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7197933アンダーバリアメタルとソルダー層とを含む構造体
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  • -アンダーバリアメタルとソルダー層とを含む構造体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】アンダーバリアメタルとソルダー層とを含む構造体
(51)【国際特許分類】
   C25D 5/10 20060101AFI20221221BHJP
   C25D 3/56 20060101ALI20221221BHJP
   C25D 5/54 20060101ALI20221221BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20221221BHJP
   C25D 7/12 20060101ALN20221221BHJP
【FI】
C25D5/10
C25D3/56 B
C25D5/54
H01L21/92 603E
C25D7/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021089587
(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公開番号】P2022182186
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000197975
【氏名又は名称】石原ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】幡部 賢
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴大
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩智
【審査官】池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-199791(JP,A)
【文献】特開昭62-256989(JP,A)
【文献】特開昭63-171892(JP,A)
【文献】特開昭63-224344(JP,A)
【文献】特開昭63-307294(JP,A)
【文献】特開2007-302998(JP,A)
【文献】特表2009-524927(JP,A)
【文献】特開2008-205472(JP,A)
【文献】特開2009-263785(JP,A)
【文献】特開2011-129559(JP,A)
【文献】特開2016-211046(JP,A)
【文献】特開2019-199651(JP,A)
【文献】国際公開第2006/057360(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0029669(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0015579(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102420203(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00 - 1/20
B32B 15/01
C25D 1/00 - 7/12
H01L 21/60 - 21/607
H01L 23/48 - 23/50
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の上に形成されたソルダー層と、
前記基材とソルダー層との間に形成されたFeとCoとを含む合金層であるアンダーバリアメタルとを備え、
前記アンダーバリアメタルは、Feを10%以上90%以下の質量比率で含み且つCoを10%以上90%以下の質量比率で含み、
前記アンダーバリアメタルの内部応力は、260Mpa以下であることを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記ソルダー層は、Sn層若しくはSn合金層、又はIn層若しくはIn合金層であることを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
基材の上にめっき法によりアンダーバリアメタル及びソルダー層を順次形成して、アンダーバリアメタル及びソルダー層を含む構造体を製造する方法であって、
水と、少なくとも1つの鉄イオンの供給源と、少なくとも1つのコバルトイオンの供給源と、無機酸、アルカンスルホン酸及び前記酸の塩からなる群から選択される少なくとも1つの酸と、少なくとも1つの応力緩和剤とを含むめっき溶液を用いて、内部応力が260Mpaであるアンダーバリアメタルを形成するステップを含み、
前記めっき溶液は、前記応力緩和剤を0.5g/L~100g/Lの濃度で含み、
前記アンダーバリアメタルは、Feを10%以上90%以下の質量比率で含み且つCoを10%以上90%以下の質量比率で含むことを特徴とする構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーバリアメタルとソルダー層とを含む構造体に関し、特に電子部品等の電極や配線等の導電部品や接合部品として設けられるソルダー層を含む構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、融点が低く、延展性に優れている錫(Sn)及びSn合金やインジウム(In)及びIn合金等のソルダー材料が接合材料として電子部品等に利用されてきた。この場合、ソルダー材料は、主にボールマウント工法、ペースト工法、めっき工法、インクジェット工法等により基材に付与される。基材としては、銅(Cu)又はCu合金系基材や、ニッケル(Ni)合金系基材等が用いられ、又は他の非金属系基材を用いる場合はめっきやスパッタリング等により基材上にCu層やNi層が施されていることが一般的である。例えばフリップチップバンプ等では、基材のCuスパッタ層の上に、数μm程度のNiめっき層が設けられ、さらにその上にSn又はSn系合金のめっき層が設けられた構造体がよく用いられている。基材上に設けられたNiめっき層は、通常、アンダーバリアメタル(UBM)と呼ばれ、Cuとソルダー材料との間で金属拡散に起因する金属間化合物が生成することを抑制するのが、UBMの生成の目的の一つである。
