(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20221221BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G02F1/1333
G09F9/00 350Z
G09F9/00 337A
(21)【出願番号】P 2018128234
(22)【出願日】2018-07-05
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2017214037
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303018827
【氏名又は名称】Tianma Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大木 透
(72)【発明者】
【氏名】西村 秀樹
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0287645(US,A1)
【文献】特開2015-034876(JP,A)
【文献】国際公開第2013/187281(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0072115(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックライトユニットと、
前記バックライトユニットの前側に配置されている液晶パネルと、
前記液晶パネルの前側に配置され、透明な接着樹脂層によって前記液晶パネルの前側主面に接着されている後側主面を含む、透明な前面パネルと、
前記バックライトユニットの側面に固定され、接着部によって前記前面パネルの後側主面に接着されている、ブラケットと、
を含み、
前記ブラケットは、
断面L字状である、L字部品と、
ベース板と、を含み
前記L字部品は、
前記バックライトユニットの前記側面に固定され、前記側面に沿って後側から前側に立ち上がり、前記前面パネルの側面に沿って延びている側壁部と、
前記側壁部に連続し、前記側壁部よりも外側まで前記前面パネルの前記後側主面に沿って突出し、前記前面パネルの前記側面に沿って延びる、前端部と、
を含み、
前記ベース板は、前記前端部の前側に存在し、前記側壁部よりも外側まで前記前面パネルの前記後側主面に沿って突出し、前記前面パネルの前記側面に沿って延び、
前記接着部は、前記ベース板の前面に接着しており、
前記L字部品には孔が設けられており、
前記ベース板は、前記孔を貫通することで前記前端部の前面上でスライド可能に前記L字部品に取り付けられている、
液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置であって、
前記ベース板は、前記前面パネルの前記側面に沿って離間して配列された領域において、前記L字部品の前記前端部に固定されている、
液晶表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液晶表示装置であって、
前記ブラケットは、前記ベース板の後面から後側に突出する雌ネジスタッドをさらに含み、
前記
L字部品の前記前端部は、
複数の前側部分と、
前記前面パネルの前記側面に沿った方向において前記複数の前側部分の間に存在し、前記前側部分よりも後側にある後側部分と、を含み、
前記ベース板は、前記雌ネジスタッドと前記後側部分の孔を貫通する雄ネジとによって、前記前端部に固定されている、
液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置において、加飾を施されたカバーガラスやタッチパネルのような前面パネルが、OCR(Optical Clear Resin)やOCA(Optical Clear Adhesive)といった、光学弾性樹脂層でボンディングする構造が知られている。
【0003】
薄い光学弾性樹脂層によって、前面パネルと液晶パネルを直接に貼り合せることで、画質品位を向上させることができる。この場合、液晶表示装置の制御基板はバックライトユニットに固定され、バックライトユニットは前面パネルに接着や両面テープで固定される。
【0004】
例えば、特開2016-194670号公報は、液晶パネルを前面保護板にボンディングして、バックライトユニットから浮かせる構造を開示する。この構造は、バックライトユニットの平坦度の低下や歪が液晶パネルに負荷や歪を与えないようにすることによって、液晶パネルの画質を改善すると指摘している。
【0005】
また、特開2014-160218号公報は、バックライトユニットのカバーガラス支持ケースによってカバーガラスを両面テープと接着剤で固定する構造を開示する。バックライトユニットのそりがカバーガラスに伝わらない様に、両面接着テープは、カバーガラスの4隅を避けて、各辺の中央に接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-194670号公報
【文献】特開2014-160218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バックライトユニットの構成部材は、光源からの発熱により熱膨張し、歪が生じる。この歪が接着剤や両面接着テープで固定された前面パネルを歪ませる。前面パネルと液晶パネルが光学弾性樹脂層で接着されている構成においては、前面パネルの歪は、液晶パネルが歪ませてしまう。液晶パネルの歪は、画質を低下させる。大型又は高輝度の液晶パネルにおいて、バックライトユニットの歪も大きくなり、画質低下(同一輝度画像を表示させた場合の輝度不均一性など)が顕著に表れる。
【0008】
