(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】作業用フェイスマスク
(51)【国際特許分類】
A62B 18/02 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
A62B18/02 B
(21)【出願番号】P 2020216707
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2020029041
(32)【優先日】2020-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020124237
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519027187
【氏名又は名称】株式会社笠井仏檀工芸
(74)【代理人】
【識別番号】100084102
【氏名又は名称】近藤 彰
(72)【発明者】
【氏名】笠井 武
【審査官】川口 真一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-55262(JP,A)
【文献】実公昭37-10851(JP,Y1)
【文献】実開昭60-55455(JP,U)
【文献】特開昭59-156356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 18/02
A41D 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面のレンズ面及び顔の上方部分に密着する弾性縁部を備え、外気導入構造を備えずに顔の上方部分を覆って密閉状態で装着されるゴーグル部と、鼻部及び口部を密閉状態で覆う形状に形成すると共に、前面にフィルタを備えた通気孔を設けたマスク部とを、前記マスク部の装着時空間とゴーグル部の装着時空間が所定の仕切り部で仕切られるように連結して一体化し、ゴーグル部及びマスク部が密閉状態を維持して顔面に装着可能とした頭部装着部を付設した作業用フェイスマスクであって、前記仕切り部に呼気によるマスク部内圧力上昇で閉口して呼気のゴーグル部内への侵入を阻止し、吸気によるマスク部内圧力低下に対応して開口するフィルム体からなる弁体を備えた防曇通気部を設けてなることを特徴とする作業用フェイスマスク。
【請求項2】
マスク部に、呼気を排出し吸気時に閉塞する逆止弁を備えた排出部を設けてなる請求項1記載の作業用フェイスマスク。
【請求項3】
防曇通気部が、通気孔に桟杆が差し渡され且つ弁体装着軸を突設すると共に、通気孔の外縁を前記桟杆より前記弁体装着軸と同様に突出させた縁部を設けて形成した通気孔部と、弁体装着軸に装着して縁部内に納めたフィルム体からなる弁体とで構成された請求項2記載の作業用フェイスマスク。
【請求項4】
防曇通気部が、通気孔に桟杆が差し渡され且つ前記桟杆に弁体装着孔を設けた通気孔部と、薄く同心円階段状に形成したフィルム体の中心に装着軸を設け、弁体装着孔に前記装着軸を挿入してフィルム体を装着すると共に、フィルム体の最外周の弁面が通気孔の外周面となる弁座面に当接して通気孔を閉塞する弁体とで構成された請求項2記載の作業用フェイスマスク。
【請求項5】
マスク部の顔面当接箇所である周囲部分をゴム質の折り返しクッション材で形成すると共に、仕切り部となるマスク部の上方部分を、鼻部を密閉状態で覆う三角形状に形成すると共に、前記三角形状箇所の顔面当接側において、前記三角形状の頂部折り返し部分を切除し、前記切除部分を含む頂部折り返し部分に、山形状の非通気性幕体を、下縁部分を弛ませて貼着してなる請求項1乃至4記載の何れかの作業用フェイスマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨作業のように粉塵が舞う環境下での作業に使用する作業用フェイスマスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業中の呼吸時に粉塵の吸引を防止し、且つ目を保護するフェイスマスクは、視覚を阻害しない透明な前面(レンズ面)を備え、粉塵や人体に有害ガスを吸い込まないように作業目的に適したフィルタを備え、呼吸時の呼気が前記フィルタを介して行われるようにしている。またレンズ面に曇りが生ずると作業に支障が生ずるので、これらのフェイスマスクは、曇り止め機構を備えている(特許文献1,2,3)。
