(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】画像診断装置及び画像診断支援方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20221221BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20221221BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A61B8/14 ZDM
A61B6/00 370
A61B6/00 360B
A61B6/03 377
A61B6/03 360Q
(21)【出願番号】P 2018189847
(22)【出願日】2018-10-05
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 由昌
(72)【発明者】
【氏名】岩井 春樹
(72)【発明者】
【氏名】松永 智史
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-504642(JP,A)
【文献】特開2015-173899(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0242979(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0180082(US,A1)
【文献】特開2013-208412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を収容可能な収容部と、
前記収容部に収容された前記被検体の超音波撮影を行う超音波撮影部と、
前記収容部に収容された前記被検体のX線撮影を行うX線撮影部と、
前記X線撮影による前記被検体のX線画像と、前記超音波撮影による前記被検体の超音波画像とに基づく合成画像を生成して表示部に表示させる画像処理部と、
を備え
、
前記超音波撮影部及び前記X線撮影部は、前記収容部を有する筐体内に、前記超音波撮影の撮影断面と、前記X線撮影の投影面とが略平行になるように設けられる、
画像診断装置。
【請求項2】
前記超音波画像及び前記X線画像の画像サイズに基づいて、前記X線画像を超音波画像の画像サイズに合わせるための前記X線画像の変換率を算出する変換率算出部をさらに設け、
前記画像処理部は、前記変換率に従って前記X線画像を変換処理し、変換処理後のX線画像と、前記超音波画像とを合成して、前記合成画像を生成する、
請求項1に記載の画像診断装置。
【請求項3】
前記超音波撮影部を、前記超音波撮影の撮影断面の直交方向に移動させる駆動部をさらに備える、
請求項
2に記載の画像診断装置。
【請求項4】
前記超音波撮影部の前記直交方向への移動を指示する入力部をさらに備える、
請求項
3に記載の画像診断装置。
【請求項5】
前記変換率算出部は、前記超音波撮影部の前記直交方向の位置に応じた前記X線画像の変換率を算出し、
前記画像処理部は、前記超音波撮影部の前記直交方向の位置に応じた前記変換率に従って前記X線画像を変換処理する、
請求項
3又は
4に記載の画像診断装置。
【請求項6】
前記超音波撮影部、前記X線撮影部、及び前記駆動部を、前記X線撮影の撮影中心を中心として回転させる第2の駆動部をさらに備える、
請求項
3乃至
5のうちいずれか1項に記載の画像診断装置。
【請求項7】
前記X線撮影部のX線照射部を、前記X線撮影の撮影中心を中心として回転させる第3の駆動部をさらに備え、
前記X線撮影部は、X線の照射角度の異なる複数のX線撮影を行って複数のX線画像を生成させ、
前記画像処理部は、前記複数のX線画像から選択された画像を前記X線画像とする、
請求項
3乃至
5のうちいずれか1項に記載の画像診断装置。
【請求項8】
前記X線撮影部のX線照射部を、前記X線撮影の撮影中心を中心として回転させる第3の駆動部をさらに備え、
前記X線撮影部は、X線の照射角度の異なる複数のX線撮影を行って複数のX線画像を生成させ、
前記画像処理部は、前記複数のX線画像からボリュームデータを生成し、前記ボリュームデータに基づくMPR(Multi-Planar Reconstruction)断面の画像を前記X線画像とする、
請求項
3乃至
5のうちいずれか1項に記載の画像診断装置。
【請求項9】
前記変換率算出部は、校正用ファントムを撮影して生成された前記超音波画像及び前記X線画像に基づいて、前記変換率の補正値を算出し、
前記画像処理部は、前記変換率を前記補正値により補正し、補正後の変換率に従って前記X線画像を変換処理して、前記変換処理後のX線画像を生成する、
請求項
3乃至
5のうちいずれか1項に記載の画像診断装置。
【請求項10】
前記収容部は、前記超音波撮影部及び前記X線撮影部を備える筐体に、手の指を収容可能な大きさ及び形状で設けられる、
請求項1乃至
9のうちいずれか1項に記載の画像診断装置。
【請求項11】
被検体を収容可能な収容部に収容された前記被検体の超音波撮影を行い、
X線撮影の投影面が前記超音波撮影の撮影断面と略平行になるように、前記収容部に収容された前記被検体の
前記X線撮影を行い、
前記X線撮影による前記被検体のX線画像と、前記超音波撮影による前記被検体の超音波画像とに基づく合成画像を生成して表示部に表示させる、
