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特許7197959情報処理システム、情報処理方法、情報処理装置、測定装置およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、情報処理装置、測定装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/021 20060101AFI20221221BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20221221BHJP
   A61B 5/26 20210101ALI20221221BHJP
   A61B 5/346 20210101ALI20221221BHJP
【FI】
A61B5/021
A61B5/11 110
A61B5/26 200
A61B5/346
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022552418
(86)(22)【出願日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 JP2022020349
【審査請求日】2022-08-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522291946
【氏名又は名称】株式会社ビキタン
(74)【代理人】
【識別番号】100185971
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 玲子
(72)【発明者】
【氏名】李 福石
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0343399(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0210921(US,A1)
【文献】国際公開第2012/165064(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105708429(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0228010(US,A1)
【文献】特開2020-031732(JP,A)
【文献】特開2018-061826(JP,A)
【文献】特開2020-092913(JP,A)
【文献】塚島彰 ほか,高齢高血圧症患者における心拍変動の異常 -カオス解析を用いた検討-,Therapeutic Research,1997年03月,Vol.18, No.3,pp.752-754,ISSN:0289-8020
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/021
A61B 5/26
A61B 5/318-5/367
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電極を有する第一の装置および第二の電極を有する第二の装置を含む測定装置と、
前記測定装置と無線で接続可能な第一の情報処理装置と、
前記測定装置および前記第一の情報処理装置と無線で接続可能な第二の情報処理装置と
を備え、対象ユーザが一方の手で前記第一の装置を担持し、他方の手で前記第二の装置を担持することにより前記対象ユーザの心電信号を測定可能な情報処理システムであって、
前記情報処理システムは、一又は複数のコンピュータプロセッサを備え、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサは、
前記測定装置を用いて測定された前記対象ユーザの心電信号を受信する第一受信部と、
前記第一受信部により受信された前記対象ユーザの心電信号を解析することにより前記対象ユーザの血圧値を推定して第一推定血圧値を得る第一処理部と、
前記第一処理部により推定された第一推定血圧値を表示する第一表示部と、
接触方式で取得された前記対象ユーザの第一非接触血圧値を得る生体情報取得部と、
前記測定装置を用いて測定された前記対象ユーザの心電信号、および、前記第一非接触血圧値を受信する第二受信部と、
前記第二受信部により受信された前記対象ユーザの心電信号を解析することにより前記対象ユーザの血圧値を推定して第二推定血圧値を得る第二処理部と、
前記第二推定血圧値を、前記第一非接触血圧値に基づいて補正し、第二補正血圧値を得る第二補正部と
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサは、さらに、
前記第二補正部より補正された血圧値を前記第二処理部にフィードバックすることにより前記推定の精度を向上させるフィードバック部を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記生体情報取得部は、
マイクロ波を照射する送信部と、対象ユーザによって反射されたマイクロ波を受信する受信部とを有し、
前記対象ユーザの体表で生じる動きによって、照射したマイクロ波と受信したマイクロ波との間にドップラー効果により生じた位相差をもって動作を検出することにより、前記第一非接触血圧値を取得することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記生体情報取得部は、前記対象ユーザの生体情報として、前記第一非接触血圧値に加えて、さらに、脈拍および血中酸素濃度を非接触方式で取得し、
前記第一の情報処理装置は、
筐体および当該筐体の正面に設けられたディスプレイで構成され、当該ディスプレイには、前記第一非接触血圧値に加えて、脈拍および血中酸素濃度が表示されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第一の情報処理装置は、生体情報表示用の専用装置であり、
前記第二の情報処理装置は、汎用的な情報処理装置であることを特徴とする請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第二補正部は、
前記第二推定血圧値と前記第一非接触血圧値とが所定値以上離れているかを判定し、
前記判定により前記第二推定血圧値と前記第一非接触血圧値とが所定値以上離れていると判定された場合に、前記第一非接触血圧値を、前記第二補正血圧値と決定することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第二処理部は、前記対象ユーザの心電信号の波形をデジタル化し、当該波形の離散データから数学的な操作によりカオスアトラクタを作成してリアプノフ指数を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記情報処理システムは、さらに、
前記第一の情報処理装置が接続可能なサーバ装置を備え、
前記第一処理部は、前記サーバ装置が備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記情報処理システムは、さらに、
