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<図1>
  • 特許-粉粒体材料の捕集装置 図1
  • 特許-粉粒体材料の捕集装置 図2
  • 特許-粉粒体材料の捕集装置 図3
  • 特許-粉粒体材料の捕集装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】粉粒体材料の捕集装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 53/60 20060101AFI20221221BHJP
   B65G 53/16 20060101ALI20221221BHJP
   B65G 65/40 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B65G53/60
B65G53/16
B65G65/40 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019032397
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2020132417
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000146054
【氏名又は名称】株式会社松井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】木下 淳也
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-239293(JP,A)
【文献】特開2006-219217(JP,A)
【文献】特開2000-344348(JP,A)
【文献】特表2014-530938(JP,A)
【文献】実開平04-100125(JP,U)
【文献】実公昭44-025940(JP,Y1)
【文献】特公昭36-010163(JP,B2)
【文献】実開昭48-052291(JP,U)
【文献】特開2006-117361(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 53/60
B65G 53/16
B65G 65/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気輸送される粉粒体材料を受け入れる導入口が設けられ、輸送空気から粉粒体材料を分離させて捕集する粉粒体材料の捕集装置であって、
下端の開口端面が軸方向に対して傾斜する傾斜面とされた排出管と、閉鎖位置において前記開口端面に平行状に配される当接面を有し、前記排出管の排出口を開閉する弁体と、を備えており、
前記導入口は、少なくとも下側部位が前記排出口の上側部位と同高さに位置するように、かつ前記排出管の内周面において閉鎖位置の前記弁体の当接面に向けて開口するように設けられていることを特徴とする粉粒体材料の捕集装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記導入口を前記排出管の内周面において開口させた導入管は、少なくとも前記排出管近傍部位が前記導入口に向かうに従い下るように傾斜する下り勾配状とされていることを特徴とする粉粒体材料の捕集装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記開口端面の傾斜方向及び上下方向に直交する方向に見て、前記排出管近傍部位の導入管の軸心を通る仮想線と閉鎖位置の前記弁体の当接面とのなす角が90度以上とされていることを特徴とする粉粒体材料の捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気輸送される粉粒体材料を捕集する粉粒体材料の捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気輸送される粉粒体材料を受け入れる導入口が設けられ、輸送空気から粉粒体材料を分離させて捕集する粉粒体材料の捕集装置が知られている。
例えば、下記特許文献1には、原料混合ホッパーの上部に空気吸引管を設け、原料混合ホッパー内において、下部の底面との間に間隙を形成する位置まで未混合原料導入管を垂下させ、この未混合原料導入管を原料排出部に対向して開口させた構成とされた原料混合装置が開示されている。この原料混合装置においては、空気吸引管に接続された空気吸引源を作動させれば、未混合原料導入管を介して原料が原料混合ホッパー内に吸引されて原料混合ホッパー内において撹拌混合される構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-161290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された原料混合装置においては、原料混合ホッパー下部の原料排出部に設けられた開閉弁と未混合原料導入管の下端開口面との間に比較的に大きな空間が形成される。そのため、未混合原料導入管を介して原料混合ホッパー内に導入された原料の一部が原料混合ホッパー下部に滞留して流動し難くなることが考えられた。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、導入される粉粒体材料の流動性を向上し得る粉粒体材料の捕集装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る粉粒体材料の捕集装置は、空気輸送される粉粒体材料を受け入れる導入口が設けられ、輸送空気から粉粒体材料を分離させて捕集する粉粒体材料の捕集装置であって、下端の開口端面が軸方向に対して傾斜する傾斜面とされた排出管と、閉鎖位置において前記開口端面に平行状に配される当接面を有し、前記排出管の排出口を開閉する弁体と、を備えており、前記導入口は、少なくとも下側部位が前記排出口の上側部位と同高さに位置するように、かつ前記排出管の内周面において閉鎖位置の前記弁体の当接面に向けて開口するように設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る粉粒体材料の捕集装置は、上述のような構成としたことで、導入される粉粒体材料の流動性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置の一例を模式的に示す一部破断概略側面図である。
