(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】灯火ライト
(51)【国際特許分類】
A01M 1/04 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
A01M1/04 A
(21)【出願番号】P 2022106819
(22)【出願日】2022-07-01
【審査請求日】2022-07-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522265888
【氏名又は名称】櫛田 啓二
(73)【特許権者】
【識別番号】522265899
【氏名又は名称】櫛田 美奈子
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100154162
【氏名又は名称】内田 浩輔
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 啓二
(72)【発明者】
【氏名】櫛田 美奈子
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206548(JP,A)
【文献】実開昭59-194209(JP,U)
【文献】特開2021-176266(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0021864(US,A1)
【文献】[楽天市場]HID 手持ちサーチライト ハンディライト[55w 12v 24v 兼用]バルブ(バーナー)交換可◆13ヵ月保証:LED作業灯 集魚灯のKsガレージ,2015年12月26日,<URL:https://web.archive.org/web/20151226014544/http://item.rakuten.co.jp/auc-ksgarage/kty-55w/>
【文献】昆虫採集専用ライトトラップシステム [クレナータ],2020年10月27日,<URL:https://twitter.com/crenatabeetle/status/1320921200478961665>
【文献】HIDライトトラップ ライト選びに困ったら / 灯火採集 | HIDライト製作 奮闘記,2019年04月11日,<URL:https://web.archive.org/web/20210429011302/https://ameblo.jp/xavimessi/entry-12482626906.html>,2021/04/29保存
【文献】紫外線透過ガラス 数値公開 | HIDライト製作 奮闘記,2021年12月05日,<URL:https://web.archive.org/web/20211231121743/https://ameblo.jp/xavimessi/entry-12713958467.html>,2021/12/31保存
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 1/24
F21S
F21L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
全方位へと紫外光が出射される態様で用いることができる灯火ライトであって、
前記紫外光を出射する光源と、
前記光源が取り付けられている本体と、
前記光源を覆うように前記本体に対して取り付けられ、且つ前記紫外光を透過させる保護ガラスと
を備え、
前記光源は、前記本体から突出している、灯火ライト。
【請求項2】
前記光源が取り付けられる光源取付部が前記本体に設けられており、
前記保護ガラスは、略ドーム型の外形を有しており、且つ固定部材を介して前記光源取付部に取り付けられている、請求項1に記載の灯火ライト。
【請求項3】
紫外光を出射する光源と、
前記光源が取り付けられている本体と、
前記本体に取り付けられるリフレクターと接続されるアダプターとを備え、
前記アダプターは、前記本体から張り出す張り出し部を有しており、
前記張り出し部と前記本体との間には、前記紫外光を透過する透過領域が設けられている
、灯火ライト。
【請求項4】
前記光源は、発光部を有する放電灯であり、
前記発光部は、前記アダプターよりも前記本体から離れた位置に位置する、請求項
3に記載の灯火ライト。
【請求項5】
前記光源は、発光管と、前記発光管の外側を覆う外管とを有し、
前記外管は、前記紫外光を透過させる、請求項1又は
3に記載の灯火ライト。
【請求項6】
