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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/489 20210101AFI20221221BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20221221BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20221221BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20221221BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20221221BHJP
   H01M 10/0583 20100101ALI20221221BHJP
   H01M 50/423 20210101ALI20221221BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20221221BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20221221BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20221221BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20221221BHJP
【FI】
H01M50/489
H01M50/457
H01M50/451
H01M4/13
H01M10/058
H01M10/0583
H01M50/423
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M4/62 Z
H01M50/446
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018200252
(22)【出願日】2018-10-24
(65)【公開番号】P2020068123
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社エンビジョンAESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛正
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 良太
【審査官】式部 玲
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-313736(JP,A)
【文献】特開2015-022868(JP,A)
【文献】特開2010-033968(JP,A)
【文献】国際公開第2015/068325(WO,A1)
【文献】特開2016-139490(JP,A)
【文献】特開2011-210524(JP,A)
【文献】特開2016-015327(JP,A)
【文献】特開2008-258073(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148036(WO,A1)
【文献】特開2017-091744(JP,A)
【文献】特開2010-194726(JP,A)
【文献】特開2014-199775(JP,A)
【文献】特開2015-069957(JP,A)
【文献】国際公開第2008/156033(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/180145(WO,A1)
【文献】特開2017-152372(JP,A)
【文献】国際公開第2013/051416(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/052803(WO,A1)
【文献】特許第4832430(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40-50/497
H01M 4/00- 4/62
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極又は負極として機能可能な電極と、
基材と、前記基材の両面のうちの一方に位置する第1絶縁層と、前記基材の両面のうちの他方に位置する第2絶縁層と、を含むセパレータと、
を含み、
前記電極は、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する集電体と、前記集電体の前記第1面上に位置し、60μm以下の厚さを有する活物質層と、を含み、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、無機フィラーと、樹脂と、を含み、
前記基材の厚さに対する前記第1絶縁層の厚さ及び前記第2絶縁層の厚さの合計の比が1.50以上3.00以下である、電池。
【請求項2】
請求項1に記載の電池において、
前記無機フィラーを形成する材料の少なくとも1種が水酸化マグネシウムである、電池。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電池において、
前記樹脂の少なくとも1種が芳香族ポリアミドである、電池。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の電池において、
前記正極は、活物質層を含み、