【0003】
例えばゴーグル部とマスク部を合体したフェイスマスク(特許文献1,2)や、顔面全体を覆う透明なフェイス保護部(=ゴーグル部)の内側に呼吸用のマスク部を設けたフェイスマスク(特許文献3)においては、呼吸時の吸気がゴーグル部を通過するようにして、ゴーグル部内に常に新鮮な外気が導入されるようにしてレンズ面の防曇を実現している。
【0004】
すなわち呼吸時の吸気が、付属若しくは付設したフィルタを通過してゴーグル部に入り、ゴーグル部から逆止弁を介してマスク部内に入って、そこでマスク装着者の吸気となる。呼気はマスク部から排気弁(逆止弁)を介して直接外気に放出される構成となっている。
【0005】
また上記のフェイスマスクは、顔面を広く覆うと共に、顔面に密着する必要があり、特許文献1,2開示のフェイスマスクはゴーグル部装着用とマスク部装着用の上下二段の装着ベルトを備えており、特許文献3開示のフェイスマスクも上下二段の装着ベルトを備えている。
【0006】
更にマスク部は口鼻部分に密閉状態で装着するため、例えば特許文献2にはカップ状のマスク部の外周部分(顔面当接部分)を軟質樹脂で形成しており、更に密着性を高めるために特許文献4には、マスク部の外縁部をU状に折り返して形成したクッション材で形成したマスクが開示されている。
【0007】
またゴーグルを装着するに際して、ゴーグル使用者が眼鏡使用を欲した場合の対応手段として、特許文献5にゴーグル内に眼鏡本体(弦を外したもの)の保持構造を備えて対応することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開昭59-156356号公報。
【文献】特開平11-290473号公報。
【文献】実開昭60-55455号公報。
【文献】特開2018-89158号公報。
【文献】実用新案登録3192425号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記した従前の曇り止め機能付きフェイスマスクは、呼吸時の吸気が一旦ゴーグル部を通過する構成である。このため特許文献1に示されている作業用フェイスマスクでは、フィルタ部を頭部背後位置等に別に設け、ゴーグル部と通気パイプで連結する必要があり、作業者にとってフィルタ部はマスク装着時や作業時の邪魔になる。また特許文献2に示されているように、ゴーグル部に直接フィルタを備えた通気孔を設けている構成では、ゴーグル部自体が嵩張り且つ重量が増加し、コンパクト化を目指すとゴーグル部の視野が狭くなる。更に特許文献3に示されている作業用フェイスマスクのように顔全体を覆うフェイス保護部(=ゴーグル部)にフィルタ部を付設するフェイスマスクでは、マスク全体が多重構造となり、且つ全体が嵩張ってしまう。
【0010】
またマスク部の装着に際しての密閉性確保手段として、マスク部の外縁部(画面当接箇所)をクッション部材で形成しているが、特許文献1,2に示される作業フェイスマスクのようにゴーグル部とマスク部とを組み合わせて連結した器具では、特に呼気の逆流を防止するために仕切り箇所の密閉性が要求される。しかしマスク部の外縁部分にクッション部材を採用したとしても、鼻梁形状に個人差があり必ずしも密閉性が確保できているものではない。
【0011】
そこで本発明は、第一に、簡易な構造で防曇機能を備えると共に、全体がコンパクトに形成される作業用フェイスマスクを提案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1記載に係る作業用フェイスマスクは、前面のレンズ面及び顔の上方部分に密着する弾性縁部を備え、外気導入構造を備えずに顔の上方部分を覆って密閉状態で装着されるゴーグル部と、鼻部及び口部を密閉状態で覆う形状に形成すると共に、前面にフィルタを備えた通気孔を設けたマスク部とを、前記マスク部の装着時空間とゴーグル部の装着時空間が所定の仕切り部で仕切られて一体化し、ゴーグル部及びマスク部が密閉状態を維持して顔面に装着可能とした頭部装着部を付設した作業用フェイスマスクであって、前記仕切り部に呼気によるマスク部内圧力上昇で閉口して呼気のゴーグル部内への侵入を阻止し、吸気によるマスク部内圧力低下に対応して開口するフィルム体からなる弁体を備えた防曇通気部を設けてなることを特徴とするものである。
