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特許7197962周波数変調される調整可能結合素子を介する一次遷移を伴う高速量子ゲート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】周波数変調される調整可能結合素子を介する一次遷移を伴う高速量子ゲート
(51)【国際特許分類】
   G06N 10/20 20220101AFI20221221BHJP
   G06N 10/40 20220101ALI20221221BHJP
【FI】
G06N10/20
G06N10/40
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020543962
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 EP2019054931
(87)【国際公開番号】W WO2019179740
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】15/927,502
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】モル、ニコラージュ
(72)【発明者】
【氏名】エッガー、ダニエル、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ガンツホーン、マーク
(72)【発明者】
【氏名】フューラー、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フォン ザーリス、ジアン
【審査官】石川 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0230050(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0193388(US,A1)
【文献】特表2019-508876(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0212860(US,A1)
【文献】特表2019-506734(JP,A)
【文献】MCKAY David C. et al.,UNIVERSAL GATE FOR FIXED-FREQUENCY QUBITS VIA A TUNABLE BUS,PHYSICAL REVIEW APPLIED,2016年12月12日,Vol.6, No.6,pp.064007/1-10,<DOI: 10.1103/PhysRevApplied.6.064007>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 10/00-10/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子処理デバイスを動作させる方法であって、
2つの一次エネルギー遷移を駆動するように調整可能カプラの周波数を変調することを含み、
前記量子処理デバイスは、前記調整可能カプラに結合される少なくとも2つの固定周波数量子回路を備え、前記調整可能カプラの前記周波数は前記量子処理デバイスにおいて少なくとも2つの選択的にアドレス可能なエネルギー遷移を駆動するように変調動作可能であり、
前記方法はさらに、
前記2つの一次エネルギー遷移を駆動するように前記調整可能カプラの前記周波数を変調することに応じて、前記少なくとも2つの固定周波数量子回路のうちの1つの第1の励起を引き起こし、それにより前記第1の励起を少なくとも部分的に前記調整可能カプラを介して前記少なくとも2つの固定周波数量子回路のうちの少なくとももう1つに移動させることを含み、
前記調整可能カプラの前記周波数は、
第1の遷移を駆動することにより、前記少なくとも2つの固定周波数量子回路のうちの前記1つの第1の励起を少なくとも部分的に前記調整可能カプラに移動させるような、第1の周波数、および
少なくとも1つの第2の遷移を個別に駆動することにより、前記第1の励起を少なくとも部分的に前記調整可能カプラから前記少なくとも2つの固定周波数量子回路のうちの前記少なくとももう1つにさらに移動させるような、前記第1の周波数とは異なる少なくとも1つの第2の周波数
において変調され、
前記第1の遷移および前記少なくとも1つの第2の遷移のそれぞれは一次エネルギー遷移である、量子処理デバイスを動作させる方法。
【請求項2】
前記調整可能カプラの前記周波数が、最初に前記第1の周波数において変調されて前記第1の遷移を駆動し、続いて前記少なくとも1つの第2の周波数において変調されて前記第1の遷移の後に前記少なくとも1つの第2の遷移を駆動する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記調整可能カプラの周波数は、前記第1の周波数および前記少なくとも1つの第2の周波数において、随伴的に変調されて、前記第1の遷移および前記少なくとも第2の遷移を随伴的に駆動する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記一次エネルギー遷移が、前記調整可能カプラに高調波マイクロ波信号を与えることによって駆動され、前記調整可能カプラの前記周波数を変調するように前記高調波マイクロ波信号が変調されることによって、前記第1の遷移および前記少なくとも1つの第2の遷移が駆動される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記量子処理デバイスが、それぞれが前記調整可能カプラに結合される、少なくとも3つの固定周波数量子回路をさらに備え、
前記調整可能カプラの前記周波数が、前記第1の遷移を駆動するように前記第1の周波数で随伴的に変調され、また、2つ以上の第2の遷移をそれぞれ随伴的に駆動するように2つ以上の第2の周波数で随伴的に変調されることにより、励起が少なくとも部分的に前記調整可能カプラから前記少なくとも3つの固定周波数量子回路のうちの2つ以上の他のものに移動し、前記2つ以上の第2の遷移のそれぞれが一次エネルギー遷移である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも3つの固定周波数量子回路の多者間もつれ状態を達成するように、前記調整可能カプラに与えられる信号の振幅および位相を適切に設定することをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記2つ以上の第2の遷移のそれぞれは、赤方サイドバンド遷移である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記調整可能カプラの前記周波数が、前記少なくとも2つの固定周波数量子回路の状態に基づいてゲートのユニバーサル・セットを実装するように変調され、
前記ゲートのユニバーサル・セットが前記調整可能カプラの状態に基づいていない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
iSWAPゲート、c-Phaseゲート、Fredkinゲート、およびSWAPゲートの平方根からなる群より選択される1つまたは複数を達成するように、前記調整可能カプラに与えられる信号の振幅および位相を設定することをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも2つの固定周波数量子回路と、
