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特許7197982複数個のセッティングブロックを備えた枠フレーム
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  • 特許-複数個のセッティングブロックを備えた枠フレーム 図1
  • 特許-複数個のセッティングブロックを備えた枠フレーム 図2
  • 特許-複数個のセッティングブロックを備えた枠フレーム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】複数個のセッティングブロックを備えた枠フレーム
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/54 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
E06B3/54 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018017336
(22)【出願日】2018-02-02
(65)【公開番号】P2019132102
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】300088186
【氏名又は名称】株式会社エクセルシャノン
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】細川 大輔
(72)【発明者】
【氏名】高田 和規
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-224391(JP,A)
【文献】特開2008-111297(JP,A)
【文献】実開昭60-110587(JP,U)
【文献】特開2016-044395(JP,A)
【文献】特開2017-166248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00- 1/70
E06B 3/04- 3/46
E06B 3/50- 3/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形ガラスの片面周縁部を受ける受面と該ガラスの4側面に対して所定の間隔をおいて対向し且つ該受面に対して垂直である対向面と該面よりも外側に位置し且つ該対向面に対して垂直である補助面とを有する矩形の枠フレームであって、枠フレームの延在方向に間隔をおいて固定された複数個のセッティングブロックを備えた枠フレームにして、
該セッティングブロックの各々は、真直に延在する平面である外面と、該外面に対して垂直に延在する平面である後面と、内側部を除いて該外面に対して垂直に延在する平面である前面と、前側部を除いて該外面と平行に延在する平面である内面とを有し、該前面の該内側部と該内面の該前側部とは協働して、該枠フレームに対する該ガラスの装填方向に見て下流に向かって漸次内方に変位する案内面を規定しており、
該セッティングブロックの各々は、該外面を枠フレームの該対向面に密接させると共に該後面を枠フレームの該補助面に密接させて、該フレームに固定されている、
ことを特徴とする枠フレーム。
【請求項2】
該案内面は円弧形状である、請求項1記載の枠フレーム
【請求項3】
硬質塩化ビニルから形成されている、請求項1又は2記載の枠フレーム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、矩形ガラスが装填される全体として矩形の枠フレーム、更に詳しくは枠フレームの延在方向に間隔をおいて固定された複数個のセッティングブロックを備えた枠フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
建造物の窓として、建造物の所要位置に固定される全体として矩形である枠フレームとこの枠フレームに装填された矩形ガラスとから構成された窓が広く実用に供されている。断熱性等の点から適宜の合成樹脂から形成されているのが好都合である枠フレームは、ガラスの片面外周縁部を受ける受面とガラスの4側面に対して所定の間隔をおいて対向する対向面とを有する。下記特許文献1に開示されているとおり、枠フレームにはその延在方向に適宜の間隔をおいて複数個のセッティングブロックが装着されている。かかるセッティングブロックは直方体形状であり、その外面を枠フレームの対向面に密接させて枠フレームに装着される。枠フレームに装着されたセッティングブロックの内面は、枠フレームに装填されるガラスの外径よりも若干大きく、ガラスが高精度で枠フレームに対して位置付けられて装填された場合にはガラスの側面とセッティングブロックの内面との間に1mm程度の隙間が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017‐57676公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、枠フレームにガラスを装填する際に枠フレームに対してガラスを高精度で位置付けることは必ずしも容易ではなく、ガラスの外縁とセッティングブロックとが干渉することが少なくない。かような場合、楔形状の補助具を使用して枠フレームの対向面を外側に幾分変位させてガラスの装填を遂行している。然るに、かような装填様式を遂行した場合、フレームが幾分変形された状態でガラスが装填され、かような状態が矯正されることなく維持されてしまう傾向がある。