前記正極の前記活物質層は、前記正極の前記活物質層の総質量100質量部に対して5.0質量部以上の導電助剤を含む、電池。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の電池において、
前記セパレータは、隣り合う前記正極及び前記負極の間に前記セパレータの一部分が位置するように、つづら折りに折り返されている、電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電池の一種として、二次電池、特に、非水電解質二次電池が開発されている。非水電解質二次電池は、正極、負極及びセパレータを含んでいる。セパレータは、正極及び負極の間に位置している。
【0003】
特許文献1には、セパレータの一例について記載されている。セパレータは、ポリエチレン微多孔膜及びポリエチレン微多孔膜の両面上の耐熱性多孔質層を含んでいる。耐熱性多孔質層は、ポリメタフェニレンイソフタルアミド及び水酸化アルミニウムからなる無機フィラーを含んでいる。
【0004】
特許文献2には、セパレータの一例について記載されている。セパレータは、ポリエチレン微多孔膜及びポリエチレン微多孔膜の両面上の多孔質層を含んでいる。多孔質層は、メタ型全芳香族ポリアミド及びα-アルミナからなる無機フィラーを含んでいる。
【0005】
特許文献3及び4には、セパレータの一例について記載されている。セパレータは、ポリエチレン多孔質フィルム及びポリエチレン多孔質フィルム上の耐熱多孔層を含んでいる。耐熱多孔層は、液晶ポリエステル及びアルミナ粒子を含んでいる。
【0006】
特許文献5には、電池の圧壊試験の耐性を向上させることについて記載されている。特許文献5では、圧壊試験の耐性を向上させるため、正極の引張伸び率、負極の引張伸び率及びセパレータの引張伸び率を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-231281号公報
【文献】特開2010-160939号公報
【文献】特開2008-311221号公報
【文献】特開2008-307893号公報
【文献】特開2010-165664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、電池において、高レート及び高安全性の両立が困難な場合があることを見出した。具体的には、本発明者は、高レートのため電極(例えば、正極又は負極)の活物質層の厚さを薄くすると、電池の釘刺し試験の耐性(つまり、安全性)が低下し得ることを見出した。
【0009】
本発明の目的の一例は、高レート及び高安全性を両立させることにある。本発明の他の目的は、本明細書の開示から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、
正極又は負極として機能可能な電極と、
基材と、絶縁層と、を含むセパレータと、
を含み、
前記電極は、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する集電体と、前記集電体の前記第1面上に位置し、60μm以下の厚さを有する活物質層と、を含み、
前記基材の厚さに対する前記絶縁層の厚さの比が1.50以上3.00以下である、電池が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上述した一態様によれば、高レート及び高安全性を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る電池の上面図である。
図2図1のA-A´断面図である。
図3図2の一部分を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0014】
図1は、実施形態に係る電池10の上面図である。図2は、図1のA-A´断面図である。図3は、図2の一部分を拡大した図である。図2では、説明のため、図1に示した外装材400を示していない。
【0015】
図3を用いて、電池10の概要を説明する。電池10は、正極100、負極200及びセパレータ300を含んでいる。セパレータ300は、基材310及び絶縁層320を含んでいる。図3に示す例では、絶縁層320は、基材310の両面(第1面312及び第2面314)上にある。正極100は、集電体110、活物質層122及び活物質層124を含んでいる。集電体110は、第1面112及び第2面114を有している。第2面114は、第1面112の反対側にある。活物質層122及び活物質層124は、それぞれ、集電体110の第1面112上及び第2面114上に位置している。負極200は、集電体210、活物質層222及び活物質層224を含んでいる。集電体210は、第1面212及び第2面214を有している。第2面214は、第1面212の反対側にある。活物質層222及び活物質層224は、それぞれ、集電体210の第1面212上及び第2面214上に位置している。活物質層122、活物質層124、活物質層222及び活物質層224のそれぞれは、60μm以下の厚さを有している。基材310の厚さに対する絶縁層320の厚さ(図3に示す例では、基材310の第1面312上の絶縁層320(絶縁層322)の厚さ及び基材310の第2面314上の絶縁層320(絶縁層324)の厚さの合計)の比は、1.50以上3.00以下となっている。
【0016】
