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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】ウェットシート製品
(51)【国際特許分類】
   A47K 7/00 20060101AFI20221221BHJP
   B65D 83/08 20060101ALI20221221BHJP
   B65D 81/30 20060101ALI20221221BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A47K7/00 D
B65D83/08 D
B65D81/30 C
B65D81/24 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018084276
(22)【出願日】2018-04-25
(65)【公開番号】P2019187799
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500118425
【氏名又は名称】ウダカエンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504119192
【氏名又は名称】株式会社 ペーパーテック
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(72)【発明者】
【氏名】宇▲高▼ 光重
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-234219(JP,A)
【文献】特開2008-127688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0270412(US,A1)
【文献】特開2002-332079(JP,A)
【文献】特開2007-330673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 7/00
B65D 83/08
B65D 81/30
B65D 81/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布に薬液が含浸されてなるウェットシートが包装されてなるウェットシート製品において、
前記ウェットシートは、
該ウェットシートを引き伸ばす方向の力が働いても、該ウェットシートの面積が減少する変形が抑制されるよう、展開状態において繊維の流れ方向を長辺とする長方形をなし、
前記長辺と平行な複数の折線で折り返されるとともに、前記長辺に垂直な複数の折線で蛇腹折りにされ、前記包装材から取り出してすぐに清拭を行えるよう占有面積が開いた手の大きさに適する150cm ~400cm 状態で包装されていることを特徴とするウェットシート製品。
【請求項2】
請求項1に記載のウェットシート製品であって、
前記ウェットシートの包装材は、ガスバリア性及び遮光性に優れたフィルムからなることを特徴とするウェットシート製品。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のウェットシート製品であって、
単位製品当たり複数枚の前記ウェットシートが、再封可能に包装されてなるウェットシート製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大面積のウェットシートが包装されてなる全身清拭用のウェットシート製品に関する。
【背景技術】
【0002】
介護やアウトドア、災害時などの入浴の代替手段として全身の清拭に使用するウェットシートには、1枚あたりの面積が大きいものが求められている。しかしながら、一般に大判ウェットシートとして提供されているものの寸法は、展開状態で20cm×30cm程度しかなく、上記用途に用いるには大きさが不足している。このため、一度の清拭の間に何度もウェットシートを取り替える手間が必要となっている。
【0003】
このような状況に対応するものとして、特許文献1に開示されたウェットシート製品がある。このウェットシート製品は、長手方向60cm~120cm、短手方向25cm~60cmのタオル状のシート体を長手方向に複数回折り畳んで短手方向に巻いたロール体を包装したものであり、上述の一般的な大判ウェットシートより大面積のウェットシートからなる製品である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-11702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたウェットシート製品は、ロール状に巻かれて包装されているため、清拭を行うためには、包装材からの取り出し後に、一度ウェットシートを平らになるよう展開し、再び適度な大きさに畳み直すという手間を要するものであった。また、ロール状という形状の性質上、嵩張りやすく、携帯時や保管時に大きなスペースを要するものでもあった。さらに、ウェットシートの長手方向の伸び率が短手方向よりも大きいため、ウェットシートの長手方向両端を持って引っ張ると、ウェットシートの長手方向が伸びやすい分、短手方向が縮んで全体形状が細くなり、清拭時に肌に触れる部分が狭くなってしまうので、背中の清拭等の際に不便であった。
