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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/78 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
E06B9/78
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018216809
(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2020084468
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100143568
【弁理士】
【氏名又は名称】英 貢
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
(72)【発明者】
【氏名】阿坂 翼
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1340623(KR,B1)
【文献】米国特許第5890529(US,A)
【文献】特開2015-218431(JP,A)
【文献】特開2018-168680(JP,A)
【文献】実開昭62-180193(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
A47H 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽材を開閉操作可能とする遮蔽装置であって、
前記遮蔽材を直接的に巻き上げ又は巻き戻すための、或いは前記遮蔽材を開閉させるための開閉コードを巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸と、
前記巻取軸の回転を操作するための操作装置と、を備え、
前記操作装置は、
操作プーリーと、
前記操作プーリーにそれぞれ一端を接続し他端を当該遮蔽装置の前側及び後側の両側で操作可能に垂下させる一対の操作コードと、
前記操作プーリーに対して前記一対の操作コードを巻き付ける方向に常に付勢する付勢部材と、
前記操作プーリーの一方向の回転のみを前記巻取軸に伝達するクラッチ部と、
を備えることを特徴とする遮蔽装置。
【請求項2】
前記操作装置は、前記一対の操作コードのうち一方の操作コードの引き操作で他方の操作コードが前記操作プーリーから巻き戻され、前記一対の操作コードが同時に降下するように作動することを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽装置。
【請求項3】
前記遮蔽材を開状態又は閉状態とするよう前記巻取軸を付勢する付勢機構と、
前記付勢機構の作動を停止するよう作動するストッパ部と、を備え、
前記操作装置は、前記一対の操作コードのうちいずれか一方の引き操作で前記ストッパ部の作動開始及び作動解除を切り替えるように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
遮蔽材を開閉操作可能とする遮蔽装置であって、
前記遮蔽材を直接的に巻き上げ又は巻き戻すための、或いは前記遮蔽材を開閉させるための開閉コードを巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸と、
前記巻取軸の一方向の回転を操作するための第1の操作コードを垂下させる第1の操作装置と、
前記巻取軸の他方向の回転を操作するための第2の操作コードを垂下させる第2の操作装置と、を備え、
前記第1の操作装置における前記一対の第1の操作コードが前記遮蔽材の閉操作用として構成され、前記第2の操作装置における前記一対の第2の操作コードが前記遮蔽材の開操作用として構成され
前記第1の操作装置は、第1の操作プーリー、前記第1の操作プーリーにそれぞれ一端を接続し他端を当該遮蔽装置の前側及び後側の両側で操作可能に垂下させる一対の第1の操作コード、前記第1の操作プーリーに対して前記一対の第1の操作コードを巻き付ける方向に常に付勢する第1の付勢部材、及び前記第1の操作プーリーの一方向の回転のみを前記巻取軸に伝達する第1のクラッチ部を有し、
前記第2の操作装置は、第2の操作プーリー、前記第2の操作プーリーにそれぞれ一端を接続し他端を当該遮蔽装置の前側及び後側の両側で操作可能に垂下させる一対の第2の操作コード、前記第2の操作プーリーに対して前記一対の第2の操作コードを巻き付ける方向に常に付勢する第2の付勢部材、及び前記第1の操作プーリーの一方向の回転とは逆方向となる前記第2の操作プーリーの一方向の回転のみを前記巻取軸に伝達する第2のクラッチ部を有することを特徴とする遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽材を開閉操作可能とする遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮蔽材を左右方向に、或いは上下方向に開閉するための操作装置を有する遮蔽装置が知られている。例えば、遮蔽材を左右方向に開閉するための操作装置を有する遮蔽装置の例として間仕切り装置、縦型ブラインド、或いはカーテンレール等があり、遮蔽材を上下方向に開閉するための操作装置を有する遮蔽装置の例としてロールスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン、或いはプリーツスクリーン等がある。
【0003】