前記少なくとも2つの固定周波数量子回路が結合される調整可能カプラと、
請求項1ないし9のいずれかに記載の方法を実施するように構成されるコントローラと
を備える、量子処理デバイス。
【請求項11】
少なくとも2つの固定周波数量子回路、および
前記少なくとも2つの固定周波数量子回路が結合される調整可能カプラ
を各セルが備える、複数のセルと、
請求項1ないし9のいずれかに記載の方法を実施するように構成される、コントローラ・システムと、
を備える、量子処理チップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に量子処理デバイスおよびその動作の分野に関し、より詳細には周波数調整可能(tunable)カプラに結合される固定周波数量子回路(例えば、超電導量子ビット)を有する量子処理デバイス、ならびに関連デバイスを動作させることに関する。
【背景技術】
【0002】
量子増強検出および量子コンピューティングにおける近年の進歩は、これらの技術を産業向け用途にさらに関連付けるものにしている。量子検出および量子コンピューティングの両方は、重ね合わせおよびもつれなどの量子力学的現象を直接利用している。量子検出は、測定装置の精密さを増強することを目的としており、一方で量子コンピュータは、データのもつれに対する演算を行う。超電導回路は、現在の技術で製造することが比較的容易であるため、量子情報技術をさらに向上するための有望な候補である。今日、誤り訂正無しに限ると近い将来、数百の超電導量子ビットに基づいた小型の量子コンピュータが、従来のコンピュータでは扱いづらい量子システムをシミュレートできるようになることが想像され得る。
【0003】
量子システムのエンジニアリングにおける改善にも関わらず、超電導量子ビットは、コヒーレンス時間として知られている有限の寿命の間しか量子情報を記憶することができない。量子検出および量子コンピューティングの両方は、理想的には、高度にもつれたマルチ量子ビットの状態の、素早く信頼度の高い生成を必要とする。現在、そのような状態は、多くの2量子ビットのゲート演算を順次に実行することによってのみ準備することができ、その準備には量子ビットの相当な長さのコヒーレンス時間を消費する。さらには、実際には、状態の準備の持続時間が量子ビットの数と共に増加するために、この準備は使用することができる量子ビットの数を制限する。しかしながら、状態の準備の持続時間は、コヒーレンス時間よりもずっと短くなければならない。状態の準備の持続時間がコヒーレンス時間と同程度になると、システムはもはや動作することができない。より短時間の状態の準備により(例えば、同時に複数の量子ビットに作用してもつれを起こすゲートを使用して得られるような)、量子コンピュータまたは量子検出器が少ない誤りで動き、またより多数の量子ビットにスケールアップすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
超電導量子ビットの分野では、マルチ量子ビット、シングル・ステップの状態準備の問題は、これまではそれほど課題ではなかった。実際、研究されるシステムの規模は現在数量子ビットに限られ、また信用できる2量子ビットのもつれを起こすゲートは量子ビットのコヒーレンス時間に比べて短い。様々な他の可能な既存の実現のなかでも、とりわけ2量子ビット・ゲートが知られており、これらは量子ビットが周波数調整可能カプラ素子によって結合されるtransmon量子ビットで実装される。他の手法と対照的に、この実装は固定周波数の量子ビットの高コヒーレンスを利用しており、97%を上回る信頼度で、もつれた2量子ビット状態を生成する。しかしながら、ゲート・レートはなお、比較的遅い(数百ナノ秒)。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によると、本発明の実施形態は、請求項1で特許請求される量子処理デバイスを動作させる方法を提供する。
【0006】
本手法は、固定周波数回路の高コヒーレンス、および一次遷移によって可能となる短い動作時間を活用して、例えば高いゲート・レートを達成する。この手法は、特にいくつかの固定周波数量子ビットを単一の、短い動作内でもつれさせるために使用することができる。したがって、上述の方法は、より短い状態準備を得るために活用することができる。結果として、これは、量子コンピュータまたは量子検出器が少ない誤りで動き、またより多数の量子ビットにスケールアップすることを可能にする。
【0007】
本発明の実施形態では、調整可能カプラの周波数は2つの周波数で変調される。すなわち、カプラは、一方では、第1の遷移を駆動することにより、量子回路のうちの1つの励起を(少なくとも部分的に)調整可能カプラに移動させるように、第1の周波数で変調される。他方では、カプラは、1つまたは複数の第2の遷移を個別に駆動することにより、この励起を(少なくとも部分的に)調整可能カプラから量子回路のうちのもう1つにさらに移動させるように、1つまたは複数の第2の周波数(それぞれ第1の周波数とは異なっている)で変調される。第1および第2の遷移のそれぞれは、一次エネルギー遷移である。
【0008】
調整可能カプラの周波数は、最初に前記第1の周波数において変調されて第1の遷移を駆動することができ、続いて前記少なくとも1つの第2の周波数において変調されて第1の遷移の後に少なくとも1つの第2の遷移を駆動する。好ましくは(しかし必須ではない)、第1の遷移および少なくとも1つの第2の遷移を随伴的に(concomitantly)駆動するように、調整可能カプラの周波数が、前記第1の周波数および前記少なくとも1つの第2の周波数において随伴的に変調される。すなわち、演算速度を向上させるように、調整可能カプラが第2の周波数で変調される期間が、調整可能カプラが第1の周波数で変調される期間と少なくとも一部オーバラップする。随伴的な駆動を使用することにより、高いゲート・レート(例えば、10~100メガヘルツ(MHz)の範囲)と共に、それに対応する100ナノ秒(ns)~10ns範囲のゲート時間、すなわち単一量子ゲートと同程度の速さを達成することが可能である。結果として、単一のもつれのある演算を、10nsの場合がある短い時間内で達成することができる。
【0009】
調整可能カプラの周波数を変調する際、前記第1および第2の周波数での駆動は、断熱ホロノミック・ゲート変換を生成するように選択されたペースでスイッチ・オンすることができる。
【0010】
本発明の実施形態は、いわゆる「赤方サイドバンド遷移(red sidebandtransition)」に依拠しており、これは例えば調整可能カプラに与えられる高調波マイクロ波(harmonicmicrowave)信号として、容易に駆動することができる。特に興味深いことは、特定の励起状態|gg・・・,1〉を活用することである。すなわち、第1の周波数および第2の周波数のそれぞれは、量子処理デバイスの励起状態の対同士のエネルギーの差に相当する場合があり、励起状態のそれぞれの対は、この励起状態|gg・・・,1〉を含み、調整可能カプラの励起状態|1〉および量子回路のそれぞれの基底状態|g〉を伴うテンソル積として表現可能である。同じ励起状態|gg・・・,1〉が、第1および第2の周波数に相当するエネルギーの差のそれぞれに含まれるため、以下ではこの状態を「基準」励起状態|gg・・・,1〉と称する。
【0011】
