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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】車載端末及びその処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20221221BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20221221BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20221221BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G08G1/0969
G01C21/34
G09B29/10 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018193904
(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公開番号】P2020060538
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 明宏
(72)【発明者】
【氏名】阿部 憲幸
(72)【発明者】
【氏名】奈良 憲和
(72)【発明者】
【氏名】織野 真琴
(72)【発明者】
【氏名】八城 賢明
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-230420(JP,A)
【文献】特開2008-096362(JP,A)
【文献】特開2003-042787(JP,A)
【文献】特開2007-051999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G08G 1/0969
G01C 21/34
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の地図上の位置を示す位置情報を基に、前記車両の目的地近傍の道路リンクが存在しないエリアの入口に前記車両が到着したか否かを判定する到着地判定処理部と、
前記車両が前記エリアに駐車したときの履歴を駐車情報として記憶する駐車情報記憶部と、
前記到着地判定処理部が前記車両の前記エリアへの到着を判定した場合、前記駐車情報を参照し、レコメンド情報を基に前記車両を案内する情報であって、少なくとも前記エリアにおける駐車位置を含む案内情報を出力するレコメンド部と、
前記車両が前記エリアへ進入したときの1以上の出発地点と、前記車両が前記エリアに駐車したときの1以上の目的地点と、前記出発地点と前記目的地点とを結ぶ経路を前記車両が走行したときの回数とを前記経路毎に記憶する出発地・目的地テーブルと、
前記到着地判定処理部が前記車両の前記エリアへの到着を判定した場合、前記車両が前記エリアへ進入したときの地点の情報を基に前記出発地・目的地テーブルを参照し、前記回数が最頻度となる経路に属する前記目的地点を前記車両の前記エリア内の目的地として推定する目的地推定部と、を有し、
前記レコメンド部は、
前記車両の前記エリア内の目的地として推定された前記目的地点を前記案内情報に属する情報として出力することを特徴とする車載端末。
【請求項2】
車両の地図上の位置を示す位置情報を基に、前記車両の目的地近傍の道路リンクが存在しないエリアの入口に前記車両が到着したか否かを判定する到着地判定処理部と、
前記車両が前記エリアに駐車したときの履歴を駐車情報として記憶する駐車情報記憶部と、
前記到着地判定処理部が前記車両の前記エリアへの到着を判定した場合、前記駐車情報を参照し、レコメンド情報を基に前記車両を案内する情報であって、少なくとも前記エリアにおける駐車位置を含む案内情報を出力するレコメンド部と、
前記車両が前記エリアへ進入したときのリンクを示す1以上の進入リンクと、前記車両が前記エリアから退出したときのリンクを示す1以上の退出リンクと、前記進入リンクと前記退出リンクとを結ぶ経路を前記車両が走行したときの回数とを前記経路毎に走行履歴として記憶する走行履歴記憶部と、
前記車両が前記エリアから退出する際に、前記走行履歴を参照し、前記回数が最頻度となる経路であって、前記車両の駐車位置から前記退出リンクまでの経路を推定する経路推定部と、を有し、
前記レコメンド部は、
前記経路推定部により前記退出リンクまでの経路が推定されたことを条件に、前記退出リンクを前記案内情報に属する情報として出力することを特徴とする車載端末。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車載端末において、
前記車両が駐停車したか否かを判定する駐停車判定部と、
前記駐停車判定部が前記車両の駐停車を判定したことを条件に、前記位置情報を基に前記車両が前記エリアに連なる道路から逸脱したことを検知した場合、前記車両の前記エリアへの進入方向と逸脱時の地点及び駐車方向を含む逸脱情報を保持する逸脱情報保持部と、を更に有し、
前記駐車情報記憶部は、
前記逸脱情報保持部に保持された前記逸脱情報を前記駐車情報の一部の情報として記憶することを特徴とする車載端末。
【請求項4】
請求項2に記載の車載端末において、
前記レコメンド部は、
前記経路推定部により前記退出リンクまでの経路が推定されたことを条件に、渋滞情報を取り込み、前記推定された前記経路上に渋滞があるか否かを判定し、
前記推定された前記経路上に渋滞がないと判定した場合、少なくとも前記レコメンド情報で設定されたレコメンド出口を前記案内情報に属する情報として出力し、
前記推定された前記経路上に渋滞があると判定した場合、前記推定された前記経路上の出口と前記レコメンド情報で設定された前記レコメンド出口が異なるか否かを判定し、
前記推定された前記経路上の出口と前記レコメンド情報で設定された前記レコメンド出口が異なると判定した場合、或いは前記経路推定部により前記退出リンクまでの経路が推定されない場合、少なくとも前記レコメンド情報で設定された前記レコメンド出口を前記案内情報に属する情報として出力し、
前記推定された前記経路上の出口と前記レコメンド情報で設定された前記レコメンド出口が同一である場合、前記走行履歴を基に候補となる出口を設定し、前記候補となる出口を前記案内情報に属する情報として出力することを特徴とする車載端末。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の車載端末において、
前記案内情報を音声信号に変換して出力する音声出力部と、
前記案内情報を表示画面上に表示する表示部と、を更に有することを特徴とする車載端末。
【請求項6】