【0013】
また本発明の請求項2記載に係る作業用フェイスマスクは、更にマスク部に呼気を排出し吸気時に閉塞する逆止弁を備えた排出部を設けてなるものである。
【0014】
而して上記の本フェイスマスクは、研磨作業等の粉塵環境内での作業に使用するもので、頭部装着部を以て作業者の顔面に装着すると、作業者の目・鼻・口はゴーグル部とマスク部とで覆われることになり、作業者の呼吸はマスク部に設けられたフィルタを備えた通気孔を通して行われることになり、特に排出部を設けた場合(請求項2記載の発明)は、呼気の大部分が排出部から外気に放出され、呼気が楽になる。従って吸気の全てはフィルタを介して行われることになり、フィルタ機能によって粉塵等の人体への吸引が阻止され、ゴーグル部によって目が保護される。
【0015】
また本フェイスマスクのゴーグル部のレンズ面の防曇は、防曇通気部における空気流通によってなされる。マスク部内及びゴーグル部内は自然状態で大気圧と一致するが、呼吸によってマスク部内の気圧が変動する。吸気においてはマスク部の圧力が低下し、呼気においてはマスク部内の圧力が高まる。すなわち吸気によってマスク部内に外気が流入すると共に、フィルタの吸引抵抗によるマスク部内の圧力低下に伴って、ゴーグル部内の空気がフィルム体で形成された弁体を押し出してマスク部内に流出する。更に吸気動作終了時から次の呼気開始時までの間にマスク部内の圧力は自然に外気圧となる。前記のマスク部内圧力の大気圧への復帰に伴って、フィルム体からなる弁体も正常位置(弁口閉鎖位置)に自然に戻る。前記の復帰時までの間にゴーグル部内に空気(マスク部内に流入した外気)が流入する。
【0016】
更に呼気の開始によってマスク部内の気圧が高まると、防曇通気部の弁体が閉じ、ゴーグル部内へ湿度が高い呼気が侵入することを阻止する。従って呼吸の毎にゴーグル部内の空気は一部が外気と入れ替わることになり、このゴーグル部内空気の一部入れ替えの繰り返しによって、レンズ面の曇りが防止される。
【0017】
また本発明の請求項5記載の作業用フェイスマスクは、上記した作業用フェイスマスクにおいて、マスク部の顔面当接箇所である周囲部分をゴム質の折り返しクッション材で形成すると共に、仕切り部となるマスク部の上方部分を、鼻部を密閉状態で覆う三角形状に形成すると共に、前記三角形状箇所の顔面当接側において、前記三角形状の頂部折り返し部分を切除し、前記切除部分を含む頂部折り返し部分に、山形状の非通気性幕体を、下縁部分を弛ませて貼着してなるものである。
【0018】
而して本フェイスマスク装着時に幕体が鼻梁部分に密着するもので、クッション材のみでは対応できない鼻梁形状の個人差に対応でき、マスク装着時におけるゴーグル部空間とマスク部空間との密閉遮断を確実にして、使用時におけるゴーグル部空間内への呼気の侵入を確実に阻止するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の構成は上記のとおりで、防曇機能を有するゴーグル部を備えた作業用フェイスマスクの簡素化及び小型化を実現できたものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第一の実施形態の説明図(使用状態の正面図)。
【
図4】同呼吸時の空気の流れの説明図で、(イ)は呼気時(ロ)は吸気時、(ハ)吸気終了時から呼気開始時の状態を示す。
【
図5】同通気部の断面図で、(イ)は分解図(ロ)は弁閉口時(ハ)は弁開口時を示す。
【
図6】同第二実施形態の説明図(使用状態の正面図)。
【
図8】同要部図(仕切り部)で、(イ)は背面視(ロ)は背面下方斜視を示す。
【
図10】同通気部の断面図で、(イ)は弁閉口時(ロ)は弁閉口時を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に本発明の実施形態について説明する。