前記紫外光は、360nm以上から370nm以下の範
囲にピーク波長を有する、請求項1又は
3に記載の灯火ライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昆虫採集用の灯火ライトに関し、特に輝線スペクトルバルブを使ったマルチ用途の灯火ライトに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、虫を誘引するために、複数のLED灯火又はLED素子を並べたLED灯火装置が開示されている。そして、当該複数のLED灯火又はLED素子のうち2つ以上は、360nm、460nm、525nm、及び590nmのいずれかから長短25nm以内となるピーク波長を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
灯火ライトは、光に集る習性のある昆虫を誘引するために、主として夜間に使用される。例えば、夜間の昆虫採集の一手法として、灯火ライトから光を出射させて昆虫を誘引する方法がある。しかし、効果的かつ効率的に昆虫を採集するためには、灯火ライトから照射される光が強ければよいわけでない。すなわち、採集の対象となる昆虫の種類又は使用環境に応じて、光の照射態様を変えることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様に係る灯火ライトは、紫外光を出射する光源と、前記光源が取り付けられている本体と、前記本体に着脱可能に取り付けられるリフレクターと接続されるアダプターとを備える。
【発明の効果】
【0006】
これにより、採集の対象となる昆虫の種類又は使用環境に応じて、光の照射態様を変えることができる。
【0007】
本開示のさらなる特徴は、添付図面を参照して例示的に示した以下の実施例の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】ハンドル側から見た灯火ライトの概略斜視図である。
【
図4】リフレクターを備える灯火ライトの概略斜視図である。
【
図8】全方位出射態様における使用態様の概略説明図である。
【
図9】広角リフレクターの使用態様の概略説明図である。
【
図10】狭角リフレクターの使用態様の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される装置又は方法の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されない。なお、本明細書においては、光源10を上方向とした場合に、その反対方向を下方向としている。
【0010】
[実施形態]
一般に採集の対象となる昆虫の多くは、夜間に飛翔して紫外光に誘引される特性を有する。例えば、このような採集の対象となる昆虫としては、クワガタムシ及びカブトムシ等がある。そのため、このような昆虫の特性を利用して、誘引された昆虫を採集することができる。
【0011】
そのために、
図1に示す灯火ライト100は、紫外光を出射する光源10を備えている。一例として、光源10は、ガスディスチャージ光源であって、メタルハライドランプ等の高圧金属蒸気放電灯、又は高輝度放電灯(例えばHIDバルブ)等の放電灯である。この光源10は、発光管11(
図2)を有している。そして、発光管11の発光部15には、希ガス(例えばアルゴンガス等)、水銀、金属ヨウ化物(例えばナトリウム及びスカンジウム等)等が封入されている。また、発光管11の内部には、一対の電極(不図示)が隙間を開けて対向するように配置されている。そして、電極に電圧を印加することによって、発光部15においてアーク放電を生じさせることにより、発光部15が発光する。
【0012】
図2に示す光源10は、発光部15を有する放電灯(例えば輝線スペクトルバルブ)である。そして、光源10は、発光管11と、発光管11の外側を覆う外管12とを有している。この外管12は、紫外光を透過させるように構成されており、一例として石英によって形成されている。外管12が紫外光を透過させるため、光源10から出射される紫外光の光量の減少を抑制できる。これにより、灯火ライト100に誘引される昆虫の数が減少することを抑制できる。
【0013】
また、光源10は、発光管11及び外管12の基端を保持する口金13をさらに有している。そして、発光管11の内部には、一対の電極として、口金13側の電極と、保護チューブ14を介して外管12の先端側に設けられたリード線側の電極と、が配置されている。なお、外管12は、紫外光の一部を透過させるガラスによって形成することもできる。または、外管12を設けずに、発光管11を露出させてもよい。ただし、外管12を設けることによって、発光管11の破損を防止でき、光源10の寿命を延ばすことができる。