特開2016-194670に開示の構造は、断面がL字の外側シャーシの片面で前面保護板に固定する。バックライトユニットの構成部品である光学シートや樹脂製の導光板、板金部品等は、光源の発熱で熱膨張をする為、前面保護板及び液晶パネルの歪が大きくなる。また、特開2014-160218では、バックライトユニットが前面保護板(液晶パネル)の主面と平行な方向に膨張した場合の歪の回避策を示していない。
【0009】
したがって、バックライトユニットの前面パネルの主面に平行な歪の前面パネルへの影響を低減できる技術が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様の液晶表示装置は、バックライトユニットと、前記バックライトユニットの前側に配置されている液晶パネルと、前記液晶パネルの前側に配置され、透明な接着樹脂層によって前記液晶パネルの前側主面に接着されている後側主面を含む、透明な前面パネルと、前記バックライトユニットの側面に固定され、接着部によって前記前面パネルの前記後側主面に接着されている、ブラケットと、を含む。前記ブラケットは、前記バックライトユニットの前記側面に固定され、前記側面に沿って後側から前側に立ち上がり、前記前面パネルの側面に沿って延びている側壁部と、前記側壁部の前側にある桁部と、を含む。前記桁部は、少なくとも一部が前記側壁部に連続し、前記側壁部よりも外側まで前記前面パネルの前記後側主面に沿って突出し、前記前面パネルの前記側面に沿って延び、前記前面パネルの前記後側主面と前記接着部により接着されている。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、バックライトユニットの前面パネルの主面に平行な歪の前面パネルへの影響を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】前側から見た第1の実施形態に係る液晶表示装置を示す。
【
図1C】
図1Aの矢印Cが指示する、液晶表示装置の側面を示す。
【
図1D】
図1Aにおける、ID-ID切断線における断面構造を示す。
【
図1E】
図1Aにおける、IE-IE切断線における断面構造を示す。
【
図2A】実施形態に係る液晶表示装置の第1構成例及びシミュレーション画像を示す。
【
図2B】実施形態に係る液晶表示装置の第2構成及びシミュレーション画像を示す。
【
図2C】
図2A、2Bに示す二つの構成の液晶表示装置のシミュレーション結果を示す。
【
図3A】前側から見た第2の実施形態に係る液晶表示装置を示す。
【
図3C】
図3Aの矢印Cが指示する、液晶表示装置の側面を示す。
【
図3D】
図3Aにおける、IIID-IIID切断線における断面構造を示す。
【
図3E】
図3Aにおける、IIIE-IIIE切断線における断面構造を示す。
【
図4】他の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示す。
【
図5】他の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示す。
【
図6A】他の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示す。
【
図6B】
図6AにおけるVIB-VIB切断線での断面構造を示す。
【
図7】他の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示す。
【
図8A】他の実施形態に係る液晶表示装置の構成例を示す。
【
図8B】
図8Aの矢印VIIIBが指示する、液晶表示装置の側面を示す
【
図8C】
図8Aにおける、VIIIC-VIIIC切断線における断面構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。
【0014】
[第1の実施形態]
図1A~1Eは、第1の実施形態に係る液晶表示装置10の構成例を模式的に示す。
図1Aは、前側から見た液晶表示装置10を示し、
図1Bは、
図1Aの構成から抽出した一部の要素を示す。
図1Cは、
図1Aの矢印Cが指示する、液晶表示装置10の側面を示す。
図1D及び
図1Eは、それぞれ、
図1Aにおける、ID-ID切断線及びIE-IE切断線における断面構造を示す。以下において、液晶表示装置10に表示されている画像を視るユーザの側を前側と呼び、その反対側を後側又は裏側と呼ぶ。
【0015】
図1Aは液晶表示装置10の全体構成を示し、
図1Bは、
図1Aが示す液晶表示装置10から抽出した、ベース板120A~120D、側面板(L字部品又はアングル)130A~130D、及びネジ127を示す。
図1A、1Bは、構成要素の一部を実線で示し、他の一部を破線で示す。
【0016】
液晶表示装置10は、矩形のバックライトユニット140と、バックライトユニット140の前側に配置されている矩形の液晶パネル145とを含む。矩形の透明なカバーパネル110が液晶パネル145の前側に配置されている。後述するように、カバーパネル110の後側主面と液晶パネル145の前側主面は、それらの間の透明な接着樹脂層によって接着されている。
【0017】
カバーパネル110は、前面パネルの一例であり、例えば、ガラス又は樹脂で形成されている前面板である。カバーパネル110に代えて、例えば、タッチパネルが実装されてもよい。液晶パネル145及びバックライトユニット140は、矩形と異なる多角形状を有してもよい。
【0018】
本例において、カバーパネル110は、外形を画定する四つの辺(側面)115A~115Dを有する。カバーパネル110の外形は、液晶パネル145及びバックライトユニット140それぞれの外形をよりも大きい。カバーパネル110は、前側から見て、液晶パネル145及びバックライトユニット140の全体を覆っている。液晶パネル145の外形は、バックライトユニット140の外形をよりも小さい。液晶パネル145は、前側から見て、バックライトユニット140の外形内に含まれている。
【0019】