図2】(a)は、同捕集装置の一部省略概略背面図、(b)は、図2(a)におけるX1-X1線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
図3】(a)、(b)は、図2(b)に対応させた一部破断概略縦断面図である。
図4】(a)、(b)は、図2(a)におけるX2-X2線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
また、以下の実施形態では、本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置を設置した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
図1図4は、本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置の一例を模式的に示す図である。
【0010】
本実施形態に係る粉粒体材料の捕集装置1は、図1及び図2(b)に示すように、空気輸送される粉粒体材料を受け入れる導入口19が設けられ、輸送空気から粉粒体材料を分離させて捕集する構成とされている。この捕集装置1は、捕集器本体10と、この捕集器本体10の下端側に設けられ、下端の開口端面16が軸方向に対して傾斜する傾斜面とされた排出管15と、この排出管15の排出口17を開閉する弁体(ダンパー)を構成する蓋体30と、を備えている。本実施形態では、当該捕集装置1は、吸引源2に接続される吸引口を構成する吸引接続管12を備え、吸引によって空気輸送される輸送元(材料元)4からの粉粒体材料を輸送空気から分離させて捕集する構成とされている。なお、以下では、開口端面16の傾斜方向及び上下方向に直交する方向を第1方向として説明し、この第1方向及び上下方向に直交する方向を第2方向として説明する。
【0011】
また、ここに、粉粒体材料は、粉体・粒体状の材料を指すが、空気輸送可能なものであれば、どのような形状のものでもよい。例えば、粉粒体材料としては、略球状や略柱状、略立方体状、多面体状、薄片状、短繊維片状等、どのようなものでもよい。また、全ての粉粒体材料が同寸同形状とされたものに限られない。形状や大きさにばらつきがある粉粒体材料でもよい。また、粉粒体材料の大きさは、10mm以下でもよく、5mm以下でもよく、3mm以下でもよい。なお、粉粒体材料の大きさは、ばらつきがある場合は最大のものの大きさを指し、また、略球状である場合は径、球状以外の場合は最長部の寸法を指す。
また、粉粒体材料としては、樹脂ペレットや樹脂繊維片等の合成樹脂材料、金属材料、半導体材料、木質材料、薬品材料、食品材料等どのようなものでもよい。また、粉粒体材料としては、例えば、合成樹脂成形品を成形する場合には、ナチュラル材(バージン材)や粉砕材、マスターバッチ材、各種添加材等が挙げられる。また、ガラス繊維や炭素繊維等の強化繊維を含んだ構成としてもよい。
【0012】
吸引源2としては、空気吸引管3を介して接続される吸引ブロワー等の空気吸引源であってもよい。このような吸引源2としては、当該捕集装置1専用のものに限られず、例えば、当該捕集装置1への輸送と他の装置への輸送とが切替弁等によって切り替えられる態様とされたものとしてもよい。
輸送元4としては、材料輸送管5を介して接続される材料タンクや、乾燥ホッパー、粉粒体材料を計量する計量ホッパー、複数種の粉粒体材料を所定割合で配合する配合ホッパー等であってもよい。また、これら各種ホッパーの下流側に設けられる一時貯留部を輸送元4としてもよい。また、当該捕集装置1に接続される材料輸送管5を、単一の輸送元4に接続して単一の粉粒体材料を当該捕集装置1において捕集する態様に限られない。例えば、相異なる粉粒体材料をそれぞれに貯留する複数の輸送元4に当該捕集装置1に接続される材料輸送管5を接続し、これら複数の輸送元4からの複数種の粉粒体材料を当該捕集装置1において捕集する態様としてもよい。
【0013】
また、当該捕集装置1の供給先としては、当該捕集装置1において捕集した粉粒体材料を一時的に貯留する貯留タンクや貯留ホッパー等の貯留部を供給先としてもよく、また、粉粒体材料を乾燥する乾燥ホッパーを供給先としてもよい。また、当該捕集装置1の供給先としては、後記するように粉粒体材料によって排出口17を開放する開放位置とされた蓋体30が材料レベルの低下に従い閉鎖側に揺動可能となるように粉粒体材料の処理(消費)がなされるものとしてもよい。例えば、射出成形機等の成形機を当該捕集装置1の供給先としてもよい。この場合は、当該捕集装置1を、成形機上に直接的に設置する態様としてもよい。なお、供給先としての成形機は、合成樹脂成形品を成形する射出成形機に限られず、他の材料用の射出成形機としてもよく、または種々の材料用の押出成形機や圧縮成形機等の他の成形機を供給先とする態様としてもよい。また、当該捕集装置1において捕集された粉粒体材料の供給先としては、単一の供給先に限られず、複数の供給先としてもよい。
【0014】
捕集器本体10は、上側部位が略筒形状とされ、下側部位が略逆錐形状とされたホッパー状とされている。この捕集器本体10は、略円筒状とされたものでもよく、略角筒状とされたものでもよい。なお、捕集器本体10としては、ホッパー状とされたものに限られず、タンク状やドラム状とされたものでもよい。また、図例では、捕集器本体10の周壁部に、捕集器本体10内を視認可能な窓部14を設けた例を示している。
この捕集器本体10には、捕集器本体10内において開口する吸引口を構成する吸引接続管12が設けられている。図例では、吸引源2に接続される吸引接続管12を、捕集器本体10の上端部に開閉自在に設けられた上端蓋体11に設けた例を示している。吸引接続管12は、上端蓋体11の側周部に接続されており、上端蓋体11の内周側において吸引口を開口させた構成とされている。この吸引接続管12は、上端蓋体11の側周部に対して略直交状に接続されたものでもよく、上端蓋体11の内周面に対して概ね接線方向に吸引口が開口するように接続されたものでもよい。なお、吸引接続管12を、上端蓋体11の側周部に接続した態様に代えて、底部を構成する上端部に接続した態様等としてもよい。
