沿う一方側(頭部側H)の端部
13d 下層頸部載置板の表面の長寸方向に沿う他方側(背部側B)の端部
13e 下層頸部載置板の裏面の長寸方向に沿う一方側(頭部側H)の端部
13f 下層頸部載置板の裏面の長寸方向に沿う他方側(背部側B)の端部
13g 下層頸部載置板の長寸方向に沿う一方側(頭部側H)の側部
13h 下層頸部載置板の長寸方向に沿う他方側(背部側B)の側部
13i 下層頸部載置板の短寸方向に沿う側部
14 突出部
15 重畳部
16 膨出部
17 第1開口部
18 第2開口部
19 第3開口部
20 枕本体部材
20a 枕本体部材の上面
20b 枕本体部材の側面
20c 枕本体部材の上面の長寸方向に沿う一方側(頭部側H)の端部
20d 枕本体部材の上面の長寸方向に沿う他方側(背部側B)の端部
20e 枕本体部材の側面の一方側(頭部側H)の上底端部
20f 枕本体部材の側面の一方側(頭部側H)の下底端部
20g 枕本体部材の側面の他方側(背部側B)の上底端部
20h 枕本体部材の側面の他方側(背部側B)の下底端部
20i 枕本体部材の短寸方向に沿う側部
21 後頭部案内傾斜面
22 背部案内傾斜面
25 上底
26 下底
30 面ファスナー
H 頭部側(Head)=一方側
B 背部側(Back)=他方側
L 頸部載置板と枕本体部材の長寸方向(Long length direction)
S 頸部載置板と枕本体部材の短寸方向(Short direction)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11