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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/2375 20220101AFI20221221BHJP
   D06F 39/08 20060101ALI20221221BHJP
   B01F 23/2326 20220101ALI20221221BHJP
   B01F 25/312 20220101ALI20221221BHJP
   A47L 15/44 20060101ALI20221221BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20221221BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20221221BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B01F23/2375
D06F39/08 301Z
D06F39/08 301A
B01F23/2326
B01F25/312
A47L15/44
A47L15/42 D
F24H1/00 Z
E03C1/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017150686
(22)【出願日】2017-08-03
(65)【公開番号】P2019025460
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-05-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】内山 具典
(72)【発明者】
【氏名】田中 照也
(72)【発明者】
【氏名】笹木 宏格
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032001(JP,A)
【文献】特開2008-161832(JP,A)
【文献】特表2016-536139(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104667769(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/00 - 33/76
D06F 39/00 - 39/10
B01F 23/23 - 23/2375
B01F 25/31 - 25/316
B01F 35/80 - 35/88
F24F 1/00
A47L 15/00 - 15/50
B08B 3/00 - 3/14
E03C 1/02 - 1/10
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の給水源である水道の蛇口に接続され、電気信号により開閉制御可能な電磁弁で構成された給水弁と、
前記給水弁の下流側にあって並列に設けられた少なくとも2つの流路と、
各前記流路のうち少なくとも1つの流路に設けられ前記流路の断面積を局所的に縮小することで当該流路を通過する水の中に微細気泡を発生させる微細気泡発生器と、
を備え、
前記複数の流路のうち少なくとも1つの流路は前記微細気泡発生器が設けられていないバイパス路である、
給水装置。
【請求項2】
前記バイパス路における水の通過可能面積は、前記微細気泡発生器における水の通過可能面積よりも小さい、
請求項1に記載の給水装置。
【請求項3】
外部の給水源に接続される給水弁と、
前記給水弁の下流側にあって並列に設けられた少なくとも2つの流路と、
前記流路の断面積を局所的に縮小することで当該流路を通過する水の中に微細気泡を発生させる微細気泡発生器と、
を備え、
前記微細気泡発生器は、連続した1本の流路を内部に有する本体部と、前記本体部が有する流路の内周面から当該流路の断面における中心方向へ向かって突出した突出部と、を有し、かつ、少なくとも2つの前記流路のそれぞれに設けられており、
前記微細気泡発生器が設けられた2つの前記流路は、微細気泡の発生能力が異なっている、
給水装置。
【請求項4】
前記微細気泡発生器は、前記流路に対して着脱可能に構成されている、
請求項3に記載の給水装置。
【請求項5】
洗濯機、食器洗浄機、温水便座、ウォーターサーバー、給湯器、及び電解水生成装置の少なくともいずれか1つに適用可能な請求項1から4のいずれか一項に記載の給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水等の液体が流れる流路の断面積を局所的に縮小することでその流路を通る液体を急激に減圧させ、これにより液体中の溶存空気を析出させて微細気泡を発生させる微細気泡発生器が知られている。このような微細気泡発生器は、例えば洗濯機等の給水装置に組み込むことで、微細気泡を含ませた水を洗濯機等に給水することができる。