【0006】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑み、全身の清拭に適する大きさを備えながら、使用時の利便性、並びに、携帯時及び保管時の利便性を兼ね備えたウェットシート製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の第1の側面に係るウェットシート製品によれば、不織布に薬液が含浸されてなるウェットシートが包装されてなるウェットシート製品において、前記ウェットシートは、展開状態において繊維の流れ方向を長辺とする長方形をなし、前記長辺と平行な複数の折線で折り返されるとともに、前記長辺に垂直な複数の折線で蛇腹折りにされた状態で包装されるよう構成することができる。
【0008】
前記構成によれば、長辺が蛇腹に折り畳まれた状態で包装されているので、長辺が二つ折りのものと、折り畳まれた状態における占有面積を同一として比較すると、折り畳まれた状態における厚みがより大きく、展開状態におけるウェットシートの面積がより大きい。また、薬液の含浸率が同一であっても、折り畳まれた状態における表面積に対する含浸液量が多いため、ウェットシートの湿潤状態をより長く保つことができる。これらの特徴により、1枚のウェットシートで、より広範囲を清拭することができる。
【0009】
また、ロール状に巻かれた状態で包装されているもののように、取り出してから清拭を行うまでにウェットシートを展開して畳み直すという手間を要しないため、使用時の利便性を損なうことがない。
【0010】
さらに、ロール状であれば、その形状の性質上、嵩張りやすく、携帯時や保管時に大きなスペースを要するが、上記構成によればよりコンパクトに携帯又は保管することが可能である。
【0011】
さらにまた、ウェットシートが繊維の流れ方向を長辺とする長方形をなしているため、ウェットシートを引き延ばす方向の力が働いても、ウェットシートの面積が減少する変形(長辺がさらに伸び、短辺がさらに縮小する変形)を抑制することができる。
【0012】
すなわち、前記構成によれば、使用時の利便性、並びに、携帯時及び保管時の利便性を損なうことなく、大面積のウェットシートを提供することができる。
【0013】
また、本発明の第2の側面に係るウェットシート製品によれば、前記ウェットシートは、占有面積が150cm~400cmの状態で包装されるよう構成することができる。
【0014】
前記構成によれば、大面積のウェットシートが、清拭に適したサイズに折り畳まれた状態で包装されているので、包装材から取り出してすぐに清拭を行うことができ、より簡便に使用することができる。
【0015】
さらにまた、本発明の第3の側面に係るウェットシート製品によれば、前記ウェットシートの包装材は、ガスバリア性及び遮光性に優れたフィルムからなるよう構成することができる。
【0016】
前記構成によれば、包装材をガスバリア性及び遮光性に優れたフィルムとすることで、ウェットシートの経時劣化が抑制されるので長期保存が可能となり、特に防災備蓄品としての利用適性が向上する。
【0017】
さらにまた、本発明の第4の側面に係るウェットシート製品によれば、単位製品当たり複数枚の前記ウェットシートが、再封可能に包装されてなるよう構成することができる。
【0018】
前記構成によれば、個包装のものと比較してウェットシート1枚あたりに要する包装材の量が少ないため、省資源化につながるとともに、製造コストの削減及び低価格での提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明を適用したウェットシート製品の概略斜視図である。なお、破線は内部に包装されているウェットシートの概形を表している。
図2】本発明の第一実施例に係るウェットシート製品に包装されているウェットシートの折り形状の説明図である。
図3】本発明を適用したウェットシート製品に包装されているウェットシートの折り形状の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。尚、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(第一実施例)
(ウェットシート製品1の構成)
【0021】
本発明の第一実施例に係るウェットシート製品1の概略斜視図を図1に示す。図1に示すように、ウェットシート製品1は、ウェットシート2が包装材3によって密封包装されたものである。
(ウェットシート2)
【0022】
ウェットシート2は、薬液を含浸した不織布からなる。
【0023】
ウェットシート2に用いられる薬液は、例えば、水にエタノール等の清浄成分、PGやBG、グリセリン等の保湿成分、その他植物由来のエキス等を適宜配合したものとすることができる。また、薬液の含浸量は、不織布重量の2~5倍程度が好適である。
【0024】
不織布としては、例えば、目付30g/m~80g/m程度の、コットンやレーヨンを原料とするスパンレース不織布が好適である。
(ウェットシート2の形状)
【0025】