上述した構成によれば、高レート及び高安全性を両立させることができる。具体的には、上述した構成においては、各電極(正極100又は負極200)の各活物質層(活物質層122、活物質層124、活物質層222又は活物質層224)は、高レートのため、上述したように薄くなっている。詳細には、活物質層の両面(集電体側の面及び反対側の面)間の距離が短いほど、活物質層の両面間の電気抵抗が小さくなり、これによって一定電圧下において活物質層の両面間に大電流を流すことができる。本発明者は、活物質層の厚さが薄いと、活物質層の両面間の低抵抗によって釘刺し試験耐性(すなわち、安全性)が低下する場合があることを見出した。本発明者は、釘刺し試験耐性を向上させるための構造を検討し、その結果、基材310の厚さに対する絶縁層320の厚さの比に着目し、この比が上述した範囲にある場合に釘刺し試験耐性が向上することを見出した。
【0017】
図3に示す例では、絶縁層320は、基材310の両面(第1面312及び第2面314)上にある。他の例において、絶縁層320は、基材310の両面(第1面312及び第2面314)のうちの一方のみにあってもよい。この例においても、基材310の厚さに対する絶縁層320の厚さの比は、1.50以上3.00以下とすることができる。
【0018】
図1を用いて、電池10の詳細を説明する。
【0019】
電池10は、第1リード130、第2リード230及び外装材400を含んでいる。
【0020】
第1リード130は、図2に示す正極100に電気的に接続されている。第1リード130は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成させてもよい。
【0021】
第2リード230は、図2に示す負極200に電気的に接続されている。第2リード230は、例えば、銅若しくは銅合金又はそれらにニッケルメッキを施したもので形成させてもよい。
【0022】
図1に示す例において、外装材400は、4辺を有する矩形形状を有している。図1に示す例において、第1リード130及び第2リード230は、外装材400の4辺のうちの共通の1辺から突出している。他の例において、第1リード130及び第2リード230は、外装材400の4辺のうちの異なる辺(例えば、互いに反対側の辺)から突出していてもよい。
【0023】
外装材400は、図2に示す積層体12を電解液(不図示)とともに収容している。
【0024】
外装材400は、例えば、熱融着性樹脂層及びバリア層を含み、例えば、熱融着性樹脂層及びバリア層を含む積層フィルムにしてもよい。
【0025】
熱融着性樹脂層を形成する樹脂材料は、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等にしてもよい。熱融着性樹脂層の厚さは、例えば、20μm以上200μm以下、好ましくは30μm以上150μm以下、より好ましくは50μm以上100μm以下である。
【0026】
バリア層は、例えば、電解液の漏出又は外部からの水分の侵入防止といったバリア性を有しており、例えば、ステンレス(SUS)箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔、銅箔、チタン箔等の金属により形成されたバリア層にしてもよい。バリア層の厚さは、例えば、10μm以上100μm以下、好ましくは20μm以上80μm以下、より好ましくは30μm以上50μm以下である。
【0027】
積層フィルムの熱融着性樹脂層は、1層であってもよいし、又は2層以上であってもよい。同様にして、積層フィルムのバリア層は、1層であってもよいし、又は2層以上であってもよい。
【0028】
電解液は、例えば、非水電解液である。この非水電解液は、リチウム塩及びリチウム塩を溶解する溶媒を含んでいてもよい。
【0029】
リチウム塩は、例えば、LiClO、LiBF、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiB10Cl10、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、CFSOLi、CHSOLi、LiCSO、Li(CFSON、低級脂肪酸カルボン酸リチウム等にしてもよい。
【0030】
リチウム塩を溶解する溶媒は、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ビニレンカーボネート(VC)等のカーボネート類;γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素溶媒;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の有機酸エステル類;リン酸トリエステルやジグライム類;トリグライム類;スルホラン、メチルスルホラン等のスルホラン類;3-メチル-2-オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類等にしてもよい。これらの物質は、単独で使用されてもよいし、又は組み合わせて使用されてもよい。
【0031】
図2を用いて、積層体12の詳細を説明する。
【0032】
積層体12は、複数の正極100、複数の負極200及びセパレータ300を含んでいる。複数の正極100及び複数の負極200は、交互に積層されている。図2に示す例では、セパレータ300は、隣り合う正極100及び負極200の間にセパレータ300の一部分が位置するように、つづら折りに折り返されている。他の例において、互いに離間した複数のセパレータ300が、隣り合う正極100及び負極200の間に位置していてもよい。
【0033】
図3を用いて、正極100、負極200及びセパレータ300のそれぞれの詳細を説明する。
【0034】
正極100は、集電体110及び活物質層120(活物質層122及び活物質層124)を含んでいる。集電体110は、第1面112及び第2面114を有している。第2面114は、第1面112の反対側にある。活物質層122は、集電体110の第1面112上にある。活物質層124は、集電体110の第2面114上にある。