液晶表示装置10は、液晶パネル145の辺それぞれに沿った、ベース板120A~120Dを含む。ベース板120A~120Dは、前側から見て矩形を有する板状の部品である。最も幅の広い主面がそれぞれ、前後を向いている。ベース板120A~120Dは、カバーパネル110の後側に配置されており、前側から見て、カバーパネル110は、ベース板120A~120Dそれぞれの全体を覆う。ベース板120A~120Dそれぞれの辺は、前側から見て、カバーパネル110の辺より内側に位置する。
【0020】
ベース板120A~120Dは、カバーパネル110の主面の周辺にそって配置されている。つまり、ベース板120A~120Dは、カバーパネル110の主面の周縁領域と重なるように配置されている。本例において、カバーパネル110の主面に沿った方向で対向するベース板120A及び120Cは、同一形状を有する。また、カバーパネル110の主面に沿った方向で対向するベース板120B及び120Dは、同一形状を有する。
【0021】
ベース板120A及び120Cは、それぞれ、カバーパネル110の
図1Aにおける左側辺及び右側辺に沿って延びている。ベース板120B及び120Dは、それぞれ、カバーパネル110の
図1Aにおける上側辺及び下側辺に沿って延びている。ベース板120B及び120Dは、カバーパネル110の主面に沿った方向で、ベース板120A及び120Cに挟まれている。
【0022】
ベース板120A~120Dは、液晶パネル145の外側において、その外周を囲むように配置されている。前側から見て、ベース板120A~120Dは、バックライトユニット140の外形を示す辺を覆う。
【0023】
ベース板120A~120Dそれぞれの後側に、側面板130A~130Dが配置されている。
図1A、1Bは、側面板130A~130Dそれぞれの一部のみを破線で示す。具体的には、側面板130A~130Dの後述する側壁部131を示す。
【0024】
側面板130A、130Cは、それぞれ、ベース板120A、120Cに、二つのネジ127で固定されている。側面板130B、130Dは、それぞれ、ベース板120B、120Dに、三つのネジ127で固定されている。
図1Aは、一つのネジのみを符号127で指示している。このように、ベース板120A~120Dは、それぞれ、カバーパネル110の側面(側辺)に沿って、離間して配列された領域それぞれにおいて、側面板130A~130Dに固定されている。
【0025】
図1Cは、液晶表示装置10の、側面板130A及びベース板120Aが配置されている側面を示す。他の側面の構造も同様である。側面板130Aの前に側ベース板120Aが配置されている。側面板130Aは、ネジ128によってバックライトユニット140(の筐体)の側面に固定されている。
図1Cの例において、カバーパネル110の側面(側辺)に沿って配列された三つのネジ128が、側面板130Aをバックライトユニット140の側面に固定している。
【0026】
ベース板120Aとカバーパネル110との間に、接着層(接着部)162が存在し、接着層(接着部)162は、ベース板120Aの前側面とカバーパネル110の後側面を接着している。接着層162は、例えば、両面接着テープ、又は、UV光、熱、湿気等で硬化するシリコーン系樹脂又はアクリル系樹脂によって形成できる。
【0027】
図1Dは、
図1AのID-ID切断線における断面構造を示す。具体的には、側面板130Aとベース板120Aとがネジ127で固定されている部分の断面構造を示す。
図1Eは、
図1AのIE-IE切断線における断面構造を示す。具体的には、側面板130Aとベース板120Aとがネジ127で固定されていない部分の断面構造を示す。液晶表示装置10の他の側面における断面構造も、
図1D、1Eに示す構造と同様である。
【0028】
後側から、TFT(Thin Film Transistor)基板451、CF(カラーフィルタ)基板452、接着樹脂層161、及び、カバーパネル110が積層されている。TFT基板451及びCF基板452は、液晶パネル145を構成する。TFT基板451及びCF基板452は、バックライトユニット140の前側に配置されている。
【0029】
カバーパネル110の後側主面111と、CF基板452の前側面453との間に、透明な接着樹脂層161が存在する。接着樹脂層161は、カバーパネル110の後側主面111と、CF基板452の前側面453とに接着し、カバーパネル110とCF基板452とを接着固定する。接着樹脂層161は、例えば、液晶パネル145(CF基板452)の表示領域の前面に接着している。
【0030】
接着樹脂層161は、例えば、UV光、熱、湿気等で硬化する液状樹脂であるOCR(Optical Clear Resin)によって形成される。接着樹脂層161は、OCA(Optical Clear Adhesive)により形成してもよい。
【0031】
TFT基板451及びCF基板452は、積層され、不図示のシール材(接着剤)により互いに接着されている。CF基板452は、TFT基板451の対向基板である。液晶材料が、TFT基板451とCF基板452との間に封入されている。CF基板452は、TFT基板451の前側に配置されている。
【0032】
本例において、TFT基板451及びCF基板452は、矩形である。これらは、他の外形を有してもよい。TFT基板451及びCF基板452は、それぞれ、前側の主面及び裏側の主面、それら主面の周囲を囲む四つの側端面を有する。
【0033】
TFT基板451は、基板と、絶縁基板の前側主面上に形成されたTFTアレイ回路と、絶縁基板の後側主面に固定された偏光板とを含む。CF基板452は、絶縁基板の裏側主面上に形成された複数色のカラーフィルタ層と、絶縁基板の前側主面に固定された偏光板とを含む。
【0034】
