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特許7197915エンザスタウリンの活性を予測するための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】エンザスタウリンの活性を予測するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20221221BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20221221BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20221221BHJP
   C12Q 1/6874 20180101ALI20221221BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20221221BHJP
   C12Q 1/6862 20180101ALI20221221BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
G01N33/50 P
C12N15/09 200
C12Q1/6874 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6862 Z
C12M1/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019512609
(86)(22)【出願日】2017-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 US2017049747
(87)【国際公開番号】W WO2018045240
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-26
(31)【優先権主張番号】62/414,601
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/382,734
(32)【優先日】2016-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519068814
【氏名又は名称】デノボ バイオファーマ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ルオ, ウェン
(72)【発明者】
【氏名】スン, ホン
【審査官】白井 美香保
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-506459(JP,A)
【文献】Denovo Biopharma acquires late-stage oncology drug from Lilly for development as a personalized medicine,DENOVO BIOMARKERS HOMEPAGE [ONLINE],2014年09月16日,http://www.denovobiopharma.com/Denovo_Lilly_News.html,[検索日令和3年5月26日]
【文献】NEURO-ONCOLOGY,2011年,Vol.13, No.12,p.1331-1338
【文献】MOLECULAR CANCER THERAPEUTICS,2010年,Vol.9, No.10,p.2814-2824
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)または神経膠腫/膠芽腫(GBM)のためのがん処置に対する被験体のあり得る応答性を示すためのマイクロアレイであって、前記被験体は、エンザスタウリンでのがん処置を受けている最中であるかまたはエンザスタウリンでのがん処置について検討されており、前記マイクロアレイは、担体および前記担体上に直接的または間接的に固定化されている少なくとも2つの単離されたポリヌクレオチドを含み、前記少なくとも2つの単離されたポリヌクレオチドは、rs309605およびrs309604ならびにこれらの相補的な一塩基多型(SNP)からなる群より選択される少なくとも2つのSNPを含む、マイクロアレイ。
【請求項2】
びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)または神経膠腫/膠芽腫(GBM)のためのがん処置に対する被験体のあり得る応答性を示すための医薬組成物であって、前記被験体は、エンザスタウリンでのがん処置を受けている最中であるかまたはエンザスタウリンでのがん処置について検討されており、前記医薬組成物は、rs309605およびrs309604ならびにこれらの相補的な一塩基多型(SNP)からなる群より選択される少なくとも2つのSNPを検出するための、試薬を含む、
医薬組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のマイクロアレイまたは請求項2に記載の医薬組成物の試薬を含み、必要に応じて、使用についての指示を含む、キット。
【請求項4】
エンザスタウリンでのびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)または神経膠腫/膠芽腫(GBM)のためのがん処置を受けている最中であるかまたはエンザスタウリンでのびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)または神経膠腫/膠芽腫(GBM)のためのがん処置について検討されている被験体から得た生物学的サンプルからの1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)のアッセイ結果に基づく出力を、前記処置に対する前記被験体のあり得る応答性についてのコンパニオン診断の指標とする方法であって、必要に応じて前記生物学的サンプルは、前記生物学的サンプルからの単離されたゲノムDNAであり、前記方法は、
a)前記1種もしくはこれより多くのSNPに関して、前記生物学的サンプルをアッセイする工程であって、前記1種もしくはこれより多くのSNPは、rs309605およびrs309604ならびにこれらの相補的な一塩基多型(SNP)からなる群より選択される、工程;ならび
)前記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいて前記力を生成する工程であって、前記アッセイ結果に基づく前記出力は、前記処置に対する前記被験体のあり得る応答性を示す、工程、
を包含する、方法。
【請求項5】
エンザスタウリンでのびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)または神経膠腫/膠芽腫(GBM)のためのがん処置を受けている最中であるかまたはエンザスタウリンでのびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)または神経膠腫/膠芽腫(GBM)のためのがん処置について検討されている被験体から得た生物学的サンプルからの1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)のアッセイ結果に基づく出力を、前記処置の適格性に関して前記被験体を分類するための指標とする方法であって、必要に応じて前記生物学的サンプルは、前記生物学的サンプルからの単離されたゲノムDNAであり、前記方法は、
a)前記1種もしくはこれより多くのSNPに関して、前記生物学的サンプルをアッセイする工程であって、前記1種もしくはこれより多くのSNPはrs309605およびrs309604ならびにこれらの相補的なSNPからなる群より選択される、工程;ならび
)前記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいて前記出力を生成する工程であって、前記アッセイ結果に基づく前記出力が、前記被験体が前記処置または継続処置に適格か不適格かを示す、工程を包含する方法。
【請求項6】
エンザスタウリンでのびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)または神経膠腫/膠芽腫(GBM)のためのがん処置を受けている最中であるかまたはエンザスタウリンでのびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)または神経膠腫/膠芽腫(GBM)のためのがん処置について検討されている被験体または被験体の集団から得た生物学的サンプルからの1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)のアッセイ結果に基づく出力を、前記処置に関して前記被験体または前記被験体の集団をスクリーニングするための指標とする方法であって、必要に応じて前記生物学的サンプルは、前記生物学的サンプルからの単離されたゲノムDNAであり、前記方法は、
a)1種もしくはこれより多くのSNPに関して、前記生物学的サンプルをアッセイする工程であって、前記1種もしくはこれより多くのSNPはrs309605およびrs309604ならびにこれらの相補的なSNPからなる群より選択される、工程;ならび
)前記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいて前記出力を生成する工程であって、前記アッセイ結果に基づく前記出力が、前記被験体もしくは前記集団が、前記処置もしくは継続処置から利益を得る可能性があるか否かを示すか、および/または前記アッセイ結果に基づく前記出力が、前記被験体もしくは前記集団が、前記処置もしくは継続処置から有害作用を経験する可能性があるか否かを示す、工程、
を包含する方法。
【請求項7】
エンザスタウリンでのびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)または神経膠腫/膠芽腫(GBM)のためのがん処置を受けている最中である被験体から得た生物学的サンプルからの1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)のアッセイ結果に基づく出力を、前記処置の間に前記被験体をモニターするための指標とする方法であって、必要に応じて前記生物学的サンプルは、前記生物学的サンプルからの単離されたゲノムDNAであり、前記方法は、
a)前記1種もしくはこれより多くのSNPに関して、前記生物学的サンプルをアッセイする工程であって、前記1種もしくはこれより多くのSNPは、rs309605およびrs309604ならびにこれらの相補的なSNPからなる群より選択される、工程;ならび
)前記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいて前記出力を生成する工程であって、前記アッセイ結果に基づく前記出力が前記被験体が継続処置を受けるべきか否かを示す、工程、
を包含する方法。
【請求項8】
前記アッセイ結果に基づく前記出力が、前記被験体を前記処置に供されるべきか否か、または前記処置を前記被験体に対して継続するか否かを示す、請求項4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記アッセイ結果に基づく前記出力が、前記処置を前記被験体に推奨しないか否かまたは前記被験体に前記処置を止めさせるか否かを示す、請求項4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程(a)は、rs309605およびrs309604について、前記生物学的サンプルをアッセイすることを含む、請求項4~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記SNPまたは複数のSNPは、シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、キャピラリー電気泳動、質量分析法、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLCおよびゲル電気泳動、制限断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、一塩基伸長(SBE)、アレル特異的プライマー伸長(ASPE)、制限酵素消化、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介性増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、プライマー伸長、ローリングサークル増幅(RCA)、自家持続配列複製(3SR)、ループ媒介性等温増幅(LAMP)、ハイブリダイゼーション、核酸シーケンシング、および/またはマイクロアレイによってアッセイされ、
必要に応じてここで前記核酸シーケンシングは、マクサム-ギルバートシーケンシング、チェーンターミネーション法、ショットガンシーケンシング、ブリッジPCR、一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体(イオントレントシーケンシング)、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング(SOLiDシーケンシング)、チェーンターミネーション(サンガーシーケンシング)、大規模並行シグネチャーシーケンシング(MPSS)、ポロニーシーケンシング、454パイロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、ヘリスコープ一分子シーケンシング、一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、トンネル電流DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析法を用いるシーケンシング、微量流体サンガーシーケンシング、顕微鏡法ベースの技術、RNAPシーケンシング、およびインビトロウイルスハイスループットシーケンシングからなる群より選択される、
請求項4~10のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2016年9月1日に出願された表題「Compositions and Methods Using a Pharmacogenomics Marker」の米国仮出願第62/382,734号、および2016年10月28日に出願された表題「Compositions and Methods Using a Pharmacogenomics Marker」の米国仮出願第62/414,601号(これらの出願の内容は、全ての目的のためにそれらの全体が参考として本明細書に援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
以下のASCIIテキストファイルでの提出の内容は、その全体において本明細書に参考として援用される:配列表(ファイル名:669602000440SeqList.txt、記録した日:2017年8月30日、サイズ:5,903バイト)のコンピューター読み取り可能な形態(CRF)。
【0003】
技術分野
本発明は、1種もしくはこれより多くのゲノム生体マーカー、ならびに治療剤に対する変動性の個々の応答(例えば、有効性または有害作用のような)を予測するための関連する診断法、デバイス、試薬、システム、およびキットを適用する、薬理ゲノミクスの分野に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
薬理ゲノミクスは、薬物処置に対する被験体の応答に影響を及ぼす遺伝性の形質の研究である。薬物処置に対する差次的な応答が、薬物代謝に影響を及ぼす根底にある遺伝的多型(ときおり変異と称される遺伝的バリエーション)に起因し得る。これらの遺伝的多型に関して被験体を検査することは、有害薬物反応を防止し、適切な薬物投与レジメンを促進する一助となり得る。
【0005】
臨床状況において、薬理ゲノミクスは、医師が各個々の被験体に適切な薬剤、およびこれらの薬剤の適切な投与量を選択することを可能にし得る。すなわち、薬理ゲノミクスは、所定の治療に対して応答するために適切な遺伝的構成を有する被験体を同定し得る。さらに、薬理ゲノミクスは、その適切な処置(または処置なし)の決定が行われ得るように、薬学的化合物の代謝を制御する遺伝子における遺伝的バリエーションを有する被験体を同定し得、そして適切な投与量が投与され得る。
【0006】
がんは、広範囲な不均一性を有する疾患である。従来の組織学的および臨床的特徴は、がんの予後に相関し得るが、同じみかけの腫瘍の予後タイプであっても、患者の治療に対するその応答性および結果としての生存は広く変動する。新たな予後および予測マーカーは、各患者の治療の個別化を促進し、クリニックにおける処置(例えば、小分子または生物学的分子の薬物)に対する患者の応答を正確に予測するために必要とされる。処置に対する患者の感受性をよりよく予測し得る新たなパラメーターの同定によって、その課題が解決され得る。患者サンプルの分類は、がんの診断および処置の極めて重要な局面である。処置に対する患者応答と、分子および遺伝的マーカーとの関連は、応答していない患者における処置の開発に新たな機会を開き得るか、または有効性におけるより高い信頼度のおかげで、他の処置選択肢の中から処置の適応症を区別し得る。さらに、医療、薬物、または併用療法に対して十分に反応する可能性がある患者の予備選択は、臨床研究において必要とされる患者の数を低減し得るか、または臨床開発プログラムを完了させるために必要とされる時間を加速し得る。どの患者が抗血管形成治療に対して応答しつつあるかを決定するか、または患者における薬物感受性を予測できるということは、特に難題である。なぜなら薬物応答は、標的細胞に固有の特性のみならず、宿主の代謝特性をも反映し得るからである。遺伝情報を使用して、薬物応答を予測またはモニターする試みは主に、広い効果を有する個々の遺伝子(例えば、多剤耐性遺伝子mdrlおよびmrpl)に焦点をあててきた。
【0007】
患者における薬物感受性を決定し、応答をモニターして、分子レベルにおける患者応答に基づいて疾患および障害の個別化処置の開発を可能にするための新たなおよび代替の組成物および方法が必要である。薬理ゲノミクスは、がん処置および予後のための新たなおよび改善された組成物および方法を発見および/または開発するために使用され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
要旨
この要旨は、本願主題の範囲を限定するために使用されることは意図されない。本願主題の他の特徴、詳細、有用性、および利点は、添付の図面および添付の特許請求の範囲において開示されるそれら局面を含め、詳細な説明から明らかになる。
【0009】
一局面において、本開示は、疾患(例えば、リンパ腫、神経膠腫/膠芽腫、および他のがん)を処置するために、がん処置レジメン(例えば、エンザスタウリン)を受ける患者の中で、異なる応答(例えば、有効性、有害作用、および他のエンドポイント)と相関する1種もしくはこれより多くのゲノム生体マーカーを記載する。上記生体マーカーまたは複数の生体マーカーは、薬物応答を予測し、そして有益である者に対してのみ薬物を適用する、ならびに/または処置に起因する負の転帰および/もしくは有害作用を有し得る者を排除する一助となり得るコンパニオン診断検査において使用され得る。
【0010】
一局面において、本発明は、rs309605、rs309604、および他のSNP(例えば、表1A~1Hおよび表2のもの)、またはこれらの相補的な配列、および/またはこれらと連鎖不平衡にある配列からなる群より選択される一塩基多型(SNP)を含む生体マーカーの一団(panel)を提供する。いくつかの実施形態において、上記生体マーカーは、配列番号1~28に示されるヌクレオチド配列、例えば、配列番号1および配列番号2、またはこれらの相補的な配列、および/またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含み得る。いくつかの実施形態において、上記生体マーカーはまた、着色尿を含み得、これはまた、エンザスタウリン有効性と関連する。
【0011】
さらなる局面において、本明細書で開示される生体マーカーの評価のための試薬が本明細書で提供され、これは、SNPをアッセイするための1種もしくはこれより多くの分子を含み得る。いくつかの実施形態において、上記分子は、オリゴヌクレオチドまたはポリペプチドであり得る。いくつかの実施形態において、上記オリゴヌクレオチドは、配列番号1~28に示されるヌクレオチド配列、例えば、配列番号1および配列番号2、またはこれらの相補的な配列を含み得る。いくつかの実施形態において、SNPは、PCR、シーケンシング、キャピラリー電気泳動、質量分析法、一本鎖高次構造多型(single-strand conformation polymorphism)(SSCP)、電気化学分析、変性HPLCおよびゲル電気泳動、制限断片長多型(restriction fragment length polymorphism)、ハイブリダイゼーション分析、一塩基伸長、ならびに/またはマイクロアレイによってアッセイされ得る。
【0012】
さらなる局面において、単離された生体マーカーの一団の評価のためのキットが本明細書で提供され、これは、本明細書で開示される試薬を含む。いくつかの実施形態において、上記生体マーカーまたは複数の生体マーカーは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)を含む。いくつかの実施形態において、上記キットは、コンパニオン診断検査を行うための生体マーカーの使用についての指示をさらに含み得る。
【0013】
さらに別の局面において、処置のためのコンパニオン診断検査が本明細書で提供される。例えば、上記コンパニオン診断検査は、以下からなる群より選択される1種もしくはこれより多くのマーカーを使用する:rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的な配列、およびこれらと連鎖不平衡にある配列。例えば、上記コンパニオン診断検査は、以下からなる群より選択される1種もしくはこれより多くのマーカーを含む単離された生体マーカーの一団を使用する:rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的な配列、およびこれらと連鎖不平衡にある配列。いくつかの実施形態において、上記コンパニオン診断検査は、a)生物学的サンプルを、処置を受けている最中であるかもしくは処置について検討されている被験体から得る工程;b)ゲノムDNAを、上記生物学的サンプルから単離する工程;c)生体マーカーの上記一団をアッセイする工程;d)生体マーカーの上記一団のアッセイ結果に基づいてコンピューターアルゴリズムで、出力を生成する工程;および/またはe)上記処置に対する上記被験体のあり得る応答性を決定する工程を包含し得る。いくつかの実施形態において、上記SNPは、PCR、シーケンシング、キャピラリー電気泳動、質量分析法、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLCおよびゲル電気泳動、制限断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、一塩基伸長、ならびに/またはマイクロアレイによってアッセイされ得る。
【0014】
一局面において、本明細書で開示されるSNP、例えば、rs309605ならびに表1A~1Hおよび表2中のもののうちの2種、3種、4種もしくはこれより多くと関連するおよび/または連鎖する、単離された生体マーカーの一団が、本明細書で開示される。別の局面において、本明細書で開示されるSNP、例えば、rs309605ならびに表1A~1Hおよび表2中のもののうちの1種、2種、3種、4種もしくはこれより多くと関連するおよび/または連鎖する、1種もしくはこれより多くの単離された生体マーカーを使用する、処置に関するコンパニオン診断検査が、本明細書で開示される。
【0015】
本明細書で開示されるコンパニオン診断検査を使用して疾患処置に対する被験体の応答を予想する方法が、さらに提供される。いくつかの実施形態において、上記処置は、エンザスタウリンまたは他のPKC-βインヒビターを使用する治療レジメンを包含し得る。いくつかの実施形態において、上記疾患は、DLBCL、膠芽腫、肺がん、前立腺がん、および乳がんからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記処置から利益を得る可能性がある患者を選択するおよび/または上記処置から有害作用を経験する可能性がある患者を排除するために使用される。
【0016】
なお別の局面において、本明細書で開示される単離された生体マーカーの一団を使用して新たな生体マーカーを同定するための方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記新たな生体マーカーは、DNA、RNA、ポリペプチド、siRNAまたは生体マーカーの別の形態であり得る。本明細書で開示される単離された生体マーカーの一団を使用して薬物標的を同定するための方法がさらに、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記薬物標的は、生体マーカーに関する生物学的経路に基づいて同定され得、ここで上記生物学的経路は、本明細書で開示されるSNP(複数可)(例えば、rs309605またはrs309604)によって影響を及ぼされ得るゲノム領域に関するかまたはこれによって調節される遺伝子から選択され得る。
【0017】
一局面において、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される一塩基多型(SNP)を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる単離されたポリヌクレオチドが、本明細書で開示される。一実施形態において、本開示の単離されたポリヌクレオチドでは、上記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、またはrs309601である。別の実施形態において、上記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、またはrs309601である。さらに別の実施形態において、上記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、またはrs7836309である。一実施形態において、上記SNPは、rs309605またはrs309604である。
【0018】