【0014】
光源10は、360nm以上から370nm以下の範囲にピーク波長を有する紫外光、又は365nmにピーク波長を有する紫外光を出射することができる。ここで、ピーク波長とは、光源10から出射する光の波長を測定した場合に、光の発光強度又は分光放射照度が最大となる波長のことである。一例として、光源10は、365nmにピーク波長を有する紫外光を出射する。実際に光源10が出射する光を測定した所、365nm帯域の分光放射照度は、392μW/(cm2・nm)であった。比較対象として、紫外光を出射する8000Kのメタルハライドランプを準備して、出射する光を測定した所、365nm帯域の分光放射照度は、68.5μW/(cm2・nm)であった。
【0015】
光源10が上記範囲にピーク波長を有する紫外光を出射することによって、昆虫をより効果的又は効率的に誘引できる。なお、光源10は、紫外光に限らず可視光を出射することもできる。
【0016】
図1に戻り、灯火ライト100について説明する。灯火ライト100は、本体20を備えており、光源10は本体20に取り付けられている。本体20は、外部電源からの電力を光源10に供給する機能と、光源10を発光させる機能とを有する。また、灯火ライト100は、光源10を覆って防水及び防護する保護ガラス30を備えている。この保護ガラス30は、紫外光を透過するように構成されており、略ドーム型の外形を有している。一例として、保護ガラス30は、石英によって構成されている。代替的に、保護ガラス30は省略されてもよいが、保護ガラス30を配置することによって光源10の破損及び汚損を抑制できる。
【0017】
さらに、灯火ライト100は、アダプター40を備えている。そして、アダプター40は、本体20に着脱可能に取り付けられるリフレクター51(
図4)と接続される。一例としてアダプター40は、本体20の光源取付部16にねじ込まれる固定部材17によって、本体20に固定されている。
【0018】
また、本体20には、灯火ライト100を支える不図示の支持器具(例えば三脚又はスタンド等)に接続するための接続穴22が形成されている。一例として、接続穴22の内面には、雌ねじ部となるねじ溝が形成されている。そして、支持器具の雄ねじ部が、接続穴22にねじ込まれる。これによって、灯火ライト100は、支持器具に固定及び支持される。さらに、本体20の下面25にも、不図示の接続穴22が形成されている。
【0019】
すなわち、灯火ライト100には、二つの接続穴22が形成されている。これらの接続穴22は、支持器具との接続部として機能する。なお、接続穴22に代えて、支持器具のねじ穴に挿入されるように本体20から突出する雄ねじ部が、接続部として設けられていてもよい。さらに、接続部の数は、一つ又は三つ以上であってもよい。また、接続部は、ハンドル23に設けられていてもよい。
【0020】
図1の灯火ライト100には、リフレクター51が取り付けられていない。そのため、光源10を中心とする全方位へと光が出射される。これにより、灯火ライト100に対して、全方位から昆虫を誘引できる。例えば、
図1の灯火ライト100は、森の中等の、全方位に昆虫が生息している環境において使用できる。この場合には、本体20の下面25に形成されている接続穴22に対して、支持器具を接続できる。なお、以下においては、リフレクター51が取り付けられていない状態で灯火ライト100を使用する態様を、全方位出射態様ともいう。
【0021】
灯火ライト100の本体20は、略直方体状の形状を有している。そして、本体20は、光源10を発光させるための電気回路と、外部電源に接続されるコネクターと(いずれも不図示)を備えている。例えば、本体20は、電源と光源10との間に配置される抵抗として安定器を備えている。また、コネクターは、本体20の下面25に配置されており、外部電源に接続されたケーブルがコネクターに接続される。代替的に、本体20は、バッテリーを内蔵していても良い。この場合には、本体20が外部電源に接続されなくともよい。
【0022】
さらに、本体20には、光源10を操作する遠隔操作装置(不図示)が有線又は無線接続されていてもよい。使用者は、遠隔操作装置によって、出射光量を低減させること、又は光源10を消灯させることができる。特に、全方位出射態様においては、使用者が灯火ライト100の近傍にいると、光源10から出射される光が目に入ってしまう。そのために、灯火ライト100に使用者が近づいて操作することが困難となる場合がある。そこで、遠隔操作装置によって光源10を操作することによって、使用者は、紫外光が目に入り難い離れた位置から光源10を操作できる。