前記第二の情報処理装置が接続可能なサーバ装置を備え、
前記第二処理部は、前記サーバ装置が備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記第一処理部は、前記対象ユーザの心電信号の波形をデジタル化し、当該波形の離散データから数学的な操作によりカオスアトラクタを作成してリアプノフ指数を算出することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記第一受信部および前記第一表示部は、前記第一の情報処理装置が備えるものであり、
前記第一の情報処理装置は、さらに、
前記対象ユーザのゲノム情報を記憶する記憶部と、
前記対象ユーザの少なくとも顔の画像を取得する画像取得部と、
環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記生体情報取得部により取得された生体情報、および、前記記憶部に記憶されたゲノム情報に基づいて、前記対象ユーザの健康状態を解析するAI基盤としての第一の解析部と、
を有し、
前記第一表示部は、前記生体情報取得部により取得された生体情報の少なくとも一部、および、前記環境情報取得部により取得された環境情報の少なくとも一部を表示することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記情報処理システムは、さらに、前記第一の情報処理装置と接続された生体情報取得装置を備え、前記生体情報取得部は、前記生体情報取得装置により取得された前記対象ユーザの生体情報を取得することを特徴とする請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記記憶部は、さらに、前記対象ユーザの基本情報、前記対象ユーザの病歴情報、前記対象ユーザの生体情報の実績情報、前記対象ユーザの健康状態の異常に関する異常履歴情報、前記対象ユーザの状況を通知する見守り者の連絡先情報を記憶することを特徴とする請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記第一の装置は、筐体および当該筐体の表面または内部に配置される、前記第一の電極、表示部、第一のセンサ部、第一通信部、第一処理部および第一電池収納部で構成され、
前記第二の装置は、筐体および当該筐体の表面または内部に配置される、前記第二の電極、表示部、第二のセンサ部、第二通信部、第二処理部および第二電池収納部で構成され、
前記第一の装置および/または前記第二の装置と前記第二の情報処理装置とは、近距離無線通信により接続されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記第一のセンサ部および/または前記第二のセンサ部は、温度センサを含むことを特徴とする請求項14に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサは、さらに、
前記第一処理部により推定された第一推定血圧値に基づく第一血圧値を音声出力する第一音声出力部を有することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項17】
前記第一の装置および前記第二の装置は、手持ち型、両手首型、椅子に取り付け型、椅子の下部へ取り付け型、病院手すり部分に取り付け型、バスまたは乗用車へ取り付け型、ゲーム機のコントローラ取り付け/内蔵型、運転のハンドル型、トレーニング機器に取り付け型の装置であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項18】
第一の電極を有する第一の装置および第二の電極を有する第二の装置を含む測定装置と、
前記測定装置と無線で接続可能な第一の情報処理装置と、
前記測定装置および前記第一の情報処理装置と無線で接続可能な第二の情報処理装置と
を備え、対象ユーザが一方の手で前記第一の装置を担持し、他方の手で前記第二の装置を担持することにより前記対象ユーザの心電信号を測定可能な情報処理システムにおける情報処理方法であって、
前記情報処理システムは、一又は複数のコンピュータプロセッサを備え、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサに、
前記測定装置を用いて測定された前記対象ユーザの心電信号を受信する第一受信ステップと、
前記第一受信ステップにおいて受信された前記対象ユーザの心電信号を解析することにより前記対象ユーザの血圧値を推定して第一推定血圧値を得る第一処理ステップと、
前記第一処理ステップにおいて推定された第一推定血圧値を表示する第一表示ステップと、
接触方式で取得された前記対象ユーザの第一非接触血圧値を得る生体情報取得ステップと、
前記測定装置を用いて測定された前記対象ユーザの心電信号、および、前記第一非接触血圧値を受信する第二受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信された前記対象ユーザの心電信号を解析することにより前記対象ユーザの血圧値を推定して第二推定血圧値を得る第二処理ステップと、
前記第二推定血圧値を、前記第一非接触血圧値に基づいて補正し、第二補正血圧値を得る第二補正ステップと
を実行させる情報処理方法。
【請求項19】
第一の電極を有する第一の装置および第二の電極を有する第二の装置を含む測定装置と、
前記測定装置と無線で接続可能な第一の情報処理装置と、
前記測定装置および前記第一の情報処理装置と無線で接続可能な第二の情報処理装置と
を備え、対象ユーザが一方の手で前記第一の装置を担持し、他方の手で前記第二の装置を担持することにより前記対象ユーザの心電信号を測定可能な情報処理システムにおいて実行されるコンピュータプログラムであって、
前記情報処理システムは、一又は複数のコンピュータプロセッサを備え、
前記一又は複数のコンピュータプロセッサに、
前記測定装置を用いて測定された前記対象ユーザの心電信号を受信する第一受信機能と、
前記第一受信機能により受信された前記対象ユーザの心電信号を解析することにより前記対象ユーザの血圧値を推定して第一推定血圧値を得る第一処理機能と、
前記第一処理機能により推定された第一推定血圧値を表示する第一表示機能と、
接触方式で取得された前記対象ユーザの第一非接触血圧値を得る生体情報取得機能と、
前記測定装置を用いて測定された前記対象ユーザの心電信号、および、前記第一非接触血圧値を受信する第二受信機能と、
前記第二受信機能により受信された前記対象ユーザの心電信号を解析することにより前記対象ユーザの血圧値を推定して第二推定血圧値を得る第二処理機能と、
前記第二推定血圧値を、前記第一非接触血圧値に基づいて補正し、第二補正血圧値を得る第二補正機能と
を実現させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、情報処理装置、測定装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血圧を測定する場合、カフ(腕帯)により被測定部位を一時的に圧迫し、検出される血管音や脈波に基づいて血圧を測定するのが一般的である。