画像診断支援方法。
【請求項12】
前記超音波撮影を行う超音波撮影部を、前記超音波撮影の撮影断面の直交方向に移動させながら前記被検体の超音波撮影を行う、
請求項
11に記載の画像診断支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像診断装置及び画像診断支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、関節リウマチをはじめとする関節疾患の進行度の評価に画像診断を行うことが一般的になりつつある。例えば、関節リウマチの進行度は、関節破壊と機能障害の程度から判定される。関節疾患の進行度の評価を行うための画像診断において、例えば、超音波診断装置による超音波ドプラ画像上の血流領域が観察される。
【0003】
関節リウマチの進行度を評価する場合、周辺の骨に対する、関節リウマチの炎症の達している範囲を視認することができれば、予後の良し悪しを診断可能になる。そのために、関節リウマチの進行度を評価するに当たり、血流と骨の位置関係を確認したいと要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、関節疾患の進行度の評価を支援できる画像を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る画像診断装置は、収容部と、超音波撮影部と、X線撮影部と、画像処理部とを備える。収容部は、被検体を収容可能である。超音波撮影部は、収容部に収容された被検体の超音波撮影を行う。X線撮影部は、収容部に収容された被検体のX線撮影を行う。画像処理部は、X線撮影による被検体のX線画像と、超音波撮影による被検体の超音波画像とに基づく合成画像を生成して表示部に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像診断装置の構成を示す概略図。
【
図2】
図2は、実施形態に係る画像診断装置の外観を示す斜視図。
【
図3】
図3は、実施形態に係る画像診断装置における指の撮影状態を示す側面図及び上面図。
【
図4】
図4は、実施形態に係る画像診断装置の機能を示すブロック図。
【
図5】
図5は、実施形態に係る画像診断装置において、指の超音波画像データの一例を示す模式図。
【
図6】
図6は、実施形態に係る画像診断装置において、指のX線画像データの一例を示す模式図。
【
図7】
図7は、実施形態に係る画像診断装置において、指の変換X線画像データの一例を示す模式図。
【
図8】
図8は、実施形態に係る画像診断装置において、指の合成画像データの一例を示す模式図。
【
図9】
図9は、実施形態に係る画像診断装置における指の撮影動作をフローチャートとして示す図。
【
図10】
図10は、実施形態に係る画像診断装置において、超音波撮影部、X線撮影部、及び駆動部の回転に伴う断面及び投影面の変化を示す図。
【
図11】
図11は、実施形態に係る画像診断装置におけるキャリブレーション時の状態を示す側面図及び上面図。
【
図12】
図12は、実施形態に係る画像診断装置におけるキャリブレーション動作をフローチャートとして示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、画像診断装置及び画像診断支援方法の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
1.実施形態
図1は、実施形態に係る画像診断装置の構成を示す概略図である。
図2は、実施形態に係る画像診断装置の外観を示す斜視図である。
図3は、実施形態に係る画像診断装置における指の撮影状態を示す側面図及び上面図である。
【0010】
図1~
図3は、実施形態に係る画像診断装置1を示す。画像診断装置1は、超音波撮影部10と、X線撮影部20と、コンソール(画像処理装置)30と、駆動部60とを備える。
【0011】
画像診断装置1は、被検体、例えば、患者の手の指Uを収容可能な大きさ及び形状を有する収容部Hを有する筐体Rに、超音波撮影部10と、X線撮影部20とを備える。画像診断装置1は、筐体Rの収容部Hに、超音波撮影時の音響インピーダンス整合のための媒体(例えば、水)Wが満たされた状態で使用される。なお、被検体が指Uの場合について説明するが、その場合に限定されるものではない。例えば、被検体は、関節をもつ部位である腕や足であってもよい。
【0012】
超音波撮影部10と、X線撮影部20とは、超音波撮影部10による超音波撮影の撮影断面と、X線撮影部20によるX線撮影の投影面(検出面)とが略平行になるように筐体R内で位置関係が調整される。ここで、当該断面及び投影面がつくる2方向をX軸方向及びZ軸方向と定義し、X軸方向及びZ軸方向に直交する方向をY軸方向と定義する。
【0013】
超音波撮影部10は、前面部に複数個の微小な振動子(圧電素子)11を備え、コンソール30による制御の下、収容部Hに収容された指Uの超音波撮影を行う。各振動子11は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルスを超音波パルスに変換し、また、受信時には反射波を電気信号(受信信号)に変換する機能を有する。超音波撮影部10は小型、軽量に構成されており、ケーブル(又は無線通信)を介してコンソール30に接続される。