【0023】
また、
図3に示すように、本体20は、略L字状の形状を有するハンドル23を備えている。使用者は、ハンドル23を手で持ちながら、昆虫が生息すると思われる空間へ向けて紫外光を出射させることができる。一例として、ハンドル23は、本体20にねじ止め等の方法によって固定されている。代替的に、ハンドル23は、溶接等の方法によって、本体20と一体的に形成されていてもよい。
【0024】
また、
図4に示すように、本体20に対しては、着脱可能なリフレクター51を取り付けることができる。このリフレクター51は、アダプター40に接続される。一例として、アダプター40には、
図5に示すような切り欠き41が形成されている。また、リフレクター51の下端部には、切り欠き41に挿入可能なサイズ及び形状を有する突起(不図示)が形成されている。例えば、
図5においては、三つの切り欠き41がアダプター40に形成されている。そのため、リフレクター51の下端部には、三つの突起が形成されている。
【0025】
リフレクター51を取り付ける場合、使用者は、突起が切り欠き41を通るように、アダプター40に対してリフレクター51の下端部を挿入する。そして、光源10を中心に水平方向にアダプター40を回転させることによって、切り欠き41がアダプター40の内側のガイド溝(不図示)に進入する。その後、不図示のロック機構等によって、リフレクター51がアダプター40に固定される。
【0026】
リフレクター51を取り外す場合、使用者は、取り付け時とは反対方向にアダプター40を回転させる。そして、使用者は、突起が切り欠き41を通るように、アダプター40からリフレクター51を抜き出す。なお、二つ以下又は四つ以上の切り欠き41が、アダプター40に形成されていてもよい。この場合、リフレクター51の下端部には、切り欠き41の数に対応する数の突起が形成される。代替的に、リフレクター51は、ねじ止め等の方法によってアダプター40に接続されてもよい。
【0027】
また、
図1及び
図3に示すように、アダプター40は、張り出し量Pによって示す長さだけ、本体20から張り出している。具体的に、アダプター40において、ハンドル23側の周縁部と、接続穴22側の周縁部とが、本体20から張り出している。そして、これらの周縁部が、本体20から張り出す張り出し部として機能する。なお、アダプター40の周縁部は、その全周に渡って本体20から張り出していてもよい。
【0028】
さらに、
図5に示すアダプター40の底面42は、紫外光を透過する透過面を構成している。一例として、底面42は、石英によって形成されたガラス板であり、紫外光の少なくとも一部を透過させる。例えば、当該ガラス板は、アダプター40に接着又はねじ止め等の方法によって固定される。代替的に、ガラス板は、アダプター40内に載置されていてもよい。
【0029】
これにより、張り出し部と本体20との間には、底面42を介して紫外光を透過する透過領域が設けられている。すなわち、アダプター40の周縁部と本体20との間の領域においては、紫外光が底面42を透過する。そのため、光源10に対して本体20側の方向にも紫外光を出射できる。その結果、より多くの方位に紫外光を出射させて、昆虫を誘引できる。例えば、リフレクター51を使用する態様において、光源10に対して本体20側の方向(すなわち、灯火ライト100の背後)に白布を配置できる。この場合、灯火ライト100の背後方向に出射される紫外光が白布に照射される。そして、他の方向から誘引された昆虫が、白布に止まることになる。代替的に、アダプター40の底面42を省略することによって、紫外光を透過する透過領域が設けられてもよい。この場合、アダプター40と本体20との間の隙間が透過領域となる。なお、紫外光を透過させる必要が無ければ、張り出し部と本体20との間に紫外線が反射又は遮光される領域が設けられるように、紫外線を反射又は遮光する素材によって底面42を形成してもよい。
【0030】
また、底面42の中央には、光源取付部16が挿入される略円形の穴部43が形成されている。なお、
図5に示すアダプター40は、上方から見た場合に略円形の外形を有しているが、アダプター40は、他の形状を有していてもよい。例えば、アダプター40は、上方から見た場合に矩形、楕円、及び半円等の外形を有していてもよい。
【0031】
