(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】建物の荷受け構造
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20221221BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20221221BHJP
B64F 1/12 20060101ALI20221221BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20221221BHJP
A47G 29/12 20060101ALI20221221BHJP
E04F 17/00 20060101ALI20221221BHJP
B64F 1/32 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
E04H1/02
B64C39/02
B64F1/12
B64C27/08
A47G29/12 Z
E04F17/00
B64F1/32
(21)【出願番号】P 2018183609
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】大澤 淳司
(72)【発明者】
【氏名】山田 拓久
(72)【発明者】
【氏名】今仲 雅之
(72)【発明者】
【氏名】林 怡伶
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 嵩之
(72)【発明者】
【氏名】福岡 直
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/106721(WO,A1)
【文献】特開2017-058937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/00 - 1/04
E04B 1/00 - 1/36
E04F 17/00 - 17/12
B64C 39/02
B64F 1/18
B64F 1/32
A47G 29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の内部に設けられ、無人航空機が移動可能な移動経路と、
前記建物の外部において開口し、前記移動経路に対する前記無人航空機の出入りが可能な出入口と、
前記建物の内部に設けられ、前記移動経路に連通すると共に、前記無人航空機を介して搬送された荷物を保管可能である荷受け部と、
を具備
し、
前記建物の屋根部において、前記出入口を示す表示部が設けられている、
建物の荷受け構造。
【請求項2】
建物の内部に設けられ、無人航空機が移動可能な移動経路と、
前記建物の外部において開口し、前記移動経路に対する前記無人航空機の出入りが可能な出入口と、
前記建物の内部に設けられ、前記移動経路に連通すると共に、前記無人航空機を介して搬送された荷物を保管可能である荷受け部と、
を具備し、
前記出入口を示す表示部が設けられている、
建物の荷受け構造。
【請求項3】
建物の内部に設けられ、無人航空機が移動可能な移動経路と、
前記建物の外部において開口し、前記移動経路に対する前記無人航空機の出入りが可能な出入口と、
前記建物の内部に設けられ、前記移動経路に開口部を介して連通すると共に、前記無人航空機を介して搬送された荷物を保管可能である荷受け部と、
を具備し、
前記荷受け部は、
上下方向に見て前記開口部と重なり合うように配置され、前記開口部を介して浸入する水を外部へ排水する排水機構を有する、
建物の荷受け構造。
【請求項4】
前記出入口は、横方又は下方に開口する、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の建物の荷受け構造。
【請求項5】
前記出入口を開閉可能な開閉部を更に具備し、
前記開閉部は、前記無人航空機に対する進入許可に応じて前記出入口を開放する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の建物の荷受け構造。
【請求項6】
前記移動経路には、前記無人航空機のメンテナンスが可能なメンテナンス手段が設けられている、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の建物の荷受け構造。
【請求項7】
前記メンテナンス手段は、前記無人航空機の充電が可能な充電部を有する、
請求項6に記載の建物の荷受け構造。
【請求項8】
前記荷受け部は、前記移動経路内において前記荷物が載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記荷物を、前記移動経路の外部に移動させる移動機構と、
を具備する、
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の建物の荷受け構造。
【請求項9】
前記移動経路は、前記建物の通気経路と兼用される、