別の局面において、前述の実施形態のうちのいずれか1つに記載の単離されたポリヌクレオチドのうちの2種もしくはこれより多く、3種もしくはこれより多く、4種もしくはこれより多く、または5種もしくはこれより多くを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる単離されたポリヌクレオチドの一団が本明細書で開示される。一実施形態において、上記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、およびrs309601のうちの2種もしくはこれより多く、3種もしくはこれより多く、4種もしくはこれより多く、5種もしくはこれより多く、または全てを含む。別の実施形態において、上記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、およびrs309601のうちの2種もしくはこれより多く、3種もしくはこれより多く、4種もしくはこれより多く、5種もしくはこれより多く、または全てを含む。さらに別の実施形態において、上記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、およびrs7836309のうちの2種もしくはこれより多く、3種もしくはこれより多く、4種もしくはこれより多く、または全てを含む。一実施形態において、上記SNPは、rs309605および/またはrs309604を含む。
【0019】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1~28に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含み得るか、これらからなり得るか、またはこれらから本質的になり得る。一実施形態において、上記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1~11、15~21、および28に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。一実施形態において、上記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1~5に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。別の実施形態において、上記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1~2に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる。
【0020】
一局面において、前述の実施形態のうちのいずれか1つに記載される単離されたポリヌクレオチドまたは一団を含むキットが本明細書で開示され、そのキットは、必要に応じて、使用についての指示を含む。
【0021】
別の局面において、担体、および上記担体上に直接的または間接的に固定化される、前述の実施形態のうちのいずれか1つに記載の単離されたポリヌクレオチドまたは一団を含むマイクロアレイが、本明細書で提供される。
【0022】
さらに別の局面において、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)を検出するための試薬が、本明細書で開示される。一実施形態において、上記試薬は、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、およびrs309601からなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPを検出するためのものである。一実施形態において、上記試薬は、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、およびrs309601からなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPを検出するためのものである。一実施形態において、上記試薬は、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、およびrs7836309からなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPを検出するためのものである。一実施形態において、上記試薬は、rs309605および/またはrs309604を検出するためのものである。
【0023】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~28に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含み得る。一実施形態において、上記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~11、15~21、および28に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む。別の実施形態において、上記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~5に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む。別の実施形態において、上記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~2に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む。
【0024】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記試薬は、上記SNPまたは複数のSNPをアッセイするための1種またはこれより多くの分子を含み得る。一実施形態において、上記1種またはこれより多くの分子は、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを含む。一実施形態において、上記オリゴヌクレオチドは、配列番号1~28に示される配列、またはこれらの相補的な配列を含む。前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記オリゴヌクレオチドは、上記SNPまたは複数のSNPを遺伝子型決定するための1種またはこれより多くのプライマーを含み得る。
【0025】
一局面において、前述の実施形態のうちのいずれかに記載の試薬を含むキットが、本明細書で開示され、そのキットは、必要に応じて、使用についての指示を含む。別の局面において、前述の実施形態のうちのいずれかに記載の単離されたポリヌクレオチドまたは一団を含むキットが、本明細書で開示され、そのキットは、必要に応じて、使用についての指示を含む。一実施形態において、上記単離されたポリヌクレオチドまたは一団は、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、およびrs309601からなる群より選択されるSNPを含み、そして上記試薬は、上記SNP(複数可)を検出し得る。別の実施形態において、上記一団は、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、および/またはrs7836309を含み、そして上記試薬は、上記SNPを検出し得る。一実施形態において、上記一団は、rs309605および/またはrs309604を含み、そして上記試薬は、上記SNPを検出し得る。
【0026】
前述のキット実施形態のうちのいずれかにおいて、上記試薬は、上記SNP(複数可)を検出し得、そして上記単離されたポリヌクレオチドまたは一団は、検出アッセイのコントロールとして働き得る。
【0027】
一局面において、担体、および上記担体上に直接的または間接的に固定化された前述の実施形態のうちのいずれか1つに記載される試薬を含むマイクロアレイが、本明細書で開示される。別の局面において、担体、および上記担体上に直接的または間接的に固定化された前述の実施形態のうちのいずれか1つに記載される単離されたポリヌクレオチド、一団、または試薬を含むマイクロアレイが、本明細書で開示される。一実施形態において、上記試薬は、上記SNP(複数可)を検出し得、そして上記単離されたポリヌクレオチドまたは一団は、検出アッセイのコントロールとして働く。
【0028】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記キット、試薬、またはマイクロアレイは、単離された生体マーカーまたは単離された生体マーカーの一団の評価のために使用され得る。特定の実施形態において、上記生体マーカーまたは複数の生体マーカーは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択されるSNPを含む。一実施形態において、上記単離された生体マーカーまたは一団は、シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、キャピラリー電気泳動、質量分析法、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLCおよびゲル電気泳動、制限断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、一塩基伸長(SBE)、アレル特異的プライマー伸長(ASPE)、制限酵素消化、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介性増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、プライマー伸長、ローリングサークル増幅(RCA)、自家持続配列複製(self sustained sequence replication)(3SR)、ループ媒介性等温増幅(LAMP)、ハイブリダイゼーション、核酸シーケンシング、ならびに/またはマイクロアレイによってアッセイされる。必要に応じて、上記核酸シーケンシングは、マクサム-ギルバートシーケンシング、チェーンターミネーション法(chain-termination method)、ショットガンシーケンシング、ブリッジPCR、一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体(ion semiconductor)(イオントレントシーケンシング(ion torrent sequencing))、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング(SOLiDシーケンシング)、チェーンターミネーション(サンガーシーケンシング)、大規模並行シグネチャーシーケンシング(MPSS)、ポロニーシーケンシング(polony sequencing)、454パイロシーケンシング(454 pyrosequencing)、Illumina(Solexa)シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング(DNA nanoball sequencing)、ヘリスコープ一分子シーケンシング(heliscope single molecule sequencing)、一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、トンネル電流DNAシーケンシング(tunnelling currents DNA sequencing)、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析法を用いるシーケンシング、微量流体サンガーシーケンシング、顕微鏡法ベースの技術、RNAPシーケンシング、およびインビトロウイルスハイスループットシーケンシングからなる群より選択される。
【0029】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記キット、試薬、またはマイクロアレイは、処置、例えば、がん処置に関するコンパニオン診断検査を行うために、上記単離された生体マーカーまたは一団を使用するための指示をさらに含み得る。一局面において、上記処置に関するコンパニオン診断検査は、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPを含む単離された生体マーカーの一団を使用して行われる。一実施形態において、上記処置に関するコンパニオン診断検査は、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPを含む単離された生体マーカーの一団を使用して行われる。別の局面において、上記処置に関するコンパニオン診断検査は、rs309605、rs309604、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPを含む単離された生体マーカーの一団を使用して行われる。
【0030】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記処置は、がん処置であり得る。いくつかの実施形態において、上記がんは、リンパ腫、白血病、脳のがん、多発性骨髄腫、膵臓がん、肝臓がん、胃がん、乳がん、腎臓がん、肺がん、結腸直腸がん、結腸がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頚がん(cervical cancer)、皮膚がん、食道がん、または頭頚部がんである。いくつかの実施形態において、上記がんは、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、神経膠腫/膠芽腫(GBM)、非小細胞肺がん(NSCLC)、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、結腸がん、膵臓がん、腎臓がん、および他の血液腫瘍(例えば、皮膚T細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、または非ホジキンリンパ腫(例えば、ワルデンストレームマクログロブリン血症))である。
【0031】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記処置は、その必要性のある被験体に、薬学的に有効な量のビスインドリルマレイミドまたはそのアナログもしくは誘導体を投与する工程を包含し得る。一実施形態において、上記ビスインドリルマレイミドまたはアナログもしくは誘導体は、エンザスタウリンまたはそのアナログもしくは誘導体である。
【0032】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記処置は、その必要性のある被験体に、薬学的に有効な量のプロテインキナーゼインヒビター(例えば、プロテインキナーゼC(PKC)インヒビター、例えば、PKCβインヒビター)を投与する工程を包含し得る。一実施形態において、上記プロテインキナーゼインヒビターは、エンザスタウリンまたはそのアナログもしくは誘導体である。
【0033】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記プロテインキナーゼインヒビターは、AKT、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)、p70S6K、リボソームタンパク質S6、4EBP1、cAMP応答エレメント結合タンパク質、および/もしくはGSK3βのリン酸化を抑制し得、そして/または上記プロテインキナーゼインヒビターは、血管形成刺激、例えば、VEGFに対する内皮細胞の応答を阻害または低減し得る。
【0034】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記キット、試薬、またはマイクロアレイは、ビスインドリルマレイミドまたはそのアナログもしくは誘導体、および/またはプロテインキナーゼインヒビター、例えば、プロテインキナーゼC(PKC)インヒビター、例えば、PKCβインヒビターをさらに含み得る。一実施形態において、上記ビスインドリルマレイミドまたはアナログもしくは誘導体および/あるいは上記プロテインキナーゼインヒビターは、エンザスタウリンまたはそのアナログもしくは誘導体である。
【0035】
一局面において、コンパニオン診断方法が本明細書で開示され、上記方法は、
【0036】
a)生物学的サンプルを、処置を受けている最中であるかまたは処置について検討されている被験体から得、そして必要に応じて、ゲノムDNAを上記生物学的サンプルから単離する工程;
【0037】
b)上記生物学的サンプルを、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)に関してアッセイする工程;ならびに/または
【0038】
c)上記処置に対する上記被験体のあり得る応答性を決定するために、例えば、上記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいてコンピューターアルゴリズムで出力、例えば、スコアを生成する工程、
を包含する。
【0039】
一局面において、処置の適格性に関して被験体を分類するための方法が本明細書で開示され、上記方法は、
【0040】
a)生物学的サンプルを、処置を受けている最中であるかまたは処置について検討されている被験体から得、そして必要に応じて、ゲノムDNAを上記生物学的サンプルから単離する工程;
【0041】
b)上記生物学的サンプルを、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)に関してアッセイする工程;ならびに/または
【0042】
c)上記処置または継続処置に適格または不適格として上記被験体を分類するために、例えば、上記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいてコンピューターアルゴリズムで出力、例えば、スコアを生成する工程、
を包含する。
【0043】
一局面において、処置に関して被験体または被験体の集団をスクリーニングするための方法が本明細書で開示され、上記方法は、
【0044】
a)生物学的サンプルを、処置を受けている最中であるかまたは処置について検討されている被験体または被験体の集団から得、そして必要に応じて、ゲノムDNAを上記生物学的サンプルから単離する工程;
【0045】
b)上記生物学的サンプルを、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)に関してアッセイする工程;ならびに/または
【0046】
c)上記被験体もしくは上記集団が、上記処置もしくは継続処置から利益を得る可能性があるか否かを決定するために、および/または上記被験体もしくは上記集団が、上記処置もしくは継続処置から有害作用を経験する可能性があるか否かを決定するために、例えば、上記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいてコンピューターアルゴリズムで出力、例えば、スコアを生成する工程、
を包含する。
【0047】
一局面において、処置の間に被験体をモニターするための方法が本明細書で開示され、上記方法は、
【0048】
a)生物学的サンプルを、処置を受けている最中である被験体から得、そして必要に応じて、ゲノムDNAを上記生物学的サンプルから単離する工程;
【0049】
b)上記生物学的サンプルを、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)に関してアッセイする工程;ならびに/または
【0050】
c)上記被験体が継続処置を受けるべきか否かを決定するために、例えば、上記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいてコンピューターアルゴリズムで出力、例えば、スコアを生成する工程、
を包含する。
【0051】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記方法は、上記処置の前、処置の間、および/または処置の後に前記被験体の着色尿状態の情報を得る工程をさらに包含し得る。一実施形態において、上記被験体の着色尿状態の情報は、上記被験体の診療記録から得られる、ならびに/または上記処置の間の上記被験体の自己報告および/もしくは尿サンプルの分析によって得られる。
【0052】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記SNP(複数可)のアッセイ出力および上記被験体の着色尿状態の情報はともに、処置の意思決定をガイドするにあたって使用され得る。必要に応じて、上記出力および上記情報は、相乗効果を奏する。
【0053】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記方法は、上記被験体を上記処置に供する工程または上記処置を上記被験体に対して継続する工程をさらに包含し得る。
【0054】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記方法は、上記処置を上記被験体に推奨しない工程または上記被験体に上記処置を止めさせる工程をさらに包含し得る。
【0055】
前述の方法実施形態のうちのいずれかにおいて、上記1種もしくはこれより多くのSNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、およびrs309601からなる群より選択され得る。一実施形態において、上記1種もしくはこれより多くのSNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、およびrs309601からなる群より選択される。一局面において、上記1種もしくはこれより多くのSNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、またはrs7836309からなる群より選択される。別の局面において、上記1種もしくはこれより多くのSNPは、rs309605およびrs309604からなる群より選択される。
【0056】
前述の方法実施形態のうちのいずれかにおいて、上記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~28に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含み得る。一局面において、上記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~11、15~21、および28に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む。別の局面において、上記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~5に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む。なお別の局面において、上記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~2に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む。
【0057】
前述の方法実施形態のうちのいずれかにおいて、上記SNPまたは複数のSNPは、シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、キャピラリー電気泳動、質量分析法、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLCおよびゲル電気泳動、制限断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、一塩基伸長(SBE)、アレル特異的プライマー伸長(ASPE)、制限酵素消化、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介性増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、プライマー伸長、ローリングサークル増幅(RCA)、自家持続配列複製(3SR)、ループ媒介性等温増幅(LAMP)、ハイブリダイゼーション、核酸シーケンシング、ならびに/またはマイクロアレイによってアッセイされるかまたはアッセイされ得る。必要に応じて、上記核酸シーケンシングは、マクサム-ギルバートシーケンシング、チェーンターミネーション法、ショットガンシーケンシング、ブリッジPCR、一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体(イオントレントシーケンシング)、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング(SOLiDシーケンシング)、チェーンターミネーション(サンガーシーケンシング)、大規模並行シグネチャーシーケンシング(MPSS)、ポロニーシーケンシング、454パイロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、ヘリスコープ一分子シーケンシング、一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、トンネル電流DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析法を用いるシーケンシング、微量流体サンガーシーケンシング、顕微鏡法ベースの技術、RNAPシーケンシング、およびインビトロウイルスハイスループットシーケンシングからなる群より選択され得る。
【0058】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記処置は、がん処置であり得る。一局面において、上記がんは、リンパ腫、白血病、脳のがん、多発性骨髄腫、膵臓がん、肝臓がん、胃がん、乳がん、腎臓がん、肺がん、結腸直腸がん、結腸がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頚がん、皮膚がん、食道がん、または頭頚部がんである。いくつかの実施形態において、上記がんは、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、神経膠腫/膠芽腫(GBM)、非小細胞肺がん(NSCLC)、皮膚T細胞リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫(例えば、ワルデンストレームマクログロブリン血症)である。
【0059】