これら種々の遮蔽装置のうち、遮蔽材を開閉させるための昇降コードや牽引コード等の開閉コードを操作コードとして外部導出し、直引き操作して遮蔽材を開閉可能とする操作装置を有するものがある。
【0004】
一例として、遮蔽材を開閉するための開閉コードを操作コードとして直引き操作して遮蔽材を開閉する間仕切り装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に開示される間仕切り装置は、遮蔽材を開閉するための開閉コードを操作コードとして、遮蔽材に対して室内側及び室外側に外部導出する操作装置を有しており、遮蔽材に対して室内外から操作できるようにしている。
【0006】
一方、種々の遮蔽装置のうち、遮蔽材を直接的に巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸を有するか、或いは遮蔽材を開閉させるための昇降コードや牽引コード等の開閉コードを巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸を有するものがある。そして、このような遮蔽装置に設けられる操作装置は操作プーリーに掛装される操作コードを有し、その操作コードの操作で遮蔽材の開閉に係る巻取軸を回転操作し、遮蔽材を開閉させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-211701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、特許文献1に開示される間仕切り装置は、遮蔽材を開閉するための開閉コードを操作コードとして、遮蔽材に対して室内側及び室外側に外部導出する操作装置を有しており、遮蔽材に対して室内外から操作できるようにしている。
【0009】
しかし、この特許文献1に開示される操作装置は、遮蔽材を直接的に巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸を有するか、或いは遮蔽材を開閉させるための昇降コードや牽引コード等の開閉コードを巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸を有する遮蔽装置に対して適用することができない。
【0010】
特に、特許文献1に開示される操作装置は、遮蔽材を全開(又は全閉)とするには、直引きのため操作コードを引き続ける必要がある。
【0011】
そこで、遮蔽材を直接的に巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸を有するか、或いは遮蔽材を開閉させるための昇降コードや牽引コード等の開閉コードを巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸を有する遮蔽装置において、遮蔽材に対して室内外から操作できるようにするとともに、操作コードの引き操作を繰り返し行うことができるようにして、遮蔽材の開閉操作に係る操作性を向上させる技法が望まれる。
【0012】
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、操作性を向上させて遮蔽材の開閉操作可能とする遮蔽装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による第1態様の遮蔽装置は、遮蔽材を開閉操作可能とする遮蔽装置であって、前記遮蔽材を直接的に巻き上げ又は巻き戻すための、或いは前記遮蔽材を開閉させるための開閉コードを巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸と、前記巻取軸の回転を操作するための操作装置と、を備え、前記操作装置は、操作プーリーと、前記操作プーリーにそれぞれ一端を接続し他端を当該遮蔽装置の前側及び後側の両側で操作可能に垂下させる一対の操作コードと、前記操作プーリーに対して前記一対の操作コードを巻き付ける方向に常に付勢する付勢部材と、前記操作プーリーの一方向の回転のみを前記巻取軸に伝達するクラッチ部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明による第1態様の遮蔽装置において、前記操作装置は、前記一対の操作コードのうち一方の操作コードの引き操作で他方の操作コードが前記操作プーリーから巻き戻され、前記一対の操作コードが同時に降下するように作動することを特徴とする。
【0015】
また、本発明による第1態様の遮蔽装置において、前記遮蔽材を開状態又は閉状態とするよう前記巻取軸を付勢する付勢機構と、前記付勢機構の作動を停止するよう作動するストッパ部と、を備え、前記操作装置は、前記一対の操作コードのうちいずれか一方の引き操作で前記ストッパ部の作動開始及び作動解除を切り替えるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