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の建物の荷受け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人航空機を用いて搬送された荷物を受け取り可能な建物の荷受け構造の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無人航空機を用いて荷物を搬送する技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、ドローンを用いて、宅配先に荷物を宅配するドローンを使った宅配システムが記載されている。
【0004】
上述のようなドローンを使った宅配システムでは、ドローンが宅配先に到着すると、建物の外部において荷物をリリースして荷物の搬送を終える。このような宅配システムでは、荷物は野ざらしで保管されることから、荷物が濡れたり、荷物が盗難にあう等の懸念があった。
【0005】
上記のような事態を回避すべく、建物の外部に搬送された荷物をすぐに受け取るためには、受取人が特定の時間帯に建物内で待つ必要があり、利便性の点で問題があることから改善が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、無人航空機を用いた荷物の受け取りの利便性を向上させることができる建物の荷受け構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、建物の内部に設けられ、無人航空機が移動可能な移動経路と、前記建物の外部において開口し、前記移動経路に対する前記無人航空機の出入りが可能な出入口と、前記建物の内部に設けられ、前記移動経路に連通すると共に、前記無人航空機を介して搬送された荷物を保管可能である荷受け部と、を具備し、前記建物の屋根部において、前記出入口を示す表示部が設けられているものである。
また、請求項2においては、建物の内部に設けられ、無人航空機が移動可能な移動経路と、前記建物の外部において開口し、前記移動経路に対する前記無人航空機の出入りが可能な出入口と、前記建物の内部に設けられ、前記移動経路に連通すると共に、前記無人航空機を介して搬送された荷物を保管可能である荷受け部と、を具備し、前記出入口を示す表示部が設けられているものである。
また、請求項3においては、建物の内部に設けられ、無人航空機が移動可能な移動経路と、前記建物の外部において開口し、前記移動経路に対する前記無人航空機の出入りが可能な出入口と、前記建物の内部に設けられ、前記移動経路に開口部を介して連通すると共に、前記無人航空機を介して搬送された荷物を保管可能である荷受け部と、を具備し、上下方向に見て前記開口部と重なり合うように配置され、前記開口部を介して浸入する水を外部へ排水する排水機構を有するものである。
【0010】
請求項4においては、前記出入口は、横方又は下方に開口するものである。
【0011】
請求項5においては、前記出入口を開閉可能な開閉部を更に具備し、前記開閉部は、前記無人航空機に対する進入許可に応じて前記出入口を開放するものである。
【0012】
請求項6においては、前記移動経路には、前記無人航空機のメンテナンスが可能なメンテナンス手段が設けられているものである。
【0013】
請求項7においては、前記メンテナンス手段は、前記無人航空機の充電が可能な充電部を有するものである。
【0014】
請求項8においては、前記荷受け部は、前記移動経路内において前記荷物が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記荷物を、前記移動経路の外部に移動させる移動機構と、を具備するものである。
【0015】
請求項9においては、前記移動経路は、前記建物の通気経路と兼用されるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
本発明においては、無人航空機を用いた荷物の受け取りの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る建物の荷受け構造を示した側断面図。
【
図3】無人航空機が移動経路に進入した状態を示す側断面図。
【
図4】荷受け部に荷物を保管した状態を示す側断面図。
【
図5】無人航空機が移動経路を退出した様子を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、図中の矢印に基づいて、前後方向、左右方向及び上下方向を定義して説明を行う。
【0028】
本発明の一実施形態に係る荷受け構造10は、無人航空機50を用いて、搬送元から搬送された荷物52を、搬送先である建物1の内部で受け取るためのものである。以下では、まず、
図1から
図5までを用いて、無人航空機50、搬送元及び建物1について説明する。
【0029】
図1、
図3から
