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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 27/00 20060101AFI20221221BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20221221BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
F25D27/00
F25D11/00 101J
F25D23/00 301N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017234275
(22)【出願日】2017-12-06
(65)【公開番号】P2019100660
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-09-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】真下 拓也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 麻耶菜
【合議体】
【審判長】西村 泰英
【審判官】マキロイ 寛済
【審判官】松下 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-32861(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0023000(US,A1)
【文献】特開2017-103187(JP,A)
【文献】特開2016-152156(JP,A)
【文献】特開2012-114039(JP,A)
【文献】特開2005-111250(JP,A)
【文献】特開2000-231353(JP,A)
【文献】特開2013-178055(JP,A)
【文献】登録実用新案第3181116(JP,U)
【文献】特開2015-49477(JP,A)
【文献】特開2006-132878(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 27/00
F25D 11/00
F25D 23/00
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の前面開口部を開閉する扉と、
前記本体の内部である庫内に設けられ前記扉の開放時に点灯する照明装置と、
前記照明装置の動作を制御する制御部と、
前記庫内を区画する棚と、
を備えた冷蔵庫であって、
前記棚は、光を透過する透過部材により構成され、
前記照明装置は、前記棚の側面のうち、前記本体の背面側の側面から前記棚の内部に向けて光を照射するように並べて配置された複数のLEDを備え、
前記棚には、光を乱反射する乱反射領域が形成されており、
前記照明装置は、前記複数のLEDを選択的に点灯および消灯することができる構成であり、
前記乱反射領域は、文字および図形の一方または双方を表す凹凸により形成されており、
前記文字および図形は、前記冷蔵庫の動作に関する情報を表すためのものである冷蔵庫。
【請求項2】
前記棚の側面のうち、前記照明装置が配置された側の側面を除く側面の少なくとも1つに光を反射する反射部材が配置されている請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記反射部材は、前記棚の側面だけを覆うように設けられている請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記棚と前記照明装置とは、別体として構成されている請求項1からのいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記乱反射領域は、凹凸により形成されており、前記凹凸の間隔は、前記照明装置からの距離が遠いほど狭くなっている請求項1からのいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫において、庫内を仕切る棚の端部に照明装置を設けることが考えられている(例えば特許文献1参照)。しかし、この場合、照明装置が配置された端部と対向する領域に十分な光を届かせることができず、庫内に保存された食品、食材などの貯蔵物の視認性を十分に高めることが難しい。