例えば、第1の周波数および少なくとも1つの第2の周波数のそれぞれは、前記基準励起状態|gg・・・,1〉と励起状態|ab・・・,0〉とのエネルギーの差に相当する場合がある。励起状態|ab・・・,0〉は、調整可能カプラの基底状態|0〉および量子回路の状態|ab・・・〉を伴うテンソル積として表現可能である。状態|ab・・・〉自身、量子回路のうちの1つだけの励起状態|e〉および残りの量子回路のそれぞれの基底状態|g〉を伴うテンソル積として表現可能である。
【0012】
第1および第2の周波数が上で定義したようなエネルギーの差にそれぞれ「相当する」とは、そのような周波数がそのようなエネルギー差に等しい場合があること、または、変形例においては、そのようなエネルギーの差に近い場合があることを意味している。
【0013】
上で引き合いに出したように、一次エネルギー遷移は、調整可能カプラに高調波マイクロ波信号を与えることにより、駆動することができる。調整可能カプラの周波数を変調するように与えられる信号が変調されることによって、前記第1の遷移および前記少なくとも1つの第2の遷移が駆動される。
【0014】
本方法は、3つ以上の固定周波数量子回路を有する量子処理デバイスを動作させるように実装可能であることに注目されたい。この方法で、最初の励起を複数の量子回路に移動することができる。すなわち、量子処理デバイスは、少なくとも3つの固定周波数量子回路を備えることができる。やはり、それぞれの量子回路は調整可能カプラに結合される。調整可能カプラの周波数は、一方では第1の遷移を駆動するように第1の周波数で、また他方では2つ以上の遷移をそれぞれ随伴的に駆動するように2つ以上の第2の周波数で、随伴的に変調される。この方法で、励起を調整可能カプラから量子回路のうちの2つ以上の他のものに(やはり、少なくとも部分的に)移動させることができる。前記遷移のそれぞれは、高速演算を確実にするように、一次エネルギー遷移である。
【0015】
本明細書において説明されるような動作は、例えば量子回路の多者間もつれ状態(multipartiteentangled state)を達成するように、調整可能カプラに与えられる信号の振幅および位相を適切に設定することをさらに必要とする場合がある。本方法、ならびに本明細書に説明されるような量子処理デバイスは、1つまたは複数の量子ゲートを実装するように、特に動作させることができる。結果として、それぞれのゲートは、量子回路の1つまたは複数に対して動作することができる。しかしながら、調整可能カプラはコンピュータ用の量子ビットとして使用されるよう意図されていないため、そのような量子ゲートは調整可能カプラの状態に対しては(少なくとも有効には)動作しない。
【0016】
本発明の実施形態は、少なくとも2つの量子回路の状態に基づいて、ゲートのユニバーサル・セットを実装する。しかしながら、そのようなゲートは、上で言及したのと同様の理由で、調整可能カプラの状態に基づいていない。
【0017】
例えば、調整可能カプラに与えられる信号の振幅および位相は、iSWAPゲート、c-Phaseゲート、Fredkinゲート(CSWAPゲートとしても知られる)、SWAPゲートの平方根(一般的には
【数1】
と表記される)、またはそのようなゲートのあらゆる組合せを達成するように、そのような信号の周波数を変調することに先立って、または変調する間に、設定することができる。
【0018】
別の態様によると、本発明の実施形態は、請求項10で特許請求される量子処理デバイスを提供する。
【0019】
本方法と整合するように、コントローラは好ましくは(しかし必須ではない)、一方では、第1の遷移を駆動することにより、量子回路のうちの1つの励起を(少なくとも部分的に)カプラに移動させるように、第1の周波数で、他方では少なくとも1つの第2の遷移をそれぞれ駆動することにより、動作中、この励起を(少なくとも部分的に)カプラから量子回路のうちの少なくとももう1つにさらに移動させるように、少なくとも1つの第2の周波数(第1の周波数とは異なっている)で、カプラの周波数を変調するように構成される。やはり、第1の遷移および少なくとも1つの第2の遷移のそれぞれは、一次エネルギー遷移である。
【0020】
本発明の実施形態では、コントローラは、最初に第1の遷移を駆動するように、調整可能カプラに与えられる信号の周波数を前記第1の周波数で変調し、続いて、動作中、第1の遷移の後、少なくとも1つの第2の遷移を駆動するために、この周波数を前記少なくとも1つの第2の周波数で変調するようにさらに構成される。好ましくは(しかし必須ではない)、コントローラは、動作中、第1の遷移および少なくとも1つの第2の遷移を随伴的に駆動するように、調整可能カプラに与えられる信号を、前記第1の周波数および前記少なくとも1つの第2の周波数において随伴的に変調するように構成される。
【0021】
例えば、量子処理デバイスは、それぞれが調整可能カプラに結合される、少なくとも3つの固定周波数量子回路を備えることができる。この場合、コントローラは調整可能カプラの周波数を、一方では前記第1の遷移を駆動するように前記第1の周波数で、他方では2つ以上の第2の遷移を随伴的に駆動するように2つ以上の第2の周波数で、随伴的に変調するように構成される場合があり、それにより、動作中、励起を調整可能カプラから量子回路の少なくとも2つの他のものに(少なくとも部分的に)移動させることができる。やはり、前記第2の遷移のそれぞれは、一次エネルギー遷移である。
【0022】
特に、前記量子回路のそれぞれは、超電導量子回路である。特に、量子回路のそれぞれは、固定周波数のtransmon型量子回路の場合がある。調整可能カプラは、少なくとも2つの量子回路のそれぞれに、例えば容量結合される。
【0023】
本発明の実施形態では、調整可能カプラは、少なくとも2つの量子回路に結合するように、2つのジョセフソン接合を有する超電導量子干渉デバイス・ループにより分離されている2つの電極を備える。
【0024】
変形例では、調整可能カプラは、少なくとも2つの量子回路に結合するように、グラウンドに結合される超電導量子干渉デバイス・ループに伴う単一の電極を備える。
【0025】
別の態様によると、本発明の実施形態は、請求項14で特許請求される量子処理チップを提供する。
【0026】
次に、本発明の実施形態による量子処理デバイス、チップ、および方法を、非限定的な例として、また添付の図面を参照して、さらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態による、1つまたは複数の周波数調整可能カプラを含む、マルチ量子ビット結合アーキテクチャの例の、回路図である。
図2】本発明の実施形態による、周波数調整可能結合素子として構成される第3のtransmon量子ビットを介して結合された2つのtransmon型量子ビットを使用する、図1におけるようなマルチ量子ビット結合アーキテクチャについての例示のジオメトリである。
図3】本発明の実施形態による、1つまたは複数の周波数調整可能カプラを含む、マルチ量子ビット結合アーキテクチャの例の、回路図である。
図4】本発明の実施形態による、周波数調整可能結合素子として構成される量子ビットを介して結合された4つのtransmon型量子ビットを使用する、図3におけるようなマルチ量子ビット結合アーキテクチャについての例示のジオメトリである。
図5】本発明の実施形態による、1つまたは複数の周波数調整可能カプラを含む、マルチ量子ビット結合アーキテクチャの例の、回路図である。
図6】本発明の実施形態による、図1または図2におけるような、調整可能カプラに結合される2つの量子回路(例えば、コンピュータ用量子ビット)に関連付けられる量子状態、ならびに一次エネルギー遷移を描いた図である。
