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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】農業用ネット
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/02 20060101AFI20221221BHJP
   A01M 29/34 20110101ALI20221221BHJP
【FI】
A01G13/02 B
A01M29/34
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018228357
(22)【出願日】2018-12-05
(65)【公開番号】P2020089305
(43)【公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】392002918
【氏名又は名称】日本ワイドクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】廣橋 敏章
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-252107(JP,A)
【文献】特開昭54-105026(JP,A)
【文献】実開昭63-129444(JP,U)
【文献】登録実用新案第3186590(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/02
A01M 29/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸状体が経糸、及び緯糸として織られ、害虫の通過を抑制することができる所定の目合の網目を有する網状に構成された農業用ネットであって、
反射性、及び遮熱性を有する帯状の帯状体が、前記経糸、及び前記緯糸に沿って格子状に織り込まれ、
前記帯状体が配置される部分における前記糸状体が、前記帯状体の幅以上の間隔を隔てて配置され、
前記帯状体の幅が、前記目合の2倍以上7倍以下の幅で形成された
農業用ネット。
【請求項2】
格子状に配置された前記帯状体において、
前記経糸、または前記緯糸のうち一方に沿って配置される前記帯状体のうち一方の前記帯状体の幅が、他方に沿って配置される他方の前記帯状体の幅よりも狭く形成され、
一方の前記帯状体が、他方の前記帯状体よりも狭い間隔を隔てて配置された
請求項1に記載の農業用ネット。
【請求項3】
一方の前記帯状体の幅に対する他方の前記帯状体の幅の比率が、
一方の前記帯状体と他方の前記帯状体とによって形成される略長方形状の領域における、短辺に対する長辺の比率と同一に構成された
請求項2に記載の農業用ネット。
【請求項4】
前記糸状体が、透光性を有する透光性糸状体によって構成された
請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の農業用ネット。
【請求項5】
前記帯状体が、白色の白色帯状体によって構成された
請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の農業用ネット。
【請求項6】
前記緯糸の両端部が折り返されるとともに織り込まれた
請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の農業用ネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防虫効果を有する農業用ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被覆材を栽培作物に被覆することで、栽培作物を保護しながら生育するベタ掛け栽培やトンネル栽培等の栽培方法が盛んに行なわれている。
ベタ掛け栽培やトンネル栽培等の栽培方法では、網目を構成する目合が小さいネットや空隙の小さい不織布等によって構成された被覆材の目合の大きさを、害虫の大きさよりも小さく設定することで、害虫が外側から被覆材を通過して被覆材で覆われた内部空間(以下において「内部空間」という)へ侵入することを抑制し、被覆材を被覆した栽培作物への害虫の付着を防止することができる。
【0003】
しかし、目合が小さい被覆材は通気性が低く、栽培作物に被覆した被覆材の内外を出入りする空気の流れが抑制され、熱気が内側に滞留することによって被覆材で覆われた内部空間の温度が栽培作物の生育適温を超えるおそれがある。
このため、栽培作物に害虫が付着することを防止するだけではなく、特に日中におい内部空間の温度が生育適温を超える過度な昇温を防止する必要がある。
【0004】
そこで、栽培作物に被覆することで害虫の侵入を防止することができるとともに、内部空間の温度が生育適温を超える過度な昇温を防止することができる農業用ネットが提案されている。
【0005】
例えば、本出願人によって公開された特許文献1には、合成樹脂製の経糸、及び緯糸を害虫の侵入が妨げられるような目合の大きさとなる網目で織った織物によって構成され、栽培作物に被覆することで害虫から保護することができるとともに、織物の網目を略長方形状に形成することで通気性が向上し、内部空間の温度が生育適温を超えるような過度な昇温を防止することができる農業用ネットを提案している。
【0006】
このような網目が略長方形状の農業用ネットを栽培作物に被覆することで、害虫の侵入を防止することができるとともに、農業用ネットの通気性が向上することで内部空間の温度が生育適温を超える過度な昇温を防止することができる。
【0007】
詳述すると、経糸の織り込み方向と略平行する方向に細長い略長方形の網目が形成されているため、略正方形の網目を形成する場合と比較して網目が大きくなり、通気性が向上するために熱気の滞留を抑制することができ、内部空間の温度が生育適温を超える過度な昇温を防止することができる。
