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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2016203928
(22)【出願日】2016-10-17
(65)【公開番号】P2018065578
(43)【公開日】2018-04-26
【審査請求日】2019-10-01
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】荻原 基
(72)【発明者】
【氏名】石川 慎司
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】八木 誠
【審判官】一ノ瀬 覚
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-178461(JP,A)
【文献】特開2000-185777(JP,A)
【文献】特開2002-137313(JP,A)
【文献】特開2016-179860(JP,A)
【文献】特開2016-117526(JP,A)
【文献】米国特許第4874620(US,A)
【文献】実開昭62-24688(JP,U)
【文献】特開2001-171691(JP,A)
【文献】特開2012-76743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D81/34, 30/16, 33/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するフィルムが袋状に形成された包装袋であって、
前記包装袋は、底面部と、前記底面部から立ち上げるように設けられた周面部を備え、
前記周面部には、内圧上昇に伴って蒸気抜けを形成する蒸気抜き部が設けられ、
前記包装袋を開封するための開封部を備え、
前記開封部において前記周面部を周方向に切り裂いて前記開封部よりも上側の部分を除くことによって得られる容器が、前記包装袋内の内容物を食べる際に使用する食器として利用され、
前記容器の高さが3~10cmであり、
前記周面部は、特定の引裂方向に引き裂きやすい直線引き裂き性を有する引裂性フィルムで形成され、
前記引裂方向は、前記周面部の周方向に向けられており、
前記開封部は、前記引裂性フィルムを引き裂く際の起点となる引裂開始部であり、
前記引裂開始部が、前記蒸気抜き部よりも前記底面部に近い位置に設けられており、
前記周面部は、互いに対向する前面部及び背面部と、前記前面部と背面部を連結する一対の側面部を備え、
前記底面部は、その周縁に沿って、前記前面部、前記背面部、及び前記側面部のそれぞれにヒートシールされており、
前記前面部は、前面下部と前面上部を備え、
前記前面下部は、前記底面部に連結され、
前記前面下部と前記前面上部は、互いに折り返された状態で重ね合わされて形成された合掌部において連結され、
前記蒸気抜き部は、前記合掌部に設けられる、包装袋。
【請求項2】
前記底面部の外面側は、段差がない、請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記底面部の外面側は、平坦面である、請求項1又は請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記側面部は、前記側面部の前後方向の略中央に、高さ方向に延びる側面中央折部を備える、請求項1~請求項3の何れか1つに記載の包装袋。
【請求項5】
前記側面部と前記底面部の共通の角部から前記側面中央折部に向かって斜め方向に延びる側面斜め折部が前記側面部に設けられる、請求項4に記載の包装袋。
【請求項6】
前記底面部は、前記底面部の前後方向の略中央に、幅方向に延びる底面中央折部を備える、請求項1請求項5の何れか1つに記載の包装袋。
【請求項7】
前記側面部と前記底面部の共通の角部から前記底面中央折部に向かって斜め方向に延びる底面斜め折部が前記底面部に設けられる、請求項6に記載の包装袋。
【請求項8】
前記包装袋内において前記底面部上に分離可能に配置される補強部材を備える、請求項1~請求項7の何れか1つに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状物、固形物、あるいはこれらの混合物からなるレトルト食品等の内容物を充填した包装袋を電子レンジ等で加熱した際に、その包装袋の内部に発生する水蒸気等を外部に放出する包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
レトルト食品等の内容物を充填した包装袋を電子レンジ等で加熱すると、その加熱に伴って内容物から発生する水蒸気等により包装袋の内部の圧力が上昇し、包装袋が破裂して内容物が飛散するおそれがある。
【0003】
