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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】避雷器
(51)【国際特許分類】
   H01C 7/12 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
H01C7/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018164233
(22)【出願日】2018-09-03
(65)【公開番号】P2020038861
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000122690
【氏名又は名称】岡谷電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096002
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 弘之
(74)【代理人】
【識別番号】100091650
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 規之
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-150657(JP,A)
【文献】特開2004-335868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板にバリスタ及び上記バリスタの故障時の発熱で動作する温度ヒューズを搭載して成る本体部と、上記本体部のバリスタ及び温度ヒューズを覆う透明な蓋部材と、上記本体部及び蓋部材を収納する外装ケースと、上記外装ケース内に充填される封止樹脂を備えた避雷器であって、
上記バリスタ及び/又は温度ヒューズの表面に、上記バリスタの故障時の発熱で色が変化する不可逆性の示温材を設け、また、
上記蓋部材に、上記封止樹脂から外部に露出する外部露出部を設け、さらに、
蓋部材の上記外部露出部から、上記示温材を視認できるように構成したことを特徴とする避雷器。
【請求項2】
上記温度ヒューズが角温度ヒューズであり、該角型温度ヒューズの表面に上記示温材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の避雷器。
【請求項3】
上記外部露出部が、蓋部材から突出する突起部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の避雷器。
【請求項4】
交流電源の電源ラインに接続される複数の電源端子と接地端子との間に配置される複数のバリスタと、上記バリスタの故障時の発熱で動作してバリスタへの給電を遮断する比較的高温動作型の温度ヒューズと、上記交流電源の電源ラインに接続されない一対の接点間に配置され、上記バリスタの故障時の発熱で動作する比較的低温動作型の温度ヒューズが、上記絶縁基板に搭載されていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の避雷器。
【請求項5】
上記比較的高温動作型の温度ヒューズの動作温度が147℃、比較的低温動作型の温度ヒューズの動作温度が115℃であることを特徴とする請求項4に記載の避雷器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、誘導雷等のサージを吸収するバリスタと、上記バリスタの故障時の発熱で動作する温度ヒューズと、上記バリスタ及び温度ヒューズを収納する外装ケースと、上記外装ケース内に充填される封止樹脂を備えた避雷器に係り、特に、電気的手段を用いることのない簡易な構成で、外部から避雷器の故障状態を検知することができる避雷器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電源線等を伝って電子機器内部に侵入する誘導雷等のサージを吸収して電子機器を保護する避雷器が用いられている。
斯かる避雷器には、サージを吸収する電子部品として、電圧非直線特性を備えた高抵抗体素子であるバリスタが用いられている。
【0003】
ところで、この避雷器に関する国際規格であるIEC規格(IEC61643-11)では、故障時において、電源回路からのバリスタの分離と共に、「故障状態を表示する機構」を備えることが要求されている。
【0004】
そこで、本出願人は、先に特開2018-10906号に係る避雷器を提案した(特許文献1)。
上記特許文献1の避雷器は、「第1~第3のバリスタと、第1及び第2のヒューズ部材と、上記第バリスタ及びヒューズ部材を収納する外装ケースを備え、交流電源のライブラインとニュートラルライン間に第1のヒューズ部材、第1のバリスタ、第2のバリスタ及び第2のヒューズ部材が順次配置され、また、交流電源のライブラインとグランドライン間に、第1のヒューズ部材、第1のバリスタ、第3のバリスタが順次配置され、さらに、交流電源のニュートラルラインとグランドライン間に、第2のヒューズ部材、第2のバリスタ、第3のバリスタが順次配置される避雷器であって、上記外装ケースの外表面に、上記第2のバリスタ及び第3のバリスタの故障時の発熱で色が変化する不可逆性の示温材を設けたことを特徴とする避雷器」である。
【0005】