【0003】
しかしながら、Niめっき層のUBMを設けたとしても、近年の電子回路の微細化により、Cu基材若しくは基材上のCuスパッタ層とソルダー層、又はNiめっき層のUBM自体とソルダー層との接合部における金属間化合物の比率が大きくなり、電気的特性や接続信頼性を悪化させる問題が見られるようになってきた。このような問題を解決するために、UBMとしてコバルト(Co)めっき層やNi-鉄(Fe)合金めっき層をSn層又はSn合金層の下層に設け、金属間化合物の生成量を低減することが研究されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第9082762号明細書
【文献】特開2019-102672号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Ja-Kyung Koo及びJae-Ho Lee著, Materials Transactions, Vol.58(2017), No.2, p.148-151.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術とは別に、以前に本発明者らは、特許文献2に示すように、UBMとして特定の組成のFe合金めっきを用いることで上記のような接合部における金属間化合物を低減できることを見出している。しかしながら、FeCo合金めっきの内部応力が高い場合、基材の破壊が起きたり、アンダーバリアメタルが基材から剥離したり、アンダーバリアメタル自体にクラックが発生してアンダーバリアメタルとしての機能を果たすことができなくなる等の問題が発生することがわかった。
【0007】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属を含む基材とソルダー層との間において金属間化合物の生成をより抑制できる信頼性が高いアンダーバリアメタルを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究の結果、アンダーバリアメタル及びソルダー層を含む構造体において、アンダーバリアメタルの内部応力を260Mpa以下とすることにより、信頼性が高いアンダーバリアメタルが得られることを見出して、本発明を完成した。
【0009】
具体的に、本発明に係る構造体は、基材と、前記基材の上に形成されたソルダー層と、 前記基材とソルダー層との間に形成されたFeとCoとを含む合金層であるアンダーバリアメタルとを備え、前記アンダーバリアメタルの内部応力は、260Mpa以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る構造体によると、基材とソルダー層との間にFeとCoとを含む合金層であるアンダーバリアメタルが形成されている。このため、当該アンダーバリアメタルによって基材中の金属の金属拡散による当該金属とソルダー層中に含まれる例えばSn等の元素とが反応して金属間化合物が生成することを抑制できる。さらに、本発明に係る構造体では、アンダーバリアメタルの内部応力は、260Mpa以下であるため、当該内部応力に起因する基材の破壊、アンダーバリアメタルの基材からの剥離、及びアンダーバリアメタルにおけるクラックの発生等を抑制することができる。その結果、当該構造体は電気的特性や接続信頼性等が良好となり、信頼性が高く、電子部品等に用いるのに適する。
【0011】
本発明に係る構造体において、前記アンダーバリアメタルは、Feを10%以上の質量比率で含むことが好ましい。
【0012】
このようにすると、アンダーバリアメタルによる金属間化合物の生成の抑制能をより向上することができる。
【0013】
本発明に係る構造体において、アンダーバリアメタルは、Feを10%以上の質量比率で含むことが好ましい。
【0014】
このようにすると、アンダーバリアメタルによる金属間化合物の生成の抑制能をより向上することができる。
【0015】
本発明に係る構造体において、ソルダー層として、Sn層若しくはSn合金層、又はIn層若しくはIn合金層を適用することができる。
【0016】
本発明に係る構造体の製造方法は、基材の上にめっき法によりアンダーバリアメタル及びソルダー層を順次形成して、アンダーバリアメタル及びソルダー層を含む構造体を製造する方法であって、水と、少なくとも1つの鉄イオンの供給源と、少なくとも1つのコバルトイオンの供給源と、無機酸、アルカンスルホン酸及び前記酸の塩からなる群から選択される少なくとも1つの酸と、少なくとも1つの応力緩和剤とを含むめっき溶液を用いて、内部応力が260Mpaであるアンダーバリアメタルを形成するステップを含み、前記めっき溶液は、前記応力緩和剤を0.5g/L~100g/Lの濃度で含むことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る構造体の製造方法によると、上述のような基材中の金属の金属拡散による当該金属とソルダー層中に含まれる例えばSn等の元素とが反応して金属間化合物が生成することを抑制するためのアンダーバリアメタルが得られる。さらに、当該アンダーバリアメタルの内部応力を260Mpa以下とすることができるため、当該内部応力に起因する基材の破壊、アンダーバリアメタルの基材からの剥離、及びアンダーバリアメタルにおけるクラックの発生等が抑制できる。従って、本発明の製造方法によると、電気的特性や接続信頼性等が良好となり、信頼性が高く、電子部品等に用いるのに適する構造体を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る構造体によると、金属を含む基材とソルダー層との間において金属間化合物の生成をより抑制できる信頼性が高いアンダーバリアメタルを得ることができる。その結果、当該構造体は電気的特性や接続信頼性等が良好となり、信頼性が高く、電子部品等に用いるのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る構造体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用方法或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0021】