【0003】
特許文献1には、手首式血圧計に関する技術が開示され、具体的には、被測定部位が長時間圧迫されたままの状態となるのを回避可能な血圧計に関する技術が開示されている。
【0004】
ところが、腕帯巻き付け型(カフ式)の血圧計は、毎回カフを上腕や手首等の被測定部位に装着して測定する必要があり、血圧の測定を毎日頻回行う必要がある者にとっては負担が大きいという問題がある。また、適切に装着できていない場合には正確な測定値が得られないという問題もある。
【0005】
また、カフに腕を入れるだけのアームイン式の血圧計などもあるが、装置のサイズが大きく置き場所に困るという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2022-023478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の目的は、上述した従来技術の課題の少なくとも一部を解決又は緩和する技術的な改善を提供することである。本開示のより具体的な目的の一つは、血圧測定における利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示における情報処理システムは、第一の電極を有する第一の装置および第二の電極を有する第二の装置を含む測定装置と、測定装置と接続可能な第一の情報処理装置とを備え、対象ユーザが一方の手で第一の装置を担持し、他方の手で第二の装置を担持することにより対象ユーザの心電信号を測定可能な情報処理システムであって、情報処理システムは、一又は複数のコンピュータプロセッサを備え、一又は複数のコンピュータプロセッサは、測定装置を用いて測定された対象ユーザの心電信号を受信する第一受信部と、第一受信部により受信された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する第一処理部と、第一処理部により推定された血圧値に基づく第一血圧値を表示する第一表示部とを有することを特徴とする。
【0009】
情報処理システムは、さらに、測定装置および第一の情報処理装置と接続可能な第二の情報処理装置を備え、一又は複数のコンピュータプロセッサは、測定装置を用いて測定された対象ユーザの心電信号、ならびに、第一の情報処理装置により取得された対象ユーザの血圧値を受信する第二受信部と、第二受信部により受信された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する第二処理部と、第二処理部により推定された血圧値および第一の情報処理装置により取得された対象ユーザの血圧値とに基づいて、対象ユーザの血圧値を補正する第二補正部と第二補正部により補正された血圧値に基づく第二血圧値を表示する第二表示部とを有することができる。
【0010】
情報処理システムは、さらに、第一の情報処理装置が接続可能なサーバ装置を備え、第一処理部は、サーバ装置が備えることができる。
【0011】
情報処理システムは、さらに、第二の情報処理装置が接続可能なサーバ装置を備え、第二処理部は、サーバ装置が備えることができる。
【0012】
第一処理部は、対象ユーザの心電信号の波形をデジタル化し、当該波形の離散データから数学的な操作によりカオスアトラクタを作成してリアプノフ指数を算出することができる。
【0013】
第二処理部は、対象ユーザの心電信号の波形をデジタル化し、当該波形の離散データから数学的な操作によりカオスアトラクタを作成してリアプノフ指数を算出することができる。
【0014】
第一受信部および第一表示部は、第一の情報処理装置が備えるものであり、第一の情報処理装置は、さらに、対象ユーザのゲノム情報を記憶する記憶部と、対象ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部と、対象ユーザの少なくとも顔の画像を取得する画像取得部と、環境情報を取得する環境情報取得部と、生体情報取得部により取得された生体情報、および、記憶部に記憶されたゲノム情報に基づいて、対象ユーザの健康状態を解析するAI基盤としての第一の解析部と、を有し、第一表示部は、生体情報取得部により取得された生体情報の少なくとも一部、および、環境情報取得部により取得された環境情報の少なくとも一部を表示することができる。
【0015】
第一の情報処理装置は、筐体および当該筐体の正面に設けられたディスプレイで構成され、第一表示部は、ディスプレイであるものとすることができる。
【0016】
情報処理システムは、さらに、第一の情報処理装置と接続された生体情報取得装置を備え、生体情報取得部は、生体情報取得装置により取得された対象ユーザの生体情報を取得することができる。
【0017】
第一の装置は、筐体および当該筐体の表面または内部に配置される、第一の電極、表示部、第一のセンサ部、第一通信部、第一処理部および第一電池収納部で構成され、第二の装置は、筐体および当該筐体の表面または内部に配置される、第二の電極、表示部、第二のセンサ部、第二通信部、第二処理部および第二電池収納部で構成され、第一の装置および/または第二の装置と第一の情報処理装置とは、近距離無線通信により接続されることができる。
【0018】
前記第一のセンサ部および/または前記第二のセンサ部は、温度センサを含むことができる。
【0019】
前記一又は複数のコンピュータプロセッサは、さらに、
前記第一処理部により推定された血圧値に基づく第一血圧値を音声出力する第一音声出力部を有することができる。
【0020】
前記第一の装置および前記第二の装置は、手持ち型、両手首型、椅子に取り付け型、椅子の下部へ取り付け型、病院手すり部分に取り付け型、バスまたは乗用車へ取り付け型、ゲーム機のコントローラ取り付け/内臓型、運転のハンドル型、トレーニング機器に取り付け型の装置であるものとすることができる。
【0021】
本開示における情報処理方法は、第一の電極を有する第一の装置および第二の電極を有する第二の装置を含む測定装置と、測定装置と接続可能な情報処理装置とを備え、対象ユーザが一方の手で第一の装置を担持し、他方の手で第二の装置を担持することにより対象ユーザの心電信号を測定可能な情報処理システムにおける情報処理方法であって、情報処理システムは、一又は複数のコンピュータプロセッサを備え、一又は複数のコンピュータプロセッサに、測定装置を用いて測定された対象ユーザの心電信号を受信する受信ステップと、受信ステップにおいて受信された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する処理ステップと、処理ステップにおいて推定された血圧値に基づく第一血圧値を表示する表示ステップとを実行させることを特徴とする。
【0022】