更に、本発明による第2態様の遮蔽装置は、遮蔽材を開閉操作可能とする遮蔽装置であって、前記遮蔽材を直接的に巻き上げ又は巻き戻すための、或いは前記遮蔽材を開閉させるための開閉コードを巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸と、前記巻取軸の一方向の回転を操作するための第1の操作コードを垂下させる第1の操作装置と、前記巻取軸の他方向の回転を操作するための第2の操作コードを垂下させる第2の操作装置と、を備え、前記第1の操作装置における前記一対の第1の操作コードが前記遮蔽材の閉操作用として構成され、前記第2の操作装置における前記一対の第2の操作コードが前記遮蔽材の開操作用として構成され、前記第1の操作装置は、第1の操作プーリー、前記第1の操作プーリーにそれぞれ一端を接続し他端を当該遮蔽装置の前側及び後側の両側で操作可能に垂下させる一対の第1の操作コード、前記第1の操作プーリーに対して前記一対の第1の操作コードを巻き付ける方向に常に付勢する第1の付勢部材、及び前記第1の操作プーリーの一方向の回転のみを前記巻取軸に伝達する第1のクラッチ部を有し、前記第2の操作装置は、第2の操作プーリー、前記第2の操作プーリーにそれぞれ一端を接続し他端を当該遮蔽装置の前側及び後側の両側で操作可能に垂下させる一対の第2の操作コード、前記第2の操作プーリーに対して前記一対の第2の操作コードを巻き付ける方向に常に付勢する第2の付勢部材、及び前記第1の操作プーリーの一方向の回転とは逆方向となる前記第2の操作プーリーの一方向の回転のみを前記巻取軸に伝達する第2のクラッチ部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、遮蔽材に対して室内外から操作できるようになり、且つ遮蔽材の開閉操作に係る操作性を向上させることができる
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による第1実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンの概略構成を示す正面図である。
図2】本発明による第1実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンの概略構成を示す側面図である。
図3】本発明による第1実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンにおける操作装置の概略構成を示す断面図である。
図4】本発明による第1実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンにおける操作装置の概略構成を示す斜視図である。
図5】本発明による第1実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンにおける操作装置の概略構成を示す分解斜視図である。
図6】本発明による第1実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンにおける支持部材に対する操作装置の組み付けを示す斜視図である。
図7】(a)乃至(c)は、それぞれ本発明による第1実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンにおける操作装置の動作を示す側面断面図である。
図8】本発明による第2実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンの概略構成を示す正面図である。
図9】本発明による第2実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンにおける第1の操作装置の概略構成を示す断面図である。
図10】(a),(b)は、それぞれ本発明による第2実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンにおける第2及び第1の操作装置の動作を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明による各実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンを説明する。尚、本願明細書中、図1に示すロールスクリーンの正面図に対して、図示上方及び図示下方をそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示左方向をロールスクリーンの左側、及び、図示右方向をロールスクリーンの右側と定義して説明する。また、以下に説明する例では、図1に示すロールスクリーンの正面図に対して、視認する側を前側(又は室内側)、その反対側を後側(又は室外側)とする。
【0021】
〔第1実施形態〕
(全体構成)
図1は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンの概略構成を示す正面図である。また、図2は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンの概略構成を示す側面図である。図1及び図2に示す第1実施形態のロールスクリーンは、取付ブラケット1を介して窓枠等の取付面に取着されるフレーム2の両端に支持部材3が取着され、その支持部材3に1本の巻取軸6が回転可能に支持されている。支持部材3には意匠性の観点からサイドカバー4が取着されている。
【0022】
巻取軸6にはスクリーン5の上端部が取着され、巻取軸6により、スクリーン5を巻き取り、或いは巻き戻してスクリーン5を昇降可能としている。スクリーン5の下端部には錘部材として機能するウェイトバー12が設けられている。
【0023】
図1に示す右方の支持部材3には操作装置9が取着され、その操作装置9からスクリーン5の前後から操作可能に垂下させる一対の操作コード7A,7Bが垂下されている。一対の操作コード7A,7Bの下端にはそれぞれ第1グリップ8A及び第2グリップ8Bが取着されている。そして、詳細は後述するが、一対の操作コード7A,7Bの操作により、巻取軸6の回転を操作してスクリーン5を昇降可能としている。
【0024】