図4に戻って、リフレクター51について説明する。リフレクター51は、紫外光を含む光を反射する内面52を有している。また、リフレクター51は、内面52が形成されている枠体53を有しており、枠体53が外面を構成している。代替的に、枠体53と内面52とが別体であり、枠体53に内面52が取り付けられてもよい。
【0032】
続いて、
図6を参照してリフレクター51の取り付けについて説明する。まず、リフレクター51の取り付け前に、本体20に光源10を取り付ける。具体的には、本体20の光源取付部16に光源10の口金13をねじ込んで取り付ける。なお、光源取付部16は、異なる機能又は特性を有する複数の光源10に対応するように、共通化又は規格化されたソケットを有していてもよい。さらに、光源10を覆うように、保護ガラス30を光源10に被せて光源取付部16上に載置する。その後、本体20にアダプター40を取り付ける。具体的には、光源取付部16にアダプター40の穴部43(
図5)を挿入して、アダプター40を本体20の上面21に載置する。その後、固定部材17を介して、保護ガラス30及びアダプター40を光源取付部16に取り付ける。
【0033】
そのために、固定部材17の内面には、雌ねじ部となるねじ溝が形成されている。そして、光源取付部16の外面には、当該雌ねじ部と噛み合う雄ねじ部となるねじ山が形成されている。そのため、光源取付部16に固定部材17をねじ込むと、アダプター40の底面42は、固定部材17の下端部と本体20の上面21との間に挟まれる。これによって、アダプター40は、本体20に固定される。代替的に、アダプター40は、ねじ止め又は接着等の他の方法によって本体20に固定されていてもよい。
【0034】
また、固定部材17は、中心に向かって張り出すフランジ部分(不図示)を有している。さらに、保護ガラス30の下端は、外周方向に向かって張り出す周縁(不図示)を有している。そのため、保護ガラス30の下端の周縁は、固定部材17のフランジ部分と光源取付部16の頂面との間に挟まれる。これによって、保護ガラス30は、光源取付部16に固定される。代替的に、保護ガラス30の下端部にねじ溝を形成して、光源取付部16にねじ込むことによって、保護ガラス30を本体20に固定してもよい。
【0035】
その後、全方位出射態様の場合には、リフレクター51を取り付けずに灯火ライト100を使用する。ここで、
図6において点線で示す位置にある光源10の発光部15は、アダプター40よりも本体20から離れた位置に位置する。すなわち、リフレクター51が取り付けられていない状態において、灯火ライト100を側方から観察すると、アダプター40よりも上方に位置している発光部15を視認できる。
【0036】
具体的に、本体20の上面21のアダプター40の頂面は、
図6における高さL1に対応する長さだけ本体20の上面21から離れた位置に位置する。これに対して、光源10は、上面21から突出するように設けられている光源取付部16に取り付けられている。そのため、光源10の発光管11の内の発光部15は、
図6における高さL2に対応する長さだけ本体20の上面21から離れた位置に位置する。これにより、発光部15は、光源10の延在方向において、アダプター40よりも本体20の上面21から離れた位置に位置する。その結果、全方位出射態様の場合に、発光部15から出射する紫外光がアダプター40によって遮蔽されることを防止できる。また、発光部15は、固定部材17の頂面よりも本体20から離れた位置に位置している。
【0037】
取り付けの説明に戻り、リフレクター51を取り付ける場合には、アダプター40に対してリフレクター51の下端部を挿入する。そして、光源10を中心にアダプター40を回転させる。このようにして、リフレクター51を本体20に取り付けることができる。代替的に、リフレクター51の下端部の外面に雄ねじ部を構成するねじ山が形成されていてもよい。この場合、アダプター40の内面には、雌ねじ部を構成するねじ溝が形成されている。そして、リフレクター51の下端部を、アダプター40にねじ込むことによって、リフレクター51をアダプター40に接続する。
【0038】
このように、リフレクター51は、道具を使用せずに手で取り付けることができる。そのため、使用者は、使用環境に応じて又は採集の対象となる昆虫の種類に応じて、複数のリフレクターの中から適したものを取り付け又は交換できる。例えば、昆虫採集を行う場所には、山間部のような荷物の運搬が困難な場所がある。この場合であっても、使用者は、採集場所に移動した後に、その場で複数のリフレクターの中から適したものを取り付けることができる。そのため、リフレクター51を外したコンパクトな状態で、灯火ライト100を運搬できる。