前述の方法実施形態のうちのいずれかにおいて、上記処置は、その必要性のある被験体に、薬学的に有効な量のビスインドリルマレイミドまたはそのアナログもしくは誘導体を投与する工程を包含し得る。必要に応じて、上記処置は、別の治療、例えば、疾患もしくは状態のための標準ケア、例えば、がん処置のためのリツキシマブ-シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、および/またはプレドニゾン(R-CHOP)をさらに含み得る。一局面において、上記ビスインドリルマレイミドまたはアナログもしくは誘導体は、エンザスタウリンまたはそのアナログもしくは誘導体である。
【0060】
前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記処置は、その必要性のある被験体に、薬学的に有効な量のプロテインキナーゼインヒビター、例えば、プロテインキナーゼC(PKC)インヒビター、例えば、PKCβインヒビターを投与する工程を包含し得る。必要に応じて、上記処置は、別の治療、例えば、上記疾患もしくは状態のための標準ケアをさらに含み得る。一実施形態において、上記プロテインキナーゼインヒビターは、エンザスタウリンまたはそのアナログもしくは誘導体である。前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記プロテインキナーゼインヒビターは、AKT、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)、p70S6K、リボソームタンパク質S6、4EBP1、cAMP応答エレメント結合タンパク質、および/もしくはGSK3βのリン酸化を抑制し得る。前述の実施形態のうちのいずれかにおいて、上記プロテインキナーゼインヒビターは、血管形成刺激、例えば、VEGFに対する内皮細胞の応答を阻害または低減し得る。
【0061】
一局面において、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)を使用して新たな生体マーカーを同定するための方法がまた、本明細書で開示される。一実施形態において、上記新たな生体マーカーは、DNA、RNA、ポリペプチド、siRNAまたは生体マーカーの別の形態である。
【0062】
一局面において、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くの一塩基多型(SNP)を使用して薬物標的を同定するための方法がまた、本明細書で開示される。一実施形態において、上記薬物標的は、上記1種もしくはこれより多くのSNPに関する生物学的経路に基づいて同定される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1A図1A~1C。図1Aは、エンザスタウリンフェーズ3予備治験(Prelude trial)デザインを示す。DLBCLにおけるエンザスタウリンの抗腫瘍活性は、フェーズ3維持治験(予備)において試験され、この治験では、758名の患者が2:1比においてエンザスタウリン処置アーム 対 プラセボコントロールアームで無作為化された。図1Bは、着色尿とエンザスタウリン有効性との相関を示す。エンザスタウリンで処置した患者(N=504) 対 プラセボコントロールアームで処置する患者(N=254)の全生存分析を示したところ、エンザスタウリンアームとプラセボアームとの間に有意差は存在しない。図1Cは、着色尿を経験する患者(N=96) 対 エンザスタウリン処置後に着色尿なしの患者(N=408)、および同様に、対 コントロールアーム(N=254)の生存分析を示す。この分析によって、エンザスタウリン処置後に着色尿を経験する患者は、コントロール群のものより有意に長い全生存を示す(ハザード比=0.46およびp値=0.025)。カプラン-マイアー推定は、積極限推定(product limit estimate)としても公知であり、寿命データからの生存関数を予想するために使用されるノンパラメトリック統計である。このような推定法に基づくプロットを、カプラン-マイアープロットと称する。カプラン-マイアーの手法は、全生存および無病生存のような事象変数に対して時間を分析するために、医療および臨床研究において広く使用される。これらの時間 対 事象変数はしばしば、指数分布またはワイブル分布のような際立たせる特定の生存関数を満たさない。従って、カプラン-マイアーの手法は、共通時間 対 事象変数に関する生存関数の実際的なかつ最小バイアス推定を提供する。
図1B図1A~1C。図1Aは、エンザスタウリンフェーズ3予備治験(Prelude trial)デザインを示す。DLBCLにおけるエンザスタウリンの抗腫瘍活性は、フェーズ3維持治験(予備)において試験され、この治験では、758名の患者が2:1比においてエンザスタウリン処置アーム 対 プラセボコントロールアームで無作為化された。図1Bは、着色尿とエンザスタウリン有効性との相関を示す。エンザスタウリンで処置した患者(N=504) 対 プラセボコントロールアームで処置する患者(N=254)の全生存分析を示したところ、エンザスタウリンアームとプラセボアームとの間に有意差は存在しない。図1Cは、着色尿を経験する患者(N=96) 対 エンザスタウリン処置後に着色尿なしの患者(N=408)、および同様に、対 コントロールアーム(N=254)の生存分析を示す。この分析によって、エンザスタウリン処置後に着色尿を経験する患者は、コントロール群のものより有意に長い全生存を示す(ハザード比=0.46およびp値=0.025)。カプラン-マイアー推定は、積極限推定(product limit estimate)としても公知であり、寿命データからの生存関数を予想するために使用されるノンパラメトリック統計である。このような推定法に基づくプロットを、カプラン-マイアープロットと称する。カプラン-マイアーの手法は、全生存および無病生存のような事象変数に対して時間を分析するために、医療および臨床研究において広く使用される。これらの時間 対 事象変数はしばしば、指数分布またはワイブル分布のような際立たせる特定の生存関数を満たさない。従って、カプラン-マイアーの手法は、共通時間 対 事象変数に関する生存関数の実際的なかつ最小バイアス推定を提供する。
図1C図1A~1C。図1Aは、エンザスタウリンフェーズ3予備治験(Prelude trial)デザインを示す。DLBCLにおけるエンザスタウリンの抗腫瘍活性は、フェーズ3維持治験(予備)において試験され、この治験では、758名の患者が2:1比においてエンザスタウリン処置アーム 対 プラセボコントロールアームで無作為化された。図1Bは、着色尿とエンザスタウリン有効性との相関を示す。エンザスタウリンで処置した患者(N=504) 対 プラセボコントロールアームで処置する患者(N=254)の全生存分析を示したところ、エンザスタウリンアームとプラセボアームとの間に有意差は存在しない。図1Cは、着色尿を経験する患者(N=96) 対 エンザスタウリン処置後に着色尿なしの患者(N=408)、および同様に、対 コントロールアーム(N=254)の生存分析を示す。この分析によって、エンザスタウリン処置後に着色尿を経験する患者は、コントロール群のものより有意に長い全生存を示す(ハザード比=0.46およびp値=0.025)。カプラン-マイアー推定は、積極限推定(product limit estimate)としても公知であり、寿命データからの生存関数を予想するために使用されるノンパラメトリック統計である。このような推定法に基づくプロットを、カプラン-マイアープロットと称する。カプラン-マイアーの手法は、全生存および無病生存のような事象変数に対して時間を分析するために、医療および臨床研究において広く使用される。これらの時間 対 事象変数はしばしば、指数分布またはワイブル分布のような際立たせる特定の生存関数を満たさない。従って、カプラン-マイアーの手法は、共通時間 対 事象変数に関する生存関数の実際的なかつ最小バイアス推定を提供する。
【0064】
図2A図2A~2Cは、遺伝的生体マーカーrs309605によるエンザスタウリン有効性の予測を示す。図2Aは、エンザスタウリンアームの患者の全生存分析を示す。その生存曲線は、rs309605遺伝子型AAおよびABを有する患者 対 遺伝子型BBを有する患者を示す。図2Bは、プラセボアームの患者の全生存分析を示す。その生存曲線は、rs309605遺伝子型AAおよびABを有する患者 対 遺伝子型BBを有する患者を示す。図2Cは、rs309605および着色尿を組み合わせることによってエンザスタウリン有効性を予測する結果を示す。
図2B図2A~2Cは、遺伝的生体マーカーrs309605によるエンザスタウリン有効性の予測を示す。図2Aは、エンザスタウリンアームの患者の全生存分析を示す。その生存曲線は、rs309605遺伝子型AAおよびABを有する患者 対 遺伝子型BBを有する患者を示す。図2Bは、プラセボアームの患者の全生存分析を示す。その生存曲線は、rs309605遺伝子型AAおよびABを有する患者 対 遺伝子型BBを有する患者を示す。図2Cは、rs309605および着色尿を組み合わせることによってエンザスタウリン有効性を予測する結果を示す。
図2C図2A~2Cは、遺伝的生体マーカーrs309605によるエンザスタウリン有効性の予測を示す。図2Aは、エンザスタウリンアームの患者の全生存分析を示す。その生存曲線は、rs309605遺伝子型AAおよびABを有する患者 対 遺伝子型BBを有する患者を示す。図2Bは、プラセボアームの患者の全生存分析を示す。その生存曲線は、rs309605遺伝子型AAおよびABを有する患者 対 遺伝子型BBを有する患者を示す。図2Cは、rs309605および着色尿を組み合わせることによってエンザスタウリン有効性を予測する結果を示す。
【0065】
図3A図3A~3Fは、エンザスタウリンフェーズ2 DLBCL第1選択肢誘導治験における生体マーカー分析を示す。図3Aは、フェーズ2 DLBCL治験デザインを示す。図3Bは、一般的な患者集団における全生存分析を示す。図3Cは、異なるrs309605遺伝子型を有する患者における生存分析を示す。図3Dは、プラセボ群における生体マーカー分析を示す。図3Eは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、国際予後指標(IPI)スコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における全生存を示す。図3Fは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、IPIスコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における無増悪生存(PFS)を示す。
図3B図3A~3Fは、エンザスタウリンフェーズ2 DLBCL第1選択肢誘導治験における生体マーカー分析を示す。図3Aは、フェーズ2 DLBCL治験デザインを示す。図3Bは、一般的な患者集団における全生存分析を示す。図3Cは、異なるrs309605遺伝子型を有する患者における生存分析を示す。図3Dは、プラセボ群における生体マーカー分析を示す。図3Eは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、国際予後指標(IPI)スコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における全生存を示す。図3Fは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、IPIスコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における無増悪生存(PFS)を示す。
図3C図3A~3Fは、エンザスタウリンフェーズ2 DLBCL第1選択肢誘導治験における生体マーカー分析を示す。図3Aは、フェーズ2 DLBCL治験デザインを示す。図3Bは、一般的な患者集団における全生存分析を示す。図3Cは、異なるrs309605遺伝子型を有する患者における生存分析を示す。図3Dは、プラセボ群における生体マーカー分析を示す。図3Eは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、国際予後指標(IPI)スコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における全生存を示す。図3Fは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、IPIスコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における無増悪生存(PFS)を示す。
図3D図3A~3Fは、エンザスタウリンフェーズ2 DLBCL第1選択肢誘導治験における生体マーカー分析を示す。図3Aは、フェーズ2 DLBCL治験デザインを示す。図3Bは、一般的な患者集団における全生存分析を示す。図3Cは、異なるrs309605遺伝子型を有する患者における生存分析を示す。図3Dは、プラセボ群における生体マーカー分析を示す。図3Eは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、国際予後指標(IPI)スコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における全生存を示す。図3Fは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、IPIスコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における無増悪生存(PFS)を示す。
図3E図3A~3Fは、エンザスタウリンフェーズ2 DLBCL第1選択肢誘導治験における生体マーカー分析を示す。図3Aは、フェーズ2 DLBCL治験デザインを示す。図3Bは、一般的な患者集団における全生存分析を示す。図3Cは、異なるrs309605遺伝子型を有する患者における生存分析を示す。図3Dは、プラセボ群における生体マーカー分析を示す。図3Eは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、国際予後指標(IPI)スコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における全生存を示す。図3Fは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、IPIスコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における無増悪生存(PFS)を示す。
図3F図3A~3Fは、エンザスタウリンフェーズ2 DLBCL第1選択肢誘導治験における生体マーカー分析を示す。図3Aは、フェーズ2 DLBCL治験デザインを示す。図3Bは、一般的な患者集団における全生存分析を示す。図3Cは、異なるrs309605遺伝子型を有する患者における生存分析を示す。図3Dは、プラセボ群における生体マーカー分析を示す。図3Eは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、国際予後指標(IPI)スコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における全生存を示す。図3Fは、研究S028のカプラン-マイアープロットを示し、このプロットは、IPIスコア>2および遺伝子型AA+ABを有する患者における無増悪生存(PFS)を示す。
【0066】
図4A図4A~4Bは、GBM フェーズ1/2第1選択肢治験におけるエンザスタウリンの生体マーカー分析を示す。図4Aは、AA+AB群およびBB群における時間 対 全生存を示すカプラン-マイアープロットである。図4Bは、着色尿群および非着色尿群における時間 対 全生存を示すカプラン-マイアープロットである。
図4B図4A~4Bは、GBM フェーズ1/2第1選択肢治験におけるエンザスタウリンの生体マーカー分析を示す。図4Aは、AA+AB群およびBB群における時間 対 全生存を示すカプラン-マイアープロットである。図4Bは、着色尿群および非着色尿群における時間 対 全生存を示すカプラン-マイアープロットである。
【0067】
図5A図5A~5B。図5Aは、rs309605の周りの連鎖不平衡マップを示す。この例では、rs309605の連鎖不平衡は、CEUに関するものである。その結果は、1000 GENOMESフェーズ3データに由来する。CEUは、ヨーロッパ北部およびヨーロッパ西部家系のユタ州住民を表す。図5Bは、rs309605およびTRPS1遺伝子の詳細な分析を示し、これは、Chr8およびその最も近い遺伝子TRPS1上のrs309605の物理的位置を示す。
図5B図5A~5B。図5Aは、rs309605の周りの連鎖不平衡マップを示す。この例では、rs309605の連鎖不平衡は、CEUに関するものである。その結果は、1000 GENOMESフェーズ3データに由来する。CEUは、ヨーロッパ北部およびヨーロッパ西部家系のユタ州住民を表す。図5Bは、rs309605およびTRPS1遺伝子の詳細な分析を示し、これは、Chr8およびその最も近い遺伝子TRPS1上のrs309605の物理的位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
発明の詳細な説明
本願主題の1もしくはこれより多くの実施形態の詳細な説明は、本願主題の原理を例証する添付の図面とともに、以下に提供される。本願主題は、このような実施形態に関連して記載されるが、いかなる特定の実施形態にも限定されない。本願主題が種々の形態で具現化され得、多くの代替、改変および均等物を包含することは、理解されるべきである。従って、本明細書で開示される具体的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、むしろ特許請求の範囲の根拠として、かつ当業者に本願主題を、実質的に任意の適切に詳述されたシステム、構造、または様式において使用することを教示するために、代表的な根拠として解釈されるべきである。多くの具体的詳細は、本開示の理解を通じて提供するために、以下の説明に示される。これらの詳細は、例証目的で提供され、本願主題は、これらの具体的詳細のうちのいくらかまたは全てがなくても、特許請求の範囲に従って実施され得る。他の実施形態が使用され得、構造的変更が本願主題の範囲から逸脱することなく行われ得ることは、理解されるべきである。その個々の実施形態のうちの1もしくはこれより多くで記載される種々の特徴および機能性が、それらの適用可能性においてそれらが記載される特定の実施形態に限定されないことは、理解されるべきである。それらは代わりに、単独でまたはある組み合わせにおいて、このような実施形態が記載されるか否かに拘わらず、およびこのような特徴が記載される実施形態の一部であると示されているか否かに拘わらず、本開示の他の実施形態のうちの1もしくはこれより多くに対して適用され得る。明瞭にする目的で、本願主題に関する技術分野において公知である技術的資料は、本願主題が不必要に不明確にされないように、詳細には記載されていない。
【0069】
本出願で言及される全ての刊行物は、各個々の刊行物が個々に参考として援用されるのと同程度まで、全ての目的のためにそれらの全体において参考として援用される。
【0070】
全ての小見出しは、読者の便宜のためであり、別段特定されなければ、その小見出しに続く本文の意味を限定するために使用されるべきではない。
【0071】
本開示全体を通じて、本願主題の種々の局面は、範囲の形式で示される。範囲形式での記載は、便宜上および簡潔さのために過ぎず、本願主題の範囲に対する不変の限定として解釈されるべきではないことは、理解されるべきである。よって、範囲の記載は、具体的に開示される考えられる部分範囲を全て、およびその範囲内の個々の数値を有すると見做されるべきである。例えば、値の範囲が提供される得場合、その範囲の上限と下限との間にある、ならびにその述べられた範囲の中の任意の他の述べられたまたは間にある、各間にある値は、本願主題の範囲内に包含されることは、理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、そのより小さな範囲の中に独立して含まれてもよく、その述べられた範囲の中の任意の具体的に排除された境界を条件として、本願主題の範囲内に包含されてもよい。その述べられた範囲がその境界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる境界のいずれかまたは両方を排除する範囲もまた、本願主題の中に含まれる。このことは、その範囲の幅に拘わらず当てはまる。例えば、1~6のような範囲の記載は、具体的に開示された部分範囲(例えば、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など)、ならびにその範囲内の個々の数字(例えば、1、2、3、4、5、および6)を有すると見做されるべきである。
【0072】
A.一般的技術
本発明の実施は、別段示されなければ、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来技術を使用し、これら技術は、当該分野の技術範囲内である。このような技術は、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」,第2版(Sambrookら, 1989);「Oligonucleotide Synthesis」(M. J. Gait,編, 1984);「Animal Cell Culture」(R. I. Freshney,編, 1987);「Methods in Enzymology」(Academic Press, Inc.);「Current Protocols in Molecular Biology」(F. M. Ausubelら,編, 1987、および定期的最新版);「PCR: The Polymerase Chain Reaction」, (Mullisら,編, 1994)のような文献中に十分に説明される。
【0073】
B.定義
別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で言及される全ての特許、出願、公開された出願および他の刊行物は、それらの全体において参考として援用される。この節の中で示される定義が、本明細書に参考として援用されるその特許、出願、公開された出願および他の刊行物の中で示される定義に反するかさもなければ矛盾する場合、この節の中で示される定義が、本明細書に参考として援用される定義より優先する。
【0074】
本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「上記、この、その(the)」は、別段示されなければ、複数形への言及を包含する。例えば、「1つの(a)」ダイマーとは、1つまたはこれより多くのダイマーを含む。
【0075】
本明細書で使用される場合の用語「生体マーカー(biomarker)または「マーカー(marker)とは一般に、分子(遺伝子、タンパク質、炭水化物構造、または糖脂質を含む)に言及し、哺乳動物組織もしくは細胞の中もしくはこれらの上で、または分泌型でのその発現は、公知の方法(または本明細書で開示される方法)によって検出され得、処置レジメンに対する哺乳動物の細胞もしくは組織の感受性を予測(または予測を補助する)する、およびいくつかの実施形態では、個体の応答性を予測(または予測を補助する)するか、またはこれらを予測するために使用され得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、「薬理ゲノミクス生体マーカー(pharmacogenomic biomarker)」とは、被験体における特定の臨床薬物応答または感受性と相関する客観的生体マーカーである(例えば、McLeodら, Eur. J. Cancer (1999) 35:1650-1652を参照のこと)。それは、生化学的生体マーカー、または臨床徴候もしくは症状であり得る。薬理ゲノミクスマーカーの存在または量は、薬物を投与する前に、特定の薬物または薬物のクラスに対する被験体の予測される応答に関連する。被験体における1種もしくはこれより多くの薬理ゲノミクスマーカーの存在または量を評価することによって、その被験体にとって最も適切な、またはより高い成功度を有すると予測される薬物療法が、選択され得る。例えば、被験体における特異的腫瘍マーカーに関するDNA、RNA、またはタンパク質の存在または量に基づいて、薬物または処置クールが選択され得、これは、その被験体において存在する可能性のある特定の腫瘍の処置に最適化される。同様に、特定の配列変異または多型の存在または非存在は、薬物応答と相関し得る。従って、薬理ゲノミクス生体マーカーの使用は、その療法を投与する必要なしに、各被験体にとって最も適した処置の適用を可能にする。薬理ゲノミクス生体マーカーを発見するための方法は、例えば、U.S.2014/0031242 A1(これは、本明細書に参考として援用される)に開示されるように、公知である。例示的な薬理ゲノミクス生体マーカーは、例えば、U.S.2015/0368720 A1(これは、本明細書に参考として援用される)に開示されるように、疾患(例えば、非小細胞肺がん)を処置するにあたって治療剤レチノイドXレセプターモジュレーター(例えば、ベキサロテン)に対する変動性の個々の応答(例えば、有効性、有害作用、および他のエンドポイント)と相関することが発見された。
【0077】
本明細書で使用される場合、用語「多型遺伝子座(polymorphic locus)」とは、2種もしくはこれより多くの代替のヌクレオチド配列が、個体の集団に由来するかなり多数の核酸サンプル中で観察される核酸の領域をいう。多型遺伝子座は、例えば、2種もしくはこれより多くのヌクレオチドのヌクレオチド配列、挿入されたヌクレオチドまたはヌクレオチド配列、欠失されたヌクレオチドまたはヌクレオチド配列、またはマイクロサテライトであり得る。長さが2個もしくはこれより多くのヌクレオチドである多型遺伝子座は、長さが3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個もしくはこれより長い、20個もしくはこれより長い、30個もしくはこれより長い、50個もしくはこれより長い、75個もしくはこれより長い、100個もしくはこれより長い、500個もしくはこれより長い、または約1000個もしくはこれより長いものであり得、ここで上記ヌクレオチド配列のうちの全てまたはいくつかは、領域内で異なる。多型遺伝子座はしばしば、長さが1ヌクレオチドであり、これは、「一塩基多型(single nucleotide polymorphism)」または「SNP」と本明細書でいわれる。いくつかの実施形態において、高密度遺伝子型決定は、SNPを使用することによって行われ得る。いくつかの実施形態において、約1,000~5,000,000またはこれより多くのSNPが使用され得る。いくつかの実施形態において、その高密度遺伝子型決定は、アレイベースであり得る。いくつかの実施形態において、その高密度遺伝子型決定は、シーケンシング(例えば、ハイスループットシーケンシング)を使用することによって行われ得る。