車両の地図上の位置を示す位置情報を基に、前記車両の目的地近傍の道路リンクが存在しないエリアの入口に前記車両が到着したか否かを判定する到着地判定処理ステップと、
前記車両が前記エリアに駐車したときの履歴を駐車情報として記憶する駐車情報記憶ステップと、
前記到着地判定処理ステップで前記車両の前記エリアへの到着を判定した場合、前記駐車情報を参照し、レコメンド情報を基に前記車両を案内する情報であって、少なくとも前記エリアにおける駐車位置を含む案内情報を出力するレコメンドステップと、を有し、
前記車両が前記エリアへ進入したときの1以上の出発地点と、前記車両が前記エリアに駐車したときの1以上の目的地点と、前記出発地点と前記目的地点とを結ぶ経路を前記車両が走行したときの回数とを出発地・目的地テーブルに前記経路毎に記憶するステップと、
前記到着地判定処理ステップで前記車両の前記エリアへの到着を判定した場合、前記車両が前記エリアへ進入したときの地点の情報を基に前記出発地・目的地テーブルを参照し、前記回数が最頻度となる経路に属する前記目的地点を前記車両の前記エリア内の目的地として推定する目的地推定ステップと、を更に有し、
前記レコメンドステップでは、
前記車両の前記エリア内の目的地として推定された前記目的地点を前記案内情報に属する情報として出力することを特徴とする車載端末の処理方法。
【請求項7】
車両の地図上の位置を示す位置情報を基に、前記車両の目的地近傍の道路リンクが存在しないエリアの入口に前記車両が到着したか否かを判定する到着地判定処理ステップと、
前記車両が前記エリアに駐車したときの履歴を駐車情報として記憶する駐車情報記憶ステップと、
前記到着地判定処理ステップで前記車両の前記エリアへの到着を判定した場合、前記駐車情報を参照し、レコメンド情報を基に前記車両を案内する情報であって、少なくとも前記エリアにおける駐車位置を含む案内情報を出力するレコメンドステップと、を有し、
前記車両が前記エリアへ進入したときのリンクを示す1以上の進入リンクと、前記車両が前記エリアから退出したときのリンクを示す1以上の退出リンクと、前記進入リンクと前記退出リンクとを結ぶ経路を前記車両が走行したときの回数とを前記経路毎に走行履歴として記憶する走行履歴記憶ステップと、
前記車両が前記エリアから退出する際に、前記走行履歴を参照し、前記回数が最頻度となる経路であって、前記車両の駐車位置から前記退出リンクまでの経路を推定する経路推定ステップと、を更に有し、
前記レコメンドステップでは、
前記経路推定ステップで前記退出リンクまでの経路が推定されたことを条件に、前記退出リンクを前記案内情報に属する情報として出力することを特徴とする車載端末の処理方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の車載端末の処理方法において、
前記車両が駐停車したか否かを判定する駐停車判定ステップと、
前記駐停車判定ステップで前記車両の駐停車を判定したことを条件に、前記位置情報を基に前記車両が前記エリアに連なる道路から逸脱したことを検知した場合、前記車両の前記エリアへの進入方向と逸脱時の地点及び駐車方向を含む逸脱情報を保持する逸脱情報保持ステップと、を更に有し、
前記駐車情報記憶ステップでは、
前記逸脱情報保持ステップで保持された前記逸脱情報を前記駐車情報の一部の情報として記憶することを特徴とする車載端末の処理方法。
【請求項9】
請求項7に記載の車載端末の処理方法において、
前記レコメンドステップでは、
前記経路推定ステップにより前記退出リンクまでの経路が推定されたことを条件に、渋滞情報を取り込み、前記推定された前記経路上に渋滞があるか否かを判定し、
前記推定された前記経路上に渋滞がないと判定した場合、少なくとも前記レコメンド情報で設定されたレコメンド出口を前記案内情報に属する情報として出力し、
前記推定された前記経路上に渋滞があると判定した場合、前記推定された前記経路上の出口と前記レコメンド情報で設定された前記レコメンド出口が異なるか否かを判定し、
前記推定された前記経路上の出口と前記レコメンド情報で設定された前記レコメンド出口が異なると判定した場合、或いは前記経路推定ステップにより前記退出リンクまでの経路が推定されない場合、少なくとも前記レコメンド情報で設定された前記レコメンド出口を前記案内情報に属する情報として出力し、
前記推定された前記経路上の出口と前記レコメンド情報で設定された前記レコメンド出口が同一である場合、前記走行履歴を基に候補となる出口を設定し、前記候補となる出口を前記案内情報に属する情報として出力することを特徴とする車載端末の処理方法。
【請求項10】
請求項6又は7に記載の車載端末の処理方法において、
前記案内情報を音声信号に変換して出力する音声出力ステップと、
前記案内情報を表示画面上に表示する表示ステップと、を更に有することを特徴とする車載端末の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの運転を支援する車載端末及びその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載端末やサーバなどに車両の走行履歴を蓄積し、蓄積した走行履歴を活用してドライバの走行経路を予測する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、「経路推定装置において、自車の位置を検出する位置検出手段と、少なくとも道路リンクを含む地図データを記憶する記憶手段と、自車の位置と地図データに基づき、自車が走行した走行経路上の道路リンクを特定する道路リンク特定手段と、自車の経路を推定する推定手段とを備え、記憶手段は、走行経路上で連続する道路リンクの組み合わせと、組み合わされた道路リンクを通過した通過回数とを対応づけて記憶し、推定手段は、組みわせと通過回数との対応関係に基づいて、自車の経路を推定する。」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-95161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術に関わる特許文献1は、自車が目的地に到達するまでの道路の経路を予測する技術である。しかし、特許文献1には、自車が目的地に到着するまでの道路を案内することは記載されているが、自車が目的地に到着した後、自車を、目的地近傍の道路リンクが存在しないエリア内で案内することは記載されていない。
【0005】
本発明の目的は、駐車場など道路リンクが存在しないエリア内で必要な情報をドライバに提示し得る車載端末及びその処理方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明では、車載端末において、車両の地図上の位置を示す位置情報を基に、前記車両の目的地近傍の道路リンクが存在しないエリアの入口に前記車両が到着したか否かを判定する到着地判定処理部と、前記車両が前記エリアに駐車したときの履歴を駐車情報として記憶する駐車情報記憶部と、前記到着地判定処理部が前記車両の前記エリアへの到着を判定した場合、前記駐車情報を参照し、レコメンド情報を基に前記車両を案内する情報であって、少なくとも前記エリアにおける駐車位置を含む案内情報を出力するレコメンド部とを設けるようにした。