このようなことから、包装袋内部の圧力上昇を回避するための機構を備えた包装袋がある(特許文献1)。特許文献1の包装袋は、自立安定性を有していることから、店頭での陳列効果に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-306426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、用途によっては、特許文献1の包装袋の自立安定性が十分でない場合があり、包装袋の自立安定性をさらに高めることが望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、包装袋内部の圧力上昇を回避するための機構を備え且つ自立安定性に優れた包装袋を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、可撓性を有するフィルムが袋状に形成された包装袋であって、前記包装袋は、底面部と、前記底面部から立ち上げるように設けられた周面部を備え、前記周面部には、内圧上昇に伴って蒸気抜けを形成する蒸気抜き部が設けられ、前記底面部の外面側は、段差のない平坦面である、包装袋が提供される。
【0008】
特許文献1の包装袋は、底面部の外面側において底部シール部が傾伏しており、傾伏した底部シール部が段差となって包装袋の自立安定性を損ねていた。一方、本発明の包装袋は、底面部の外面側が段差のない平坦面であるので、自立安定性が極めて優れている。また、本発明の包装袋は、内圧上昇に伴って蒸気抜けを形成する蒸気抜き部を有するので、電子レンジ等で加熱した際に内部の圧力が過剰に上昇することを防ぐことができる。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記周面部は、特定の引裂方向に引き裂きやすい直線引き裂き性を有する引裂性フィルムで形成され、前記引裂方向は、前記周面部の周方向に向けられている。
好ましくは、前記引裂性フィルムを引き裂く際の起点となる引裂開始部が、前記蒸気抜き部よりも前記底面部に近い位置に設けられている。
好ましくは、前記周面部は、互いに対向する前面部及び背面部と、前記前面部と背面部を連結する一対の側面部を備える。
好ましくは、前記底面部は、その周縁に沿って、前記前面部、前記背面部、及び前記側面部のそれぞれにヒートシールされている。
好ましくは、前記前面部は、前面下部と前面上部を備え、前記前面下部は、前記底面部に連結され、前記前面下部と前記前面上部は、互いに折り返された状態で重ね合わされて形成された合掌部において連結され、前記蒸気抜き部は、前記合掌部に設けられる。
好ましくは、前記側面部は、前記側面部の前後方向の略中央に、高さ方向に延びる側面中央折部を備える。
好ましくは、前記側面部と前記底面部の共通の角部から前記側面中央折部に向かって斜め方向に延びる側面斜め折部が前記側面部に設けられる。
好ましくは、前記底面部は、前記底面部の前後方向の略中央に、幅方向に延びる底面中央折部を備える。
好ましくは、前記側面部と前記底面部の共通の角部から前記底面中央折部に向かって斜め方向に延びる底面斜め折部が前記底面部に設けられる。
好ましくは、前記包装袋内において前記底面部上に分離可能に配置される補強部材を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態の包装袋1の斜視図である。
図2図1の包装袋1の一部を切り欠いた斜視図である。
図3図1の包装袋1の底面図である。
図4図1中のA-A断面図である。
図5図1の包装袋1の上部をヒートシールした状態の斜視図である。
図6図1の包装袋1を引裂開始部4で引き裂いた後に形成される容器8の斜視図である。
図7図1の包装袋1の製造途中の状態を示す斜視図である。
図8】(a)~(d)は、補強部材12の構成例を示す平面図である。
図9】本発明の第2実施形態の包装袋1の斜視図である。
図10】本発明の第3実施形態の包装袋1の斜視図である。
図11】本発明の第2~第3実施形態の包装袋1を引裂開始部4で引き裂いた後に形成される容器8の斜視図である。
図12】容器8にご飯やおかずが収容されたお弁当を示す斜視図である。
図13】板状形状の補強部材12の斜視図である。
図14図13の補強部材12によって底面部1bが強化された容器8の斜視図である。
図15】仕切部12wを有する補強部材12の斜視図である。
図16図13の補強部材12によって仕切部12wが形成された容器8の斜視図である。
図17】トレイ状の補強部材12の斜視図である。
図18】容器8の空間がトレイの凹凸形状によって仕切られた構成の容器8の斜視図である。
図19】本発明の第4実施形態の包装袋1の斜視図である。
図20】本発明の第5実施形態の包装袋1の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0012】
1.第1実施形態
図1図7に示すように、本発明の第1実施形態の包装袋1は、可撓性を有するフィルムが袋状に形成されたものである。包装袋1は、底面部1bと、底面部1bから立ち上げるように設けられた周面部1cを備える。底面部1bは、1枚のフィルムの周縁が周面部1cにヒートシールされることによって構成されており、底面部1bの外面側は、段差のない平坦面になっている。このため、底面部1bが下になるようにして、机の上などに包装袋1を載置したときに包装袋1が安定して載置されるので、包装袋1の自立安定性が極めて優れている。