図1乃至5は本発明の第一実施形態に示したもので、作業用フェイスマスクは、ゴーグル部1とマスク部2と頭部装着部3とマスク部付勢機構部4で構成される。
【0022】
ゴーグル部1は顔Aの上方部分を覆う形状で、前面にレンズ面11を備え、前記レンズ面11は、レンズ枠部12で保持され、レンズ枠部12の顔面に密着する部分は、適宜なクッション材で形成した弾性縁部13とし、またレンズ枠部12の両端にベルト連結部14を設けてなる。
【0023】
マスク部2は、鼻部及び口部をできるだけコンパクトに密閉状態で覆うように正面三角筒形状で、顔面当接箇所となる周囲部分を折り返し形状としたゴム質材で形成した被覆枠部21と、被覆枠部21の前面に設けた吸気部22と、排出部23と、防曇通気部24と、ベルト装着部(付勢機構部を構成する)25を備えてなる。
【0024】
被覆枠部21は、正面三角筒状で、三角頂部211をゴーグル部1のレンズ枠部12の中央下方部分に侵入させた状態で、ゴーグル部1とマスク部2が上下方向で「くの字状」に撓曲可能に連結一体化し、マスク部2の装着時空間とゴーグル部1の装着時空間を、前記三角頂部211が仕切り部となって仕切るようにしたものである。
【0025】
吸気部22は、被覆枠部21の前面に適宜大きさの通気孔221を設け、前記通気孔221を塵芥等の通過を阻止するフィルタ(所定のメッシュの不織布等)222で閉塞して形成しているものである。
【0026】
排出部23は、被覆枠部21の側面部分に設けたもので、通気孔231の外側にフィルムで形成した弁体(逆止弁)232を配置し、呼気時にマスク部1内の圧力で開放状態となり、吸気時は密閉するようにしているものである。
【0027】
防曇通気部24は、仕切り部(三角頂部)211の中央に設けたもので、通気孔部241と弁体242で構成される。通気孔部241は、適宜な通気孔243に桟杆244を差し渡し、前記桟杆244に弁体装着軸245をマスク部2の内方へ突設すると共に、通気孔243の外縁を前記桟杆244より前記軸245と同様に突出させた縁部246を設けて形成したものである。
【0028】
弁体242は、作業用マスク用として多用されているシリコン樹脂のフィルム体で、前記縁部246内一杯に納まる形状として、中央部分に透孔を設けて弁体装着軸245に装着したものである。従ってマスク部1内の圧力変化に対応して、弁体242が捲り上がって通気孔243を開口し、或いは桟杆244方向に押し付けられて通気孔243を閉口するものである。また内外空間(ゴーグル部1内空間とマスク部2内空間)の圧力が一致している環境では、弁体242が自然な状態で通気孔243を閉口しているが、弁体242が軽量のフィルム体のため自然状態で桟杆244に密着して通気孔243の完全密閉がなし得難いし、また弁体242の動作の必要上、弁体242の周囲と縁部246との間等に微小の間隙xを設ける必要がある等、実質的に防曇通気部24の機能に支障はない程度で、弁体242による密閉が実現するものであれば良い。
【0029】
頭部装着部3は、ゴーグル部1に装着した装着ベルトであり、ゴーグル部1のベルト連結部14に基端を連結し、他方端側にベルトを相互に連結する適宜な連結部材を設けているものである。
【0030】
マスク部付勢機構部4は、一端をマスク部2のベルト装着部25に連結し、他端をゴーグル部1のベルト連結部14に連結したゴムバンド41からなるもので、マスク部2の下方をゴーグル部1方向に引っ張ってマスク部2がゴーグル部1に対して「くの字状」となるように付勢しているものである。
【0031】
而して本マスクは、研磨作業等の粉塵環境内での作業に使用するもので、一体となっているゴーグル部1及びマスク部2で顔面Aを覆うと共に装着ベルト(頭部装着部)3を締め、ゴーグル部1及びマスク部2を顔面密着させて装着する。
【0032】
特にゴムバンド41でマスク部2を背面方向(顔面方向)に付勢しているので、ゴーグル部1を顔面Aに密着させると、マスク部2も自然に顔面に密着する。従って装着ベルト3で頭部に本フェイスマスクを装着することで、ゴーグル部1及びマスク部2は顔面に密着装着される。
【0033】