【0039】
なお、光源10の取り付け箇所である光源取付部16と、リフレクター51の取り付け箇所であるアダプター40とは別体である。そのため、リフレクター51のみを交換又は着脱できる。さらに、光源10のみを交換又は着脱することもできる。言い換えると、光源取付部16とアダプター40とが離隔している。そのため、光源10が取り付けられている状態で、リフレクター51を着脱できる。また、リフレクター51が取り付けられている状態で、光源10を着脱できる。
【0040】
また、アダプター40には、形状又はサイズが異なる複数のリフレクターを取り付けることができる。昆虫を採集する場合には、使用環境に応じた態様で光を照射することが重要となる。そのために、アダプター40には、対応している複数のリフレクターを取り付けることができる。例えば、アダプター40の取り付け機構及びサイズ等は、複数のリフレクターに対応するように、共通化又は規格化されている。これにより、形状又はサイズが異なる複数のリフレクターをアダプター40に取り付けることができる。
【0041】
一例として、
図7は、上述した広角リフレクター51と、アダプター40に取り付け可能な狭角リフレクター55との概略側面図である。具体的に、
図7Aに示す広角リフレクター51は、
図7Bに示す狭角リフレクター55とはサイズ及び形状が異なる。しかし、アダプター40には、広角リフレクター51及び狭角リフレクター55のいずれも取り付けることができる。一例として、狭角リフレクター55は、ホルダー又はブラケット等の補助部材(不図示)を介してアダプター40に取り付けられる。例えば、補助部材は、アダプター40と狭角リフレクター55の下端部との間に配置される。そして、アダプター40の取り付けねじ45によって中心方向に向かって締め付けることによって、狭角リフレクター55がアダプター40に取り付けられる。
【0042】
また、狭角リフレクター55には、固定リング60を介して、ガラスフィルターGFを取り付けることができる。その説明のために、
図7Bは、固定リング60及びガラスフィルターGFを取り外した状態の狭角リフレクター55の概略分解側面図を示している。具体的に、狭角リフレクター55の上端部には雄ねじ部を構成するねじ山が形成されている。また、固定リング60の内面には、雌ねじ部を構成するねじ溝が形成されている。そして、狭角リフレクター55の上端部にガラスフィルターGFを置いて、その周囲に、固定リング60にねじ込む。これにより、固定リング60と狭角リフレクター55の上端部との間にガラスフィルターGFが挟まれる。その結果、ガラスフィルターGFが狭角リフレクター55に取り付けられる。なお、狭角リフレクター55を取り付ける場合には、狭角リフレクター55と、狭角リフレクター55に取り付けられるガラスフィルターGFとによって防水及び防護できる。そのため、保護ガラス30の取り付けは省略できる。また、ガラスフィルターGFは広角リフレクター51に取り付けられてもよい。この場合、保護ガラス30の取り付けは省略できる。さらに、狭角リフレクター55へのガラスフィルターGFの取り付けは省略してもよい。
【0043】
ガラスフィルターGFは、特定の光を透過するように構成されている。一例として、ガラスフィルターGFは、石英によって形成されている。代替的に、ガラスフィルターGFは、特定の範囲にピークを有する波長の光を透過させて、他の波長の光を遮光してもよい。一例として、オオクワガタを採集する場合には、紫外光(UV-A)は315nm以上から400nm以下の範囲、より好ましくは355nm以上から380nm以下の範囲を透過させ、且つ可視光(緑)は500nm以上から560nm以下の範囲、より好ましくは540nm以上から555nm以下の範囲を透過させるガラスフィルターGFを用いることができる。
【0044】
続いて、
図8から
図9を参照して、灯火ライト100の使用態様について説明する。
図8は全方位出射態様における使用態様であり、リフレクター51及び狭角リフレクター55は、いずれも取り付けられていない。また、
図9は広角リフレクター51が取り付けられている使用態様である。さらに、
図10は、狭角リフレクター55が取り付けられている使用態様である。なお、
図8及び
図10においては、説明の便宜上、アダプター40の図示を省略している。さらに、
図10においては、保護ガラス30の取り付けが省略されている。
【0045】