本実施形態の例では、巻取軸6内にはスクリーン5を巻き上げる方向に常に付勢するスプリングモーター10が付勢機構として収容されており、スプリングモーター10によりスクリーン5を自動的に巻き上げるようになっている。そして、巻取軸6内にはスプリングモーター10の作動を停止するよう作動するストッパ部11が収容されている。操作装置9は、一対の操作コード7A,7Bのうちいずれか一方の引き操作でストッパ部11の作動開始及び作動解除を切り替えるように構成されている。このため、ストッパ部11の作動解除でスクリーン5は巻取軸6に自動的に巻き上げられ、ストッパ部11の作動開始でスプリングモーター10の作動がロックされ、ウェイトバー12の位置が停止しスクリーン5の上昇が防止される。
【0025】
尚、本実施形態の遮蔽装置は、上下方向に遮蔽材を開閉させるように構成されているため、遮蔽材を開状態とするよう巻取軸6を付勢する付勢機構としてスプリングモーター10を設けているが、例えば特許文献1に開示されるように左右方向に遮蔽材を開閉させるように構成されている遮蔽装置であるときは、遮蔽材を開状態又は閉状態のいずれか一方の状態とするよう巻取軸を付勢する付勢機構を設けた構成とすることができる。
【0026】
図1に示す右方の支持部材3には操作装置9が取着され、その操作装置9からスクリーン5の前後から操作可能に垂下させる一対の操作コード7A,7Bが垂下されている。そして、一対の操作コード7A,7Bの操作により、巻取軸6の回転を操作してスクリーン5を昇降可能としている。
【0027】
(操作装置)
図3は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンにおける操作装置9の概略構成を示す断面図である。また、図4は、操作装置9の概略構成を示す斜視図であり、図5は操作装置9の概略構成を示す分解斜視図である。そして、図6は、支持部材3に対する操作装置9の組み付けを示す斜視図である。
【0028】
まず、図3乃至図5に示すように、操作装置9は支持部材3に対して組み付けられ、固定軸部材91、ぜんまいばね92(付勢部材)、操作プーリー93、クラッチ部94(ワンウェイクラッチ)、プーリーケース95、伝達部材96、及び軸ホルダ97を備える。
【0029】
特に、図5に示すように、固定軸部材91は、その本体が支持部材3に固定される。例えば、支持部材3に設けられる一対のネジ孔3aと対応する位置に、固定軸部材91には一対のネジ孔91aが設けられており、各ネジ孔3a,91aに取付ネジ(図示せず)が螺入されることで、固定軸部材91は支持部材3に固定される。
【0030】
固定軸部材91には図示左方に突出する略円筒状の固定軸91bが設けられている。この固定軸91bに操作プーリー93の略円筒状の中心軸93cが挿入され、操作プーリー93が固定軸部材91に対して回転可能に支持される。
【0031】
操作プーリー93は、ぜんまいばね92を収容する空洞部が設けられ、ぜんまいばね92の一端92aは、操作プーリー93におけるぜんまいばね92を収容する周壁の一部に形成された切欠き93eに係止される(図6参照)。一方、ぜんまいばね92の一端92bは、固定軸部材91における固定軸91bに設けられた切欠き91cに係止される。
【0032】
また、操作プーリー93には、リール部位93a,93bが一体となって軸方向に並列に設けられる。リール部位93a,93bは一体となって回転するものであり、分離したものではない。操作プーリー93における各リール部位93a,93bに一対の操作コード7A,7Bの各一端が接続され、各他端はスクリーン5の前後から操作可能に垂下されて、それぞれ第1グリップ8A及び第2グリップ8Bが取着される。そして、ぜんまいばね92は、操作プーリー93に対して一対の操作コード7A,7Bを巻き付ける方向に常に付勢するようになっている。
【0033】
クラッチ部94(ワンウェイクラッチ)は、操作プーリー93の一方向の回転(一対の操作コード7A,7Bの巻き戻し方向)のみを巻取軸6に伝達するための部材であり、図3に示すように、主要な構成要素として、固定軸部材91に対して回転不能に固定される固定軸941と、操作プーリー93の中心軸93cと相対回転不能に嵌合する入力軸942と、入力軸942の一方向の回転のみを伝達して回転する出力軸943と、入力軸942の一方向の回転のみを出力軸943に伝達するクラッチ機能を作動させるクラッチスプリング944と、を備えるように構成される。
【0034】
クラッチ部94における固定軸941の一端には凸状部941aが設けられており、この凸状部941aが固定軸部材91における固定軸91bに穿設された軸受部91dの一部に形成された凹状部941dと嵌合するように(図6参照)、当該固定軸941の一端が固定軸部材91における軸受部91dに係合挿入されることで、クラッチ部94における固定軸941は固定軸部材91に対して回転不能に固定される。
【0035】
クラッチ部94における入力軸942には一対の突出片942aが設けられ、操作プーリー93の中心軸93cに形成される一対の凹部93dと係合し、これによりクラッチ部94における入力軸942は操作プーリー93の中心軸93cと相対回転不能に嵌合される。
【0036】
クラッチ部94における出力軸943は、入力軸942の一方向の回転のみを伝達して回転するよう構成され、クラッチスプリング944の作用で所謂ワンウェイクラッチとして機能するカム部(図示略)を有する。
【0037】
尚、クラッチ部94における出力軸943には、トルクリミッターとして作用する圧縮バネ961が設けられている(図3参照)。ただし、圧縮バネ961は必ずしも設けずともよい。
【0038】
ぜんまいばね92を収容した操作プーリー93は、プーリーケース95におけるケース部位95a内で回転可能に支持される。また、操作プーリー93の一方向の回転(一対の操作コード7A,7Bの巻き戻し方向)のみを巻取軸6に伝達するクラッチ部94はプーリーケース95における円筒状のケース部位95b内で支持される。ケース部位95bの端部にクラッチ部94における出力軸943の端部が位置するようになり、その出力軸943の端部は伝達部材96と相対回転不能に嵌合する。