本開示における情報処理装置は、第一の電極を有する第一の装置および第二の電極を有する第二の装置を含む測定装置と接続可能な情報処理装置であって、情報処理装置は、測定装置を用いて測定された対象ユーザの心電信号を受信する受信部と、受信部により受信された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する処理部と、処理部により推定された血圧値に基づく第一血圧値を表示する表示部とを有することを特徴とする。
【0023】
本開示における測定装置は、第一の電極および第一の通信部を有する第一の装置と、第二の電極および第二の通信部を有する第二の装置とを含み、情報処理装置と近距離無線通信により接続可能な測定装置であって、対象ユーザが一方の手で第一の装置を担持し、他方の手で第二の装置を担持することにより対象ユーザの心電信号を測定可能であり、情報処理装置は、測定装置により測定された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定することを特徴とする。
【0024】
本開示におけるコンピュータプログラムは、第一の電極を有する第一の装置および第二の電極を有する第二の装置を含む測定装置と接続可能な情報処理装置が備える一又は複数のコンピュータプロセッサに、測定装置を用いて測定された対象ユーザの心電信号を受信する受信機能と、受信機能により受信された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する処理機能と、処理機能により推定された血圧値に基づく第一血圧値を表示する表示機能とを実現させるコンピュータプログラム。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、上述した従来技術の課題の少なくとも一部を解決又は緩和する技術的な改善を提供することができる。具体的には、血圧測定における利便性を向上させることが可能な情報処理システム、情報処理方法、情報処理装置、測定装置およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示における情報処理システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
図2】本開示における第一の情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す構成図である。
図3】本開示における測定装置のイメージを示した概念図である。
図4】本開示における第一の情報処理装置の機能構成の一例を示す構成図である。
図5】本開示における第一の情報処理装置のイメージを示した概念図である。
図6】本開示における情報処理システムのシステム構成の他の例を示すシステム構成図である。
図7】本開示における第二の情報処理装置の機能構成の一例を示す構成図である。
図8】本開示における第一の情報処理装置の機能構成の他の例を示す構成図である。
図9】本開示における情報処理システムのシステム構成の他の例を示すシステム構成図である。
図10】本開示における情報処理方法のフローの一例を示すフロー図である。
図11】本開示における情報処理装置の機能構成の一例を示す構成図である。
図12】本開示におけるコンピュータプログラムの機能を実現するための回路構成の一例を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示における情報処理システムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、本開示における情報処理システム1000のシステム構成の一例を示したものである。
【0029】
本開示における情報処理システム1000は、図1に示されるように、第一の情報処理装置100および測定装置200を備えるものとする。これら第一の情報処理装置100と測定装置200とは、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信技術により接続されることができる。
【0030】
ここで、図2を用いて、上記第一の情報処理装置100のハードウェア構成について説明する。第一の情報処理装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、入出力インターフェース(入出力I/F)104と、通信インターフェース(通信I/F)105とを含むことができる。各構成要素は、バスBを介して相互に接続される。
【0031】
第一の情報処理装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、入出力I/F104と、通信I/F105との協働により、本実施形態に記載される機能、方法を実現することができる。
【0032】
プロセッサ101は、ストレージ103に記憶されるプログラムに含まれるコード又は命令によって実現する機能、及び/又は、方法を実行する。プロセッサ101は、例えば、中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。また、LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSI等と呼称されることもある。
【0033】
メモリ102は、ストレージ103からロードしたプログラムを一時的に記憶し、プロセッサ101に対して作業領域を提供する。メモリ102には、プロセッサ101がプログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ102は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含む。
【0034】
ストレージ103は、プログラムを記憶する。ストレージ103は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等を含む。
【0035】
通信I/F105は、ネットワークアダプタ等のハードウェアや通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、ネットワークを介して各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。通信I/F105は、ネットワークを介して、他の情報処理装置との通信を実行する。通信I/F105は、各種データをプロセッサ101からの指示に従って、他の情報処理装置に送信する。また、通信I/F105は、他の情報処理装置から送信された各種データを受信し、プロセッサ101に伝達する。
【0036】
入出力I/F104は、第一の情報処理装置100に対する各種操作を入力する入力装置、及び、第一の情報処理装置100で処理された処理結果を出力する出力装置を含む。入出力I/F104は、入力装置と出力装置が一体化していてもよいし、入力装置と出力装置とに分離していてもよい。
【0037】
入力装置は、ユーザからの入力を受け付けて、当該入力に係る情報をプロセッサ101に伝達できる全ての種類の装置のいずれか、又は、その組み合わせにより実現される。入力装置は、例えば、タッチパネル、タッチディスプレイ、キーボード等のハードウェアキーや、マウス等のポインティングデバイス、カメラ(画像を介した操作入力)、マイク(音声による操作入力)を含む。
