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特許7197987自動運転車両を管理するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】自動運転車両を管理するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20221221BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20221221BHJP
   B60W 30/00 20060101ALI20221221BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20221221BHJP
【FI】
G08G1/00 X
G08G1/09 H
B60W30/00
G06Q50/30
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018044779
(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公開番号】P2019159725
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100125195
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 雄一
(72)【発明者】
【氏名】一階 武史
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-208195(JP,A)
【文献】特開2017-055307(JP,A)
【文献】実開昭48-011894(JP,U)
【文献】特開2014-032489(JP,A)
【文献】特開2001-265439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/09
B60W 30/00
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両を管理するためのシステムであって、
ユーザによる所定の操作に応じて所定のビーコン信号を発信するように構成された第1の装置と、
前記所定のビーコン信号を受信可能な第2の装置であって前記自動運転車両の運行エリアに複数配置された前記第2の装置と、
前記第2の装置と通信可能に接続されると共に前記自動運転車両を制御するように構成された第3の装置と、を備え、
前記第2の装置は、前記所定のビーコン信号の受信に応じて、前記第3の装置に対して前記所定のビーコン信号の受信信号強度を含む所定の情報を送信するように構成されており、
前記第3の装置は、複数の前記第2の装置の各々から受信した前記所定の情報に含まれる前記所定のビーコン信号の受信信号強度に少なくとも基づいて前記第1の装置の位置を判定し、判定した前記第1の装置の位置に少なくとも基づいて前記自動運転車両の停車位置を決定し、決定した停車位置に前記自動運転車両を停車させるように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記所定の操作は、前記第1の装置が有する物理ボタンを押す操作を含む、
請求項1のシステム。
【請求項3】
自動運転車両を管理するための方法であって、
第1の装置が、ユーザによる所定の操作に応じて所定のビーコン信号を発信するステップと、
前記所定のビーコン信号を受信可能な第2の装置であって前記自動運転車両の運行エリアに複数配置された前記第2の装置が、前記所定のビーコン信号の受信に応じて、前記第2の装置と通信可能に接続されると共に前記自動運転車両を制御するように構成された第3の装置に対して前記所定のビーコン信号の受信信号強度を含む所定の情報を送信するステップと、
前記第3の装置が、複数の前記第2の装置の各々から受信した前記所定の情報に含まれる前記所定のビーコン信号の受信信号強度に少なくとも基づいて前記第1の装置の位置を判定し、判定した前記第1の装置の位置に少なくとも基づいて前記自動運転車両の停車位置を決定し、決定した停車位置に前記自動運転車両を停車させるステップと、を備える、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車両を管理するためのシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動運転車両を管理するための技術が提案されている(例えば、下記特許文献1を参照)。例えば、所定のルートを運行する自動運転車両を複数のユーザが共用する乗り合いバス等のサービスにおいては、乗車を希望するユーザが居る場所(例えば、停留所のような予め定められた場所、又は、ルート上の任意の場所等)において自動運転車両を停車させるための制御が必要となる。この場合の自動運転車両の制御としては、例えば、スマートフォン等のユーザ端末を介してユーザによって乗車希望が入力されると、当該ユーザが居る場所において自動運転車両を停車させ、又は、ユーザ端末を介して入力された乗車希望場所において自動運転車両を停車させるような制御が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-018389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したようなユーザ端末に対する入力操作を前提とした仕組みが適切とは言えないユーザも存在し得る。例えば、幼い子供及び高齢者、或いは、手袋を装着し又は荷物を持っているユーザ等にとっては、ユーザ端末に対する複雑な入力操作は負担となり得る。
【0005】
本発明の実施形態は、自動運転車両への乗車を希望するユーザに対する入力操作の負担を軽減することを目的の一つとする。本発明の実施形態の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るシステムは、自動運転車両を管理するためのシステムであって、ユーザによる所定の操作に応じて所定のビーコン信号を発信するように構成された第1の装置と、前記所定のビーコン信号を受信可能な第2の装置と、前記第2の装置と通信可能に接続されると共に前記自動運転車両を制御するように構成された第3の装置と、を備え、前記第2の装置は、前記所定のビーコン信号の受信に応じて、前記第3の装置に対して所定の情報を送信するように構成されており、前記第3の装置は、前記所定の情報の受信に応じて、前記自動運転車両を停車させるように構成されている。
【0007】
本発明の一実施形態に係る方法は、自動運転車両を管理するための方法であって、第1の装置が、ユーザによる所定の操作に応じて所定のビーコン信号を発信するステップと、前記所定のビーコン信号を受信可能な第2の装置が、前記所定のビーコン信号の受信に応じて、前記第2の装置と通信可能に接続されると共に前記自動運転車両を制御するように構成された第3の装置に対して所定の情報を送信するステップと、前記第3の装置が、前記所定の情報の受信に応じて、前記自動運転車両を停車させるステップと、を備える。
【0008】
本発明の他の実施形態に係るシステムは、自動運転車両を管理するためのシステムであって、ユーザによる所定の操作に応じて所定のビーコン信号を発信するように構成された第1の装置と、前記自動運転車両に搭載され、前記所定のビーコン信号を受信可能であると共に前記自動運転車両を制御するように構成された第2の装置と、を備え、前記第2の装置は、前記所定のビーコン信号の受信に応じて、前記自動運転車両を停車させるように構成されている。
【0009】
本発明の他の実施形態に係る方法は、自動運転車両を管理するための方法であって、第1の装置が、ユーザによる所定の操作に応じて所定のビーコン信号を発信するステップと、前記自動運転車両に搭載され、前記所定のビーコン信号を受信可能であると共に前記自動運転車両を制御するように構成された第2の装置が、前記所定のビーコン信号の受信に応じて、前記自動運転車両を停車させるステップと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の様々な実施形態は、自動運転車両への乗車を希望するユーザに対する入力操作の負担を軽減する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る自動運転車両管理システム1の構成を概略的に示す構成図。
図2】ビーコン装置10の外観を例示する外観図。
図3】自動運転車両管理サーバ30と車両制御装置51及び情報表示装置53との間で行われる通信を説明するための図。
図4】第1の実施形態において、ビーコン装置10、ユーザ端末20、及び自動運転車両管理サーバ30の間で行われる通信を例示するシーケンス図。
図5】本発明の第2の実施形態に係る自動運転車両管理システム1Aの構成を概略的に示す構成図。
図6】第2の実施形態において、ビーコン装置10、設置端末20A、及び自動運転車両管理サーバ30の間で行われる通信を例示するシーケンス図。
図7】第2の実施形態において、ビーコン信号の受信信号強度に基づいてビーコン装置10の位置を判定する方法を説明するための図。
図8】本発明の第3の実施形態に係る自動運転車両管理システム1Bの構成を概略的に示す構成図。
図9】第3の実施形態において、ビーコン装置10、及び、車載端末20Bの間で行われる通信を例示するシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る自動運転車両管理システム1の構成を概略的に示す構成図である。システム1は、図示するように、ユーザによって携帯されると共にビーコン信号を発信可能なビーコン装置10と、同じくユーザによって携帯されると共にビーコン信号を受信可能なユーザ端末20と、当該ユーザ端末20と通信ネットワーク40を介して通信可能に接続されている自動運転車両管理サーバ30とを備える。サーバ30は、通信ネットワーク40を介して、自動運転車両50に搭載されている車両制御装置51及び情報表示装置53と通信可能に接続されている。