【0008】
また、特許文献1に記載の農業用ネットは、ポリエチレンやポリプロピレン等といった合成樹脂を経糸、及び緯糸として所定の目合で平織したネット状の織物に、ヤーン状に形成された反射率の高いアルミニウム製の反射糸が格子状に織り込まれている。
【0009】
詳述すると、農業用ネットの目合を、害虫の通過を抑制することができる大きさに設定することで、農業用ネット外部からの害虫の侵入を防止することができるとともに、格子状に織り込まれたアルミニウム製の反射糸が、農業用ネットに向けて照射される太陽光を反射することで害虫に対する忌避効果を有し、防虫効果が向上することで、より確実に害虫の侵入を防止することができる。
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の農業用ネットは、害虫の通過を抑制することができる目合で織られる必要があることから、通気性を向上させるために大きくすることができる目合の大きさには、害虫の通過を抑制することができる大きさという限度がある。
つまり、通気性を向上させるために大きくすることができる農業用ネットの網目の目合は、害虫の侵入を防止することができる大きさという限度があり、近年の温暖化等の影響による異常な酷暑において、内部空間の温度が生育適温を超える過度な昇温を十分に抑制できなくなってきている。
【0011】
つまり、特許文献1に記載の農業用ネットは、害虫の通過を抑制することができ、さらに通気性が向上する略長方形状の網目を有する織物であるため、栽培作物への防虫の付着を防止することができるとともに、過度な昇温を防止できていたが、今後、温暖化等の影響による異常な酷暑において内部空間の温度が生育適温を超えることを抑制する十分な昇温防止効果が得られなくなるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2005―204512公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
この発明は、上述した問題を鑑み、被覆することで、栽培作物への害虫の付着を防止することができるとともに、内部空間の温度が生育適温を超える過度な昇温を防止できる農業用ネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、糸状体が経糸、及び緯糸として織られ、害虫の通過を抑制することができる所定の目合の網目を有する網状に構成された農業用ネットであって、反射性、及び遮熱性を有する帯状の帯状体が、前記経糸、及び前記緯糸に沿って格子状に織り込まれ、前記帯状体が配置される部分における前記糸状体が、前記帯状体の幅以上の間隔を隔てて配置され、前記帯状体の幅が、前記目合の2倍以上7倍以下の幅で形成されたことを特徴とする。
【0015】
前記糸状体は、モノフィラメントや紡績糸等で構成されていてもよく、これらによって構成されたフィラメント糸や複合糸等でもよい。
前述の所定の目合とは、害虫の通過を防止できるとともに、栽培作物に適した通気性を有する大きさの目合をいい、例えば、侵入を防止したい害虫の大きさや、栽培作物に適した通気性によって0.4mmから2.0mm程度の大きさの目合で前記農業用ネットの網目が形成されていればよい。
【0016】
前記農業用ネットは、前記糸状体を網状に織った織物で構成してもよいし、所定の目合で配置した前記糸状体を溶着することで網状に形成してもよく、織った織物の前記糸状体同士を溶着することで、網目が目ズレしないようにしてもよい。
前記帯状体は、所定の幅の帯状であれば合成樹脂、不織布、織物、または編物などで構成されていてもよい。
【0017】
この発明により、前記農業用ネットを栽培作物に被覆することで、栽培作物への害虫の付着を防止できるとともに、前記農業用ネットで被覆する内部空間が生育適温を超える過度な昇温を防止することができる。
詳述すると、栽培作物に被覆する前記農業用ネットが有する前記網目の目合が、前述の所定の目合で構成されているため、前記農業用ネットを害虫が通過することを抑制でき、被覆した栽培作物への害虫の付着を防止することができる。
【0018】
また、前記目合の2倍以上の幅の帯状に形成された反射性を有する前記帯状体が格子状に配置されることで、前記農業用ネットに照射される太陽光が帯状に形成された前記帯状体の表面によって効率的に反射され、前記農業用ネットが、飛来する害虫に対する忌避効果を有することができ、栽培作物への害虫の飛来、及び付着を防止することができる。
さらに、前記帯状体が有する遮熱性によって、太陽光による熱を遮熱することができ、被覆される栽培作物の生育適温を内部空間の温度が超えるような過度な昇温を防止することができる。
【0019】
また、前記農業用ネットは、前記経糸、及び前記緯糸に沿って格子状に織り込まれた反射性、及び遮熱性を有する前記帯状体が配置される場所における前記糸状体が、前記帯状体の幅以上の間隔を隔てて配置されている。
【0020】
つまり、前記帯状体の幅よりも広い間隔を隔てて前記糸状体が配置されている部分に前記帯状体が配置されることで、前記糸状体によって構成される前記経糸同士、または前記緯糸同士の間に前記帯状体を配置して織り込むことができる。
【0021】
このため、前記糸状体で構成される前記緯糸、または前記経糸によって、前記帯状体を保持することができ、前記帯状体を保持するための他の構成を必要とせず、生産性を向上することができるとともに、生産にかかるコストを低下することができる。
【0022】
しかしながら、前記糸状体が広い間隔を隔てて配置されるため、前記糸状体によって形成される網目における当該部分の目合は大きくなり、前記農業用ネットの網目における当該部分の目合が前述の所定の目合よりも大きくなることで、大きくなった目合を害虫が通過して栽培作物に害虫が付着するおそれがある。