【0003】
しかしながら、微細気泡発生器は、流路の径を縮小させるつまり流路を絞る構成であるため、流路を通る液体の流量が大幅に低下してしまう。その結果、微細気泡発生器が組み込まれていないものに対し、微細気泡発生器が組み込まれたものにおいては給水時間が延びてしまうという事情があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-40448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、微細気泡を発生させつつ給水量の低下を抑制することができる給水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の給水装置は、外部の給水源に接続される給水弁と、前記給水弁の下流側にあって並列に設けられた少なくとも2つの流路と、各前記流路のうち少なくとも1つの流路に設けられ前記流路の断面積を局所的に縮小することで当該流路を通過する水の中に微細気泡を発生させる微細気泡発生器と、を備え、前記複数の流路のうち少なくとも1つの流路は前記微細気泡発生器が設けられていないバイパス路である。
また、実施形態の給水装置は、外部の給水源に接続される給水弁と、外部の給水源に接続される給水弁と、前記給水弁の下流側にあって並列に設けられた少なくとも2つの流路と、前記流路の断面積を局所的に縮小することで当該流路を通過する水の中に微細気泡を発生させる微細気泡発生器と、を備え、前記微細気泡発生器は、連続した1本の流路を内部に有する本体部と、前記本体部の内部の前流路の内周面から当該流路の断面における中心方向へ向かって突出した突出部と、を有し、かつ、少なくとも2つの前記流路のそれぞれに設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による給水装置を概略的に示す断面図
図2】第1実施形態による給水装置について、微細気泡発生器の周辺を拡大して示す断面図
図3】第1実施形態による給水装置について、図2のX3-X3線に沿った断面を拡大して示す図
図4】第2実施形態による給水装置を概略的に示す断面図
図5】第3実施形態による給水装置を概略的に示す断面図
図6】第4実施形態による給水装置を概略的に示す断面図
図7】第5実施形態による給水装置を、洗濯機の注水装置に適用した例を概略的に示す断面図
図8】第6実施形態による給水装置を概略的に示す断面図
図9】第6実施形態による給水装置について、図8のX9-X9線に沿った断面を拡大して示す図
図10】第7実施形態による給水装置を概略的に示す断面図
図11】第7実施形態による給水装置について、図10のX11-X11線に沿った断面を拡大して示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について図1図3を参照して説明する。
第1実施形態における給水装置1(以下、第1給水装置1と称する)は、給水対象となる装置に対して給水を行うためのものである。第1給水装置1は、給水対象となる装置に接続されて、又は給水対象となる装置に組み込まれて用いられる。給水対象となる装置は、例えば洗濯機、食器洗浄機、温水便座、ウォーターサーバー、給湯器、又は電解水生成装置等があるが、これらに限られない。
【0010】
第1給水装置1は、図1に示すように、給水弁11、入口側流路12、複数の出口側流路21、31、及び微細気泡発生器40、を備えている。本実施形態の場合、第1給水装置1は、2つの出口側流路21、31を備えている。給水弁11は、入口側流路12と、2つの出口側流路21、31との間に設けられており、これら入口側流路12と、出口側流路21、31との間を開閉する。給水弁11は、電気信号により開閉制御可能な電磁弁で構成しても良いし、人間の手による操作によって開閉される手動弁で構成しても良い。入口側流路12は、図示しないホースを介して外部の給水源である水道の蛇口等に接続される。すなわち、給水弁11は、入口側流路12及び図示しないホースを介して、外部の給水に接続される。
【0011】
各出口側流路21、31は、給水弁11の出口側つまり下流側に設けられており、並列に配置されている。2つの出口側流路21、31のうち少なくとも1つには、微細気泡発生器40が設けられている。本実施形態の場合、微細気泡発生器40は、出口側流路21、31のうち1つの出口側流路21に設けられている。換言すれば、他の出口側流路31には、微細気泡発生器40は設けられていない。
【0012】