本発明の一実施形態に係る構造体について、図1を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る構造体において、基材10の上にアンダーバリアメタル(UBM)11が形成されており、UBM11の上にソルダー層12が形成されている。基材10は特に限定されないが、例えばCuやNi等からなる金属基板、ガラス基板、シリコン基板又はサファイア基板、有機材料基板等を用いることが可能である。但し、金属基板以外では、めっきやスパッタリングによって、その上面にCuやNi又はそれらを含む合金等からなる金属薄膜が形成され、さらにその上にCuやNi又はそれらを含む合金等からなる突起状の構造物を形成する場合がある。なお、ここでは、そのような基材上面に形成された金属薄膜及び構造物を含めて基材10と呼ぶ。また、基材10は、平板状の基板に限らず、例えば棒状や線状の条材であっても構わない。ソルダー層12は、単一金属としてのSn若しくはSnを含むSn合金、又は単一金属としてのIn若しくはInを含むIn合金からなる。特に、Sn合金やIn合金としては、以下のものに限られないが、例えばSn‐Ag、Sn‐Ag‐Cu、Sn‐Cu、Sn‐Bi、Sn‐In、In‐Bi等が挙げられる。ソルダー層12は、以下のものに限られないが、例えばボールマウント法、ペースト法、めっき法又はインクジェット法等により形成される。
【0023】
ソルダー層12をSn層として電解めっき法により形成する場合、用いられるSnめっき液は、基本的に、可溶性第一スズ塩と、液ベースとしての酸またはその塩と、必要に応じて、酸化防止剤、安定剤、錯化剤、界面活性剤、光沢剤、平滑剤、pH調整剤、導電性塩、防腐剤等の各種添加剤を含有する。また、上記可溶性第一スズ塩としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-プロパノールスルホン酸、スルホコハク酸、p-フェノールスルホン酸等の有機スルホン酸の第一スズ塩をはじめ、ホウフッ化第一スズ、硫酸第一スズ、酸化第一スズ、塩化第一スズ、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム等を用いることができる。また、ソルダー層12をSn合金で構成する場合、例えばSn塩とAgやCu等の他の金属塩とを含むめっき液を用いてSn合金膜を形成してもよいし、Snめっき膜とAgやCu等の他の金属膜とを積層した後に熱処理して溶融することによって合金膜を形成してもよい。
【0024】
ソルダー層12をIn層として電解めっき法により形成する場合、用いられるInめっき液は、基本的に、可溶性インジウム塩と液ベースとしての酸またはその塩と、必要に応じて、酸化防止剤、安定剤、錯化剤、界面活性剤、光沢剤、平滑剤、pH調整剤、導電性塩、防腐剤等の各種添加剤を含有する。また、上記可溶性インジウム塩としては、例えば、スルファミン酸インジウム、硫酸インジウム、ホウフッ化インジウム、酸化インジウム、メタンスルホン酸インジウム、2-ヒドロキシプロパンスルホン酸インジウム等が挙げられる。また、ソルダー層12をIn合金で構成する場合、例えばIn塩とSnやビスマス(Bi)等の他の金属塩とを含むめっき液を用いてIn合金膜を形成してもよいし、Inめっき膜とSnやBi等の他の金属膜とを積層した後に熱処理して溶融することによって合金膜を形成してもよい。
【0025】
上記酸化防止剤は、浴中のSnイオンやInイオンの酸化を防止するものであり、例えば、次亜リン酸又はその塩、アスコルビン酸又はその塩、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、フロログルシン、クレゾールスルホン酸又はその塩、フェノールスルホン酸又はその塩、カテコールスルホン酸又はその塩、ハイドロキノンスルホン酸又はその塩、ヒドラジン等を用いることができる。
【0026】
上記安定剤は、めっき浴の安定又は分解を防止するためのものであり、例えば、シアン化合物、チオ尿素類、チオ硫酸塩、亜硫酸塩、アセチルシステインなどの含イオウ化合物、クエン酸等のオキシカルボン酸類等の公知の安定剤を用いることができる。
【0027】
上記錯化剤は、中性領域でSnイオンやInイオンを安定化させて、白色沈殿が生じたり、浴が分解したりすることを防止するために含有され、例えば、オキシカルボン酸、ポリカルボン酸、モノカルボン酸等を用いることができ、具体的には、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、アスコルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、ジグリコール酸、或いはこれらの塩等を用いることができる。特に、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコノラクトン、グルコヘプトラクトン、或いはこれらの塩が好ましい。さらに、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、イミノジ酢酸(IDA)、イミノジプロピオン酸(IDP)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、エチレンジオキシビス(エチルアミン)-N,N,N’,N’-テトラ酢酸、グリシン類、ニトリロトリメチルホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、或いはこれらの塩等も用いることができる。
【0028】