紫外光の照射範囲は、使用環境に応じて変えることが考えられる。例えば、昆虫が生息している場所は、森林、田畑、又は草原等の様々な場所であり、場所に応じて紫外光の照射範囲を変えることが考えられる。また、紫外光の照射範囲は、採集の対象となる昆虫の種類に応じて変えることも考えられる。例えば、照射範囲を変えるために使用者が望むリフレクターの機能又は特性として、広角又は挟角等の照射角度、拡散、集光、高反射、又は低反射等がある。この場合に、異なる種類のリフレクターが取り付けられているライトを使用すれば、紫外光の照射範囲を変えることが可能となる。しかし、そのためには、複数種類のライトを使い分ける必要があり、運搬及び管理の負担が大きくなってしまう。
【0046】
この点、本実施形態の灯火ライト100は、光源10を本体20から突出させ且つ保護ガラス30によって覆う全方位出射態様で使用できる。加えて、灯火ライト100は、紫外光を集光及び反射できるリフレクター51を取り付ける態様で使用できる。このように、灯火ライト100は、マルチ用途(複数の使用態様)に対応できる。
【0047】
図8は、全方位出射態様における使用態様の概略説明図である。例えば、全方位出射態様においては、灯火ライト100を地面の近い位置又は離れた位置に設置して、灯火ライト100から全方位に向かって紫外光を出射できる。この場合には、紫外光が全方位に照射されるため、森及び木に囲まれた開けた場所に灯火ライト100を設置する。これにより、灯火ライト100に比較的に近い距離にいる昆虫が灯火ライト100に誘引される。
【0048】
図8の例では、本体20の下面25に設けられた接続穴22(不図示)に三脚70が接続されている。これにより、使用者は、三脚70が載置される地面から所望の距離だけ離れた位置において、灯火ライト100を発光させることができる。灯火ライト100に誘引される昆虫は、灯火ライト100の上方において飛翔する。その後、使用者は、地面に落ちた昆虫を採集するが、この場合に本体20又は三脚70によって地面に影が生じる。そのため、使用者は、影を見ながら光源10から全方位へと出射される光が目に入らないようにして、昆虫を採集できる。
【0049】
なお、使用者は、
図1に示す接続穴22に三脚70を接続してもよい。ただし、灯火ライト100を横向き(すなわち、地面に対して水平)にした状態では、光源10から本体20に向かう方向の紫外光の光量が低下する。そのため、光源10から本体20に向かう方向から誘引される昆虫の数が減少する可能性がある。したがって、この場合には、光源10を上向きにした状態で灯火ライト100を使用することが望ましい。さらに、使用者は、三脚70を使用せずに、地面の上に灯火ライト100を置いて地面の近い位置で使用してもよい。
【0050】
図9は、広角リフレクター51の使用態様の概略説明図である。灯火ライト100には、高反射機能を有する広角リフレクター51が取り付けられている。そして、川向こうの対岸の森又は林に紫外線を照射することにより、灯火ライト100から比較的に遠い距離にいる昆虫が灯火ライト100に誘引される。なお、
図9の例では、
図1に示す接続穴22に三脚70が接続されている。
【0051】
図10は、狭角リフレクター55の使用態様の概略説明図である。灯火ライト100には、集光機能を有する狭角リフレクター55が取り付けられている。そのため、紫外光の照射角度を狭めることにより、一定方向へ紫外光を照射できる。例えば、紫外光の照射角度に合わせて、山又は谷筋に紫外光を照射する。これにより、所望の場所にいる昆虫が灯火ライト100に誘引される。なお、
図10の例では、
図1に示す接続穴22に三脚70が接続されている。
【0052】
図9及び
図10に示す使用態様においては、様々な照射角度に対応している複数のリフレクターの中から、状況に応じて適したものをアダプター40に取り付けることができる。例えば、広角リフレクター51を使用して遠い距離にいる昆虫を誘引した後に、狭角リフレクター55を使用して所望の場所にいる昆虫を誘引することもできる。このように、複数のリフレクターの適したものに交換することによって、使用環境に合せて紫外光の拡散又は集光等の照射態様を簡便に変更できる。これにより、昆虫をより効果的かつ効率的に誘引できる。
【0053】
さらに、ガラスフィルターGFを使用した場合には、特定の波長範囲にピークを有する波長の紫外光を透過させ且つ可視光を遮光すること、特定の波長範囲にピークを有する波長の紫外光を透過させること、又は可視光を遮光することができる。これにより、特定の波長の紫外光に誘引される昆虫をより効果的かつ効率的に採集できる。一例として、このようなガラスフィルターGFは、可視光を遮光し且つ360nm以上から370nm以下の範囲にピーク波長を有する紫外光を透過させる。