【0038】
出力装置は、プロセッサ101で処理された処理結果を出力する。出力装置は、例えば、タッチパネル、スピーカ等を含む。
【0039】
また、後述する第二の情報処理装置300、サーバ装置400についても、特筆すべき場合を除き、図2と同様のハードウェア構成で構成されることができる。
【0040】
図1に戻り、上記測定装置200は、第一の装置210および第二の装置220を含む。
【0041】
図3は、第一の装置210および第二の装置220の構成のイメージの一例を示したものである。
【0042】
図3に示した例において、第一の装置210は、筐体201および当該筐体201の表面または内部に配置される、第一の電極202、表示部203、第一のセンサ部204、第一通信部205、第一処理部206および第一電池収納部207、SIMカード挿入部208で構成されている。
【0043】
また、図3に示した例において、第二の装置220は、筐体211および当該筐体211の表面または内部に配置される、第二の電極212、表示部213、第二のセンサ部214、第二通信部215、第二処理部216および第二電池収納部217で構成されている。
【0044】
上記第一のセンサ部204および第二のセンサ部214は、対象ユーザの掌から体温を測定可能な温度センサを含むものとすることができる。
【0045】
また、これら第一の装置210および第二の装置220は、それぞれが第一の情報処理装置100と近距離無線通信の技術により接続されるものとしてもよいし、いずれか一方のみが第一の情報処理装置100と接続されるものとしもよい。
【0046】
このように、第一の装置210および第二の装置220のそれぞれは、ユーザが片手で握って持つことが可能な小型サイズの装置であり、また、他の装置や電源との接続コードも必要としない独立した装置である。
【0047】
そして、本開示における情報処理システム1000において、対象ユーザが一方の手で第一の装置210を担持し、他方の手で第二の装置220を担持することにより、対象ユーザの心電信号が測定可能となる。
【0048】
具体的には、第一の電極202および第二の電極212において、対象ユーザの心電信号が検知される。
【0049】
そして、本開示における情報処理システム1000が備える一又は複数のコンピュータプロセッサ(一例として第一の情報処理装置100が備える一又は複数のコンピュータプロセッサ)は、図4に示されるように、第一受信部110、第一処理部120および第一表示部130を有する。
【0050】
第一受信部110は、測定装置200を用いて測定された対象ユーザの心電信号を受信する。
【0051】
第一処理部120は、第一受信部110により受信された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する。
【0052】
心電信号からの血圧値の推定技術については、一例として、心電信号の波形(心電波形)をデジタル化し、当該波形の離散データから数学的な操作によりカオスアトラクタを作成してリアプノフ指数を算出することにより行うことができる。
【0053】
具体的には、心電波形のR波のピークから次のR波のピークまでの時間間隔(RR間隔)の時系列データをカオス力学系の軌道ととらえ、かかる軌道発散をリアプノフ指数で評価する。
【0054】
例えば、心電波形から時系列データとして抽出された複数のRR間隔のそれぞれについて、着目するRR間隔の大きさをx座標とし、その1つ前のRR間隔の大きさをy座標としてプロットした場合、RR間隔は時間経過とともに不規則に変化し、複雑に揺らぐ。
【0055】
そして、プロットされた点の集合を力学系の軌道ととらえ、力学系の軌道発散を示すかをリアプノフ指数で評価する。
【0056】
リアプノフ指数は、RR間隔の時系列データからWolf法等に従って算出され、その符号および大きさを調べることによりRR間隔の揺らぎ度を定量化して、血圧値を推定することができる。
【0057】
なお、血圧値の推定方法は上記の手法に限られず、公知の技術または将来の技術を用いることができる。
【0058】
第一表示部130は、第一処理部120により推定された血圧値に基づく第一血圧値を表示する。
【0059】
図5は、第一の情報処理装置100の外観のイメージの一例を示したものである。
【0060】
第一の情報処理装置100は、筐体106および当該筐体106の正面に設けられたディスプレイ107で構成されるものとする。また、筐体106の正面には、カメラ108およびスピーカ109が設けられていてもよい。さらに、第一の情報処理装置100は、各種センサ、充電式バッテリ、電源ケーブル接続部、SIMカード挿入部、SDカードメモリ挿入部、USB挿入部等(図示せず)を備えることができる。
【0061】
そして、上記ディスプレイ107には、第一表示部130により第一血圧値(最大/最小血圧)が波形とともに表示されることができる。
【0062】
以上の構成によれば、上述した従来技術の課題の少なくとも一部を解決又は緩和する技術的な改善を提供することができる。具体的には、血圧測定における利便性を向上させることができる。特に、上記構成によれば、対象ユーザに対し、カフを測定対象部位に装着するという動作を要求しない。そして、対象ユーザが第一の装置および第二の装置のそれぞれを同時に片手で握るという簡単な動作だけで、推定された血圧値を得ることができるようになる。
【0063】
これにより、血圧の測定を毎日頻回行う必要がある者にとっての負担を軽減することができるようになる。また、測定装置を握るという動作は、カフを装着したりカフに腕を挿入したりする動作と比較して簡単な動作であるから、高齢者等であっても自分で容易に血圧値を得ることができる。
【0064】
なお、本開示における測定装置200は、対象ユーザが担持可能な独立した装置であるものとして説明を行ったが、対象ユーザが握ることができるものであればよいので、対象ユーザが握ることが想定されている物(例えば、椅子の左右ひじ掛け・座面の左右端部、ベッドの左右手すり、自動車のハンドル・左右ひじ掛け・アシストグリップ、ランニングマシン等のトレーニング機器のハンドル、ゲーム機器のコントローラ部分等)に取り付け可能な構成とすることもできる。
【0065】
このように、第一の装置210および第二の装置220は、二つで手持ち型、両手首に取り付け型、椅子に取り付け型、椅子の下部へ取り付け型、病院手すり部分に取り付け型、バスまたは乗用車へ取り付け型、ゲーム機のコントローラ取り付け/内蔵型、運転のハンドル型、トレーニング機器に取り付け型の装置とすることができる。
【0066】
続いて、本開示における情報処理システムの他の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0067】
図6は、本開示における情報処理システム1000のシステム構成の他の例を示したものである。
【0068】