【0015】
また、捕集器本体10には、吸引接続管12に向かう輸送空気から粉粒体材料を分離させる分離機構13が設けられている。このような分離機構13としては、粉粒体材料と輸送空気とを分離可能なものであればどのようなものでもよいが、輸送空気に加えて粉塵を通過させる一方、原料となる粉粒体材料の通過を阻止するパンチングメタルや網状(メッシュ状)の多孔板状体等のフィルターからなるものとしてもよい。図例では、捕集器本体10の上端蓋体11によって開閉される上方開口を覆うように分離機構13を設けた例を示している。また、図例では、分離機構13を、外周側縁部から上下方向一方側に向けて延びるように筒状とされた外周側筒状部と、この外周側筒状部の延出方向先端部から折り返されるようにして上下方向他方側に向けて延びるように筒状とされた内周側筒状部と、を備えた構成としている。なお、分離機構13としては、このような形状とされたものに限られず、概ね平板状とされたものや、更には、多孔板状体からなるものに代えて、捕集器本体10の内周面や内天面との間に隙間を隔てて設けられる邪魔傘状とされたものとしてもよい。その他、種々の構成とされた分離機構13の採用が可能である。また、このような分離機構13としては、いわゆるサイクロン式にて輸送空気から粉粒体材料を分離させる構造とされたものとしてもよい。
【0016】
導入口19は、捕集器本体10の下端側において開口するように設けられている。本実施形態では、この導入口19を排出管15の内周面において開口させた構成としている。つまり、導入口19を構成する導入管18を、排出管15に接続した構成としている。また、導入口19を、少なくとも下側部位が排出口17の上側部位と同高さに位置するように、かつ閉鎖位置において開口端面16と平行状に配される蓋体30の当接面32に向けて開口するように設けた構成としている。つまり、図2(a)に示すように、第2方向に見て、導入口19の少なくとも下側部位と排出口17の上側部位とが重なり合う構成としている。このような構成とすれば、ホッパー内において下部に向けて材料導入管を開口させたものや、水平動される弁体の上方側の排出管に導入管を接続したようなものと比べて、導入口19下方側の蓋体30までの粉粒体材料が滞留し易くなる空間を効果的に小さくすることができ、導入口19を介して導入される粉粒体材料の流動性を向上させることができる。つまり、流動空間の下端を封止する蓋体30付近に導入口19が設けられ、また、傾斜面とされる蓋体30の当接面32に向けて輸送空気とともに粉粒体材料が導入されるので、上方側に向かう気流によって粉粒体材料を円滑に流動させることができる。
【0017】
排出口17の上側部位と同高さに位置される導入口19の少なくとも下側部位とは、導入口19の下端縁から導入口19の上下方向に沿う内径の1/4以上の高さ部位までであってもよく、図例では、概ね1/2程度の高さ部位までとしている。つまり、導入口19の下側略半部を、排出口17の上側部位と同高さに位置させた構成としている。なお、このような態様に代えて、導入口19の下側略四半部以上を排出口17の上側部位と同高さに位置させた構成としてもよく、導入口19の略全体を排出口17と同高さに位置させた構成としてもよい。
【0018】
排出管15は、捕集器本体10の略逆錐形状とされた部位の下端側に設けられている。この排出管15は、軸方向を上下方向に沿わせた略筒状とされている。この排出管15は、略角筒状とされたものでもよいが、本実施形態では、略円筒状とされたものとしている。
この排出管15の下端面となる開口端面16は、斜め下方側に向く傾斜面とされている。この開口端面16の水平面(自重落下方向に直交する面)に対する傾斜角度(開口端面16の下端16aに接する水平面と開口端面16とのなす角)は、省スペース化を図る観点や、排出性、後記する蓋体30による開閉性等の観点から適宜、設定するようにしてもよい。この開口端面16の水平面に対する傾斜角度が余りにも小さ過ぎれば、排出性や開閉性が低下する傾向があり、上記傾斜角度が余りにも大きすぎれば、排出管15自体や蓋体30が大きくなる傾向がある。
【0019】
上記のような観点から、例えば、開口端面16の水平面に対する傾斜角度を、20度~80度程度としてもよく、好ましくは、30度~60度程度としてもよく、図例では、45度程度とした例を示している。このような構成とすれば、蓋体30が後記する待機位置において、蓋体30の当接面32の水平面に対する傾斜角度が開口端面16の傾斜角度以上となるので、一般的な粉粒体材料の安息角以上となり、粉粒体材料の排出性を向上させることができる。
導入管18は、排出管15の側周部に接続されている。この導入管18は、その軸心が排出管15の軸心と略同一平面状となるように排出管15に接続されている。
また、本実施形態では、この導入管18の少なくとも排出管近傍部位18aを、導入口19に向かうに従い下るように傾斜する下り勾配状としている。このような構成とすれば、導入管18を排出管15に対して水平状や上り勾配状に接続したものと比べて、導入された粉粒体材料を排出させる際における粉粒体材料の導入管18側への逆流や導入管18内における滞留を効果的に抑制することができる。
【0020】
本実施形態では、導入管18の全体ではなく、排出管近傍部位となる下流側端部18aを、排出管15との接続部に向かうに従い下り勾配状に傾斜する傾斜管状とし、この下流側端部18aよりも上流側部位(輸送元4側部位)を、略水平方向に軸方向を沿わせた水平管状とした構成としている。つまり、導入管18を、軸方向途中部位において屈曲させた構成としている。傾斜管状とされた下流側端部18aの水平面に対する傾斜角度や軸方向に沿う寸法は、排出管15に粉粒体材料が概ね充満された状態で、導入管18の上流側への粉粒体材料の逆流がないように、また、下流側端部18a内に入り込んだ粉粒体材料の排出性の観点等から適宜の傾斜角度及び軸方向に沿う寸法としてもよい。図例では、下流側端部18aの水平面に対する傾斜角度を、45度程度とした例を示している。なお、導入管18としては、軸方向途中部位において屈折状に屈曲されたものに限られず、湾曲状に屈曲されたものでもよい。また、導入管18を、軸方向の全体に亘って傾斜管状とされたものとしてもよい。なお、このような態様に代えて、導入管18を排出管15に対して水平状や上り勾配状に接続したものとしてもよい。また、図例では、導入管18を略円筒状とされたものとしているが、略角筒状とされたものとしてもよい。