【0013】
包装袋1を構成するフィルムとしては、ヒートシールした際にフィルム同士がヒートシールするフィルムであれば、あらゆるフィルムが適用可能であり、例えば、通常の包装袋に用いられるヒートシール性を有するプラスチックフィルムが適用可能である。プラスチックフィルムを構成する材料としては、例えば、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂からなる単層のフィルム、シート類や、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を他の熱可塑性樹脂等と積層した多層フィルム等が挙げられる。
【0014】
ヒートシール性の良好な材料としては、例えば、公知の低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、プロピレン-エチレン共重合体、その他エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、比較的低融点乃至低軟化点のポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
【0015】
また、積層する他のプラスチック材料としては、各種バリアフイルムを使用することができる。なお、これらの熱可塑性樹脂との積層フィルムを用いる場合は、融点の低い樹脂などヒートシール性の良好な熱可塑性樹脂層同士が内面となるようにヒートシールすることが好ましい。
【0016】
周面部1cは、互いに対向する前面部1f及び背面部1rと、前面部1fと背面部1rを連結する一対の側面部1sを備える。
【0017】
側面部1sは、側面部1sの前後方向の略中央に、高さ方向に延びる側面中央折部1saを備えており、側面部1sは、側面中央折部1saにおいて折り曲げ可能になっている。側面部1sのうち、側面中央折部1saよりも前面側が側面前部1sfであり、側面中央折部1saよりも背面側が側面背部1srである。また、側面部1sと底面部1bの共通の角部1pから側面中央折部1saに向かって斜め方向に延びる側面斜め折部1sbが側面部1sに設けられている。側面斜め折部1sbは、側面中央折部1saに対する角度が135度の方向に延びている。
【0018】
底面部1bは、底面部1bの前後方向の略中央に、幅方向に延びる底面中央折部1baを備えており、底面部1bは、底面中央折部1baにおいて折り曲げ可能になっている。底面部1bのうち、底面中央折部1baよりも前面側が底面前部1bfであり、底面中央折部1baよりも背面側が底面背部1brである。また、角部1pから底面中央折部1baに向かって斜め方向に延びる底面斜め折部1bbが底面部1bに設けられている。底面斜め折部1bbは、底面中央折部1baに対する角度が135度の方向に延びている。
【0019】
底面部1bは、その周縁に沿って、帯状のヒートシール部5bにおいて、前面部1f、背面部1r、及び側面部1sのそれぞれにヒートシールされている。前面部1fは、その側縁に沿って、帯状のヒートシール部5fsにおいて、側面部1sにヒートシールされている。背面部1rは、その側縁に沿って、帯状のヒートシール部5rsにおいて、側面部1sにヒートシールされている。包装袋1の上部は、内容物を充填する前は開放されており、内容物の充填後に、前面部1fと側面前部1sf、背面部1rと側面背部1sr、前面部1fと背面部1rは、それぞれ、上縁に沿って、帯状のヒートシール部5fst、5rst、5frにおいてヒートシールされる。
【0020】
図1及び図4に示すように、前面部1fは、前面下部1fdと前面上部1fuを備える。前面下部1fdは、底面部1bにヒートシールによって連結されている。前面下部1fdと前面上部1fuは、図4に示すように、互いに折り返された状態で重ね合わされて形成された合掌部2において連結されている。合掌部2においては、ヒートシール部6a,6bにおいて前面下部1fdと前面上部1fuがヒートシールされている。ヒートシール部6bは、他のヒートシール部よりも剥離強度が低くなっている。ヒートシール部6bは、包装袋1の幅方向の略中央において包装袋1の内部方向に向かって湾曲し且つ幅が狭くなった開始点7を有している。包装袋1に内容物を充填し、前面部1fと背面部1rをヒートシール部5frにおいてヒートシールした状態で包装袋1を電子レンジなどで加熱すると、加熱によって発生した水蒸気によって、包装袋1の内圧が上昇する。包装袋1の内圧が上昇すると、包装袋1を構成するフィルムが互いに剥離されようとする力が加わる。ヒートシール部6bの剥離強度が他のヒートシール部よりも低く、ヒートシール部6bに加わる剥離力が開始点7に集中しやすい構成になっているので、開始点7においてヒートシール部6bの剥離が開始され、ヒートシール部6bの剥離によって包装袋1の内外が連通されると、包装袋1の内部の水蒸気が放出される。このため、ヒートシール部6bのうち開始点7の近傍部位が、蒸気抜けを形成する蒸気抜き部3となる。