【0014】
本実施形態における自動運転車両管理システム1は、特定の施設において所定の走行ルートを運行する1又は複数の自動運転車両50を管理する。特定の施設は、例えば、動物園及び遊園地等のアミューズメント施設、各種プラント施設、又は、その他の施設が含まれる。車両50は、例えば、特定の施設のユーザが利用する乗り合いバスである。
【0015】
図2は、本実施形態におけるビーコン装置10の外観を例示する外観図である。図2に例示されるビーコン装置10は、略板状の本体部11と、当該本体部11の一方の面に露出するように設けられた円板状の物理ボタン12とを有する。ビーコン装置10は、物理ボタン12がユーザによって押されると、ビーコン信号を発信するように構成されている。ビーコン信号は、例えば、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)の無線信号(電波)として構成される。なお、図2に例示したビーコン装置10の外観は例示であって、本発明の実施形態におけるビーコン装置10の外観及び形状等はこれに限定されない。
【0016】
ユーザ端末20は、一般的なコンピュータとしての構成を有し、例えば、スマートフォン、ウェアラブル端末、タブレット端末等として構成される。
【0017】
自動運転車両管理サーバ30は、一般的なコンピュータとしての構成を有し、自動運転車両50に搭載されている車両制御装置51を介して自動運転車両50の走行を制御し、また、同じく自動運転車両50に搭載されている情報表示装置53における情報の表示を制御する。
【0018】
図3は、自動運転車両管理サーバ30と、車両制御装置51及び情報表示装置53との間で行われる通信を説明するための図である。図示するように、車両制御装置51からサーバ30に対して、車両50の車両状況情報が送信される。当該車両状況情報は、時刻毎の車両50の状況を示す情報であり、例えば、位置、速度、及び方角等が含まれる。
【0019】
また、図3に示すように、自動運転車両管理サーバ30から車両制御装置51に対して、車両制御情報が送信される。当該車両制御情報は、車両制御装置51による車両50の自動運転制御を行うための情報であり、例えば、走行ルートに関する情報(停車位置を含む。)が含まれる。サーバ30は、例えば、予め定められている走行ルートに従って車両50が走行するように車両制御装置51に対して車両制御情報を適宜に送信する。また、図示するように、サーバ30から情報表示装置53に対して、情報の表示を制御するための表示装置制御情報が送信される。
【0020】
情報表示装置53は、自動運転車両50の外部に向けて情報を表示するように当該車両50に搭載されており、例えば、無線通信機能を有するLED電光掲示板等として構成される。情報表示装置53は、例えば、右左折、並びに、減速及び停車に関して注意を喚起するための情報等が表示される。
【0021】
本実施形態において、自動運転車両50への乗車を希望するユーザは、ビーコン装置10を用いて当該車両50の停車を要求することができる。図4は、ユーザが携帯するビーコン装置10及びユーザ端末20、並びに、自動運転車両管理サーバ30の間で行われる通信を例示するシーケンス図である。まず、ビーコン装置10の物理ボタン12がユーザによって押されると、ビーコン装置10は、ビーコン信号を発信する(ステップS100)。当該ビーコン信号は、個別のビーコン装置10を識別する装置IDを含んでいる。当該装置IDは、例えば、ビーコン装置10が有するメモリ等に格納されている。
【0022】
特定のユーザによって携帯されるビーコン装置10がビーコン信号を発信すると、同じく特定のユーザによって携帯されるユーザ端末20がビーコン信号を受信する。ユーザ端末20は、典型的には、ユーザの衣服のポケットの内部、又は、鞄の内部等に収納されている。
【0023】
そして、ビーコン信号を受信したユーザ端末20は、自動運転車両管理サーバ30に対して停車要求情報を送信する(ステップS110)。停車要求情報は、ビーコン装置10の装置ID、及び、ユーザ端末20の位置情報を含んでおり、自動運転車両50の停車要求(配車要求)を行うためのアプリケーションを介してサーバ30に送信される。当該アプリケーションは、ユーザ端末20に予めインストールされており、ビーコン信号の受信に応じて起動され得る。ユーザ端末20の位置情報は、ユーザ端末20が有するGPS受信機等によって取得される。
【0024】
そして、停車要求情報を受信した自動運転車両管理サーバ30は、停車要求情報に含まれる装置IDを照合し(ステップS120)、自動運転車両50の停車位置を決定する(ステップS130)。装置IDの照合では、具体的には、停車要求情報に含まれる装置IDが、サーバ30が予め管理している複数の装置IDに含まれていることを確認する。また、車両50の停車位置は、具体的には、停車要求情報に含まれる位置情報に基づいて決定される。例えば、当該位置情報が示す位置から最も近い走行ルート上の位置、又は、停留所の位置が、車両50の停車位置として決定される。