TFT基板451及びCF基板452は、バックライトユニット140の前側に配置されている。液晶パネル145はバックライトユニット140から離間しており、接着樹脂層161により接着されているカバーパネル110によって、吊り下げ支持されている。液晶パネル145は、ベース板120A及び側面板130Aからも離間している。液晶パネル145は例えば、バックライトユニット140と接触していてもよい。
【0035】
バックライトユニット140は、例えば、光源に加え、積層された導光板、拡散板、集光板等を含む。バックライトユニット140のこれら部品は、筐体に収容されている。バックライトユニット140は、液晶パネル145に向けて、面状光を照射する。
【0036】
TFT基板451は、不図示のコントローラの制御下において、バックライトユニット140からの光の透過量を表示領域の画素毎に制御する。CF基板452の各画素のカラーフィルタ層は、TFT基板451からの光から特定色の光を選択して通過させる。
【0037】
なお、CF基板452は、カラーフィルタ層を有してない対向基板でもよい。液晶の制御方式は、TN(Twisted Nematic)、VA(Vertical Alignment)、IPS(In-Plane-Switching)、FFS(Fringe Field Switching)等のいずれでもよい。
【0038】
図1D、1Eに示すように、側面板130Aは、断面がL字状の部品である。側壁部131及び側壁部131に前側端で連続している、前端部132と、を含む。前端部132は、前端部132から外側(
図1D、1Eにおいて左側)に突出している。側壁部131と前端部132との間の角度は、本例において、略直角である。
【0039】
側面板130Aは、例えば、鉄又はステンレス等の一枚の金属板を、プレス加工することで形成することができる。この場合、側壁部131及び前端部132は共に同一の厚みを有する板状であり、連続し、同一材料で形成されている。
【0040】
側壁部131の内側主面が、バックライトユニット140の外側の側面141に対向し、側壁部131は、側面141にネジ128により固定されている。ネジ128は、雄ネジであって、バックライトユニット140の筐体に形成されている雌ネジに螺合している。側壁部131の主面は、最も面積の広い面である。側壁部131は、バックライトユニット140の側面141に沿って後側から前側に立ち上がっている。
【0041】
図1B、1Cに示すように、側壁部131は、カバーパネル110の側面115Aに沿って延びている。本例において、前側から見た側面115Aは、後側主面111の側辺と一致する。
【0042】
前端部132は、側壁部131の外側面(外側主面)133よりも外側までカバーパネル110の後側主面111に沿って突出している。前端部132は、カバーパネル110の側面115Aに沿って延びている。前端部132の幅は、例えば、側壁部131の幅より狭い。
【0043】
ベース板120Aは、前端部132の前側に配置されている。前端部132の前側面(前側主面)321は、ベース板120Aの後側面(後側主面)202と対向している。ネジ127は、前端部132に形成されている貫通孔を、前端部132の後側面から前側面321に向かって貫通している。ネジ127は、雄ネジであって、ベース板120Aに形成されている雌ネジに螺合している。
【0044】
ベース板120Aは、例えば、鉄又はステンレス等の金属で形成されている板である。後述するように、ネジ固定されたベース板120A及び前端部132で構成される部分(桁部)の曲げ剛性は、側壁部131の曲げ剛性より大きい。これにより、バックライトユニット140の面内方向の歪による、カバーパネル110の変形を抑制できる。
【0045】
上記条件を満たす範囲において、ベース板120Aの厚み、主面の面積及び材料は、任意である。ベース板120Aの厚みは、前端部132の厚みと同一又は異なる。例えば、ベース板120A、前端部132及び側壁部131は同一の材料(例えばステンレス鋼:SUS304)で形成され、同一の厚みを有する。
【0046】
この場合、同一材料で形成された側壁部131に対して、桁部(ベース板120A及び前端部132で構成される部分)は厚みが略2倍となる。その結果、桁部の曲げ剛性は、側壁部131の曲げ剛性よりも大きくなる。バックライトユニット140は、長時間使用すると加熱されて膨張を生じる。バックライトユニット140が側壁部を押し付けることにより生じるカバーパネル110の変形を、桁部の曲げ剛性が側壁部よりも大きいことによって抑制できる。
【0047】
他の例として、曲げ剛性の大きい亜鉛鋼板(ヤング率205x10E9N/m2程度)でベース板120Aを構成し、前端部132(側壁部131)をステンレス(ヤング率:197x10E9N/m2程度)で構成してもよい。両者が同じ板厚であれば、桁部の曲げ剛性は、側壁部131の曲げ剛性よりも著しく大きくなる。この構成は、カバーパネル110の変形を一層抑制することができる。また、ベース板120Aの厚みを、ヤング率を加味して薄くすることで、カバーパネル110の変形を抑制し、かつ、ベース板120Aの材料の軽量化を図ることができる。
【0048】
図1D、1Eの例において、ベース板120Aの前側面201及び後側面202は、それぞれ、前端部132の前側面321よりも広い幅を有している。ベース板120Aは、側壁部131(の内側主面)よりも、内側(
図1D、1Eにおいて右側)に突出し、バックライトユニット140の一部と重なっている。バックライトユニット140の内側に(液晶パネル145に)向かってベース板120Aとカバーパネル110との接着領域を広げることができ、前端部132の幅、つまり、液晶表示装置10の額縁領域を小さくできる。
【0049】
ベース板120Aの前側面201は、カバーパネル110の後側主面111と対向しており、それらの間に接着層162が存在する。接着層162は、ベース板120Aの前側面201及びカバーパネル110の後側主面111に接着している。接着層162による連続する接着領域は、側壁部131の内側主面より内側の領域及び外側主面133よりも外側の領域を含む。