上記特許文献1の避雷器にあっては、外装ケースの外表面に、第2のバリスタ及び第3のバリスタの故障時の発熱で色が変化する不可逆性の示温材を設けたので、示温材の色を視認することにより、電気的手段を用いることのない簡易な構成で避雷器の故障状態を検知することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-10906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記避雷器は、屋外環境や粉塵の多い工場環境等で使用される場合が有ることから、IEC(国際電気標準会議)が定める防水・防塵の保護規格である「IP66」(粉塵が内部に侵入せず、且つ、いかなる方向からの水の強い直接噴流によっても有害な影響を受けない)に適合していることが望まれており、そのためには、外装ケース内に樹脂を充填してバリスタやヒューズ部材等の電子部品を封止する必要がある。
【0008】
しかしながら、外装ケース内に樹脂を充填してバリスタを封止すると、故障時のバリスタの発熱が封止樹脂に拡散してしまうことから、熱が外装ケース外表面の示温材に十分に伝わらず、その結果、バリスタが故障しているにも関わらず示温材の色変化が生じず、故障を検知できない事態を生じる虞があった。
【0009】
この発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電気的手段を用いることのない簡易な構成で、外装ケースに封止樹脂を充填して成る避雷器の外部から故障状態を検知することができる避雷器を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る請求項1に記載の避雷器は、
絶縁基板にバリスタ及び上記バリスタの故障時の発熱で動作する温度ヒューズを搭載して成る本体部と、上記本体部のバリスタ及び温度ヒューズを覆う透明な蓋部材と、上記本体部及び蓋部材を収納する外装ケースと、上記外装ケース内に充填される封止樹脂を備えた避雷器であって、
上記バリスタ及び/又は温度ヒューズの表面に、上記バリスタの故障時の発熱で色が変化する不可逆性の示温材を設け、また、
上記蓋部材に、上記封止樹脂から外部に露出する外部露出部を設け、さらに、
蓋部材の上記外部露出部から、上記示温材を視認できるように構成したことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る請求項2に記載の避雷器は、請求項1に記載の避雷器において、
上記温度ヒューズが角温度ヒューズであり、該角型温度ヒューズの表面に上記示温材を設けたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る請求項3に記載の避雷器は、請求項1又は2に記載の避雷器において、
上記外部露出部が、蓋部材から突出する突起部であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る請求項4に記載の避雷器は、請求項1~3の何れかに記載の避雷器において、
交流電源の電源ラインに接続される複数の電源端子と接地端子との間に配置される複数のバリスタと、上記バリスタの故障時の発熱で動作してバリスタへの給電を遮断する比較的高温動作型の温度ヒューズと、上記交流電源の電源ラインに接続されない一対の接点間に配置され、上記バリスタの故障時の発熱で動作する比較的低温動作型の温度ヒューズが、上記絶縁基板に搭載されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る請求項5に記載の避雷器は、請求項4に記載の避雷器において、
上記比較的高温動作型の温度ヒューズの動作温度が147℃、比較的低温動作型の温度ヒューズの動作温度が115℃であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の避雷器にあっては、バリスタ及び/又は温度ヒューズの表面に、バリスタの故障時の発熱で色が変化する不可逆性の示温材を設けると共に、絶縁基板に搭載したバリスタ及び温度ヒューズを透明な蓋部材で覆い、さらに、封止樹脂から外部に露出する外部露出部を設け、上記外部露出部から示温材を視認できるように構成したので、封止樹脂に拡散させることなくバリスタの故障時の発熱を示温材に伝えることができると共に、示温材の色変化を透明な蓋部材の外部露出部を通して視認することにより、電気的手段を用いることなく、簡易な構成で避雷器の外部から故障状態を検知することができる。
【0016】
請求項2に記載したように、温度ヒューズとして角型温度ヒューズを用い、該角型温度ヒューズの表面に示温材を設けるのが、示温材料の塗布容易性、示温材の形成面積増大の観点から好ましい。
【0017】
本発明に係る請求項4に記載の避雷器にあっては、非電気的手段の示温材に加え、バリスタの故障信号を外部へ送出する一対の接点間に温度ヒューズを接続し、上記接点間への電源供給を、交流電源から行わないようにしたので、例えば、DC電源等の外部電源から接点間へ電源供給したり、通常時クローズ-異常時オープンと成された接点の絶縁抵抗をテスター等で測定することにより、避雷器の故障状態を簡易な構成の「電気的手段」でも検知することができる。
【0018】
また、一対の接点間に、バリスタの故障時の発熱で動作する比較的低温動作型の温度ヒューズを配置したので、バリスタが故障して高温状態となる場合、接点間に配置した比較的低温動作型の温度ヒューズが、比較的高温動作型の温度ヒューズより先に溶断分離するため、故障信号を早期確実に出力することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に基づいて、本発明に係る避雷器を説明する。
図1は、本発明に係る避雷器10を示す斜視図、図2は同平面図、図3は本発明に係る避雷器10の本体部12を示す斜視図、図4は同平面図、図5は本発明に係る避雷器10の回路構成図である。
【0020】