【0078】
多型遺伝子座において2種、3種、または4種の代替のヌクレオチド配列が存在する場合、各ヌクレオチド配列は、「多型改変体」または「核酸改変体」といわれる。2種の多型改変体が存在する場合、例えば、集団の少数サンプル中に示される多型改変体は、ときおり「マイナーアレル」といわれ、より優勢に示される多型改変体は、ときおり「メジャーアレル」といわれる。多くの生物は、各染色体の1コピー(例えば、ヒト)を有し、2つのメジャーアレルまたは2つのマイナーアレルを有する個体はしばしば、その多型に関して「ホモ接合性」であるといわれ、1つのメジャーアレルおよび1つのマイナーアレルを有するそれら個体は通常、その多型に関して「ヘテロ接合性」であるといわれる。1つのアレルに関してホモ接合性である個体はときおり、別のアレルに関してヘテロ接合性またはホモ接合性である個体と比較して、異なる表現型に対する素因がある。
【0079】
一塩基多型は、遺伝子のコード配列、遺伝子の非コード領域内に、または遺伝子間領域(遺伝子の間の領域)の中に入り得る。コード配列内のSNPは、遺伝コードの縮重に起因して、生成されるタンパク質のアミノ酸配列を必ずしも変化させない。
【0080】
コード領域中のSNPには、2つのタイプ、同義SNPおよび非同義SNPがある。同義SNPは、タンパク質配列に影響を及ぼさないが、非同義SNPは、タンパク質のアミノ酸配列を変化させる。非同義SNPには、2つのタイプがある:ミスセンスおよびナンセンス。
【0081】
タンパク質コード領域中に存在しないSNPは、遺伝子スプライシング、転写因子結合、メッセンジャーRNA分解、または非コードRNAの配列になお影響を及ぼし得る。このタイプのSNPによって影響を及ぼされる遺伝子発現は、eSNP(発現SNP)といわれ、その遺伝子から上流または下流に存在し得る。
【0082】
1種もしくはこれより多くの薬理ゲノミクス生体マーカーを同定する遺伝分析において、関連する表現型において異なる値を有する個体に由来するサンプルはしばしば、アレル型決定および/または遺伝子型決定される。本明細書で使用される場合の用語「アレル型決定する(allelotype)」とは、症例およびコントロールからプールされたDNAサンプル中の、ならびに/または各個々の被験体に由来する別個のDNAサンプル中の、多型改変体に関するアレル頻度を決定するためのプロセスに言及する。各群に由来するDNAを遺伝子型決定することによって、各群における各遺伝子座に関するアレル頻度が計算される。これらのアレル頻度は、次いで、互いと比較される。いくつかの実施形態において、DNAサンプルは、全ゲノムSNPアレイ(例えば、Affymetrix(Santa Clara, Calif.)および/またはIllumina(San Diego, Calif.)によって製造されるもの)(例えば、Affymetrix 500Kアレイ)を使用して遺伝子型決定される。Affymetrixアレイに加えて、IlluminaチップおよびSequenom MassArrayがまた、使用され得る。任意の適切な遺伝子型コーリングアルゴリズムが使用され得る。いくつかの実施形態において、その遺伝子型コールは、Mahalanobis Distance Classifier(RLMM)アルゴリズムを用いるRobust Linear Model、Bayesian step (BRLMM)アルゴリズムを用いるRLMM、AxiomTM GT1アルゴリズム、パーフェクトマッチプローブ(BRLMM-P)アルゴリズムを使用するBRLMM、またはBirdseedアルゴリズム(Rabbeeら, Bioinformatics (2006) 22:7-12; Kornら, Nat Genet (2008) 40:1253-60)を使用して生成され得る。
【0083】
遺伝子型または多型改変体は、「ハプロタイプ」という用語で表され得、これは、本明細書で使用される場合、一緒に遺伝する傾向にある一組のDNAバリエーション、または多型に言及する。ハプロタイプは、アレルの組み合わせに、または同じ染色体上で見出される一組のSNPに言及し得る。例えば、2種のSNPは、各SNP位置がシトシンバリエーションおよびアデニンバリエーションを含む遺伝子内に存在し得る。集団の中のある種の個体は、各SNP位置においてシトシンを伴う遺伝子を有する1つのアレル(ヘテロ接合性)または2つのアレル(ホモ接合性)を有し得る。遺伝子における各SNPに相当する2つのシトシンが、これらの個体において一方のまたは両方のアレル上で一緒に移動するので、その個体は、その遺伝子における2種のSNPに関してシトシン/シトシンハプロタイプを有すると特徴づけられ得る。
【0084】
ときおり、多型改変体は、その改変体が集団の有意な部分で示されるか否かを決定することなく、データベースの中で報告される。これらの報告される多型改変体のサブセットは、その集団の統計的に有意な部分において示されないので、それらのうちのいくらかは、シーケンシングエラーであり、そして/または生物学的に関連しない。従って、報告される多型改変体が統計的に有意であるかまたは生物学的に関連するか否かは、その改変体の存在が個体の集団の中で検出されかつその改変体の頻度が決定されるまで、しばしば未知である。多型改変体は、集団のうちの1%もしくはこれより多く、ときおり集団のうちの5%もしくはこれより多く、10%もしくはこれより多く、15%もしくはこれより多く、または20%もしくはこれより多く、およびしばしば集団のうちの25%もしくはこれより多く、30%もしくはこれより多く、35%もしくはこれより多く、40%もしくはこれより多く、45%もしくはこれより多く、または50%もしくはこれより多くにおいて示される場合、統計的に有意である(そして必要に応じて、しばしば生物学的に関連する)。しかし、ある種の遺伝的疾患および/または希な疾患に関して、改変体は、集団のうちの非常に小さなパーセンテージを表し得、それでもなお生物学的に関連する。
【0085】
用語「サンプル」とは、本明細書で使用される場合、例えば、物理的、生化学的、化学的、および/または生理学的特性に基づいて、特徴付けおよび/または同定されるべきである細胞および/または他の分子実体を含む目的の被験体から得られるかまたはこの被験体に由来する組成物をいう。例えば、語句「臨床サンプル(clinical sample)」または「疾患サンプル(disease sample)」およびこれらのバリエーションは、特徴付けされるべきである細胞および/または分子実体を含むと予想されるかまたは含むことが公知である目的の被験体から得られる任意のサンプルをいう。
【0086】
用語「組織または細胞サンプル」とは、被験体または患者の組織から得られる類似細胞の収集物をいう。その組織または細胞サンプルの供給源は、新鮮な、凍結したおよび/または保存された器官もしくは組織サンプルまたは生検材料もしくは吸引物からのような固形組織;血液もしくは任意の血液構成要素;体液(例えば、脳脊髄液、羊水、腹水、もしくは間質液);被験体の妊娠または発生における任意の時間からの細胞であり得る。その組織サンプルはまた、初代細胞もしくは培養細胞、または細胞株であり得る。必要に応じて、その組織または細胞サンプルは、疾患組織/器官から得られる。その組織サンプルは、天然には組織と本質的に混ざらない化合物(例えば、保存剤、抗凝固剤、緩衝液、固定剤、栄養素、抗生物質など)を含み得る。
【0087】
本明細書の生物学的サンプルは、血漿、血清、全血、または乾燥した血液スポットサンプルであり得る。「血漿(plasma)」、または「血漿(blood plasma)」とは、本明細書で使用される場合、細胞外流体(細胞の外部にある全ての体液)の血管内流体部分をいう。血漿は、大部分は水であり、溶解したタンパク質、グルコース、凝固因子、ミネラルイオン、ホルモンおよび二酸化炭素を含む(血漿は、排出産物輸送の主要媒体である)。血漿は、遠心分離機において抗凝固剤を含む新鮮な血液のチューブを、血球がそのチューブの底に落下するまで回転させることによって調製される。その血漿は、次いで、注がれるかまたは流し出される。「血清(blood serum)」とは、フィブリノゲンまたは他の凝固因子のない血漿(すなわち、全血から細胞および凝固因子の両方を引いたもの)である。
【0088】
「ポリヌクレオチド」または「核酸」とは、本明細書で交換可能に使用される場合、任意の長さのヌクレオチドのポリマーに言及し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらのアナログ、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼによってポリマーへと組み込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、改変ヌクレオチド(例えば、メチル化ヌクレオチドおよびそれらのアナログ)を含み得る。存在する場合には、ヌクレオチド構造に対する改変は、そのポリマーのアセンブリの前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、重合後に、例えば、標識構成要素との結合体化によってさらに改変され得る。改変の他のタイプとしては、以下が挙げられる:例えば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドのうちの1個もしくはこれより多くをアナログで置換すること、ヌクレオチド間改変(例えば、荷電していない連結(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート、カルバメート(cabamate)など)を有する、および荷電した連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するもの、ペンダント部分(例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなど))を含むもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレート化剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、改変された連結を有するもの(例えば、αアノマー核酸など)、ならびにポリヌクレオチドの非改変形態。さらに、糖に通常は存在するヒドロキシル基のいずれかは、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基によって置き換えられ得るか、標準的な保護基によって保護され得るか、または活性化されてさらなるヌクレオチドへのさらなる連結を調製し得るか、または固体支持体に結合体化され得る。その5’末端および3’末端のOHは、リン酸化され得るか、またはアミンもしくは1~20個の炭素原子の有機性キャップ形成基部分で置換され得る。他のヒドロキシルはまた、標準的な保護基に誘導体化され得る。ポリヌクレオチドはまた、当該分野で一般に公知であるリボースまたはデオキシリボース糖の類似形態(例えば、2’-O-メチル-2’-O-アリル、2’-フルオロ-または2’-アジド-リボースを含む)、炭素環式糖アナログ、α-アノマー糖、エピマー糖(例えば、アラビノース、キシロースもしくはリキソース)、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式アナログおよび無塩基ヌクレオシドアナログ(例えば、メチルリボシド)を含み得る。1もしくはこれより多くのホスホジエステル連結は、代替の連結基によって置き換えられ得る。これらの代替の連結基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ホスフェートがP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、「(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール(formacetal)」)によって置き換えられる実施形態(ここで各RまたはR’は、独立して、H、あるいはエーテル(--O--)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはアラルキル(araldyl)を必要に応じて含む置換されたまたは置換されていないアルキル(1~20C)である)。ポリヌクレオチドにおける連結は、全て同一である必要はない。前述の説明は、RNAおよびDNAを含め、本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに当てはまる。
【0089】
「オリゴヌクレオチド」とは、本明細書で使用される場合、一般に、概して長さが約200未満のヌクレオチドであるが、かならずしもそうでなくてもよい、短い、概して一本鎖の、概して合成のポリヌクレオチドに言及する。用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、等しくかつ十分に、オリゴヌクレオチドに適用可能である。
【0090】
「増幅」とは、本明細書で使用される場合、一般に、望ましい配列の複数のコピーを生成するプロセスをいう。「複数のコピー」とは、少なくとも2コピーを意味する。「コピー」とは、テンプレート配列に対して完璧な配列相補性または同一性を必ずしも意味しない。例えば、コピーは、ヌクレオチドアナログ(例えば、デオキシイノシン)、意図的な配列変化(例えば、テンプレートにハイブリダイズ可能であるが相補的ではない配列を含むプライマーを通じて導入される配列変化)、および/または増幅の間に起こる配列エラーを含み得る。
【0091】
用語「アレイ(array)」または「マイクロアレイ(microarray)」とは、本明細書で使用される場合、担体上のハイブリダイズ可能なアレイエレメント(例えば、ポリヌクレオチドプローブ(例えば、オリゴヌクレオチド))、ビーズ、または結合試薬(例えば、抗体)の規則正しい配置に言及する。その担体は、固体担体(例えば、ガラスまたはシリカスライド)、光ファイバーバインダー、または半固体担体(例えば、ニトロセルロース膜)であり得る。そのヌクレオチド配列は、DNA、RNA、またはこれらの任意の並び替え(permutation)であり得る。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「表現型」とは、個体間で比較され得る形質(例えば、ある状態の存在または非存在、個体間の外観における視覚的に観察可能な差異、代謝バリエーション、生理学的バリエーション、生物学的分子の機能におけるバリエーションなど)に言及する。表現型は、定性的または定量的であり得る。表現型の例は、処置(例えば、薬物)に対する応答性である。
【0093】
「応答性(responsiveness)」とは、患者に対する利益を示す任意のエンドポイントを使用して評価され得る。これらのエンドポイントとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(1)疾患進行の(ある程度までの)阻害(減速および完全な停止を含む);(2)疾患エピソードおよび/もしくは症状の数の低減;(3)病変サイズの低減;(4)隣接する末梢器官および/もしくは組織への疾患細胞浸潤の阻害(すなわち、低減、減速または完全な停止);(5)疾患の拡がりの阻害(すなわち、低減、減速または完全な停止);(6)障害と関連する1もしくはこれより多くの症状の(ある程度までの)軽減;(7)処置後の無病の提示(presentation)の長さの増大;(8)処置後の所定の時点での減少した死亡率;ならびに/または(9)処置後の有害作用がない。応答性はまた、患者に対する副作用および/または毒性を示す任意のエンドポイントを使用して評価され得る。
【0094】
「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」または「緩和(alleviation)」とは、標的とした病的状態もしくは障害を治癒しないか、またはその状態の再発を防止しない場合、その対象が減速する(緩和する)治療的処置に言及する。被験体は、治療上の量の治療剤を受けた後に、その被験体が特定の疾患の1もしくはこれより多くの徴候および症状の観察可能なならびに/または測定可能な低減、あるいはこれら徴候および症状の非存在を示す場合に、成功裡に「処置される」。例えば、がん細胞の数の有意な低減またはがん細胞の非存在;腫瘍サイズの低減;腫瘍転移の阻害(すなわち、ある程度まで遅らせる、および好ましくは停止させる);腫瘍増殖の(ある程度までの)阻害;特定のがんと関連する症状のうちの1もしくはこれより多くの(ある程度までの)寛解および/または軽減の長さの増大;低下した罹患率および死亡率、ならびにクオリティーオブライフの問題における改善。疾患の徴候または症状の低減はまた、患者によって感じられ得る。処置は、完全寛解(がんの全ての徴候の消失として定義)または部分寛解を達成し得、ここで腫瘍のサイズは、好ましくは50%超、より好ましくは75%減少される。患者は、その患者が安定病態を経験する場合に処置されていると考えられる。いくつかの実施形態において、治療剤での処置は、患者が処置後3ヶ月間、処置後好ましくは6ヶ月間、より好ましくは1年間、さらにより好ましくは2年もしくは2年超、無病であることを生じるために有効である。疾患における成功裡の処置および改善を評価するためのこれらのパラメーターは、当該分野の適切な技量をもった医師が精通している慣用的な手順によって容易に測定可能である。
【0095】
用語「予測(prediction)」または「予後(prognosis)」とは、患者が、薬物または一組の薬物に対して有利にまたは不利にいずれかで応答する可能性に言及するために本明細書で使用される。一実施形態において、予測は、それらの応答の程度に関する。一実施形態において、その予測は、患者が処置(例えば、特定の治療剤での処置)後におよび疾患を再発せずに特定の期間にわたって生存するかまたは改善するか否かおよび/またはその確率に関する。本発明の予測法は、任意の特定の患者にとって最も適切な処置モダリティーを選択することによって処置の意思決定を行うために臨床的に使用され得る。本発明の予測法は、処置レジメン(例えば、所定の治療レジメン)(例えば、所定の治療剤または組み合わせの投与、手術介入、ステロイド処置などが挙げられる)に患者が有利に応答する可能性があるか否かを予測する価値あるツールである。
【0096】
本明細書で使用される場合、用語「特異的に結合する」とは、特異的結合対の結合特異性に言及する。他の潜在的標的の存在下での抗体による特定の標的の認識は、このような結合に特有なものである。特異的結合は、2つの異なる分子が関わり、ここでその分子のうちの一方は、化学的もしくは物理的手段を通じてその第2の分子と特異的に結合する。その2つの分子は、互いとのそれらの結合が、それらが、それらの結合パートナーを、類似の特性を有する他のアッセイ構成要素から区別し得るようなものであるという意味で関連している。結合構成成分の対のメンバーは、リガンドおよびレセプター(抗リガンド)、特異的結合対(SBP)メンバーおよびSBPパートナーなどといわれる。1つの分子はまた、分子の凝集に関するSBPメンバーであり得る;例えば、第2の抗体およびその対応する抗原の免疫複合体に対して惹起された抗体は、その免疫複合体のSBPメンバーであると考えられ得る。
【0097】
本明細書で使用される場合、用語「ホモログ」は、天然に存在する核酸(すなわち、「プロトタイプ(prototype)」または「野生型」核酸)とは天然に存在する核酸に対する僅かな改変によって異なるが、天然に存在する形態の基本的なヌクレオチド構造を維持する核酸に言及するために使用される。このような変化としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:1もしくは数個のヌクレオチドにおける変化(欠失(例えば、核酸の短縮型バージョン)、挿入および/または置換が挙げられる)。ホモログは、天然に存在する核酸と比較して、増強されたか、減少したか、または実質的に類似の特性を有し得る。ホモログは、天然に存在する核酸と相補的であり得るかまたはマッチし得る。ホモログは、核酸の生成に関して当該分野で公知の技術(組換えDNA技術、化学合成などが挙げられるが、これらに限定されない)を使用して生成され得る。
【0098】
本明細書で使用される場合、「相補的」または「マッチした(matched)」とは、2種の核酸配列が少なくとも50%の配列同一性を有することを意味する。好ましくは、その2種の核酸配列は、少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。「相補的またはマッチした」とはまた、2種の核酸配列が低い、中程度の、および/または高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし得ることを意味する。
【0099】
本明細書で使用される場合、「実質的に相補的なまたは実質的にマッチした」とは、2種の核酸配列が少なくとも90%の配列同一性を有することを意味する。好ましくは、その2種の核酸配列は、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。あるいは、「実質的に相補的または実質的にマッチした」とは、2種の核酸配列が高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし得ることを意味する。
【0100】
一般に、ハイブリッドの安定性は、イオン濃度および温度の関数である。代表的には、ハイブリダイゼーション反応は、低いストリンジェンシーの条件下で行われ、続いて、種々の、しかしより高いストリンジェンシーの洗浄が行われる。中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーションとは、核酸分子(例えば、プローブ)が相補的な核酸分子に結合することを可能にする条件に言及する。そのハイブリダイズした核酸分子は、一般に、少なくとも60%の同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の同一性のうちの少なくともいずれかが挙げられる)を有する。中程度にストリンジェントな条件は、50% ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2% SDS中、42℃でのハイブリダイゼーション、続いて、0.2×SSPE、0.2% SDS中、42℃での洗浄に等しい条件である。高いストリンジェンシー条件は、例えば、50% ホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2% SDS中、42℃でのハイブリダイゼーション、続いて、0.1×SSPE、および0.1% SDS中、65℃での洗浄によって提供され得る。
【0101】
低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーションとは、10% ホルムアミド、5×デンハルト溶液、6×SSPE、0.2% SDS中、22℃でのハイブリダイゼーション、続いて、1×SSPE、0.2% SDS中、37℃での洗浄に等しい条件に言及する。デンハルト溶液は、1% Ficoll、1% ポリビニルピロリドン、および1% ウシ血清アルブミン(BSA)を含む。20×SSPE(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA))は、3M 塩化ナトリウム、0.2M リン酸ナトリウム、および0.025M (EDTA)を含む。他の適切な中程度のストリンジェンシーおよび高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション緩衝液および条件は、当業者に周知である。
【0102】
本明細書で使用される場合、用語「出力(output)」とは、コンピューターアルゴリズムから生成される値またはスコアに言及する。その出力は、コンピューターアルゴリズムへの入力として本明細書で開示される生体マーカーを使用するアッセイ結果に基づいて生成される。「出力」は、定量的または定性的のいずれかであり得、そしてコンパニオン診断検査において処置に対する被験体のあり得る応答性を決定するために使用され得る。
【0103】
コンパニオン診断検査または方法は、一般に、対応する薬物または生物学的生成物の安全かつ有効な使用に必須である情報を提供する。その検査は、ヘルスケア専門家が、患者に対する特定の治療生成物の利益が、任意の潜在的な重篤な副作用またはリスクに勝るか否かを決定する助けとなる。ある種の局面において、本明細書で開示されるコンパニオン診断検査は、特定の治療剤(例えば、非環式ビスインドリルマレイミド(例えば、エンザスタウリン(LY317615)))から利益を得る可能性が最も高い患者を同定し得る;特定の治療剤での処置の結果としての重篤な副作用の増大したリスクにある可能性がある患者を同定し得る;および/または改善された安全性または効力を達成するために処置を調節する目的で、特定の治療剤での処置に対する応答をモニターし得る。コンパニオン診断は、1種もしくはこれより多くの薬物(またはカクテルのような併用療法)とともに共開発されて、その治療に対する応答者または非応答者を決定する患者群の生物学的特性に基づいて、その特定の薬物での処置に関してその患者群を選択するかまたは排除することを助ける。いくつかの局面において、コンパニオン診断は、コンパニオン生体マーカー(あり得る応答または重篤な毒性を、将来を見越して予測する助けになる生体マーカー)に基づいて開発される。いくつかの実施形態において、本開示は、本明細書で開示されるSNPのうちの1種もしくはこれより多く(例えば、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、またはこれより多く)を含むコンパニオン生体マーカーを提供する。
【0104】
本明細書で記載される発明の局面および実施形態が、局面および実施形態「からなること(consisting)」および/または「から本質的になること(consisting essentially of)」を含むことは理解される。
【0105】
本発明の他の目的、利点および特徴は、添付の図面とともに理解される以下の明細書から明らかになる。
【0106】
C.エンザスタウリン応答性を予測するための生体マーカー