【0007】
また本発明では、車載端末の処理方法において、車両の地図上の位置を示す位置情報を基に、前記車両の目的地近傍の道路リンクが存在しないエリアの入口に前記車両が到着したか否かを判定する到着地判定処理ステップと、前記車両が前記エリアに駐車したときの履歴を駐車情報として記憶する駐車情報記憶ステップと、前記到着地判定処理ステップで前記車両の前記エリアへの到着を判定した場合、前記駐車情報を参照し、レコメンド情報を基に前記車両を案内する情報であって、少なくとも前記エリアにおける駐車位置を含む案内情報を出力するレコメンドステップとを設けるようにした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、道路リンクが存在しないエリア内で必要な情報をドライバに提示することができ、結果として、ドライバに対する利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例における車載端末のハードウェア構成図。
図2】本発明の実施例における車載端末のソフトウェワ構成図。
図3】本発明の実施例における駐車情報記憶部の処理フロー図。
図4】本発明の実施例における地点情報テーブルの例を示す構成図。
図5】本発明の実施例における到着地判定処理部の処理フロー図。
図6】本発明の実施例における出発地・目的地テーブルの例を示す構成図。
図7】本発明の実施例における目的地推定処理部の処理フロー図。
図8】本発明の実施例における走行履歴の例を示す構成図。
図9】本発明の実施例における経路推定部の処理フロー図。
図10】本発明の実施例における駐車場進入・退出リンク連結処理部の処理フロー図。
図11】本発明の実施例におけるレコメンド情報の例を示す構成図。
図12】本発明の実施例におけるレコメンド部の処理フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明に係る車載端末のハードウェア構成を示す構成図である。図1において、車載端末100は、表示装置101、操作装置102、測位センサ103、ROM(Read Only Memory)104、RAM(Random Access Memory)105、補助記憶装置106、CPU(Central Processing Unit)107で構成される。
【0012】
表示装置101は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等、画像情報を表示する装置である。操作装置102は、車載端末100を指で操作するボタン、スイッチ、キーボード、タッチパネル等のユーザからの操作を受け付ける装置である。測位センサ103は、車両の現在位置(自車位置)を緯度、経度で測位するためのGPS(Global Positioning System)などのセンサである。
【0013】
ROM104は、制御プログラムなどが書かれた読み出し専用の記憶装置である。RAM105は、補助記憶装置106に記憶されているプログラムをロードしたり、データを一時的に保存したりする記憶装置である。
【0014】
補助記憶装置106は、地図データ(地図情報)、音声データ、案内情報、カーナビゲーションのアプリケーションプログラムなどを記憶する記憶装置であり、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などがある。CPU107は、車載端末100の各部を制御し、RAM105上にロードされるアプリケーションのプログラムを実行する演算・制御ユニットである。
【0015】
図2は、本発明に係る車載端末のソフトウェア構成を示す構成図である。図2において、車載端末100は、リンク逸脱情報保持部201、駐停車判定部202、駐車情報記憶部203、駐停車解除判定部204、駐車情報205、到着地判定処理部206、地点情報テーブル207、駐車場進入・退出リンク連結処理部208、目的地推定部209、出発地・目的地テーブル210、走行履歴記憶部211、経路推定部212、走行履歴213、レコメンド部214、レコメンド情報215を備え、車両(不図示)に搭載される。
【0016】
この際、リンク逸脱情報保持部201、駐停車判定部202、駐車情報記憶部203、駐停車解除判定部204、到着地判定処理部206、駐車場進入・退出リンク連結処理部208、目的地推定部209、走行履歴記憶部211、経路推定部212、レコメンド部214は、CPU107によって実行されるプログラム(制御プログラム)であって、補助記憶装置106に記録される。
【0017】
リンク逸脱情報保持部201は、測位センサ103の情報から、車両の道路逸脱を検知した場合、例えば、車両が、カーナビゲーションで設定された目的地に到着した際に、目的地の道路(リンク)から、目的地に隣接する、駐車場などの施設に進入し、車両が道路(リンク)から逸脱したことを検知した場合、測位センサ103の測位による位置情報(車両の位置情報)から、車両方向を保持し、地図情報(補助記憶装置106に記憶された地図情報)から、リンク逸脱時のリンクID(Identification)を保持する。
【0018】
駐停車判定部202は、車両の速度、位置情報、スイッチオフ(イグニッションスイッチのオフ)を利用して、車両の駐車又は停車を駐停車と判定する。すなわち、駐停車判定部202は、車両が駐停車したか否かを判定する。この際、駐停車判定部202は、例えば、スイッチオフを契機として駐車の判定を行う。また、駐停車判定部202は、車両の速度が、一定時間0に近いや、位置情報から、車両の位置の動きがほとんどない(移動量がほとんどない)など、車両の速度、車両の移動量などに一定値を設けて停車を判定する。
【0019】
駐車情報記憶部203は、車両のリンク逸脱時には、リンク逸脱情報保持部201で保持した情報を用いて駐車情報205を作成し、車両がリンクから逸脱しない場合には、車両が現在いるリンクの情報(リンクID)を用いて駐車情報205を作成する。この際、駐車情報記憶部203は、車両が、目的地近傍の施設内の駐車場に駐車したときの履歴を駐車情報として記憶することができる。
【0020】
駐停車解除判定部204は、車両の速度、車両の位置情報、スイッチオン(イグニッションスイッチのオン)から、車両が、駐停車から走行状態へと変化したことを判定する。この際、駐停車解除判定部204は、例えば、駐車から走行への変化時には、スイッチオンを契機として、駐車の解除を判定する。また、駐停車解除判定部204は、停車から走行への変化時には、停車状態から速度が一定値以上変化したと判定し、車両の位置の動きが一定値以上発生した場合に走行状態へ変化したと判定する。