視認性を高めるため、棚の中央などに照明装置を配置することが考えらえるが、そうすると、照明装置が配置された箇所における貯蔵物の収納高さが減少し、貯蔵物の収納性が低下するという別の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-61453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、貯蔵物の収納性を低下させることなく、貯蔵物の視認性を高めることができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、本体と、前記本体の前面開口部を開閉する扉と、前記本体の内部である庫内に設けられ前記扉の開放時に点灯する照明装置と、前記照明装置の動作を制御する制御部と、前記庫内を区画する棚と、を備える。前記棚は、光を透過する透過部材により構成される。前記照明装置は、前記棚の側面のうち、前記本体の背面側の側面から前記棚の内部に向けて光を照射するように並べて配置された複数のLEDを備えている。前記棚には、光を乱反射する乱反射領域が形成されており、前記照明装置は、前記複数のLEDを選択的に点灯および消灯することができる構成である。前記乱反射領域は、文字および図形の一方または双方を表す凹凸により形成されている。前記文字および図形は、前記冷蔵庫の動作に関する情報を表すためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る冷蔵庫の構成を模式的に示す図
図2】第1実施形態に係る冷蔵庫の電気的構成を模式的に示す図
図3】第1実施形態に係る照明装置および棚板の具体的構成を模式的に示す断面図
図4】第1実施形態に係る照明装置および棚板の具体的構成を模式的に示す斜視図
図5】第1実施形態に係る照明装置から光が照射されている状態における乱反射領域による表示の態様を模式的に示す図
図6】第1実施形態に係る照明装置から光が照射されていない状態における乱反射領域による表示の態様を模式的に示す図
図7】第2実施形態に係る照明装置および棚板の具体的構成を模式的に示す断面図
図8】第2実施形態に係る乱反射領域による表示の態様を模式的に示す図その1
図9】第2実施形態に係る乱反射領域による表示の態様を模式的に示す図その2
図10】第3実施形態に係る冷蔵庫の構成を模式的に示す図
図11】第3実施形態に係る照明装置および棚板の具体的構成を模式的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、本体2の上部から順に、食品、食材などの貯蔵物を貯蔵するための貯蔵室である冷蔵室3、野菜室4、製氷室5、上部冷凍室6および下部冷凍室7が設けられている。
【0008】
冷蔵室3および野菜室4と、製氷室5および上部冷凍室6との間は、図示しない断熱仕切壁により仕切られている。冷蔵室3は、いわゆる両開き式の左扉3aおよび右扉3bによって開閉され、野菜室4、製氷室5、上部冷凍室6および下部冷凍室7は、引き出し式の扉4a、扉5a、扉6aおよび扉7aによってそれぞれ開閉されるようになっている。なお、左扉3aおよび右扉3bは、本体2の前面開口部を開閉する扉に相当する。
【0009】
各扉には、その開閉状態を検知するためのセンサ(スイッチ)が設けられている(図2参照。ただし、図2では、左扉3a用の左扉スイッチ21、右扉3b用の右扉スイッチ22だけを図示している)。なお、図1に示す冷蔵庫1の構成は一例であり、各貯蔵庫の配置順が異なっていてもよいし、例えば上部冷凍室6が冷蔵と冷凍とを切り替え可能な切替室であるような構成でもよい。
【0010】
冷蔵室3の左扉3aには、上段から順にドアポケット8a、ドアポケット9a、ドアポケット10aが設けられており、右扉3bには、上段から順にドアポケット8b、ドアポケット9b、ドアポケット10bが設けられている。また、冷蔵室3内には、例えばガラスや、透明性を有する樹脂(例えばアクリル樹脂など)などの透明性材料で形成されている複数の棚板11a、11b、11c、11dが設けられているとともに、最下段には、チルド室12が配置されている。
【0011】
なお、以下では、棚板11a~11dのそれぞれを区別する必要がない場合、それらを総称して棚板11とも呼ぶ。複数の棚板11のうち、最下段に配置された棚板11dは、チルド室12の天井部分を構成している。なお、棚板11は、冷蔵室3の内部、つまり本体2の内部である庫内を区画する棚に相当するものであり、上述したように、光を透過する透過部材により構成されている。
【0012】
冷蔵室3の上部には、照明手段としての天井ライト13が設けられている。また、冷蔵室3内には、側面に設けられている側面ライト(図示略)も設けられている。このうち、天井ライト13は庫内の上部側、上記側面ライトは庫内の中央部や下部など、庫内の特定の位置を照らすために設けられている。
【0013】
さらに、冷蔵室3の内部、つまり庫内には、照明装置14が設けられている。照明装置14は、具体的には、冷蔵室3(本体2)の背面の壁部分であって、チルド室12の天井部分を構成する棚板11dと対向する位置に設けられている。照明装置14は、チルド室12の近傍を照らすために設けられている。なお、天井ライト13、側面ライトおよび照明装置14は、左扉3aおよび右扉3bのうち少なくとも一方の開放時に点灯するようになっている。