上記界面活性剤は、めっき膜の外観、緻密性、平滑性、密着性等の改善に寄与し、通常のノニオン系、アニオン系、両性、或いはカチオン系等の各種界面活性剤を用いることができる。上記アニオン系界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩等を用いることができる。カチオン系界面活性剤としては、モノ~トリアルキルアミン塩、ジメチルジアルキルアンモニウム塩、トリメチルアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、C1~C20アルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類、C1~C25アルキルフェノール、アリールアルキルフェノール、C1~C25アルキルナフトール、C1~C25アルコキシルリン酸(塩)、ソルビタンエステル、ポリアルキレングリコール、C1~C22脂肪族アミドなどにエチレンオキシド(EO)及び/又はプロピレンオキシド(PO)を2~300モル付加縮合させたもの等を用いることができる。両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン、スルホベタイン、イミダゾリンベタイン、アミノカルボン酸等を用いることができる。
【0029】
上記光沢剤又は半光沢剤としては、例えば、ベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、2,4,6-トリクロロベンズアルデヒド、m-クロロベンズアルデヒド、p-ニトロベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、フルフラール、1-ナフトアルデヒド、2-ナフトアルデヒド、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、3-アセナフトアルデヒド、ベンジリデンアセトン、ピリジデンアセトン、フルフリリデンアセトン、シンナムアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド、パラアルデヒド、バニリンなどの各種アルデヒド、トリアジン、イミダゾール、インドール、キノリン、2-ビニルピリジン、アニリン、フェナントロリン、ネオクプロイン、ピコリン酸、チオ尿素類、N―(3―ヒドロキシブチリデン)―p―スルファニル酸、N―ブチリデンスルファニル酸、N―シンナモイリデンスルファニル酸、2,4―ジアミノ―6―(2′―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―エチル―4―メチルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、2,4―ジアミノ―6―(2′―ウンデシルイミダゾリル(1′))エチル―1,3,5―トリアジン、サリチル酸フェニル、或いは、ベンゾチアゾール、2―メチルベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2―アミノベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メトキシベンゾチアゾール、2―メチル―5―クロロベンゾチアゾール、2―ヒドロキシベンゾチアゾール、2―アミノ―6―メチルベンゾチアゾール、2―クロロベンゾチアゾール、2,5―ジメチルベンゾチアゾール、5―ヒドロキシ―2―メチルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール類等を用いることができる。
【0030】
上記平滑剤としては、上記光沢剤等と重複するが、β-ナフトール、β-ナフトール-6-スルホン酸、β-ナフタレンスルホン酸、m-クロロベンズアルデヒド、p-ニトロベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、(o-、p-)メトキシベンズアルデヒド、バニリン、(2,4-、2,6-)ジクロロベンズアルデヒド、(o-、p-)クロロベンズアルデヒド、1-ナフトアルデヒド、2-ナフトアルデヒド、2(4)-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、2(4)-クロロ-1-ナフトアルデヒド、2(3)-チオフェンカルボキシアルデヒド、2(3)-フルアルデヒド、3-インドールカルボキシアルデヒド、サリチルアルデヒド、o-フタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-バレルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、グリオキサール、アルドール、スクシンジアルデヒド、カプロンアルデヒド、イソバレルアルデヒド、アリルアルデヒド、グルタルアルデヒド、1-ベンジリデン-7-ヘプタナール、2,4-ヘキサジエナール、シンナムアルデヒド、ベンジルクロトンアルデヒド、アミン-アルデヒド縮合物、酸化メシチル、イソホロン、ジアセチル、ヘキサンジオン-3,4、アセチルアセトン、3-クロロベンジリデンアセトン、sub.ピリジリデンアセトン、sub.フルフリジンアセトン、sub.テニリデンアセトン、4-(1-ナフチル)-3-ブテン-2-オン、4-(2-フリル)-3-ブテン-2-オン、4-(2-チオフェニル)-3-ブテン-2-オン、クルクミン、ベンジリデンアセチルアセトン、ベンザルアセトン、アセトフェノン、(2,4-、3,4-)ジクロロアセトフェノン、ベンジリデンアセトフェノン、2-シンナミルチオフェン、2-(ω-ベンゾイル)ビニルフラン、ビニルフェニルケトン、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、クロトン酸、プロピレン-1,3-ジカルボン酸、ケイ皮酸、(o-、m-、p-)トルイジン、(o-、p-)アミノアニリン、アニリン、(o-、p-)クロロアニリン、(2,5-、3,4-)クロロメチルアニリン、N-モノメチルアニリン、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、N-フェニル-(α-、β-)ナフチルアミン、メチルベンズトリアゾール、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、1,2,3-ベンズトリアジン、イミダゾール、2-ビニルピリジン、インドール、キノリン、モノエタノールアミンとo-バニリンの反応物、ポリビニルアルコール、カテコール、ハイドロキノン、レゾルシン、ポリエチレンイミン、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム、ポリビニルピロリドン等を用いることができる。