(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】超音波骨刀ビット
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
A61B17/32 510
(21)【出願番号】P 2020518437
(86)(22)【出願日】2018-08-12
(86)【国際出願番号】 CN2018100140
(87)【国際公開番号】W WO2019062348
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】201710908425.6
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519264070
【氏名又は名称】ベイジン エスエムティーピー テクノロジー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,チュイン
(72)【発明者】
【氏名】フー,シヤオミーン
(72)【発明者】
【氏名】リー,チュンユエン
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-000336(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10316991(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0233131(US,A1)
【文献】実開平04-007808(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
A61B 17/16
A61B 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波骨刀ビットであって、
ビットバー、ビットボディ、及び、ビット先端を含み、
前記ビット先端は前記ビットバーの一端に位置し、
前記ビットボディは前記ビットバーの他端に位置し、
前記ビット先端は、
偶数角形の多角形構造の断面を備える角柱又は実質上角柱の構造であり、
前記ビット先端(3)は、異なった組織カット幅を生成するため、異なったカット幅(a、b)を備えた少なくとも2つのカット面を有し、
前記多角形構造は、複数
対の対辺を有し、
各対は、互いに向き合う2つの対辺からなり、該2つの対辺の間は一定の距離をなし、
前記多角形構造のそれぞれの対辺間の距離の中で最も短い距離は、前記多角形構造のそれぞれの対辺間の距離の中で最も長い距離と等しくなく、
最も短い距離を有する2つの対辺は、最も長い距離を有する2つの対辺に垂直であり、したがって、前記ビット先端(3)が少なくとも2つのカット幅(a、b)を有し、
前記少なくとも2つのカット幅の第1のカット幅(a)は、前記最も短い距離と等しく、
前記少なくとも2つのカット幅の第2のカット幅(b)は、前記最も長い距離と等しい、超音波骨刀ビット。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記超音波骨刀ビットは、少なくとも2つの動作角度を、それの軸のまわりに有し、
前記超音波骨刀ビットは、対応するカット面を、前記少なくとも2つの動作角度の個々に有する、超音波骨刀ビット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記多角形構造は、中心対称構造であり、前記多角形構造の隣接する辺によって形成される全ての内角は、鈍角である、超音波骨刀ビット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記超音波骨刀ビットは、少なくとも2つの動作角度を、それの軸のまわりに有し、
前記超音波骨刀ビットは、前記少なくとも2つの動作角度の第1の動作角度での第1のカット幅と、前記少なくとも2つの動作角度の第2の動作角度での第2のカット幅と、を有し、
前記第2の動作角度は、前記第1の動作角度に対して90度だけ回転される、超音波骨刀ビット。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記超音波骨刀ビットは、第3の動作角度を有し、
前記第3の動作角度は、前記第1の動作角度に対して、90度より大きいか又は90度より小さい角度だけ回転される、超音波骨刀ビット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記超音波骨刀ビットは、液体流れ穴を具備する、超音波骨刀ビット。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記液体流れ穴は、前記ビットボディの縦中心穴と、前記ビットボディの前記縦中心穴の尾端部を貫通する排液穴と、を含み、
前記ビットボディの前記縦中心穴の前記尾端部は、前記ビットボディの連結端部に位置して前記ビットバーに連結される、超音波骨刀ビット。