【0014】
超音波撮影部10は、いわゆる超音波プローブとして機能する。しかし、超音波撮影部10は、操作者によって直接的に把持されるものではないので、把持用の筐体は必須の構成ではない。
【0015】
超音波撮影部10は、スキャン方式の違いにより、リニア型、コンベックス型、及びセクタ型等の種類に分けられる。また、超音波撮影部10は、アレイ配列次元の違いにより、アジマス方向に1次元(1D)的に複数個の振動子11が配列された1Dアレイ型と、アジマス方向かつエレベーション方向に2次元(2D)的に複数個の振動子11が配列された2Dアレイ型との種類に分けられる。なお、1Dアレイ型は、エレベーション方向に少数の振動子11が配列されたものを含む。
【0016】
なお、
図1~
図3において、画像診断装置1が、1個の超音波撮影部10を備える場合について図示するが、その場合に限定されるものではない。例えば、画像診断装置1は、収容部Hを間に挟んで両側に、2個の超音波撮影部10を備えてもよい。2個の超音波撮影部10が備えられる場合、2個の超音波撮影部10をY軸の平行方向にずらして配置することで、駆動部60の配置を省略して、2個の超音波撮影部10に相当する2断面の超音波画像を生成することができる。又は、2個の超音波撮影部10が備えられる場合、2個の超音波撮影部10にそれぞれ対応する2個の駆動部60を備え、各超音波撮影部10を使用してY軸の平行方向に複数の超音波画像データを生成できるようにしてもよい。
【0017】
X線撮影部20は、高電圧供給装置21、X線照射装置22、及びX線検出装置23を備え、コンソール30による制御の下、収容部Hに収容された指UのX線撮影を行う。
【0018】
高電圧供給装置21は、コンソール30による制御の下、X線照射装置22のX線管に高電圧電力を供給する。
【0019】
X線照射装置22は、X線管(X線源)及び可動絞り装置を設ける。X線管は、高電圧供給装置21から高電圧電力の供給を受けて、高電圧電力の条件に応じてX線を発生する。可動絞り装置は、コンソール30による制御の下、X線管のX線照射口で、X線を遮蔽する物質から構成された絞り羽根を移動可能に支持する。なお、X線管の前面に、X線管によって発生されたX線の線質を調整する線質調整フィルタ(図示省略)を備えてもよい。なお、X線照射装置22は、X線照射部の一例である。
【0020】
X線検出装置23は、X線照射装置22に対向するように、かつ、その検出面がX-Z面と平行になるように設けられる。X線検出装置23は、X線検出器及びA/D(Analog to Digital)変換回路を備える。X線検出器は、X線を検出する複数の検出素子を備える。複数の検出素子は、マトリクス状に配置される。X線検出器は、コンソール30による制御の下、SID(Source Image Distance)方向に沿って動作、即ち、前後動作を行うことができる。また、X線検出器は、コンソール30による制御の下、SID方向を中心とした回転方向に沿って動作、即ち、回転動作を行うことができる。なお、X線検出装置23は、X線検出部の一例である。
【0021】
コンソール30は、処理回路31、メモリ32、ディスプレイ33、及び入力インターフェース34を備える。また、コンソール30は、超音波撮影部10を制御して超音波画像を生成するために、超音波撮影制御回路41、Bモード処理回路42、ドプラ処理回路43、及び超音波画像生成回路44を備える。さらに、コンソール30は、X線撮影部20を制御してX線画像を生成するために、X線撮影制御回路51及びX線画像生成回路52を備える。回路41~44,51,52は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等によって構成されるものである。しかしながら、その場合に限定されるものではなく、回路41~44,51,52の機能の全部又は一部は、処理回路31がプログラムを実行することで実現されるものであってもよい。
【0022】
処理回路31は、画像診断装置1の全体の動作を制御する。処理回路31は、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processor Unit)、又はGPU(Graphics Processing Unit)の他、ASIC、及び、プログラマブル論理デバイス等を意味する。プログラマブル論理デバイスとしては、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(SPLD:Simple Programmable Logic Device)、複合プログラマブル論理デバイス(CPLD:Complex Programmable Logic Device)、及び、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。
【0023】
また、処理回路31は、単一の回路によって構成されてもよいし、複数の独立した処理回路要素の組み合わせによって構成されてもよい。後者の場合、メモリ32は処理回路要素ごとに個別に設けられてもよいし、単一のメモリ32が複数の処理回路要素の機能に対応するプログラムを記憶するものであってもよい。
【0024】