本マスクを顔面Aに装着した際の作業者の呼吸は、吸気時に外気が吸気部22を通過してマスク部2内の密閉空間に入り、呼気時には吸気部22及び排出部23から外気に放出されるもので、この呼吸時にはフィルタ222によって粉塵が遮断され、またゴーグル部1によって目が保護されることになる。
【0034】
特にゴーグル部1のレンズ面11の防曇は、呼吸時におけるマスク部2内の圧力変化による防曇通気部24の通気によって実現する。
【0035】
吸気時においては、吸気部22のフィルタ222が外気導入の抵抗となるので、マスク部内空間の圧力が低下し、呼気においてはマスク部内の圧力が高まる。すなわち呼気時においては、排出部23の弁体(逆止弁)232がマスク部内圧力の上昇によって押しだされて排出部23が開口し、呼気はマスク部内空間から速やかに排出される(
図4イ)。
【0036】
そして次に吸気動作がなされると、吸気aによってマスク部内圧力が低下し、排出部23が閉口して吸気部22からマスク部内空間に外気bが吸引される。同時にマスク部内空間が減圧状態となるので防曇通気部24が大きく開口し、ゴーグル部1内の空気cはマスク部内空間側に吸引される(
図3ロ)。吸気動作の終了若しくは終了直前状態から呼気動作に至る間では、減圧状態のマスク部内空間に外気bが流入すると共に、弁体242が通常状態に戻るまで、マスク部内空間から外気bが通気部24を通過してゴーグル部1内に流入(流入流d)する(
図3ハ)。尚ゴーグル部内空間とマスク部空間の圧力差が僅かで、弁体242が自然状態に復帰している際は、前記した微小間隙xからマスク部内空気がゴーグル部内に漏れ出てゴーグル部内空間圧力が外気圧となる。
【0037】
更に呼気動作に至り、呼気eがマスク部内空間に吐き出されると、マスク部内空間の圧力が上昇し、排出部23が速やかに開口して外気に放出fされる。尚一部は吸気部22から放出される(
図3イ)。防曇通気部24においては、マスク部内空間の呼気による圧力上昇で弁体242を桟杆244側に押圧し、通気孔部241が閉じ、呼気eがゴーグル部内に流入することが阻止される。
【0038】
従って吸気の度にゴーグル部1内の空気が流出(吸気として吸引される)し、呼気開始に至るまでの間に流出分が流入し、呼気時には防曇通気部24が遮断されて、湿気を帯びた呼気をゴーグル部1内に導入することがなく、ゴーグル部1内の空気は呼吸の度にその一部が外気と入れ替わることになるので、レンズ面11が曇ることがない。
【0039】
図6乃至
図11は本発明の第二実施形態を示すもので、第二実施形態は、前記第一実施形態と同様にゴーグル部1aとマスク部2aと頭部装着部3とマスク部付勢機構部4aで構成される(第一実施形態と同一符号は同一構造を示す)。
【0040】
ゴーグル部1aは、レンズ面11、レンズ枠部12、弾性縁部13、ベルト連結部14を設けてなると共に、特に弾性縁部13におけるゴーグル部両側方の内縁箇所に、眼鏡用切込み部15を設け、またゴーグル部両側端から付勢機構部4aを構成する係止杆16を垂設してなる。
【0041】
マスク部2aは、被覆枠部21aと、呼吸部22aと、通気部24aと、ベルト装着部(付勢機構部4aを構成する)25を備えてなる。
【0042】
被覆枠部21aは、特に三角頂部211の頂部側裏面の折り返し部分を切除し、前記切除部分に非通気性幕体212を設けたもので、前記幕体212は、特に下縁が弛むように折り返し部分に貼り付けたものである(
図8)。
【0043】
呼吸部22aは第一実施例の吸気部22と同一の構成で、排出部23を備えていないので呼気及び吸気はすべて呼吸部22aを通過するようにしたものである。
【0044】
防曇通気部24aは、仕切り部(三角頂部)211の中央に設けたもので、通気孔部241aと弁体242aで構成される。通気孔部241aは、適宜な通気孔243aに桟杆244aを差し渡し、前記桟杆244aに弁体装着孔を設けてなり、通気孔243aの外周縁には、弁座面247を形成してなる。
【0045】
弁体242aは、シリコン樹脂製の薄いフィルム体242bの中心に弁軸242cを突設したもので、前記弁軸242cを弁体装着孔に嵌入して取り付けてなる。
【0046】