【請求項8】
請求項6に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記液体流れ穴は、前記ビットバー及び前記ビットボディを貫通して前記ビット先端まで延びる縦中心貫通穴を含む、超音波骨刀ビット。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記ビット先端は、やすり型ビットを形成するために前記ビット先端の先頭端面から前記ビットバーに向けて延びるローレット付き構造を具備する、超音波骨刀ビット。
【請求項10】
請求項9に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記ビット先端において、前記ビットバーに向けて延びる最小カット幅を備えた前記カット面での前記ローレット付き構造の長さは、前記ビットバーに向けて延びる最大カット幅を備えた前記カット面での前記ローレット付き構造の長さよりも大きい、超音波骨刀ビット。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記ビット先端の先頭端面は、凸状の構造又は凹状の構造である、超音波骨刀ビット。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記ビットバーは、ベベルを介して前記ビットボディと移行式に連結され、
前記ビットバーは、前記ビット先端と円滑に移行し、
前記ビットボディの尾端部は、超音波デバイスと連結するためのねじ山付き構造を具備する、超音波骨刀ビット。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の超音波骨刀ビットであって、
前記超音波骨刀ビットは、ワンピースとして形成される、超音波骨刀ビット。
【請求項14】
超音波骨刀ビット
の作動方法であって、
前記超音波骨刀ビットは、ビットバー、ビットボディ、及び、ビット先端を含み、
前記ビット先端は前記ビットバーの一端に位置し、
前記ビットボディは前記ビットバーの他端に位置し、
前記ビット先端は、
偶数角形の多角形構造の断面を備える角柱又は実質上角柱の構造であり、
前記ビット先端(3)は、異なった組織カット幅を生成するため、異なったカット幅(a、b)を備えた少なくとも2つのカット面を有し、
前記多角形構造は、複数
対の対辺を有し、
各対は、互いに向き合う2つの対辺からなり、該2つの対辺の間は一定の距離をなし、
前記多角形構造のそれぞれの対辺間の距離の中で最も短い距離は、前記多角形構造のそれぞれの対辺間の距離の中で最も長い距離と等しくなく、
最も短い距離を有する2つの対辺は、最も長い距離を有する2つの対辺に垂直であり、したがって、前記ビット先端(3)が少なくとも2つのカット幅(a、b)を有し、
前記少なくとも2つのカット幅の第1のカット幅(a)は、前記最も短い距離と等しく、
前記少なくとも2つのカット幅の第2のカット幅(b)は、前記最も長い距離と等しく、
前記
作動方法は、
前記超音波骨刀ビットが前記少なくとも2つのカット面の1つでカットを実行するように、前記超音波骨刀ビットの軸まわりに前記超音波骨刀ビット
が回転するステップを含む、超音波骨刀ビット
の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科器具の分野に、詳細には超音波骨刀ビットに属する。
【背景技術】
【0002】
整形外科の超音波手術では、外科医は、骨や他の生物組織及びその生物工学的組織(軟骨や骨セメントなど)に対するカット、研削又は形削りを実行するために、超音波骨刀を使用する。
【0003】
既存の超音波骨刀では、先端部分、即ち、ビット先端は、単一のカット幅だけを有し、したがって、外科医が正確な広幅カットを実行する必要のあるとき、それが唯一行われ得るのは、複数の往復カットによって、又は、異なった幅の超音波スカルペルビットを交換することによって、である。外科医にとって困難であるのは、往復カットのために切開の幅を正確に達成することであり、異なった幅を備えた超音波スカルペルビットの交換は、比較的長い時間が掛かり、こうして、外科医による外科手術の継続に影響を及ぼし、手術の時間を或る程度まで延長する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示によれば、設計される超音波骨刀ビットは、単一のカット幅だけを有する超音波骨刀の先端部分、即ち、ビット先端に起因した使用における不十分な効果という従来技術の課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上の技術的な課題を解決する目的で、本開示は、ビットバー、ビットボディ、及び、ビット先端を含む超音波骨刀ビットを提供する。ビットバーの一端は、ビット先端に連結され、ビットバーの他端は、ビットボディに連結される。ビット先端は、シリンダ状又は実質上シリンダ状の構造であり、多角形構造の断面を備え、ビット先端は、異なったカット幅を備えた少なくとも2つのカット面を有する。