図7】本発明の実施形態による、この例では6つのtransmon量子ビットが結合され、また単一の駆動ラインを介して調整可能カプラ素子に高調波マイクロ波トーンが同時的に与えられる、調整可能カプラの周波数の変調の概略図である。
図8】本発明の実施形態による、もつれ状態を作り出すべく同時的に遷移が駆動される、図3の構成におけるような、調整可能カプラに結合される4つの固定周波数量子ビットに関連付けられた量子状態を描いた図である。
図9】本発明の実施形態による、一次エネルギー遷移が随伴的に駆動される、量子処理デバイスを動作させる方法の、高次のステップを示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態による、一次エネルギー遷移が順次に駆動されることを除いて図9のものに類似した方法のステップを示す別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態に関して、添付の図面はデバイスまたはその一部の簡略化された表現を示している。図面において同様の、または機能的に同様の要素には、そうではないと示されない限り、同一の符号が割り当てられている。
【0029】
図1図10を参照すると、まず本発明の実施形態の態様が説明されており、量子処理デバイス1、3、4を動作させる方法に関している。図2および図4に描かれている技術的な特徴は、必ずしも縮尺通りではない。この量子処理デバイス1、3、4は、すべての事例において少なくとも2つの固定周波数量子回路11~14、1n、および調整可能カプラ20を備えるものと仮定する。調整可能カプラ20は、周波数調整可能結合素子として機能する。量子回路は、それぞれ、調整可能カプラ20に結合される。本発明の実施形態にしたがって本方法を実装する目的として、調整可能カプラ20の周波数は、デバイス1、3、4において選択的にアドレス可能なエネルギー遷移を駆動するために変調することができることが、さらに仮定される。
【0030】
一貫して、そのような方法は一般的に、2つの一次エネルギー遷移を駆動するために(図9図10のフローチャートのステップS30、S30a、S30b参照)、調整可能カプラ20の周波数を変調すること(S20、S20a、S20b)を中心としている。これはさらに、量子回路11~14、1nのうちの1つの励起が、調整可能カプラ20を介して、量子回路11~14、1nのうちの少なくとももう1つに、少なくとも一部移動されるように実行される(S40、S40a、S40b)。
【0031】
その目的のため、コントローラ32(例えば、1つもしくは複数の制御ライン30として実現することができるか、または1つもしくは複数の制御ライン30を含むか、あるいはその両方)に依拠して、システムのコンポーネントに高調波マイクロ波信号(すなわち、コヒーレントなマイクロ波トーン)を与えて所望の遷移をトリガすることができる。これは、与えられる信号の振幅および位相を、その周波数を変調することに加え、調整することを特に必要とする場合がある。
【0032】
量子回路11~14、1nのそれぞれは、典型的には量子ビット11~14、1nとして使用することができる非線形量子回路である。「非線形」により、量子回路の少なくとも2つの異なるエネルギー準位(すなわち、異なるエネルギー)をアドレスすることができることを意味している。しかしながら、固定周波数量子回路はまた、例えば高調波発振器でもあり得る。
【0033】
本手法によると、量子回路11~14、1nのうちの1つの励起は、調整可能カプラ20を介して別の量子回路に、少なくとも一部移動される。本明細書において使用される場合「少なくとも一部移動される」などの用語法は、本発明の実施形態では励起が場合により完全に移動される場合があり、この場合、励起が、ある量子回路から別の量子回路に完全にスワップされることを意味している。しかしながら、本発明の他の実施形態では、この励起は、明確な、所定の確率でさらに移動されることがあり、確率は1未満(かつ0よりずっと大きい)である。この励起の部分的な移動により、もつれ状態が作り出され、励起は量子回路11~14、1n間で共有される。対照的に、完全な移動により、励起はスワップされる。断りのない限り、本明細書において想起される励起の移動は、部分的または完全な移動に相当することがある。
【0034】
本方法はすべて一次遷移に依拠し、より効率的な処理を可能にする。例えば、後に詳細に説明するような、いわゆる赤方サイドバンド・エネルギー遷移が想定され得る。
【0035】
そのような遷移は、より容易にアドレス可能となるように、エネルギーが互いに異なる量子回路の励起状態を含む。例えば、その場合、調整可能カプラ20の周波数は、量子処理デバイス1、3、4で所望の遷移を駆動するように、対応する周波数で変調する必要がある。その目的のため、適切な周波数を特定して、例えば制御ライン30を通じて、与える必要がある。
【0036】
変形した実装形態では、関与する量子回路の励起状態は、近いエネルギーを有することができるか、または同一のエネルギーを有することさえある。例えば、異なる回路は、近いか、または同一のエネルギーの励起状態を有することができる。その場合、エネルギー遷移信号は、何らかの他の手段を使用して、選択的にターゲットとされる必要がある。例えば、同一のエネルギーを有して、同時にすべての遷移を駆動することも可能である。典型的には、そのような場合に起こることは、最終状態が、個々の回路の結合によって与えられる重みで、最初の状態と全量子回路の重ね合わせ状態との間で振動することである。一定のゲートを達成するために、例えば、結合は、設計時にセットされるか、または調整可能となされるか、のいずれかでなければならない。本事例では、異なる周波数が使用されるかのように、所望の一次の、エネルギー遷移を駆動するように、与えられる信号の振幅または位相あるいはその両方を選ぶことができる(この場合、クロストーク問題により、そのプロセスが若干損なわれるが、問題ではない)。
【0037】
少なくとも1つの調整可能カプラ20が含まれる。さらに、図5を参照して後述する本発明の実施形態のように、例えば、それぞれのセルが1つのカプラおよび2つ以上の量子回路を含むセルの配列においてなど、2つ以上の調整可能カプラが場合によっては必要とされる場合がある。一般に本処理デバイス1、3、4は、量子回路およびカプラの多数の配列を備えることができる。そのようなデバイスは、一般に、量子増強検出デバイスまたは量子コンピューティング・デバイスとして具体化され得る。
【0038】
本「量子回路」11~14、1nは、コンピュータ用量子ビットとして使用されることを意図されている(それに応じて以下ではしばしば「量子ビット」と称される)。これに反して、後で例示するように、カプラ20が量子ビットとして具体化できるとしても、調整可能カプラ20はコンピュータ用量子ビットとして使用されることを意図されていない。むしろ、カプラ20の役割は、所望の遷移を達成するために、単に量子回路に結合することである。
【0039】
2つの量子ビット間の相互作用、または1つの量子ビットと1つの共振器との相互作用に依拠する最新の方法が既知である。しかしながら、本アーキテクチャは、本発明の実施形態による調整可能カプラに結合される少なくとも2つの量子ビットを含む。さらになお、本カプラ20は調整可能な周波数を有し、量子処理デバイス1、3、4によってコンピュータ用量子ビットとして使用されるよう意図されていない。これに反して、コンピュータ用の量子回路のそれぞれ(例えば、量子ビット)11~14、1nは、固定周波数を有している(したがって、調整可能ではない)。理解されるように、これはデバイス1、3、4が磁束ノイズ(flux-noise)に対してあまり敏感にならないようにしている。そのように、固定周波数デバイスのより長いコヒーレンス時間は、例えば、より長い、またはより複雑な、あるいはその両方のアルゴリズムを実装するために、有利に利用され得る。