【0021】
駐車情報205は、車両のリンク逸脱時におけるリンクID、駐車方向、リンク進入方向(車両のリンクから、駐車場などの施設への進入方向)を含む。さらに、測位センサ103などから、車両の高さ情報を利用し、車両の高さを駐車情報205に加えてもよい。
【0022】
到着地判定処理部206は、駐車情報205と地点情報テーブル207を参照して駐車地点の判定を行う。地点情報テーブル207には、必要に応じて出発地や到着地点となる地点情報を書き込むこともできる。なお、到着地判定処理部206は、車両の地図上の位置を示す位置情報(測位センサ103の測位による位置情報)を基に、車両の目的地近傍の駐車場を含む施設の入口に車両が到着したか否かを判定することもできる。
【0023】
地点情報テーブル207は、駐車情報205から生成した地点情報が記録されるテーブルである。地点情報テーブル207には、必要に応じて、駐車情報205以外の情報も書き込むことができる。例えば、地点の座標情報などがある。
【0024】
駐車場進入・退出リンク連結処理部208は、車両が駐車場内を走行する履歴として、車両の駐車場への進入リンクと車両の駐車場からの退出リンクとを連結させ、車両がどの進入リンクから進入し、どの退出リンクから退出したかを示す情報を走行履歴213に記録する。
【0025】
目的地推定部209は、地点情報テーブル207から、地点の情報を参照し、出発地・目的地テーブル210から、出発地と目的地の頻度情報を参照し、次の目的地を推定する。
【0026】
出発地・目的地テーブル210は、出発地と目的地を一組として、車両が走行した回数を保持するテーブルである。
【0027】
走行履歴記憶部211は、車両がどの進入リンクから進入し、どの退出リンクから退出したかを示す、進入・退出リンクを一組として、車両の通過回数を走行履歴213に蓄積する。
【0028】
経路推定部212は、目的地推定部209にて推定した目的地までの経路を推定する。その際、経路推定部212は、走行履歴213を利用し、目的地までの経路を推定する。
【0029】
走行履歴213は、進入・退出リンクの組み合わせごとに通過頻度を記録するデータベースである。
【0030】
レコメンド部214は、経路推定部212にて推定した経路または駐車場の出入口などの経路の一部についてレコメンド情報215を参照し、参照した情報をドライバに推薦する。
【0031】
レコメンド情報215は、ドライバに推薦するのに必要な情報を保持する。
【0032】
図3は、駐車情報記憶部203の処理を示す処理フロー図である。図3において、駐車情報記憶部203は、駐停車判定部202にて、車両が駐車や停車したと判定されたことを契機に処理を開始する。
【0033】
まず、駐車情報記憶部203は、車両が駐車または停車した場合、逸脱時のリンク情報が有るか否かを判定する(S101)。すなわち、リンク逸脱情報保持部201は、車両のリンク逸脱時には、車両がリンクから逸脱した際のリンク情報を保持しているが、車両がリンクに駐停車し、リンクから逸脱していない場合には、逸脱時のリンク情報を保持していないので、逸脱時のリンク情報の有無を確認する。駐車情報記憶部203は、ステップS101で否定の判定結果を得た場合(逸脱時リンク情報がない場合)には、ステップS102の処理に移行し、ステップS101で肯定の判定結果を得た場合(逸脱時リンク情報がある場合)には、ステップS103の処理へ移行する。
【0034】
駐車情報記憶部203は、ステップS102において、現状(走行中)の「リンクID」、「リンク進入方向」、「リンク上」を設定する。すなわち、逸脱時のリンク情報がないため、駐車情報記憶部203は、駐車情報205へ書き込むための情報のうち、「リンクID」を、現状(走行中)のリンクを示す「リンクID」に設定し、「リンク進入方向」を、現状のリンクの進入方向を示す「リンク進入方向」に設定し、「駐車方向」を「リンク上」に設定し、その後、ステップS109の処理に移行する。この際、ステップS102で設定された情報が、S109において、駐車情報205として書き込まれる。
【0035】
駐車情報記憶部203は、ステップS103では、リンク逸脱情報保持部201で保持した情報として、逸脱時のリンク進入方向とリンクIDをリンク逸脱情報保持部201から取得し、駐車情報205を「逸脱時リンクID」、「リンク進入方向」に設定する。リンク進入方向は、リンク逸脱時の車両方向か、リンクの方向に設定する。
【0036】
次に、駐車情報記憶部203は、ステップS103で取得した情報を基に、リンク進入方向からの駐車方向の相対角度を算出し(S104)、算出結果である相対角度が、0°以上180°未満か、180°以上360°未満かを判定する(S105)。すなわち、リンクの方向からみて、車両の逸脱方向が、リンクの左か右かを判定する。
【0037】
ステップS104おいて、リンク進入方向からの駐車方向の相対角度を算出するに際して、まず方向は、東を0°にし、反時計回りに値が増えるとし、値の範囲は、0°以上360°より小さい値としている。その際に、リンクから逸脱した車両方向からリンク進入方向を引き、引いた値が負の値なら、その値に360°を加えたものを相対角度とする。
【0038】
駐車情報記憶部203は、ステップS105において、ステップS104で算出した相対角度が、0°以上180°未満と判定した場合、車両の逸脱方向がリンクの左であるので、車両の駐車方向(車両の駐車場への進入方向)を「リンク左」に設定し(S106)、その後、ステップS108の処理へ移行する。
【0039】
駐車情報記憶部203は、ステップS105において、ステップS104で算出した相対角度が、180°以上360°未満と判定した場合、車両の逸脱方向がリンクの右であるので、車両の駐車方向(車両の駐車場への進入方向)を「リンク右」に設定し(S107)、その後、ステップS108の処理へ移行する。
【0040】
駐車情報記憶部203は、ステップS108において、ステップS103で取得した情報のうち、逸脱時のリンク進入方向、リンクID、ステップS106またはS107で設定した駐車方向をそれぞれ駐車情報として設定し、その後、ステップS109の処理に移行する。
【0041】
駐車情報記憶部203は、S109において、ステップS102またはS108で設定された情報である、「リンクID」、「リンク進入方向」、「駐車方向」を駐車情報205として書き出し、その後、このルーチンでの処理を終了する。なお、駐車情報205に高さ(階数)を加える場合には、S109にて、GPS等から取得した高さ情報も書き加える。
【0042】