【0021】
また、本実施形態では、第1方向に見て下流側端部18aの軸心を通る仮想線(図2(b)における一点鎖線)と閉鎖位置の蓋体30の当接面32とのなす角θを、90度以上としている。このような構成とすれば、導入管18側への逆流の抑制が可能でありながらも、同なす角θを鋭角としたものと比べて、上方側に向かう気流を円滑に生じさせることができる。図例では、下流側端部18aの軸心を通る仮想線と閉鎖位置の蓋体30の当接面32とのなす角θを、略90度とした例を示しているが、90度超としてもよく、好ましくは、140度以下としてもよく、より好ましくは120度以下としてもよい。なお、このような態様に代えて、同なす角θを、90度未満としてもよい。
【0022】
蓋体30は、本実施形態では、吸引源2による吸引力の作用によって排出口17を閉鎖する一方、落下(流下)する粉粒体材料の荷重によって開放される構成とされている。この蓋体30は、排出管15の開口端面16の少なくとも下端16a側との間に隙間を設けて保持された待機位置から吸引されて閉鎖位置とされる略平板状の蓋部31を有している。このような構成とすれば、静電気等によって粉粒体材料が付着し易い開口端面16の下端16a側に対面する蓋部31の上面となる当接面32に粉粒体材料が付着しているような場合にも、この粉粒体材料を、蓋部31を開口端面16側に吸い上げる際に吸引することができ、噛み込みを抑制することができる。これにより、粉粒体材料の噛み込みに起因する吸引空気のリークを抑制することができ、粉粒体材料を円滑に輸送することができる。蓋部31と開口端面16との隙間は、上記した粉粒体材料の大きさよりも大とすればよい。蓋部31と開口端面16との隙間は、粉粒体材料の大きさの1.1倍~5倍程度でもよく、3倍以下でもよい。
本実施形態では、蓋体30は、待機位置において蓋部31と開口端面16との間に全周に亘って隙間が形成されるように保持される構成とされている。このような構成とすれば、開口端面16周縁部や蓋部31の当接面32に付着している粉粒体材料をより効果的に吸引することができる。
【0023】
蓋部31は、排出管15の排出口17を閉鎖した状態で、開口端面16に略直交する方向に厚さ方向を沿わせて配される略平板状とされている。この蓋部31の厚さ方向一方面が開口端面16に当接される当接面32を構成する。
この蓋部31は、排出管15の排出口17を閉鎖可能なように排出口17よりも大きく形成されている。つまり、蓋部31は、斜め下方側に向く排出管15の開口端面16に対面した状態における開口端面16の外郭寸法よりも蓋部31を厚さ方向に見た状態における蓋部31の外郭寸法が大きくなるように形成されている。
蓋体30は、開口端面16近傍位置では開口端面16に対して蓋部31が略直交状に変位し、開口端面16から離間した位置では第1方向に沿う軸(支軸23)回りに蓋部31が概ね回転するように変位する構成とされている。この蓋体30は、図2(b)において二点鎖線にて示すように、蓋部31が開口端面16に当接されて排出口17を閉鎖する閉鎖位置と蓋部31が排出口17を開放する開放位置との間を変位自在とされている。図例では、開放位置において蓋部31が厚さ方向を概ね水平方向に沿わせて配される構成とした例を示しているが、粉粒体材料の排出が可能であればよく、平面視して蓋部31の一部が排出口17に重なり合うような構成としてもよい。
【0024】
本実施形態では、蓋体30は、排出管15における第1方向両側に位置するように、かつ閉鎖位置の蓋部31の上方側に位置するように設けられ、第1方向に軸方向を沿わせた一対の支軸23,23に保持されている。また、蓋体30の第1方向両側には、一対の支軸23,23がそれぞれに挿通され、蓋部31の厚さ方向に概ね延びるように長孔状とされた軸受孔35,35が設けられている。また、蓋体30は、待機位置から蓋部31が軸受孔35,35の長径方向に概ね沿って移動して閉鎖位置とされる。このような構成とすれば、蓋体30が支軸23,23回りに回転されて開放側に変位し、また、待機位置から蓋部31が軸受孔35,35の長径方向に概ね沿って移動して閉鎖側に変位する。これにより、紐状やチェーン状等の吊下部材によって蓋体を揺動自在に吊り下げたものと比べて、開放側及び閉鎖側に変位する蓋体30の挙動を安定化させることができる。
【0025】
また、本実施形態では、蓋体30は、支軸23,23に支持された自然状態(吸引力や粉粒体材料の荷重が負荷されておらず、蓋体30に支軸23,23以外が当接されていない状態)で、蓋部31の当接面32が開口端面16と平行状または隙間が下方側に向かうに従い大となる構成とされている。このような構成とすれば、蓋部31が閉鎖側に変位する際に、蓋部31の下端31a側が上端31b側よりも先に開口端面16側に変位し難くなり、開口端面16に対して蓋部31の当接面32が概ね平行状となるように蓋部31を閉鎖側に変位させることができる。これにより、静電気等によって粉粒体材料が付着し易い下端31a側の隙間を上端31b側よりも小さくしたようなものと比べて、粉粒体材料の噛み込みを効果的に抑制することができる。本実施形態では、蓋体30を、自然状態で蓋部31の当接面32が開口端面16と平行状となる構成としている。つまり、蓋体30は、支軸23,23に支持された自然状態で、その自重によって蓋部31の当接面32が開口端面16と平行状に位置付けられる構成とされている。
【0026】