【0014】
冷蔵室3の左扉3aおよび右扉3bは、その前面が絶縁性のガラス材料で形成されたガラス板3b1で覆われており、その内部には断熱材であるウレタンが充填剤として充填されており、その内側については、周知のように、非金属の樹脂製の内板15および縦板16を備えている。つまり、左扉3aおよび右扉3bの前面側は、電波を透過させる非金属製材料であるガラス板3b1により構成されている。
【0015】
上記したドアポケット8~10は、内板15に設けられている。また、左扉3aには、右扉3bとの隙間を埋めるための回動式の縦仕切り17が設けられている。なお、野菜室4の扉4aなども、右扉3bと同様にその前面がガラス板で覆われており、内部にはウレタンが断熱材として充填されている構成となっている。
【0016】
冷蔵庫1は、その動作全般を制御する制御部20を備えている。図4に示すように、制御部20は、CPU、ROMおよびRAMなどを有するマイクロコンピュータにより構成されており、例えばROMなどに記憶されているコンピュータプログラムを実行することで冷蔵庫1の全体を制御する。
【0017】
制御部20には、左扉スイッチ21、右扉スイッチ22、天井ライト13、照明装置14などが接続されている。制御部20は、左扉スイッチ21および右扉スイッチ22から与えられる信号に基づいて、左扉3aおよび右扉3bの開閉を検出する。そして、制御部20は、左扉3aまたは右扉3bが開放されたことを検出すると、天井ライト13、照明装置14などの動作を制御して庫内を照らすように点灯させる。
【0018】
また、制御部20には、庫内温度センサ23、外気温度センサ24、圧縮機25、ファン26、操作部27、表示パネル28などが接続されている。庫内温度センサ23は、庫内、具体的には貯蔵室の温度を測定する。なお、図2では、説明の簡略化のために1つの庫内温度センサ23を図示しているが、庫内温度センサ23は、例えば貯蔵室毎に、あるいは、冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とに、複数設けられている。外気温度センサ24は、冷蔵庫1の外部(庫外)の温度を測定する。圧縮機25は、図示しない周知の冷凍サイクルを構成している。ファン26は、冷凍サイクルで冷却された空気を貯蔵室内に循環させるための送風ファンである。
【0019】
操作部27は、冷蔵庫1の動作モードなどを設定するためのものであり、庫外または庫内に設けられた操作パネルにより構成されている。ユーザは、操作部27を操作することにより冷蔵庫1の動作モードなどを設定することができる。表示パネル28は、冷蔵庫1の運転状態、動作モードなどの各種の情報を表示する。
【0020】
操作部27の操作により設定可能な冷蔵庫1の動作モードの一例として、例えばチルド室12のモードを挙げることができる。チルド室12は、そのモードとして、「チルド冷却」モードと、急速「解凍」モードと、を有する。ユーザは、操作部27の操作に応じて、チルド室12のモードの切り替えを行うことができる。
【0021】
制御部20は、ユーザによる操作部27の操作により「チルド冷却」モードに設定されると、チルド室12に送り込まれる空気の温度および風量が当該モードに適したものとなるように圧縮機25およびファン26の動作を制御するとともに、表示パネル28の動作を制御してチルド室12のモードが「チルド冷却」モードに設定されていることを示す表示を行う。
【0022】
また、制御部20は、ユーザによる操作部27の操作により「解凍」モードに設定されると、チルド室12に送り込まれる空気の温度および風量が当該モードに適したものとなるように圧縮機25およびファン26の動作を制御するとともに、表示パネル28の動作を制御してチルド室12のモードが「解凍」モードに設定されていることを示す表示を行う。
【0023】
続いて、照明装置14および棚板11dの具体的な構成について、図3および図4を参照して説明する。図3および図4に示すように、照明装置14は、複数のLED31と、それらLED31が搭載されるLED基板32、LED基板固定具33、基板固定テープ(図示略)、束線(図示略)などを備えたLEDユニットとして構成されている。なお、照明装置14は、図3および図4に示すように、棚板11dとは、別体として構成されている。
【0024】
LED基板固定具33および上記基板固定テープは、LED基板32を冷蔵室3の背面の壁に固定するためのものである。LED基板固定具33は、LED31から発生する熱対策のため、金属により構成されている。この場合、LED基板固定具33は、金属板を断面がコ字状となるように折り曲げ加工するなどして形成されている。