なお、本実施形態では、出口側流路21、31のうち微細気泡発生器40が設けられている方を、微細気泡水供給路21と称する。また、出口側流路21、31のうち微細気泡発生器40が設けられていない方を、バイパス路31と称する。この場合、バイパス路31は、給水弁11の下流側において、微細気泡水供給路21から分岐した形態となっている。バイパス路31の内径は、微細気泡水供給路21の内径よりも小さい。すなわち、バイパス路31における水の通水可能な面積は、微細気泡水供給路21における水の通水可能な面積よりも小さい。
【0013】
微細気泡発生器40は、内部を通過する例えば水道水等の液体に微細気泡を含ませるためのものである。微細気泡発生器40は、例えば合成樹脂製であって、全体として円筒形状に形成されている。微細気泡発生器40は、図2に示すように、本体部41、及び突出部42を有している。本体部41は、内部に絞り部411及びストレート部412を有している。
【0014】
絞り部411とストレート部412とは、連続した1本の流路を形成している。絞り部411は、ストレート部412の上流側つまり入口側に設けられている。ストレート部412は、絞り部411に対して下流側となる。
【0015】
絞り部411は、微細気泡発生器40の入力側から出力側へ向かって内径が縮小する形状、すなわち流路の断面積つまり内径が連続的に徐々に減少するようないわゆる円錐形のテーパ管状に形成されている。ストレート部412は、流路の断面積つまり内径が変化しない円筒形いわゆるストレート管状に形成されている。
【0016】
突出部42は、本体部41の内部にあって、ストレート部412の長手方向の途中部分に設けられている。突出部42は、ストレート部412において液体の通過可能な断面積を局所的に縮小することでストレート部412を通過する液体中に微細気泡を発生させるためのものである。本実施形態の場合、ストレート部412には、前記した微細気泡発生器40を軸方向、つまり水の流れる方向から見た図3に示すように、複数本この場合4本の突出部42が設けられている。
【0017】
各突出部42は、先端が尖った棒状の部材で構成され、ストレート部412の内周面からこのストレート部412の断面における中心方向へ向かって突出している。各突出部42は、ストレート部412の断面の周方向に向かって相互に90°の等間隔に離間した状態で配置されている。本実施形態の場合、各突出部42は、絞り部411及びストレート部412を構成する本体部41と一体に形成されている。なお、突出部42は、かならずしも本体部41と一体に形成されている必要はなく、本体部41とは別体に構成されていても良い。
【0018】
図3に示すように、微細気泡発生器40における水の通過可能面積Sつまり通水可能面積Sは、各突出部42間に形成された領域、つまり図3で点を付した領域となる。そして、バイパス路31における水の通過可能面積つまりバイパス路31の断面積は、微細気泡発生器40における通水可能面積Sよりも小さい。
【0019】
微細気泡発生器40は、例えば次のように構成することができる。すなわち、本実施形態の場合、微細気泡発生器40は、図2に示すように、微細気泡水供給路21の出口側つまり下流側の先端部に設けられている。本実施形態の場合、本体部41は、いわゆるフランジを有する2段の円筒形状に形成されている。そして、本体部41の長手方向のうち絞り部411側が、微細気泡水供給路21の下流側の端部から挿入されている。この場合、本体部41の外周面には、雄ねじ部413が形成されている。また、微細気泡水供給路21の内周面には、雄ねじ部413に嵌合可能な雌ねじ部211が形成されている。そして、この雄ねじ部413と雌ねじ部211が噛み合うことで、微細気泡発生器40は、微細気泡水供給路21に着脱可能かつ強固に取り付けられている。
【0020】
なお、微細気泡水供給路21に対する微細気泡発生器40の取り付け構造は、上述したものに限られない。また、微細気泡発生器40は、必ずしも微細気泡水供給路21の下流側の先端部に設ける必要は無く、微細気泡水供給路21の途中部分に設けても良い。
【0021】
この構成において、微細気泡発生器40に対して絞り部411側から水が流入すると、絞り部411からストレート部412にかけて流路断面積が絞られることによって、流体力学のいわゆるベンチュリ効果により流速が高められる。そして、その高速流が突出部42に衝突することで圧力が急激に低下される。これにより、水中に溶存している空気を微細な気泡として多量に析出させることができる。
【0022】
ここで、一般に微細気泡は、その気泡の直径によって次のように分類されている。例えば、直径が1μmから100μm程度の微細気泡は、マイクロバブルと称されている。また、直径が50nmから1000nm程度の微細気泡は、ナノバブル又はウルトラファインバブルと称されている。そして、これらマイクロバブルとナノバブルを併せて、ファインバブルと称されている。気泡の直径が数十nmになると、光の波長よりも小さくなるため視認することができなくなり、液体は透明になる。そして、これらの微細気泡は、総界面面積が大きいこと、浮上速度が遅いこと、内部圧力が大きいこと等の特性により、液体中の物体の洗浄能力に優れていることが知られている。