また、ゼラチン、ポリペプトン、N-(3-ヒドロキシブチリデン)-p-スルファニル酸、N-ブチリデンスルファニル酸、N-シンナモイリデンスルファニル酸、2,4-ジアミノ-6-(2’-メチルイミダゾリル(1’))エチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-エチル-4-メチルイミダゾリル(1’))エチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-(2’-ウンデシルイミダゾリル(1’))エチル-1,3,5-トリアジン、サリチル酸フェニル、或いは、ベンゾチアゾール類も平滑剤として有効である。上記ベンゾチアゾール類としては、ベンゾチアゾール、2-メチルベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(メチルメルカプト)ベンゾチアゾール、2-アミノベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メトキシベンゾチアゾール、2-メチル-5-クロロベンゾチアゾール、2-ヒドロキシベンゾチアゾール、2-アミノ-6-メチルベンゾチアゾール、2-クロロベンゾチアゾール、2,5-ジメチルベンゾチアゾール、6-ニトロ-2-メルカプトベンゾチアゾール、5-ヒドロキシ-2-メチルベンゾチアゾール、2-ベンゾチアゾールチオ酢酸等を用いることができる。
【0031】
上記pH調整剤としては、塩酸、硫酸等の各種の酸、アンモニア水、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の各種の塩基等を用いることができ、さらに、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などのモノカルボン酸類、ホウ酸類、リン酸類、シュウ酸、コハク酸などのジカルボン酸類、乳酸、酒石酸などのオキシカルボン酸類等も用いることができる。
【0032】
上記導電性塩としては、硫酸、塩酸、リン酸、スルファミン酸、スルホン酸等のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、アミン塩等を用いることができ、なお、上記pH調整剤で共用できる場合もある。
【0033】
上記防腐剤としては、ホウ酸、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコール等を用いることができる。
【0034】
UBM11は、基材10に含まれる金属の金属拡散により当該金属とソルダー層12のSn又はInとの反応により金属間化合物13が形成されることを抑制するために設けられている。UBM11は、FeとCoとを含む合金層であり、Feを10%以上の質量比率で含むことが好ましい。このような構成により、UBM11の金属間化合物13の生成の抑制効果を向上することができる。
【0035】
UBM11は、例えばめっき、スパッタリング、蒸着、ボールマウント、ペースト印刷等の方法で形成することができる。例えばUBM11を電解めっきにより形成する場合、水溶性Co塩、Rh塩、Fe塩、Rh塩及びPd塩の少なくともいずれか1種が溶解された溶液に、適宜液ベースとしての酸またはその塩と、必要に応じて、上述したような酸化防止剤、安定剤、錯化剤、界面活性剤、光沢剤、平滑剤、pH調整剤、導電性塩、防腐剤等の各種添加剤を含有させためっき液を用いることができる。
【0036】
上記のような組成のUBM11を採用した本実施形態に係る構造体では、図1に示すように金属間化合物13は生成するものの、その厚みは従来の構造体よりも極めて小さくすることができる。
【0037】
FeとCoとを含む合金層からなるUBM11は、その内部応力が高い場合、基材の破壊がおきたり、アンダーバリアメタルが基材から剥離したり、アンダーバリアメタル自体にクラックが発生してアンダーバリアメタルとしての機能を果たせなくなる場合などがある。このため、本実施形態において、UBM11は、その内部応力が260Mpa以下となるように形成されている。このようにすることで、UBM11の内部応力に起因する基材10の破壊、UBM11の基材10からの剥離、及びUBM11におけるクラックの発生等を抑制することができる。
【0038】
上記のようなUBM11を形成するために、例えば水と、少なくとも1つの鉄イオンの供給源と、少なくとも1つのコバルトイオンの供給源と、無機酸、アルカンスルホン酸及び前記酸の塩からなる群から選択される少なくとも1つの酸と、少なくとも1つの応力緩和剤とを含むめっき溶液を用いることができる。
【0039】
前記めっき溶液が含有する前記鉄イオンの供給源としては、特に限定がないが、例えば、塩化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、スルファミン酸鉄、酢酸鉄、臭化鉄、硫化鉄、クエン酸鉄、クエン酸アンモニウム鉄、硫酸アンモニウム鉄、乳酸鉄、しゅう酸鉄、リン酸鉄、ピロリン酸鉄等の塩及びこれらの水和物塩が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を同時に用いることができる。
【0040】
前記めっき溶液が含有する前記コバルトイオンの供給源としては、特に限定がないが、硫酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、ホウフッ化コバルト、メタンスルホン酸コバルト、2-ヒドロキシプロパンスルホン酸コバルト、スルファミン酸コバルト等の塩及びこれらの水和物塩が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を同時に用いることができる。
【0041】
前記めっき溶液が含有する前記酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、しゅう酸、リン酸、ピロリン酸等の酸もしくは塩が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を同時に用いることができる。