【0025】
図4に示すように、本実施形態の照明装置14では、複数、具体的には6つのLED31を等間隔に1列に並べた配置となっている。なお、LED31の数、配置などは、LED31の照射距離、照射角度などの照明装置14の性能や、所望する照明範囲などの仕様に応じて、最適なものに設定すればよい。
【0026】
この場合、照明装置14は、複数のLED31をまとめて点灯(オン)および消灯(オフ)するようになっている。なお、照明装置14は、複数のLED31を選択的にオン/オフするようにしてもよい。このようにすれば、照明装置14の照射範囲のうち、所望する箇所だけを選択して照らすことが可能となる。
【0027】
図3および図4に示すように、照明装置14は、棚板11dの側面、具体的には冷蔵室3(本体2)の背面側の側面から棚板11dの内部に向けて光を照射するように配置されている。また、この場合、棚板11dの上面において、冷蔵庫1の前後方向(図3における左右方向)の中央付近には、光を乱反射する乱反射領域34が形成されている。乱反射領域34は、文字(例えば「COOL」)を表す凹凸により形成されており、その凹凸の間隔は、照明装置14からの距離が遠いほど狭くなっている。
【0028】
乱反射領域34は、上記凹凸を有するシールまたはシートを棚板11dに貼り付けることにより形成することができる。また、乱反射領域34は、棚板11dに対し、上記凹凸を付与する加工(例えばシボ加工)を施すことにより形成することもできる。なお、乱反射領域34は、棚板11dの上面に代えてまたは加えて、棚板11dの下面に形成してもよい。また、乱反射領域34は、文字を表す凹凸に代えてまたは加えて図形を表す凹凸により形成してもよい。
【0029】
この場合、図3および図4に示すように、棚板11dの4つの側面のうち、照明装置14が配置された側の側面を除く3つの側面には、光を反射する反射部材35が配置されている。反射部材35は、例えばアルミのテープなどであり、棚板11dの上記3つの側面だけを覆うように貼り付けられている。
【0030】
次に、上記構成の照明装置14による照明について説明する。
上記構成によれば、照明装置14から照射された光は、透明部材である棚板11dの内部に導かれる(導光される)。そして、棚板11dの内部に導かれた光は、乱反射領域において乱反射する。この場合、乱反射領域34が棚板11dの上面に形成されていることから、乱反射された光により棚板11dの上方、つまり棚板11dに載置された貯蔵物の全体を万遍なく照らすことができる。なお、乱反射領域34が棚板11dの下面に形成されている場合、乱反射された光により棚板11dの下方、つまりチルド室12の内部を広範囲にわたって万遍なく照らすことができる。
【0031】
前述したように、乱反射領域34は、例えば「COOL」という文字を表す凹凸により形成されている。したがって、照明装置14から光が照射された状態では、図5に示すように、乱反射領域34において乱反射される光によって「COOL」という文字が浮かび上がり、ユーザは、その文字を認識することができる。
【0032】
一方、照明装置14から光が照射されていない状態では、図6に示すように、「COOL」という文字が浮かび上がることはない。なお、図5および図6、後述する図8および図9などは、あくまでも表示の態様を説明するための図であり、実際の表示の態様を正確に表すものではない。この場合、図5などでは、特に発光している箇所を黒塗りで表現するとともに、それ以外の箇所を白抜きで表現している。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫1では、チルド室12の天井を構成する棚板11dが透過部材により構成されており、庫内に設けられ扉3aおよび扉3bのうち少なくとも一方の開放時に点灯する照明装置14は、棚板11dの側面から棚板11dの内部に向けて光を照射するように設けられている。そして、棚板11dには、光を乱反射する乱反射領域34が形成されている。
【0034】
このような構成によれば、乱反射領域34が棚板11dの上面に形成されている場合には、棚板11dに載置された貯蔵物の配置に依存することなく、その全体を万遍なく照らすことができる。また、上記構成によれば、乱反射領域34が棚板11dの下面に形成されている場合には、チルド室12の内部を広範囲にわたって万遍なく照らすことができる。そして、この場合、照明装置14は、棚板11dの背面側に設けられているため、照明装置14によって棚板11dの貯蔵物の収納高さが減少することがない。したがって、本実施形態によれば、貯蔵物の収納性を低下させることなく良好に維持しつつ、貯蔵物の視認性を高めることができるという優れた効果が得られる。
【0035】