【0006】
本開示の超音波骨刀ビットでは、好ましくは、多角形構造は、中心対称構造であり、多角形構造の隣接する辺によって形成される全ての内角は、鈍角である。
本開示の超音波骨刀ビットでは、好ましくは、多角形構造のそれぞれの対辺間の距離の中で最も短い距離は、多角形構造のそれぞれの対辺間の距離の中で最も長い距離と等しくなく、最も短い距離を有する2つの対辺は、最も長い距離を有する2つの対辺に垂直であり、したがって、ビット先端は、少なくとも2つの正確で操作の容易なカット幅を有する。
【0007】
本開示の超音波骨刀ビットでは、好ましくは、ビットは、液体流れ穴を具備する。
本開示の超音波骨刀ビットでは、好ましくは、液体流れ穴は、ビットボディの縦中心穴と、ビットボディの縦中心穴の尾端部を貫通する排液穴と、を含み、ビットボディの縦中心穴の尾端部は、ビットボディの連結端部に位置してビットバーに連結される。
【0008】
本開示の超音波骨刀ビットでは、好ましくは、排液穴は、ビットボディの縦中心穴の尾端部を鉛直に貫通する。
本開示の超音波骨刀ビットでは、好ましくは、液体流れ穴は、ビットボディ及びビットバーを貫通してビット先端まで延びる縦中心貫通穴を含む。
【0009】
本開示の超音波骨刀ビットでは、好ましくは、ビット先端は、やすり型ビットを形成するためにビット先端の先頭端面からビットバーに向けて延びるローレット付き構造を具備する。
【0010】
本開示の超音波骨刀ビットでは、好ましくは、ビット先端において、ビットバーに向けて延びる最小カット幅を備えたカット面でのローレット付き構造の長さは、ビットバーに向けて延びる最大カット幅を備えたカット面でのローレット付き構造の長さよりも大きい。
【0011】
本開示の超音波骨刀ビットでは、好ましくは、ビット先端の先頭端面は、凸状の構造又は凹状の構造である。
本開示の超音波骨刀ビットでは、好ましくは、ビットバーは、ベベルを介してビットボディと移行式に連結され、ビットバーは、ビット先端と円滑に移行し、ビットボディの尾端部は、超音波デバイスと連結するためのねじ山付き構造を具備する。
【発明の効果】
【0012】
超音波骨刀ビットは、次のような有益な効果を有する。
(1)本開示は、単一のカット幅だけを有する超音波骨刀の先端部分に起因した使用における不十分な効果という従来技術の課題を解決する。超音波振動を用いて、骨組織や他の生物組織(軟骨組織など)及びそれらの生物工学的組織(骨セメントなど)に対する正確なカットを達成するのに特に適している。
【0013】
(2)本開示は、骨カット幅の正確さに関する外科医の要求を充足するだけでなく、異なった幅のビットを交換するために必要とされる時間を節約し、それによって、外科的な効率を改善する。
【0014】
(3)本開示は、単純な構造と長い耐用年数を有し、ビットのカット幅を調整するのに都合が良く、操作が容易であり、広い調整可能範囲を有する。
(4)本開示では、中空の液体流れ穴は、ビットの内側に機械加工され、ビット先端は、やすり型の構造に機械加工されて、カット中のビットと組織との間の接触面積を減少させ、同時に、カットエリアの温度を下げるための液体流れの流路を提供する。ビットの内側の中空の液体流れ穴は、負圧下で内部穴を通して組織カットの破片を排出させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る超音波骨刀ビットの第1の動作状態図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態に係る超音波骨刀ビットの第2の動作状態図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態に係る超音波骨刀ビットのビット先端の断面図である。
【
図4】本開示の第2の実施形態に係る超音波骨刀ビットの第1の動作状態図である。
【
図5】本開示の第2の実施形態に係る超音波骨刀ビットの第2の動作状態図である。
【
図6】本開示の第3の実施形態に係る超音波骨刀ビットの概略構造図である。
【
図7】本開示の第4の実施形態に係る超音波骨刀ビットの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の技術的な解決手段は、添付の図面と併せて下で明瞭に完全に説明されるであろう。そして、明らかなことに、説明される実施形態は、本開示の実施形態の一部であって、その全てではない。何ら独創的な活動なしに本開示の実施形態に基づいて当業者によって得られる全ての他の実施形態は、本開示の保護の範囲内に含まれるものとする。
【0017】