【0042】
前記めっき溶液が含有する前記応力緩和剤としては、例えば、サッカリンナトリウム、グルコン酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、1,3‐プロパンジアミン四酢酸、ジアミノヒドロキシプロパン四酢酸、2-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-プロパノールスルホン酸、スルホコハク酸、p-フェノールスルホン酸、ギ酸、酒石酸、グリオキシル酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホウ酸、1-ナフトール-4-スルホン酸、チオジグリコール酸、メタクリル酸、アクリル酸、ピコリン酸等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を同時に用いることができる。応力緩和剤は、UBM11の内部応力が260Mpa以下となるように調整されてめっき溶液に含有される。上記内部応力を達成させるために、具体的に、応力緩和剤はめっき溶液に濃度が0.5g/L~100g/Lになるように加えられ、好ましくは、1g/L~40g/Lになるように加えられる。
【0043】
本実施形態に係る構造体は、以下のものに限られないが、例えばプリント配線板、半導体集積回路、抵抗器、コンデンサ、フィルタ、サーミスタ、水晶振動子、スイッチ、リード線又は太陽電池等の電子部品に適用可能である。
【実施例
【0044】
以下に、本発明に係る構造体を詳細に説明するための実施例を示す。
【0045】
本実施例では、本発明に係る上記UBMを備えた構造体(実施例1~22)と、上記UBMとは異なる従来のUBMを備えた構造体(比較例1~13)とにおいて生成される金属間化合物の厚み及びUBMの内部応力を測定し、UBMの基材からの剥離の有無を観察し、それぞれ比較した。以下に、比較例1~13及び実施例1~22のUBMのめっき溶液の組成及びめっき条件を示す。
【0046】
(1)比較例1
下記組成で電気Ni浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
スルファミン酸ニッケル(Ni2+として):50g/L
ホウ酸:40g/L
サッカリンナトリウム:2g/L
pH4.0
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0047】
(2)比較例2
下記組成で電気Ni浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
スルファミン酸ニッケル(Ni2+として):50g/L
ホウ酸:40g/L
サッカリンナトリウム:1g/L
pH4.0
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0048】
(3)比較例3
下記組成で電気Ni浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
スルファミン酸ニッケル(Ni2+として):50g/L
ホウ酸:40g/L
サッカリンナトリウム:0.70g/L
pH4.0
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0049】
(4)比較例4
下記組成で電気Ni浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
スルファミン酸ニッケル(Ni+として):50g/L
ホウ酸:40g/L
サッカリンナトリウム:0.50g/L
pH4.0
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0050】
(5)比較例5
下記組成で電気Ni浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
スルファミン酸ニッケル(Ni2+として):50g/L
ホウ酸:40g/L
サッカリンナトリウム:0.20g/L
pH4.0
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0051】
(6)比較例6
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):20g/L
塩化コバルト(Co2+として):80g/L
クエン酸:20g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0052】
(7)比較例7
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):50g/L
クエン酸:20g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0053】
(8)比較例8
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0054】
(9)比較例9
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):100g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0055】
(10)比較例10
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):45g/L
塩化コバルト(Co2+として):45g/L
クエン酸:20g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0056】
(11)比較例11
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):10g/L
クエン酸:20g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0057】
(12)比較例12