本開示における情報処理システム1000は、図6に示されるように、さらに、第二の情報処理装置300を備えるものとする。第二の情報処理装置300は、第一の情報処理装置100および測定装置200と接続可能である。これら第二の情報処理装置300と第一の情報処理装置100および測定装置200とは、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信技術により接続されることができる。
【0069】
本開示において第二の情報処理装置300は、スマートフォン(多機能電話端末)、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置とすることができる。
【0070】
そして、本開示における情報処理システム1000が備える一又は複数のコンピュータプロセッサ(一例として第二の情報処理装置300が備える一又は複数のコンピュータプロセッサ)は、図7に示されるように、第二受信部310、第二処理部320、第二補正部330および第二表示部340を有する。
【0071】
第二受信部310は、測定装置200を用いて測定された対象ユーザの心電信号、ならびに、第一の情報処理装置100により取得された対象ユーザの血圧値を受信する。上記第一の情報処理装置100により取得された対象ユーザの血圧は、上述した第一処理部120により推定された血圧値、および/または、後述する生体情報取得部により取得された血圧値(測定値)である。
【0072】
第二処理部320は、第二受信部310により受信された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する。
【0073】
心電信号からの血圧値の推定は、第一処理部120と同様の手法により行われることができる。
【0074】
第二補正部330は、第二処理部320により推定された血圧値および第一の情報処理装置100により取得された対象ユーザの血圧値に基づいて、対象ユーザの血圧値を補正する。
【0075】
具体的には、第二補正部330は、第二処理部320が推定した血圧値と第一の情報処理装置100により取得された血圧値とを比較し、相関関係を確認・分析し、必要に応じて血圧値を補正することができる。
【0076】
特に、第一の情報処理装置100により取得された血圧値が生体情報取得部が取得した測定値である場合には、推定値の誤差を適切に補正することができる。
【0077】
なお、後述する生体情報取得部は非接触で対象ユーザの生体情報を取得するものとして説明されるが、従来型のカフを装着して対象ユーザの血圧を測定する機器を生体情報取得装置として、対象ユーザの生体情報を取得するものとしてもよい。
【0078】
なお、推定値と測定値とが±5mmHG以離れている場合、誤差があるとして測定値の値を自動的に採用するものとする。
【0079】
あるいは、第二補正部330は、ユーザにより入力された値を対象ユーザの血圧値として採用するものとしてもよい。
【0080】
なお、補正された値は、第二処理部320にフィードバックされ、血圧値の推定の精度を向上させていくことができる。
【0081】
そして、第二表示部340は、第二補正部330により補正された血圧値に基づく第二血圧値を表示する。
【0082】
第二の情報処理装置300のディスプレイには、第二表示部340により第二血圧値(最大/最小血圧)が表示されることができる。
【0083】
上記の構成によれば、より精度高く推定された血圧値を得ることができる。
【0084】
なお、情報処理システム1000が第二の情報処理装置300を備える実施例において、第一の情報処理装置100による血圧値の推定は必須ではない。
【0085】
このとき、第一の情報処理装置100は、図8に示されるように、さらに、対象ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部140を備えることができる。
【0086】
生体情報取得部140は、利用者の生体情報を取得するものである。
【0087】
利用者の生体情報は、一例として、利用者の血圧、脈拍、呼吸、意識、体温、血中酸素濃度等の少なくとも一つであるものとする。このうち、血圧、脈拍、呼吸の3つの情報については、利用者の健康状態を解析するのに重要なパラメータとなる。
【0088】
そして、生体情報取得部140は、上記生体情報を、利用者から非接触で取得することが可能なものとすることができる。
【0089】
一例として、生体情報取得部140は、マイクロ波を照射する送信部と、利用者によって反射されたマイクロ波を受信する受信部を有する。そして、利用者の動きによって照射したマイクロ波と受信したマイクロ波との間にドップラー効果により生じた位相差をもって動作を検出することができる。
【0090】
かかる技術によれば、呼吸・心拍・血圧といった動作を意識しない生体活動も、呼吸や鼓動に伴う体表で生じるわずかな動きから検出することができる。
【0091】
なお、マイクロ波は送信部から約180°の照射角で照射され、送信部から約10mまでの距離範囲内の生体情報を検出することができる。
【0092】
本開示における情報処理システム1000は、図9に示されるように、さらに、サーバ装置400を備えることができる。
【0093】
サーバ装置400は、第一の情報処理装置100および/または第二の情報処理装置300がインターネットを介して接続可能なものである。
【0094】
このとき、第一処理部120および/または第二処理部320はサーバ装置400が備えるものとしてもよい
【0095】
また、本開示における第一の情報処理装置100は、図8に示したように、さらに、記憶部150、画像取得部160、環境情報取得部170、第一の解析部180を有することができる。
【0096】
記憶部150は、対象ユーザのゲノム情報を記憶する。
【0097】
記憶部150は、第一の情報処理装置100が有するストレージ103としてもよいし、第一の情報処理装置100から取り外しが可能な記録媒体(USBメモリ、SDカード等)としてもよい。
【0098】
ゲノム情報には、一例として、利用者から採取された唾液や血液を分析することにより得られた利用者の病気や体質の遺伝的傾向を示すデータが含まれるものとする。
【0099】
また、記憶部150は、利用者の住所、氏名、年齢などの基本情報、利用者が過去に発症した病気の履歴を含む病歴情報、利用者の日常の呼吸数や心拍数を含む実績情報、利用者の健康状態の異常に関する異常履歴情報、利用者の状況を通知する見守り者のリストを含む連絡先情報を含むものとしてもよい。
【0100】
実績情報は初期状態では事前に利用者からの申請に含まれる日常の呼吸数や心拍数の値を登録するが、第一の情報処理装置100の利用開始後は、測定された平常時データを経時変化が取り出せるように時系列に保存する。
【0101】
生体情報取得部140は、対象ユーザの生体情報を取得する。
【0102】
生体情報取得部140は、上述したように非接触で対象ユーザの生体情報を測定した測定値、および/または、上述した第一処理部120により推定された血圧の推定値を取得するものとすることができる。
【0103】