本発明の避雷器10は、樹脂等の絶縁材料より成る箱状の外装ケース14(図1及び図2)と、図3及び図4に示すように、樹脂等より成る絶縁基板16と、上記絶縁基板16に搭載された4個の略円板状のバリスタ(第1のバリスタ18、第2のバリスタ20、第3のバリスタ22、第4のバリスタ24)と、3個の略円柱状と成された丸型温度ヒューズ(第1の丸型温度ヒューズ26、第2の丸型温度ヒューズ28、第3の丸型温度ヒューズ30)と、2個の略角柱状と成された角型温度ヒューズ(第1の角型温度ヒューズ32、第2の角型温度ヒューズ34)と、1個のガスアレスタ36を有し、上記外装ケース14内に収納される本体部12と、上記外装ケース14内に充填され、外装ケース14の開口部を封止するエポキシ等の絶縁性樹脂より成る封止樹脂38を備えている。
【0021】
図1図4において、40,42,44は交流電源の電源ライン1~3(図5参照)とそれぞれ接続される第1の電源端子~第3の電源端子、46はグランド(G)に接続される接地端子、48は接点R1,R2(図5参照)に接続される接点信号線である。
【0022】
図5の回路構成図に示す通り、第1の電源端子40-第2の電源端子42間に、第1の丸型温度ヒューズ26、第1のバリスタ18、第2のバリスタ20、第2の丸型温度ヒューズ28が順次配置されている。
第1の電源端子40-第3の電源端子44間に、第1の丸型温度ヒューズ26、第1のバリスタ18、第3のバリスタ22、第3の丸型温度ヒューズ30が順次配置されている。
第2の電源端子42-第3の電源端子44間に、第2の丸型温度ヒューズ28、第2のバリスタ20、第3のバリスタ22、第3の丸型温度ヒューズ30が順次配置されている。
第1の電源端子40-接地端子46間に、第1の丸型温度ヒューズ26、第1のバリスタ18、第4のバリスタ24、ガスアレスタ36が順次配置されている。
第2の電源端子42-接地端子46間に、第2の丸型温度ヒューズ28、第2のバリスタ20、第4のバリスタ24、ガスアレスタ36が順次配置されている。
第3の電源端子44-接地端子46間に、第3の丸型温度ヒューズ30、第3のバリスタ22、第4のバリスタ24、ガスアレスタ36が順次配置されている。
【0023】
また、接点信号線48を介して接続された接点R1-接点R2間に、第1の角型温度ヒューズ32、第2の角型温度ヒューズ34が接続されている。
上記接点R1-接点R2は電源ライン1,2,3に接続されておらず、従って、接点R1-接点R2間への電源供給は交流電源から行われるものではなく、接点R1-接点R2は例えば外部電源に接続され、DC24V等の外部電源から電源供給される。
【0024】
上記第1のバリスタ18~第4のバリスタ24は、印加される電圧が上昇するに従って、抵抗が急激に減少する電圧非直線抵抗特性を有する電子部品であり、定格を越えるサージが印加されると、抵抗が急激に減少することにより瞬時(約10-9秒程度)に導通してサージの吸収を行うのである。
【0025】
一方、バリスタ(第1のバリスタ18~第4のバリスタ24)は電流耐量が小さいという欠点があるため、バリスタに定格を越える異常な過電圧が印加され、継続的な過電流が流れる等して故障に至る際には、発熱して異常な高温状態(例えば1000℃以上)となり、発火・焼損する危険性がある。
上記第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30は、バリスタの発熱で周囲の温度が上昇し、所定温度に達した時に溶断分離してバリスタへの給電を遮断する過熱保護部品である。
【0026】
尚、本実施形態においては、一対の接点R1-接点R2間に接続された第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34の動作温度が、第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30の動作温度より低く設定された比較的低温動作型の温度ヒューズと成され、第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30が比較的高温動作型の温度ヒューズと成されている。
具体的には、比較的低温動作型の第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34が溶断分離する動作温度は115℃、比較的高温動作型の第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30が溶断分離する動作温度は147℃と成されている。
【0027】
上記ガスアレスタ36は、気密外囲器内に、放電間隙を設けて配置した複数の放電電極及び放電ガスを封入して成る電子部品であり、放電電極間に定格を越えるサージが印加されると、放電間隙において放電が生成されサージの吸収が行われるのである。
【0028】
図3及び図4に示すように、第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34の表面である上面に、設定温度に達すると色が変化する不可逆性の示温材50を設けている。
示温材50は、設定温度に達すると熱分解等の化学反応を起こして変色する示温顔料等を用いた温度検知材であり、本発明においては、所定温度に達して一旦色が変化すると、温度下降しても元の色に戻らず変化色が維持される「不可逆性」の示温材50を用いている。
本実施例においては、上記示温材50を塗料より成る示温材料を塗布して形成しているが、これに限らず、ラベル状の示温材50を、第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34の上面に貼着しても良い。
【0029】
本実施例の上記示温材50の変化温度は90℃と成されており、通常時は「白色」であるが、変化温度の90℃に達すると「赤色」に変色するものである。
【0030】
図3及び図4に示すように、第1の角型温度ヒューズ32は、第1のバリスタ18及び第2のバリスタ20と接触配置されているので、第1のバリスタ18及び第2のバリスタ20の故障時の発熱によって、第1の角型温度ヒューズ32が変化温度(90℃)に達すると示温材50が白色から赤色に変化し、動作温度(115℃)に達すると第1の角型温度ヒューズ32が溶断分離する。