【0025】
停車位置が決定されると、自動運転車両管理サーバ30は、決定された停車位置で自動運転車両50が停車するように、車両制御装置51に対して車両制御情報を送信する(ステップS140)。車両50は、車両制御装置51によって、決定された停車位置で停車するように制御される。
【0026】
以上説明した第1の実施形態に係る自動運転車両管理システム1は、ユーザによる所定の操作(物理ボタン12を押す操作)に応じて所定のビーコン信号を発信するように構成されたビーコン装置(第1の装置)10と、当該所定のビーコン信号を受信可能なユーザ端末(第2の装置)20と、当該ユーザ端末20と通信可能に接続されると共に自動運転車両50を(車両制御装置51を介して)制御するように構成された自動運転車両管理サーバ(第3の装置)30と、を備え、ユーザ端末20は、所定のビーコン信号の受信に応じて、自動運転車両管理サーバ30に対して車両停車要求(所定の情報)を送信するように構成されており、自動運転車両管理サーバ30は、車両停車要求の受信に応じて、自動運転車両50を停車させるように構成されている。このように、本実施形態に係る自動運転車両管理システム1において、ユーザは、ビーコン装置10の物理ボタン12を押すという簡易な操作で自動運転車両50を停車させることができるから、自動運転車両50への乗車を希望するユーザに対する入力操作の負担が軽減される。
【0027】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る自動運転車両管理システム1Aの構成を概略的に示す構成図である。自動運転車両管理システム1Aは、上述した第1の実施形態に係る自動運転車両管理システム1と同様に、ビーコン装置10と、自動運転車両管理サーバ30とを備える。また、第2の実施形態に係るシステム1Aは、第1の実施形態におけるユーザ端末20に代えて、設置端末20Aを備えている。当該設置端末20Aは、ビーコン装置10が発信するビーコン信号を受信可能であると共に自動運転車両管理サーバ30と通信可能に接続されている。また、複数の設置端末20Aが、自動運転車両50の運行エリア(例えば、走行ルートに沿った位置)に配置されている。さらに、第1の実施形態と同様に、サーバ30は、通信ネットワーク40を介して、自動運転車両50に搭載されている車両制御装置51及び情報表示装置53と通信可能に接続されている。
【0028】
設置端末20Aは、一般的なコンピュータとしての構成を有し、例えば、スマートフォン、ウェアラブル端末、タブレット端末、サーバ装置等として構成される。
【0029】
図6は、ユーザが携帯するビーコン装置10、運行エリアに配置されている複数の設置端末20A、及び、自動運転車両管理サーバ30の間で行われる通信を例示するシーケンス図である。まず、ビーコン装置10の物理ボタン12がユーザによって押されると、ビーコン装置10は、ビーコン信号を発信する(ステップS200)。当該ビーコン信号は、個別のビーコン装置10を識別する装置IDを含んでいる。当該装置IDは、例えば、ビーコン装置10が有するメモリ等に格納されている。
【0030】
特定のユーザによって携帯されるビーコン装置10がビーコン信号を発信すると、当該特定のユーザの位置からビーコン信号の通信範囲内(例えば、半径数十メートルの範囲内)に配置されている1又は複数の設置端末20Aがビーコン信号を受信する。そして、ビーコン信号を受信した設置端末20Aは、自動運転車両管理サーバ30に対して停車要求情報を送信する(ステップS210)。停車要求情報は、個別の設置端末20Aを識別する端末ID、ビーコン装置10の装置ID、及び、受信したビーコン信号の受信信号強度(RSSI)を含んでおり、自動運転車両50の停車要求(配車要求)を行うためのアプリケーションを介してサーバ30に送信される。当該アプリケーションは、設置端末20Aに予めインストールされており、ビーコン信号の受信に応じて起動され得る。
【0031】
そして、1又は複数の設置端末20Aから1又は複数の停車要求情報を受信した自動運転車両管理サーバ30は、各停車要求情報に含まれる装置IDを照合する(ステップS220)。装置IDの照合では、具体的には、停車要求情報に含まれる装置IDが、サーバ30が予め管理している複数の装置IDに含まれていることを確認する。
【0032】
続いて、自動運転車両管理サーバ30は、ビーコン装置10の位置を判定する(ステップS225)。具体的には、特定のビーコン装置10のビーコン信号を受信した設置端末20Aの位置、及び、当該設置端末20Aにおけるビーコン信号の受信信号強度に基づいて、特定のビーコン装置10の位置が判定される。特定のビーコン装置10に関する停車要求情報は、当該停車要求情報に含まれる装置IDによって特定される。なお、複数の設置端末20Aの各々の設置位置は、自動運転車両管理サーバ30において予め管理されている。