図5までに示す無人航空機50は、ドローンやUAVとも呼ばれる人が搭乗しない小型の航空機である。無人航空機50は、複数のローター(回転翼)を具備し、安定した飛行を行うことができる。無人航空機50は、荷物52の保持が可能な保持部51を具備する。保持部51は、無人航空機50の下部において荷物52を保持及び保持の解除が可能なアーム状の部材である。保持部51は、当該保持部51が開閉することで荷物52を保持するものや、磁石、吸盤等を利用して荷物52を保持するもの等、種々の態様を採用可能である。
【0030】
また、無人航空機50は、通信手段やカメラ、GPS受信機、高度センサ、充電池を具備する。無人航空機50は、通信手段によって、搬送元や搬送先(建物1)と各種の情報をやり取り(通信)することができる。また、無人航空機50は、カメラやGPS受信機、高度センサから取得した情報を基に、搬送元や搬送先に向かって飛行することができる。また、本実施形態では、無人航空機50を、宅配業者に所有されるものとしている。
【0031】
搬送元は、無人航空機50の発着地点である。搬送元としては、例えば、宅配業者の営業所や倉庫が考えられる。また、搬送元を、宅配業者の配送車としてもよい。この場合は、まず配送車によって荷物52及び無人航空機50を建物1が含まれる所定の配送エリアまで運び、次に、無人航空機50を用いて配送車から建物1まで荷物52を搬送するような態様が考えられる。
【0032】
図1から
図5までに示す建物1は、本実施形態に係る荷受け構造10を有する。建物1は、内部に人が生活するための空間である居住空間と、通気や給排水、電気等の設備のための空間である設備空間と、を有する住宅である。本実施形態では、建物1を戸建住宅としている。なお、建物1は、戸建住宅に限られず、集合住宅であってもよい。
【0033】
図例では、主として、建物1の最上階部を示している。当該最上階部は、屋根部13、外壁部14、突出壁部15、内壁部16及び床部17を具備する。
【0034】
屋根部13は、建物1の屋上面を構成するものである。外壁部14は、建物1の内外を区画する壁である。
【0035】
突出壁部15は、外壁部14から外方(図例では左方)に突出する壁である。突出壁部15は、屋根部13から最上階部の上下方向途中部位にかけて垂れ下がるように設けられる。突出壁部15は、
図2に示すように、前方、後方及び左方の三方を区画する壁によって構成される。
【0036】
内壁部16は、建物1の内部において、外壁部14の内側に設けられる壁である。内壁部16は、建物1の居住空間を区画する。床部17は、建物1の最上階部の床面を構成するものである。
【0037】
次に、
図1から
図5までを用いて、本実施形態に係る荷受け構造10について詳細に説明する。本実施形態に係る荷受け構造10は、建物1の最上階に設けられる。荷受け構造10は、主として、出入口11、開閉部12、移動経路20、荷受け部30及び表示部40を具備する。
【0038】
出入口11は、建物の外部において開口するものである。出入口11を介して、後述する移動経路20に対する無人航空機50の出入りが可能となる。本実施形態では、出入口11は、突出壁部15の下端において下方に開口している。このような構成としたことで、出入口11を上方に開口させた場合と比べて、出入口11を介して雨水が建物1の内部に入ることを抑制することができる。
【0039】
出入口11の開口寸法は、無人航空機50が上下方向に通過可能な寸法とされている。出入口11の開口寸法としては、無人航空機50や荷物52の上下方向に見た寸法を考慮して設定することが考えられる。上記荷物52の寸法としては、例えば、一般的な荷物の梱包に用いられるダンボール等の寸法が考えられる。
【0040】
開閉部12は、出入口11を開閉するものである。開閉部12は、所定の開閉手段(不図示)によって開閉される。開閉部12は、無人航空機50に対する進入許可に応じて開閉される。このような構成としたことで、進入が許可されない無人航空機50の進入を防ぐことができ、防犯性を向上させることができる。
【0041】
本実施形態では、無人航空機50が建物1に接近すれば、建物1に設けられた所定の認証手段によって自動で無人航空機50や荷物52を認証し、上記認証が完了すれば、無人航空機50の進入を許可すると共に、
図3に示すように開閉部12を開放する構成としている。
【0042】
図例では、開閉部12を水平方向にスライドすることで出入口11を開閉するものとしている。なお、開閉部12は、上記態様に限られず、回動により出入口11を開閉するものであってもよい。
【0043】
移動経路20は、無人航空機50が移動可能な経路である。移動経路20は、出入口11と後述する荷受け部30とを連通する。本実施形態では、移動経路20を、前後方向に見て略逆U字状としている。移動経路20は、第一経路21、第二経路22及び第三経路23を具備する。
【0044】