また、本実施形態では、第1方向両側の軸受孔35,35を、蓋部31の第1方向両側部から蓋部31厚さ方向に延びるように一体的に設けられた被保持片部34,34に設けた構成としている。このような構成とすれば、蓋部31と被保持片部34,34とを別部材を接合して構成したものや、上記のような吊下部材によって蓋体を吊り下げ支持する構成としたものと比べて、開閉に伴って繰り返し作用する衝撃による経年劣化等を抑制することができる。なお、このような態様に代えて、別体とされた蓋部31と被保持片部34,34とが接合等されて蓋体30が形成されたものでもよい。
【0027】
第1方向両側の被保持片部34,34は、それぞれに設けられた軸受孔35,35を含み、第1方向に見て互いに重なり合うように設けられている。これら被保持片部34,34は、蓋部31の傾斜方向上方側に片寄った位置に設けられている。また、これら被保持片部34,34は、図2(a)に示すように、排出管15の第1方向両側に排出管15から第1方向に間隔を空けて設けられている。これら被保持片部34,34と排出管15との隙間は、上記した粉粒体材料の大きさよりも大としてもよい。このような構成とすれば、被保持片部34,34と排出管15との間において粉粒体材料が噛み込まれるようなことを抑制することができ、蓋部31の動作不良を抑制することができる。被保持片部34,34と排出管15との隙間は、上記同様、粉粒体材料の大きさの1.1倍~5倍程度でもよく、3倍以下でもよい。
これら被保持片部34,34及び軸受孔35,35は、上記したように自然状態で蓋部31の当接面32が開口端面16と平行状となるように形成されている。
【0028】
第1方向両側の軸受孔35,35は、図4(b)に示すように、閉鎖位置において各軸受孔35,35の蓋部側孔縁37,37と支軸23,23との間に粉粒体材料よりも大きな隙間D3が形成されるように長孔状とされている。このような構成とすれば、蓋部31が閉鎖側に変位する際に、軸受孔35,35の蓋部側孔縁37,37と支軸23,23との間に粉粒体材料が付着しているような場合にも、当該部位において粉粒体材料が噛み込まれるようなことを抑制することができ、蓋部31の閉鎖不良を抑制することができる。なお、これら第1方向両側の軸受孔35,35は、互いに同様の構成であるので、以下では一方を例にとって説明する。
軸受孔35の長径D(反蓋部側孔縁36から蓋部側孔縁37までの長径方向に沿う寸法)は、支軸23の軸径D1に、待機位置(蓋部31の当接面32と開口端面16とが平行状とされた待機位置)から閉鎖位置に変位する蓋部31の厚さ方向(軸受孔35の長径方向)に沿う変位量D2及び閉鎖位置における蓋部側孔縁37から支軸23までの長径方向に沿う隙間D3を加えた寸法とされている。この隙間D3の長径方向及び短径方向に沿う寸法は、上記した粉粒体材料の大きさよりも大とすればよく、上記同様、粉粒体材料の大きさの1.1倍~5倍程度でもよく、3倍以下でもよい。
【0029】
また、本実施形態では、軸受孔35の短径方向両側の孔縁38,39のうち支軸23の上面側に対面される上側孔縁38を、蓋部31厚さ方向に延びるように設けた構成としている。このような構成とすれば、支軸23に上側孔縁38を沿わせるようにして蓋部31を円滑に閉鎖側に変位させることができる。
また、軸受孔35の短径方向両側の孔縁38,39のうち支軸23の下面側に対面される下側孔縁39に、当該軸受孔35の短径が反蓋部側よりも蓋部31側において大となるように上側孔縁38に対して傾斜する傾斜部を設けた構成としている。このような構成とすれば、軸受孔35の蓋部31側に支軸23に対して遊びがあることとなる。これにより、軸受孔35の短径を、長径方向の全体に亘って支軸23の軸径D1に応じた径としたものと比べて、蓋部31が閉鎖側に変位する際に、両側の軸受孔35,35の孔縁38,38,39,39に両側の支軸23,23が拗れるようにして引っ掛かったりするようなことを抑制することができ、蓋部31をより円滑に閉鎖側に変位させることができる。
【0030】
本実施形態では、下側孔縁39を、軸受孔35の短径が蓋部31側に向かうに従い大となるように略全体に亘って上側孔縁38に対して傾斜する傾斜部とした構成としている。つまり、下側孔縁39を、反蓋部側孔縁36から蓋部側孔縁37に向かうに従い上側孔縁38から離間させるように傾斜状とした構成としている。なお、このような態様に代えて、下側孔縁39における反蓋部側部位に傾斜部を設け、この傾斜部よりも蓋部31側部位を、上側孔縁38と平行状としたような態様としてもよい。つまり、軸受孔35の蓋部31側部位の短径が長径方向の全体に亘って略同径状とされたものとしてもよい。
また、軸受孔35の最小短径部となる反蓋部側端部の短径は、支軸23の軸径D1に応じた径であればよく、軸径D1よりも僅かに大とされたものでもよい。また、軸受孔35の最大短径部となる蓋部31側端部の短径は、上記のような支軸23の引っ掛かりを抑制する観点や過度ながたつきを抑制する観点等から適宜の径としてもよく、例えば、反蓋部側端部の短径の1.1倍~1.5倍程度としてもよい。なお、このような態様に代えて、軸受孔35の短径を、長径方向の全体に亘って支軸23の軸径D1に応じた径としてもよい。
【0031】
第1方向両側の支軸23,23は、第1方向に軸方向を沿わせて設けられ、互いに同軸状に設けられている。これら支軸23,23は、第1方向に見て、排出管15の軸心よりも第2方向で開口端面16の上端16b側に片寄った位置となるように設けられている。また、これら支軸23,23は、蓋体30が待機位置において、支軸23,23と当接面32とを結ぶ当接面32に直交状の仮想線上に、開口端面16の上端16b部位が概ね位置するように設けられている。
また、本実施形態では、排出管15の周囲を囲むように、かつ排出管15及び蓋体30を収容するカバー部20を設けた構成としている。このような構成とすれば、開閉される蓋体30を保護することができる。また、本実施形態では、支軸23,23を、このカバー部20に設けた構成としている。
【0032】
カバー部20は、図2に示すように、捕集器本体10の略逆錐形状とされた部位と排出管15との境界部分から径方向外側に向けて突出するように設けられたフランジ状の天板部と、この天板部の周縁部から垂れ下がるように設けられた周壁部21,22,22,24と、を備えている。本実施形態では、このカバー部20を、第2方向に間隔を空けて互いに略平行状に設けられた前壁部21及び後壁部24と、第1方向に間隔を空けて互いに略平行状に設けられた両側の側壁部22,22と、を備えた略四角筒状とした構成としている。また、これら前壁部21、両側の側壁部22,22及び後壁部24の下端部に、供給先等の設置対象に接合されるフランジ部を径方向外側に向けて突出させるように設けた構成としている。