【0021】
周面部1cは、特定の引裂方向に引き裂きやすい直線引き裂き性を有する引裂性フィルムで形成し、前記引裂方向は、周面部1cの周方向に向けられていることが好ましい。このような構成によって周方向に渡って周面部1cを上下方向に分割することが容易になる。引裂性フィルムとしては、一軸延伸フィルムや縦横の延伸倍率を変えた延伸フィルムが利用可能である。
【0022】
引裂性フィルムを引き裂く際の起点となる引裂開始部4は、蒸気抜き部3よりも底面部1bに近い位置に設けられている。引裂開始部4を起点として周面部1cを周方向に切り裂いて引裂開始部4よりも上側の部分を除くと、図6に示すように、引裂開始部4よりも下側の部分によって構成される弁当箱のような形状の容器8となる。容器8に蒸気抜き部3があると、容器8に液体の内容物を収容した場合に蒸気抜き部3を通じて内容物が漏れ出してしまう虞があるが、本実施形態では、引裂開始部4が蒸気抜き部3よりも底面部1bに近い位置に設けられているので、容器8には蒸気抜き部3が存在せず、蒸気抜き部3を通じて内容物が漏れ出してしまう虞がない。また、容器8は、レトルト食品などの内容物を食べる際に使用する食器として利用することが想定されているが、引裂開始部4が包装袋1の高い位置に設けられていると、容器8の高さが高くなってしまって、内容物を食べにくい。このため、引裂開始部4は、容器8の高さが3~10cm、好ましくは、3~8cmになる位置に設けることが好ましい。
【0023】
また、本実施形態では、蒸気抜き部3が合掌部2に設けられており、引裂開始部4は、合掌部2に隣接した位置に設けられている。このため、合掌部2を把持して包装袋1を引き裂くことが容易である。
【0024】
本実施形態の包装袋1は、前面部1f、背面部1r,側面部1s,底面部1bを互いにヒートシールすることによって製造可能である。以下、具体的な製造方法の一例を図7を用いて説明する。
(1)前面下部1fdと前面上部1fuを互いにヒートシールすることで前面部1fを作成する。
(2)間隔を空けて前面部1fと背面部1rを重ねて配置する。
(3)側面部1sと底面部1bをヒートシール部5bにおいてヒートシールし、側面部1sの側面中央折部1saが谷になるように側面部1sを2つ折りにし、底面部1bの底面中央折部1baが谷になるように底面部1bを2つ折りにする。この際、底面斜め折部1bbが谷になるように底面部1bを折り曲げてヒートシール部5bが底面前部1bfと底面背部1brの間に挟まれる状態にする。これによって挿入部材11が形成される。
(4)前面部1fと背面部1rの間に挿入部材11を挿入し、前面部1f及び背面部1rを側面部1s及び底面部1bにヒートシールすることによって包装袋1が完成する。
【0025】
包装袋1に内容物を収容する際には、底面部1bが平坦になるように開いて、図1に示す状態にする。この際、側面斜め折部1sbが谷になるように折れ曲がる。内容物は、底面部1bにそのまま配置してもよく、底面部1b上に補強部材12(図8に図示)を配置し、内容物をその上に配置してもよい。底面部1b上に補強部材12を配置することによって、包装袋1の底面部1bの安定性が向上する。補強部材12は、分離可能なものであることが好ましく、この場合、内容物を食べ終わった後に、補強部材12を取り外すことによって、容器8を小さく折り畳むことが可能になる。
【0026】
補強部材12としては、図8(a)~(d)に示す形状のものやトレイ状のものが挙げられる。図8(a)に示す補強部材12は、底面部1bに配置される本体部12bのみで構成される板状形状である。図8(b)に示す補強部材12は、本体部12bと側壁部12sを備える。側壁部12sを点線で谷折りした状態で補強部材12を包装袋1内に挿入することによって、包装袋1の周面部1cを補強することができる。図8(c)に示す補強部材12は、仕切部12wを備えており、中央の点線で山折り、残りの2つの点線で谷折りした状態で補強部材12を包装袋1内に挿入することによって、包装袋1内に仕切りを設けることが可能になる。図8(d)に示す補強部材12は、側壁部12sと仕切部12wの両方を備えている。
【0027】
本実施形態は、以下の態様での実施可能である。
・上記実施形態では、蒸気抜き部3は、合掌部2に設けたが、蒸気抜き部3の構成や位置は特に限定されず、例えば特許文献1のように前面部1fと背面部1rをヒートシールして蒸気抜き部3を形成してもよい。また、蒸気抜き部3が合掌部2以外に設けられる場合、合掌部2は不要である。
・上記実施形態では、底面部1bは、矩形状であるが、底面部1bは、三角形などの別の形状であってもよい。
【0028】
2.第2~第3実施形態