【0035】
集電体110は、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金で形成させてもよい。集電体110の形状は、例えば、箔、平板又はメッシュにしてもよい。
【0036】
活物質層120(活物質層122及び活物質層124)は、活物質、バインダー樹脂及び導電助剤を含んでいる。
【0037】
活物質層120(活物質層122及び活物質層124)に含まれる活物質は、例えば、LiNi1-a(Mは、Co、Mn、Al、Na、Ba及びMgの中から選ばれる少なくとも一種以上の元素である。)(例えば、リチウム-ニッケル複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン複合酸化物、リチウム-ニッケル-アルミニウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-ナトリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-バリウム-複合酸化物、リチウム-ニッケル-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-ナトリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-アルミニウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-ナトリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-アルミニウム-ナトリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-アルミニウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-アルミニウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-ナトリウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-ナトリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-バリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-ナトリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム-ナトリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-ナトリウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-ナトリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-バリウム-ナトリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-アルミニウム-ナトリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-アルミニウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-アルミニウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-ナトリウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-ナトリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-バリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-アルミニウム-ナトリウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-アルミニウム-ナトリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-ナトリウム-バリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニウム-ナトリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-ナトリウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-ナトリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-バリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム-ナトリウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-アルミニウム-ナトリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-ナトリウム-ナリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-アルミニウム-ナトリウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-アルミニウム-ナトリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-ナトリウム-バリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-アルミニウム-ナトリウム-バリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニム-ナトリウム-バリウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニム-ナトリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-マンガン-アルミニム-ナトリウム-バリウム-マグネシウム複合酸化物、リチウム-ニッケル-コバルト-マンガン-アルミニム-ナトリウム-バリウム-マグネシウム複合酸化物)である。LiNi1-aの組成比aは、例えば電池10のエネルギー密度に応じて適宜決定することができる。電池10のエネルギー密度は、組成比aが大きい高くなる。組成比aは、例えば、a≧0.50、好ましくはa≧0.80である。他の例において、活物質層120(活物質層122及び活物質層124)に含まれる活物質は、リチウム-コバルト複合酸化物、リチウム-マンガン複合酸化物等のリチウム及び遷移金属の複合酸化物;TiS、FeS、MoS等の遷移金属硫化物;MnO、V、V13、TiO等の遷移金属酸化物、オリビン型リチウムリン酸化物等であってもよい。オリビン型リチウムリン酸化物は、例えば、Mn、Cr、Co、Cu、Ni、V、Mo、Ti、Zn、Al、Ga、Mg、B、Nb及びFeからなる群のうちの少なくとも1種の元素と、リチウムと、リンと、酸素とを含んでいる。これらの化合物は、その特性を向上させるために一部の元素を部分的に他の元素に置換したものであってもよい。これらの物質は、単独で使用されてもよいし、又は組み合わせて使用されてもよい。
【0038】
活物質層120(活物質層122及び活物質層124)に含まれる活物質の密度は、例えば、2.0g/cm以上4.0g/cm以下、好ましくは2.4g/cm以上3.8g/cm以下、より好ましくは2.8g/cm以上3.6g/cm以下である。
【0039】
集電体110の両面(第1面112及び第2面114)のうちの一方の面上の活物質層(活物質層122又は活物質層124)の厚さは、例えば電池10のレートに応じて適宜決定することができる。電池10のレートは、当該厚さが薄いほど高くなる。当該厚さは、例えば、60μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下である。
【0040】
集電体110の両面(第1面112及び第2面114)上の活物質層(活物質層122及び活物質層124)の厚さの合計は、例えば電池10のレートに応じて適宜決定することができる。電池10のレートは、当該厚さが薄いほど高くなる。当該厚さは、例えば、120μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。
【0041】
活物質層120(活物質層122及び活物質層124)は、例えば次のようにして製造可能である。まず、活物質、バインダー樹脂及び導電助剤を有機溶媒中に分散させてスラリーを調製する。有機溶媒は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)である。次いで、このスラリーを集電体110の第1面112上に塗布し、スラリーを乾燥させ、必要に応じてプレスを実施して、集電体110上に活物質層120(活物質層122)を形成する。活物質層124も同様にして形成可能である。
【0042】
活物質層120(活物質層122及び活物質層124)に含まれるバインダー樹脂は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)又はポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。
【0043】
活物質層120(活物質層122又は活物質層124)に含まれるバインダー樹脂の量は、適宜決定することができる。活物質層122は、活物質層122の総質量100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上10.0質量部以下、好ましくは0.5質量部以上5.0質量部以下、より好ましくは2.0質量部以上4.0質量部以下のバインダー樹脂を含んでいる。活物質層124についても同様である。
【0044】
活物質層120(活物質層122及び活物質層124)に含まれる導電助剤は、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、天然黒鉛、人工黒鉛、炭素繊維等である。黒鉛は、例えば、鱗片状黒鉛又は球状黒鉛であってもよい。これらの物質は、単独で使用されてもよいし、又は組み合わせて使用されてもよい。
【0045】
活物質層120(活物質層122又は活物質層124)に含まれる導電助剤の量は、例えば電池10のサイクル特性に応じて適宜決定することができる。電池10のサイクル特性は、活物質層120の導電助剤の量が大きいほど向上する。活物質層122は、活物質層120の総質量100質量部に対して、例えば、3.0質量部以上8.0質量部以下、好ましくは5.0質量部以上6.0質量部以下の導電助剤を含んでいる。活物質層124についても同様である。
【0046】
負極200は、集電体210及び活物質層220(活物質層222及び活物質層224)を含んでいる。集電体210は、第1面212及び第2面214を有している。第2面214は、第1面212の反対側にある。活物質層222は、集電体210の第1面212上にある。活物質層224は、集電体210の第2面214上にある。