画像取得部160は、対象ユーザの少なくとも顔の画像を取得する。
【0104】
画像取得部160は、第一の情報処理装置100が設置されている場所の画像を取得する。画像取得部160は上述したカメラ108により画像を取得する。なお、画像は静止画であっても動画であってもよい。
【0105】
プライバシーの問題を回避するため画像取得部160は平常時には動作しないように制御プログラム上でロックが掛かるようになっており、所定のレベル以上の異常が検出されたときにロックが解除され画像取得が可能となるように制御することもできる。
【0106】
また、利用者が大声を出した場合にカメラ108を起動するような構成としてもよい。
【0107】
環境情報取得部170は、環境情報を取得する。
【0108】
環境情報取得部170は、第一の情報処理装置100が設置されている空間の環境情報を取得する。ここで環境情報とは室温や湿度など生活空間に関する情報を指す。
【0109】
一実施形態として環境情報取得部170は、温度センサと湿度センサとを備える。他の実施形態では煙センサやガス漏れを検知するセンサを備えてもよい。温度センサはサーミスタを使用したものでも測温抵抗体を使用したものでもよくその他の方式のものでもよい。湿度センサは高分子抵抗を利用したものでも高分子容量を利用したものでもよくその他の方式でもよいが、電気信号として取り出せる電気式のセンサを使用する。
【0110】
温度センサや湿度センサは連続して室温や部屋の湿度を測定することも可能であるが、一般的にはこれらの環境情報は短時間で急激に変化することは少ないため所定の時間間隔で断続的に環境情報を取得するような構成としてもよい。
【0111】
また、時刻およびカレンダー情報をのせた標準電波を受信する電波受信センサ、および、気圧センサを備えてもよい。これらにより、時刻および天気という環境情報を取得することができる。
【0112】
第一の解析部180は、生体情報取得部140により取得された生体情報、および、記憶部150に記憶されたゲノム情報に基づいて、対象ユーザの健康状態を解析する。すなわち、第一の解析部180は、AI基盤としてAIが上記利用者の健康状態を解析する。
【0113】
第一の解析部180は、特定の病気の発症との関連性が高い要因の学習データをもっており、利用者の遺伝子的に発症する可能性の高い病気の発症前の傾向が、利用者の生体情報に見られるかを解析する。
【0114】
そして、第一表示部130は、生体情報取得部140により取得された生体情報の少なくとも一部、および、環境情報取得部170により取得された環境情報の少なくとも一部を表示する。
【0115】
また、図5に示したように、第一の情報処理装置100は、筐体106および当該筐体106の正面に設けられたディスプレイ107で構成され、第一表示部130は、ディスプレイ107に表示を行うものとすることができる。
【0116】
また、本開示における情報処理システム1000は、さらに、第一の情報処理装置100と接続された生体情報取得装置500を備え、生体情報取得部140は、生体情報取得装置500により測定された対象ユーザの生体情報を取得するものとすることができる。
【0117】
また、本開示における一又は複数のコンピュータプロセッサは、さらに、第一音声出力部を有することができる。第一音声出力部は、第一の装置が有するものとしてもよいし、第一の情報処理装置100が有するものとしてもよい。かかる第一音声出力部は、第一血圧値を読み上げる機能を有し、目の不自由なユーザなど、ディスプレイに表示された文字を読むことが困難なユーザに対しても第一血圧値を知らせることができる。
【0118】
同様に、第二の装置および/または第二の情報処理装置300が第一音声出力部と同様の機能を有する第二音声出力部を有するものとしてもよい。
【0119】
以上、上述した従来技術の課題の少なくとも一部を解決又は緩和する技術的な改善を提供することが可能な情報処理システムについて説明を行った。
【0120】
続いて、本開示における情報処理方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0121】
本開示における情報処理方法は、一又は複数のコンピュータプロセッサを備える情報処理システム1000における情報処理方法である。
【0122】
上記情報処理システム1000は、図1等に示されたように、第一の電極を有する第一の装置210および第二の電極を有する第二の装置220を含む測定装置200と、測定装置200と接続可能な第一の情報処理装置100とを備え、対象ユーザが一方の手で第一の装置210を担持し、他方の手で第二の装置220を担持することにより対象ユーザの心電信号を測定することができるものである。これら装置の詳細については上述したとおりである。
【0123】
そして、本開示における情報処理方法は、一又は複数のコンピュータプロセッサに、図10に示される受信ステップS110、処理ステップS120および表示ステップS130を実行させる。
【0124】
受信ステップS110は、測定装置200を用いて測定された対象ユーザの心電信号を受信する。かかる受信ステップS110は、上述した第一受信部110または第二受信部310により実行されることができる。第一受信部110および第二受信部310の詳細については上述したとおりである。
【0125】
処理ステップS120は、受信ステップS110において受信された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する。かかる処理ステップS120は、上述した第一処理部120または第二処理部320により実行されることができる。第一処理部120および第二処理部320の詳細については上述したとおりである。
【0126】
表示ステップS130は、処理ステップS120において推定された血圧値に基づく第一血圧値を表示する。かかる表示ステップS130は、上述した第一表示部130または第二表示部340により実行されることができる。第一表示部130および第二表示部340の詳細については上述したとおりである。
【0127】
以上の構成によれば、上述した従来技術の課題の少なくとも一部を解決又は緩和する技術的な改善を提供することができる。
【0128】
続いて、本開示における情報処理装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0129】
本開示における情報処理装置は、第一の電極を有する第一の装置210および第二の電極を有する第二の装置220を含む測定装置200と接続可能な情報処理装置(第一の情報処理装置100または第二の情報処理装置300)である。
【0130】
そして、上記情報処理装置は、図11に示されるように、受信部111、処理部121および表示部131を有する。
【0131】
受信部111は、測定装置200を用いて測定された対象ユーザの心電信号を受信する。かかる受信部111は、上述した第一受信部110または第二受信部310に相当する。第一受信部110および第二受信部310の詳細については上述したとおりである。
【0132】