【0050】
本例において、接着層162は、接着樹脂層161の外側に、接着樹脂層161から離間して形成されている。接着層162及び接着樹脂層161を個別に形成することで、それぞれの要求特性に応じたより適切な材料及び形状を選択することができる。なお、接着層162は、接着樹脂層161と連続する同一材料の部分であってもよい。
【0051】
図1D、1Eの例において、側面板130、ベース板120A及びこれらをネジ固定するネジ127は、カバーパネル110をバックライトユニット140に固定するブラケットの一例を構成する。上記構成例は、ベース板と側面板とをネジ固定するが、離間した複数の接着領域の接着剤によって、ベース板と側面板とを固定してもよい。ベース板と側面板とは、連続する接着領域の接着剤で固定されていてもよい。
【0052】
図2A、2B、及び2Cを参照して、異なる構成を有する液晶表示装置における、バックライトユニットの歪を起因とする前面パネルの変形量のシミュレーションの結果を説明する。
図2Aは、実施形態に係る液晶表示装置の第1構成例及びシミュレーション画像を示す。
図2Bは、実施形態に係る液晶表示装置の第2構成及びシミュレーション画像を示す。
図2Cは、上記二つの構成の液晶表示装置のシミュレーション結果を示す。
【0053】
図2Aに示す第1構成例は、カバーバネル11と、カバーパネル110に接着され、バックライトユニット140にネジ固定されている側面板130とで構成されている。つまり、
図1A~1Eを参照して説明した構成において、ベース板が省略されている。側面板130における側壁部の厚みはt1、前端部(桁部)の厚みはt2で表わされている。また、カバーパネル110の変形量はΔ1で表わされている。バックライトユニット140の変形による応力は、側面板130の側壁部に対して、外側に加えられる。
【0054】
図2Bに示す第2構成例は、
図1A~1Eを参照して説明した構成における、カバーバネル11、カバーパネル110に接着されているベース板120、ベース板120及びバックライトユニット140にネジ固定されている側面板130とで構成されている。
【0055】
側面板130における側壁部の厚みはt1で表わされている。積層されている前端部及びベース板120(桁部)の総厚みはt2で表わされている。カバーパネル110の変形量はΔ2で表わされている。バックライトユニット140の変形による応力は、側面板130の側壁部に対して、外側に加えられる。
【0056】
図2Cは、
図2A及び
図2Bに示す構成のシミュレーション結果を示す。縦軸は、カバーパネル110の変形量Δt1、Δt2の基準値に対する比を示す。基準値は、第1構成例において、側壁部の厚みt1と前端部の厚みt2とが同一であるときの変形量Δt1である。線271は第1構成例のシミュレーション結果を示す。線272は第2構成例のシミュレーション結果を示す。線273は、許容されるカバーパネル110の最大変形量の例を示す。
【0057】
線271は、第1構成例の変形量Δt1と、側壁部の厚みt1と桁部の厚みt2との比、との間の関係を示す。側壁部の厚みt1に対する桁部の厚みt2が増加するに応じて、カバーパネル110の変形量Δt1が減少する。
【0058】
線272は、第2構成例の変形量Δt2と、側壁部の厚みt1と桁部の厚みt2との比、との間の関係を示す。シミュレーションは、前端部の厚みを側壁部の厚みと同一に維持し、ベース板120の厚みを変化させることで、厚みt2を変化させた。側壁部の厚みt1に対する桁部の厚みt2が増加するに応じて、カバーパネル110の変形量Δt2が減少する。側壁部の厚みt1と桁部の厚みt2との比が同一である場合、第2構成例の変形量は、第1構成例の変形量よりも小さい。
【0059】
図2Cに示すシミュレーション結果から明らかなように、側壁部の厚みt1に対する桁部の厚みt2が増加するにつれて、カバーパネル110の変形量が減少する。また、ベース板120を側面板130の前端部に対して、離間した複数の領域で固定することで、カバーパネル110の変形量をさらに低減することができる。
【0060】
バックライトユニット140が熱膨張で変形すると、バックライトユニット140の側面141に固定されている側面板130に、カバーパネル110の主面と平行は方向の外部応力が加わる。
【0061】
第1構成例において、側面板130は、カバーパネル110の主面と平行な面(前端部132の前側面321)で、直接にカバーパネル110と接着されている。第2構成例において、側面板130は、カバーパネル110の主面と平行な面(前端部132の前側面321)で、ベース板120に部分的に固定されている。ベース板120は、を介して又はカバーパネル110に接着されている。
【0062】
側面板130の変形は、側壁部131と前端部132との間のコーナを軸として、前端部132に曲げモーメントを与える。これにより、カバーパネル110及びベース板120に歪みが生じる。
【0063】
しかし、第1構成例において前端部132の厚みを厚くすることで、前端部132(桁部)の曲げ剛性を大きくすることができる。また、第2構成例において、ベース板120の厚みを厚くすることで、ネジ固定された前端部132とベース板120(桁部)の曲げ剛性を大きくする。
【0064】
桁部の曲げ剛性が側壁部131の曲げ剛性より大きい場合、桁部は側壁部131と比較して変形しづらい。相対的に変形しやすい側壁部131が大きく変形し、桁部の変形及びそれによるカバーパネル110の変形が小さくなる。この結果、カバーパネル110に接着樹脂層161により接着されている液晶パネル145の変形による画質の低下を抑制できる。
【0065】
また、シミュレーション結果から、ベース板120を側面板130に部分固定することで、桁部及びカバーパネル110の変形量をさらに低減できる。側面板130とベース板120の板厚差や材質を変えることにより、側壁部と桁部の剛性差(歪に耐える強度の差)を容易に調整できる。