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):110g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0058】
(13)比較例13
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):90g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0059】
(14)実施例1
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):20g/L
塩化コバルト(Co2+として):80g/L
クエン酸:20g/L
ニトリロ三酢酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0060】
(15)実施例2
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):30g/L
塩化コバルト(Co2+として):65g/L
クエン酸:20g/L
2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸:20g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0061】
(16)実施例3
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):50g/L
クエン酸:20g/L
ニトリロ三酢酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0062】
(17)実施例4
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):50g/L
クエン酸:20g/L
エチレンジアミン四酢酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0063】
(18)実施例5
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):10g/L
クエン酸:20g/L
エチレンジアミン四酢酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0064】
(19)実施例6
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
1-ナフトール-4-スルホン酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0065】
(20)実施例7
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):90g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
メタクリル酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0066】
(21)実施例8
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):100g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
トリエチレンテトラミン六酢酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0067】
(22)実施例9
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):110g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
グリコールエーテルジアミン四酢酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0068】
(23)実施例10
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):50g/L
クエン酸:20g/L
ホウ酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0069】
(24)実施例11
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):90g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
グリオキシル酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0070】
(25)実施例12
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):50g/L
クエン酸:20g/L
リンゴ酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0071】
(26)実施例13
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):90g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
エタンスルホン酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0072】
(27)実施例14
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):50g/L
クエン酸:20g/L
グルコン酸ナトリウム:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0073】
(28)実施例15
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):100g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
アクリル酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0074】