【0023】
例えば、直径が100μm以上の気泡は、その浮力によって液体中を急速に上昇し、液体表面で破裂して消滅するため、液体中の滞在時間が比較的短い。一方、直径が1μm未満の微細気泡は、浮力が小さいため液体中での滞在時間が長い。また、例えばマイクロバブルは、液体中で収縮し最終的に圧壊することで、更に小さなナノバブルになる。そして、マイクロバブルが圧壊する際に、高温の熱と高い圧力が局所的に発生し、これにより、液体中に漂ったり物体に付着したりしている有機物等の異物が破壊される。このようにして、高い洗浄能力が発揮される。
【0024】
また、マイクロバブルは、負の電荷を帯びているため、液体中に漂う正の電荷を帯びた異物を吸着し易い。そのため、マイクロバブルの圧壊によって破壊された異物は、マイクロバブルに吸着されてゆっくりと液体表面へと浮上する。そして、液体表面に集まった異物を除去することで、液体が浄化される。これにより、高い浄化能力が発揮される。そして、マイクロバブルよりも、外形が更に小さいナノバブルの方が、より高い洗浄能力を発揮する。
【0025】
本実施形態の微細気泡発生器40は、内部に水等の液体を通すことで、その液体中に、直径が数μmから50μmのマイクロバブル又はファインバブルや、直径が数十nm以下のナノバブル又はウルトラファインバブルを含んだ微細気泡を多量に発生させることができる。なお、以下の説明では、微細気泡発生器40を通って微細気泡を含んだ水を、微細気泡水と称する。また、微細気泡発生器40を通らずに微細気泡を含んでいない水を、単に水道水と称する。なお、微細気泡発生器40は、上記したいわゆるベンチュリ式のものに限られない。
【0026】
このように、本実施形態の第1給水装置1は、外部の給水源に接続される給水弁11と、給水弁11の下流側にあって並列に設けられた少なくとも2つの出口側流路21、31と、微細気泡発生器40と、を備える。微細気泡発生器40は、各流路21、31のうち少なくとも1つこの場合、出口側流路21に設けられている。そして、微細気泡発生器40は、出口側流路21の断面積を局所的に縮小することで当該出口側流路21を通過する水の中に微細気泡を発生させる。
【0027】
これによれば、第1給水装置1は、微細気泡発生器40を通過させることで、直径が数μmから50μmのマイクロバブル又はファインバブルや直径が数十nm以下のナノバブル又はウルトラファインバブルを多量に含んだ微細気泡水を、給水対象となる装置内に給水することができる。第1給水装置1の給水対象となる装置において、微細気泡の作用を発揮させることができる。
【0028】
微細気泡発生器40によって発生した微細気泡は、洗剤中に含まれる界面活性剤の作用効果を向上させる機能を有している。すなわち、界面活性剤を溶解した水溶液は、界面活性剤がある濃度以上になると、界面活性剤の疎水基同士が集まり、ミセル化して界面活性剤の凝集体を形成する。これに対し、微細気泡は、微細気泡の表面の疎水性作用によって凝集体のエネルギー的安定状態を崩し、界面活性剤の各分子を分散させる作用がある。すると、分子化した界面活性剤が、洗浄対象と汚れとの隙間に入り込み易くなり、その結果、洗剤の洗浄力を向上させることができる。
【0029】
したがって、例えば第1給水装置1を、洗濯機や食器洗浄機など、洗剤を用いて洗浄対象を洗浄する装置に用いることで、装置の洗浄能力を向上させることができる。また、例えば第1給水装置1は、温水便座など、洗剤を用いずに洗浄対象を洗浄する装置に用いても、微細気泡の作用によってその装置の洗浄能力を更に向上させることができる。更に、例えば第1給水装置1を、ウォーターサーバーや給湯器又は電解水生成装置等の水を供給することが主目的となる装置に用いることで、給水を行う度に、微細気泡水によって装置の給水経路が洗浄される。これにより、装置の給水経路に水垢等の汚れが堆積することを抑制でき、装置の給水経路を清潔に保つことがきる。その結果、清潔な水を供給することができるとともに、装置の清掃頻度を低減することができる。
【0030】
ここで、微細気泡発生器40は、流路21を絞る構成である。そのため、微細気泡発生器40が組み込まれた出口側流路21においては、出口側流路21に微細気泡発生器40を組み込まない構成に比べて、出口側流路21から吐出される水量が低下してしまう。そのため、単に出口側流路21に微細気泡発生器40を組み込んだだけの構成では、微細気泡発生器40が組み込まれていないものに対して給水時間が延びてしまう。
【0031】
そこで、本実施形態において複数、この場合2つの出口側流路21、31のうち少なくとも1つの出口側流路31は、微細気泡発生器40が設けられていないバイパス路に構成されている。これによれば、微細気泡発生器40を設けたことによって低下した微細気泡水供給路21からの給水量を、微細気泡発生器40を設けていないバイパス路31からの給水によって補うことができる。その結果、微細気泡水を供給しつつ、第1給水装置1からの給水量の低下を抑制して、第1給水装置1による給水量を十分に確保することができる。