【0066】
[第2の実施形態]
図3A~3Eは、第2の実施形態に係る液晶表示装置10の構成例を示す。本構成のブラケットは、ベース板120の後側面から後側に突出する雌ネジスタッドをさらに含む。雄ネジ127は、側面板130の前端部132の孔を貫通し、雌ネジスタッドに螺合している。これにより、ベース板120と側面板130の前端部132とを、より確実にネジ固定することができる。以下において、第1の実施形態との相違点を主に説明する。
【0067】
図3Aは、前側から見た液晶表示装置10を示し、
図3Bは、
図1Aの構成から抽出した一部の要素を示す。
図3Cは、
図3Aの矢印Cが指示する、液晶表示装置10の側面を示す。
図3D及び
図3Eは、それぞれ、
図3Aにおける、IIID-IIID切断線及びIIIE-IIIE切断線における断面構造を示す。
【0068】
図3Aは液晶表示装置10の全体構成を示し、
図3Bは、
図1Aが示す液晶表示装置10から抽出した、ベース板120A~120D、側面板130A~130D、雄ネジ127、及び雌ネジスタッド137を示す。
図3A、3Bは、構成要素の一部を実線で示し、他の一部を破線で示す。
【0069】
図3Cは、液晶表示装置10の、側面板130A及びベース板120Aが配置されている側面を示す。他の側面の構造も同様である。側面板130Aの前端部132は、複数の離間した前側部分323A、323B、323Cを含む。前端部132は、さらに、離間した後側部分324A、324Bを含む。
【0070】
後側部分324A、324Bは、前側部分323A、323B、323Cよりも後側(
図3Cにおいて下側)にある。各後側部分は、カバーパネル110の側面151A(後側主面111の側辺)に沿った方向(
図3Cにおいて左右方向)において、前側部分の間に存在している。具体的には、後側部分324Aは、前側部分323A、323Bの間に存在し、後側部分324Bは、前側部分323B、323Cの間に存在する。
【0071】
複数の雌ネジスタッド137が、ベース板120Aに埋め込み固定されている。
図3Cの例において、二つの雌ネジスタッド137がベース板120Aに固定されている。
図3Cにおいて、一つの雌ネジスタッドのみが符号137で指示されている。雌ネジスタッド137は、それぞれ、後側部分324A、324Bの前側に位置する。雌ネジスタッド137の数と、後側部分324A、324Bの数は一致し、前側から見たそれらの位置も一致している。
【0072】
雄ネジ127は、それぞれ、後側部分324A、324Bに形成されている孔を後側から前側に貫通して、雌ネジスタッド137に螺合している。ベース板120Aと側面板130Aとは、雄ネジ127のみで固定されている。ベース板120Aと側面板130Aの固定位置の数(雄ネジ127又は雌ネジスタッド137の数)は、1以上の任意である。
【0073】
図3Dは、
図3AのIIID-IIID切断線における断面構造を示す。具体的には、側面板130Aとベース板120Aとがネジ127で固定されている部分の断面構造を示す。
図3Eは、
図3AのIIIE-IIIE切断線における断面構造を示す。具体的には、側面板130Aとベース板120Aとがネジ127で固定されていない部分の断面構造を示す。液晶表示装置10の他の側面における断面構造も、
図3D、3Eに示す構造と同様である。
【0074】
図3Dに示すように、雌ネジスタッド137は、例えばステンレスや鉄等の金属で構成され、ベース板120A内に埋め込まれている。雌ネジスタッド137は、ベース板120Aから後側に突出しており、その後側面371は、ベース板120Aの後側面202よりも後側にある。側面板130Aの前端部132における後側部分324Aは、雌ネジスタッド137の後側面371と接触している。
【0075】
後側部分324Aは、ベース板120Aから離間している。雄ネジ127は、後側部分324Aに形成されている孔を後側から前側に貫通して、雌ネジスタッド137に螺合している。雄ネジ127及び雌ネジスタッド137は、後側部分324A(側面板130A)とベース板120Aとを、ネジ固定している。
【0076】
図3Eに示すように、ネジ固定されていない部分において、側面板130Aの前端部132における前側部分323Bが、ベース板120Aと対向している。前側部分323Bは、ベース板120Aの後側面202と接触している、又は、前側部分323Bとベース板120Aの後側面202との間にはクリアランスが存在する。
【0077】
バックライトユニット140の熱膨張により、側面板を変形させる外部応力が加わると、ストレスはネジ止めされている箇所に集中する。
図3Dを参照して説明したように、本実施形態において、側面板とベース板とは、ベース板から後側に突出する雌ネジスタッドと雄ネジにより固定されており、固定位置において側面板とベース板とは離間している。
【0078】
図3Eを参照して説明したように、ネジ固定されていない部分において、側面板とベース板は接触のみ、又はクリアランスをもって離間している。そのため、ベース板は直接変形応力を受けづらく、カバーパネルと液晶パネルへのストレスを低減し、画質低下を抑制ができる。
【0079】
上記構成例は、バックライトユニット140とカバーパネル110を固定する、四つの個別のブラケットを含む。四つのブラケットは、バックライトユニット140及びカバーパネル110の周囲を囲む。各ブラケットは、側面板とベース板とを含む。これと異なり、四つのブラケットのベース板は連続し、リングを構成してもよい。
【0080】
[他の実施形態]
以下において、他の実施形態に係る液晶表示装置10の構成例を説明する。主に、これまでに説明した実施形態との差異を説明する。
図4は、他の実施形態に係る液晶表示装置10の構成例を示す。
図4は、
図1D又は1Eのように、液晶表示装置10の側端部の端面構造を示す。液晶表示装置10の他の側面における断面構造も、同様である。