図4は、地点情報テーブルの例を示す構成図である。図4において、地点情報テーブル207は、駐車情報205を基に作成されるテーブルであって、地点ID301、逸脱時リンクID302、車両方向303、順方向・逆方向304、駐車方向305、階数(高さ)を含み、補助記憶装置106に格納される。この際、車両が駐停車する場所が増えるごとに、地点情報テーブル207に記録される行の情報は、増加するが、車両が、以前駐停車したことがある場所では、地点情報テーブル207に記録される行の情報は増加しない。
【0043】
地点ID301は、地図上に存在する地点であって、車両が駐停車した各地点を一意に識別する識別子である。地点ID301には、車両が駐停車した地点IDとして、例えば、「1」~「5」の情報が格納される。
【0044】
逸脱時リンクID302は、車両がリンクから逸脱したときのリンクを特定する識別子である。逸脱時リンクID302には、逸脱時のリンクIDとして、例えば、「10」の情報が格納される。
【0045】
車両方向303と順方向・逆方向304は、リンク進入方向として管理される情報であり、車両がリンクのどちらから進入したかを記録する。車両方向から判断する場合、車両方向303を利用し、地図情報のリンク格納方向を利用する場合は、順方向・逆方向304を利用する。車両方向303は、車両がリンクから逸脱したときの方向(車両が向く方向)を示す情報である。車両方向303には、例えば、車両が東の方向を向くときには、「0」の情報が格納される。順方向・逆方向304は、車両が、リンクから逸脱し、リンクから駐車場に進入するときに、順方向に進入したか或いは逆方向に進入したかを示す情報であって、地図情報から得られる。順方向・逆方向304には、例えば、車両が、リンクから逸脱したときに、リンクから駐車場に順方向に進入した場合、「順方向」の情報が格納される。なお、車両方向303と順方向・逆方向304の情報を両方とも、地点情報テーブル207に格納しても良いが、リンク進入方向の識別と駐車方向の判別ができればどちらか一方でも構わない。
【0046】
駐車方向305は、車両が、駐車する際に、駐車する方向が、リンクから見て、上、或いは左または右の方向であるかを示す情報である。駐車方向305には、例えば、車両が、リンクから逸脱し、リンクから駐車場に進入するときに、駐車場が、リンクから見て、左の方向に位置する場合には、「リンク左」の情報が格納され、車両が、リンクの上方に駐車する場合(路上駐車する場合)には、「リンク上」の情報が格納される。
【0047】
階数(高さ)306は、車両が、立体駐車場等の施設に駐車した場合、その階数を示す情報である。階数(高さ)306には、車両が、立体駐車場等の施設の1階に駐車した場合には、「1」の情報が格納される。なお、階数(高さ)306には、立体駐車場等の施設の高さそのもの情報をそのまま格納することもできる。階数(高さ)306に階数の情報を格納する場合には、GPSの高さ情報から、各階数の高さ範囲を決めておいて、高さから階数を算出して格納し、高さを格納する場合には、GPSから取得できる高さ情報などを格納する。
【0048】
図5は、到着地判定処理部206の処理フローを示す処理フロー図である。図5において、到着地判定処理部206は、駐停車解除判定部204が駐停車解除と判定したことを契機に処理を開始する。
【0049】
まず、到着地判定処理部206は、駐車情報205から、「リンクID(逸脱時リンクID)」、「リンク進入方向」、「駐車方向」を読み出し(S201)、読み出した情報を基に、テーブル(地点情報テーブル207)内に、駐車情報と同一のリンクIDのデータがあるか否かを判定する(S202)。すなわち、ステップS202では、ステップ201にて取得した「リンクID(逸脱時リンクID)」と同一の逸脱時リンクIDがあるか否かを確認する。到着地判定処理部206は、ステップS202で肯定の判定結果を得た場合(同一の逸脱時リンクIDがある場合)には、S203の処理へ移行し、ステップS202で否定の判定結果を得た場合(同一の逸脱時リンクIDがない場合)には、ステップS206の処理へ移行する。
【0050】
到着地判定処理部206は、ステップS203では、ステップS202にて「逸脱時リンクID」に同一のリンクIDがあることを確認済みなので、さらに、S201にて取得した「リンク進入方向」と「駐車方向」を同一とする行が、地点情報テーブル207にあるかを確認するために、リンク進入方向、駐車方向が同一のデータがあるか否かを判定する。到着地判定処理部206は、ステップS203で肯定の判定結果を得た場合(「リンク進入方向」と「駐車方向」を同一とする行が、地点情報テーブル207にある場合)には、ステップS205の処理へ移行し、ステップS203で否定の判定結果を得た場合(「リンク進入方向」と「駐車方向」を同一とする行が、地点情報テーブル207にない場合)には、ステップS204の処理へ移行する。
【0051】
次に、到着地判定処理部206は、対向のリンク進入方向で同じ駐車方向のデータがあるか否かを判定する(S204)。すなわち、ステップS203にて、駐車情報205と同一の情報が地点情報テーブル207にないと判定されたため、ステップS204では、車両が、リンクの反対方向から進入した際の判定処理を行う。この際、同一の逸脱時リンクIDを用いて、車両が、反対方向からリンクに進入した場合のリンク進入方向を判定する。具体的には、駐車情報205のリンク進入方向に、180°を加えた値があるかを確認すると共に、駐車方向として、「リンク左」であれば「リンク右」に、「リンク右」であれば「リンク左」とした場合に、同一の地点情報が地点情報テーブル207にあるかを確認する。駐車方向については、180°を加算して360°を超えた場合には、360°を引いて適切な値とする。地点情報テーブル207に駐車方向が格納されている場合は、車両方向の計算は行わずに、順方向か逆方向のどちらが格納されているかを確認する。
【0052】
到着地判定処理部206は、ステップS204で肯定の判定結果を得た場合(同一の地点情報が地点情報テーブル207にある場合)には、ステップS205の処理へ移行し、ステップS204で否定の判定結果を得た場合(同一の情報が地点情報テーブル207にない場合)には、ステップS206の処理へ移行する。
【0053】
次に、到着地判定処理部206は、該当する地点IDを設定し(S205)、その後、ステップS207の処理に移行する。すなわち、地点情報テーブル207内に、駐車情報205と地点情報のデータがある場合、地点情報テーブル207にある地点IDを設定する。
【0054】
一方、到着地判定処理部206は、ステップS202またはステップS204で否定の判定結果を得た場合(地点情報テーブル207内には、同一の地点情報がない場合)には、新規に地点IDを設定し、設定した地点IDを、駐車情報205の情報と共に地点情報テーブル207に書き込み(S206)、その後、ステップS207の処理に移行する。