メモリ32は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等によって構成される。メモリ32は、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びDVD(Digital Video Disk)等の可搬型メディアによって構成されてもよい。メモリ32は、処理回路31において用いられる各種処理プログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。また、OSに、操作者に対するディスプレイ33への情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力インターフェース34によって行うことができるGUI(Graphic User Interface)を含めることもできる。なお、メモリ32は、記憶部の一例である。
【0025】
ディスプレイ33は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ33は、超音波画像生成回路44によって生成された超音波画像データや、X線画像生成回路52によって生成されたX線画像データや、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ33は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等である。なお、ディスプレイ33は、表示部の一例である。
【0026】
入力インターフェース34は、操作者によって操作が可能な入力デバイスと、入力デバイスからの信号を入力する入力回路とを含む。入力デバイスは、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面に触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等によって実現される。入力デバイスが操作者から入力操作を受け付けると、入力回路は当該入力操作に応じた電気信号を生成して処理回路31に出力する。入力インターフェース34の一例として、超音波送受信ボタン341、X線曝射ボタン342、ジョイスティック343を
図2及び
図3に図示する。ジョイスティック343は、超音波撮影部10を、超音波撮影の撮影断面の直交方向、つまり、Y軸の平行方向に移動させるための指示を行うものである。なお、入力インターフェース34は、入力部の一例である。
【0027】
超音波撮影制御回路41は、送信回路及び受信回路(図示省略)を有する。超音波撮影制御回路41は、処理回路31による制御の下、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。なお、超音波撮影制御回路41がコンソール30に設けられる場合について説明するが、超音波撮影制御回路41は、超音波撮影部10に設けられてもよい。なお、超音波撮影制御回路41は、超音波撮影制御部の一例である。
【0028】
送信回路は、パルス発生回路、送信遅延回路、及びパルサ回路等を有し、超音波振動子に駆動信号を供給する。パルス発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。送信遅延回路は、超音波撮影部10の超音波振動子から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波振動子に駆動パルスを印加する。送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波ビームの送信方向を任意に調整する。
【0029】
受信回路は、アンプ回路、A/D(Analog to Digital)変換器、及び加算器等を有し、超音波振動子が受信したエコー信号を受け、このエコー信号に対して各種処理を行ってエコーデータを生成する。アンプ回路は、エコー信号をチャンネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正されたエコー信号をA/D変換し、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、A/D変換器によって処理されたエコー信号の加算処理を行ってエコーデータを生成する。加算器の加算処理により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0030】
Bモード処理回路42は、処理回路31による制御の下、受信回路からエコーデータを受信し、対数増幅、及び包絡線検波処理等を行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるX-Z断面のデータを生成する。このデータは、一般に、Bモードデータと呼ばれる。なお、Bモード処理回路42は、Bモード処理部の一例である。
【0031】
ドプラ処理回路43は、処理回路31による制御の下、受信回路からのエコーデータから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したX-Z断面のデータを生成する。このデータは、一般に、ドプラデータと呼ばれる。
【0032】