【0023】
これに対して、前記糸状体が広い間隔を隔てて配置される部分に、目合よりも幅広に形成された帯状の前記帯状体が配置されるため、前記農業用ネットの当該部分における前記帯状体と前記糸状体によって囲われる領域の大きさが、前述の所定の目合よりも大きくなることを防止することができ、前記糸状体が広い間隔を隔てて配置されることで網目の目合が前述の所定の目合よりも大きくなり、栽培作物に害虫が付着するおそれを抑制することができる。
【0024】
また、前記帯状体の幅以上の間隔を隔てて配置される前記糸状体同士の間隔は、前記農業用ネットが害虫の通過を抑制することができる必要があるため、前述の前記糸状体と前記帯状体とによって囲われる領域の大きさが、前述の所定の目合の大きさを超えないように設定される。
【0025】
このため、前記帯状体の幅が前記目合の7倍以下に形成されることで、前記帯状体の幅以上の間隔を隔てて配置される前記糸状体同士の間隔が広くなりすぎることによる前記農業用ネットの耐久性の低下を防止することができる。
したがって、前記農業用ネットを被覆することで、栽培作物への害虫の付着を防止することができるとともに、内部空間が生育適温を超える過度な昇温を防止することができる。
【0026】
この発明の態様として、格子状に配置された前記帯状体において、前記経糸、または前記緯糸のうち一方に沿って配置される前記帯状体のうち一方の前記帯状体の幅が、他方に沿って配置される他方の前記帯状体の幅よりも狭く形成され、一方の前記帯状体が、他方の前記帯状体よりも狭い間隔を隔てて配置されてもよい。
この発明により、前記農業用ネットに設けられた前記帯状体による害虫に対する忌避効果を向上することができ、害虫の栽培作物への飛来、及び付着をより確実に防止することができる。
【0027】
詳述すると、格子状に配置された前記帯状体において、一方の前記帯状体の幅が他方の前記帯状体の幅よりも狭く形成されることで、異なる幅で形成された前記帯状体が前記農業用ネットに織り込まれることになる。
【0028】
これにより、前記農業用ネットに向けて照射される太陽光が、異なる幅に形成された前記帯状体によって異なる反射態様で反射されるため、同一の幅で形成された前記帯状体によって太陽光が反射される場合よりも、害虫をさらに忌避することができる。
【0029】
また、一方の前記帯状体の幅を他方の前記帯状体の幅よりも狭く形成したことで前記農業用ネットの遮熱性が低下するおそれがあるが、一方の前記帯状体が、他方の前記帯状体よりも狭い間隔を隔てて配置されることで、一方の前記帯状体の本数を増やすことができ、前記農業用ネットの遮熱性の低下を防止することができる。
このため、前記農業用ネットの遮熱性が低下することなく、前記帯状体による害虫に対する忌避効果を向上することができ、害虫の栽培作物への飛来、及び付着をより確実に防止することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、一方の前記帯状体の幅に対する他方の前記帯状体の幅の比率が、一方の前記帯状体と他方の前記帯状体とによって形成される略長方形状の領域における、短辺に対する長辺の比率と同一に構成されてもよい。
【0031】
この発明により、一方の前記帯状体の幅が他方の前記帯状体の幅よりも狭く形成されるとともに、一方の前記帯状体が配置される間隔が他方の前記帯状体が配置される間隔よりも狭い間隔で配置された前記農業用ネットが、略同一の幅で形成された前記帯状体を前記経糸、及び前記緯糸に沿う方向に略同一の間隔を隔てて配置された場合と同等の遮熱性を有し、かつ害虫の栽培作物への飛来、及び付着をより確実に防止することができるとともに、前記農業用ネットの有する遮熱性と忌避効果とのムラを少なくすることができる。
【0032】
詳述すると、前記農業用ネットは前記糸状体で構成された織物に前記帯状体が織り込まれることで、栽培作物に適した遮熱性を有するように構成される。
つまり、略同一の幅で形成された前記帯状体を前記経糸、及び前記緯糸に沿う方向に略同一の間隔を隔てて配置された場合の遮熱性は、栽培作物に適した遮熱性を有している。
【0033】
また、前記農業用ネットが、一方の前記帯状体の幅が他方の前記帯状体の幅よりも狭く形成されるとともに、一方の前記帯状体が配置される間隔が他方よりも狭い間隔で配置され、かつ一方の前記帯状体の幅に対する他方の前記帯状体の幅の比率が、一方の前記帯状体と他方の前記帯状体とによって形成される略長方形状の領域における、短辺に対する長辺の比率と同一に構成されることで、略同一の幅で形成された前記帯状体を前記経糸、及び前記緯糸に沿う方向に略同一の間隔を隔てて配置された前記農業用ネットと同等の遮熱性を有するように構成することができる。
【0034】
つまり、一方の前記帯状体の幅が他方の前記帯状体の幅よりも狭く形成されるとともに、一方の前記帯状体が配置される間隔が他方よりも狭い間隔で配置された前記農業用ネットが栽培作物に適した遮熱性を有することができる。
【0035】
また、一方の前記帯状体の幅に対する他方の前記帯状体の幅の比率が、一方の前記帯状体と他方の前記帯状体とによって形成される略長方形状の領域における、短辺に対する長辺の比率と同一に構成された前記農業用ネットは、一方の前記帯状体の幅が他方の前記帯状体の幅よりも狭く形成されるとともに、一方の前記帯状体が配置される間隔が他方よりも狭い間隔で配置されているため、害虫の栽培作物への飛来、及び付着をより確実に防止することができる。
【0036】