【0055】
次に、到着地判定処理部206は、取得した地点IDを目的地推定部212に転送し(S207)、その後、このルーチンでの処理を終了する。すなわち、ステップS207では、ステップS205にて同一と判定した地点IDか、ステップS206にて新規に割り当てた地点IDを目的地推定部212に転送する。なお、駐車情報205に、高さ情報を含める場合には、「リンクID」、「リンク進入方向」、「駐車方向」が抽出されたときの、複数の地点IDに関する情報を目的地推定部212に転送する。
【0056】
図6は、出発地・目的地テーブル210の例を示す構成図である。図6において、出発地・目的地テーブル210は、出発地点ID401、目的地点ID402、回数403を含むテーブルであって、補助記憶装置106に格納される。
【0057】
出発地点ID401は、出発地点を一意に識別する識別子である。出発地点ID401には、出発地点となる地点IDの情報として、例えば、「1」が格納される。
【0058】
目的地点ID402は、目的地点を一意に識別する識別子である。目的地点ID402には、目的地点となる地点IDの情報として、例えば、「2」が格納される。
【0059】
出発地点ID401と目的地点ID402の地点IDには、地点情報テーブル207の地点ID301に存在する情報(例えば、「1」~「5」)が格納される。各地点IDの情報を参照する場合には、地点情報テーブル207から、該当する地点IDの情報を取得する。
【0060】
回数403は、車両が、出発地点IDを出発地とし、目的地点IDを目的地として走行をした回数を示す情報である。回数403には、例えば、車両が、出発地から目的地まで30回走行した場合、「30」の情報が格納される。
【0061】
図7は、目的地推定部209の処理を示す処理フロー図である。図7において、目的地推定部209は、到着地判定処理部206から受け取った地点IDを基に出発地・目的地テーブル210の情報を参照して、目的地の推定を行い、その後、地点情報テーブル207から、出発地と目的地の地点情報を取得する。
【0062】
具体的には、目的地推定部209は、到着地判定処理部206で指定された地点ID(到着地判定処理部206から転送された地点ID)を出発地点IDに設定し(S301)、次に、出発地・目的地テーブル210から、出発地点IDのうち最頻度の目的地点IDを取得する(S302)。すなわち、ステップS302では、出発地・目的地テーブル210から、ステップS301で設定された出発地点IDのうち、回数403の情報が最頻度となる目的地点IDを選ぶ。なお、高さの情報を含む場合には、同一の逸脱時リンクID、リンク進入方向、駐車方向でも、異なる高さの情報分だけ、複数の出発地点IDが指定されている。そのため、最頻度の目的地点IDを算出する際には、同一の目的地点IDの回数は、合算した上で、最頻度回数の出発地点IDを選ぶ。
【0063】
例えば、図6の例の場合に、出発地点IDが、「1」、「4」、「5」と設定された場合には、目的地点ID2は、出発地点ID1と出発地点ID4の回数403の情報を合算し、「40」として算出する。目的地点ID3は、出発地点ID1と出発地点ID5の回数403の情報を合算し、「20」として算出する。結果、回数403の情報が、最頻度となる目的地点IDは、回数=「40」の目的地点ID2が選出される。出発地点IDは、複数ある地点IDのうち、同じ逸脱時リンクIDをステップS303にて取得できるので、どの地点IDを選んでもよい。
【0064】
ステップS302までの処理で、出発地点IDと目的地点IDが決まるので、次に、目的地推定部209は、地点情報テーブル207から、該当する地点IDを参照し、出発地点IDと目的地点IDのそれぞれの逸脱時リンクIDを取得し(S303)、その後、出発地点IDの逸脱時リンクIDを「仮出発リンク」に、目的地点IDの逸脱時リンクIDを「到着リンク」に設定し(S30)、その後、このルーチンでの処理を終了する。
【0065】
図8は、走行履歴213の例を示す構成図である。図8において、走行履歴213は、走行履歴記憶部211が記憶した情報を蓄積するデータベースであって、車両が、駐車場などの施設へ進入したときの進入リンクと、車両が、施設から退出したときの退出リンクとの組み合わせごとの回数を履歴として蓄積するデータベースであり、補助記憶装置106に格納される。
【0066】
進入リンク501は、車両が、駐車場などの施設へ進入したときの進入リンクを一意に識別する識別子である。進入リンク501には、車両が、施設へ進入したときの進入リンクを特定するIDとして、例えば、「1」の情報が格納される。
【0067】
退出リンク502は、車両が、駐車場なでの施設から退出したときの退出リンクを一意に識別する識別子である。退出リンク502には、車両が、施設から退出したときの退出リンクを特定するIDとして、例えば、「2」の情報が格納される。退出したリンクIDを格納する。
【0068】
進入リンク501と退出リンク502には、地図情報に格納されているリンクIDの情報が格納されるが、地図情報のフォーマットによっては、リンクID以外にも、リンクを一意に特定する情報としてメッシュIDなどの情報が格納されることがある。この際、メッシュIDも、別途、列の情報として作成され、作成された列の情報が、進入リンク501と退出リンク502に格納するための情報として管理される。つまり、リンクを一意に識別するのに必要な情報は、全て進入リンク501と退出リンク502に格納することができる。
【0069】
図9は、経路推定部212の処理を示す処理フロー図である。図9において、経路推定部212は、目的地推定部209で推定された出発リンク(仮出発リンク)と到着リンクを用いて、走行履歴213から、出発地(進入リンク)と目的地(退出リンク)間の経路を推定する。
【0070】
具体的には、経路推定部212は、まず、駐車情報205に保存されている駐車方向が「リンク上」であるか否かを判定し(S401)、ステップS401で肯定の判定結果を得た場合(駐車方向が「リンク上」である場合)には、ステップS402の処理へ移行し、ステップS401で否定の判定結果を得た場合(駐車方向が「リンク上」以外であって、「リンク左」または「リンク右」の場合)には、ステップS403の処理へ移行する。
【0071】
経路推定部212は、ステップS402では、駐車方向が「リンク上」であるので、指定された「仮出発リンク」のリンクIDを、「出発リンク」のリンクIDとして設定し、その後、ステップS404の処理に移行する。
【0072】
また、経路推定部212は、ステップS403では、駐車情報が「リンク上」でないので、「仮出発リンク」を基に走行履歴213から、最頻度の退出リンクを取得し、取得した退出リンクを「出発リンク」に設定し、その後、ステップS404の処理に移行する。