【0040】
本手法により、調整可能カプラの周波数を適切に変調することによって、励起を2つ以上のカップリングされた量子ビット間でスワップすることができるか、またはカップリングされた量子ビットのうちの1つから別のものに一部移動することができる。一次エネルギー遷移を伴うため、本手法は特に、単一の、短い動作で、複数の固定周波数量子ビットをもつれさせることができる。この手法は、特に励起を(i)ある量子回路からカプラに、(ii)カプラから他の量子回路に、随伴的に移動するために使用することができ、これは演算速度の観点から非常に優れた利点を有する。適切なパルス形状(例えば、同一の振幅を有している)でこれを行うことは、ある量子ビットから他のものへ励起を移動させることになり、調整可能カプラ20がポピュレートされないままである。さらに、所望の遷移を他の量子ビットへ同時的に駆動することにより、単一の量子ビット-カプラの移動と同程度に速く、2ステップの動作を完了することができる。
【0041】
駆動の適切な周波数、振幅、位相パルスを選ぶことにより、様々なマルチ量子ビット状態の励起を作り出すことができる。固定周波数の量子ビットの高コヒーレンスが活用されるだけでなく、加えて、随伴的な駆動により、高いゲート・レート(例えば、10~100MHzの範囲)と共に、それに対応する10ns~100nsの範囲のゲート時間、すなわち単一量子ビット・ゲートと同程度の速さを達成することが可能である。換言すると、単一のもつれのある動作を、場合により10ns内で達成することができる。
【0042】
したがって、本手法は特に、より短い状態準備時間を可能にするために使用することができる。結果として、これは、量子コンピュータまたは量子検出器が少ない誤りで動き、またより多数の量子ビットにスケールアップすることを可能にする。
【0043】
これらの態様および関連する利点のすべてを、本発明の特定の実施形態を参照して、以下で詳細に議論する。
【0044】
図9図10のフローチャートを特に参照して、調整可能カプラ20の周波数は、本発明の実施形態では、2つの周波数で変調される(S20、S20a、S20b)。すなわち、カプラは、一方で第1の遷移を駆動するように(S30、S30a)、第1の周波数で変調される。これは、量子回路11~14、1nのうちの1つの励起を調整可能カプラ20へ移動することにつながる。他方では、カプラ20は、1つまたは複数の第2の遷移を個別に駆動するように(S30、S30b)、1つまたは複数の第2の周波数(第1の周波数とは異なっている)で変調される。変調周波数は、実際の遷移周波数、またはそれに近いものであるべきである。この方法で、調整可能カプラに移動された励起は、調整可能カプラ20から残りの量子回路11~14、1nの残りのうちの1つまたは複数にさらに移動され得る。
【0045】
やはり、演算の速度を確実にするように、依拠される第1の、および1つまたは複数の第2の遷移のそれぞれは、一次エネルギー遷移である。対照的に、高次のエネルギー遷移は完了するためにより長い時間を必要とするため、これはあまり可能性がない。
【0046】
図10に示されるように、プロセスには2つの連続的な遷移が含まれ得る。すなわち、調整可能カプラ20の周波数は、最初に(第1の遷移を駆動するために(S30a))第1の周波数で変調することができる(S20a)。そして、第1の遷移の後、第2の遷移を個別に駆動するように(S30b)、カプラ20は続いて1つまたは複数の第2の周波数で変調される(S20b)。ここで、2つの連続的な遷移の間には、一定の時間ギャップが含まれる。そのような手法により、与えられる信号を容易に制御することが可能であるが、対応するゲート時間に影響がある。
【0047】
ここで、驚くべきことに、本発明者らが理解してきたように、随伴的な駆動を使用することにより、同様の効果を達成することができる。したがって、図9に示されるような特定の実装形態において(好ましい場合があるが、必須ではない)、2つの駆動が、時間的にオーバラップする。換言すると、2つの遷移を駆動するために使用される変調が、動作時間を短縮するように、随伴的に適用される。ここで「随伴的」とは、調整可能カプラが第2の周波数で変調される期間が、調整可能カプラが第1の周波数で変調される期間と少なくとも一部オーバラップすることを意味している。変調は、移動を加速するために、同時的に与えることすらできる。
【0048】
すなわち、調整可能カプラ20の周波数は、第1の遷移および1つまたは複数の第2の遷移を随伴的に(または、同時的に)駆動する(S30)ように、第1の周波数および1つまたは複数の第2の周波数で随伴的に(または、同時的に)変調することができる(S20)。そのような動作モードは、いくつかの量子回路11~14、1nの高速の多者間もつれを作り出すために特に有利である。2つ以上の周波数における随伴的な(例えば、同時的な)変調は、量子ビットと調整可能カプラ20との間の集合的な、共鳴的な相互作用をもたらす場合がある。
【0049】
実際は、図9および図10に描かれている動作(S20~S40(またはS20a~S40a))は、繰り返し実施され(S50~S10)、それぞれのサイクルは、量子処理システムの状態を修正することを目的としている。これは、典型的には、調整可能カプラ20に、例えばコントローラ32および制御ライン30を介して、高調波マイクロ波信号(すなわち、コヒーレントなトーン)を与えることにより達成される(S10)。調整可能カプラ20の周波数を変調するために(S20、S20a、S20b)、与えられる信号それ自身が変調される。これは、結果として所望の一次遷移を駆動することを可能にする(S30、S30a、S30b)。
【0050】
コントローラのレベルにおいて、与えられる信号にタイマを関連付けてもよい。サイクルの最後に、与えられる信号が中断され(S50)、次いでコントローラ32によって決定されるように新しいサイクルが開始することができる(S10)。
【0051】
先に言及したように、好ましくは(しかし必須ではない)赤方サイドバンド遷移が関与し、それにより、そのような遷移が、調整可能カプラの周波数に対応するエネルギー差よりそれぞれ小さいエネルギー差に相当する。関与する第1および第2の遷移のそれぞれは、図6および図8で仮定したように、一次の、赤方サイドバンド遷移であり得る。一次遷移によって、二次またはより高次の遷移に比べて、演算時間およびプロセス効率を改善することができる。これは、次に説明するような、特定の励起状態を活用することにより、達成することができる。すなわち、調整可能カプラ20が変調されるそれぞれの周波数は、量子処理デバイスの励起状態の対同士のエネルギーの差に相当する。さらになお、励起状態のそれぞれの対は、本発明の実施形態では、回路11~14およびカプラ20によって構成されるシステムの同一の励起状態を含む。基準励起状態と称される、この「同一の」励起状態は、調整可能カプラ20の励起状態|1〉より生ずる。この基準励起状態は|gg・・・,1〉と書かれる。換言すると、基準励起状態は、調整可能カプラ20(例えばその第1の励起状態)の励起状態|1〉と、量子回路11~14のそれぞれの基底状態|g〉とのテンソル積として表現可能である。