【0005】
本発明は上記のとおりの事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、セッティングブロックの形態を改良して、枠フレームに対してガラスが充分高精度で位置付けられなかった場合でも、セッティングブロックの案内作用によって枠フレームに対するガラスの位置が矯正されて枠フレームに対してガラスが高精度で位置付けられ、かくして枠フレームが変形されてしまうことを可及的に回避して充分容易に且つ充分高精度に枠フレームにガラスを装填すること可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意検討の結果、セッティングブロックの各々を、前面の内側部と内面の前側部とは協働して、枠フレームに対するガラスの装填方向に見て下流に向かって漸次内方に変位する案内面を規定する形態にすると共に、真直に延在する平面である外面を枠フレームの対向面に密接させると共に外面に対して垂直に延在する平面である後面を枠フレームの補助面に密接させて枠フレームに固定される形態にする、ことによって上記主たる技術的課題を達成することができることを見出した。
【0007】
即ち、本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成する枠フレームとして、
矩形ガラスの片面周縁部を受ける受面と該ガラスの4側面に対して所定の間隔をおいて対向し且つ該受面に対して垂直である対向面と該面よりも外側に位置し且つ該対向面に対して垂直である補助面とを有する矩形の枠フレームであって、枠フレームの延在方向に間隔をおいて固定された複数個のセッティングブロックを備えた枠フレームにして、
該セッティングブロックの各々は、真直に延在する平面である外面と、該外面に対して垂直に延在する平面である後面と、内側部を除いて該外面に対して垂直に延在する平面である前面と、前側部を除いて該外面と平行に延在する平面である内面とを有し、該前面の該内側部と該内面の該前側部とは協働して、該枠フレームに対する該ガラスの装填方向に見て下流に向かって漸次内方に変位する案内面を規定しており、
該セッティングブロックの各々は、該外面を枠フレームの該対向面に密接させると共に該後面を枠フレームの該補助面に密接させて、枠フレームに固定されている、
ことを特徴とする枠フレーム提供される。
【0008】
該案内面は円弧形状であるのが好適である。好ましくは、セッティングブロックは硬質塩化ビニル、から形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の枠フレームによれば、枠フレームに対してガラスが充分高精度で位置付けられなかった場合でも、セッティングブロックの案内面の案内作用によって枠フレームに対するガラスの位置が矯正されて枠フレームに対してガラスが高精度で位置付けられ、かくして枠フレームが変形されてしまうことを可及的に回避して充分容易に且つ充分高精度に枠フレームにガラスを装填することができる。特に、案内面が円弧形状である場合及び/又はセッティングブロックが硬質塩化ビニルから形成されている場合、セッティングブロックの案内面によってガラスの外縁が充分円滑に案内される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に従って構成された枠フレームを示す簡略図。
図2図1の枠フレームを示す部分断面図。
図3図1の枠フレームにガラスを装填した状態を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に従って構成された枠フレームの好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0012】
図1及び図2を参照して説明すると、全体を番号2で示す枠フレームは上側フレーム部材4、下側フレーム部材6、右側フレーム部材8及び左側フレーム部材10から構成されており、全体として矩形である。上側フレーム部材4、下側フレーム部材6、右側フレーム部材8及び左側フレーム部材10の各々は、硬質塩化ビニルの如き適宜の合成樹脂から押出成形することができ、両端を45度でよい傾斜面に切断される。そして、上側フレーム部材4の両端に右側フレーム部材8及び左側フレーム部材10の上端が、下側フレーム部材6の両端に右側フレーム部材8及び左側フレーム部材10の下端が、夫々、加熱溶融圧着の如き適宜の様式によって接続され、かくして矩形の枠フレーム2が形成される。枠フレーム2を構成する上側フレーム部材4、下側フレーム部材6、右側フレーム部材8及び左側フレーム部材10の各々は、中空形態であり、後述する如くガラスの片面周縁部を受ける平坦な受面12とガラスの4側面の各々に対して若干の間隔をおいて対向する平坦な対向面14とを有する。受面12に隣接してその外側には受面12よりも幾分後退した平坦な補助面16が存在する。フレーム2を構成する上側フレーム部材4、下側フレーム部材6、右側フレーム部材8及び左側フレーム部材10の各々は周知の形態でよいので、これらの詳細な説明は本明細書においては省略する。