特に前記のフィルム体242bは、同厚の同心円階段状に形成して、適宜な保形性を確保してなり、フィルム体242bの最外周面が弁座面247に当接するように取りつけ、装着時の自然状態(内外圧力に変動がない場合)は、弁座面247と弁体外周面が当接して通気孔243aを完全に閉口しているものである。
【0047】
マスク部の付勢機構部4aは、一端をマスク部2のベルト装着部25に連結し、他端をゴーグル部1から垂設した係止杆16に連結したゴムバンド41からなるもので、マスク部2の顔面方向に引っ張ってマスク部2がゴーグル部1に対して「くの字状」となるように付勢しているものである。
【0048】
而して本フェイスマスクは、第一実施形態のフェイスマスクと同様にゴーグル部1a及びマスク部2aで顔面Aを覆うと共に装着ベルト(頭部装着部)3を締め、ゴーグル部1a及びマスク部2aを顔面密着させて装着し、所定の作業を行うものである。
【0049】
第二実施形態のフェイスマスクも第一実施形態のフェイスマスクと同様に付勢機構部4aを備えているので、ゴーグル部1a及びマスク部2aが顔面に密着装着され、装着時の作業者の呼吸によるマスク部内空間の圧力変化によって、通気部24aにおける通気がなされてゴーグル部1aのレンズ面11の防曇が行われるものである。
【0050】
前記の防曇機能を発揮する防曇通気部24aの動作は、基本的に第一実施例と同様である。すなわち呼気時においては、呼気が呼吸部22aを通過して外気に放出されるが、呼吸部22aによる通過抵抗があるので、マスク部内圧力がゴーグル部内空間の圧力よりも高くなるので、弁体242aのフィルム体242bがゴーグル部方向に押し付けられ、呼気のゴーグル部空間への侵入を確実に阻止する(
図11イ)。
【0051】
そして次に吸気動作がなされると、吸気時はマスク部内圧力が低下して呼吸部22aを通して外気がマスク部内空間に入り込むが、特に呼吸開始時には圧力低下が大きいので、弁体242aが開口してゴーグル部内空間の一部の空気をマスク部内空間に一気に吸引(吸引流g)することになる。そして吸気動作が連続している間、特にフィルム体242cが同心円状の階段形状断面を備え、撓み状態(圧力を受けている状態)から自然状態に復帰するのに多少時間を要することになり、外気侵入によってマスク部内空間が徐々に大気圧に復帰するまでに、開口している通気孔243aからゴーグル部内空間にマスク部内空間の大気が流入(流入流h)する(
図10ロ)。
【0052】
従って吸気の度にゴーグル部1a内の空気の一部が入れ替わり、呼気時には通気部24aによって完全に遮断されて、湿気を帯びた呼気をゴーグル部1内に導入することがないので、レンズ面11が曇ることがない。
【0053】
特に第二実施形態では被覆枠部21aの三角頂部211の頂部側裏面に非通気性幕体212を設けたものであるから、前記フェイスマスク装着時に幕体212が使用者の鼻梁部分に密着するので、呼気時において呼気の一部がゴーグル部空間に漏れることが無く、レンズ面11を曇らせる恐れがない。
【0054】
更に第二実施形態では、特にゴーグル部1aの弾性縁部13の両側内方に、眼鏡用切込み部15を設けてなるものであるから、
図11に示すように眼鏡Bのつる(テンプル)Cを前記眼鏡用切込み溝15に係止すると、眼鏡Bをゴーグル部1a内に安定に装着でき、フェイスマスク装着時には、つる(テンプル)Cを顔面と弾性縁部13で挟み込むことになり、ゴーグル部空間の密閉は確保されるものである。
【符号の説明】
【0055】
1,1a ゴーグル部
11 レンズ面
12 レンズ枠部
13 弾性縁部
14 ベルト連結部
15 眼鏡用切込み部
16 係止杆
2,2a マスク部
21,21a 被覆枠部
211 三角頂部(仕切り部)
212 非通気性幕体
22 吸気部
22a 呼吸部
221 通気孔
222 フィルタ
23 排出部
231 通気孔
232 弁体(逆止弁)
24,24a 通気部
241,241a 通気孔部
242a,242b 弁体
242c 弁軸
243,243a 通気孔
244,244a 桟杆
245 弁体装着軸
246 縁部
247 弁座面
25 ベルト装着部(付勢機構部)
3 頭部装着部(装着ベルト)
4,4a 付勢機構部
41 ゴムバンド