したがって、一方の前記帯状体の幅が他方の前記帯状体の幅よりも狭く形成されるとともに、一方の前記帯状体が配置される間隔が他方の前記帯状体が配置される間隔よりも狭い間隔で配置された前記農業用ネットが、略同一の幅で形成された前記帯状体を前記経糸、及び前記緯糸に沿う方向に略同一の間隔を隔てて配置された場合と同等の遮熱性を有し、かつ害虫の栽培作物への飛来、及び付着をより確実に防止することができる。
【0037】
さらに、前記農業用ネットにおいて、幅広に形成された前記帯状体が配置される場合に比べて、幅狭に形成された前記帯状体が細かく配置されている。
つまり、幅広に形成された前記帯状体を配置する場合には粗な間隔で配置されるのに対して、幅狭に形成された前記帯状体は、前記帯状体同士の間隔が近くなるように散りばめられて配置されており、前記帯状体の配置される分散度合が高くなるため、前記農業用ネットにおける前記帯状体の配置場所が分散し、前記農業用ネットの遮熱性、及び忌避効果のムラを少なくすることができる。
【0038】
またこの発明の態様として、前記糸状体が、透光性を有する透光性糸状体によって構成されてもよい。
この発明により、前記農業用ネットの有する透光性を栽培作物に適したものにするために、前記農業用ネットにより多くの前記帯状体を配置することができ、前記農業用ネットの前記帯状体による害虫に対する忌避効果がさらに向上し、害虫の栽培作物への飛来、及び付着をさらに確実に防止することができる。
【0039】
詳述すると、前記農業用ネットの透光性は、前記農業用ネットを構成する前記糸状体と前記帯状体とのそれぞれの透光性によって決定される。
したがって、栽培作物に適した透光性を有する前記農業用ネットを構成するためには、不透光性の糸状体で構成した前記農業用ネットよりも、前記透光性糸状体で構成した前記農業用ネットのほうが前記農業用ネット自体の透光性が向上するため、栽培作物に適した透光性を確保するためにはより多くの前記帯状体を配置し、より多くの太陽光を反射することで向上した透光性を抑制することとなる。
【0040】
より多くの前記帯状体が配置されたことで、前記農業用ネットに向けて照射される太陽光をより反射することができ、前記農業用ネットの前記帯状体による害虫に対する忌避効果がさらに向上し、害虫の栽培作物への飛来、及び付着をさらに確実に防止することができる。
【0041】
またこの発明の態様として、前記帯状体が白色の白色帯状体によって構成されてもよい。
この発明により、前記白色帯状体で構成された前記帯状体は、白色であるため吸熱性が低く、前記帯状体が吸熱することで昇温して破損したり、吸熱して高温になった前記帯状体の近傍が生育適温を超えたりすることを防止することができる。
【0042】
またこの発明の態様として、前記緯糸の両端部が折り返されるとともに織り込まれてもよい。
この発明により、前記農業用ネットにおける前記緯糸の両端側に形成される耳部が房耳として残らず、房耳からネットが不用意に解れることを防止することができ、前記農業用ネットの耐久性を向上することができる。
【発明の効果】
【0043】
被覆することで、栽培作物への害虫の付着を防止することができるとともに、内部空間の温度が生育適温を超える過度な昇温を防止できる農業用ネットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】農業用ネットの一部の概略平面図。
図2】農業用ネットの構成の説明図。
図3】緯反射テープの保持態様を説明する説明図。
図4】経反射テープの保持態様を説明する説明図。
図5】農業用ネットの耳部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
図1は農業用ネット1の一部の概略平面図を示し、図2は農業用ネット1の構成について説明する説明図を示し、図3は農業用ネット1における緯反射テープ111の保持態様を説明する説明図を示し、図4は農業用ネット1における経反射テープ112の保持態様を説明する説明図を示し、図5は農業用ネット1における耳部60の構成を説明する説明図を示す。
【0046】
詳述すると、図2(a)は、農業用ネット1を構成するモノフィラメント5を平織することで形成した織地6の概略拡大平面図を示し、図2(b)は、農業用ネット1に格子状に織り込む反射テープ11の概略拡大平面図を示し、図2(c)は、織地6に反射テープ11が格子状に織り込まれた農業用ネット1の概略平面図を示す。
【0047】
また、図3(a)は、農業用ネット1に保持される緯反射テープ111について説明すべく、図2(c)におけるA-A矢視断面図を示し、図3(b)は、農業用ネット1に保持される緯反射テープ111について説明すべく、図2(c)におけるB-B矢視断面図を示す。
【0048】
また、図4(a)は、農業用ネット1に保持される緯反射テープ111について説明すべく、図2(c)におけるC-C矢視断面図を示し、図4(b)は、農業用ネット1に保持される緯反射テープ111について説明すべく、図2(c)におけるD-D矢視断面図を示す。
【0049】
なお、図1に示すように、農業用ネット1を広げた際の緯糸50に沿う方向を緯方向xとし、経糸51に沿う方向を経方向yとする。また、図3に示すように農業用ネット1の厚さ方向を厚さ方向zとする。
【0050】
図1に示すように、農業用ネット1は、モノフィラメント5を略正方形状の網目を有する網状に平織した織地6に、反射性、及び遮熱性を有する反射テープ11を格子状に配置することで構成している。また、織地6における緯方向xの両端に後述する耳部60を設けている。
【0051】
図2(a)に示すように、農業用ネット1を構成する網状の織地6は、モノフィラメント5を平織することで織成している。また、モノフィラメント5は、本実施形態において、透光性を有するポリエチレン繊維によって、直径0.1mm程度に形成しているがこれに限定されない。