【0032】
この構成において、バイパス路31の径が大きくなると、バイパス路31を通過する水量も多くなる。すると、微細気泡発生器40に印加される水圧が低くなって、微細気泡発生器40における微細気泡の発生能力が確保され難くなる。これに対し、本実施形態において、バイパス路31における通水可能面積は、微細気泡発生器40における水の過可能面積Sよりも小さい。これによれば、微細気泡発生器40に印加される水圧が過度に低下することを抑制できる。その結果、バイパス路31によって第1給水装置1からの給水量を確保しつつ、微細気泡発生器40の能力低下を抑制して微細気泡発生器40から発生される微細気泡のサイズや数を十分に確保することができる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図4を参照して説明する。
第2実施形態の給水装置2(以下、第2給水装置2と称する)は、2つの出口側流路21、21を備えている。そして、2つの出口側流路21、21には、それぞれ微細気泡発生器40が設けられている。すなわち、第2給水装置2は、図1に示す第1給水装置1におけるバイパス路31に換えて、微細気泡水供給路21を備えている。換言すれば、第2給水装置2は、2つの出口側流路21を備えており、その全ての出口側流路21に微細気泡発生器40が設けられている。
【0034】
この場合、2つの出口側流路21は、それぞれ同一の内径寸法に形成されている。すなわち、2つの出口側流路21における水の通過可能面積は同一であり、したがって、2つの出口側流路21を通る流量は同一である。なお、この第2給水装置2も、第1給水装置1と同様に、例えば洗濯機、食器洗浄機、温水便座、ウォーターサーバー、給湯器、又は電解水生成装置等に接続されて、又は組み込まれて用いられる。
【0035】
これによれば、入口側流路12に供給された水道水は、2つの出口側流路21、21のそれぞれに設けられた微細気泡発生器40を通過することで、微細気泡を含んだ微細気泡水となって供給される。すなわち、2つの出口側流路21からは、それぞれ微細気泡水が供給される。そのため、第1実施形態のように1つの微細気泡発生器40を備えている構成に比べて、更に多量の微細気泡を含んだ水を供給することができる。しかも、2つの微細気泡水供給路21を設けることによって、微細気泡発生器40により低下した水量を補うことができる。その結果、微細気泡水を供給しつつ、第2給水装置2からの給水量の低下を抑制して、第2給水装置2による給水量を十分に確保することができる。
【0036】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図5を参照して説明する。
第3実施形態の給水装置3(以下、第3給水装置3と称する)は、第1実施形態における第1給水装置1と、第2実施形態における第2給水装置2とを組み合わせたものである。すなわち、第3給水装置3は、3つの出口側流路21、21、31を備えている。そして、3つの出口側流路21、21、31のうち2つは、微細気泡発生器40が設けられた微細気泡水供給路21、21である。また、3つの出口側流路21、21、31のうち1つは、微細気泡発生器40が設けられていないバイパス路31である。これによっても、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0037】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について図6を参照して説明する。
第4実施形態の給水装置4(以下、第4給水装置4と称する)は、3つの出口側流路21、21、21を備えている。そして、各出口側流路21には、それぞれ微細気泡発生器40が設けられている。すなわち、第4給水装置4は、図5に示す第3給水装置3におけるバイパス路31に換えて、微細気泡水供給路21を更に備えている。換言すれば、第4給水装置4は、3つの出口側流路21、21、21を備えており、その全ての出口側流路21、21、21に微細気泡発生器40が設けられている。これによっても、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0038】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について図7を参照して説明する。
第5実施形態の給水装置5(以下、第5給水装置5と称する)は、2つの出口側流路21、22を備えている。出口側流路21の内径と、出口側流路22の内径は異なっている。この場合、出口側流路22の内径は、出口側流路21の内径よりも小さい。すなわち、出口側流路22における断面積つまり通水可能面積は、出口側流路21の断面積つまり通水可能面積よりも小さい。