超音波画像生成回路44は、処理回路31による制御の下、超音波撮影部10が受信したエコー信号に基づいて、所定の輝度レンジで表現されたX-Z断面の超音波画像データを生成する。例えば、超音波画像生成回路44は、X-Z断面の超音波画像データとして、Bモード処理回路42によって生成されたBモードデータから反射波の強度を輝度にて表したX-Z断面のBモード画像データを生成する。また、超音波画像生成回路44は、X-Z断面の超音波画像データとして、ドプラ処理回路43によって生成されたドプラデータから移動体情報を表す速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのX-Z断面のドプラ画像を生成する。さらに、超音波画像生成回路44は、X-Z断面の超音波画像データとして、Bモード画像データに、カラードプラ画像データ又はパワードプラ画像データを合成したX-Z断面の画像データを生成する。なお、超音波画像生成回路44は、超音波画像生成部の一例である。
【0033】
駆動制御回路46は、処理回路31による制御の下、駆動部60を駆動させる動力回路である。
【0034】
X線撮影制御回路51は、処理回路31による制御の下、X線の照射を制御する。なお、X線撮影制御回路51がコンソール30に設けられる場合について説明するが、X線撮影制御回路51は、X線撮影部20に設けられてもよい。なお、X線撮影制御回路51は、X線撮影制御部の一例である。
【0035】
X線画像生成回路52は、処理回路31による制御の下、X線検出装置23のA/D変換回路(図示省略)から出力された投影データに対して対数変換処理(LOG処理)を行なって必要に応じて加算処理して、X線画像データを生成する。また、X線画像生成回路52は、処理回路31による制御の下、生成されたX線画像データに対して画像処理を施す。画像処理としては、データに対する拡大/階調/空間フィルタ処理や、時系列に蓄積されたデータの最小値/最大値トレース処理、及びノイズを除去するための加算処理等が挙げられる。なお、X線画像生成回路52は、X線画像生成部の一例である。
【0036】
駆動部60は、超音波撮影部10を、超音波撮影の撮影断面の直交方向、つまり、Y軸の平行方向に駆動させる構造を有する。例えば、駆動部60は、回転運動を直線運動に変換するボールねじ構造を有する。その場合、駆動部60は、Y軸の平行方向に沿うねじ軸Sと、ねじ軸Sを軸中心に回転させるモータMと、ねじ軸Sに係合するナットNとを設ける。モータMによりねじ軸Sが軸中心に回転されると、ナットNがY軸の平行方向に移動する。つまり、ナットNに超音波撮影部10を固定することで、モータMの駆動により、超音波撮影部10がY軸の平行方向に移動する。
【0037】
続いて、画像診断装置1の機能について説明する。
【0038】
図4は、画像診断装置1の機能を示すブロック図である。
【0039】
処理回路31は、メモリ32に記憶された、又は、処理回路31内に直接組み込まれたプログラムを読み出して実行することで、駆動制御機能311、変換率算出機能312、及び画像処理機能313を実現する。以下、機能311~313がソフトウェア的に機能する場合を例に挙げて説明するが、機能311~313の全部又は一部は、ASIC等の回路により実現されてもよい。
【0040】
駆動制御機能311は、駆動制御回路45を制御し、駆動部60のモータMを駆動させることで、超音波撮影部10をY軸の平行方向に移動させる機能を含む。なお、駆動制御機能311は、駆動制御部の一例である。
【0041】
変換率算出機能312は、超音波画像データ及びX線画像データの画像サイズ(大きさ)に基づいて、X線画像データを超音波画像データの画像サイズに合わせるためのX線画像データの変換率を算出する機能を含む。X線画像データは、1点の焦点から照射されたX線に基づく画像データであるため、超音波撮影部10(又は、超音波断面)のY軸方向の位置に応じて、超音波画像データとの画像サイズが変化することになる。
【0042】
X線画像データを超音波画像データの画像サイズに合わせるために、画像変換機能314は、X線撮影部20のX線管及びX線検出器の位置(SID)と、超音波撮影部10のY軸方向の位置とを取得し、それらの情報と超音波画像データの画素サイズ[mm/pixel]とに基づいて、X線画像データの変換率を計算する。変換率算出機能312は、X線照射装置22(又はX線検出装置23)の位置を、X線照射装置22(又はX線検出装置23)をY軸の平行方向に移動させる駆動部(図示省略)の回転方向の機械的変位量に基づいて算出すればよいし、超音波撮影部10のY軸方向の位置を、駆動部60の回転方向の機械的変位量に基づいて算出すればよい。なお、変換率算出機能312は、変換率算出部の一例である。
【0043】
画像処理機能313は、超音波撮影制御回路41による制御により超音波画像生成回路44によって生成された指Uの超音波画像データと、X線撮影制御回路51による制御によりX線画像生成回路52によって生成された指UのX線画像データとを合成することで、指Uの合成画像データを生成する機能を含む。指Uの超音波画像データの一例を
図5に示す。指UのX線画像データの一例を
図6に示す。画像処理機能313は、画像変換機能314及び画像合成機能315を含む。なお、画像処理機能313は、画像処理部の一例である。
【0044】