乱反射領域34は、文字または図形の一方または双方を表す凹凸により形成することができる。ここで、上記文字として、ユーザに報知したい文字を採用しておけば、ユーザが扉3a、3bを開けた際、制御部20が報知のための専用の処理を行うことなく、従来通り照明装置14を点灯するための処理を実行するだけで、その文字や図形をユーザに対して容易に報知することができる。
【0036】
本実施形態では、棚板11dを含む棚板11と照明装置14とは、別体として構成されている。このような構成によれば、従来の冷蔵庫と同様、棚板11を容易に取り外すことが可能となる。したがって、本実施形態の構成によれば、ユーザは、棚板11の清掃作業を容易に行うことができる。
【0037】
本実施形態では、棚板11dの4つの側面のうち照明装置14が配置された側の側面を除く3つの側面に光を反射する反射部材35が配置されている。このような構成によれば、照明装置14から照射された光のうち、乱反射領域34において乱反射することなく通過した光、乱反射領域34とは異なる方向へと照射された光などを反射部材35によって反射させることが可能となり、その反射された光を乱反射領域34により乱反射させることができる。したがって、本実施形態によれば、反射部材35を配置しない構成に比べ、同程度の照明効果を維持しつつ、照明装置14の出力(入力)を低く抑えることが可能となり、その分だけ、冷蔵庫1の消費電力を低減することができる。
【0038】
反射部材35は、棚板11dの側面だけを覆うように設けられている。言い換えると、反射部材35は、棚板11dの上面および下面を覆うように設けられていない。このような構成によれば、照明装置14から光が照射されると、棚板11dの上面および下面の外形(四角形)に沿うように発光が生じるため、その美観が向上するという効果が得られる。
【0039】
本実施形態では、乱反射領域34の凹凸(シボ)の間隔(粗/密)は、照明装置14からの距離に応じて変化している。具体的には、照明装置14からの距離が短いほど凹凸の間隔は広くなっており()、照明装置14からの距離が長いほど凹凸の間隔は狭くなっている()。このようにすれば、照明装置14からの距離に依存することなく、乱反射領域34において乱反射された光の強度が均一となり、その乱反射された光によって浮かび上がる文字の明るさを均一にすることができる。
【0040】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図7図9を参照して説明する。
本実施形態の棚板41は、第1実施形態の棚板11dと同様、チルド室12の天井部分を構成するものである。この場合、棚板41の上面において、本体2の前面開口部、つまり扉3a、3b側の端部(図7における右側の端部)近傍の位置には、光を乱反射する乱反射領域42が形成されている。
【0041】
乱反射領域42は、乱反射領域34と同様に文字を表す凹凸により形成されているが、その文字は、冷蔵庫1の動作に関する情報を表すためのものとなっている。具体的には、上記文字は、チルド室12のモードの設定状況を表すためのものとなっている。したがって、本実施形態では、表示パネル28に表示される各種の情報に、チルド室12のモードが含まれていない。また、この場合、操作部27のうち少なくともチルド室12のモード設定に関するものは庫内に設けられている。
【0042】
本実施形態では、制御部20は、ユーザによる操作部27の操作により「チルド冷却」モードに設定されると、チルド室12に送り込まれる空気の温度および風量が当該モードに適したものとなるように圧縮機25およびファン26の動作を制御するとともに、照明装置14の動作を制御してチルド室12のモードが「チルド冷却」モードに設定されていることを示す表示を行う。
【0043】
また、制御部20は、ユーザによる操作部27の操作により「解凍」モードに設定されると、チルド室12に送り込まれる空気の温度および風量が当該モードに適したものとなるように圧縮機25およびファン26の動作を制御するとともに、照明装置14の動作を制御してチルド室12のモードが「解凍」モードに設定されていることを示す表示を行う。
【0044】
前述したように、乱反射領域42は、チルド室12のモードの設定状況を表すための文字を表す凹凸により形成されている。具体的には、乱反射領域42は、図8および図9に示すように、乱反射領域42の左側の半分に配置された「チルド冷却」という文字と、右側の半分に配置された「解凍」という文字を表す凹凸により形成されている。なお、ここで言う左右方向は、冷蔵庫1の左右方向(図1における左右方向)と同様の方向である。また、乱反射領域42は、上記文字を表す凹凸に代えてまたは加えてチルド室12のモードの設定状況を表すための図形を表す凹凸により形成してもよい。
【0045】