第一経路21は、出入口11と連通し、上下方向に延びる経路である。第一経路21は、屋根部13及び突出壁部15によって区画される。また、第一経路21は、採光窓21aを具備する。図例では、突出壁部15を構成する壁のうち左方を区画する壁に採光窓21aを設けた例を示している。
【0045】
第二経路22は、水平方向に延びる経路である。第二経路22は、第一経路21及び後述する第三経路23と連通している。第二経路22は、外壁部14を貫通するように形成される。
【0046】
第三経路23は、上下方向に延びる経路である。第三経路23は、上部が第二経路22と連通し、下部が後述する荷受け部30と連通する。第三経路23は、屋根部13、外壁部14、内壁部16及び後述する着陸部24によって区画される。また、第三経路23は、採光窓23a、着陸部24、メンテナンス用開口26、送風部27及び充電部28を具備する。
【0047】
採光窓23aは、第一経路21の採光窓21aに対向する部分に設けられる。採光窓23aは、第二経路22及び採光窓23aと左右方向に見て互いに重なり合うように配置される。これにより、移動経路20を設けながらも、採光窓21a、第二経路22及び採光窓23aを介して、建物1の内部への採光を図ることができる。
【0048】
着陸部24は、無人航空機50を着陸させることが可能な部分である。着陸部24は、第三経路23の下端部(底部)を構成する。着陸部24は、床部17よりも上方に位置するように設けられる。着陸部24は、第三経路23と当該第三経路23の下方の居住空間(荷受け部30)とを区画する。着陸部24は、開口部25を有する。
【0049】
開口部25は、第三経路23と後述する荷受け部30とを連通する開口である。開口部25は、着陸部24を上下に貫通する。開口部25は、荷物52が通過可能に形成される。開口部25の開口寸法は、荷物52の上下方向に見た寸法を考慮して設定することが考えられる。
【0050】
メンテナンス用開口26は、第三経路23と建物1の居住空間とを連通する開口である。メンテナンス用開口26は、第三経路23の下部に設けられる。図例では、メンテナンス用開口26は、第三経路23の右側を区画する内壁部16を貫通するように形成されている。メンテナンス用開口26は、無人航空機50を出し入れ可能な開口寸法とされている。また、メンテナンス用開口26には、当該メンテナンス用開口26を開閉可能なメンテナンス用ドア26aが設けられる。
【0051】
送風部27は、着陸部24に着陸させた無人航空機50に向けて風を発生させるものである。これにより、無人航空機50に付着した水滴や粉塵を除去することができる。送風部27は、着陸部24に着陸した状態の無人航空機50に風を当てることが可能な位置に配置される。図例では、送風部27をメンテナンス用開口26の上部に設けた例を示している。なお、上記態様に限られず、送風部27は、種々の位置に取り付け可能である。
【0052】
充電部28は、無人航空機50の充電池の充電が可能なものである。充電部28は、所定のコネクタを介さずに無人航空機50充電池の充電が可能な非接触充電(ワイヤレス充電)方式とされている。充電部28は、着陸部24に着陸した状態の無人航空機50に対して充電が可能な位置に配置される。図例では、充電部28を、第三経路23を区画する壁部(外壁部14)に設けた例を示している。なお、上記態様に限られず、充電部28は、種々の位置に取り付け可能である。
【0053】
上記充電部28を設けたことで、無人航空機50の出発地点(搬送元)と建物1との間の距離が、無人航空機50に内蔵された充電池の充電量で往復移動可能な距離(搬送可能距離)を超える場合であっても、上記出発地点までの帰還に必要な電力を充電部28によって充電することで、搬送可能距離を超えた荷物52の搬送が可能となる。
【0054】
また、移動経路20の内部に設置される構成(設備)としては、上述した送風部27や充電部28のようなものに限られない。例えば、移動経路20の内部に緩衝材(不図示)を設けてもよい。このような構成とすれば、移動経路20に無人航空機50が衝突した際の破損を抑制することができる。また、移動経路20の内部に、消火器やスプリンクラー等の適宜の消火設備(不図示)を設けてもよい。このような構成とすれば、無人航空機50が破損により発火したような場合でも、火災を抑制することができる。
【0055】
また、移動経路20の内部の所定の位置に誘導灯を設けてもよい。このような構成とすれば、無人航空機50に対して移動経路20内を案内することができる。また、移動経路20の内部に、無人航空機50を保持するアームや、上記アームに保持された無人航空機50を移動させるコンベヤ等を設けてもよい。このような構成とすれば、無人航空機50の移動を補助することができる。
【0056】
また、本実施形態では、移動経路20を、建物1の設備空間である通気経路と兼用している。すなわち、本実施形態では、移動経路20を、建物1の居住空間と外部とを連通させ、排気や給気が可能な経路としている。このような構成としたことで、移動経路20を設けたことで建物1の居住空間が狭くなることを抑制することができる。また、本実施形態では、内壁部16及び着陸部24によって第三経路23と居住空間とを区画したことで、移動経路20と居住空間とを分離している。これにより、受取人と無人航空機50との接触を抑制することができる。