画像変換機能314は、変換率算出機能312によって算出された変換率に従ってX線画像データを変換処理して、変換処理後のX線画像データ(以下、「変換X線画像データ」と呼ぶ)を生成する機能を含む。指Uの変換X線画像データの一例を
図7に示す。なお、X線画像データを縮小変換すると、画像の分解能が損なわれてしまう。そのため、画像変換機能314は、超音波画像データ及びX線画像データのうち画素サイズの小さい画像データに合うようにX線画像データ又は超音波画像データを変換してもよい。なお、画像変換機能314は、画像変換部の一例である。
【0045】
画像合成機能315は、画像変換機能314によって生成された指Uの変換X線画像データと、超音波撮影制御回路45による制御により超音波画像生成回路44によって生成された指Uの超音波画像データとを合成して、合成画像データを生成する機能を含む。指Uの合成画像データの一例を
図8に示す。また、画像合成機能315は、合成画像データを合成画像としてディスプレイ33に表示させる機能と、合成画像データをメモリ32に記憶させる機能とを含む。なお、画像合成機能315は、画像合成部の一例である。
【0046】
続いて、画像診断装置1の動作について説明する。
【0047】
図9は、画像診断装置1における指の撮影動作をフローチャートとして示す図である。
図9において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0048】
まず、操作者は、患者の指を筐体Rの収容部Hに挿入させ、収容部Hを水Wで満たす。
【0049】
操作者により超音波送受信ボタン341が押圧されることで、超音波撮影制御回路41は、超音波撮影部10を制御して、収容部H内の患者の指Uに対して超音波撮影を開始し、超音波画像生成回路44は、超音波画像データ(例えば、Bモード画像及びパワードプラ画像の合成画像データ)の収集を開始する(ステップST1)。超音波画像生成回路44は、超音波画像データを生成し、超音波画像データを超音波画像としてディスプレイ33にライブ表示させる(ステップST2)。
【0050】
また、超音波撮影中、操作者によりジョイスティック343がY軸方向に左側又は右側に倒されることで、駆動制御機能311は、駆動制御回路45を介してモータMを駆動させ、超音波撮影部10をY軸の平行方向にスライド移動させる(ステップST3)。操作者は、任意の位置で超音波撮影部10のスライド移動を停止させる。超音波撮影制御回路41は、操作者により超音波送受信ボタン341が再び押圧されたか、つまり、超音波画像データの収集を終了(フリーズ)するか否かを判断する(ステップST4)。
【0051】
ステップST4の判断にてNO、つまり、超音波画像データの収集を終了しないと判断される場合、超音波撮影制御回路41は、操作者により超音波送受信ボタン341が再び押圧されるまで超音波撮影部10をスライド移動させる(ステップST3)。一方で、ステップST4の判断にてYES、つまり、超音波画像データの収集を終了すると判断される場合、超音波撮影制御回路41は、超音波画像データの収集を終了し(ステップST5)、終了直前の超音波画像データをメモリ32に保存する(ステップST6)。
【0052】
操作者によりX線曝射ボタン342が押圧されることで、X線撮影制御回路51は、X線撮影部20等を制御して、収容部H内の患者の指Uに対してX線撮影を実行し、X線画像生成回路52は、X線画像データを生成する(ステップST7)。変換率算出機能312は、ステップST6によりメモリ32に保存された超音波画像データの画像サイズと、ステップST7によって生成されたX線画像データの画像サイズとに基づいて、X線画像データを超音波画像データの画像サイズに合わせるためのX線画像データの変換率を算出する(ステップST8)。X線画像データの変換率は、メモリ32に保存された超音波画像データが生成された場合の、超音波撮影部10のY軸の平行方向の位置に対応するものである。
【0053】
画像変換機能314は、ステップST7によって生成されたX線画像データを、ステップST8によって算出された変換率に従って変換処理して、変換X線画像データを生成する(ステップST9)。画像合成機能315は、ステップST9によって生成された変換X線画像データと、ステップST6によりメモリ32に保存された超音波画像データとを合成して、合成画像データを生成する(ステップST10)。
【0054】
画像合成機能315は、ステップST10によって生成された合成画像データを合成画像としてディスプレイ33に表示させる(ステップST11)。つまり、画像合成機能315は、ステップST11において、
図8に示す合成画像データを合成画像としてディスプレイ33に表示させる。なお、画像合成機能315は、ステップST11において、
図8に示す合成画像データと共に、
図5に示す超音波画像データや、
図6又は
図7に示すX線画像データを画像としてディスプレイ33に表示させてもよい。
【0055】
画像診断装置1によれば、超音波画像データとX線画像データとが高精度で合成された合成画像データの表示により、血流と骨との位置関係、つまり、骨及び軟骨の破壊部分への血液の侵入の有無を明瞭に視認できる画像データを操作者に提供することができる。操作者は、表示された合成画像を視認することで、リウマチの早期診断において有用な骨に入っていく血管の有無を診断することができる。