【0054】
以上説明した本実施形態に係る灯火ライト100によれば、採集の対象となる昆虫の種類又は使用環境に応じて、光の照射態様を変えることができる。例えば、全方位出射態様においては、灯火ライト100から全方位に向かって紫外光を出射できる。これにより、比較的に近い距離にいる昆虫を灯火ライト100に誘引できる。また、高反射機能を有する広角リフレクター51を使用する態様においては、灯火ライト100から遠い距離の場所に紫外線を照射できる。これにより、比較的に遠い距離にいる昆虫を灯火ライト100に誘引できる。
【0055】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態、並びに各実施形態又は各変形形態に含まれる技術的手段は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0056】
例えば、灯火ライト100は、昼間に用いてもよい。ただし、昼間は日光に含まれる紫外光の影響を受ける。そのため、夜間又は屋内等で灯火ライト100を使用すれば、日光の影響を受けずに昆虫を採集できる。また、採集の対象となる昆虫は、クワガタムシ及びカブトムシ等には限定されない。一例として、蛾又はカミキリムシ等を採集するために、灯火ライト100を用いることもできる。
【0057】
また、アダプター40は、本体20から張り出していなくともよい。すなわち、アダプター40の外寸は、本体20の上面21の外寸よりも小さくともよい。この場合、アダプター40は、本体20の上面21の面内に取り付けられる。例えば、アダプター40は、底面42が固定部材17の下端と上面21との間に挟まれるように取り付けられる。これによって、アダプター40が上面21に取り付けられる。
【0058】
さらに、アダプター40には、リフレクター51以外の物品を取り付けることができてもよい。一例として、アダプター40には、光源10から出射する光を拡散させるディフューザーを取り付けることができてもよい。例えば、誘引されて地面に落下した昆虫を使用者が採集する際に、光源10から出射する強い光が目に入る可能性がある。そのため、アダプター40にディフューザーを取り付けることによって、強い光が目に入ることを抑制できる。これにより、使用者は、光源10から出射する光を利用して、地面に落下した昆虫を採集することが容易となる。
【0059】
また、アダプター40には、地面側(すなわち灯火ライト100の設置面側)に向かって光を反射するようなフードを取り付けることができてもよい。アダプター40に当該フードを取り付けることによって、地面に向かって光を照射することができる。これにより、夜間であっても、使用者は、光源10から出射する光を利用して、地面に落下した昆虫を発見することが容易となる。
【0060】
さらに、アダプター40は、本体20に対して取り外し可能でなくともよい。すなわち、アダプター40は、本体20と一体的に構成されていてもよい。一例として、アダプター40は、本体20に対して溶接されていてもよい。
【0061】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0062】
(付記1)
発光管と、前記発光管の外側を覆う外管とを有するとともに、紫外光を出射する光源と、
前記光源が取り付けられている本体とを備え、
前記外管は、前記紫外光を透過させる、ライト。
【0063】
付記1に記載のライトは、昆虫採集の用途に用いることができる他、紫外線硬化型樹脂を硬化させる用途に用いることができる。特に、365nmにピークを有する波長の紫外光を出射する光源を備えるライトは、紫外線硬化型樹脂を硬化させる用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0064】
10:光源、11:発光管、12:外管、15:発光部、20:本体、40:アダプター、51:リフレクター(広角リフレクター)、55:狭角リフレクター、100:灯火ライト
【要約】
【課題】採集の対象となる昆虫の種類又は使用環境に応じて、光の照射態様を変える。
【解決手段】灯火ライト100は、紫外光を出射する光源10と、光源10が取り付けられている本体20と、本体20に着脱可能に取り付けられるリフレクター51と接続されるアダプター40とを備える。
【選択図】
図1