処理部121は、受信部111により受信された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する。かかる処理部121は、上述した第一処理部120または第二処理部320に相当する。第一処理部120および第二処理部320の詳細については上述したとおりである。
【0133】
表示部131は、処理部121により推定された血圧値に基づく第一血圧値を表示する。かかる表示部131は、上述した第一表示部130または第二表示部340に相当する。第一表示部130および第二表示部340の詳細については上述したとおりである。
【0134】
以上の構成によれば、上述した従来技術の課題の少なくとも一部を解決又は緩和する技術的な改善を提供することができる。
【0135】
続いて、本開示における測定装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0136】
本開示における測定装置は、図3で示したように、第一の電極および第一の通信部を有する第一の装置210と、第二の電極および第二の通信部を有する第二の装置220とを含み、情報処理装置(第一の情報処理装置100および/または第二の情報処理装置300)と近距離無線通信により接続可能な測定装置200である。
【0137】
そして、対象ユーザが一方の手で第一の装置210を担持し、他方の手で第二の装置220を担持することにより対象ユーザの心電信号を測定可能である。
【0138】
上記情報処理装置は、測定装置200により測定された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する。
【0139】
以上の構成によれば、上述した従来技術の課題の少なくとも一部を解決又は緩和する技術的な改善を提供することができる。
【0140】
最後に、本開示におけるコンピュータプログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0141】
本開示におけるコンピュータプログラムは、第一の電極を有する第一の装置210および第二の電極を有する第二の装置220を含む測定装置200と接続可能な情報処理装置(第一の情報処理装置100および/または第二の情報処理装置300)が備える一又は複数のコンピュータプロセッサに、受信機能、処理機能および表示機能を実現させる。
【0142】
受信機能は、測定装置200を用いて測定された対象ユーザの心電信号を受信する。かかる受信機能は、上述した第一受信部110または第二受信部310により実現されることができる。第一受信部110および第二受信部310の詳細については上述したとおりである。
【0143】
処理機能は、受信機能により受信された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する。かかる処理機能は、上述した第一処理部120または第二処理部320により実現されることができる。第一処理部120および第二処理部320の詳細については上述したとおりである。
【0144】
表示機能は、処理機能により推定された血圧値に基づく第一血圧値を表示する。かかる表示機能は、上述した第一表示部130または第二表示部340により実現されることができる。第一表示部130および第二表示部340の詳細については上述したとおりである。
【0145】
上記受信機能、処理機能および表示機能は、図12に示す受信回路1111、処理回路1121および表示回路1131により実現されることができる。受信回路1111、処理回路1121および表示回路1131は、それぞれ上述した受信部111、処理部121および表示部131により実現されるものとする。各部の詳細については上述したとおりである。
【0146】
以上の構成によれば、上述した従来技術の課題の少なくとも一部を解決又は緩和する技術的な改善を提供することができる。
【0147】
また、上述した実施形態に係るサーバ装置又は端末装置として機能させるために、コンピュータ又は携帯電話などの情報処理装置を好適に用いることができる。このような情報処理装置は、実施形態に係るサーバ装置又は端末装置の各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、情報処理装置の記憶部に格納し、情報処理装置のCPUによって当該プログラムを読み出して実行させることによって実現可能である。
【0148】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0149】
また、実施形態に記載した手法は、計算機(コンピュータ)に実行させることができるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD、MO等)、半導体メモリ(ROM、RAM、フラッシュメモリ等)等の記録媒体に格納し、また通信媒体により伝送して頒布することもできる。なお、媒体側に格納されるプログラムには、計算機に実行させるソフトウェア手段(実行プログラムのみならずテーブルやデータ構造も含む)を計算機内に構成させる設定プログラムをも含む。本装置を実現する計算機は、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、また場合により設定プログラムによりソフトウェア手段を構築し、このソフトウェア手段によって動作が制御されることにより上述した処理を実行する。なお、本明細書でいう記録媒体は、頒布用に限らず、計算機内部あるいはネットワークを介して接続される機器に設けられた磁気ディスクや半導体メモリ等の記憶媒体を含むものである。記憶部は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。
【符号の説明】
【0150】
1000 情報処理システム
100 第一の情報処理装置
110 第一受信部
120 第一処理部
130 第一表示部
200 測定装置
210 第一の装置
220 第二の装置
300 第二の情報処理装置
310 第二受信部
320 第二処理部
330 第二補正部
340 第二表示部
400 サーバ装置
【要約】
【課題】 血圧測定における利便性を向上させる。
【解決手段】 本開示における情報処理システムは、第一の電極を有する第一の装置および第二の電極を有する第二の装置を含む測定装置と、測定装置と接続可能な第一の情報処理装置とを備え、対象ユーザが一方の手で第一の装置を担持し、他方の手で第二の装置を担持することにより対象ユーザの心電信号を測定可能な情報処理システムであって、情報処理システムは、一又は複数のコンピュータプロセッサを備え、一又は複数のコンピュータプロセッサは、測定装置を用いて測定された対象ユーザの心電信号を受信する第一受信部と、第一受信部により受信された対象ユーザの心電信号を解析することにより対象ユーザの血圧値を推定する第一処理部と、第一処理部により推定された血圧値に基づく第一血圧値を表示する第一表示部とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12