また、織成するモノフィラメント5は、緯糸50と経糸51とがあり、緯糸50、及び経糸51を経方向y、及び緯方向xに並列に配置して平織することで、略正方形状の網目を有する織地6を織成している。なお、網目の形状は略正方形状に限定されず、略長方形状等でもよい。
【0052】
緯糸50、及び経糸51を配置する間隔Waは、図2乃至図4に図示するように網目を形成する場所における間隔Wa1と反射テープ11が配置される場所7(以下において「テープ配置場所7」という)における間隔Wa2とがあり、侵入を防ぎたい害虫の大きさや被覆する栽培作物等によって適宜設定している。
【0053】
なお、本実施形態において、テープ配置場所7と、後述のモノフィラメント5が広い間隔を隔てて配置される場所8(以下において、「広間隔配置場所8」という)は、農業用ネット1における同一の場所を指し示している。
【0054】
テープ配置場所7における間隔Wa2は、網目を形成する場所における間隔Wa1よりも広い間隔となるように、緯糸50、及び経糸51を配置している。
【0055】
また、テープ配置場所7における間隔Wa2には、後述の緯反射テープ111が配置される場所における間隔Wa21と、経反射テープ112が配置される場所における間隔Wa22とがある。
なお、本実施形態において、網目を形成する場所における間隔Wa1は0.5mm程度、緯反射テープ111が配置される場所における間隔Wa21は1.5mm程度、経反射テープ112が配置される場所における間隔Wa22は4mm程度に設定しているが、これに限定されない。
【0056】
図2(b)に示すように、織地6に格子状に配置する反射テープ11は、遮熱性、及び反射性を有するとともに所定の幅を有する帯状であり、所定の厚みで形成している。
本実施形態において反射テープ11は、反射率80%程度、かつ白色であるとともに、モノフィラメント5の直径と略同程度の厚みで形成しているが、これに限定されない。
【0057】
また、反射テープ11には、緯糸50に沿うとともに緯方向xに伸びる幅狭の程度の緯反射テープ111と、経糸51に沿うとともに経方向yに伸びる幅広の程度の経反射テープ112とがあり、各々を所定の間隔を隔てて等間隔かつ並列に配置し、織地6に織り込んでいる。
【0058】
反射テープ11は、栽培作物に適した遮熱性、及び飛来を抑制したい害虫に応じて所定の幅Wbで形成され、本実施形態においては、緯反射テープ111の幅Wb1は1mm程度に形成され、経反射テープ112の幅Wb2は3.5mm程度に形成しているが、これに限定されない。
【0059】
また、織地6に織り込む反射テープ11のうち、緯反射テープ111を経方向yに所定の間隔を隔てて等間隔かつ並列に配置し、経反射テープ112を緯方向xに所定の間隔を隔てて等間隔かつ並列に配置することで、緯反射テープ111と経反射テープ112とによって形成する領域R(図1図2(b)図2(c)において破線で囲って符号Rで指し示す領域)が、略長方形状となるように構成している。
なお、本実施形態において、略長方形状の領域Rは、短辺Rsが5mm程度、かつ長辺Rlが17.5mm程度に形成しているが、これに限定されない。
【0060】
上述のように、反射テープ11は、緯反射テープ111の幅Wb1を1mm程度、経反射テープの幅Wb2を3.5mm程度に形成するとともに、反射テープ11によって形成する略長方形状の領域Rの短辺Rsを5mm程度、かつ長辺Rlを17.5mm程度となるように織地6に配置して織り込まれているため、短辺Rsに対する長辺Rlの比率は、緯反射テープ111の幅Wb1に対する経反射テープ112の幅Wb2の比率と略同一の2:7となる。
【0061】
なお、本実施形態において、短辺Rsに対する長辺Rlの比率は、緯反射テープ111の幅Wb1に対する経反射テープ112の幅Wb2の比率と略同一の2:7となるように反射テープ11を配置しているが、これに限定されない。
【0062】
上述のように構成された織地6、及び反射テープ11は、図3(c)に示すように織地6に反射テープ11を配置することで農業用ネット1を構成し、広間隔配置場所8に反射テープ11が配置されているため、反射テープ11とモノフィラメント5との間隔が網目の目合よりも大きくなることはなく、害虫が侵入するおそれが向上することはない。
【0063】
また、上述のように配置した緯反射テープ111、及び経反射テープ112を、モノフィラメント5によって構成される経糸51、及び緯糸50によって経方向y、または緯方向xの位置を規制している。
【0064】
そして、図3、及び図4に示すように、緯反射テープ111、及び経反射テープ112を厚さz方向から、経糸51、及び緯糸50、並びに経反射テープ112、及び緯反射テープ111によって挟むように保持している。
【0065】
詳述すると、図2(c)に示すように、反射テープ11のうち緯反射テープ111が配置される場所における緯糸50は、緯反射テープ111の幅Wb1よりも広い間隔Wa21を経方向yに隔てて配置している。
このように、緯反射テープ111における経方向yの両側に、緯糸50を沿うように配置しているため、緯反射テープ111の経方向yへの動きを、緯糸50によって規制している。
【0066】
また、図3(a)に示すように、緯反射テープ111と緯糸50とを、経糸51が厚さ方向zから挟み込むように保持している。
詳述すると、モノフィラメント5が構成する経糸51は、波状に屈曲するとともにモノフィラメント5が構成する緯糸50、及び緯反射テープ111の間を縫うように配置している。
【0067】
また、経糸51の波形と、緯方向xに0.5mm程度の間隔を隔てて配置される両隣の経糸51の波形とが、互い違いとなるとともに緯糸50同士、または緯糸50と緯反射テープ111との間を縫うように経糸51を配置することで、緯糸50、及び緯反射テープ111を経糸51が厚さ方向zから挟むように保持している。
【0068】