【0039】
内径の大きい出口側流路21には、上記各実施形態と同様に微細気泡発生器40が設けられている。また、内径の小さい出口側流路22には、上記各実施形態の微細気泡発生器40とは異なる微細気泡発生器50が設けられている。この場合、2つの出口側流路21、22は、それぞれ微細気泡発生器40、50が設けられた微細気泡水供給路である。
【0040】
微細気泡発生器50は、微細気泡発生器40を縮小した形態である。すなわち、内径の大きい出口側流路21に設けられた微細気泡発生器40は、内径の小さい出口側流路22に設けられた微細気泡発生器50よりも微細気泡の生成能力が高い。したがって、内径の大きい出口側流路21から供給される微細気泡水には、内径の小さい出口側流路22から供給される微細気泡水に比べて、多量の微細気泡が含まれている。
【0041】
また、内径の大きい出口側流路21から供給される微細気泡水の量は、内径の大きい出口側流路21から供給される微細気泡水の量よりも多い。この場合、出口側流路21、22のうち、内径の大きい出口側流路21を多量側微細気泡水供給路21と称し、内径の小さい出口側流路22を少量側微細気泡水供給路22と称する。
【0042】
第5給水装置5は、例えば洗濯機における注水装置への適用に適している。すなわち、図7に示す洗濯機の注水装置60は、第5給水装置5に加えて、粉末洗剤ケース61及び液体洗剤ケース62を更に備えている。粉末洗剤ケース61は、多量側微細気泡水供給路21の吐出先に設けられている。粉末洗剤ケース61には、粉末洗剤が収容される。粉末洗剤ケース61内に収容された粉末洗剤は、多量側微細気泡水供給路21から粉末洗剤ケース61内に吐出された微細気泡水に溶解する。そして、粉末洗剤を溶解した微細気泡水は、粉末洗剤ケース61の出口部611から流出して図示しない洗濯槽内にされる。
【0043】
また、液体洗剤ケース62は、少量側微細気泡水供給路22の吐出先に設けられている。液体洗剤ケース62は、例えばサイフォン構造に構成された出口部621を有している。液体洗剤ケース62内に収容されている液体洗剤は、少量側微細気泡水供給路22から液体洗剤ケース62内に吐出された微細気泡水に溶解する。そして、液体洗剤ケース62内が所定水位まで満たされると、液体洗剤を溶解した微細気泡水は、サイフォンの原理によって出口部621から流出して図示しない洗濯槽内に注水される。
【0044】
通常の洗濯運転においては、粉末洗剤ケース61内に粉末洗剤が投入されるか、又は、液体洗剤ケース62内に液体洗剤が投入される。この場合、多量側微細気泡水供給路21を通って粉末洗剤ケース61内に流入した微細気泡水と、少量側微細気泡水供給路22を通って液体洗剤ケース62内に流入した微細気泡水とは、各ケース61、62内に収納されている洗剤とともに出口部611、621から流出する。そして、出口部611、621から流出した微細気泡水は、各ケース61、62内に収納されている洗剤を運搬して、最終的に図示しない洗濯機の洗濯槽内で混合される。
【0045】
ここで、粉末洗剤よりも液体洗剤の方が水に溶けやすい。そのため、液体洗剤ケース62内に収納された液体洗剤は、粉末洗剤ケース61内の粉末洗剤よりも、少ない水量で洗濯槽内に運搬可能である。本実施形態において、多量側微細気泡水供給路21は、洗剤の運搬に多量の水が必要な粉末洗剤ケース61に接続されている。一方、少量側微細気泡水供給路22は、少量の水で洗剤を運搬することができる液体洗剤ケース62に接続されている。したがって、本実施形態によれば、各ケース61、62に対し、各ケース61、62内に収納された洗剤の種類に応じて適切な量の微細気泡水を供給することができる。その結果、微細気泡によって洗剤の洗浄能力を向上させつつ、各ケース61、62内に収納された洗剤を効率良く洗濯槽まで運搬できる。
【0046】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について図8及び図9を参照して説明する。
第6実施形態の給水装置6(以下、第6給水装置6と称する)は、給水弁11、入口側流路12に加えて、1つの出口側流路23、及び微細気泡発生器ユニット70を備えている。出口側流路23は、給水弁11の下流側に設けられている。微細気泡発生器ユニット70は、出口側流路23の下流端部分に設けられている。この場合、出口側流路23は、微細気泡水供給路23とも称する。
【0047】
微細気泡発生器ユニット70は、複数この場合2個の微細気泡発生器80と、取付部材71と、を有して構成されている。微細気泡発生器80は、例えばフランジを有する2段の円筒形状に形成されている。微細気泡発生器80は、上記各実施形態の微細気泡発生器40と同様に、絞り部411、ストレート部412、及び突出部42を有している。