【0033】
例えば、図7に示すように、走行ルートRに沿って配置されている3つの設置端末20Aa、20Ab、20Acが、ビーコン装置10aからのビーコン信号を受信した場合、設置端末20Aa、20Ab、20Acの各々におけるビーコン信号の受信信号強度、及び、これらの設置端末20Aa、20Ab、20Acの設置位置に基づいて、ビーコン装置10aの位置が判定される。
【0034】
そして、自動運転車両管理サーバ30は、自動運転車両50の停車位置を決定する(ステップS230)。車両50の停車位置は、具体的には、ステップS225において判定されたビーコン装置10の位置に基づいて決定される。例えば、判定されたビーコン装置10の位置から最も近い走行ルート上の位置、又は、停留所の位置が車両50の停車位置として決定される。停車位置が決定されると、自動運転車両管理サーバ30は、決定された停車位置で自動運転車両50が停車するように、車両制御装置51に対して車両制御情報を送信する(ステップS240)。車両50は、車両制御装置51によって、決定された停車位置で停車するように制御される。
【0035】
以上説明した第2の実施形態に係る自動運転車両管理システム1Aは、ユーザによる所定の操作(物理ボタン12を押す操作)に応じて所定のビーコン信号を発信するように構成されたビーコン装置(第1の装置)10と、当該所定のビーコン信号を受信可能な設置端末(第2の装置)20Aと、当該設置端末20Aと通信可能に接続されると共に自動運転車両50を(車両制御装置51を介して)制御するように構成された自動運転車両管理サーバ30(第3の装置)と、を備え、設置端末20Aは、所定のビーコン信号の受信に応じて、自動運転車両管理サーバ30に対して車両停車要求(所定の情報)を送信するように構成されており、自動運転車両管理サーバ30は、車両停車要求の受信に応じて、自動運転車両50を停車させるように構成されている。このように、本実施形態に係る自動運転車両管理システム1Aにおいて、ユーザは、ビーコン装置10の物理ボタン12を押すという簡易な操作で自動運転車両50を停車させることができるから、自動運転車両50への乗車を希望するユーザに対する入力操作の負担が軽減される。
【0036】
図8は、本発明の第3の実施形態に係る自動運転車両管理システム1Bの構成を概略的に示す構成図である。自動運転車両管理システム1Bは、上述した第1及び第2の実施形態に係る自動運転車両管理システム1、1Aと同様に、ビーコン装置10を備える。本実施形態において、ビーコン装置10は、ユーザによって携帯され、又は、自動運転車両50の運行エリア(例えば、走行ルートに沿った位置)に配置され得る。
【0037】
また、第3の実施形態に係るシステム1Bは、第1の実施形態におけるユーザ端末20、及び、第2の実施形態における設置端末20Aに代えて、自動運転車両50に搭載された車載端末20Bを備えている。当該車載端末20Bは、自動運転車両50に搭載されている車両制御装置51及び情報表示装置53と通信可能に接続されている。車載端末20Bは、第1及び第2の実施形態における自動運転車両管理サーバ30と同様に、車両制御装置51を介して自動運転車両50の走行を制御し、また、情報表示装置53における情報の表示を制御する。
【0038】
車載端末20Bは、一般的なコンピュータとしての構成を有し、例えば、スマートフォン、ウェアラブル端末、タブレット端末、サーバ装置等として構成される。
【0039】
図9は、ビーコン装置10、及び、車載端末20Bの間で行われる通信を例示するシーケンス図である。まず、ビーコン装置10の物理ボタン12がユーザによって押されると、ビーコン装置10は、ビーコン信号を発信する(ステップS300)。当該ビーコン信号は、個別のビーコン装置10を識別する装置IDを含んでいる。当該装置IDは、例えば、ビーコン装置10が有するメモリ等に格納されている。
【0040】
ビーコン装置10がビーコン信号を発信すると、当該ビーコン装置10の位置からビーコン信号の通信範囲内(例えば、半径数十メートルの範囲内)に位置する車載端末20Bがビーコン信号を受信する。そして、ビーコン信号を受信した車載端末20Bは、ビーコン信号に含まれる装置IDを照合する(ステップS320)。装置IDの照合では、具体的には、ビーコン信号に含まれる装置IDが、車載端末20Bが予め管理している複数の装置IDに含まれていることを確認する。
【0041】
続いて、車載端末20Bは、自動運転車両50が停車するように、車両制御装置51に対して車両制御情報を送信する(ステップS340)。車両50は、車両制御装置51によって、(直ちに)停車するように制御される。
【0042】