【0033】
また、上記した導入管18を、前壁部21を貫通させるように設けた構成としている。また、後壁部24に、開放状態における蓋部31が近接される。また、両側の側壁部22,22に、第1方向両側の支軸23,23をそれぞれに設けた構成としている。図例では、各側壁部22,22を貫通させるように支軸23,23を設けた構成としている。これら支軸23,23は、各側壁部22,22の外側においてカバー部20に対して着脱可能とされたものでもよい。このような構成とすれば、これら支軸23,23を取り外せば、蓋体30を取り外すことができ、清掃やメンテナンス等を容易に行うことができる。なお、図例では、開閉される際に蓋部31の一部(下端部)がカバー部20の下端開口から僅かに突出する構成とした例を示しているが、突出しない構成としてもよく、または、排出管15の下端部も突出するような構成等としてもよい。また、このカバー部20の下端開口が気密的に供給先に接続され、供給先側が密閉状態である場合には、周壁部(前壁部21、両側の側壁部22,22及び後壁部24)等の適所に、空気流通孔を設けた構成としてもよい。このような空気流通孔を設けた構成とすれば、開口端面16周縁部や蓋部31の当接面32に付着している粉粒体材料をより効果的に吸引することができる。
【0034】
また、本実施形態では、図2(a)に示すように、待機位置とされた蓋部31の上端部の下方側への移動を抑止するストッパー部(後記する変位部)28を設けた構成としている。このような構成とすれば、蓋部31が閉鎖側に変位する際に、蓋部31の下端31a側が上端31b側よりも先に開口端面16側に向けて変位するようなことを抑制することができ、粉粒体材料の噛み込みを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、図2及び図3に示すように、蓋部31の上端31b側を上下動させて蓋部31の下端31a側と開口端面16の下端16a側との隙間を調整可能とする隙間調整機構26を設けた構成としている。このような構成とすれば、吸引源2の容量や輸送経路、電源周波数等の外的条件によって吸引源2による吸引力が過大であるような場合には、蓋部31の下端31a側と開口端面16の下端16a側との隙間が大きくなるように調整することで、蓋部31が閉鎖されるまでの時間を長くすることができる。これにより、蓋部31が閉鎖されるまでの間に開口端面16周縁部や蓋部31に付着している粉粒体材料を効果的に吸引することができる。一方、吸引力が過小であるような場合には、蓋部31の下端31a側と開口端面16の下端16a側との隙間が小さくなるように調整することで、蓋部31の閉鎖不良を抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態では、上記のように蓋体30を支軸23,23に支持させた構成としているので、隙間調整機構26によって蓋部31の上端31b側を上下動させれば、蓋体30が支軸23,23回りに回転されて蓋部31の下端31a側が上端31b側とは逆側に上下動されることとなるので、隙間を精度良く調整することができる。
また、本実施形態では、この隙間調整機構26には、蓋部31の上端31b側を上下動させる変位部28を変位させる操作部27がカバー部20外に位置するように設けられている。このような構成とすれば、カバー部20外の操作部27を操作することで蓋部31の上端31b側を上下動させることができ、カバー部20を分解等して隙間調整機構26を調整する必要があるものと比べて、作業性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、操作部27を、カバー部20の後壁部24の外側面に沿って上下に変位自在に設け、この操作部27の上端側に連なるように設けられた変位部28を蓋部31の上端部の下面側に当接させた構成としている。このような構成とすれば、操作部27を上下に変位させることで蓋部31の下端31a側と開口端面16の下端16a側との隙間を調整することができ、例えば、カム状の変位部を回転させる操作部を設けたようなものと比べて、直感的に隙間調整を行うことができる。また、蓋部31が開放位置とされれば、排出管15と操作部27及び変位部28との間に蓋部31が位置することとなる。これにより、例えば、変位部28が蓋部31の上端部の上方側に設けられたものや、第1方向に架け渡されるように設けられたものと比べて、排出管15から排出される粉粒体材料の変位部28等への付着を抑制することができる。
【0037】
操作部27は、後壁部24の厚さ方向(第2方向)に厚さ方向を沿わせて配される略板状とされている。隙間調整機構26には、上下に調整された操作部27の上下位置を固定する固定部材29が設けられている。図例では、操作部27に、厚さ方向に貫通し上下に長径状とされた長孔27aを設けた構成とし、固定部材29を、この長孔27aに軸部が挿通され、操作部27を後壁部24に対して固定するボルトとした例を示している。また、図例では、長孔27aに上下に間隔を空けて2つの固定部材29,29の軸部を挿通させた例を示している。後壁部24には、これら固定部材29,29の軸部がねじ合わされる雌ねじ孔が設けられている。なお、操作部27の長孔27aの長径は、所望される蓋部31の下端31a側と開口端面16の下端16a側との隙間の調整幅に応じて適宜の寸法とすればよい。また、上下に変位される操作部27を後壁部24に対して固定する態様としては、上記のような長孔27aに挿通される固定部材29によるものに限られず、その他、種々の変形が可能である。
【0038】
変位部28は、操作部27の上端部から上方側に向けて延びるように設けられている。本実施形態では、この変位部28は、後壁部24に設けられた開口25内に配される蓋部31の上端部の下面側に当接される構成とされ、待機位置とされた蓋部31の上端部の下方側への移動を抑止するストッパー部としても機能する。開口25は、図2に示すように、後壁部24を厚さ方向に貫通して設けられ、後壁部24の厚さ方向に見て略方形孔状とされている。