【0048】
取付部材71は、1つの微細気泡水供給路23内において複数、この場合2個の微細気泡発生器0を並列に配置するための部品である。取付部材71は、図9に示すように、例えば断面が長穴形状又は円形若しくは楕円となる筒状に形成されている。取付部材71は、内部に2つの収容部711を有している。
【0049】
各収容部711は、取付部材71を、段部712を有する円筒形状に貫いて形成されている。各収容部711は、微細気泡発生器0をそれぞれ1個ずつ収容可能に構成されている。この場合、各収容部711は、相互に独立している。すなわち、2つの収容部711は、相互に連結されていない。したがって、各微細気泡発生器0も、相互に離間しており、接触していない。つまり、各微細気泡発生器0の周囲には隙間がほぼ無く、取付部材71によって埋められている。なお、詳細は図示しないが、取付部材71と微細気泡水供給路23とは、例えばいわゆるスナップフィットや、ねじ等の締結部材によって、相互に着脱可能に取り付けられている。
【0050】
この第6給水装置6によっても、上記各実施形態と同様に、微細気泡水を生成しつつ、微細気泡発生器80による水量の低下を抑制して第6給水装置6による給水量を十分に確保することができる。
また、第6給水装置6は、1つの微細気泡水供給路23を備えている構成であり、複数の出口側水路を備えていない。このため、第6給水装置6は、給水先が一か所であるものにより適している。
【0051】
更に、各微細気泡発生器80の周囲には隙間がほぼ無く、取付部材71によって埋められている。これによれば、各微細気泡発生器80に印加された水の一部が、微細気泡発生器80と取付部材71との隙間から漏れ出てしまい、各微細気泡発生器80に印加された水圧が低下してしまうことを抑制できる。したがって、微細気泡発生器80に高い水圧を印加することができ、その結果、効率良く微細気泡水を生成することができる。
【0052】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について図10及び図11を参照して説明する。
第7実施形態の給水装置7(以下、第7給水装置7と称する)は、上記第6実施形態の取付部材71に換えて、取付部材72を備えている。取付部材72は、内部に2つの収容部721を有している。各収容部721は、取付部材72を、段部722を有する円筒形状に貫いて形成されている。各収容部721は、微細気泡発生器80をそれぞれ1個ずつ収容可能に構成されている。
【0053】
この場合、各収容部721は、相互に連通している。そして、各微細気泡発生器80の周囲には、隙間Gが形成されている。隙間Gの断面積つまり通水可能面積は、各微細気泡発生器80における通水可能面積Sよりも小さい。微細気泡水供給路23内の水の一部は、微細気泡発生器40を通らずに隙間Gを通って、第7給水装置7から吐出される。
【0054】
この第7給水装置7によっても、上記各実施形態と同様に、微細気泡水を生成しつつ、微細気泡発生器80による水量の低下を抑制して第7給水装置7による給水量を十分に確保することができる。
また、第7給水装置7は、第6給水装置6と同様に、1つの微細気泡水供給路23を備えている構成であり、複数の出口側水路を備えていない。このため、第7給水装置7も、第6給水装置6と同様に、給水先が一か所であるものにより適している。
【0055】
更に、各微細気泡発生器80の周囲には隙間Gが形成されている。この隙間Gは、微細気泡水供給路23内の水つまり微細気泡発生器40に印加された水の一部を、微細気泡発生器80内を通らずに迂回させて給水装置7外に吐出するバイパス路を形成している。これによれば、微細気泡水を供給しつつ、第7給水装置7からの給水量の低下を抑制して、第7給水装置7による給水量を十分に確保することができる。
【0056】
また、上記各実施形態の給水装置1~7は、例えば洗濯機、食器洗浄機、温水便座、ウォーターサーバー、給湯器、又は電解水生成装置の少なくともいずれか1つの家電機器に適用可能である。なお、各給水装置1~7の適用可能な機器は、上述したものに限られず、また、家電機器以外の機器にも適用可能である。
【0057】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
図面中、1は第1給水装置(給水装置)、2は第2給水装置(給水装置)、3は第3給水装置(給水装置)、4は第4給水装置(給水装置)、5は第5給水装置(給水装置)、6は第6給水装置(給水装置)、7は第7給水装置(給水装置)、11は給水弁、21、22、23は出口側流路(流路)、31は出口側流路(流路、バイパス路)、40、50、80は微細気泡発生器、を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11