【0052】
それぞれの周波数は、例えばこの基準励起状態|gg・・・,1〉と、|ab・・・,0〉と書かれる別の励起状態とのエネルギーの差に相当する場合があり、量子回路11~14のうちの1つ(のみ)の励起状態|e〉から生ずる。換言すると、状態|ab・・・,0〉は、この時、調整可能カプラ20の基底状態|0〉と量子回路11、12、・・・などの状態|ab・・・〉とのテンソル積として表現可能である。すなわち、
【数2】
である。次に、|ab・・・,0〉は量子回路11、12、・・・などのうちの厳密に1つの励起状態|e〉と、残りの量子回路11、12、・・・などのそれぞれの基底状態|g〉を含む。換言すると、状態|a〉、|b〉,・・・などのうちの1つだけが積
【数3】
などにおける励起状態|e〉に相当する。
【0053】
例えば図1および図2のような2つの量子回路11、12(コンピュータ用量子ビットQ1、Q2)に基づく単純なアーキテクチャを考える。対応する準位ダイアグラムを図6に示す。それぞれの変調周波数は、ωge1およびωge2は個々のエネルギー差に相当するが、それにもかかわらず基準励起状態|gg,1〉を含む。第1の変調周波数ωge1は、|gg,〉のエネルギーと励起状態|eg,0〉のエネルギーとの差に相当し、後者は1つだけの励起状態|e〉、すなわち、第1の量子回路(回路11、またはQ1)の励起状態を含む。一貫して、第2の変調周波数ωge2は、|gg,〉のエネルギーと励起状態|ge,0〉のエネルギーとの差に相当し、他方の量子回路(Q2)の励起状態|e〉のみを含む。調整可能カプラの周波数ωtcは、カプラの励起状態|1〉と基底状態|0〉とのエネルギーの差によって決定される。
【0054】
より一般的には、3つ以上の回路11、12、・・・などが関与する場合、含まれる基準励起状態は|gg・・・,1〉であり、一方で他の励起状態、すなわち、|ge・・・,0〉、|eg・・・,0〉、・・・などは、基本の量子回路11、12、・・・などの第1の励起状態から生じ、なお同時に1つの(また、1つだけの)励起を含んでいる。換言すると、量子回路のサブ状態のセット{a,b,・・・}のそれぞれの要素は、個々の量子回路の励起状態|e〉または基底状態|g〉に相当する。量子回路のうちの所与の1つの、厳密に1つの励起状態が含まれるため、他の量子回路は自身の基底状態にある。
【0055】
上述のような励起状態、および量子回路の適切な結合に基づき、一次の、赤方サイドバンド・エネルギー遷移を達成することができ、これはコヒーレントなマイクロ波トーンを与えることによって容易にトリガすることができる。図1図5を参照して後に議論するように、カプラの周波数を変調するように、SQUIDループを貫通する電流、そして続いて磁場を作り出す、例えば(同軸、マイクロ波)ケーブルとして実現されるコントローラのおかげでコヒーレントなマイクロ波トーンを与えることができる。
【0056】
先に定義したように、第1および第2の周波数がエネルギーの差にそれぞれ「相当する」とは、そのような周波数がそのようなエネルギー差に等しい場合があること、または、変形例においては、そのようなエネルギーの差に近い(そして、所望の遷移が起こるために十分近い)場合があることを意味している。すなわち、可能な遷移の駆動は、共鳴であり得る(すなわち、エネルギー差が駆動周波数に一致する)か、またはオフ共鳴であり得る(すなわち、エネルギーが駆動周波数から僅かにずれている)。いわゆる「誘導ラマン断熱通過(STIRAP)」スキームにおけるように、僅かにオフ共鳴の周波数に依拠することは、オフ共鳴の周波数が遷移を駆動するために利用されるため、基準励起状態のポピュレートを回避する結果となる。
【0057】
固定周波数量子回路の単一対を含むシステムを上回って、本方法は、図7または図8に図示されるように、有利には、3つ、4つ、またはさらに多くの固定周波数量子回路を備える量子処理デバイス3に適用することができる。やはり、固定周波数量子回路11、12、13、・・・などのそれぞれは、周波数調整可能カプラ20に結合される必要がある。上述の方法と一貫して、調整可能カプラの周波数ωtcは、一方では(第1の遷移を駆動して励起を回路のうちの1つから調整可能カプラに移動するように(S30))第1の周波数で、他方では2つ以上の第2の遷移を個別に随伴的に変調するように(S30)、2つ以上の第2の周波数で、随伴的に変調することができる(S20)。この方法で、励起は調整可能カプラ20から量子回路のうちの2つ以上の他のものに移動することができる(S40)。やはり、前記第2の遷移のそれぞれは、一次エネルギー遷移、好ましくは上で議論したような赤方サイドバンド遷移である。
【0058】
図7で図示されるように、この手法は特にN個の固定周波数超電導transmon量子ビットを、単一の短い動作でもつれさせるために使用することができる。一般的な調整可能結合素子は、例えば周波数調整可能な、超電導量子ビット、すなわち、SQUIDループとして具体化することができる。図7でさらに描かれるように、コンピュータ用量子ビット同士のもつれ状態は、コヒーレントなマイクロ波トーン(波状矢印)を単一の駆動ラインを介して調整可能カプラに同時的に与えることによって単一ステップで作り出すことができる。
【0059】
例えば、図8に図示されるように、赤方サイドバンド遷移は、調整可能カプラの周波数を、調整可能カプラの励起状態|gggg,1〉と量子ビット1の励起状態|eggg,0〉との間の異なる周波数でセットされたコヒーレントなマイクロ波トーンで変調することによって誘導され得る。この遷移は、励起を量子ビットから調整可能カプラに、例えば(時間依存の)レートΩ1で移動する。調整可能カプラを、|gggg,1〉と残りの量子ビットから生ずる第1の励起状態との間の異なる周波数でセットされた追加的なコヒーレントなマイクロ波トーンで同時的に変調することにより、この励起は、次いですべての量子ビット間で共有することができる。得られる量子状態は、もつれが複数の量子ビット間で共有される多者間もつれ状態である。
【0060】
図8の例では、調整可能な結合素子は、すべてのコンピュータ用の、transmon量子ビットに容量結合すると仮定される。結果として、赤方サイドバンド遷移のゲート・レートΩiは、transmon量子ビットと調整可能カプラとの間の(容量)結合のオーダーとなる。これは、一次遷移に依拠するものとすれば、ゲート・レートが100MHz程度の速さとなることを可能とする。
【0061】
すべての赤方サイドバンド遷移を同時的に駆動することにより(図8の量子ビット1、量子ビット2、量子ビット3、および量子ビット4)、多者間もつれ状態を10ns内で、すなわち、単一の量子ビット動作と同程度の速さで、実現することができる。固定周波数のtransmon量子ビットの高コヒーレンスの見地から、そのようなもつれたマルチ量子ビット状態が、非常に高い信頼度でさらに生成される(一体化(unity)に近づく)。結果として、本手法は、本発明の実施形態により、(背景技術セクションで議論したような)順次的な状態準備より生ずる問題を軽減するために使用することができる。したがって、この手法により、長く、複雑なアルゴリズムを固定周波数量子ビットのコヒーレンス時間内に実装することができる。
【0062】
興味深いことに、ここで提案される手法は、調整可能カプラとtransmon量子ビットとの間の、任意の周波数差に適用可能である。これは、調整可能カプラとtransmon量子ビットとの間のより大きい周波数差(>1GHz)が不可欠となるか、または1GHz未満の周波数範囲で特に顕著となる周波数混雑の特定の問題に対処するために使用される場合に、特に魅力的である。