この場合、制御部20は、チルド室12のモードが「チルド冷却」モードに設定されると、乱反射領域42の左側の半分に対向する位置のLED31だけが点灯するように照明装置14の動作を制御する。このような制御の結果、図8に示すように、乱反射領域42には、乱反射される光によって「チルド冷却」という文字だけが浮かび上がる。そうすると、ユーザは、浮かび上がった文字によってチルド室12のモードを認識することができる。
【0046】
また、制御部20は、チルド室12のモードが「解凍」モードに設定されると、乱反射領域42の右側の半分に対向する位置のLED31だけが点灯するように照明装置14の動作を制御する。このような制御の結果、図9に示すように、乱反射領域42には、乱反射される光によって「解凍」という文字だけが浮かび上がる。そうすると、ユーザは、浮かび上がった文字によってチルド室12のモードを認識することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の棚板41に形成された乱反射領域42は、第1実施形態の乱反射領域34と同様に文字を表す凹凸により形成されているため、第1実施形態と同様の効果が得られる。さらに、この場合、上記文字は、冷蔵庫1の動作に関する情報を表すためのもの、具体的には、チルド室12のモードを表すためのものとなっている。したがって、本実施形態によれば、表示パネル28による表示に代えて、照明装置14による照明によってチルド室12のモードをユーザに報知することができる。
【0048】
また、この場合、チルド室12のモードを設定するための操作部27は、庫内に設けられている。このような構成によれば、ユーザは、扉3a、3bを開けた状態で、棚板41の手前側の端部に近い位置に設けられた乱反射領域42に浮かび上がる文字を確認しながら操作部27を操作することにより、チルド室12のモードを所望するモードに切り替えることができる。
【0049】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について図10および図11を参照して説明する。
図10に示すように、本実施形態の冷蔵庫51は、上記各実施形態の冷蔵庫1に対し、棚板11a、11b、11cに代えて棚板52a、52b、52cを備えている点、照明装置53a、53b、53cが追加されている点などが異なっている。棚板52a~52cは、庫内を区画する棚に相当するものであり、その具体的な構成は後述する。なお、以下では、棚板52a~52cのそれぞれを区別する必要がない場合、それらを総称して棚板52とも呼ぶ。
【0050】
照明装置53a~53cは、冷蔵室3の内部である庫内に設けられている。照明装置53aは、冷蔵室3の背面の壁部分であって、棚板52aと対向する位置に設けられている。照明装置53bは、冷蔵室3の背面の壁部分であって、棚板52bと対向する位置に設けられている。照明装置53cは、冷蔵室3の背面の壁部分であって、棚板52cと対向する位置に設けられている。照明装置53a~53cは、それぞれ棚板52a~52cの近傍を照らすために設けられている。なお、以下では、照明装置53a~53cのそれぞれを区別する必要が無い場合、それらを総称して照明装置53とも呼ぶ。
【0051】
続いて、照明装置53および棚板52の具体的な構成について、図11を参照して説明する。なお、図11において、棚板52は、説明の都合上、各構成要素を分解した状態で示されている。図11に示すように、照明装置53は、上記各実施形態における照明装置14と同様の構成、つまり複数のLED31、LED基板32、LED基板固定具33などを備えたLEDユニットとして構成されている。この場合も、照明装置53は、棚板52の側面、具体的には冷蔵室3(本体2)の背面側の側面から棚板52の内部に向けて光を照射するように配置されている。
【0052】
棚板52は、光を透過する透過部材であるアクリル板54が、拡散シート55および反射シート56により挟み込まれることにより構成されている。拡散シート55は、文字などを表す凹凸を有するシートであり、アクリル板54の上面側を覆うように設けられている。これにより、アクリル板54の上面の全域に、光を乱反射する乱反射領域が形成されている。
【0053】
また、反射シート56は、例えばアルミなどの金属製のシートであり、アクリル板54の下面側を覆うように設けられている。これにより、アクリル板54の下面の全域に、光を反射する反射領域が形成されている。この場合、反射シート56は、反射部材に相当する。なお、拡散シート55および反射シート56の配置を入れ替えることもできる。このようにすれば、アクリル板54の上面の全域に反射領域が形成されるとともに、アクリル板54の下面の全域に乱反射領域が形成される。
【0054】