【0081】
図4に示す構成は、
図1Aから1Eを参照して説明した構成と比較して、ベース板及びベース板と側面板とを固定するネジが省略されている。側面板130Aの前端部132の前側面とカバーパネル110の後側面とが、接着層162により接着されている。側面板130Aの前端部132は、側壁部131よりも高い曲げ剛性を有している。
図4が示す例においては、前端部132の厚みt2は側壁部131の厚みt1よりも厚い。前端部132の厚み及び側壁部131の厚みは一定である。
【0082】
図2A及び2Cを参照して説明したように、前端部132の曲げ剛性を側壁部131の曲げ剛性に比較して高くすることによって、前端部132の変形を抑制し、その結果、カバーパネル110及び液晶パネル145へのストレスを低減できる。側面板130Aは、例えば、アルミニウムやマグネシウム等の押出加工等によって作成することができる。本構成により、液晶表示装置10の部品点数を低減できる。
【0083】
図5は、他の実施形態に係る液晶表示装置10の構成例を示す。
図5は、
図1D又は1Eのように、液晶表示装置10の側端部の端面構造を示す。液晶表示装置10の他の側面における断面構造も、同様である。
図5に示す構成は、
図1Aから1Eを参照して説明した構成と比較して、ベース板及びベース板と側面板とを固定するネジが省略されている。さらに、側面板の断面がT字状となるように、前端部が屈曲加工されている。
【0084】
図5に示す構成例において、側面板180は、側壁部181と前端部182とを含む。側壁部181は、
図1A~1Eを参照して説明した側壁部131と同様である。前端部182は、側壁部181に連続して屈曲加工されている。前端部182は、側壁部181よりも外側までカバーパネル110の後側主面111に沿って突出している。前端部182は、さらに、側壁部181よりも内側までカバーパネル110の後側主面111に沿って突出している。
【0085】
前端部182は、側壁部181に連続し、外側(
図5において左側)に向かって突出している部分183と、部分183に連続し、内側(
図5において右側)に向かって突出している部分184とを含む。部分184は部分183の前側にある。部分184の前面が、接着層162によって、カバーパネル110の後側主面111に接着されている。
【0086】
図5に示す構成例において、ベース板及びベース板と側面板とを固定するネジが省略されている。前端部182は、は、側壁部181(の内側主面)よりも、内側に突出し、バックライトユニット140の一部と重なっている。バックライトユニット140の内側に(液晶パネル145に)向かって前端部182とカバーパネル110との接着領域を広げることができ、液晶表示装置10の額縁領域を小さくできる。
【0087】
図6A及び6Bは、他の実施形態に係る液晶表示装置10の構成例を示す。
図6Aは液晶表示装置10の平面図を示す。
図6Aにおいて、バックライトユニット140は省略されている。
図6Bは
図6AにおけるVIB-VIB切断線での断面構造を示す。液晶表示装置10の他の側面における断面構造も、同様である。
図1A~1Eを参照し・BR>ト説明した構成と比較して、ベース板120A、120Bそれぞれの一部が切り欠かれている。
【0088】
液晶パネル145に接続されているフレキシブルケーブル456を、切り欠き部を通過させることで、フレキシブルケーブル456とベース板との接触を避けて、フレキシブルケーブル456へのストレスを低減できる。フレキシブルケーブル456は、例えばCOF(Chip On Film)のポリイミドのフィルム状基板である。
【0089】
図6Aに示すように、ベース板120Aは、液晶パネル145と対向する内側の側面に離間した三つの切欠き部126を有する。ベース板120Aは、液晶パネル145と対向する内側の側面に離間した二つの切欠き部126を有する。ベース板120Bは、液晶パネル145と対向する内側の側面に四つの切欠き部126を有する。一つの切欠き部のみが、符号126で指示されており、一つのフレキシブルケーブルのみが、符号456で指示されている。
【0090】
各切欠き部126は、フレキシブルケーブル456の液晶パネル145との接続領域に対向している。切欠き部126によって、液晶パネル145とベース板との間の空間が、切欠き部126が存在しない部分よりも広くなっている。切欠き部126の幅(液晶パネル145の側面に沿った方向の長さ)は、フレキシブルケーブル456の幅よりも大きい。
【0091】
図6Bに示すように、液晶パネル145のTFT基板451から延びるフレキシブルケーブル456は、ベース板120Aの切欠き部126、バックライトユニット140と側面板130との間の空間を通って、バックライトユニット140の後側面に固定されている制御基板(不図示)に接続されている。
【0092】
切欠き部126は、フレキシブルケーブル456とベース板との干渉を避けるために形成され、フレキシブルケーブル456と対向していない領域は切り欠かれることなく、カバーパネル110と接着している。このため、ベース板とカバーパネル110との接着に必要な接着領域を確保できる。
【0093】
図7は、他の実施形態に係る液晶表示装置10の構成例を示す。
図7は、
図1D又は1Eのように、液晶表示装置10の側端部の端面構造を示す。液晶表示装置10の他の側面における断面構造も、同様である。
図7に示す構成は、
図1Aから1Eを参照して説明した構成と比較して、ベース板の側面板に対する取り付け方法が異なる。
【0094】
図7に示す構成において、ベース板120Aは、側面板130Aの前端部132の前側面上でスライド可能に、側面板130Aに取り付けられている。これにより、バックライトユニット140の変形によるベース板120A及びカバーパネル110の変形を抑制する。
【0095】