第2の角型温度ヒューズ34は、第3のバリスタ22及び第4のバリスタ24と接触配置されているので、第3のバリスタ22及び第4のバリスタ24の故障時の発熱によって、第2の角型温度ヒューズ34が変化温度(90℃)に達すると示温材50が白色から赤色に変化し、動作温度(115℃)に達すると第2の角型温度ヒューズ34が溶断分離する。
【0031】
また、第1の丸型温度ヒューズ26は第1のバリスタ18と接触配置されているので、第1のバリスタ18の故障時の発熱によって、動作温度(147℃)に達すると溶断分離して給電を遮断する。
第2の丸型温度ヒューズ28は第2のバリスタ20と接触配置されているので、第2のバリスタ20の故障時の発熱によって、動作温度(147℃)に達すると溶断分離して給電を遮断する。
第3の丸型温度ヒューズ30は第3のバリスタ22と接触配置されているので、第3のバリスタ22の故障時の発熱によって、動作温度(147℃)に達すると溶断分離して給電を遮断する。
【0032】
図6において、52はポリカーボネート樹脂等の絶縁材料より成る透明な蓋部材であり、該蓋部材52は、底面が開口した略直方体形状と成されており、その上面52aから上方に向かって突出する2個の突起部54を有している。
上記蓋部材52は、絶縁基板16に被せて使用されるものであり、絶縁基板16上に配置された4個のバリスタ(第1のバリスタ18~第4のバリスタ24)、3個の丸型温度ヒューズ(第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30)、2個の角型温度ヒューズ(第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34)を覆う部材である(図7及び図8参照)。
【0033】
上記蓋部材52は透明であることから、バリスタ、丸型温度ヒューズ、角型温度ヒューズを覆った場合、内部のバリスタ、丸型温度ヒューズ、角型温度ヒューズを外部から視認することができる。
上記蓋部材52の突起部54は、蓋部材52を絶縁基板16に被せた場合において、第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34の上面に設けた示温材50と対向する位置に形成されているものであり、この結果、図8に示すように、突起部54を通して示温材50が外部から視認できるようになっている。
【0034】
図9及び図10に示すように、バリスタ、丸型温度ヒューズ、角型温度ヒューズに蓋部材52を被せた状態の本体部12を外装ケース14内に収納する。この状態において、電源端子40,42,44、接地端子46、接点信号線48,48の一端は外装ケース14外に導出されている。
その後、外装ケース14内に封止樹脂38を充填することにより図1に示す避雷器10が完成するのである。
尚、図1に示すように、蓋部材52の突起部54は封止樹脂38の外部に露出し、外部露出部を構成するものである。
【0035】
本発明の上記避雷器10においては、バリスタ電圧(2個分)>電源電圧>バリスタ電圧(1個分)であることから、電源ライン1-2、1-3、2-3の何れかの経路にサージが印加され、第1のバリスタ18、第2のバリスタ20、第3のバリスタ22の何れかのバリスタが故障して高温状態になると、電源電圧で動作してしまうことにより他のバリスタも発熱する。
【0036】
バリスタの発熱により、第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34が90℃に達すると、第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34の上面に形成した白色の示温材50が赤色に変化する。
上記の通り、透明な蓋部材52の突起部54は封止樹脂38の外部に露出しているので、変化前の白色状態の示温材50(図11参照)、変化後の赤色状態の示温材50(図12参照)を避雷器10の外部から視認することができる。
【0037】
また、バリスタの発熱により、一対の接点R1-接点R2間に接続された比較的低温動作型の第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34が115℃に達すると、第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34が溶断分離する。
【0038】
その後、バリスタの発熱により、比較的高温動作型の第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30が147℃に達すると、第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30が溶断分離して給電を遮断する。
【0039】
同様に、電源ライン1,2,3-G間にサージが印加され第1のバリスタ18、第2のバリスタ20、第3のバリスタ22の何れかのバリスタが故障して高温状態になると、他のバリスタも発熱する。
その結果、バリスタの発熱により、第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34が90℃に達すると、第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34の上面に形成した白色の示温材50が赤色に変化する。
また、バリスタの発熱により、一対の接点R1-接点R2間に接続された比較的低温動作型の第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34が115℃に達すると、第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34が溶断分離する。