【0056】
2.第1の変形例
前述の実施形態では、超音波撮影部10は筐体R内をY軸の平行方向にのみスライド移動でき、X線撮影部20は筐体Rに固定されるものとして説明した。しかし、その場合に限定されるものではない。例えば、超音波撮影部10、X線撮影部20、及び駆動部60を一体として、X線撮影中心を中心として回転できるような第2の駆動部(図示省略)を備え、駆動制御回路45が、第2の駆動部の動作を制御する構成を備えてもよい。ここで、X線撮影中心とは、X線管のX線焦点と、X線検出器の検出面の中心とを結ぶ線分上であって、当該線分の中心を意味する。この構成により、超音波画像データとして任意の断面の画像データを得ることができ、かつ、X線画像データとも合成可能な画像データを得ることができる。
【0057】
図10は、超音波撮影部10、X線撮影部20、及び駆動部60の回転に伴う断面及び投影面の変化を示す図である。
図10(A),(B)は、X-Z面内で超音波撮影部10、X線撮影部20、及び駆動部60が一体としてX線撮影中心を中心として回転する場合の超音波断面及びX線投影面の変化を示す。
図10(C),(D)は、Y-Z面内で超音波撮影部10、X線撮影部20、及び駆動部60が一体としてX線撮影中心を中心として回転する場合の超音波断面及びX線投影面の変化を示す。
【0058】
図10(A)は、超音波画像データの断面と、X線画像データの投影面とを表す。駆動制御回路45が、X-Z面内で超音波撮影部10、X線撮影部20、及び駆動部60を一体としてX線撮影中心を中心として回転させると、X-Z面内で、超音波画像データの断面と、X線画像データの投影面とが回転する(
図10(B)に図示)。
【0059】
図10(C)は、超音波画像データの断面と、X線画像データの投影面とを表す。駆動制御回路45が、Y-Z面内で超音波撮影部10、X線撮影部20、及び駆動部60を一体としてX線撮影中心を中心として回転させると、Y-Z面内で、超音波画像データの断面と、X線画像データの投影面とが回転する(
図10(D)に図示)。
【0060】
図10(B),(D)に示すように、駆動制御回路45が、超音波撮影部10、X線撮影部20、及び駆動部60を一体としてX線撮影中心を中心として回転させることで、オブリーク断面の超音波画像データと、そのオブリーク断面と平行な投影面のX線画像データとを生成することができる。
【0061】
画像診断装置1の第1の変形例によれば、前述の効果に加え、超音波画像データとしてオブリーク断面の画像を得ることができ、かつ、X線画像データとも合成可能な画像データを提供することができる。
【0062】
3.第2の変形例
合成画像データを生成するために、超音波撮影部10及びX線撮影部20の機械的な位置関係を精度よく認識していなければならない。そのために、X線照射装置22をX-Y面上でX線撮影中心を中心として回転できるような第3の駆動部(図示省略)を備え、駆動制御回路45が、第3の駆動部の動作を制御する構成を備えてもよい。つまり、X線撮影部20は、X線照射装置22の回転により、X線の照射角度の異なる複数のX線撮影、つまり、トモシンセシスによる撮影を行うことができる。この構成により、超音波画像データに合成する任意の断面のX線画像データを得ることができ、かつ、超音波画像データにも合成可能な画像データを得ることができる。
【0063】
X線撮影部20によるトモシンセシスの撮影により、X線画像生成回路52は、複数のX線画像データを生成する。画像処理機能313は、複数のX線画像データの中から、超音波画像データの断面に合うX線パスに基づくX線画像データを選択する。そして、画像処理機能313は、超音波撮影制御回路41による制御により超音波画像生成回路44によって生成された超音波画像データと、選択されたX線画像データとを合成することで、合成画像データを生成する。
【0064】
又は、画像処理機能313は、トモシンセシスの撮影により得られた複数のX線画像データに基づいてボリュームデータを生成し、超音波画像データの断面に合うMPR(Multi-Planar Reconstruction)断面の画像データを生成してもよい。そして、画像処理機能313は、超音波撮影制御回路41による制御により超音波画像生成回路44によって生成された超音波画像データと、MPR画像データとを合成することで、合成画像データを生成する。
【0065】
画像診断装置1の第2の変形例によれば、前述の効果に加え、超音波画像データとX線画像データとの合成の精度が向上する。
【0066】
4.第3の変形例
第3の変形例を用いて前述したように、合成画像データを生成するために、超音波撮影部10及びX線撮影部20の機械的な位置関係を精度よく認識していなければならない。そのために、任意のタイミングにおいて、変換率のキャリブレーション(校正)を行うこともできる。
【0067】
第3の変形例の場合、変換率算出機能312は、前述したX線画像データの変換率を算出する機能に加え、校正用ファントムを撮影して生成された超音波画像データ及びX線画像データに基づいて、変換率の補正値を算出する機能を含む。
【0068】
画像変換機能314は、変換率算出機能312によって算出された変換率を補正値により補正し、補正後の変換率に従ってX線画像データを変換処理して、変換X線画像データを生成する機能を含む。