【0047】
集電体210は、例えば、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン又はこれらの合金で形成させてもよい。集電体210の形状は、例えば、箔、平板又はメッシュにしてもよい。
【0048】
活物質層220(活物質層222及び活物質層224)は、活物質及びバインダー樹脂を含んでいる。活物質層220は、必要に応じて、導電助剤をさらに含んでいてもよい。
【0049】
活物質層220(活物質層222及び活物質層224)に含まれる活物質は、例えば、リチウムを吸蔵する黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の炭素材料;リチウム金属、リチウム合金等のリチウム系金属材料;Si、SiO、SiO(0<x≦2)、Si含有複合材料等のSi系材料;ポリアセン、ポリアセチレン、ポリピロール等の導電性ポリマー材料等である。これらの物質は、単独で使用されてもよいし、又は組み合わせて使用されてもよい。一例において、活物質層220(活物質層222及び活物質層224)は、第1平均粒径を有する第1群の黒鉛粒子(例えば、天然黒鉛)及び第2平均粒径を有する第2群の黒鉛粒子(例えば、天然黒鉛)を含んでいてもよい。第2平均粒径は第1平均粒径より小さくてもよく、第2群の黒鉛粒子の総質量は、第1群の黒鉛粒子の総質量より小さくてもよく、第2群の黒鉛粒子の総質量は、第1群の黒鉛粒子の総質量100質量部に対して、例えば、20質量部以上30質量部以下であってもよい。
【0050】
活物質層220(活物質層222及び活物質層224)に含まれる活物質の密度は、例えば、1.2g/cm以上2.0g/cm以下、好ましくは1.3g/cm以上1.9g/cm以下、より好ましくは1.4g/cm以上1.8g/cm以下である。
【0051】
集電体210の両面(第1面212及び第2面214)のうちの一方の面上の活物質層(活物質層222又は活物質層224)の厚さは、例えば電池10のレートに応じて適宜決定することができる。電池10のレートは、当該厚さが薄いほど高くなる。当該厚さは、例えば、60μm以下、好ましくは55μm以下、より好ましくは50μm以下である。
【0052】
集電体210の両面(第1面212及び第2面214)上の活物質層(活物質層222及び活物質層224)の厚さの合計は、例えば電池10のレートに応じて適宜決定することができる。電池10のレートは、当該厚さが薄いほど高くなる。当該厚さは、例えば、120μm以下、好ましくは110μm以下、より好ましくは100μm以下である。
【0053】
活物質層220(活物質層222及び活物質層224)は、例えば次のようにして製造可能である。まず、活物質及びバインダー樹脂を溶媒中に分散させてスラリーを調製する。溶媒は、例えば、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等の有機溶媒であってもよいし、又は水であってもよい。次いで、このスラリーを集電体210の第1面212上に塗布し、スラリーを乾燥させ、必要に応じてプレスを実施して、集電体210上に活物質層220(活物質層222)を形成する。活物質層224も同様にして形成可能である。
【0054】
活物質層220(活物質層222及び活物質層224)に含まれるバインダー樹脂は、スラリーを得るための溶媒として有機溶媒を用いた場合、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のバインダー樹脂にすることができ、スラリーを得るための溶媒として水を用いた場合、例えば、ゴム系バインダー(例えば、SBR(スチレン・ブタジエンゴム))又はアクリル系バインダー樹脂にすることができる。このような水系バインダー樹脂は、エマルジョン形態にしてもよい。溶媒として水を用いる場合、水系バインダー及びCMC(カルボキシメチルセルロース)等の増粘剤を併用することが好ましい。
【0055】
活物質層220(活物質層222又は活物質層224)に含まれるバインダー樹脂の量は、適宜決定することができる。活物質層222は、活物質層222の総質量100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上10.0質量部以下、好ましくは0.5質量部以上8.0質量部以下、より好ましくは1.0質量部以上5.0質量部以下、さらにより好ましくは1.0質量部以上3.0質量部以下のバインダー樹脂を含んでいる。活物質層224についても同様である。
【0056】
セパレータ300は、基材310及び絶縁層320(絶縁層322及び絶縁層324)を含んでいる。基材310は、第1面312及び第2面314を有している。第2面314は、第1面312の反対側にある。絶縁層322は、基材310の第1面312上にある。絶縁層324は、基材310の第2面314上にある。
【0057】
図3に示す例において、セパレータ300は、基材310の両面(第1面312及び第2面314)上に絶縁層320(絶縁層322及び絶縁層324)を含んでいる。他の例において、セパレータ300は、基材310の両面(第1面312及び第2面314)のうちの一方の面上のみに絶縁層320を含んでいてもよい。
【0058】
セパレータ300は、正極100及び負極200を電気的に絶縁させ、イオン(例えば、リチウムイオン)を透過させる機能を有している。セパレータ300は、例えば、多孔性セパレータにすることができる。
【0059】