【0063】
先に議論したように、本明細書において企図されるようなゲート演算は、所望の一次遷移をトリガするために、周波数を変調することに加えて、調整可能カプラ20に与えられる信号の適切に設定された振幅および位相をさらに要求する場合がある。注意深く選択された振幅および位相を用いて、残りの量子ビットから生ずる追加的な励起状態をポピュレートするように、残りのN-1量子ビットとカプラとの間の異なる周波数で同時的に駆動することができる。この方法で、最初の励起をすべての量子ビット間で共有することができ、これは多者間もつれ状態を達成するために活用される(S20~S40)。
【0064】
実際的には、量子ゲートを実装するように、本明細書において説明される動作(例えば、図9図10のステップS20、S20a、S20b)を遂行することができる。本発明の実施形態のコンテキストにおいては、様々なタイプの量子ゲートを想定することができる。最低でも、本手法は、量子回路11~14、1nのうちの少なくとも1つに対して可逆的に動作する量子ゲートを実装するために活用することができる。換言すると、このゲートは、ユニタリ行列により記述することができる。さらになお一般的には、あらゆるサブセットの状態に対して、または量子回路11~14、1nのすべての状態に対してでさえ動作する量子ゲートを実装することができる。しかしながら、ここでは調整可能カプラはコンピュータ用の量子ビットとして動作させられるよう意図されていないため、そのような量子ゲートは調整可能カプラ20に対しては効果的に動作しない。
【0065】
ゲートが、カプラに対してではなく、量子回路の1つまたは複数の状態「に対して動作する」とは、調整可能カプラ20の周波数が、ある回路から別のものに励起を移動するように、変調されることを意味している。調整可能カプラ20の状態は、場合によりプロセス中に変更される可能性がある。しかしながら、ゲート演算の後、調整可能カプラはその初期状態に戻る(恒等演算)。したがって、ゲートは事実上調整可能カプラに対して動作しない。
【0066】
調整可能カプラ20の周波数は、2つ以上の量子回路11~14、1nの状態に対して動作するユニバーサルの、有限なゲートのセットを、例えば単一量子ビット・ゲートと組み合わせて実装するように(S20~S50)、特に変調することができる(S20、S20a、S20b)。例えば、ゲートの、このユニバーサル・セットは、量子処理デバイス1、3、4で演算のセットを実施させることができ、この有限なセットからのゲートのシーケンスによりそのような演算を低減する(または、場合により、近似する)ことができる。換言すると、デバイス1、3、4によって可能となる演算は、このユニバーサル・セットからの有限なゲートのシーケンスに変換することができる。
【0067】
そのようなゲートのユニバーサル・セットを実装することは、先に議論したように、結合素子20に与えられる信号の振幅および位相を適切に設定することを、その周波数を単に変調することに加えて、さらに必要とする場合がある。しかしながら、これらのゲートのいずれも、事実上調整可能カプラ20の状態に基づくものではない。特に、駆動の適当な周波数、振幅、および位相のパルスは、iSWAPゲート、c-Phaseゲート、Fredkinゲート、(CSWAPゲートとしても知られる)、またはSWAPゲートの平方根(一般的には
【数4】
と表記される)を達成するように、選ぶことができる。そのようなゲートはそれ自体が既知である。ここで興味深いことに、そのようなゲートは、固定周波数量子回路の1つまたは複数の状態に対して動作して、それらの長いコヒーレンス時間を活用することができる。例えばユニバーサルの、有限なゲートのセットを形成するために、上で列挙したゲートの例のあらゆる組合せが実際に企図され得る。
【0068】
本手法の別の興味深い特徴は、第1および第2の周波数における駆動が、断熱ホロノミック・ゲート変換を生成するように選択されるペースで、スイッチ・オンする(調整可能カプラの周波数を変調するときに)ことができることである。そのような変換では、パルスが低速でかつ同時的に与えられないと仮定する場合、調整可能カプラの励起状態をポピュレートすることは、パルスを与える間、およびその後、強く抑制される。対照的に、非断熱ホロノミック・ゲートは高速パルスを同時的に使用する。この場合、励起状態はパルス後ではなく、パルスを与える間にポピュレートされる。やはり、断熱的な移動は、遷移周波数から僅かに離調した変調周波数を含意しているが、本明細書においてそうではないと述べられない限り本発明の実施形態において、変調周波数は一般的に遷移周波数か、またはそれに近いものであるべきである。
【0069】
図1図5、および図7を参照すると、次に本発明の実施形態の別の態様が議論されており、量子処理デバイス1、3、4に関している。そのようなデバイスの主な態様は、本方法に関して既に議論した。したがって、以下ではそのようなデバイスをほんの簡単に説明する。
【0070】
最低でも、そのようなデバイス1、3、4は、量子回路が結合される調整可能カプラ20に加えて、2つの固定周波数量子回路11~14、1nを備える。やはり、量子回路は結合素子20とは反対に、コンピュータ用量子ビットとして使用されることを意図されている。しかしながら、本デバイスは、図5におけるように、3つ以上の量子回路および2つ以上のカプラ20を備えることができる。加えて、そのような量子処理デバイス1、3、4は、(制御システム32の)コントローラ30を含む。コントローラ30は、処理デバイス1、3、4では、量子処理デバイス1、3、4において一次エネルギー遷移を駆動するように、調整可能カプラ20に与えられる信号の周波数を変調するように構成される。先に説明したように、これによって、動作中、量子回路のうちの1つの励起が、調整可能カプラ20を介して残りの回路のうちの1つまたは複数に(少なくとも一部)移動できるようになる。
【0071】
コントローラ/制御システム32は、典型的には信号を与えるための制御ライン30(すなわち、物理的配線)を含む(または、そのようなものとして実装される)。コントローラにより、多周波数信号を与え、必要であれば、与えられる信号の振幅および位相を適切に設定することができる。制御システム32は、当業者により理解されるような1つまたは複数の制御ライン30を介して、本明細書において議論される信号を与えるように構成される。
【0072】
特に、制御ライン30を有するコントローラは、カプラ20の周波数を、(第1の遷移を駆動し、それにより、励起をある量子回路からカプラ20に移動するために)第1の周波数で、また第1の周波数とはそれぞれ異なる1つまたは複数の第2の周波数で、変調するように構成することができる。この方法で、先に説明した原理に一貫して、この励起をカプラ20から残りの量子回路のうちの1つまたは複数にさらに移動するために、1つまたは複数の第2の遷移を駆動することができる。やはり、第1の遷移および第2の遷移のそれぞれは、一次エネルギー遷移、例えば赤方サイドバンド遷移である。
【0073】
制御ライン30を有するコントローラは、特に、与えられる様々な変調同士の間に一定の時間ギャップを課すように構成することができる。好ましくは(しかし必須ではない)、先に説明したように、コントローラは、第1および第2の遷移を随伴的に駆動するように、調整可能カプラ20に与えられる信号を随伴的に変調することができる。
【0074】