エンザスタウリン(LY317615)(非環式ビスインドリルマレイミド)は、プロテインキナーゼCβ(PKCβ;50%最大阻害濃度(half maximal inhibitory concentration)[IC50]はおよそ6nM)、ならびに他のPKCアイソフォーム(例えば、α、γ、ε、IC50は40~100nM)(Graffら 2005)および他のAGCファミリーキナーゼ(p90RSKおよびMSK(Parsonsら 2008)を含む)の強力かつ選択的なインヒビターである。培養がん細胞(例えば、結腸、非小細胞肺がん[NSCLC]、膠芽腫、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫および皮膚T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、ならびにワルデンストレームマクログロブリン血症)では、臨床的に関連する濃度でのエンザスタウリン処置は、PKCおよびPI3K/AKT経路を通じて、AKT、ラパマイシンの哺乳動物標的、p70S6K、リボソームタンパク質S6、4EBP1、cAMP応答エレメント結合タンパク質、およびGSK3βのリン酸化を特異的に抑制して、細胞内シグナル伝達を遮断する。よって、エンザスタウリンは、腫瘍細胞増殖を阻害し、腫瘍細胞アポトーシス(すなわち、プログラムされた細胞死)を誘導し、そして腫瘍誘導性血管形成を抑制する(Graffら 2005; Querfeldら 2006; Rizviら 2006; Neriら 2008; Parsonsら 2008)。これらのシグナル伝達経路を遮断することによって、エンザスタウリンはまた、血管形成刺激(例えば、VEGF)に対する内皮細胞の応答を鈍らせる(McNultyら 2008)。
【0107】
エンザスタウリンでの経口投与(ヒト臨床試験におけるものに類似した血漿曝露レベルを達成する)は、ラット角膜マイクロポケットモデルにおいてVEGF誘導性血管形成を抑制する。単剤エンザスタウリン処置はまた、複数のヒトがん異種移植片(結腸直腸癌、膠芽腫(Graffら 2005)、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(Rossiら 2005)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、および多発性骨髄腫(Moreauら 2007; Podarら 2007)が挙げられる)の増殖を抑制する。エンザスタウリン処置は、膵臓がん(Spaldingら 2007)、転移性乳がん(Dudekら 2008)、および頭蓋内移植膠芽腫(Tabatabaiら 2007)における照射の活性を増強する。同様に、エンザスタウリンは、多くの標的化薬剤(腎細胞癌におけるスニチニブ(McNultyら 2008)および多発性骨髄腫におけるボルテゾミブ(Podarら 2007)が挙げられる)の有効性を増強する。AKT経路(これはしばしば、化学療法抵抗性(chemoresistance)に関与する(Westら 2002))を通じてシグナル伝達を抑制することによって、エンザスタウリンはまた、腫瘍溶解剤(例えば、膠芽腫におけるテモゾロミド(Parsonsら 2008))の活性を強化する。エンザスタウリンの抗腫瘍活性は、複数の作用機構を反映する:腫瘍細胞に対する直接的効果(腫瘍細胞増殖の抑制、および腫瘍細胞死の誘導)、ならびに腫瘍関連内皮細胞に対する間接的効果(腫瘍誘導性血管形成の抑制)。
【0108】
エンザスタウリンは、多くの異なるタイプの腫瘍(例えば、リンパ腫、白血病、脳のがん、肺がん、乳がん、前立腺がん、結腸がんなど)を含む60超の臨床試験において試験されてきた。2013年9月13日当時、合計で4387名のがん患者および健康な被験体が、Eli Lilly and Company主導の臨床試験において登録しており、そのうちおよそ3337名の個体がエンザスタウリンを受けた。エンザスタウリンを受けたおよそ3337名の個体のうち、9回の完了した臨床薬理試験において、3149名ががん患者であり、188名が健康な被験体であった。2014年には、Denovo Biopharma LLC(Denovo)が、そのさらなる臨床開発を可能にするために、エンザスタウリンの所有権の移転を完了させた。Denovoは、エンザスタウリンに有利に応答した患者の特有のサブセットを同定している最中であり、そしてエンザスタウリンに対して応答する可能性がより高い患者の選択された部分集団において、がん(例えば、DLBCLおよび神経膠腫/膠芽腫)の処置のためのエンザスタウリンの臨床開発を継続する。
【0109】
一局面において、本開示は、エンザスタウリンおよび/または他のPKCβならびに他のAGCキナーゼ(例えば、GSK、p90RSK、MSK、GSK3β)インヒビターを含む治療レジメンに対する応答者を、遺伝的生体マーカーを遺伝子型決定することによって生成される結果を使用することによって、予測するための方法を提供する。
【0110】
エンザスタウリン(LY317615)は、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ/プロテインキナーゼB(PI3K/AKT)経路を通じたシグナル伝達を抑制し、腫瘍増殖を減少させ、がん細胞においてアポトーシスを誘導するPKCβを選択的に標的とする経口セリン/スレオニンキナーゼインヒビターである。早期のフェーズの臨床データに基づいて、エンザスタウリンは、毎日の経口投与を使用して十分に耐容されることが示された。エンザスタウリンの抗腫瘍活性は、多数の臨床研究において、特に、DLBCLおよび神経膠腫/膠芽腫/中枢神経系(CNS)腫瘍において試験されてきた。
【0111】
エンザスタウリンは、PKCβ選択的インヒビターである。エンザスタウリンは、化学名、3-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)-4-[1-[1-(ピリジン-2-イルメチル)ピペリジン-4-イル]-1H-インドール-3-イル]-1H-ピロール-2,5-ジオンを有し、米国特許第5,668,152号に開示される。エンザスタウリンの任意の薬学的に受容可能な塩はまた、本開示の範囲内であり、本明細書で開示される組成物および/方法において使用され得る。例えば、米国特許第8,114,901号は、その結晶性の2,5-ジオン-3-(1-メチル-1H-インドール-3-イル)-4-[1-[1-(ピリジン-2-イルメチル)ピペリジン-4-イル]-1H-インドール-3-イル]-1H-ピロール一塩酸塩または水和物を開示する。エンザスタウリンまたはその塩および薬学的キャリアを含む薬学的組成物はまた、本開示の範囲内である。
【0112】
予備治験は、リツキシマブ-シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾン(R-CHOP)後の高い再発リスクにある患者を登録した多施設のフェーズ3無作為化二重盲検プラセボ対照治験である。ステージ2の嵩高いまたはステージ3~4のDLBCL、診断時に3もしくはこれより大きな国際予後指標(IPI)リスク因子、およびR-CHOP後に確認された応答(CR)/未確認の完全寛解(CRu)を有する758名の患者を、経口エンザスタウリン500mgを毎日、もしくはプラセボを3年間、または疾患進行もしくは許容されない毒性に至るまで受けるように、2:1で割り当てた。主要エンドポイントは、最後の患者が処置に入った3年後のDFSであった(図1A)。エンザスタウリンは、患者集団全体に対して統計的に有意な有効性を示せなかった(図1B)が、着色尿を経験した患者のサブセットが、予備治験においてDLBCLの有意な抗腫瘍活性を示したことが、本明細書で開示される(図1C)。この分析によって、エンザスタウリン処置後に着色尿を経験する患者は、コントロール群のものより有意に長い全生存を示す(ハザード比=0.46およびp値=0.025)。従って、着色尿自体は、エンザスタウリン有効性を予測する生体マーカーであり得るが、着色尿は、患者がエンザスタウリンを摂取した後にのみ観察され得る。エンザスタウリン有効性を予測し得る薬理ゲノミクス生体マーカーは、これら生体マーカーが、その薬物を摂取する前に潜在的エンザスタウリン応答者を同定するために使用され得るので、より望ましい。
【0113】
腫瘍細胞における変異または標的タンパク質過剰発現に焦点をあてる大部分の腫瘍学生体マーカー研究とは異なり、生殖細胞系列遺伝的多型はまた、同じ薬物に対する異なる患者における種々の応答に寄与する。従って、予備治験に登録した患者の血液から抽出した生殖細胞系列DNAサンプルを、エンザスタウリンに関する薬理遺伝的生体マーカーを同定するために使用した。発見フェーズにおいて、エンザスタウリン処置群からの282のサンプル(95は、着色尿を有する患者からのものであり、187は、着色尿なしの患者からのものであった)を、Illuminaの全ゲノム一塩基多型(SNP)アレイ(これは、約500万のSNPを含む)を使用して遺伝子型決定した。
【0114】
第8染色体上に位置する2つのSNP、参照SNP ID 309605(rs309605)および参照SNP ID 309604(rs309604)の具体的構成は、エンザスタウリンアームにおける生存と強く関連することが見出された。rs309605およびrs309604の両方におけるチミジンの存在に関してヘテロ接合性またはホモ接合性の患者は、エンザスタウリン処置アームにおいて有意に改善された生存を有した(図2A)。一実施形態において、同じ被験体におけるrs309605におけるチミジン(ホモ接合性またはヘテロ接合性)およびrs309604におけるチミジン(ホモ接合性またはヘテロ接合性)の存在は、その被験体を「生体マーカー陽性」として分類し、いずれかのSNPにおけるシチジンの存在(ホモ接合性)は、その被験体を「生体マーカー陰性」であるとして分類する。
【0115】
rs309605およびrs309604は、エンザスタウリン抗腫瘍活性と強く関連した。なぜならrs309605およびrs309604のAアレルを有する患者(AA+AB遺伝子型)が、BB遺伝子型を有する患者と比較して有意により長い全生存を示したからである。rs309605およびrs309604の両方に関して、アレルAは、Tを表し、アレルBは、Cを表す。事象を有した患者の中で、22名がBB遺伝子型を有するのに対して、31名がAA+ABを有する。生存した患者の中で、22名がBBを有する遺伝子型の患者であるのに対して209名の患者がAA+AB遺伝子型を有する。これは、p値5.75×10-9を与える。5×10-8より小さなp値は通常、ゲノムワイド有意性に関する閾値と考えられる。rs309605およびrs309604は、連鎖不平衡にあることから、rs309605からの結果は、ここでは一例として使用される。これらのDLBCL患者において全生存に関してrs309605を使用するエンザスタウリンの予測を、図2Aに示す。
【0116】
rs309605が単に予後生体マーカーであるか否かを試験するために、プラセボコントロール群からの238名の患者のDNAサンプルを、Taqman SNPアッセイを使用して、rs309605において遺伝子型決定した。図2Bは、AA+AB遺伝子型を有する患者 対 BB遺伝子型を有する患者の間で全生存における有意差は存在しないことを示す。従って、生存における改善に関連するrs309605は、エンザスタウリン処置に関し、rs309605は、エンザスタウリン抗腫瘍活性を予測するための薬理ゲノミクス生体マーカーであるようである。
【0117】
rs309605および着色尿の両方が、エンザスタウリンの抗腫瘍活性と関連するので、これら2種の生体マーカーの間の相互作用を次に試験した。図2Cは、rs309605においてAA+AB遺伝子型と着色尿とを有する患者は、最良の全生存を示し、その2種の生体マーカーの間にある相互作用は、統計的に有意であることを示す(p値=0.017、表3)。本開示のいくつかの局面において、DLBCL予備治験において観察されたもののように、エンザスタウリン応答性に関する予測力は、rs309605が着色尿と組み合わされる場合にさらにより良好である(表3)。さらに、着色尿なしのエンザスタウリン処置患者からの177名の患者に由来するDNAを遺伝子型決定したところ、AA+AB遺伝子型を有する患者 対 BB遺伝子型を有する患者の間の全生存に有意差はなかった。この結果は、患者のこのサブセットにおける着色尿の欠如によって部分的に説明され得る。
【0118】
次に、rs309605とエンザスタウリン活性との間の関連が、維持モード(予備治験)の下でのDLBCL患者に特有であるか否かを試験した。S028治験に登録した患者からのDNAサンプル(ここでエンザスタウリンを、R-CHOPと組み合わせた第1選択肢設定で試験した(図3A))を、Taqmanアッセイを使用してrs309605において遺伝子型決定した。一般的な患者集団においてエンザスタウリンアームとコントロールアームとの間に有意差は存在しない(図3B)が、図3Cは、rs309605においてAAまたはABを有する患者(AA+AB)がまた、エンザスタウリン処置アームにおけるBB遺伝子型を有する患者より有意に良好な生存を示したことを示し、rs309605遺伝子型は、R-CHOP単独(along)が投与された場合にコントロールアームにおける患者の全生存に対してほとんど影響を有しない(図3D)。この結果は、rs309605が、2種の非常に異なる治験デザインの下で、DLBCLにおけるエンザスタウリン活性に関する薬理ゲノミクス生体マーカーであったことを確認する。一局面において、5名の患者のみが着色尿を経験したと報告したことから、それは、このフェーズ2 DLBCL治験において着色尿とrs309605との間の相互作用を試験するために意味のある結果を提供しないかもしれない。一局面において、この治験における着色尿の低発生率は、過少報告に起因し得る。なぜなら着色尿は、本来のプロトコルの下では、記録することが要求される重要な臨床転帰ではなかったからである。一局面において、IPI>2を有する患者は、エンザスタウリン処置からより良好な生存を経験した。従って、下位群分析を、IPI、ならびにrs309605およびrs309604の両方を使用して行った。図3E~3Fは、rs309605およびrs309604においてAA+ABを有し、IPI>2を有する患者が、全生存(図3E)および無増悪生存(PFS)(図3F)の両方において優れた有効性を示した、特に、全生存のハザード比が、エンザスタウリン処置アームを支持して0.28に達したことを示す。
【0119】
遺伝子型が、記録されたこれらの臨床サンプルから生じることを検証するために、それらサンプルのうちのいくつかを、1より多くの技術(例えば、Illumina SNPアレイ、Taqmanアッセイ、およびシーケンシング)によって遺伝子型決定したところ、それは大部分が同一の結果を生じた。さらに、これらのDNAサンプルをまた、rs309604において遺伝子型決定したところ、rs309605におけるものと類似の結果が観察された。
【0120】
エンザスタウリンに関して本明細書で同定された生体マーカーは、腫瘍細胞における変異または標的過剰発現(これらは、特定の腫瘍タイプと関連し得る)の代わりに、生殖細胞系列遺伝的多型であるので、この同じ遺伝的多型であるrs309605は、他の腫瘍タイプにおいてもエンザスタウリン有効性に関する潜在的な薬理遺伝学生体マーカーであり得る。S008治験におけるGBM患者の血液に由来するDNAサンプルを、Taqmanアッセイによってrs309605を遺伝子型決定するために使用した。図4Aは、rs309605においてAAまたはAB遺伝子型を有する患者が、BB遺伝子型を有する患者と比較して、より良好な全生存を示すことを示す。着色尿とエンザスタウリンの有効性との間の相関もまた、試験した。図4Bは、着色尿を経験するGBM患者が、着色尿なしの患者に対して有意に改善された生存を有することを示す。
【0121】
ゲノム生体マーカーの生物学的蓋然性およびその潜在的機構は、これらの効果のさらなる考察を提供する。rs309605およびrs309604に最も近い遺伝子は、TRPS1であり、この遺伝子は、転写リプレッサーGATA結合1または毛髪・鼻・指節骨症候群I型タンパク質をコードする(図5B)。TRPS1は、GATA調節性遺伝子を抑制し、細胞周期制御および腫瘍発生において中心的役割を果たす。エンザスタウリンは、PKC-β、PI3K、およびAKT(これらは、細胞周期調節に関与し、同様にGATA因子と直接的および間接的に相互作用することも公知である)に関する強力なインヒビターである。しかし、これらSNPがエンザスタウリンに影響を及ぼす正確な機構および生存に対するその効果は、未だ解明されていない。
【0122】
従って、一局面において、キナーゼインヒビター(例えば、エンザスタウリン)の活性と相関する1種もしくはこれより多くの新規なゲノム生体マーカーが、本明細書で記載される。これらの生体マーカーは、キナーゼインヒビター(例えば、エンザスタウリン)処置から利益を受けるかまたはこの処置から有害作用を経験する可能性が最も高い患者を同定するために使用され得る。
【0123】
概して、単離されたSNP含有核酸分子は、SNP位置のいずれかの側に隣接ヌクレオチド配列を有する、本発明によって開示される1種もしくはこれより多くのSNP位置を含む。隣接配列は、SNP部位と天然に関連するヌクレオチド残基および/または異種ヌクレオチド配列を含み得る。好ましくはその隣接配列は、SNP位置のいずれかの側に最大約500、300、100、60、50、30、25、20、15、10、8、または4ヌクレオチド(またはその間の任意の他の長さ)、または全長遺伝子もしくはタンパク質コード配列全体(またはエキソンのようなその任意の部分)と同程度の長さである。
【0124】
一局面において、本発明の生体マーカーは、rs309605および表1A~1Hおよび表2に提供されるもの、ならびにこれらと連鎖不平衡にある他のもの、ならびにこれらの相補的な配列である。例えば、CEUおよびCHB集団において、以下のSNPのうちのマイナーアレルは、アレルBと称され、メジャーアレルは、アレルAと称される。
【0125】
マーカーrs309605(例えば、配列番号1またはその相補的な配列において示されるとおり):TGGGGAATGTCATTCCATGTTAGGC[A/G]TCATGTTGAAACATATTATTTCATA。そのSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=309605において入手可能である。上記の配列は、逆方向の配向にあり、その順方向の配向は、TATGAAATAATATGTTTCAACATGA[C/T]GCCTAACATGGAATGACATTCCCCAである。アレル頻度表は、バリエーション部位が[C/T]である順方向の配向を使用する。
【表1-1】
【0126】
マーカーrs309604(例えば、配列番号2またはその相補的な配列に示されるとおり):GAAGGAACACTTTCCCTAATGCCCA[C/T]GAAGGAACAAGGATTCTGATAGCTT。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=309604において入手可能である。
【表1-2】
【0127】
rs309605およびrs309604の両方に関して、このSNP部位においてアレルAは、Tを表し、アレルBは、Cを表す。
【0128】
マーカーrs5894240(例えば、配列番号3またはその相補的な配列に示されるとおり):AAAAGCAAAAAAAAAATAAAAAAAT[-/A]AAAAAAAAAAGGCAAAGAGACAGAA。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=5894240において入手可能である。
【表1-3】
【0129】
マーカーrs1494748(例えば、配列番号4またはその相補的配列に示されるとおり):CACCCGTTAAAAAAAAAAAAAAATC[G/T]GTCACTAATTGTTCCGGTTACTATT。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=1494748において入手可能である。
【表1-4】
【0130】
マーカーrs7836309(例えば、配列番号5またはその相補的配列に示されるとおり):atagcaataggcaacaaacaaacta[G/T]caaatatagtgtcaagtaccaaaag。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=7836309において入手可能である。
【表1-5】
【0131】
マーカーrs309607(例えば、配列番号6またはその相補的配列に示されるとおり):CATTCTCATCATAGTCTGCTTCTCA[C/T]TTGATTCAGTATTGGATGAAGATCA。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=309607において入手可能である。
【表1-6】
【0132】
マーカーrs2132025(例えば、配列番号7またはその相補的配列に示されるとおり):GCTCTATTTTATAAAAGTCTATTAA[C/T]TTTAACTGAAATCAAAATAACTACA。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=2132025において入手可能である。
【表1-7】
【0133】
マーカーrs11990158(例えば、配列番号8またはその相補的配列に示されるとおり):tgaatttcatccaaagccttttctg[G/T]atctatttagataataatgtggttt。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=11990158において入手可能である。
【表1-8】
【0134】
マーカーrs6469570(例えば、配列番号9またはその相補的配列に示されるとおり):atccaaagccttttctggatctatt[G/T]agataataatgtggtttttgtcttt。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=6469570において入手可能である。
【表1-9】
【0135】
マーカーrs309603(例えば、配列番号10またはその相補的配列に示されるとおり):CTACAGACCAAGTGAACAACAGAGG[A/C]CTGCTGAATTCATTCATTGCATTTT。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=309603において入手可能である。
【表1-10】
【0136】
マーカーrs923967(例えば、配列番号11またはその相補的配列に示されるとおり):AACTTGGGGCACTCTGCACTACTGC[A/T]TGCCAGCATTTTAAAAAGTCATCAG。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=923967において入手可能である。
【表1-11】
【0137】
マーカーrs1494751(例えば、配列番号12またはその相補的配列に示されるとおり):CATACACCAAGAGTTTTATAAATAA[A/G]TTTATTTCAATATGAAGGTTAAATT。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=1494751において入手可能である。
【0138】
【表1-12】
【0139】
マーカーrs2575943(例えば、配列番号13またはその相補的配列に示されるとおり):TTAATCGGAATGCTCCCTGCTCCTC[A/T]CTTTATTCCCTAGATAAACGTACAC。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=2575943において入手可能である。
【表1-13】
【0140】
マーカーrs167446(例えば、配列番号14またはその相補的配列に示されるとおり):atatcatttacattagcaacctcta[A/G]aataaaatatttaggtattagccta。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=167446において入手可能である。
【表1-14】
【0141】
マーカーrs309606(例えば、配列番号15またはその相補的配列に示されるとおり):CTATTATTTTCAGAACATTGCTTAA[C/T]ATGTTGGTTGAGTCCGGCAGACAAA。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=309606において入手可能である。
【表1-15】
【0142】
マーカーrs72675965(例えば、配列番号16またはその相補的配列に示されるとおり):TTTATTGAAATACTTAAATTTACTA[C/T]TGTAAATACTTTTATACTTTTATAT。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=72675965において入手可能である。
【表1-16】
【0143】
マーカーrs309602(例えば、配列番号17またはその相補的配列に示されるとおり):gacctaggagctccccaagccaggg[C/T]tgtgacaccgtctttggggatctct。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=309602において入手可能である。
【表1-17】
【0144】
マーカーrs309608(例えば、配列番号18またはその相補的配列に示されるとおり):TCCATTTAAAATTATCACGCTTCTT[C/T]TTCTCTACTCGTCAACATCCAACAC。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=309608において入手可能である。
【表1-18】
【0145】
マーカーrs309610(例えば、配列番号19またはその相補的配列に示されるとおり):CAGAACCAAGAACTTTTCTGACCTC[C/T]TCCTGTTTCTTCCCCTAAGTGCCAG。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=309610において入手可能である。
【表1-19】
【0146】
マーカーrs2575911(例えば、配列番号20またはその相補的配列に示されるとおり):TCGTTCACAATTCTACCTTATGACA[A/G]GGTCAGAAACAGAACATAGTAGATG。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=2575911において入手可能である。