そして、経糸51と同様に、経反射テープ112を、緯方向xに0.5mm程度の間隔を隔てて配置される両隣の経糸51の波形と互い違いとなるように、波状に屈曲させて配置することで、経糸51と経反射テープ112とで緯糸50、及び緯反射テープ111を厚さ方向zから挟み込んで保持している(図示省略)。
また、図3(b)に示すように緯糸50同士の間に配置する緯反射テープ111を、経糸51、及び経反射テープ112が厚さ方向zから挟むように保持している。
【0069】
そして、緯反射テープ111、及び緯糸50と同様に、図2(c)に示すように、反射テープ11のうち経反射テープ112が配置される場所における経糸51は、経反射テープ112の幅Wb2よりも広い間隔Wa22を緯方向xに隔てて配置している。
このように、経反射テープ112における緯方向xの両側に、経糸51を沿うように配置しているため、経反射テープ112の緯方向xへの動きを、経糸51によって規制している。
【0070】
また、図4(a)に示すように、経反射テープ112と経糸51とを、緯糸50が厚さ方向zから挟み込むように保持している。
詳述すると、モノフィラメント5が構成する緯糸50は、波状に屈曲するとともにモノフィラメント5が構成する経糸51、及び経反射テープ112の間を縫うように配置している。
【0071】
また、緯糸50の波形と、経方向yに0.5mm程度の間隔を隔てて配置される両隣の緯糸50の波形とが、互い違いとなるとともに経糸51同士、または経糸51と経反射テープ112との間を縫うように緯糸50を配置することで、経糸51、及び経反射テープ112を緯糸50が厚さ方向zから挟むように保持している。
【0072】
そして、緯糸50と同様に、緯反射テープ111を、経方向yに0.5mm程度の間隔を隔てて配置される両隣の緯糸50の波形と互い違いとなるように、波状に屈曲させて配置することで、経糸51と経反射テープ112とで緯糸50、及び緯反射テープ111を厚さ方向zから挟み込んで保持している(図示省略)。
なお、本実施形態において、反射テープ11の幅、及び厚さ、並びにモノフィラメント5の直径、及び配置する間隔は上述のように構成しているが、これに限定されない。
【0073】
図5に示すように、織地6の緯方向xの両端部に設けられた耳部60は、モノフィラメント5によって構成される緯糸50、及び緯反射テープ111の両端部を、緯方向xの両端に配置する経糸51に引っ掛けて折り返すとともに織地6に織り込むことでタックイン耳を形成している。
【0074】
また、タックイン耳を形成する耳部60において、モノフィラメント5が構成する経糸51同士の間にモノフィラメント5によって構成する補強糸510を織り込むことで、耳部60が解れないように農業用ネット1の強度を向上させている。
【0075】
このように構成された農業用ネット1は、モノフィラメント5が経糸51、及び緯糸50として織られ、0.5mm程度の目合の略正方形状の網目を有する網状に構成された織地6に、反射性、及び遮熱性を有する帯状の反射テープ11が、経糸51、及び緯糸50に沿って格子状に織り込まれ、テープ配置場所7におけるモノフィラメント5が、反射テープ11の幅以上の間隔を隔てて配置され、反射テープ11の幅が、目合の2倍以上7倍以下の幅で形成されているため、農業用ネット1を、栽培作物に被覆することで、栽培作物への害虫の付着を防止できるとともに、農業用ネット1で被覆する内部空間が生育適温を超える過度な昇温を防止することができる。
【0076】
詳述すると、栽培作物に被覆する農業用ネット1が有する網目が、0.5mm程度の目合で構成されているため、農業用ネット1を害虫が通過することを抑制でき、被覆した栽培作物への害虫の付着を防止することができる。
【0077】
また、目合の2倍以上の幅の帯状に形成された反射性を有する反射テープ11が格子状に配置されることで、農業用ネット1に照射される太陽光が帯状に形成された反射テープ11の表面によって効率的に反射され、農業用ネット1が、飛来する害虫に対する忌避効果を有することができ、栽培作物への害虫の飛来、及び付着を防止することができる。
さらに、反射テープ11が有する遮熱性によって、太陽光による熱を遮熱することができ、被覆される栽培作物の生育適温を内部空間の温度が超えるような過度な昇温を防止することができる。
【0078】
また、農業用ネット1は、経糸51、及び緯糸50に沿って格子状に織り込まれた反射性、及び遮熱性を有する反射テープ11が配置される場所(テープ配置場所7)におけるモノフィラメント5が、反射テープ11の幅Wb以上の間隔を隔てて配置されている。
【0079】
つまり、反射テープ11の幅Wbよりも広い間隔を隔ててモノフィラメント5が配置されている部分(広間隔配置場所8)に反射テープ11が配置されることで、モノフィラメント5によって構成される経糸51同士、または緯糸50同士の間に反射テープ11を配置して織り込むことができる。
【0080】
このため、モノフィラメント5で構成される緯糸50、または経糸51によって、反射テープ11を保持することができ、反射テープ11を保持するための他の構成を必要とせず、生産性を向上することができるとともに、生産にかかるコストを低下することができる。
【0081】
しかしながら、モノフィラメント5が広い間隔を隔てて配置されるため、モノフィラメント5によって形成される網目における当該部分の目合は大きくなり、農業用ネット1のテープ配置場所7における目合が、前述の所定の目合よりも大きくなることで、大きくなった目合を害虫が通過して栽培作物に害虫が付着するおそれがある。
【0082】
これに対して、広間隔配置場所8に、目合よりも幅広に形成された帯状の反射テープ11が配置されるため、農業用ネット1のテープ配置場所7における反射テープ11とモノフィラメント5とによって囲われる領域の大きさが、農業用ネット1の有する網目の目合である0.5mm程度よりも大きくなることを防止することができ、モノフィラメント5が広い間隔を隔てて配置されることで網目の目合が大きくなり、栽培作物に害虫が付着するおそれを抑制することができる。