上記構成によれば、照明装置53から照射された光は、棚板52のアクリル板54の内部に導かれる(導光される)。そして、アクリル板54の内部に導かれた光は、乱反射領域を形成する拡散シート55によって乱反射する。この場合、乱反射領域がアクリル板54の上面に形成されていることから、乱反射された光により棚板52の上方、つまり棚板52に載置された貯蔵物の全体を万遍なく照らすことができる。なお、乱反射領域がアクリル板54の下面に形成されている場合、乱反射された光により棚板52の下方を広範囲にわたって万遍なく照らすことができる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫51では、庫内を仕切る棚板52が透過部材であるアクリル板54を有する構成となっており、庫内に設けられ扉3aおよび扉3bのうち少なくとも一方の開放時に点灯する照明装置53は、棚板52の側面から棚板52の内部に向けて光を照射するように設けられている。そして、棚板52には、光を乱反射する乱反射領域が形成されている。したがって、本実施形態によっても、第1実施形態などと同様、貯蔵物の収納性を低下させることなく良好に維持しつつ、貯蔵物の視認性を高めることができるという優れた効果が得られる。
【0056】
本実施形態では、棚板52の下面を覆うように反射シート56が配置されており、それにより下面の全域に光を反射する反射領域が形成されている。このような構成によれば、照明装置53から照射された光のうち、アクリル板54の下面側へと照射された光を反射させることが可能となり、その反射された光をアクリル板54の上面側に形成された乱反射領域により乱反射させることができる。
【0057】
したがって、本実施形態によれば、反射シート56を配置しない構成に比べ、同程度の照明効果を維持しつつ、照明装置53の出力(入力)を低く抑えることが可能となり、その分だけ、冷蔵庫51の消費電力を低減することができる。なお、本実施形態においても、第1実施形態などの棚板11dと同様の反射部材35を棚板52の側面に配置してもよい。このようにすれば、上述した反射による効果を一層高めることができる。
【0058】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記し且つ図面に記載した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で任意に変形、組み合わせ、あるいは拡張することができる。
上記各実施形態で示した数値などは例示であり、それに限定されるものではない。
【0059】
乱反射領域は、単なる四角形などの図形だけを表す凹凸により形成されていてもよい。このような構成であっても、照明装置14から照射された光を乱反射することにより、庫内を明るく照らすことができ、食品、食材などの貯蔵物の視認性を良好にすることができる。
【0060】
第1および第2実施形態における反射部材35は、棚板11dの4つの側面のうち、照明装置14が配置された側の側面を除く3つの側面の少なくとも1つに配置されていればよい。このような構成であっても、照明装置14から照射された光の少なくとも一部を反射させることができるため、照明装置14の出力を低く抑える効果を得ることができる。また、反射部材35は、棚板11dの側面に加え上面および下面の一方または双方を覆うように配置されていてもよい。この構成によれば、前述した美観向上の効果は得られないものの、光を反射することにより得られる効果が損なわれることはない。さらに、反射部材35は、必要に応じて設ければよく、省略することも可能である。
【0061】
照明装置14、53のLED31として、その発光色を変更することができるものを用いてもよい。このようにすれば、照明装置14、53により照明する箇所の温度に応じて、照明の色を変えることが可能となる。例えば、冷蔵室3内の温度に応じて、下記のように、照明の色をステップ的に、あるいは連続的に変化させることができる。
冷蔵室3内の温度:20℃以上 …発光色:赤色
冷蔵室3内の温度:10℃以上且つ20℃未満 …発光色:オレンジ色
冷蔵室3内の温度:7℃以上且つ10℃未満 …発光色:黄色
冷蔵室3内の温度:6℃未満 …発光色:白色
このようにすれば、ユーザは、照明の色の違いから、その照明された箇所の温度の違いを直感的に認識することができる。
【0062】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
図面中、1、51は冷蔵庫、2は本体、3aは左扉(扉)、3bは扉、11、41、52は棚板(棚)、14、53は照明装置、20は制御部、34、42は乱反射領域、35は反射部材、55は拡散シート(乱反射領域)、56は反射シート(反射部材)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11