また、変位部28は、操作部27の上端部からカバー部20内側に向けて屈曲されるように設けられた屈曲部を介して操作部27の上端側に設けられ、開口25内において上下に変位される構成とされている。図例では、変位部28の第2方向に沿う厚さ寸法を後壁部24の厚さ寸法と概ね同寸法とした例を示している。なお、上下に変位される操作部27や変位部28に干渉しないように、開口25の上側部位を覆う透光性を有したカバー等を設けた構成としてもよい。
また、変位部28を、第1方向に間隔を空けて対状(二股状)に設けた構成としている。つまり、二本の変位部28,28を第1方向に間隔を空けて設けた構成としている。
【0039】
上記構成とされた隙間調整機構26の操作部27を、図3(a)に示すように、下限位置とすれば、つまり、固定部材29,29に対して長孔27aの長径方向に沿って操作部27を下方側に向けて最大限移動させた位置では、変位部28及び蓋部31の上端31bも下限位置とされる。この下限位置では、開口端面16の下端16aと蓋部31との隙間(蓋部31厚さ方向に沿う隙間)が最小とされる。図例では、この下限位置において、蓋部31の当接面32と開口端面16とが略平行状となる構成としている。つまり、この下限位置では、開口端面16と蓋部31の当接面32との隙間が開口端面16の全周に亘って略均一とされる。この状態における隙間が上記したように粉粒体材料の大きさよりも大であればよく、上記同様、粉粒体材料の大きさの1.1倍~5倍程度でもよく、3倍以下でもよい。
【0040】
一方、操作部27を、図3(b)に示すように、上限位置とすれば、つまり、固定部材29,29に対して長孔27aの長径方向に沿って操作部27を上方側に向けて最大限移動させた位置では、変位部28及び蓋部31の上端31bも上限位置とされる。この上限位置では、開口端面16の下端16aと蓋部31との隙間が最大とされる。この上限位置における開口端面16の下端16aと蓋部31との隙間は、下限位置における同隙間の1.5倍~5倍程度でもよく、図例では、2.5倍程度とした例を示している。
また、この上限位置では、開口端面16の下端16aと蓋部31との隙間が開口端面16の上端16bと蓋部31との隙間よりも大とされる。また、開口端面16の上端16bと蓋部31との隙間は、下限位置と上限位置との間のいずれの位置においても概ね同一とされている。
【0041】
また、本実施形態では、蓋部31の上端部を被検出部31cとして検出する非接触式検出器6を設けた構成としている。このような構成とすれば、排出口17の下方側に、粉粒体材料の有無を検出する材料センサーやそのためのスペースを設ける必要性を低減することができ、上下寸法のコンパクト化を図ることができる。
また、非接触式検出器6を、隙間調整機構26によって上下動される蓋部31の上端部に応じて位置調整可能なように上下に変位自在としている。このような構成とすれば、非接触式検出器6を、蓋部31の上端部に応じた位置となるように位置調整することができる。
【0042】
非接触式検出器6は、本実施形態では、後壁部24の外側から後壁部24側に検出面7が向くように配されている。また、この検出面7は、後壁部24に設けられた開口25内に配される蓋部31の被検出部31cを検出する構成とされている。
また、非接触式検出器6は、検出面7に対して接離(接近・離反)する被検出部31cが所定の検出領域内に存在すれば、被検出部31cを検出(ON)する一方、被検出部31cが同検出領域外であれば、非検出(OFF)状態となる構成とされている。本実施形態では、非接触式検出器6は、待機位置の蓋部31の被検出部31cを検出する構成とされている。つまり、待機位置とされた蓋部31の被検出部31cが非接触式検出器6の検出面7に最も近接する構成としている。
【0043】
このような非接触式検出器6としては、電磁誘導式や、静電容量式、超音波式、光電式等の近接スイッチ(センサー)を採用するようにしてもよい。なお、上記した変位部28は、この非接触式検出器6に検出されないように二股状とされている。
また、この非接触式検出器6は、カバー部20に設けられたL型ブラケット状の支持部8に対して上下に位置調整可能に支持されている。図例では、支持部8に、上下に長径状の長孔9を設け、非接触式検出器6を長孔9の長径方向に沿って上下に位置調整可能な構成とした例を示しているが、このような態様に限られない。
【0044】
蓋部31の被検出部31cは、蓋部31の上端側部位の第1方向中央部を、その両側部位よりも延出させるように形成された上端部に設けられている。また、本実施形態では、この被検出部31cを、待機位置において概ね垂直面状となるように蓋部31厚さ方向に対して傾斜する傾斜面とした構成としている。このような構成とすれば、非接触式検出器6の検出面7に対面される被検出部31cの面積を効果的に大きくすることができる。
また、本実施形態では、図2に示すように、蓋部31の上端部に、被検出部31cの下方側において開口するように貫通孔33を設けた構成としている。この貫通孔33は、待機位置から開放側に変位する蓋部31の被検出部31cを非接触式検出器6が検出しないように設けられている。なお、蓋部31は、少なくとも非接触式検出器6に検出される被検出部31cが金属系材料等の導体から形成されたものでもよく、蓋体30の全体が金属系材料等の導体から形成されたものとしてもよい。
【0045】
上記構成とされた捕集装置1においては、例えば、以下のようにして粉粒体材料の捕集及び排出がなされる。なお、以下のような基本動作は、吸引源2や非接触式検出器6に信号線等を介して接続され、制御盤に設けられたCPU等の制御部によって各部が制御されて実行される。
図2(b)において実線にて示すように、吸引源2(図1参照)が停止され、捕集器本体10内に粉粒体材料が捕集されていない状態では、蓋体30が待機位置とされ、非接触式検出器6が蓋体30の被検出部31cを検出している状態とされる。つまり、この状態では、蓋体30には、吸引源2による吸引力及び粉粒体材料の荷重が作用しておらず、空状態、つまりは材料要求状態となる。なお、非接触式検出器6による被検出部31cの検出状態が所定の遅延時間が経過するまで継続すれば、材料要求状態と判断するようにしてもよい。