【表1-20】
【0147】
マーカーrs309609(例えば、配列番号21またはその相補的配列に示されるとおり):ATTATTATCTTCCATATTAAATACA[A/G]GTTTCCTTTGTTGGGGCTCAGAAAA。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=309609において入手可能である。
【表1-21】
【0148】
マーカーrs170132(例えば、配列番号22またはその相補的配列に示されるとおり):gaaaaatccatcactttcctatata[C/T]tagcaataaacatgtggaatttgaa。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=170132において入手可能である。
【表1-22】
【0149】
マーカーrs386413735(例えば、配列番号23またはその相補的配列に示されるとおり):GGCAACAAGAGTGAAACTTCATCTC[-/AA]AAAAAAAAAAAAAAAAAAAGCTGAA。このマーカーは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=386413735において入手可能である。
【表1-23】
【0150】
マーカーrs2642789(例えば、配列番号24またはその相補的配列に示されるとおり):CACAGGTTGTGGTGAGCCGAGATCC[C/T]TCCATTGTACTCATTGCATTCCAGC。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=2642789において入手可能である。
【表1-24】
【0151】
マーカーrs2642788(例えば、配列番号25またはその相補的配列に示されるとおり):GCACAGGTTGTGGTGAGCCGAGATC[A/C]TTCCATTGTACTCATTGCATTCCAG。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=2642788において入手可能である。
【表1-25】
【0152】
マーカーrs2575944(例えば、配列番号26またはその相補的配列に示されるとおり):AAAACCAAACCAAAGACTGAGAAAT[G/T]ATTAGAAGCCACTGGAAGTTTTTTA。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=2575944において入手可能である。
【表1-26】
【0153】
マーカーrs309614(例えば、配列番号27またはその相補的配列に示されるとおり):ATTTATCCAAATGCCTTTCCATGGC[A/G]TTCACTGAGCAAATTCTGGATTTTT。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=309614において入手可能である。
【表1-27】
【0154】
マーカーrs309601(例えば、配列番号28またはその相補的配列に示されるとおり):TTTCCATGTAGACAGAAGAATGAGG[A/T]GCTACCCTAGTGTGTCCCTTAATGA。このSNPは、NCBIから検索され得、ncbi.nlm.nih.gov/projects/SNP/snp_ref.cgi?rs=309601において入手可能である。
【表1-28】
【0155】
本発明は、個々の生体マーカーおよび生体マーカーセットを含む。本発明はまた、他の生体マーカー、例えば、SNPを含み、これらは、生体マーカーと高い相関関係を有し、患者によるエンザスタウリン応答を予測するためにも使用され得る。例えば、rs309605およびrs309604はともに、臨床試験において、またはコンパニオン診断方法として遺伝子型決定され得、名称Denovo Geneticマーカー1(DGM1)は、両方のマーカーを包含し得る。例えば、被験体が、rs309605およびrs309604の両方に関してAAまたはABとして遺伝子型決定される場合、その被験体は、DGM1陽性として分類される。従って、DGM1陽性被験体は、以下の遺伝子型を有する者を含み得る:(1)rs309605において遺伝子型AAおよびrs309604においてAA;(2)rs309605において遺伝子型ABおよびrs309604においてAA;(3)rs309605において遺伝子型AAおよびrs309604においてAB;ならびに(4)rs309605において遺伝子型ABおよびrs309604においてAB。DGM1陰性被験体は、以下の遺伝子型を有する者を含み得る:(1)rs309605において遺伝子型BBおよびrs309604においてAA;(2)rs309605において遺伝子型BBおよびrs309604においてAB;(3)rs309605において遺伝子型AAおよびrs309604においてBB;ならびに(4)rs309605において遺伝子型ABおよびrs309604においてBB。
【0156】
臨床試験において1種より多くのマーカーを使用する(例えば、DGM1の場合に、rs309605およびrs309604の両方を使用する)ことは、同定をおよびエラー(例えば、シーケンシングエラーおよび/または遺伝子型決定エラー)の影響を最小限にすることを助け得る。しかし、本明細書で開示されるコンパニオン診断方法に関して1種より多くのマーカーを使用することは必ずしも必要ではない。本明細書で開示されるマーカーのうちのいずれか1種が、その方法にとって十分である。例えば、図2~4は、他のSNPとは独立したマーカーとしてrs309605を使用して観察される結果を示す。類似の結果を、他のSNPとは独立したマーカーとしてrs309604を使用して得た。従って、一実施形態において、rs309605のみが、コンパニオンマーカーとして使用され、AAまたはABとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陽性である一方で、BBとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陰性である。別の実施形態において、rs309604のみが、コンパニオンマーカーとして使用され、AAまたはABとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陽性である一方で、BBとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陰性である。
【0157】
さらに、CEU集団においてrs309605と連鎖不平衡にある例示的なSNPは、表1Aに提供される。その連鎖不平衡は、異なる人種群の中で変動し、例えば、中国人の中でrs309605と連鎖不平衡にあるSNPは、表1Bに示される。イングランドおよびスコットランドにいる英国人集団の中でrs309605と連鎖不平衡にあるSNPは、表1Cに提供される。東京にいる日本人集団の中でrs309605と連鎖不平衡にあるSNPは、表1Dに提供される。イタリアにいるトスカーナ人集団(Toscani population)の中でrs309605と連鎖不平衡にあるSNPは、表1Eに提供される。ナイジェリアのイバダンにいるヨルバ人集団の中でrs309605と連鎖不平衡にあるSNPは、表1Fに提供される。ロサンゼルスにいるメキシコ人家系集団の中でrs309605と連鎖不平衡にあるSNPは、表1Gに提供される。バングラデシュにいるベンガル人集団の中でrs309605と連鎖不平衡にあるSNPは、表1Hに提供される。
【0158】
従って、一局面において、異なるSNPが、エンザスタウリン活性および/または応答性を予測するために異なる人種群に由来する患者において使用され得る。さらなる予測SNPは、表1A~1Hおよび表2に列挙されるマーカーが関連する遺伝子に関する遺伝子にあり得る。連鎖不平衡にあるSNPは、種々の公のデータベース(例えば、HapMapおよび1000人ゲノムプロジェクト(1000 Genome Project))において見出され得る。この1000人ゲノムプロジェクトの資源(遺伝子型、配列、およびゲノムマッピングデータを含む)は、ワールドワイドウェブアドレス 1000genomes.org,において、またはNCBIブラウザアドレス ncbi.nlm.nih.gov/variation/tools/1000genomesを通じて入手可能である。HapMapデータは、ftp.ncbi.nlm.nih.gov/hapmapからFTPを介して入手可能である。
【0159】
一実施形態において、rs309605と相関を示すマーカーは、コンパニオンマーカーとして使用される。具体的実施形態において、そのマーカーとrs309605との間のr値は、約0.800に等しいかもしくはこれより大きい(例えば、約0.808に等しいかもしくはこれより大きい、約0.809に等しいかもしくはこれより大きい、約0.827に等しいかもしくはこれより大きい、約0.840に等しいかもしくはこれより大きい、約0.850に等しいかもしくはこれより大きい、約0.852に等しいかもしくはこれより大きい、約0.854に等しいかもしくはこれより大きい、約0.874に等しいかもしくはこれより大きい、約0.894に等しいかもしくはこれより大きい、約0.913に等しいかもしくはこれより大きい、約0.915に等しいかもしくはこれより大きい、約0957に等しいかもしくはこれより大きい、または約0.978に等しいかもしくはこれより大きい)、あるいはr値は、約1.000である。具体的実施形態において、そのマーカーとrs309605との間のr値は、表1A~1Hのうちのいずれかに列挙されたおよそのr値に等しいかもしくはこれより大きい。
【0160】
一実施形態において、rs309605と連鎖不平衡にあるマーカーは、コンパニオンマーカーとして使用される。具体的実施形態において、そのマーカーの連鎖平衡のD’値は、約0.900に等しいかもしくはこれより大きい(例えば、約0.951に等しいかもしくはこれより大きい、約0.953に等しいかもしくはこれより大きい、約0.954に等しいかもしくはこれより大きい、約0.956に等しいかもしくはこれより大きい、または約0.973に等しいかもしくはこれより大きい)、あるいは連鎖平衡のD’値は、約1.000である。具体的実施形態において、そのマーカーの連鎖平衡のD’値は、表1A~1Hのうちのいずれかに列挙されたおよそのD’値 に等しいかもしくはこれより大きい。
【0161】
いくつかの実施形態において、表1A~1Hのうちのいずれかに列挙されるマーカーのうちのいずれか1つが、コンパニオンマーカーとして使用され、AAまたはABとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陽性である一方で、BBとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陰性である。具体的実施形態において、rs5894240が、コンパニオンマーカーとして使用され、AAまたはABとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陽性である一方で、BBとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陰性である。別の実施形態において、rs1494748が、コンパニオンマーカーとして使用され、AAまたはABとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陽性である一方で、BBとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陰性である。さらに別の実施形態において、rs7836309が、コンパニオンマーカーとして使用され、AAまたはABとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陽性である一方で、BBとして遺伝子型決定された被験体は、そのマーカーに関して陰性である。rs309605および表1A~1Hに列挙されたものからなる群からの、マーカーのうちのいずれか2種もしくはこれより多くが、組み合わせて使用され得る。1つの特定の例では、被験体が、その2種もしくはこれより多くのSNPのうちの全てに関してAAまたはABとして遺伝子型決定される場合、その被験体は、陽性として分類される。
【0162】
新たに発見された生体マーカーおよびこれらと連鎖不平衡にある他のものは、薬物応答を予測し、処置によって利益を受けるものにのみ薬物を適用する、または処置によって有害作用を有し得る者を排除する助けになり得るコンパニオン診断検査において使用され得る。
【0163】
種々の集団におけるrs309605の頻度報告は、表2に示される。集団とは、個体の群(通常は、大きな群)である。ヒト集団サンプルは、例えば、人種(起源の集団)および地理によって定義される集団から選択されるサンプルに相当する。例えば、集団サンプルは、異なる人種群(例えば、アフリカ人、アフリカ系アメリカ人、白色人種、アジア人、アジア系アメリカ人、中国人、中国系アメリカ人、および地理にも依存する:例えば、ハワイ州の中国系アメリカ人)から選択され得る。あるいは、ヒト集団サンプルは、実験集団(例えば、病的な集団における個体または薬物を投与した場合に、およびコントロール集団(例えば、健康な個体)と比較して、特定の様式で反応する個体)から選択され得る。
【表1-29】
【表1-30】
【表1-31】
【表1-32】
【表1-33】
【表1-34】
【表1-35】
【表1-36】
【表1-37】
【表1-38】
【表1-39】
【表2】
【表3】
【0164】
一塩基多型の数(例えば、SNPコンソーシアムおよび新規の遺伝子型決定法によって同定されるもの)が増大するとともに、DNA改変体と疾患との間の関連研究が増大する。他の連鎖方法論が限定されていることから、連鎖不平衡マッピングは、全ゲノムを通じて複雑な疾患をマップする選り抜きのストラテジーになっている。
【0165】
一局面において、LDは、2またはこれより多くの遺伝子座におけるアレルの中での集団の関連に言及する。それは、集団におけるアレルの共分離(co-segregation)の尺度である。連鎖不平衡またはアレル関連性が、特定のアレルまたは遺伝マーカーと、集団における任意の特定のアレル頻度に関して偶然に予想されるものより頻度の高い近くの染色体位置における特定のアレルまたは遺伝マーカーとの優先的な関連性である。例えば、遺伝子座Xがアレルaおよびアレルb(これらは等しい頻度で存在する)を有し、そして連鎖した遺伝子座Yがアレルcおよびアレルd(これらは、等しい頻度で存在する)を有する場合に、組み合わせacが0.25の頻度で起こると予想される。acがより頻繁に起こる場合、アレルaおよびアレルcは、連鎖不平衡にある。連鎖不平衡は、アレルのある種の組み合わせの天然の選択から、または1つのアレルが、連鎖したアレルと平衡に達するにはあまりにも最近に集団の中に導入されたことから、生じ得る。
【0166】
連鎖不平衡にあるマーカーは、疾患に対する感受性(susceptibility)(または他の表現型)を検出するにあたって特に有用であり得る。そのマーカーは、その疾患を引き起こしてもよいし、引き起こさなくてもよい。例えば、マーカー(X)自体が疾患の原因となるエレメントではないが、表現型の原因となるエレメントである遺伝子(調節配列を含む)(Y)と連鎖不平衡にあるマーカー(X)は、その遺伝子Yが同定されていなくてもよいし、容易に検出可能でなくてもよい状況において、その疾患に対する感受性を示すために検出され得る。一局面において、用語、アレル頻度(alelle frequency)は、試験される集団におけるアレルの総数に対して所定のアレルを有する個体の数の割合に相当する。
【0167】
いくつかの実施形態において、連鎖不平衡(LD)とは、所定の集団において各アレルの存在の別個の頻度から予想されるものより大きな頻度での、2種もしくはより多くの異なるSNP部位におけるアレル(例えば、代替のヌクレオチド)の共遺伝(co-inheritance)に言及する。独立して遺伝される2つのアレルの共存(co-occurrence)の予想される頻度は、第1のアレルの頻度に第2のアレルの頻度をかけたものである。予想される頻度で共存するアレルは、「連鎖平衡(linkage equilibrium)」にあるといわれる。対照的に、LDとは、2またはこれより多くの異なるSNP部位におけるアレル間の任意のランダムでない遺伝的関連性に言及し、これは、染色体に沿ってその2つの遺伝子座の物理的近接性に概して起因する。例えば、U.S.2008/0299125号(これは、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0168】
連鎖不平衡は、多くの因子(選択、組換えの速度、変異の速度、遺伝的浮動、交配システム、集団構造、および遺伝的連鎖などが挙げられる)によって影響を及ぼされる。結果として、ゲノムにおける連鎖不平衡のパターンは、これを構造化している集団の遺伝的プロセスの強力なシグナルである。その名称にも拘わらず、連鎖不平衡は、異なる遺伝子座の間にいかなる遺伝的連鎖もなく、そしてアレル頻度が平衡にある(時間とともに変化しない)か否かに関係なく、その異なる遺伝子座におけるアレル間で存在し得る。有性生殖集団において形成される配偶子の中で、アレルAが1つの遺伝子座において頻度pで存在する(すなわち、pは、その遺伝子座においてAを有する配偶子の割合である)一方で、異なる遺伝子座において、アレルBは、頻度pで存在すると想定する。同様に、pABは、AおよびBの両方が同じ配偶子の中に一緒に存在する頻度とする(すなわち、pABは、ABハプロタイプの頻度である)。アレルAとアレルBとの間の関連性は、一方の存在が他方の存在に影響を及ぼさない場合に完全にランダムと考えられ得、この場合、AおよびBの両方が一緒に存在する確率は、確率の積p×pによって与えられる。その2つのアレルの間の連鎖不平衡は、pABが何らかの理由でp×pとは異なる場合は常に存在する。
【0169】
AとBとの間の連鎖不平衡のレベルは、連鎖不平衡の係数DAB(これは、DAB=pAB-p×pとして定義されるが、ただしpおよびpはともに、0より大きい)によって定量化され得る。連鎖不平衡の係数DABは、常に連鎖不平衡の便利な尺度であるわけではない。なぜなら考えられる値のその範囲は、これが言及するアレルの頻度に依存するからである。DABは、これを、観察されたアレル頻度と予想されたアレル頻度との間の理論的な最大差で除算することによって正規化され得、D’値を計算する:
【数1】
【0170】
D’値の代わりは、遺伝子座の対間の相関係数であり、以下のとおりに表される:
【数2】
【0171】
いくつかの実施形態において、LDは、2またはこれより多くのSNP部位が所定の染色体上で互いに物理的に密に近接して存在する場合に起こり得、従って、これらSNP部位にあるアレルは、一方のSNP部位における特定のヌクレオチド(アレル)が、その近くに位置する異なるSNP部位における特定のヌクレオチド(アレル)とランダムでない関連性を示すという結果を伴って、複数世代にわたって未分離のままである傾向にある。よって、これらSNP部位のうちの一方を遺伝子型決定すると、LDにある他方のSNP部位を遺伝子型決定するのとほぼ同じ情報が与えられる。例えば、U.S.2008/0299125(これは、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0172】
いくつかの実施形態において、診断および/またはコンパニオン診断目的で、特定のSNP部位が、診断および/またはコンパニオン診断に有用であることが見出される場合、当業者は、このSNP部位とLDにある他方のSNP部位が、状態の診断および/またはコンパニオン診断にも有用であると認識する。いくつかのSNPが他より密接に関連する(すなわち、より強いLDにある)という結果とともに、2またはこれより多くのSNPの間で種々の程度のLDに遭遇し得る。さらに、LDが染色体に沿って延びる物理的距離は、ゲノムの異なる領域間で異なり、従って、LDが起こるために必要な2またはこれより多くのSNP部位間の物理的分離の程度は、ゲノムの異なる領域間で異なり得る。例えば、U.S.2008/0299125(これは、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0173】
LDを分析する方法および/または既知の遺伝子座とLDにある遺伝子座を同定する方法は、例えば、U.S.2004/0072217で開示されるように、当該分野で公知である。LDを分析および/またはシミュレートするためのソフトウェアの例としては、以下が挙げられる:PLINK(zzz.bwh.harvard.edu/plink)、LDHat(ldhat.sourceforge.net)、Haploview(www.broadinstitute.org/haploview/haploview)、LdCompare(例えば、Haoら, LdCompare: rapid computation of single- and multiple-marker r2 and genetic coverage, Bioinformatics 2007, 23(2):252-4を参照のこと)、SNP and Variation Suite(goldenhelix.com/products/SNP_Variation/index.html)、GOLD(csg.sph.umich.edu/abecasis/GOLD/index.html)、TASSEL(www.maizegenetics.net/tassel)、rAggr(raggr.usc.edu)、SNeP(sourceforge.net/projects/snepnetrends)、およびHaploid(haploid.nongnu.org)(これらは全て、本明細書に参考として援用される)。
【0174】
D.生体マーカーの適用
本明細書で記載されるゲノム生体マーカーから生成される情報は、がん(例えば、GBMおよびDLBCL)を有する個体に適切な投与量および/または処置レジメンを決定するために使用され得る。この知識は、投与または薬物選択に適用される場合、有害反応または治療の失敗を回避し得、従って、治療用組成物(例えば、エンザスタウリン)を投与する場合の治療効率を増強し得る。
【0175】
本明細書で開示される生体マーカーおよびこれらの関連SNPまたは遺伝子はまた、GBMおよびDLBCLの他にも、他の疾患または状態の処置に対する患者の応答を予測するために使用され得る。これらの疾患としては、リンパ腫、肺がん、前立腺がん、乳がん、がん防止が挙げられるが、これらに限定されない。
【0176】
薬理ゲノミクスは、被験体の遺伝子型に従ってその被験体のための処置を調整することに関わる。なぜなら特定の処置レジメンは、その被験体の遺伝子型に依存して差次的な効果を発揮し得るからである。例えば、予後検査の転帰に基づいて、臨床医または医師は、妥当な情報ならびにその情報または処置によって利益を得る被験体に対する防止的または治療的処置を目標とし得、そしてこのような情報および処置を、利益を得ない(例えば、その処置は、治療効果を有しない、および/またはその被験体は、有害副作用を経験する)被験体に向けることを回避し得る。本明細書で記載される方法を使用して薬理ゲノミクス生体マーカーから生成される情報は、個体にとって適切な投与量および処置レジメンを決定するために使用され得る。この知識は、投与または薬物選択に適用される場合、有害反応または治療の失敗を回避し得、従って、治療用組成物を投与する場合に、治療効率を増強し得る。いくつかの実施形態において、その薬理ゲノミクス生体マーカーは、コンパニオン診断検査を開発するために使用され得る。
【0177】
従って、さらなる局面において、本明細書で開示される生体マーカーを使用するコンパニオン診断検査が、本明細書で提供される。例えば、一実施形態において、医師または臨床医は、被験体に薬学的組成物を投与するか否かを決定するときに、本明細書で記載される方法を使用して生体マーカーにおいて得られる知識を適用することを考え得る。別の実施形態において、医師または臨床医は、患者に投与される処置の投与量、例えば、処置あたりの量または処置の頻度を決定する場合に、このような知識を適用することを考慮し得る。
【0178】
本発明は、処置に対する被験体の応答性を評価するかまたはその評価を補助するための方法を提供する。本発明はまた、応答性を予測する、または被験体において処置/処置に対する応答性をモニターするための方法を提供する。本発明は、処置に関して被験体を選択する、およびその被験体を処置するための方法を提供する。いくつかの実施形態において、その方法は、その被験体から得られたサンプル中の1種もしくはこれより多くの薬理ゲノミクス生体マーカーを評価する工程;および上記1種もしくはこれより多くの薬理ゲノミクス生体マーカーの遺伝子型に基づいて、処置に対するその被験体の応答性を予測する、評価する、またはその評価を補助する工程を包含する。いくつかの実施形態において、その応答性は、アルゴリズム(例えば、サポートベクターマシーン(SVM)、ロジスティック回帰、またはK近傍法)を使用して、その被験体を分類することによって予測または評価される。
【0179】
以下は、薬理ゲノミクス実施形態の一例である。特定の処置レジメンは、被験体の遺伝子型に依存して、例えば、一方または両方のアレルにおいて、差次的な効果を発揮し得る。候補治療剤が、メジャーアレルとの有意な相互作用およびマイナーアレルと比較的弱い相互作用を示す(例えば、相互作用における1桁または1桁を超える差異)場合、このような治療剤は、代表的には、マイナーアレルに関してホモ接合性であるとして遺伝子型決定された被験体には投与されず、ときおり、マイナーアレルに関してヘテロ接合性であるとして遺伝子型決定された被験体にも投与されない。例えば、1つの薬剤の治療効果が、メジャーアレル(例えば、アレルA)と関連し、マイナーアレル(例えば、アレルB)と関連しないか、またはそのマイナーアレルとよりもそのメジャーアレルとの方がより強く関連する場合、このような治療剤は、代表的には、メジャーアレルに関してホモ接合性またはヘテロ接合性である(AAまたはAB)として遺伝子型決定された被験体には投与され、マイナーアレルに関してホモ接合性である(BB)として遺伝子型決定された被験体には投与されない。別の例では、1つの薬剤の治療効果が、メジャーアレル(例えば、アレルA)と関連し、マイナーアレル(例えば、アレルB)と関連しないか、またはそのマイナーアレルとよりもそのメジャーアレルとの方がより強く関連する場合、このような治療剤は、メジャーアレルに関してホモ接合性である(AA)として遺伝子型決定された被験体に投与され得るが、マイナーアレルに関してヘテロ接合性またはホモ接合性である(ABまたはBB)として遺伝子型決定された被験体には投与され得ない。なお別の例では、1つの薬剤の治療効果は、メジャーアレルまたはマイナーアレルの存在というよりむしろ、遺伝子型(AA、AB、またはBB)と関連し得る。例えば、その治療効果は、種々の程度を有する遺伝子型AA、AB、およびBBと関連し得、その3種の異なる遺伝子型の被験体は、種々の用量でおよび/または種々の継続期間にわたって、その薬剤で処置され得る。