セパレータ300の形状は、正極100又は負極200の形状に応じて適宜決定することができ、例えば、矩形にすることができる。
【0060】
基材310は、耐熱性樹脂を含む樹脂層を含んでいることが好ましい。樹脂層は、耐熱性樹脂を主成分として含んでおり、具体的には、樹脂層の総質量100質量部に対して、50質量部以上、好ましくは70質量部以上、より好ましくは90質量部以上の耐熱性樹脂を含んでおり、樹脂層の総質量100質量部に対して100質量部の耐熱性樹脂を含んでいてもよい。樹脂層は、単層であってもよいし、又は二種以上の層であってもよい。
【0061】
耐熱性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ-m-フェニレンテレフタレート、ポリ-p-フェニレンイソフタレート、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、脂肪族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、フッ素系樹脂、ポリエーテルニトリル、変性ポリフェニレンエーテル等から選択される一種又は二種以上である。
【0062】
絶縁層320(絶縁層322及び絶縁層324)は、例えば以下のようにして製造可能である。まず、無機フィラー及び樹脂を溶媒中に分散させて溶液を調製する。溶媒は、例えば、水、エタノール等のアルコール類、N-メチルピロリドン(NMP)、トルエン、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等である。次いで、基材310の第1面312上に溶液を塗布して絶縁層320(絶縁層322)を形成する。絶縁層324も同様にして形成可能である。
【0063】
絶縁層320(絶縁層322及び絶縁層324)に含まれる無機フィラーを形成する材料は、例えば、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、ベーマイト、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等から選択される一種又は二種以上である。例えば釘刺し試験の耐性を向上させる観点から、当該材料は、水酸化マグネシウムであることが好ましい。
【0064】
絶縁層320(絶縁層322及び絶縁層324)に含まれる樹脂は、例えば、メタ系アラミド、パラ系アラミド等のアラミド(芳香族ポリアミド)系樹脂;カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系樹脂;アクリル系樹脂;ポリビニリデンフロライド(PVDF)等のフッ素系樹脂;等である。これらの中でも、アラミド(芳香族ポリアミド)系樹脂が好ましく、メタ系アラミドがより好ましい。これらの物質は、単独で使用されてもよいし、又は組み合わせて使用されてもよい。
【0065】
基材310の厚さは、適宜決定することができ、例えば、5.0μm以上10.0μm以下、好ましくは、6.0μm以上10.0μm以下にすることができる。
【0066】
絶縁層322の厚さ及び絶縁層324の厚さの合計は、適宜決定することができ、例えば、10.0μm以上20.0μm以下、好ましくは、12.5μm以上17.5μm以下にすることができる。
【0067】
セパレータ300の厚さは、適宜決定することができ、例えば、15.0μm以上30.0μm以下、好ましくは16.0μm以上27.5μm以下にすることができる。
【0068】
図3に示す例では、正極100、負極200及びセパレータ300は、正極100の第1面112がセパレータ300の第2面314に対向し、かつ負極200の第2面214がセパレータ300の第1面312に対向するように、互いに重なっている。
【実施例
【0069】
(実施例1)
以下のようにして電池10を製造した。
【0070】
正極100を次のようにして形成した。まず、以下の材料を有機溶媒に分散させてスラリーを調製した。
活物質:94.0質量部のリチウムニッケル含有複合酸化物(化学式:Li(Ni0.80Co0.15Al0.05)O
導電助剤:2.0質量部の球状黒鉛及び1.0質量部の鱗片状黒鉛
バインダー樹脂:3.0質量部のポリフッ化ビニリデン(PVDF)
次いで、このスラリーを15μmのアルミニウム箔(集電体110)の両面(第1面112及び第2面114)上に塗布し、スラリーを乾燥させ、プレスを実施して、活物質層120(活物質層122及び活物質層124)を形成した。活物質層122の活物質の密度は、3.35g/cmであり、活物質層122の厚さは、36.6μmである。活物質層124の活物質の密度は、3.35g/cmであり、活物質層124の厚さは、36.6μmである。
【0071】
負極200を次のようにして形成した。まず、以下の材料を水に分散させてスラリーを調製した。
活物質:77.36質量部の天然黒鉛(平均粒径:16.0μm)及び19.34質量部の天然黒鉛(平均粒径:10.5μm)
導電助剤:0.3質量部の球状黒鉛
バインダー樹脂:2.0質量部のスチレン・ブタジエンゴム(SBR)
増粘剤:1.0質量部のカルボキシメチルセルロース(CMC)
次いで、このスラリーを8μmの銅箔(集電体210)の両面(第1面212及び第2面214)上に塗布し、スラリーを乾燥させ、プレスを実施して、活物質層220(活物質層222及び活物質層224)を形成した。活物質層222の活物質の密度は、1.55g/cmであり、活物質層222の厚さは、50.0μmである。活物質層224の活物質の密度は、1.55g/cmであり、活物質層224の厚さは、50.0μmである。
【0072】