【0073】
この際、走行履歴213から、仮出発リンクを進入リンクとする場合、回数503の情報が最頻度となる退出リンク502のIDを出発リンクのIDとする。例えば、図8の場合、仮出発リンクのIDが「1」のときには、回数503の情報が「30」である退出リンク502のIDとして「2」が選ばれる。そのため、出発リンクのIDは、「2」となる。
【0074】
次に、経路推定部212は、指定された「出発リンク」から到着リンクまでの最頻度経路を推定し、推定して経路を推定経路として設定し(S404)、その後、このルーチンでの処理を終了する。すなわち、ステップS404では、設定された出発リンクから到着リンクまでの最頻度の経路を推定し、推定した経路を推定経路として設定する。最頻度の経路を推定するに際しては、まず、出発リンクを進入リンクとして指定し、その際の回数503の情報が最頻度である退出リンク502のIDを取得する。さらに、その退出リンクを出発リンクとして、回数503の情報が最頻度である退出リンクのIDを取得する、というように、「出発リンク」から到着リンクまで、回数503の情報が最頻度となる退出リンクを辿ることで、最頻度の経路を推定する。
【0075】
なお、ステップS404において、出発リンク(進入リンク)の情報が走行履歴213に存在しないと判定した場合、初めて訪れた場所であるので、推定経路の推定は行わない。
【0076】
図10は、駐車場進入・退出リンク連結処理部208の処理を示す処理フロー図である。図10において、駐車場進入・退出リンク連結処理部208は、駐停車解除判定部204にて駐停車の解除が判定されたことを契機に処理を開始する。
【0077】
まず、駐車場進入・退出リンク連結処理部208は、駐停車の解除後、車両が、初めてリンクに乗ったか否かを判定する(S501)。この際、駐車場進入・退出リンク連結処理部208は、駐停車の解除後に、車両が初めてリンクに乗るまで処理待ちを行い、駐停車の解除後、車両が初めてリンクに乗った際に、駐車情報205から、逸脱時リンクIDを取得し、取得した逸脱時リンクIDを駐車場進入リンクとして設定する(S502)。
【0078】
次に、駐車場進入・退出リンク連結処理部208は、ステップS501で乗ったリンクを駐車場退出リンクとして設定する(S503)。
【0079】
次に、駐車場進入・退出リンク連結処理部208は、駐車場進入リンクを進入リンクとし、駐車場退出リンクを退出リンクとして、進入リンクと退出リンクを走行履歴213に登録し(S504)、その後、このルーチンでの処理を終了する。
【0080】
図11は、レコメンド情報215の例を示す構成図である。図11において、レコメンド情報215は、出発地点ID601、レコメンド階数602、レコメンド出口リンク603を含み、補助記憶装置106に格納される。
【0081】
出発地点ID601は、車両の出発地点を一意に識別する識別子である。出発地点ID601には、車両の出発地点を識別する識別子として、例えば、「1」の情報が格納される。すなわち、この出発地点ID601には、地点情報テーブル207の地点ID301に格納されているIDの情報が格納される。
【0082】
レコメンド階数602は、立体駐車場を有する施設のうち、車両が駐車する階数として推薦される情報である。レコメンド階数602には、立体駐車場を有する施設の階数として、例えば、1階の場合、「1」の情報が格納される。なお、レコメンド階数602には、立体駐車場を有する施設の高さの情報を格納することもできる。また、施設の階数の情報を格納する場合には、GPSの高さの情報から、各階数の高さ範囲を決めておいて、高さから階数を算出してもよい。さらに、施設の高さの情報を格納する場合には、GPSから取得できる高さの情報などを用いることができる。
【0083】
レコメンド出口リンク603は、車両が、立体駐車場を有する施設から退出する際のリンクとして推薦される情報である。例えば、経路推定部212にて、算出した出口リンクからの経路上に渋滞があることがわかれば、レコメンド出口リンク603のリンクから出ることにより渋滞を回避する経路の出発リンクとして、出口リンクを利用することができる。
【0084】
なお、レコメンド情報215は、不図示のサーバを用いて作成され、車載端末100にダウンロードされる。サーバでレコメンド情報215を作成する際には、各車載端末100の走行履歴213、地点情報テーブル207、出発地・目的地テーブル210をアップロードする。
【0085】
また、サーバ側でレコメンド階数602の情報を算出する場合には、各車載端末100からアップロードされた、地点情報テーブル207と出発地・目的地テーブル210をテーブル連結する。この際、各テーブルの情報を結合するときのキーには、地点情報テーブル207の地点IDと出発地・目的地テーブル210の目的地点IDを用いる。テーブル連結後のテーブルにおいて、同一の逸脱時リンクID、リンク進入方向、駐車方向内で、最頻度の階数(306)の情報をレコメンド階数602とし、その際の出発地点IDとレコメンド階数602をレコメンド情報215とする。
【0086】
また、レコメンド出口リンク603の情報を算出する場合には、各車載端末100からアップロードされた走行履歴213の情報を合算しておく。すなわち、走行履歴213の進入リンク501と退出リンク502が同一の回数503の情報を車載端末分だけ合算する。レコメンド階数602の情報を算出した後、算出した出発地点IDを地点IDとする地点情報テーブル207から、逸脱時リンクID302の情報を取得し、走行履歴213から、この逸脱時リンクID302を進入リンク501とし、回数503の情報が最頻度の退出リンク502の情報をレコメンド出口リンク603の情報とする。
【0087】
図12は、レコメンド部214の処理を示す処理フロー図である。図12において、レコメンド部214は、レコメンド情報215を用いて、ドライバに情報の推薦を行う。
【0088】
具体的には、レコメンド部214は、まず、推定経路の有無を確認するために、推定経路があるか否かを判定する(S601)。つまり、ステップS601では、初めて走行したリンクかどうかを判定する。レコメンド部214は、ステップS601で否定の判定結果を得た場合(推定経路がなく、初めて走行するリンクである場合)には、ステップS604の処理に移行し、ステップS601で肯定の判定結果を得た場合(推定経路の算出が可能であって、走行経験があるリンクである場合)には、ステップS602の処理に移行する。
【0089】
次に、レコメンド部214は、VICS(登録商標)情報などの渋滞情報を用いて、推定経路上に渋滞があるか否かを判定し(S602)、ステップS602で否定の判定結果を得た場合(推定経路上の渋滞がない場合)には、ステップS607の処理に移行し、ステップS602で肯定の判定結果を得た場合(推定経路上の渋滞がある場合)には、ステップS603の処理に移行する。