【0057】
荷受け部30は、無人航空機50を介して搬送された荷物52を保管可能なものである。荷受け部30は、建物1の内部において第三経路23に連通するように設けられる。荷受け部30は、第三経路23(着陸部24)の下方において、床部17に設置される。荷受け部30は、載置部31、移動機構32及び排水機構33を具備する。
【0058】
載置部31は、荷物52が載置されるものである。載置部31は、厚さ方向を上下方向に沿わせた板状の部材である。載置部31は、
図2に示すように、上下方向に見て着陸部24の開口部25と重なり合うように配置される。また、載置部31の上下方向に見た寸法は、開口部25の上下方向に見た寸法よりも大きい寸法とされている。載置部31は、
図1に示すように、荷物52が載置されていない状態では、着陸部24の開口部25を閉鎖するように、上面が着陸部24の下面に当接した状態とされる。
【0059】
移動機構32は、載置部31に載置された荷物52を、第三経路23の外部に移動させるものである。移動機構32は、床部17に設置され、載置部31を下方から支持する。本実施形態では、移動機構32は、載置部31を昇降可能な機構とされており、
図4に示すように、載置部31に荷物52が載置されれば、当該荷物52の重量に応じて載置部31を下方に移動させる構成とされている。これにより、載置部31に載置された荷物52を第三経路23の下方に移動させることができる。
【0060】
移動機構32としては、載置部31を上方に付勢する適宜のばねを有し、載置部31に載置された荷物52の重量によって上記ばねの付勢力に抗して載置部31を降下させるような構成を採用可能である。また、移動機構32としては、載置部31を昇降させる適宜のアクチュエータを有し、載置部31に載置された荷物52の重量や高さを所定のセンサで検知し、上記検知に基づいて載置部31を降下させるような構成についても採用可能である。
【0061】
排水機構33は、第三経路23を介して建物1の内部に入る水を、外部に排出するものである。本実施形態では、排水機構33を、上方からの水を受ける受け皿状としている。排水機構33は、上下方向に見て、着陸部24の開口部25と重なり合うように配置される。また、排水機構33は、建物1の外方(左方)に下るように傾斜しており、受けた水を外壁部14に形成された排水孔を介して排出する構成とされている。
【0062】
また、荷受け部30は、すでに荷物52を保管している状態で、所定の通信手段を介して、荷物52の更なる受け入れが可能か否かの情報を無人航空機50や搬送元に発信可能な構成とされている。
【0063】
表示部40は、出入口11の位置を示すものである。表示部40は、出入口11の位置に関する情報を、無人航空機50に対して表示する。表示部40に表示される情報としては、所定の画像や記号、文字、コード等を採用可能である。表示部40は、屋根部13の上面(屋上面)において、上方に向くように設けられている。表示部40は、出入口11の直上(上下方向に見て出入口11と重なり合うように)設けられる。無人航空機50は、カメラを介して表示部40に表示された情報を取得することで、出入口11の位置を取得する。
【0064】
上述したような荷受け構造10によれば、無人航空機50を介して荷物52を建物1の内部に搬送させることができるので、無人航空機50を介して建物1の外部に荷物52を搬送する場合とは異なり、荷物52が野ざらしで保管されることで荷物52が濡れたり、荷物52が盗難にあうようなことを防ぐことができる。また、上記のような事態を回避すべく、建物1の外部に搬送された荷物52をすぐに受け取るために受取人が特定の時間帯に建物内で待たなければいけないような不便を解消することができる。また、荷物52を建物1の外部から内部へ運ぶ手間を省くことができ、荷物52の受け取りの利便性を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態に係る荷受け構造10は、充電部28によって無人航空機50を充電させた場合、充電量に応じて、無人航空機50の所有者(宅配業者)に課金するシステムを有する。上記システムとしては、例えば、無人航空機50への充電量を計測する所定のセンサ(不図示)の計測値に基づいて、所定の算出手段によって電気料金を算出すると共に、所定の課金手段を用いて、無人航空機50の所有者に対して課金するようなものが考えられる。
【0066】
また、本実施形態に係る荷受け構造10は、一の無人航空機50が移動経路20に進入した状態では、当該一の無人航空機50が移動経路20を退出するまで、他の無人航空機50を移動経路20に進入させないようなシステムを有する。上記システムとしては、例えば、移動経路20内に、無人航空機50の進入を検知する所定のセンサ(不図示)を設け、上記センサが無人航空機50の進入を検出した状態では、他の無人航空機50の移動経路20への進入を許可しないような制御を実行するようなものが考えられる。