【0083】
また、反射テープ11の幅以上の間隔を隔てて配置されるモノフィラメント5同士の間隔は、農業用ネット1が害虫の通過を抑制することができる必要があるため、前述のモノフィラメント5と反射テープ11とによって囲われる領域の大きさが、0.5mm程度に設定された目合の大きさを超えないように設定される。
【0084】
このため、反射テープ11の幅が目合の7倍以下に形成されることで、反射テープ11の幅以上の間隔を隔てて配置されるモノフィラメント5同士の間隔が広くなりすぎることによる農業用ネット1の耐久性の低下を防止することができる。
したがって、農業用ネット1を栽培作物に被覆することで、栽培作物への害虫の付着を防止することができるとともに、生育適温を超える過度な昇温を防止することができる。
【0085】
また、格子状に配置された反射テープ11において、緯糸50に沿って配置される緯反射テープ111の幅が、経糸51に沿って配置される経反射テープ112の幅よりも狭く形成され、緯反射テープ111が、経反射テープよりも狭い間隔を隔てて配置されているため、農業用ネット1に設けられた反射テープ11による害虫に対する忌避効果を向上することができ、害虫の栽培作物への飛来、及び付着をより確実に防止することができる。
【0086】
詳述すると、格子状に配置された反射テープ11において、緯反射テープ111の幅が経反射テープ112の幅よりも狭く形成されることで、異なる幅で形成された反射テープ11が農業用ネット1に織り込まれることになる。
【0087】
これにより、農業用ネット1に向けて照射される太陽光が、異なる幅に形成された反射テープ11によって異なる反射態様で反射されるため、同一の幅で形成された反射テープ11によって太陽光が反射される場合よりも、害虫をさらに忌避することができる。
【0088】
また、緯反射テープ111の幅を経反射テープ112の幅よりも狭く形成したことで、農業用ネット1の遮熱性が低下するおそれがあるが、緯反射テープ111が、経反射テープ112よりも狭い間隔を隔てて配置されることで、農業用ネット1に配置する緯反射テープ111の本数を増加でき、農業用ネット1の遮熱性の低下を防止することができる。
【0089】
このため、農業用ネット1の遮熱性が低下することなく、反射テープ11による害虫に対する忌避効果を向上することができ、害虫の栽培作物への飛来、及び付着をより確実に防止することができる。
【0090】
また、緯反射テープ111の幅Wb20に対する経反射テープ112の幅Wb21の比率が、緯反射テープ111と経反射テープ112とによって形成される略長方形状の領域Rにおける、短辺Rsに対する長辺Rlの比率に応じて構成されているため、農業用ネット1が、略同一の幅で形成された反射テープ11を経糸51、及び緯糸50に沿う方向に略同一の間隔を隔てて配置された場合と同等の遮熱性を有し、かつ害虫の栽培作物への飛来、及び付着をより確実に防止することができる。
【0091】
詳述すると、農業用ネット1はモノフィラメント5で構成された織地6に反射テープ11が織り込まれることで、栽培作物に適した遮熱性を有するように構成される。
つまり、略同一の幅で形成された反射テープ11を経糸51、及び緯糸50に沿う方向に略同一の間隔を隔てて配置された場合の遮熱性は、栽培作物に適した遮熱性を有している。
【0092】
また、農業用ネット1が緯反射テープ111の幅Wb20が経反射テープ112の幅Wb21よりも狭く形成されるとともに、緯反射テープ111が経反射テープ112が配置される間隔よりも狭い間隔で配置され、かつ緯反射テープ111の幅Wb20に対する経反射テープ112の幅Wb21の比率が、緯反射テープ111と経反射テープ112とによって形成される略長方形状の領域Rにおける、短辺Rsに対する長辺Rlの比率に応じて構成することで、略同一の幅で形成された反射テープ11を経糸51、及び緯糸50に沿う方向に略同一の間隔を隔てて配置された農業用ネット1と同等の遮熱性を有するように構成することができる。
【0093】
つまり、緯反射テープ111の幅Wb20が経反射テープ112の幅Wb21よりも狭く形成されるとともに、緯反射テープ111が配置される間隔が経反射テープ112が配置される間隔よりも狭い間隔で配置された農業用ネット1が栽培作物に適した遮熱性を有することができる。
【0094】
また、緯反射テープ111の幅Wb20に対する経反射テープ112の幅Wb21の比率が、緯反射テープ111と経反射テープ112とによって形成される略長方形状の領域Rにおける、短辺Rsに対する長辺Rlの比率に応じて構成された農業用ネット1は、緯反射テープ111の幅Wb20が経反射テープ112の幅Wb21よりも狭く形成されるとともに、緯反射テープ111が配置される間隔が経反射テープ112が配置される間隔よりも狭い間隔で配置されているため、害虫の栽培作物への飛来、及び付着をより確実に防止することができる。
【0095】
したがって、緯反射テープ111の幅Wb20が経反射テープ112の幅Wb21よりも狭く形成されるとともに、緯反射テープ111が配置される間隔が経反射テープ112が配置される間隔よりも狭い間隔で配置された農業用ネット1が、略同一の幅で形成された反射テープ11を経糸51、及び緯糸50に沿う方向に略同一の間隔を隔てて配置された場合と同等の遮熱性を有し、かつ害虫の栽培作物への飛来、及び付着をより確実に防止することができる。
【0096】
さらに、農業用ネット1において、幅広に形成された反射テープ11が配置される場合に比べて、幅狭に形成された緯反射テープ111が細かく配置されている。