【0069】
図11は、実施形態に係る画像診断装置におけるキャリブレーション時の状態を示す側面図及び上面図である。
【0070】
図11に示すように、操作者が、筐体Rの収容部Hの中に、少なくとも3個(例えば、3個)の金属の球体Bを挿入することで、収容部Hは3個の金属の球体Bを収容する。この状態で、変換率のキャリブレーションが行われる。筐体Rの収容部Hの撮影領域にのみ3個の金属の球体Bが収容されればよい。
【0071】
図12は、画像診断装置1におけるキャリブレーション動作をフローチャートとして示す図である。
図12において、「ST」に数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0072】
まず、操作者は、3個の金属の球体Bを筐体Rの収容部Hに挿入させ、収容部Hを水Wで満たす。
【0073】
操作者によりX線曝射ボタン342が押圧されることで、X線撮影制御回路51は、X線撮影部20等を制御して、収容部H内の3個の球体Bに対してX線撮影を実行し、X線画像生成回路52は、X線画像データを生成する(ステップST21)。変換率算出機能312は、X線画像データに基づいて、3個の球体BのX-Z投影面内の座標を計測する(ステップST22)。
【0074】
操作者により超音波送受信ボタン341が押圧されることで、超音波撮影制御回路41は、超音波撮影部10を制御して、収容部H内の3個の球体Bに対して超音波撮影を開始し、超音波画像生成回路44は、超音波画像データ(例えば、Bモード画像及びパワードプラ画像の合成画像データ)の収集を開始する(ステップST23)。超音波画像生成回路44は、超音波画像データを生成し、超音波画像データを超音波画像としてディスプレイ33にライブ表示させる(ステップST24)。
【0075】
また、超音波撮影中、操作者によりジョイスティック343がY軸方向に左側又は右側に倒されることで、駆動制御機能311は、駆動制御回路45を介してモータMを駆動させ、超音波撮影部10をY軸の平行方向にスライド移動させる(ステップST25)。操作者は、任意の位置で超音波撮影部10のスライド移動を停止させる。超音波撮影制御回路41は、操作者により超音波送受信ボタン341が再び押圧されたか、つまり、超音波画像データの収集を終了(フリーズ)するか否かを判断する(ステップST26)。
【0076】
ステップST26の判断にてNO、つまり、超音波画像データの収集を終了しないと判断される場合、超音波撮影制御回路41は、操作者により超音波送受信ボタン341が再び押圧されるまで超音波撮影部10をスライド移動させる(ステップST25)。一方で、ステップST26の判断にてYES、つまり、超音波画像データの収集を終了すると判断される場合、超音波撮影制御回路41は、超音波画像データの収集を終了し(ステップST27)、ステップST23の撮影開始からステップST27の撮影終了直前までの各超音波画像データをメモリ32に保存する(ステップST28)。つまり、超音波撮影制御回路41は、超音波撮影部10のY軸の平行方向の各位置について、超音波画像データを生成及び保存することができる。変換率算出機能312は、各超音波画像データに基づいて、3個の球体BのX-Z断面内の座標を計測する(ステップST29)。
【0077】
変換率算出機能312は、ステップST22によって計測されたX線画像データによる球体Bの座標を、超音波撮影部10のY軸の平行方向の各位置に応じた変換率に従って変換する。そして、変換率算出機能312は、変換処理後の球体Bの座標が、ステップST29によって計測された超音波画像データによる球体Bの座標に一致するような、変換率の補正値を算出する(ステップST30)。変換率算出機能312は、ステップST30によって算出された変換率の補正値をメモリ32に保存する(ステップST31)。
【0078】
このように、変換率の補正値をメモリ32に保存することで、
図9のステップST9において、画像変換機能314は、ステップST8によって算出された変換率を当該補正値により補正し、補正後の変換率に従ってX線画像データを変換処理して、変換X線画像データを生成することができる。
【0079】
画像診断装置1の第3の変形例によれば、前述の効果に加え、超音波画像データとX線画像データとの合成の精度が向上する。
【0080】
なお、駆動制御機能311は、駆動制御部の一例である。変換率算出機能312は、変換率算出部の一例である。画像処理機能313は、画像処理部の一例である。画像変換機能314は、画像変換部の一例である。画像合成機能315は、画像合成部の一例である。
【0081】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、関節疾患の進行度の評価を支援できる画像を提供することができる。
【0082】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1 画像診断装置
10 超音波撮影部
20 X線撮影部
30 コンソール
31 処理回路
41 超音波撮影制御回路
51 X線撮影制御回路
60 駆動部
311 駆動制御機能
312 変換率算出機能
313 画像処理機能
314 画像変換機能
315 画像合成機能