【0046】
上記のように材料要求状態と判断されれば、吸引源2が駆動され、捕集器本体10内が負圧となり、図2(b)において二点鎖線及び図4(b)において実線にて示すように、蓋体30の蓋部31が吸引されて待機位置から閉鎖位置とされ、輸送元4から粉粒体材料が当該捕集装置1に向けて空気輸送される。
このように空気輸送された粉粒体材料は、下端側の導入口19から捕集器本体10内に導入され、上方側に向かう気流によって捕集器本体10内において流動・拡散され、粉粒体材料に含まれる粉塵等が分離機構13を介して輸送空気とともに吸引接続管12を介して捕集器本体10外に排出される。また、複数種の粉粒体材料を当該捕集装置1において捕集する場合には、捕集器本体10内において流動・拡散され、混合がなされる。
【0047】
そして、例えば、所定の輸送時間が経過すれば、吸引源2を停止させる。これにより、閉鎖位置とされた蓋体30には、その自重に加え、落下する粉粒体材料の荷重が作用し、図2(b)において二点鎖線にて示すように、落下する粉粒体材料によって蓋体30が押し退けられるようにして支軸23,23回りに回転して開放位置とされ、排出口17が開放される。つまり、蓋体30は、閉鎖位置から待機位置を経て、落下する粉粒体材料によって言わば退避するように移動し、開放位置とされる。これにより、当該捕集装置1において捕集した粉粒体材料が排出される。このように蓋体30が開放位置とされれば、蓋体30の被検出部31cが非接触式検出器6の検出領域外となり、材料有状態となる。
【0048】
そして、供給先における粉粒体材料の消費(処理)に伴い、材料レベルが低下し、上記のように開放位置とされた蓋体30に作用する粉粒体材料の荷重が小さくなったり、消失すれば、蓋体30は、その自重によって待機位置に復帰する。これにより、蓋体30の被検出部31cが非接触式検出器6の検出領域内となり、上記同様、検出状態が所定の遅延時間が経過するまで継続すれば、材料要求状態と判断し、吸引源2を駆動させ、粉粒体材料の輸送・捕集・排出がなされ、以下同様の動作が繰り返される。
なお、上記した基本動作は一例に過ぎず、その他、種々の変形が可能である。例えば、開放位置の被検出部31cを検出するように非接触式検出器6を設けた構成とし、待機位置となれば、つまり、非検出となれば、材料要求状態と判断するような態様等としてもよい。この場合は、非接触式検出器6を設ける位置等を適宜、変形するようにすればよい。
【0049】
また、本実施形態では、蓋部31の被検出部31cを検出する非接触式検出器6を設けた例を示しているが、このような非接触式検出器6を設けていない構成としてもよい。この場合は、捕集器本体10や排出管15の下方側等の適所に適宜のレベル計等を設けた構成としてもよい。
また、本実施形態では、隙間調整機構26の変位部28を、蓋部31の上端部を押し上げるように変位させる態様とされたものとした例を示しているが、蓋部31の上端部を引っ張り上げるように変位させる態様等とされたものとしてもよい。また、変位部28を、上下に変位される操作部27とともに上下に変位される構成とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、第1方向に沿う軸回りに回転される軸に設けられ、蓋部31の上端部を上下動させるカム状部を変位部28として設けたような構成等としてもよい。蓋部31の上端31b側を上下動させる隙間調整機構26としては、上記したような態様に限られず、その他、種々の変形が可能である。さらには、このような隙間調整機構26を設けていない構成としてもよい。
【0050】
また、本実施形態では、待機位置において、蓋部31と開口端面16との間に開口端面16の全周に亘って隙間が形成される構成とした例を示しているが、開口端面16の少なくとも下端16a側と蓋部31との間に隙間が形成される構成としてもよい。
また、本実施形態では、蓋体30の軸受孔35を、閉鎖位置において軸受孔35の蓋部側孔縁37と支軸23との間に粉粒体材料よりも大きな隙間D3が形成されるように長孔状とした例を示しているが、このような隙間D3が形成されない構成としてもよい。
また、本実施形態では、蓋体30に設けられた長孔状の軸受孔35に挿通される支軸23によって蓋体30を開閉自在に保持する構成とした例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、蓋体30(蓋部31)と捕集器本体10側とを、紐状やチェーン状、ベルト状、アーム状、複数部材を連結して構成された多関節状等の吊下部材によって連結したような構成等としてもよい。蓋体30を開閉自在に保持する態様としては、その他、種々の変形が可能である。
【0051】
また、排出口17を開閉する蓋体30としては、待機位置から吸引されて閉鎖位置とされるものに限られず、適宜の駆動機構によって開口端面16に押し付けられるプッシュダンパー状のものや、適宜の駆動機構によって開口端面16に対して平行状にスライドされるスライドダンパー状のものでもよく、その他、種々の構成とされたものの採用が可能である。
また、本実施形態では、空気輸送源を吸引源2とし、輸送元4の粉粒体材料を当該捕集装置1に向けて吸引輸送する態様とした例を示しているが、このような態様に限られない。輸送元4の排出部等に高圧の輸送空気を導入する圧縮空気源を空気輸送源として設け、粉粒体材料を当該捕集装置1に向けて圧送する態様としてもよい。この場合は、捕集器本体10の適所に、排気管や、塵埃等を捕捉する集塵部等を設けた構成等としてもよい。本実施形態に係る捕集装置1が備える各部材の具体的構成としては、上記した構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 粉粒体材料の捕集装置
15 排出管
16 開口端面
17 排出口
18 導入管
18a 下流側端部(排出管近傍部位)
19 導入口
30 蓋体(弁体)
32 当接面
θ 下流側端部の軸心を通る仮想線と閉鎖位置の蓋体の当接面とのなす角
図1
図2
図3
図4