【0067】
以下では、
図1、
図3から
図5までを用いて、上述したような荷受け構造10を有する建物1に、無人航空機50を介して荷物52を搬送する方法について説明する。
【0068】
まず、
図1に示すように、荷物52を保持した無人航空機50が建物1に接近し、建物1の屋根部13の表示部40に表示された情報を取得する。これにより、無人航空機50は、出入口11の位置を取得する。
【0069】
また、
図3に示すように、無人航空機50が建物1に接近すれば、建物1に設けられた認証手段による認証完了後、開閉部12が開放される。
【0070】
次に、
図3に示すように、無人航空機50は、出入口11の下方から上昇することで、出入口11を介して第一経路21を移動する。無人航空機50は、第一経路21内を第二経路22の高さまで上昇すれば、第三経路23に向かって第二経路22を水平方向(右方向)に移動する。次に、無人航空機50は、第三経路23内を下降し、着陸部24に着陸する。
【0071】
図4に示すように、無人航空機50が着陸部24に着陸した状態では、送風部27によって、無人航空機50や荷物52に付着した粉塵や水滴の除去が可能である。また、充電部28による充電が可能である。また、メンテナンス用開口26を介した種々のメンテナンスが可能である。
【0072】
次に、無人航空機50は、無人航空機50が着陸部24に着陸した状態で、保持部51による荷物52の保持を解除する。これにより、荷物52は、着陸部24の開口部25を介して、荷受け部30の載置部31に載置される。
【0073】
図4に示すように、載置部31に荷物52が載置されれば、移動機構32は載置部31を下降させる。これにより、荷受け部30は、荷物52を第三経路23の下方において保管することができる。これにより、受取人は、移動経路20に進入することなく荷物52を受け取ることができる。また、荷受け部30に保管された荷物52を直接受取人が受け取るような態様に限られず、荷受け部30に保管された荷物52を、当該荷物52を運搬可能な自律移動体(ポーターロボット)によって、更に建物1の内部の所定の場所へ移動させるような態様も採用可能である。
【0074】
図5に示すように、載置部31から荷物52が受け取られれば、移動機構32により載置部31が上昇し、着陸部24の開口部25を閉鎖する。
【0075】
また、
図5に示すように、無人航空機50は、荷物52の保持を解除し、送風部27や充電部28によるメンテナンスが終了すれば、建物1の内部に進入する場合とは逆方向に移動経路20内を移動し、出入口11を介して退出する。開閉部12は、無人航空機50が出入口11を出れば、当該出入口11を閉鎖する。
【0076】
以上の如く、本実施形態に係る建物1の荷受け構造10は、
建物1の内部に設けられ、無人航空機50が移動可能な移動経路20と、
前記建物1の外部において開口し、前記移動経路20に対する前記無人航空機50の出入りが可能な出入口11と、
前記建物1の内部に設けられ、前記移動経路20に連通すると共に、前記無人航空機50を介して搬送された荷物52を保管可能である荷受け部30と、
を具備するものである。
【0077】
このように構成することにより、無人航空機50を用いた荷物52の受け取りの利便性を向上させることができる。
すなわち、無人航空機50を介して荷物52を建物1の内部に搬送させることができるので、無人航空機50を介して建物1の外部に荷物52を搬送する場合とは異なり、荷物52が野ざらしで保管されることで荷物52が濡れたり、荷物52が盗難にあうようなことを防ぐことができる。また、上記のような事態を回避すべく、建物1の外部に搬送された荷物52をすぐに受け取るために受取人が特定の時間帯に建物内で待たなければいけないような不便を解消することができる。また、荷物52を建物1の外部から内部へ運ぶ手間を省くことができ、荷物52の受け取りの利便性を向上させることができる。
【0078】
また、前記出入口11は、横方又は下方に開口するものである。
【0079】
このように構成することにより、建物1の防水性を向上させることができる。すなわち、出入口11を上方に開口させた場合と比べて、出入口11を介して雨水が建物1の内部に入ることを抑制することができる。
【0080】
また、前記出入口11を開閉可能な開閉部12を更に具備し、
前記開閉部12は、前記無人航空機50に対する進入許可に応じて前記出入口11を開放するものである。
【0081】
このように構成することにより、防犯性を向上させることができる。すなわち、進入が許可されない無人航空機50の進入を防ぐことができ、防犯性を向上させることができる。
【0082】
また、前記移動経路20には、前記無人航空機50のメンテナンスが可能なメンテナンス手段(メンテナンス用開口26、送風部27及び充電部28)が設けられているものである。