本開示の説明では、留意されるべきことは、用語「中心」、「上部」、「下部」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「内側」、「外側」等々によって示される配向又は位置の関係が、添付の図面に示された配向又は位置の関係に基づいており、また、参照されているデバイスや要素が特定の配向を有するか又は特定の配向で構築及び動作されなければならなかったことを表示や暗示するのではなく、本開示の説明を容易にして説明だけを簡略化することを意図しており、本開示を限定するものとして解釈されないであろう、ということである。加えて、用語「第1」、「第2」、及び、「第3」は、説明の目的だけで使用されており、また、相対的な重要性を表示や暗示するものとして解釈されるべきではない。
【0018】
本開示の説明では、留意されるべきことは、用語「実装する」、「連結する」、及び、「連結」が、広い意味で理解されるべきであるということであり、別途明確に明示や定義がされない限り、例えば、それは、固定された連結、取り外し可能な連結や一体化された連結であることがあり、機械式の連結や電気的な連結であることがあり、また、直接連結や中間媒体を介した間接連結であることがあり、或いは、2つの要素の内部間の交信であることがある。当業者にとって、本開示の上で述べられた用語の特定の意味は、特定の事情に従って解釈されるべきである。
【0019】
本開示は、更に、特定の実施形態によって、添付の図面を参照して、下で詳細に説明されるであろう。
図1から
図3は、本開示の第1の実施形態に係る超音波骨刀ビットを示す。
図1は、本実施形態に係る超音波骨刀ビットの第1の動作状態図であり、
図2は、本実施形態に係る超音波骨刀ビットの第2の動作状態図である。
図1及び
図2に示されたように、本開示の第1の実施形態に係る超音波骨刀ビットは、ビットボディ1、ビットバー2、及び、ビット先端3を含み、ビットバー2の一端は、ビット先端3に連結され、ビットバー2の他端は、ビットボディ1に連結される。ビット先端3は、シリンダ状又は実質上シリンダ状の構造であり、多角形構造の断面を備え、ビット先端3は、骨などの生物組織と接触する異なったカット幅を備えた少なくとも2つのカット面を有する。動作中、ビット先端3のカット面は、ビットの動作角度を回転させることによって、選択されることがあり、それによって、少なくとも2つの異なったカット幅を取得する。この実施形態では、ビット先端3のシリンダ状の面又は実質上シリンダ状の構造の側面は、異なったカット幅を備えた少なくとも2つのカット面を構成する。
【0020】
図3は、本実施形態に係る超音波骨刀ビットのビット先端の断面図である。
図3に示されたように、ビット先端3は、多角形構造の断面を有する。好ましくは、多角形構造は、中心対称構造であり、多角形構造の隣接する辺によって形成される全ての内角は、鈍角である。この実施形態では、多角形構造は、凸状の八角形構造である。ビットの直径が増加されるとき、2つ以上のカット幅は、断面の辺の数を増加させることによって、実現される場合がある。
【0021】
図3に示されたように、多角形構造のそれぞれの対辺間の距離の中で最も短い距離は、多角形構造のそれぞれの対辺間の距離の中で最も長い距離と等しくなく、最も短い距離を有する2つの対辺は、最も長い距離を有する2つの対辺に垂直であり、したがって、ビット先端は、少なくとも2つのカット幅を有し、したがって、ビットは、カットのために軸まわりに回転するときに少なくとも2つの正確なカット幅を有する場合があり、2つの正確なカット幅は、動作を容易にするように、選択が簡単である。
【0022】
図1及び
図2は、本開示の第1の実施形態に係る超音波骨刀ビットの2つの典型的な動作状態を示す。
図2の超音波骨刀ビットは、カットを実行するために、
図1の超音波骨刀ビットに対して、ビットの軸に沿って、90度回転される。
図3は、軸に垂直なビット先端3の断面図である。超音波骨刀ビットが
図1に示された動作状態にあるとき、それの有効なカット幅は、
図3のaによって表され、有効なカット幅は、多角形構造のそれぞれの対辺間の距離の中で最も短い距離である。そして、超音波骨刀ビットが
図2に示された動作状態にあるとき、それの有効なカット幅は、
図3のbによって表され、有効なカット幅は、多角形構造のそれぞれの対辺間の距離の中で最も長い距離である。
図3に示されたように、有効なカット幅aは、有効なカット幅bと等しくなく、有効なカット幅aを有する対辺は、有効なカット幅bを有する対辺に垂直であり、したがって、ビットは、カットのために軸まわりに回転するときに2つの正確なカット幅を有し、組織カット幅の正確な制御は、ビットが90度回転する限り達成される場合がある。勿論、超音波骨刀ビットは、任意の動作角度を有することがあり、生物組織のカット幅は、2つの正確なカット幅間の任意の値であることがある。ビットの直径が増加されるとき、2つ以上の正確なカット幅は、断面の側面の数を増やすことによって達成される場合がある。
【0023】
図1及び