ウェットシート2の形状について、図2に示す説明図に基づいて説明する。ウェットシート2の形状は、展開状態(A)において、不織布の繊維の流れ方向を長辺とする長方形をなしており、例えば、長辺90cm×短辺30cm程度の寸法とすることができる。なお、以下の説明において、長辺に沿う方向を「長さ方向」、長さ方向の寸法を「長さ」、短辺に沿う方向を「幅方向」、幅方向の寸法を「幅」と記載する。
【0026】
ウェットシート2は、展開状態(A)から、長辺に沿った2本の折線21において谷折りされることにより状態(B)を経由して、さらに長辺に垂直な複数の折線22において谷折り、折線23において山折りされることにより蛇腹状に折り畳まれた状態(C)で包装されている。
【0027】
折線21は、展開状態(A)のウェットシート2が当該折線において折り返された際に、長辺同士が幅方向中央において当接するよう設けられており、展開状態(A)の2分の1の幅に折り上がっている。また、ウェットシート2は、折線22及び23によって長さ方向に6等分されており、展開状態(A)の6分の1の長さに折り上がっている。
【0028】
すなわち、ウェットシート2は、使用に際して、折り上がりの状態(C)の占有面積に対して12倍分の面積にまで展開可能であるとともに、不織布12枚分の厚みとなるよう折り畳まれているため、清拭に適したクッション性も備えている。また、展開状態(A)において長辺90cm×短辺30cmの不織布を用いている場合であれば、折り上がった状態(C)の占有面積は、長さ15cm×幅15cmの225cmとなり、手を開いた状態で押し当てるのに適した面積となっている。
【0029】
なお、図2に示す折り形状は一例であり、ウェットシートの折り上がった状態における占有面積が開いた手の大きさに適する150cm~400cm程度となるならば、例えば、折線22及び23の山折りと谷折りを逆転させてもよいし、本数を変更してもよい。ただし、蛇腹折りとは、折線22及び23が、少なくとも各1本設けられている折り方であり、いずれか1本の場合を含まない。なぜならば、折線22及び23のいずれか1本のみによる折り方は、一般的な長さ方向2つ折りのウェットシートと同一であり、展開状態(A)における面積が十分に大きいものにならないためである。
【0030】
また、ウェットシート2の図2(B)における折り形状の断面図を表すと図3aのようになるが、この断面形状が図3b~dに示すような形状となるよう、折線21の本数及び折り返し方向を変更することも可能である。図3bに示す形状は、ウェットシート2における2本の折線21の一方を谷折り、他方を山折りとしたものである。また、図3cに示す形状は、展開状態(A)のウェットシートの短辺を6等分する線のうち、中心線を除く4本を折線21とし、内側の2本の折線21においては谷折り、外側の2本の折線21においては山折りとしたものである。さらに、図3dに示す形状は、図3cの形状と同様の4本を折線21とし、隣り合う折線21同士の折り返し方向を互い違いにしたものである。
【0031】
なお、以上に示した例では、折線21~23はすべて、ウェットシートの幅又は長さを複数等分するものであるが、本発明は各部の寸法が均等であるものに限定されない。
(包装材3)
【0032】
包装材3は、例えば、ガスバリア性及び遮光性に優れたアルミ箔フィルムからなり、ウェットシート2を密封するための部材である。包装材3による包装形状は、例えば、図1に示すようなヘッダー付き合掌袋とすることができる。
【0033】
包装材3に、ガスバリア性及び遮光性に優れた素材を用いることで、ウェットシート2の経時劣化が抑制されるため、長期間の保存にも耐える製品とすることができ、防災備蓄品としての利用にも適したものとすることができる。
【0034】
また、包装材3に、フィルムのような軟質で変形可能な素材を用いることで、ウェットシート2が平たい蛇腹状に折り畳まれていることと相まって、携帯時や保管時に狭い隙間等に適宜変形させて挿入することが可能となり、嵩張ることがない。
(第二実施例)
【0035】
本発明の第二実施例に係るウェットシート製品4(図示していない。)は、複数枚のウェットシート2が、まとめて包装材5(図示していない。)によって再封可能に密封包装されたものである。
【0036】
包装材5としては、例えば、ガスバリア性及び遮光性に優れたアルミ箔フィルムによるチャック付き袋を用いることができる。なお、ウェットシート2の構成については、第一実施例と同様であるため省略する。
【0037】
この構成により、一度開封した後でも簡単に再密封が可能となるので、複数枚のウェットシート2を一度に使い切らない場合でも、好適な保管状態を保つことができる。また、個包装のものと比較して、1枚のウェットシート2に要する包装材の量が少ないため、省資源化につながるとともに、製造コストの削減及び低価格での提供が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係るウェットシート製品は、特に、介護用品やアウトドア用品、防災備蓄品として好適に使用できる。
【符号の説明】
【0039】
1,4…ウェットシート製品
2…ウェットシート
21,22,23…折線
3,5…包装材
図1
図2
図3