【0013】
1に明確に図示するとおり、枠フレーム2にはその延在方向に間隔をおいて複数個のセッティングブロック18が固定されている図1には、枠フレーム2を構成する上側フレーム部材4及び下側フレーム部材6の各々に固定された1個のセッティングブロック18と右側フレーム部材8及び左側フレーム部材10の各々に固定された2個のセッティングブロック18が図示されている。セッティングブロック18の各々は、全体として略直方体形状であり、外面20、内面22、前面24及び後面26を有する。外面20はその全体に渡って真直に延在する平面であり、同様に後面26もその全体に渡って真直に延在する平面である。セッティングブロック18の各々の両側面もその全体に渡って真直に延在する平面でよい。かようなセッティングブロック18は、図2に図示する如く、その外面20を上側フレーム部材4、下側フレーム部材6、右側フレーム部材8及び左側フレーム部材10の対向面14に密接させ、その後面26を上側フレーム部材4、下側フレーム部材6、右側フレーム部材8及び左側フレーム部材10の補助面16に密接させて、接着剤の如き適宜の固定手段によって固定される。
【0014】
本発明に従って構成された枠フレーム2のセッティングブロック18においては、前面24の主部(即ち内側部を除く部分)は外面20に対して垂直に延びる平面であり、内面22の主部(即ち前側部を除く部分)は外面20と平行に延在する平面であるが、前面24の内側部(図2において右側部)と、内面22の前側部(即ち、後述するガラスの装填方向である、図2に矢印28で示す方向に見て上流側に位置する前側部)は、協働して矢印28で示す方向に見て下流に向かって(図2において下方に向かって)漸次内方(図2において右方)に変位する案内面30を規定していることが重要である。図示の実施形態においては、前面24の内側部及び内面22の前側部は協働して略4半円である円弧をなす案内面30を規定している。所望ならば、円弧をなす案内面30に代えて、矢印28で示す方向に見て下流に向かって内側(図2において右側)に傾斜して延在する傾斜平面をなす案内面を規定することもできる。
【0015】
上述したとおりのセッティングブロック18は、案内面30によるガラス案内が効果的に実現されるべく、表面摩擦抵抗が充分小さく(表面摩擦抵抗が大きいと、ガラスを円滑に案内することが困難になる傾向がある)、そしてまた適宜の硬度を有する(硬度が過小であると、セッティングブロック18の過剰弾性変形によって案内面30による案内作用が毀損されてしまう虞がある)ことが望まれ、かような点から適宜の合成樹脂、特に硬質塩化ビニルから形成されているのが好ましい。
【0016】
図2に明確に図示するとおり、枠フレーム2にガラスを装填するのに先立って、上側フレーム部材4、下側フレーム部材6、右側フレーム部材8及び左側フレーム部材10の受面12には、両面接着テープから構成することができる接着層32が固定される。
【0017】
図2と共に図3を参照して説明を続けると、図示の実施形態においては、全体を番号34で示すガラスは、間隔ブロック36を介在させて相互に積層された3枚の矩形ガラス板38から構成されている。ガラス34は全体として矩形であり、その外郭は上記セッティングブロック18の内面22によって規定される矩形よりも若干小さい。
【0018】
枠フレーム2にガラス34を装填する際には、セッティングブロック18内にガラス34を位置付けて矢印28で示す方向に移動するが、ガラス34を高精度で位置付けることは必ずしも容易ではなく、位置付け誤差に起因して図2に二点鎖線で示すとおり、ガラス34の縁がセッティングブロック18の前面24に干渉する傾向がある。然るに、本発明に従って構成された枠フレーム2においては、セッティングブロック18上述したとおりの案内面30が規定されている故に、セッティングブロック18の案内面30に干渉したガラス34の縁は案内面30に案内されて円滑に所要位置に案内され、セッティングブロック18の内面22によって規定される矩形内に導入される。そして、図3に図示する如く、ガラス34の片面外周縁部が接着層32を介して受面12に固着される。
【0019】
図3に図示する如く、上述した通りにして枠フレーム2にガラス34を装填した後には、枠フレーム2にそれ自体は周知の形態でよい押縁40が装着され、押縁40に配設されている密封片42がガラス34の他面に密接される。
【符号の説明】
【0020】
2:枠フレーム
12:受面
14:対向面
18:セッティングブロック
20:セッティングブロックの外面
22:セッティングブロックの内面
24:セッティングブロックの前面
26:セッティングブロックの後面
28:ガラスの装填方向
30:セッティングブロックの案内面
32:接着層
34:ガラス
40:押縁
図1
図2
図3