さらに、バリスタの発熱により、比較的高温動作型の第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30が147℃に達すると、第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30が溶断分離して給電を遮断する。
【0040】
本発明の避雷器10にあっては、角型温度ヒューズ(第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34)の上面に示温材50を設けると共に、絶縁基板に搭載したバリスタ(第1のバリスタ18~第4のバリスタ24)及び温度ヒューズ(第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34、第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30)を透明な蓋部材52で覆い、さらに、封止樹脂38から露出する上記蓋部材52の突起部54を通して示温材50が外部から視認できるように構成したので、封止樹脂38に拡散させることなくバリスタの故障時の発熱を示温材50に伝えることができると共に、示温材50の色変化を透明な蓋部材52の突起部54を通して視認することにより、電気的手段を用いることなく、外装ケース14の外部から避雷器10の故障状態を検知することができる。
【0041】
また、本発明の避雷器10にあっては、非電気的手段の上記示温材50に加え、バリスタの故障信号を外部へ送出する接点R1-接点R2間に第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34を接続し、上記接点R1-接点R2間への電源供給を、交流電源以外の外部電源から供給するようにしたので、DC電源を用いる等、簡易な構成で避雷器の故障状態を電気的手段でも検知することができる。
【0042】
尚、上記一対の接点R1-R2間への外部電源からの電源供給以外に、例えば、通常時クローズ-異常時オープンと成された接点R1-R2の絶縁抵抗をテスター等で測定することによっても、簡易な構成で避雷器10の故障状態を電気的手段により検知することができる。
【0043】
また、接点R1-接点R2間に接続される第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34は、その動作温度が、第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30の動作温度より低い比較的低温動作型の温度ヒューズであることから、バリスタ(第1のバリスタ18~第4のバリスタ24)が故障して高温状態となる場合、接点R1-接点R2間の比較的低温動作型の第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34が、他の比較的高温動作型の温度ヒューズ(第1の丸型温度ヒューズ26~第3の丸型温度ヒューズ30)より先に溶断分離するため、故障信号を早期確実に出力することができる。
【0044】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものはなく、その要旨を変更しない範囲で種々の形態に変更することができる。
例えば、上記実施形態では、示温材料の塗布容易性、示温材50の形成面積増大の観点から、角型温度ヒューズを用い、該角型温度ヒューズの上面に示温材50を設けているが、丸型温度ヒューズの表面上端に示温材50を設けても良い。
また、上記実施形態では、示温材50を角型温度ヒューズの「上面」に設けているが、これに限定されるものではなく、示温材50を角型温度ヒューズの「表面」に設け、係る表面に設けた示温材50が、透明な蓋部材52の突起部54を通して外部から視認できるものであれば良い。
さらに、上記実施形態では、温度ヒューズ(第1の角型温度ヒューズ32及び第2の角型温度ヒューズ34)に示温材50を設けているが、バリスタ表面に示温材50を設けたり、温度ヒューズ及びバリスタの双方に示温材50を設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明に係る避雷器を示す斜視図である。
図2】本発明に係る避雷器を示す平面図である。
図3】本発明に係る避雷器の本体部を示す斜視図である。
図4】本発明に係る避雷器の本体部を示す平面図である。
図5】本発明に係る避雷器の回路構成図である。
図6】本発明に係る避雷器の製造過程を示す斜視説明図である。
図7】バリスタ及び温度ヒューズに蓋部材を被せた状態を示す斜視図である。
図8】バリスタ及び温度ヒューズに蓋部材を被せた状態を示す平面図である。
図9】本発明に係る避雷器の製造過程を示す斜視説明図である。
図10】本発明に係る避雷器の製造過程を示す斜視説明図である。
図11】温度ヒューズに塗布した示温材を外装ケースの外部から視認した状態を示す説明図である。
図12】温度ヒューズに塗布した示温材を外装ケースの外部から視認した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
10 避雷器
12 本体部
14 外装ケース
16 絶縁基板
18 第1のバリスタ
20 第2のバリスタ
22 第3のバリスタ
24 第4のバリスタ
26 第1の丸型温度ヒューズ
28 第2の丸型温度ヒューズ
30 第3の丸型温度ヒューズ
32 第1の角型温度ヒューズ
34 第2の角型温度ヒューズ
36 ガスアレスタ
38 封止樹脂
40 第1の電源端子
42 第2の電源端子
44 第3の電源端子
46 接地端子
48 接点信号線
50 示温材
52 蓋部材
52a 蓋部材の上面
54 突起部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12