以上説明した第3の実施形態に係る自動運転車両管理システム1Bは、ユーザによる所定の操作(物理ボタン12を押す操作)に応じて所定のビーコン信号を発信するように構成されたビーコン装置(第1の装置)10と、自動運転車両50に搭載され、当該所定のビーコン信号を受信可能であると共に当該車両50を(車両制御装置51を介して)制御するように構成された車載端末(第2の装置)20Bと、を備え、車載端末20Bは、所定のビーコン信号の受信に応じて、自動運転車両50を停車させるように構成されている。このように、本実施形態に係る自動運転車両管理システム1Bにおいて、ユーザは、ビーコン装置10の物理ボタン12を押すという簡易な操作で自動運転車両50を停車させることができるから、自動運転車両50への乗車を希望するユーザに対する入力操作の負担が軽減される。
【0043】
上述した各実施形態では、自動運転車両50が特定の施設における所定の走行ルートを運行するようにしたが、本発明の実施形態における車両50は、こうした施設等の私道を走行するものに限定されない。つまり、本発明の実施形態は、例えば、公道を走行する自動運転車両50を管理するように構成され得る。
【0044】
上述した各実施形態では、ビーコン装置10は、ビーコン信号を発信するための物理ボタン12を有するように構成されているが、本発明の他の実施形態におけるビーコン装置は、物理ボタンを有しておらず、物理ボタンを押すという操作以外の操作に応じてビーコン信号を発信するように構成され得る。
【0045】
上述した各実施形態において、自動運転車両50の停車前に、情報表示装置53において、停車する旨が表示されるようにしても良い。又は、自動運転車両50の停車前において、所定の報知(例えば、ライトを点滅させる等)が行われるように、車両制御装置51を介して車両50を制御するようにしても良い。
【0046】
上述した第1及び第2の実施形態において、自動運転車両管理サーバ30が自動運転車両50の位置情報を定期的に取得して管理するようにし、ユーザ端末20/設置端末20Aからの停車要求情報を受信したサーバ30が、ユーザ(ユーザ端末20/ビーコン装置10)及び自動運転車両50の位置関係に基づいて、当該車両50の停車の可否を判定する(例えば、ユーザと車両50との間の距離が所定値より大きい(遠い)場合には停車しない等)ようにしても良い。同様に、サーバ30において、車両50の車内状況(乗客の人数又は混雑状態等)を定期的に取得して管理するようにし、ユーザ端末20/設置端末20Aからの停車要求情報を受信したサーバ30が、車両50の車内状況に基づいて、当該車両50の停車の可否を判定する(例えば、乗客の人数が定員オーバーである場合には停車しない等)ようにしても良い。
【0047】
上述した第1及び第2の実施形態において、自動運転車両管理サーバ30が走行ルート上(地図上)の停車可能領域(又は、停車禁止領域)を予め記憶するようにし、当該停車可能領域に含まれるように(又は、当該停車禁止領域に含まれないように)、自動運転車両50の停車位置を決定するようにしても良い。
【0048】
本明細書で説明された処理及び手順は、明示的に説明されたもの以外にも、ソフトウェア、ハードウェアまたはこれらの任意の組み合わせによって実現される。例えば、本明細書で説明される処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク等の媒体に、当該処理及び手順に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明された処理及び手順は、当該処理・手順に相当するコンピュータプログラムとして実装し、各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0049】
本明細書中で説明された処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理または手順は複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は複数のモジュールによって実行され得る。また、本明細書において説明されたソフトウェアおよびハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、またはより多い構成要素に分解することによって実現することも可能である。
【0050】
本明細書において、発明の構成要素が単数もしくは複数のいずれか一方として説明された場合、又は、単数もしくは複数のいずれとも限定せずに説明された場合であっても、文脈上別に解すべき場合を除き、当該構成要素は単数又は複数のいずれであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1、1A、1B 自動運転車両管理システム
10 ビーコン装置(第1の装置)
12 物理ボタン
20 ユーザ端末(第2の装置)
20A 設置端末(第2の装置)
20B 車載端末(第2の装置)
30 自動運転車両管理サーバ(第3の装置)
50 自動運転車両
51 車両制御装置
53 情報表示装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9