図3図5図7に図示されるように、本量子処理デバイス3、4の実施形態は、3つ以上、例えば3つ、4つ、6つ、またはそれより多くの固定周波数量子回路1nを含むことができ、それぞれの回路は調整可能カプラ20に結合される。制御ライン30を有するコントローラは、(第1の遷移を駆動するために)第1の周波数で、また2つ以上の第2の遷移を随伴的に駆動するように、2つ以上の第2の周波数でカプラ20の周波数を随伴的に変調するようにさらに構成される。したがって、動作中、調整可能カプラ20から、残りの量子回路1nのうち少なくとも2つに、励起を移動することができる。
【0075】
好ましくは(しかし必須ではない)、本量子回路11~14、1nは、超電導量子回路として具体化され、基礎となるコンピュータ用素子を形成する。特に、本回路は、単一のジョセフソン接合の超電導量子ビットとして実現される固定周波数の、transmon型量子回路であり得る。この方法で、処理デバイス1、3、4は固定周波数transmonの長いコヒーレンス時間を利用している。カプラ20も、transmonによって実現することができるが、カプラ20は基礎となるコンピュータ用素子11~40、1nの一部を形成しないことに留意されたい。
【0076】
すべての事例において、調整可能カプラ20は、量子回路11~14、1nのそれぞれに容量結合することができる。例えば、図1に図示されるように、処理デバイス1は、基礎となるコンピュータ用素子および調整可能カプラ20として、長いコヒーレンス時間(例えば、transmon型デバイス)を伴う、2つの固定周波数の、単一のジョセフソン接合の超電導量子ビット11、12を含むことができる。この例では、調整可能カプラ20が、transmon型の量子ビットなどの、非高調波(non-harmonic)発振器回路としてレイアウトされている。さらになお、カプラは、超電導量子干渉デバイス(SQUID)ループを形成している、X記号を有する追加的なジョセフソン接合(
【数5】
)として余分な自由度を与えられる。結果として、SQUIDループを使用してカプラの周波数を調整することができる。図1の例では、調整可能カプラの周波数の変調は、2つのジョセフソン接合により形成されるSQUIDループを貫通する磁束Φ(t)を誘導結合される磁束バイアス・ライン30を通過する電流I(t)を介して変更することにより実現される。磁束の変調は、結合強度の変調を誘導するJ(t)=Jcos(Δt)。それぞれの量子ビット11、12は、単一量子ビット・ゲート演算用の、読み出し共振器41、42(すなわち、図1においてやはりR1およびR2と表記される)、およびチャージ・バイアス・ライン(図示せず)に容量結合している(
【数6】
)(平行線の記号を有する)。
【0077】
結合は、調整可能カプラ20の周波数を、一次エネルギー遷移、例えば図6に図示されるような赤方サイドバンド遷移に相当する周波数の近傍で、またはその周波数において変調することによって実施される。これは、結果として2量子ビットの量子ゲートの実装を可能にする。
【0078】
カプラは、1つまたは複数の電極、ならびにSQUIDループによって形成されるものとして見なすことができる(SQUIDループは2つのジョセフソン接合を含む)。調整可能カプラ20は、別個の電極を介して(後者はSQUIDループにより分離されている)、または単一の電極を介して、例えば2つの(またはそれより多くの)transmon11、12に結合することができ、SQUIDループはグラウンドに結合している。図2は、周波数調整可能結合素子として機能する第3のtransmon20を介して結合される2つのtransmon型量子ビット11、12についての例示のジオメトリを示している。誘導結合されるバイアス・ライン30を介して与えられる外部磁束は、調整可能カプラ20の中心にSQUIDループを通し、実効ジョセフソン・インダクタンスを修正することにより、その周波数を修正する。磁束バイアス・ライン30の対照的な配置は、磁束ライン30への容量結合を最小にすることによって、結合しているtransmon20の崩壊を阻害する。
【0079】
調整可能カプラ20は、図3で図示されるように、3つ以上の量子ビットに容量結合するように設計することができる。図3の例示のアーキテクチャは、追加的な量子ビットの対13、14(すなわち、Q3、Q4)がここでは第1の対11、12(すなわち、Q1、Q2)の鏡面対象となっていることを除いて、本質的には図1のアーキテクチャに類似している。それぞれの追加的な量子ビット13、14は、やはり読み出し共振器43、44(すなわち、図3のR3およびR4)およびチャージ・バイアス・ライン(図示せず)に容量結合している。この例でも、調整可能カプラの周波数の変調は、SQUIDループを貫通する磁束Φ(t)を誘導結合される磁束バイアス・ライン30を通過する電流I(t)を介して変更することにより達成することができる。これは、結果として結合強度の変調を誘導し、これは本方法により、一次エネルギー遷移をトリガするために活用される。同様に、図4の例示のジオメトリは、量子ビット13、14の追加的な対を除いて図2のジオメトリに類似している。加えて、それぞれの量子ビットは、今度は以前の量子ビットに対して回転しており、カプラのジオメトリは4量子の配置に構成されている。
【0080】
次に、量子処理チップ4に関連する、本発明の実施形態の別の態様を、図5を参照して説明する。量子処理チップ4は、複数のセル60を含み、それぞれ2つ以上の固定周波数量子回路1n、ならびに2つ以上の量子回路1nが結合される調整可能カプラ20を含んでいる。図5の例示のアーキテクチャでは、セルは二次元格子を形成している。なおさらに、4つの内側量子ビットによって境界付けられる中央の正方形は、それらが同一の調整可能カプラに結合されていないため、この例のセルには相当しない。4つの内側量子ビットのそれぞれは、1つのセルを隣接セルへブリッジしており、それにより、セルは事実上それぞれ平均して3つの量子ビットを含んでいる。さらに、描かれるアーキテクチャは、1セルあたり4つの量子ビットが動作できるようにしている。それ以外は、それぞれのセル60は、図3に描かれている4つの量子ビットの配置構成に類似している。図5のアーキテクチャでは、すべての最も近い隣接量子ビットを結合することができる(中央の正方形上の量子ビット対を除く)。しかしながら、このアーキテクチャは、量子ビット同士の接続性を向上するために、中央のカプラを含むように修正することができる。
【0081】
図5では、制御システム(ループ内で、制御ライン30である、制御ライン30を含む、または制御ライン30に接続される、あるいはその組合せ)は、選択されたセルにおいて一次エネルギー遷移を駆動するように、それぞれの調整可能カプラ20に与えられる信号の周波数を、例えば個別の制御ライン30を介して変調するために使用される。換言すると、セルは、個別の制御ライン30を介して独立して動作させることができる。しかしながら、セルの動作は、例えばゲートのシーケンスを可能とするように、制御システム(図7の制御システム32など)によって実装されるロジックにしたがい、これは結果として量子処理チップ4によって、より複雑な演算を実施できるようにしている。
【0082】
それぞれ動作させられるセル60について、動作中、量子回路1nのうちの1つの励起は、個別の調整可能カプラ20を介して、セルの残りの回路1nのうちの1つまたは複数に移動することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10