【0083】
このように構成することにより、無人航空機50に対するメンテナンス性を向上させることができる。
【0084】
また、前記メンテナンス手段は、前記無人航空機50の充電が可能な充電部28を有するものである。
【0085】
このように構成することにより、無人航空機50の充電池の充電量に基づいた搬送可能距離を超えた荷物52の搬送が可能となる。すなわち、無人航空機50の出発地点と建物1との間の距離が、無人航空機50に内蔵された充電池の充電量で往復移動可能な距離(搬送可能距離)を超える場合であっても、出発地点までの帰還に必要な電力を充電部28によって無人航空機50に充電することで、上記搬送可能距離を超えた荷物52の搬送が可能となる。
【0086】
また、前記荷受け部30は、前記移動経路20内において前記荷物52が載置される載置部31と、
前記載置部31に載置された前記荷物52を、前記移動経路20の外部に移動させる移動機構32と、
を具備するものである。
【0087】
このように構成することにより、荷物52の受け取りの利便性をより向上させることができる。
すなわち、荷物52を移動経路20の外部に移動させることで、受取人が荷物52の受け取りのために移動経路20に進入することなく荷物52を受け取ることができ、利便性をより向上させることができる。
【0088】
また、前記移動経路20は、前記建物1の通気経路と兼用されるものである。
【0089】
このように構成することにより、建物1の設備空間の合理化を図ることができる。これにより、移動経路20を設けたことで建物1の居住空間が狭くなることを抑制することができる。また、移動経路20と居住空間とを分離したことで、受取人と無人航空機50との接触を抑制することができる。
【0090】
また、前記建物1の屋根部13において、前記出入口11を示す表示部40が設けられているものである。
【0091】
このように構成することにより、無人航空機50に対して出入口を案内することができる。
【0092】
なお、本実施形態に係るメンテナンス用開口26は、本発明に係るメンテナンス手段の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る送風部27は、本発明に係るメンテナンス手段の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る充電部28は、本発明に係るメンテナンス手段の実施の一形態である。
【0093】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0094】
例えば、本実施形態に係る荷受け構造10は、出入口11を下方に開口させた構成としているが、このような構成に限られない。例えば、出入口11を横方に開口させた構成としてもよい。この場合、上記実施形態に記載したような突出壁部15及び第一経路21を設けず、外壁部14に形成された開口を出入口11としてもよい。
【0095】
また、例えば、出入口11を上方に開口させた構成としてもよい。この場合、移動経路20を上下方向に延びる略直線状の経路としてもよい。また、この場合、屋根部13に形成され、移動経路20に連通するチムニー部(煙突部)や小屋裏部に形成された開口を出入口11としてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、建物1に設けられた所定の認証手段によって自動で無人航空機50や荷物52を認証し、上記認証が完了すれば、無人航空機50の進入を許可すると共に開閉部12を開放する構成としているが、このような構成に限られない。例えば、建物1に設けられた所定の通信手段を介して、受取人による所定の操作に基づく進入許可を受信すれば、開閉部12を開放するような構成としてもよい。この場合、受取人の操作に基づく進入許可を受信するまで、無人航空機50を屋根部13等の所定の待機場所に待機させるようにしてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、移動経路20を、建物1の通気経路と兼用する構成としているが、このような構成に限られない。例えば、移動経路20と通気経路とを別々に設けるようにしてもよい。
【0098】
また、本実施形態では、無人航空機50を、宅配業者に所有されるものとしているが、このような構成に限られない。例えば、無人航空機50を、受取人が所有するものとしてもよい。この場合は、着陸部24を、無人航空機50の発着地点としてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 建物
10 荷受け構造
11 出入口
12 開閉部
13 屋根部
20 移動経路
26 メンテナンス用開口(メンテナンス手段)
27 送風部(メンテナンス手段)
28 充電部(メンテナンス手段)
30 荷受け部
31 載置部
32 移動機構
40 表示部
50 無人航空機
52 荷物