【0180】
または有害作用(例えば、毒性)
【0181】
別の例では、候補治療剤が、メジャーアレルに関してホモ接合性である被験体に投与したときに有意に毒性ではないが、マイナーアレルに関してヘテロ接合性またはホモ接合性である被験体に投与したときに比較的毒性である場合、その候補治療剤は、代表的には、マイナーアレルに関してヘテロ接合性またはホモ接合性であるとして遺伝子型決定された被験体に投与されない。
【0182】
本明細書で記載される方法は、代謝障害、心血管疾患、がんなどのような状態を防止、緩和または処置するための薬理ゲノミクス方法に適用可能である。例えば、個体の核酸サンプルは、本明細書で記載される予後検査に供され得る。状態、障害、または疾患(例えば、がん)の増大したリスクと関連する1種もしくはこれより多くの多型バリエーションが被験体において同定される場合、その状態、障害、もしくは疾患を防止もしくは処置するための情報ならびに/またはその状態、障害、もしくは疾患に関する1種もしくはこれより多くの処置レジメンの安全性および/もしくは有効性についての情報は、その被験体に処方され得る。
【0183】
ある種の実施形態において、処置レジメンは、個体が本明細書で記載される方法によって評価される処置レジメンに対して応答する可能性に基づいて、その処置レジメンから最も利益を得るその個体に、具体的に処方されるおよび/または投与される。従って、処置レジメンに対して応答する可能性が高い被験体を同定し、次いで、このような処置レジメンを、応答する可能性が高いとして同定された個体に処方するための方法が、提供される。従って、ある種の実施形態は、被験体を処置するための方法に関し、上記方法は、被験体に由来する核酸サンプル中で、本明細書で示されるヌクレオチド配列において処置レジメンに対する応答性と関連する薬理ゲノミクス生体マーカーの存在または非存在を検出する工程、および上記処置レジメンに対する応答性と関連する薬理ゲノミクス生体マーカーの存在が、上記ヌクレオチド配列において検出される場合、そのサンプルが由来した被験体に上記処置レジメンを処方または投与する工程を包含する。
【0184】
上記処置は、ときには防止的であり(例えば、疾患状態が生じるまたは進行する確率を低減するために処方または投与される)、ときには治療的であり、そしてときには疾患状態の進行を遅らせるか、緩和するか、または停止させる。障害の存在を緩和するかまたは防止するために任意の公知の防止的または治療的な処置が、処方および/または投与され得る。
【0185】
薬理ゲノミクス方法はまた、薬物に対する応答を分析および予測するために使用され得る。例えば、薬理ゲノミクス分析によって、個体が特定の薬物での処置に対して正に応答する可能性が示される場合、その薬物は、その個体に投与され得る。逆に、その分析によって、個体が特定の薬物での処置に対して負に応答する可能性があることが示される場合、処置の代替のクールが処方され得る。治療的処置に対する応答は、以下の集団のうちのいずれかにおける被験体が遺伝子型決定されたバックグラウンド研究において予測され得る:処置レジメンに対して有利に応答する集団、処置レジメンに対して有意に応答しない集団、および処置レジメンに対して有害に応答する(例えば、1種もしくはこれより多くの副作用を示す)集団。これらの集団は、例として提供され、他の集団および部分集団が分析され得る。これらの分析の結果に基づいて、被験体は、彼もしくは彼女が処置レジメンに対して有利に応答するか、処置レジメンに対して有意に応答しないか、または処置レジメンに対して有害に応答するかを予測するために遺伝子型決定される。
【0186】
分類/予測アルゴリズムは、検証および/または反復データセットを使用して開発され得る。その遺伝子型決定された多型遺伝子座の中のLDに基づいて欠けているデータのうちのいくつかを置き換え得る補完アルゴリズムが、使用され得る。SNPが遺伝子型決定のために使用される実施形態において、SNPデータベース(例えば、Hapmap)は、その補完アルゴリズムのために使用され得る。分類/予測アルゴリズムの開発のために、その検証データセットが、トレーニング用データセットとして使用され得る。分類/予測アルゴリズムが一旦開発されたら、その反復データセットは、そのアルゴリズムを試験するために使用され得る。
【0187】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、K近傍法を使用して、被験体に由来するサンプルおよび既知のクラスを有する参照サンプル中の薬理ゲノミクス生体マーカーの遺伝子型に基づいて、応答性または非応答性の被験体としてその被験体を分類する工程を包含する。いくつかの実施形態において、K近傍法を使用して被験体を分類する工程は、以下によって行われる:(1)パラメーターK(すなわち、最近傍物の数)を決定する工程;(2)分類されるべき新たなサンプル中のマーカー遺伝子の測定された発現レベルと、各参照サンプル中のそれぞれのマーカー遺伝子の発現レベルとの間の差異を計算する工程;(3)その新たなサンプルとその参照サンプルとの間で絶対差異の最小加重平均(WARD)を有するサンプルを選択することによって、最近傍の参照サンプルを決定する工程;および(4)K近傍参照サンプルの既知のクラスに基づいて、その新たなサンプルのクラスを決定する工程。重みおよび/またはパラメーターKは、既知のクラスを有する臨床試験サンプルとの交差検証を使用して決定される。例えば、5倍(例えば、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍)~N倍交差検証は、その加重したK近傍分類エラーを最小化するために使用され得、ここでNは、サンプルのサイズである。いくつかの実施形態において、Kは、4~13の間の整数(例えば、4、5、6、7、8、9、10、11、12、および13)である。いくつかの実施形態において、最近傍参照サンプル(最近傍物)は、薬理ゲノミクス生体マーカーの各々に関して、分類されるべき新たなサンプルの発現レベルと各参照サンプルの発現レベルとの間の絶対差異の最小加重平均を有するものである。
【0188】
予測するか、評価するか、または評価を補助するための比較および/または計算は、問題の薬理ゲノミクス生体マーカーに関して、測定された値および/または参照値のタイプに適した任意の都合の良い様式で行われ得る。比較または計算のプロセスは、手動であってもよいし、自動であってもよい(例えば、コンピューターベースの機械を含む機械による)。当業者に明らかであるように、薬理ゲノミクス生体マーカーに関して反復遺伝子型決定が行われ得る。
【0189】
本明細書で開示されるコンパニオン診断検査を使用して処置に対する被験体の応答性を予想する方法がまた、本明細書で提供される。本明細書で記載される検査はまた、薬物の臨床試験に適用可能である。いくつかの実施形態において、その薬理ゲノミクス生体マーカーは、臨床試験のための被験体集団を層化または選択するために使用され得る。その薬理ゲノミクス生体マーカーは、いくつかの実施形態において、処置に対して毒性応答を示し得る個体を、示さない個体から層化するために使用され得る。他の実施形態においてその薬理ゲノミクス生体マーカーは、非応答者である者を応答者である者から分離するために使用され得る。本明細書で記載される薬理ゲノミクス生体マーカーは、薬理ゲノミクスベースのデザインおよび臨床試験の実施を管理するにあたって使用され得る。
【0190】
治療剤に対する応答または治療剤に対する副作用を示す1種もしくはこれより多くの薬理ゲノミクス生体マーカーが、同定され得る。その後、このような薬剤の臨床試験の潜在的参加者は、その薬剤に有利に応答する可能性が最も高い個体を同定し、副作用を経験する可能性がある個体を排除するためにスクリーニングされ得る。そのようにして、薬物処置の効力は、研究において正に応答する可能性が低い個体の包含の結果として測定値を低下させずに、および望ましくない安全性の問題のリスクに曝すことなしに、その薬物に対して正に応答する個体において測定され得る。
【0191】
従って、別の実施形態は、処置または薬物の臨床試験に含めるために個体を選択するための方法であり、上記方法は、(a)個体から核酸サンプルを得る工程;(b)核酸サンプルにおいて、上記処置または上記薬物に対する正の応答と関連する多型バリエーション、または上記処置または上記薬物に対する負の応答と関連する少なくとも1種の多型バリエーションの正体を決定する工程、および(c)上記核酸サンプルが上記処置または上記薬物に対する正の応答と関連する上記多型バリエーションを含む場合、または上記核酸サンプルが上記処置または上記薬物に対する負の応答と関連する上記多型バリエーションを欠く場合に、上記臨床試験に上記個体を含める工程を包含する。さらに、処置または薬物の臨床試験に含めるために個体を選択するための本明細書で記載される方法は、本開示で記載される任意のさらなる限定を有する方法、または単独でもしくは任意の組み合わせにおいて特定される以下のものを包含する。上記含める工程(c)は、必要に応じて、上記核酸サンプルが上記処置または上記薬物に対する正の応答と関連する上記多型バリエーションを含み、上記核酸サンプルが上記処置または上記薬物に対する負の応答と関連する上記二アレルマーカーを欠く場合、上記薬物または上記処置を上記個体に投与する工程を包含する。
【0192】
E.さらなる生体マーカーまたは薬物標的
本明細書で開示される生体マーカーの近位にある多型改変体を同定するための方法がまた、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、同定される上記近位にある多型改変体はときおり、公に開示された多型改変体であり、これは、例えば、公に利用可能なデータベースの中でときおり公開される。他の実施形態において、その同定される多型改変体は、公に開示されておらず、公知の方法(核酸サンプルの群においてその同定される薬理ゲノミクス生体マーカーの周りの領域のシーケンシングが挙げられるが、これらに限定されない)を使用して発見される。従って、生体マーカーの近位にある複数の多型改変体は、この方法を使用して同定される。
【0193】
その近位にある多型改変体はしばしば、その生体マーカーの周りの領域において同定される。ある種の実施形態において、この周りの領域は、その生体マーカーに隣接する約50kbであり(例えば、その第1の多型改変体の5’側の約50kbおよびその第1の多型改変体の3‘側の約50kb)、その領域はときおり、より短い隣接配列から構成される(例えば、その生体マーカーの5’側および3’側の約40kb、約30kb、約25kb、約20kb、約15kb、約10kb、約7kb、約5kb、または約2kbの隣接配列)。他の実施形態において、その領域は、より長い隣接配列を含む(例えば、その生体マーカーの5’側および3’側の約75kb、約150kb、約300kb、約600kb、約1,200kb、約2,000kb、約4,000kb、または約10,000kbの隣接配列)。
【0194】
ある種の実施形態において、多型改変体は、反復して同定される。例えば、第1の近位にある多型改変体は、上記で記載される方法を使用して同定され、次いで、その第1の近位にある多型改変体の近位にある別の多型改変体が、同定され(例えば、公に開示されるかまたは発見され)、そしてその第1の近位にある多型改変体の近位にある1種もしくはこれより多くの他の多型改変体の関連性の存在または非存在が、決定される。
【0195】
本明細書で記載される方法は、状態、疾患、または障害と関連する遺伝子、領域または遺伝子座をさらに特徴づけるために使用され得るさらなる多型改変体を同定または発見するために有用である。例えば、そのさらなる多型改変体からのアレル型決定または遺伝子型決定のデータは、機能的変異または連鎖不平衡の領域を同定するために使用され得る。ある種の実施形態において、その生体マーカーを含む領域内で同定または発見された多型改変体は、遺伝子型決定され、それは、それら多型改変体がその生体マーカーと連鎖不平衡にあるか否かを決定され得る。その生体マーカーと連鎖不平衡にある領域のサイズはまた、これらの遺伝子型決定法を使用して評価され得る。従って、多型改変体が生体マーカーと連鎖不平衡にあるか否かを決定するための方法が本明細書で提供され、そしてこのような情報は、本明細書で記載される予後/診断法において使用され得る。
【0196】
さらに、その生体マーカーの近位にある遺伝子が同定され得、そしてそれらの機能が分析され得る。関連する表現型に直接的もしくは間接的に関する機能を有する遺伝子、または同じ細胞経路における他の遺伝子は、関連する表現型でのさらなる分析のための標的であり得、新たな生体マーカーが同定され得る。
【0197】
新規な治療剤を開発するおよび/または本明細書で開示される生体マーカーを使用して新規な薬物標的を同定するための方法がさらに、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、それら生体マーカーおよびそれらの関連するSNPまたは遺伝子は、根底にある生物学的経路またはその研究される表現型(例えば、有効性、有害作用、または他のエンドポイント)の根底にある機構の見通しを得ることができる。
【0198】
F.試薬およびキット
本発明は、本発明に従う使用のためのキット、チップ、デバイス、またはアッセイの調製を企図する。このようなアッセイ、チップ、デバイス、またはキットは、SNP(例えば、rs309605ならびに表1A~1Hおよび表2に列挙されるもの)の遺伝的シグネチャーを検出するために複数のプライマーまたはプローブを含み得る。このような方法は、被験体がヘルスケア提供者の助けを借りずに、例えば、口腔細胞または血液のサンプルを得るために使用し得る機器および指示を含み得る。
【0199】
本発明はまた、ゲノム生体マーカーの測定値から生成される検査結果をスコアへと変換するコンピューターアルゴリズムの開発を企図し、このスコアは、個体が本発明の治療剤(例えば、エンザスタウリン処置)を受けるべきか否かを決定するために使用される。
【0200】
上記で記載される生体マーカーに基づく診断キットが開発され得、そしてそれらはその対応する薬物に対する個体の応答を予測するために使用され得る。このような検査キットは、被験体がヘルスケア提供者の助けを借りずに、例えば、口腔細胞または血液のサンプルを得るために使用し得るデバイスおよび指示を含み得る。
【0201】
上記で記載されるかまたは示唆される適用における使用のために、キットまたは製造物品がまた、本発明によって提供される。このようなキットは、本明細書で記載される生体マーカーを遺伝子型決定するために特異的な少なくとも1種の試薬を含み得、本明細書で記載される方法を実施するための指示をさらに含み得る。
【0202】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドのまたはその任意の特定の部分の特異的増幅を可能にするプライマーおよびプライマー対、ならびに本発明の核酸分子またはその任意の部分に選択的にまたは特異的にハイブリダイズするプローブを含む組成物およびキットを提供する。プローブは、検出可能なマーカー(例えば、放射性同位体、蛍光化合物、生体発光化合物、化学発光化合物、金属キレート化剤または酵素のような)で標識され得る。このようなプローブおよびプライマーは、サンプル中でポリヌクレオチドの存在を検出するために、およびそのポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質を発現する細胞を検出するための手段として、使用され得る。当業者によって理解されるように、非常に多くの異なるプライマーおよびプローブが、本明細書で提供される配列に基づいて調製され得、ゲノムDNAを増幅する、クローニングする、ならびに/またはその存在および/もしくはレベルを決定するために有効に使用され得る。
【0203】
いくつかの実施形態において、キットは、ポリペプチドの存在を検出するための試薬を含み得る。このような試薬は、ポリペプチドに特異的に結合する抗体または他の結合分子であり得る。いくつかの実施形態において、このような抗体または結合分子は、多型の結果としてポリペプチドに対して構造バリエーションを区別し得るので、遺伝子型決定のために使用されてもよい。その抗体または結合分子は、検出可能なマーカー(例えば、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、生体発光化合物、化学発光化合物、金属キレート化剤または酵素のような)で標識され得る。結合アッセイ(例えば、ELISA)を行うための他の試薬は、キットの中に含まれ得る。
【0204】
いくつかの実施形態において、キットは、少なくとも2種、少なくとも3種、少なくとも5種、少なくとも10種、またはこれより多くの生体マーカーを遺伝子型決定するための試薬を含む。いくつかの実施形態において、そのキットは、増幅した核酸を検出するための捕捉プローブ用の表面または担体(例えば、マイクロアレイ)をさらに含み得る。
【0205】
キットは、1種もしくはこれより多くの容器手段(例えば、バイアル、チューブなど)を密に拘束して受容するために区画化されているキャリア手段をさらに含み得、その容器手段の各々は、方法において使用されるべき別個のエレメントのうちの1つを含む。例えば、その容器手段のうちの1つは、検出可能に標識されているかまたは標識され得るプローブを含み得る。このようなプローブは、生体マーカーに特異的なポリヌクレオチドであり得る。キットが核酸ハイブリダイゼーションを利用して、その標的核酸を検出する場合、そのキットは、標的核酸配列の増幅のためのヌクレオチドを含む容器および/またはレポーター分子(例えば、酵素標識、蛍光標識、もしくは放射性同位体標識)に結合されるレポーター手段(例えば、ビオチン結合タンパク質(例えば、アビジンまたはストレプトアビジン))を含む容器を有し得る。
【0206】
本発明のキットは、代表的には、上記に記載される容器、ならびに商業上のおよびユーザーの見地から望ましい物質(緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、シリンジ、および使用についての指示を含むパッケージ挿入物が挙げられる)を含む1もしくはこれより多くの他の容器を含む。ラベルは、組成物が特定の治療または非治療的適用に使用されることを示すためにその容器の上に存在し得、また、インビボまたはインビトロいずれかでの使用(例えば、上記で記載されるもの)のための指図を示し得る。
【0207】
キットは、組織または細胞サンプルを調製し、核酸(例えば、ゲノムDNA)をそのサンプルから調製するための一組の指示および物質をさらに含み得る。
【0208】
本発明は、本発明の方法を行うにあたって使用するのに適した種々の組成物(これらは、キットの中で使用され得る)を提供する。例えば、本発明は、表面(例えば、このような方法において使用され得るアレイ)を提供する。いくつかの実施形態において、本発明のアレイは、本発明の薬理ゲノミクス生体マーカーを検出するために有用な個々の核酸分子またはその収集物を含む。例えば、本発明のアレイは、標的核酸を含むサンプルにハイブリダイズ可能な、一連の不連続に配置された個々の核酸オリゴヌクレオチドまたは核酸オリゴヌクレオチド組み合わせのセットを含み得、それによってこのようなハイブリダイゼーションは、本発明の薬理ゲノミクス生体マーカーの遺伝子型を示す。
【0209】
いくつかの技術が、核酸を固体担体(例えば、ガラススライド)に付着させることに関して当該分野で周知である。1つの方法は、固体担体に付着し得る部分(例えば、アミン基、アミン基の誘導体または正電荷を有する別の基)を含む改変塩基またはアナログを、合成される核酸分子へと組み込むことである。次いで、その合成された生成物は、固体担体(例えば、ガラススライド)と接触される。その固体担体は、増幅された生成物上にありかつガラススライドに共有結合されるようになる反応性基と共有結合を形成するアルデヒドまたは別の反応性基で被覆される。他の方法(例えば、アミノプロピルシリカ表面化学を使用するもの)はまた、ワールドワイドウェブ(cmt.corning.com and cmgm.stanford.edu/pbrown1)において開示されるように、当該分野で公知である。
【0210】
後に反応性基に変換され得るオリゴヌクレオチドへの基の付着はまた、当該分野で公知の方法を使用して可能である。オリゴヌクレオチドのヌクレオチドへの任意の付着は、オリゴヌクレオチドの一部になり、これは次いで、マイクロアレイの固体表面に付着され得る。増幅された核酸は、使用される技術によって必要とされるおよび/または許容される場合に、例えば、断片への切断を通じて、または固体担体への付着の前もしくは後に、検出可能な標識の付着によって、さらに改変され得る。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
単離されたポリヌクレオチドであって、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的な一塩基多型(SNP)、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択されるSNPを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる、単離されたポリヌクレオチド。
(項目2)
前記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、またはrs309601である、項目1に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目3)
前記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、またはrs309601である、項目2に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目4)
前記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、またはrs7836309である、項目3に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目5)
前記SNPは、rs309605またはrs309604である、項目4に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目6)
単離されたポリヌクレオチドの一団であって、項目1~5のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドのうちの2種もしくはこれより多く、3種もしくはこれより多く、4種もしくはこれより多く、または5種もしくはこれより多くを含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる、一団。
(項目7)
前記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、およびrs309601のうちの2種もしくはこれより多く、3種もしくはこれより多く、4種もしくはこれより多く、5種もしくはこれより多く、または全てを含む、項目6に記載の一団。
(項目8)
前記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、およびrs309601のうちの2種もしくはこれより多く、3種もしくはこれより多く、4種もしくはこれより多く、5種もしくはこれより多く、または全てを含む、項目7に記載の一団。
(項目9)
前記SNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、およびrs7836309のうちの2種もしくはこれより多く、3種もしくはこれより多く、4種もしくはこれより多く、または全てを含む、項目8に記載の一団。
(項目10)
前記SNPは、rs309605および/またはrs309604を含む、項目9に記載の一団。
(項目11)
前記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1~28に示される配列、これらの相補的な配列、もしくはこれらと連鎖不平衡にある配列を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる、項目1~5のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは項目6~10のいずれか1項に記載の一団。
(項目12)
前記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1~11、15~21、および28に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる、項目11に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは一団。
(項目13)
前記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1~5に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる、項目12に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは一団。
(項目14)
前記単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1~2に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含むか、これらからなるか、またはこれらから本質的になる、項目13に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは一団。
(項目15)
項目1~14のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは一団を含むキットであって、前記キットは、必要に応じて、使用についての指示を含む、キット。
(項目16)
担体、および前記担体上に直接的または間接的に固定化された項目1~14のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは一団を含む、マイクロアレイ。
(項目17)
rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的な一塩基多型(SNP)、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPを検出するための、試薬。
(項目18)
rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、およびrs309601からなる群より選択される1種またはこれより多くのSNPを検出するためのものである、項目17に記載の試薬。
(項目19)
rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、およびrs309601からなる群より選択される1種またはこれより多くのSNPを検出するためのものである、項目18に記載の試薬。
(項目20)
rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、およびrs7836309からなる群より選択される1種またはこれより多くのSNPを検出するためのものである、項目19に記載の試薬。
(項目21)
rs309605および/またはrs309604を検出するためのものである、項目20に記載の試薬。
(項目22)
前記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~28に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む、項目17~21のいずれか1項に記載の試薬。
(項目23)
前記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~11、15~21、および28に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む、項目22に記載の試薬。
(項目24)
前記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~5に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む、項目23に記載の試薬。
(項目25)
前記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~2に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む、項目24に記載の試薬。
(項目26)
前記SNPまたは複数のSNPをアッセイするための1種またはこれより多くの分子を含む、項目17~25のいずれか1項に記載の試薬。
(項目27)
前記1種またはこれより多くの分子は、オリゴヌクレオチドおよび/またはポリペプチドを含む、項目26に記載の試薬。
(項目28)
前記オリゴヌクレオチドは、配列番号1~28に示される配列、またはこれらの相補的な配列を含む、項目27に記載の試薬。
(項目29)
前記オリゴヌクレオチドは、前記SNPまたは複数のSNPを遺伝子型決定するための1種またはこれより多くのプライマーを含む、項目27または28に記載の試薬。
(項目30)
項目17~29のいずれか1項に記載の試薬を含むキットであって、前記キットは、必要に応じて、使用についての指示を含む、キット。
(項目31)
項目1~14のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは一団および項目17~29のいずれか1項に記載の試薬を含むキットであって、前記キットは、必要に応じて、使用についての指示を含む、キット。
(項目32)
前記単離されたポリヌクレオチドまたは一団は、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、およびrs309601からなる群より選択されるSNPを含み、前記試薬は、SNP(複数可)を検出できる、項目31に記載のキット。
(項目33)
前記一団は、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、および/またはrs7836309を含み、前記試薬は、前記SNPを検出できる、項目32に記載のキット。
(項目34)
前記一団は、rs309605および/またはrs309604を含み、前記試薬は、前記SNPを検出できる、項目33に記載のキット。
(項目35)
前記試薬は、前記SNP(複数可)を検出でき、前記単離されたポリヌクレオチドまたは一団は、検出アッセイのコントロールとして働く、項目31~34のいずれか1項に記載のキット。
(項目36)
担体、および前記担体上に直接的または間接的に固定化された項目17~29のいずれか1項に記載の試薬を含む、マイクロアレイ。
(項目37)
担体、および項目1~14のいずれか1項に記載の単離されたポリヌクレオチドまたは一団、および前記担体上に直接的または間接的に固定化された項目17~29のいずれか1項に記載の試薬を含む、マイクロアレイ。
(項目38)
前記試薬は、SNP(複数可)を検出でき、前記単離されたポリヌクレオチドまたは一団は、検出アッセイのコントロールとして働く、項目37に記載のマイクロアレイ。
(項目39)
単離された生体マーカー、または単離された生体マーカーの一団の評価のために使用される、項目15~38のいずれか1項に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイであって、ここで前記生体マーカーまたは複数の生体マーカーは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択されるSNPを含む、キット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目40)
前記単離された生体マーカーまたは一団は、シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、キャピラリー電気泳動、質量分析法、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLCおよびゲル電気泳動、制限断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、一塩基伸長(SBE)、アレル特異的プライマー伸長(ASPE)、制限酵素消化、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介性増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、プライマー伸長、ローリングサークル増幅(RCA)、自家持続配列複製(3SR)、ループ媒介性等温増幅(LAMP)、ハイブリダイゼーション、核酸シーケンシング、および/またはマイクロアレイによってアッセイされ、
必要に応じて、ここで前記核酸シーケンシングは、マクサム-ギルバートシーケンシング、チェーンターミネーション法、ショットガンシーケンシング、ブリッジPCR、一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体(イオントレントシーケンシング)、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング(SOLiDシーケンシング)、チェーンターミネーション(サンガーシーケンシング)、大規模並行シグネチャーシーケンシング(MPSS)、ポロニーシーケンシング、454パイロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、ヘリスコープ一分子シーケンシング、一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、トンネル電流DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析法を用いるシーケンシング、微量流体サンガーシーケンシング、顕微鏡法ベースの技術、RNAPシーケンシング、およびインビトロウイルスハイスループットシーケンシングからなる群より選択される、
項目39に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目41)
処置、例えば、がん処置に関するコンパニオン診断検査を行うために、前記単離された生体マーカーまたは一団を使用するための指示をさらに含む、項目39または40に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目42)
前記処置に関するコンパニオン診断検査は、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs309601、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種またはこれより多くのSNPを含む単離された生体マーカーの一団を使用して行われる、項目41に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目43)
前記処置に関するコンパニオン診断検査は、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種またはこれより多くのSNPを含む単離された生体マーカーの一団を使用して行われる、項目42に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目44)
前記処置に関するコンパニオン診断検査は、rs309605、rs309604、これらの相補的なSNP、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種またはこれより多くのSNPを含む単離された生体マーカーの一団を使用して行われる、項目43に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目45)
前記処置は、がん処置である、項目41~44のいずれか1項に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目46)
前記がんは、リンパ腫、白血病、脳のがん、多発性骨髄腫、膵臓がん、肝臓がん、胃がん、乳がん、腎臓がん、肺がん、結腸直腸がん、結腸がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頚がん、皮膚がん、食道がん、または頭頚部がんである、項目45に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目47)
前記がんは、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、神経膠腫/膠芽腫(GBM)、非小細胞肺がん(NSCLC)、皮膚T細胞リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫、例えば、ワルデンストレームマクログロブリン血症である、項目46に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目48)
前記処置は、その必要性のある被験体に、薬学的に有効な量のビスインドリルマレイミドまたはそのアナログもしくは誘導体を投与する工程を包含する、項目41~47のいずれか1項に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目49)
前記ビスインドリルマレイミドまたはアナログもしくは誘導体は、エンザスタウリンまたはそのアナログもしくは誘導体である、項目48に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目50)
前記処置は、その必要性のある被験体に、薬学的に有効な量のプロテインキナーゼインヒビター、例えば、プロテインキナーゼC(PKC)インヒビター、例えば、PKCβインヒビターを投与する工程を包含する、項目41~49のいずれか1項に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目51)
前記プロテインキナーゼインヒビターは、エンザスタウリンまたはそのアナログもしくは誘導体である、項目50に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目52)
前記プロテインキナーゼインヒビターは、AKT、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)、p70S6K、リボソームタンパク質S6、4EBP1、cAMP応答エレメント結合タンパク質、および/もしくはGSK3βのリン酸化を抑制し、そして/または
ここで前記プロテインキナーゼインヒビターは、血管形成刺激、例えば、VEGFに対する内皮細胞の応答を阻害または低減する、
項目50または51に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目53)
ビスインドリルマレイミドまたはそのアナログもしくは誘導体、および/またはプロテインキナーゼインヒビター、例えば、プロテインキナーゼC(PKC)インヒビター、例えば、PKCβインヒビターをさらに含む、項目15~52のいずれか1項に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目54)
前記ビスインドリルマレイミドまたはアナログもしくは誘導体、ならびに/あるいは前記プロテインキナーゼインヒビターは、エンザスタウリンまたはそのアナログもしくは誘導体である、項目53に記載のキット、試薬、またはマイクロアレイ。
(項目55)
コンパニオン診断方法であって、前記方法は、
a)生物学的サンプルを、処置を受けている最中であるかまたは処置について検討されている被験体から得、そして必要に応じて、ゲノムDNAを前記生物学的サンプルから単離する工程;
b)前記生物学的サンプルを、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的な一塩基多型(SNP)、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPに関してアッセイする工程;ならびに/または
c)前記処置に対する前記被験体のあり得る応答性を決定するために、例えば、前記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいてコンピューターアルゴリズムで出力、例えば、スコアを生成する工程、
を包含する、方法。
(項目56)
処置の適格性に関して被験体を分類するための方法であって、前記方法は、
a)生物学的サンプルを、処置を受けている最中であるかまたは処置について検討されている被験体から得、そして必要に応じて、ゲノムDNAを前記生物学的サンプルから単離する工程;
b)前記生物学的サンプルを、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的な一塩基多型(SNP)、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPに関してアッセイする工程;ならびに/または
c)前記処置または継続処置に適格または不適格として前記被験体を分類するために、例えば、前記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいてコンピューターアルゴリズムで出力、例えば、スコアを生成する工程、
を包含する方法。
(項目57)
処置に関して被験体または被験体の集団をスクリーニングするための方法であって、前記方法は、
a)生物学的サンプルを、処置を受けている最中であるかまたは処置について検討されている被験体または被験体の集団から得、そして必要に応じて、ゲノムDNAを前記生物学的サンプルから単離する工程;
b)前記生物学的サンプルを、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的な一塩基多型(SNP)、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPに関してアッセイする工程;ならびに/または
c)前記被験体もしくは前記集団が、前記処置もしくは継続処置から利益を得る可能性があるか否かを決定するために、および/または前記被験体もしくは前記集団が、前記処置もしくは継続処置から有害作用を経験する可能性があるか否かを決定するために、例えば、前記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいてコンピューターアルゴリズムで出力、例えば、スコアを生成する工程、
を包含する方法。
(項目58)
処置の間に被験体をモニターするための方法であって、前記方法は、
a)生物学的サンプルを、処置を受けている最中である被験体から得、そして必要に応じて、ゲノムDNAを前記生物学的サンプルから単離する工程;
b)前記生物学的サンプルを、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的な一塩基多型(SNP)、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPに関してアッセイする工程;ならびに/または
c)前記被験体が継続処置を受けるべきか否かを決定するために、例えば、前記SNPまたは複数のSNPのアッセイ結果に基づいてコンピューターアルゴリズムで出力、例えば、スコアを生成する工程、
を包含する方法。
(項目59)
前記処置の前、前記処置の間、および/または前記処置の後に前記被験体の着色尿状態の情報を得る工程をさらに包含する、項目55~58のいずれか1項に記載の方法。
(項目60)
前記被験体の着色尿状態の情報は、前記被験体の診療記録から得られる、ならびに/または前記処置の間の前記被験体の自己報告および/もしくは尿サンプルの分析によって得られる、項目59に記載の方法。
(項目61)
前記SNP(複数可)のアッセイ出力および前記被験体の着色尿状態の情報はともに、処置の意思決定をガイドするにあたって使用され、ここで必要に応じて前記出力および前記情報は、相乗効果を奏する、項目59または60に記載の方法。
(項目62)
前記被験体を前記処置に供する工程または前記処置を前記被験体に対して継続する工程をさらに包含する、項目55~61のいずれか1項に記載の方法。
(項目63)
前記処置を前記被験体に推奨しない工程または前記被験体に前記処置を止めさせる工程をさらに包含する、項目55~61のいずれか1項に記載の方法。
(項目64)
前記1種もしくはこれより多くのSNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、およびrs309601からなる群より選択される、項目55~63のいずれか1項に記載の方法。
(項目65)
前記1種もしくはこれより多くのSNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、およびrs309601からなる群より選択される、項目64に記載の方法。
(項目66)
前記1種もしくはこれより多くのSNPは、rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、またはrs7836309からなる群より選択される、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記1種もしくはこれより多くのSNPは、rs309605およびrs309604からなる群より選択される、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~28に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む、項目55~67のいずれか1項に記載の方法。
(項目69)
前記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~11、15~21、および28に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~5に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記SNPまたは複数のSNPは、配列番号1~2に示される配列、これらの相補的な配列、またはこれらと連鎖不平衡にある配列を含む、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記SNPまたは複数のSNPは、シーケンシング、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、キャピラリー電気泳動、質量分析法、一本鎖高次構造多型(SSCP)、電気化学分析、変性HPLCおよびゲル電気泳動、制限断片長多型、ハイブリダイゼーション分析、一塩基伸長(SBE)、アレル特異的プライマー伸長(ASPE)、制限酵素消化、鎖置換増幅(SDA)、転写媒介性増幅(TMA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、プライマー伸長、ローリングサークル増幅(RCA)、自家持続配列複製(3SR)、ループ媒介性等温増幅(LAMP)、ハイブリダイゼーション、核酸シーケンシング、および/またはマイクロアレイによってアッセイされ、
必要に応じてここで前記核酸シーケンシングは、マクサム-ギルバートシーケンシング、チェーンターミネーション法、ショットガンシーケンシング、ブリッジPCR、一分子リアルタイムシーケンシング、イオン半導体(イオントレントシーケンシング)、合成によるシーケンシング、ライゲーションによるシーケンシング(SOLiDシーケンシング)、チェーンターミネーション(サンガーシーケンシング)、大規模並行シグネチャーシーケンシング(MPSS)、ポロニーシーケンシング、454パイロシーケンシング、Illumina(Solexa)シーケンシング、DNAナノボールシーケンシング、ヘリスコープ一分子シーケンシング、一分子リアルタイム(SMRT)シーケンシング、ナノポアDNAシーケンシング、トンネル電流DNAシーケンシング、ハイブリダイゼーションによるシーケンシング、質量分析法を用いるシーケンシング、微量流体サンガーシーケンシング、顕微鏡法ベースの技術、RNAPシーケンシング、およびインビトロウイルスハイスループットシーケンシングからなる群より選択される、
項目55~71のいずれか1項に記載の方法。
(項目73)
前記処置は、がん処置である、項目55~72のいずれか1項に記載の方法。
(項目74)
前記がんは、リンパ腫、白血病、脳のがん、多発性骨髄腫、膵臓がん、肝臓がん、胃がん、乳がん、腎臓がん、肺がん、結腸直腸がん、結腸がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頚がん、皮膚がん、食道がん、または頭頚部がんである、項目73に記載の方法。
(項目75)
前記がんは、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、神経膠腫/膠芽腫(GBM)、非小細胞肺がん(NSCLC)、皮膚T細胞リンパ腫、または非ホジキンリンパ腫、例えば、ワルデンストレームマクログロブリン血症である、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記処置は、前記その必要性のある被験体に、薬学的に有効な量のビスインドリルマレイミドまたはそのアナログもしくは誘導体を投与する工程を包含し、
ここで前記処置は、必要に応じて、別の治療、例えば、疾患もしくは状態のための標準ケア、例えば、がん処置のためのリツキシマブ-シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、および/またはプレドニゾン(R-CHOP)をさらに含む、
項目55~75のいずれか1項に記載の方法。
(項目77)
前記ビスインドリルマレイミドまたはアナログもしくは誘導体は、エンザスタウリンまたはそのアナログもしくは誘導体である、項目76に記載の方法。
(項目78)
前記処置は、前記その必要性のある被験体に、薬学的に有効な量のプロテインキナーゼインヒビター、例えば、プロテインキナーゼC(PKC)インヒビター、例えば、PKCβインヒビターを投与する工程を包含し、
ここで前記処置は、必要に応じて、別の治療、例えば、前記疾患もしくは状態のための標準ケアをさらに含む、
項目55~77のいずれか1項に記載の方法。
(項目79)
前記プロテインキナーゼインヒビターは、エンザスタウリンまたはそのアナログもしくは誘導体である、項目78に記載の方法。
(項目80)
前記プロテインキナーゼインヒビターは、AKT、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)、p70S6K、リボソームタンパク質S6、4EBP1、cAMP応答エレメント結合タンパク質、および/もしくはGSK3βのリン酸化を抑制し、そして/または
ここで前記プロテインキナーゼインヒビターは、血管形成刺激、例えば、VEGFに対する内皮細胞の応答を阻害または低減する、
項目78または79に記載の方法。
(項目81)
rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的な一塩基多型(SNP)、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPを使用して新たな生体マーカーを同定するための方法。
(項目82)
前記新たな生体マーカーは、DNA、RNA、ポリペプチド、siRNAまたは生体マーカーの別の形態である、項目81に記載の方法。
(項目83)
rs309605、rs309604、rs5894240、rs1494748、rs7836309、rs309607、rs2132025、rs11990158、rs6469570、rs309603、rs923967、rs1494751、rs2575943、rs167446、rs309606、rs72675965、rs309602、rs309608、rs309610、rs2575911、rs309609、rs170132、rs386413735、rs2642789、rs2642788、rs2575944、rs309614、rs309601、これらの相補的な一塩基多型(SNP)、およびこれらと連鎖不平衡にあるSNPからなる群より選択される1種もしくはこれより多くのSNPを使用して薬物標的を同定するための方法。
(項目84)
前記薬物標的は、前記1種もしくはこれより多くのSNPに関する生物学的経路に基づいて同定される、項目83に記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4A
図4B
図5A
図5B
【配列表】
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