図7を参照して、雌ネジスタッド139が、ベース板120Aに圧入されている。雌ネジスタッド139は、ベース板120Aの後側面から後側に突出している。側面板130Aの前端部132は、雌ネジスタッド139の外径よりも大きい孔325を有する。孔325の内周と雌ネジスタッド139との間には外れない程度のクリアランスが存在する。
【0096】
雌ネジスタッド139は、側面板130Aの前端部132の孔325を貫通している。雄ネジ127は、前端部132の後側から雌ネジスタッド139に螺合している。雄ネジ127のヘッド部の前側面と雌ネジスタッド139の後側面との間に、ワッシャ129が挟まれている。雄ネジ127と雌ネジスタッド139とは、ワッシャ129を挟んで螺合している。雄ネジ127のヘッド部の外径が、前端部132の孔325の径よりも大きい場合、ワッシャ129は省略してもよい。
【0097】
雌ネジスタッド139の高さ(前後方向の長さ)は、側面板130Aの前端部132の厚みよりも大きい。雌ネジスタッド139は、孔325から後側に突出している。雌ネジスタッド139の後側面は、前端部132の後側面よりの後側にある。ワッシャ129の外径は孔325の径よりも大きい。雄ネジ127の頭部の前側面とワッシャ129と前端部132の後側面との間に外れない程度のクリアランスが存在する。
【0098】
側面板130Aは、ベース板120Aに完全には固定されておらず、側面板130Aは、バックライトユニット140の変形に伴い、カバーパネル110の主面と平行な方向にスライド可能である。ベース板120Aと前端部132とを含む桁部の曲げ剛性は、側壁部131の曲げ剛性以下でもよい。
【0099】
バックライトユニット140の熱膨張により、側面板130Aを変形させる外部応力が加わった際、側面板130Aは、バックライトユニット140の変形に追従して、ベース板120Aに対してスライドする。そのため、ベース板120Aには歪みが生じない。故にカバーパネル110と液晶パネル145へストレスは発生せず、画質低下を抑制できる。
【0100】
図8A~
図8Cは、他の実施形態に係る液晶表示装置10の構成例を示す。
図1A~
図1Eを参照して説明した構成例と比較して、側面板をベース板に取り付ける構造が異なり、ベース板と側面板とを固定するネジが省略されている。
【0101】
図8Aは、液晶表示装置10の平面図を示す。
図8Aにおいて、バックライトユニット140は省略されている。
図8Bは、
図8Aの矢印VIIIBが指示する、液晶表示装置10の側面を示す。液晶表示装置10の他の側面における構造も、
図8Bに示す構造と同様である。
【0102】
図8Cは、
図8AのVIIIC-VIIIC切断線における断面構造を示す。具体的には、側面板130Aとベース板120Aとが固定されている部分の断面構造を示す。液晶表示装置10の他の側面における断面構造も、
図8Cに示す構造と同様である。
【0103】
図8Bに示す側面において、ベース板120Aは、複数の離間した桁部502A、502Bを有する。側面板130Aの側壁部511は、ベース板の桁部502A、502Bの外形よりも大きい孔512A、512Bを有する。
【0104】
図8Cに示す断面構造において、ベース板120Aは屈曲加工により形成された、前側面201から垂直に立ち上がる側壁部501と、外側(
図8Cにおいて左側)に向かって突出している桁部502Aとを持つ。桁部の先端部503は、側面板130Aの側壁部511よりも突出している。
【0105】
ベース板120Aの桁部502Aの前側面504は、側面板130Aの前端部132の後側面513と接触している、又は、これらの間には、クリアランスが存在する。側面板130Aは、ベース板の桁部502Aの後側面上でスライド可能に、ベース板120Aに取り付けられている。組立において、側面板130Aがベース板120Aの位置に追従するため、ベース板120Aに歪みが生じない。ベース板120Aの曲げ剛性は、側面板130Aの曲げ剛性以下でもよい。
【0106】
バックライトユニット140の熱膨張により、側面板130Aを変形させる外部応力が加わった際、側面板130Aは、バックライトユニット140の変形に追従して、ベース板120Aに対してスライドする。そのため、ベース板120Aには歪みが生じない。そのため、カバーパネル110と液晶パネル145へのストレスは発生せず、画質低下を抑制できる。
【0107】
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本開示の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0108】
10 液晶表示装置、110 カバーパネル、111 カバーパネルの後側主面、115
A-115D カバーパネルの側面、120、120A-120D ベース板、126 ベース板の切欠き部、127 雄ネジ、128 雄ネジ、129 ワッシャ、130A-130D 側面板、131 側面板の側壁部、132 側面板の前端部、133 側面板の外側主面、137 雌ネジスタッド、139 雌ネジスタッド、140 バックライトユニット、141 バックライトユニットの側面、145 液晶パネル、161 接着樹脂層、162 接着層、180 側面板、181 側面板の側壁部、182 側面板の前端部、183 前端部の部分、184 前端部の部分、201 ベース板の前側面、202 ベース板の後側面、321 前側面、323A-323C 側面板の前端部の前側部分、324A、324B 側面板の前端部の後側部分、325 孔、371 雌ネジスタッドの後側面、451 TFT基板、452 CF基板、453 CF基板の前側面、456 フレキシブルケーブル、501 ベース板の側壁部、502A-502B ベース板の桁部、503 ベース板の桁部の先端部、504 ベース板の桁部の前側面、511 側面板の側壁部、512A-512B 側面板の孔、513 側面板の前端部の後側面