図2に示されたように、ビットボディ1の尾端部は、超音波デバイスに連結されるねじ山付き構造11を具備する。この実施形態では、ビットボディ1の尾端部は、超音波振幅変換器に連結される。ねじ山付き構造11は、外ねじ山付き構造又は内ねじ山付き構造であることがある。この実施形態では、外ねじ山付き構造が使用される。ビットバー2の一端は、ビットボディ1に連結され、ビットバー2は、ベベルを介してビットボディ1と移行式に連結される。ビットバー2の他端は、ビット先端3に連結され、ビットバー2は、ビット先端3と移行式に連結される。超音波骨刀ビットは、ワンピース構造又はマルチピース組立体構造であることがある。この実施形態では、超音波骨刀ビットは、ワンピース構造を使用する。
【0024】
図4及び
図5は、本開示の第2の実施形態に係る超音波骨刀ビットを示す。
図4は、本開示の第2の実施形態に係る超音波骨刀ビットの第1の動作状態図である。
図5は、本開示の第2の実施形態に係る超音波骨刀ビットの第2の動作状態図である。
図4及び
図5に示されたように、本開示の第2の実施形態に係る超音波骨刀ビットは、本開示の第1の実施形態に係る超音波骨刀ビットと実質上同一の構造を有しており、除外されるのは、液体流れ穴4が本開示の第2の実施形態に係る超音波骨刀ビットに設けられることである。液体流れ穴4は、ビットボディ1の縦中心穴と、ビットボディ1の縦中心穴の尾端部を貫通する排液穴41と、を含む。縦排液穴41は、ビットボディの軸に垂直な方向に横向きに延びる。ビットボディ1の縦中心穴の尾端部は、ビットボディ1の連結端部でビットボディ2に連結される。液体流れは、液体流れ穴4を通ってビットバー2に導入され、カットエリアの温度を下げるように重力下でビット先端3に流れることがある。本実施形態では、排液穴41は、ビットボディ1の縦中心穴の尾端部を鉛直に貫通する。
【0025】
図6は、本開示の第3の実施形態に係る超音波骨刀ビットの概略構造図である。
図6に示されたように、本開示の第3の実施形態に係る超音波骨刀ビットは、本開示の第2の実施形態に係る超音波骨刀ビットと実質上同一の構造を有しており、除外されるのは、本開示の第3の実施形態の超音波骨刀ビットが、ビット先端3に、やすり型ビットを形成するためにビット先端3の先頭端面31からビットバー2まで延びるローレット付き構造を具備することである。ローレット付き構造は、超音波骨刀と骨組織との間の接触面積を減少させる場合があり、それは、組織表面の超音波出力密度を増加させ、また、冷却のためにカットされた組織の表面に液体を排出するためにローレット付き構造が液体流路を提供するのを可能にするために有益でもある。ビット先端3の先頭端面31は、凸状の構造に機械加工される。
【0026】
図6に示されたように、本開示の第3の実施形態に係る超音波骨刀ビットでは、ビット先端3において、ビットバー2に向けて延びる最小カット幅を備えたカット面でのローレット付き構造の長さは、ビットバー2に向けて延びる最大カット幅を備えたカット面でのローレット付き構造の長さよりも大きい。
【0027】
図7は、本開示の第4の実施形態に係る超音波骨刀ビットの概略構造図である。
図7に示されたように、本開示の第4の実施形態に係る超音波骨刀ビットは、本開示の第3の実施形態に係る超音波骨刀ビットと実質上同一の構造を有しており、除外されるのは、本開示の第4の実施形態の超音波骨刀ビットでは、液体流れ穴4が、ビットボディ1及びビットバー2を貫通し、ビット先端3の縦中心貫通穴まで延びることである。そういった設計にあっては、冷却液は、カットエリアの温度を下げるために排出される場合があり、組織カットの破片は、術野のクリアな視界を確実にするように、負圧下で液体流れ穴から引き出される場合がある。ビット先端3の先頭端面31は、凹状の構造に機械加工される。
【0028】
本開示の超音波骨刀ビットは、複数の幅での正確なカットを実行でき、これは、骨カット幅の正確さに関する外科医の要求を充足するだけでなく、異なった幅のビットを交換するために必要とされる時間を節約し、それによって、外科的な効率を改善する。本開示は、単純な構造と長い耐用年数を有し、ビットのカット幅を調整するのに都合が良く、操作が容易であり、広い調整可能範囲を有する。
【0029】
最後に、留意されるべきことは、上記の様々な実施形態が、本開示の技術的解決手段を限定するのではなく、例証するために単に使用される、ということである。本開示は、上記の様々な実施形態を参照して詳細に説明されてきたが、当業者が理解すべきことは、上記の様々な実施形態で指定された技術的解決手段が依然として修正可能である又はその中の技術的特徴の一部又は全部が等価的に代替可能である、ということである。そして、そういった修正や代替は、対応する技術的解決手段の本質を、本開示の様々な実施形態の技術的解決手段の範囲から逸脱させるものではない。
【符号の説明】
【0030】
1 ビットボディ
2 ビットバー
3 ビット先端
4 液体流れ穴
11 連結ねじ山
31 先頭端面
41 排液穴