セパレータ300を次のようにして形成した。まず、以下の材料を溶媒中に分散させて溶液を調製した。
無機フィラー:水酸化マグネシウム
樹脂:メタ系アラミド
次いで、この溶液を6.0μmのポリエチレンフィルム(基材310)の両面(第1面312及び第2面314)上に塗布して絶縁層320(絶縁層322及び絶縁層324)を形成した。絶縁層322の厚さ(8.0μm)及び絶縁層324の厚さ(8.0μm)の合計は、16.0μmである。
【0073】
積層体12を、図2に示すように、14個の正極100及び14個の負極200が交互に並び、かつセパレータ300がつづら折りに折り返されるように、形成した。
【0074】
電池10を、図1に示すように、積層体12を電解液とともに外装材400に収容させて、製造した。電解液は、LiPFを含んでいる。
【0075】
電池10について釘刺し試験を行った。具体的には、電池10のSOC(State Of Charge)につき満充電において、室温下で、直径3mmの釘(SUS304)を電池10の中央に80mm/sで刺した。以下の基準で電池10の釘刺し試験耐性を評価した。
◎:試験開始から3分後の時点で発火が観察されなかった
○:試験開始から3分未満に発火が観察されなかった(試験開始から3分後の時点で発火が観察された)
×:試験開始から10秒未満に発火が観察された
【0076】
(実施例2)
実施例2は、基材310の厚さが9.0μmであり、かつ絶縁層322の厚さ(8.0μm)及び絶縁層324の厚さ(8.0μm)の合計が16.0μmである点を除いて、実施例1と同様とした。
【0077】
(比較例1)
比較例1は、基材310の厚さが7.5μmであり、かつ絶縁層322の厚さ(3.75μm)及び絶縁層324の厚さ(3.75μm)の合計が7.5μmである点を除いて、実施例1と同様とした。
【0078】
(比較例2)
比較例2は、基材310の厚さが9.0μmであり、かつ絶縁層322の厚さ(6.0μm)及び絶縁層324の厚さ(6.0μm)の合計が12.0μmである点を除いて、実施例1と同様とした。
【0079】
表1は、実施例1、実施例2、比較例1及び比較例2のそれぞれの結果を示している。
【表1】
【0080】
表1に示す結果は、基材310の厚さに対する絶縁層320の厚さの比に応じて釘刺し試験耐性の向上が可能なことを示唆する。具体的には、基材310の厚さに対する絶縁層320の厚さの比が大きいほど、釘刺し試験耐性は向上しているといえる。実施例2の結果(基材310の厚さに対する絶縁層320の厚さの比:約1.78)から、基材310の厚さに対する絶縁層320の厚さの比は、1.50以上にしてよいといえる。実施例1の結果(基材310の厚さに対する絶縁層320の厚さの比:約2.67)から、基材310の厚さに対する絶縁層320の厚さの比は、3.00以下にしてよいといえる。
【0081】
基材310の厚さに対する絶縁層320の厚さの比に応じて釘刺し試験耐性の向上が可能な理由は、次のように推定される。釘刺し試験では、釘を介して正極100及び負極200が短絡して釘から熱が発生し得る。釘が貫通して留まっている領域の周辺において、基材310は、釘から発生する熱によって、釘から離れるように収縮し得るのに対して、絶縁層320は、基材310の収縮を抑え得る。仮に、絶縁層320が基材310の収縮を十分に抑えることができずに基材310(すなわち、セパレータ300全体)が収縮すると、釘の周辺において、正極100及び負極200が直接接触して発火し得る。これに対して、上述したように、基材310の厚さに対する絶縁層320の厚さの比が大きい場合(すなわち、基材310の厚さが小さく、絶縁層320の厚さが大きい場合)、基材310の収縮を絶縁層320によって抑えることができ、釘刺し試験耐性が向上し得る。
【0082】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び実施例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 正極又は負極として機能可能な電極と、
基材と、絶縁層と、を含むセパレータと、
を含み、
前記電極は、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する集電体と、前記集電体の前記第1面上に位置し、60μm以下の厚さを有する活物質層と、を含み、
前記基材の厚さに対する前記絶縁層の厚さの比が1.50以上3.00以下である、電池。
2. 1.に記載の電池において、
前記絶縁層は、水酸化マグネシウムを含む、電池。
3. 1.又は2.に記載の電池において、
前記絶縁層は、芳香族ポリアミドをさらに含む、電池。
4. 1.から3.までのいずれか一つに記載の電池において、
前記正極は、活物質層を含み、
前記正極の前記活物質層は、前記正極の前記活物質層の総質量100質量部に対して5.0質量部以上の導電助剤を含む、電池。
5. 1.から4.までのいずれか一つに記載の電池において、
前記セパレータは、隣り合う前記正極及び前記負極の間に前記セパレータの一部分が位置するように、つづら折りに折り返されている、電池。
【符号の説明】
【0083】
10 電池
12 積層体
100 正極
110 集電体
112 第1面
114 第2面
120 活物質層
122 活物質層
124 活物質層
130 第1リード
200 負極
210 集電体
212 第1面
214 第2面
220 活物質層
222 活物質層
224 活物質層
230 第2リード
300 セパレータ
310 基材
312 第1面
314 第2面
320 絶縁層
322 絶縁層
324 絶縁層
400 外装材
図1
図2
図3