つまり、幅広に形成された反射テープ11を配置する場合には粗な間隔で配置されるのに対して、幅狭に形成された緯反射テープ111は、緯反射テープ111同士の間隔が近くなるように散りばめられて配置されており、反射テープ11の配置される分散度合が高くなるため、農業用ネット1における反射テープ11の配置場所が分散し、農業用ネット1の遮熱性、及び忌避効果のムラを少なくすることができる。
【0097】
また、モノフィラメント5が、透光性を有するため、農業用ネット1の有する透光性を栽培作物に適したものにするために、農業用ネット1により多くの反射テープ11を配置することができ、農業用ネット1の前記帯状体による害虫に対する忌避効果がさらに向上し、害虫の栽培作物への飛来、及び付着をさらに確実に防止することができる。
【0098】
詳述すると、農業用ネット1の透光性は、農業用ネット1を構成するモノフィラメント5と反射テープ11とのそれぞれの透光性によって決定される。
したがって、栽培作物に適した透光性を有する農業用ネット1を構成するためには、不透光性の糸状体で構成した農業用ネット1よりも、透光性を有するモノフィラメント5で構成した農業用ネット1のほうが農業用ネット1自体の透光性が向上するため、栽培作物に適した透光性を確保するためにはより多くの反射テープ11を配置し、より多くの太陽光を反射することで向上した透光性を抑制することとなる。
【0099】
より多くの反射テープ11が配置されたことで、農業用ネット1に向けて照射される太陽光をより反射することができ、農業用ネット1の反射テープ11による害虫に対する忌避効果がさらに向上し、害虫の栽培作物への飛来、及び付着をさらに確実に防止することができる。
【0100】
また、反射テープ11が白色であるため、吸熱性が低く、反射テープ11が吸熱することで昇温して破損したり、吸熱して高温になった反射テープ11の近傍が生育適温を超えたりすることを防止することができる。
【0101】
また、緯糸50の両端部が折り返されるとともに織り込まれることで、農業用ネット1における緯糸50の両端側に形成される耳部60が房耳として残らず、房耳からネットが不用意に解れることを防止することができ、農業用ネット1の耐久性を向上することができる。
【0102】
そして、反射テープ11のうち、他方よりも狭い幅である1mm程度の幅で帯状に形成された緯反射テープ111が緯糸50に沿って、織地6に織り込まれていることで、モノフィラメント5が構成する緯糸50とともに、緯反射テープ111の両端部が折り返されてタックイン耳として織り込まれている。
【0103】
異なる幅で形成した帯状の反射テープ11を織り込んで構成した農業用ネット1において、幅狭の反射テープ11である緯反射テープ111を緯糸50に沿って配置することで、タックイン耳を形成する際の折り返しによって、反射テープ11が捻じれたり潰れたりすること等によって損傷するおそれを抑制することができる。
【0104】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の糸状体は、実施形態のモノフィラメントに対応し、
帯状体は、反射テープに対応し、
帯状体が配置される部分は、テープ配置場所に対応し、
一方の帯状体は、緯反射テープに対応し、
他方の帯状体は、経反射テープに対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0105】
また、上述の説明において、糸状体は、モノフィラメント5によって構成しているが、紡績糸で構成されていてもよく、モノフィラメント5や紡績糸によって構成されたフィラメント糸や複合糸等でもよい。
【0106】
そしてまた、モノフィラメント5は、透光性を有するポリエチレン繊維によって、直径0.1mm程度に形成しているが、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等で形成していてもよく、直径も0.05mm~0.2mm程度に形成していればよい。
【0107】
また、農業用ネット1の目合は0.5mm程度に設定しているが、目合の大きさは害虫の通過を防止できるとともに、栽培作物に適した通気性を有する大きさであればよく、例えば、侵入を防止したい害虫の大きさや、栽培作物に適した通気性によって0.4mmから2.0mm程度の大きさで目合が形成されていてもよい。
【0108】
また、農業用ネット1は、モノフィラメント5を網状に織った織物で構成しているが、所定の目合で配置したモノフィラメント5を溶着することで網状に形成してもよく、織った織物のモノフィラメント5同士を溶着することで、網目が目ズレしないようにしてもよい。
【0109】
また、反射テープ11は、合成樹脂により構成されているが、不織布、織物、または編物などで構成されていてもよい。
さらにまた、反射テープ11は、モノフィラメント5の直径とほぼ同程度の厚さで形成されているが、モノフィラメント5の直径より薄くとも厚くともよい。
【0110】
また、織地6の有する網目を略正方形状に形成しているが、目合の大きさは害虫の通過を防止できるとともに、栽培作物に適した通気性を有する大きさであればよく、略長方形等に形成してもよい。
【0111】
また、耳部60は、緯糸50、及び緯反射テープ111の両端部を折り返すとともに織り込んでいるが、緯糸50、及び緯反射テープ111のうち少なくとも一方を折り返すとともに織り込んでいればよい。
【符号の説明】
【0112】
1・・・農業用ネット
5・・・モノフィラメント
6・・・織地
7・・・テープ配置場所
11・・・反射テープ
50・・・緯糸
51・・・経糸
110・・・緯反射テープ
111・・・経反射テープ
R・・・領域
Rs・・・短辺
Rl・・・長辺
Wb1・・・経反射テープの幅
Wb2・・・緯反射テープの幅
図1
図2
図3
図4
図5