図9図10は、それぞれ、本発明の第2及び第3実施形態の包装袋1を示す斜視図である。本発明の第2~第3実施形態の基本構成は、第1実施形態と同様であるが、第2~第3実施形態では、境界線13よりも下側の部位が略直方体状になっている点が第1実施形態と相違している。第2実施形態では、合掌部2が境界線13よりも下側に設けられており、第3実施形態では、合掌部2が境界線13よりも上側に設けられている。どちらの実施形態でも引裂開始部4は、合掌部2よりも下側に設けられており、引裂開始部4を起点として周面部1cを周方向に切り裂いて引裂開始部4よりも上側の部分を除くと、図11に示すように、引裂開始部4よりも下側の部分によって構成される弁当箱のような形状の略直方体の容器8となる。一例では、包装袋1にはご飯やおかずが収容されており、その場合、包装袋1の引裂開始部4よりも上側の部分を除くことによって、図12に示すように、容器8にご飯やおかずが収容されたお弁当となる。
【0029】
また、包装袋1内に補強部材12を配置することが可能である。図13に示すような本体部12bのみで構成される板状形状の補強部材12を包装袋1の底面部1bに配置すると、図14に示すように底面部1bが強化された容器8が得られる。図15に示すような仕切部12wを有する補強部材12を包装袋1の底面部1bに配置すると、図16に示すように仕切部12wを有する容器8が得られる。図17に示すようなトレイ状の補強部材12を包装袋1内に配置すると、図18に示すように容器8の空間がトレイの凹凸形状によって仕切られた構成の容器8が得られる。
【0030】
3.第4実施形態
図19を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に類似しており、開封箇所全周に加工線15が設けられている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0031】
加工線15は、例えばフィルムの表面に傷をつけることによって形成することができるものである。加工線15ではフィルムの引裂強度が低減されているので、加工線15に沿ってフィルムを引き裂くことが容易になっている。このため、包装袋1の底面と平行に加工線15を設けることによって、底面と平行に周面部1cを全周カットすることが可能となる。加工線15は、連続線であってもよく破線であってもよい。
【0032】
加工線15の形成方法としては、フィルム作製時にあらかじめ、加工(打ち抜き加工やレーザー加工)する方法、製袋時に加工する方法、製袋後に加工する方法などが挙げられる。加工線15は、例えばフィルムに非貫通の切り込みを形成する(つまりハーフカットする)ことによって形成することができる。加工線15は、フィルム自体の性質(バリア性、水蒸気透過、酸素透過度、等)に実質的な影響を与えないように形成することが好ましい。また、加工線15では引裂強度が低減されているので、包装袋1の内圧上昇に伴って加工線15において優先して破袋することで、加工線15が蒸気抜き部として機能する。このため、加工線15を設ける場合、蒸気抜き部を別途設ける必要がないので、蒸気抜き部3を有する合掌部2は省略可能である。
【0033】
4.第5実施形態
図20を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に類似しており、開封箇所全周に開封テープ16が設けられている点が主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0034】
開封テープ16は、開封テープ16に沿ったフィルムの引き裂きを容易にするためのテープである。包装袋1の底面と平行に開封テープ16を設けることによって、底面と平行に周面部1cを全周カットすることが可能となる。
【0035】
開封テープ16は、フィルム作製時にあらかじめ貼り付けても良いし、製袋中に貼り付ける工程を設けても良いし、製袋後に設けてもよい。
【0036】
開封テープ16は、周面部1cの全周に設けることが好ましいが、周面部1cの一部にのみ設けてもよい。この場合、開封テープ16を設けていない部分では、直線引き裂き性を有するフィルムを用いるか又はフィルムに加工線15を形成することが好ましい。この場合、開封テープ16を設けていない部分においても底面と平行に周面部1cをカットすることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 :包装袋
1b :底面部
1ba :底面中央折部
1bb :底面斜め折部
1bf :底面前部
1br :底面背部
1c :周面部
1f :前面部
1fd :前面下部
1fu :前面上部
1p :角部
1r :背面部
1s :側面部
1sa :側面中央折部
1sb :側面斜め折部
1sf :側面前部
1sr :側面背部
2 :合掌部
3 :蒸気抜き部
4 :引裂開始部
5b :ヒートシール部
5fr :ヒートシール部
5fs :ヒートシール部
5rs :ヒートシール部
6a :ヒートシール部
6b :ヒートシール部
7 :開始点
8 :容器
11 :挿入部材
12 :境界線
12b :本体部
12s :側壁部
12w :仕切部
13 :境界線
15 :加工線
16 :開封テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20