【0090】
ステップS603において、レコメンド部214は、推定経路上の出口とレコメンド出口が異なるか否かを判定し、ステップS603で肯定の判定結果を得た場合(推定経路上の出口とレコメンド出口が異なる場合)には、ステップS604の処理に移行し、レコメンド情報215の階数(レコメンド階数602)、出口(レコメンド出口リンク603)を推薦情報に設定し、その後、ステップS606の処理に移行する。なお、S603では、レコメンド部214は、レコメンド情報215にあるレコメンド出口リンク603の情報と推定経路上の出口リンクの情報とを比較する。この際、推定経路上の出口リンクとは、推定経路の始めのリンクを指す。
【0091】
また、レコメンド部214は、ステップS603で否定の判定結果を得た場合(推定経路上の出口とレコメンド出口が同一である場合)には、ステップS605の処理に移行し、走行履歴213から、候補となる出口を推薦出口に設定し、その後、ステップS606の処理に移行する。なお、ステップS605では、走行履歴213から、ステップS601で推定された経路の次点の経路を推定し、出発リンクを進入リンクとし、次に回数が多い退出リンク(走行履歴213の回数503の情報が多い退出リンク)を推薦出口に設定する。
【0092】
次に、レコメンド部214は、推薦情報として、駐車階数、出口をドライバに推薦し(S606)、その後、このルーチンでの処理を終了する。この際、ステップS606では、レコメンド部214は、推薦情報に設定された出口と階数(駐車階数)を案内情報としてドライバにスピーカで報知する。例えば、「いつもの出口から出ると渋滞しています」、「こちらの出口から出ると渋滞を回避できます」のようなアナウンスと共に、経路を表示装置101に表示し、表示した経路にドライバを誘導する。また、駐車階数にしても、「目的地の2階に駐車するのがオススメです。」などのアナウンスを行ってドライバを目的地に誘導する。
【0093】
また、レコメンド部214は、レコメンド情報の階数(駐車階数)、出口を案内情報として表示装置101に表示し(S607)、その後、このルーチンでの処理を終了する。なお、ステップS607では、レコメンド情報の階数、出口を案内情報として表示装置101に表示するのみであって、情報の通知の選択は、ドライバに任せる。
【0094】
本実施例において、表示装置101は、案内情報を表示画面上に表示する表示部として機能する。この際、案内情報を音声信号に変換して出力する音声出力部を表示装置101に内蔵したり、車載装置100に配置したりすることができる。この場合、音声出力部は、ROM104に格納された案内情報を、CPU107を介して取り込み、この案内情報をアナログ信号に変換するデジタ・アナログ変換器と、アナログ信号を音声として出力するスピーカで構成することができる。
【0095】
本実施例によれば、駐車場を有する施設を利用するための情報を車両に提供することができ、結果として、ドライバに対する利便性の向上を図ることができる。また、本実施例によれば、駐車場に入る入口を考慮して推定経路を提案したり、いつも出る駐車場からの道路が渋滞している際には、いつも出る出口は混雑していることを伝え、別の出口から道路へ出ることを提案したりすることができる。さらには、駐車場内のより良い駐車場所などをドライバに提案することが可能になる。
【0096】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、本実施例の車載端末100が施設の駐車場以外の、道路リンクが存在しないエリア内で必要な情報をドライバに提示することもできる。
【0097】
また、レコメンド部214は、到着地判定処理206が、車両の施設への到着を判定した場合、駐車情報205を参照し、レコメンド情報215を基に車両を案内する情報であって、少なくとも駐車場における駐車位置を含む案内情報を出力することができる。これにより、レコメンド部214は、車両が施設へ到着した際に、案内情報で車両(ドライバ)を駐車位置へ案内することができる。また、リンク逸脱情報保持部201は、駐停車判定部202が車両の駐停車を判定したことを条件に、測位センサ103の測位による位置情報を基に車両が施設に連なる道路(リンク)から逸脱したことを検知した場合、車両の施設への進入方向と逸脱時(リンク逸脱時)の地点及び駐車方向を含む逸脱情報(リンク逸脱情報)を保持する逸脱情報保持部として機能することもできる。この際、駐車情報記憶部203は、逸脱情報保持部に保持された逸脱情報を駐車情報の一部の情報として記憶する。
【0098】
また、目的地推定部212は、到着地判定処理206が、車両の施設への到着を判定した場合、車両が施設へ進入したときの地点の情報(地点情報)を基に出発地・目的地テーブル210を参照し、回数403が最頻度となる経路に属する目的地点を車両の施設内の目的地として推定することができる。この際、レコメンド部214は、車両の施設内の目的地として推定された目的地点を案内情報に属する情報として出力することができる。こにより、レコメンド部214は、車両が施設へ到着した際に、車両の施設内の目的地として推定された目的地点へ案内情報で車両(ドライバ)を案内することができる。
【0099】
また、経路推定部212は、車両が施設の駐車場から退出する際に、走行履歴213を参照し、回数503が最頻度となる経路であって、車両の駐車位置から退出リンク502までの経路を推定することができる。この際、レコメンド部214は、経路推定部212により退出リンク502までの経路が推定されたことを条件に、退出リンク502を案内情報に属する情報として出力することがきる。これにより、レコメンド部214は、車両が施設の駐車場から退出する際に、退出リンクまで案内情報で車両(ドライバ)を案内することができる。
【0100】
また、実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。さらに、上記の各構成、機能等は、それらの一部又は全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD等の記録装置、または、IC(Integrated Circuit)カード、SD(Secure Digital)メモリカード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録して置くことができる。
【符号の説明】
【0101】
100 車載端末、101 表示装置、102 操作装置、103 測位センサ、1006 補助記憶装置、107 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12