(29)実施例16
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):90g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
酒石酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0075】
(30)実施例17
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):50g/L
クエン酸:20g/L
ピロリン酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0076】
(31)実施例18
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):90g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0077】
(32)実施例19
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):50g/L
クエン酸:20g/L
チオジグリコール酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0078】
(33)実施例20
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
塩化鉄(Fe2+として):90g/L
塩化コバルト(Co2+として):20g/L
クエン酸:20g/L
スルホコハク酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0079】
(34)実施例21
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
硫酸鉄(Fe2+として):40g/L
塩化コバルト(Co2+として):50g/L
クエン酸:20g/L
チオジグリコール酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0080】
(35)実施例22
下記組成で電気Fe-Co浴を建浴した。また、めっき条件も併せて示す。
[組成]
スルファミン酸鉄(Fe2+として):40g/L
スルファミン酸コバルト(Co2+として):50g/L
クエン酸:20g/L
スルホコハク酸:10g/L
pH3.5
[めっき条件]
(ア)浴温:50℃
(イ)陰極電流密度
第1陰極電流密度:3A/dm
めっき時間:約300秒
形成されためっき層の厚さ:3μm
【0081】
実施例1~22及び比較例1~13では、半導体ウェハ上面に銅層を施して基材とし、この基材上に上記それぞれの方法でUBMを形成した。また、UBMの上にソルダー層を電解めっきにより形成して構造体を完成させた。ソルダー層を形成するための電解めっきは通常の周知方法を用い、形成するめっき膜の種類に従って水溶性Sn塩、In塩、Ag塩、Bi塩、Cu塩のいずれか1種又はそれ以上が溶解された溶液に、各種添加剤を含有させためっき液を用いた。また、めっき条件は30℃、3A/dmとし、めっき膜の膜厚は10μmとした。
【0082】
上記のようにして形成した実施例1~22及び比較例1~13における構造体に対して、180℃で150時間の熱処理を行って、その後にSn層若しくはSn合金層又はIn層若しくはIn合金層であるソルダー層の下に生成された金属間化合物の厚みを測定した結果を表1に示す。なお、金属間化合物の厚みは、比較例1の結果を基準(100%)とした割合で示す。また、表1には当該結果と共に、各実施例及び比較例において形成したUBM、及びソルダー層の組成、UBMの内部応力、並びにUBMの基材からの剥離の有無を示す。なお、表1のUBMの欄の数字は質量比を示し、例えば「Fe10-Co90」は、Feを10質量%、Coを90質量%で含む合金であることを示す。また、ソルダー層の欄において、カッコ内は合金のうちの一方の含有割合を示しており、他方の含有割合はその残部である。また、UBMの内部応力は、ストリップ式電着応力試験器(藤化成株式会社、683ECアナライザー)を用いてストリップの開脚幅を測定し、下記計算式より算出される。
S=UKM/3T
なお、上記式において、Sは内部応力、Uはストリップ開脚幅、Kはテストストリップのキャリブレーション定数、MはMファクター(析出物の弾性率/テストストリップ材の弾性率)、Tは析出物の膜厚である。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示すように、UBMとしてNiを用いた比較例1~5よりも、UBMとしてFeCo合金を用いた比較例6~13及び実施例1~22の方が、UBMとソルダー層との間の金属間化合物の形成が抑制できることが分かる。また、比較例1~13の結果からUBMがNiであっても、FeCo合金であっても内部応力が高い場合、UBMの基材からの剥離が発生することが分かる。この点において、UBM中のFe及びCoの組成は剥離の有無に影響を与えていないといえる。また、UBM上にめっきされるSn層若しくはSn合金層又はIn層若しくはIn合金層の種類に無関係に剥離が発生する。比較例6~13及び実施例1~22の比較から、応力緩和剤の添加によりUBMの内部応力が減少し、剥離が発生しないことが確認できている。また、UBM上にめっきされるソルダー層の種類に関係なく、UBMの未剥離が達成可能である。実施例1~22では、上記の通りUBMの基材からの剥離が無く且つUBMとソルダー層との間の金属間化合物の形成が抑制されており、実施例1~22のUBMは比較例1~13のUBMと比較して、優れた特性を有しているといえる。
【0085】
以上の通り、本発明に係る構造体によると、金属を含む基材とソルダー層との間において金属間化合物の生成をより抑制できる信頼性が高いUBMを得ることができるため、当該構造体は電気的特性や接続信頼性等が良好となり、信頼性が高く、電子部品等に用いるのに適する。
【符号の説明】
【0086】
10 基材
11 アンダーバリアメタル(UBM)
12 ソルダー層
13 金属間化合物
図1