【0039】
軸ホルダ97は巻取軸6の一端に固着され、プーリーケース95におけるケース部位95bに対し回転可能に軸支される。そして、伝達部材96が軸ホルダ97の内周壁97aと相対回転不能に嵌合する。即ち、クラッチ部94における出力軸943の一方向の回転は、伝達部材96及び軸ホルダ97を介して巻取軸6に伝達される。
【0040】
図6に示すように、プーリーケース95におけるケース部位95aには、一対の操作コード7A,7Bをそれぞれスクリーン5の前後から操作可能に垂下させるよう案内するコード案内部95c,95dが設けられている。尚、本実施形態では滑車を用いて一対の操作コード7A,7Bのそれぞれの垂下を案内するように構成していないが、コード案内部95c,95dの全口近傍にそれぞれ軸孔95e,95fが形成され、これら軸孔95e,95fに対応する位置で固定軸部材91にも軸孔91e,91fが形成されているため、各軸孔95eと軸孔91eで軸支される滑車(図示せず)、及び各軸孔95fと軸孔91fで軸支される滑車(図示せず)を設けて、一対の操作コード7A,7Bのそれぞれの移動をスムーズにするよう構成することもできる。尚、コード案内部95cの変形例として、図6の破線丸内に示すように、コード案内部95cは操作コード7Aの移動を滑らかにするスロープを有するものとしてもよい。
【0041】
そして、図6に示すように、ぜんまいばね92を収容した操作プーリー93が、プーリーケース95におけるケース部位95a内で回転可能に支持された状態では、ぜんまいばね92は、操作プーリー93に対して一対の操作コード7A,7Bを巻き付ける方向(図示A方向)に常に付勢するようになっている。そして、一対の操作コード7A,7Bのいずれを引き操作しても操作プーリー93は巻き戻す方向(図示B方向)に回転し、操作プーリー93が図示B方向に回転するときのみ、クラッチ部94の作用で、その操作プーリー93の回転が巻取軸6に伝達する。
【0042】
(全体動作)
図7(a)乃至(c)は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンにおける操作装置9の動作を示す側面断面図である。
【0043】
まず、図7(a)に示すように、第1グリップ8Aの引き操作で操作コード7Aを操作装置9から引き出すと、ぜんまいばね92の付勢力に抗して、図示する方向に操作プーリー93が回転し、操作コード7Bも操作プーリー93から巻き戻されて第2グリップ8Bも降下しながら、クラッチ部94の作用で操作プーリー93の回転が巻取軸6に伝達されて、スクリーン5が閉状態へ移行しウェイトバー12が降下する。
【0044】
続いて、図7(a)の状態から、図7(b)に示すように、第1グリップ8Aを手放すと、ぜんまいばね92の付勢力によって操作コード7Aが操作プーリー93に巻き上げられると同時に操作コード7Bも操作プーリー93に巻き上げられるが、クラッチ部94の作用で操作プーリー93の回転が巻取軸6に伝達されず、ストッパ部11によるロック動作でスプリングモーター10の作動も停止され、ウェイトバー12の位置は停止したままである。
【0045】
このため、操作者は、姿勢を変えることなく第1グリップ8Aに手が届く範囲で、図7(a),(b)に示す操作を繰り返すことで、ウェイトバー12を所望位置まで降下させることができるので、スクリーン5の閉操作が容易になる。
【0046】
そして、図7(b)の状態から、図7(c)に示すように、第1グリップ8Aを少し引いて手放すと(第2グリップ8Bも同様に動く。)、ストッパ部11によるロック動作が解除され、スプリングモーター10の作動が開始し、巻取軸6にスクリーン5が巻き上げられ、スクリーン5が開状態へ移行しウェイトバー12が上昇する。
【0047】
このため、操作者は、姿勢を変えることなく第1グリップ8Aに手が届く範囲で、ウェイトバー12を所望位置まで上昇させることができるので、スクリーン5の開操作が容易になる。
【0048】
そして、上記のように、第1グリップ8Aの操作で第2グリップ8Bも同様に動くことから、第2グリップ8Bの操作で第1グリップ8Aも同様に動くことになり、第2グリップ8Bの操作を行う場合も図7に示すものと同様となる。
【0049】
従って、本実施形態によれば、遮蔽材(本例では、スクリーン)を直接的に巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸6を有する遮蔽装置(本例では、ロールスクリーン)において、遮蔽材に対して室内外から操作できるようになり、且つ遮蔽材の開閉操作に係る操作性を向上させることができる。
【0050】
また、遮蔽材(本例では、スクリーン)を直接的に巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸6を有する遮蔽装置の代わりに、遮蔽材を開閉させるための昇降コードや牽引コード等の開閉コードを巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸を有する遮蔽装置において本発明に係る操作装置9を適用することで、遮蔽材に対して室内外から操作できるようになり、且つ遮蔽材の開閉操作に係る操作性を向上させることができる。通常、横型ブラインド等に設けられる、このような開閉コードを巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸には駆動軸が相対回転不能に挿通されており、この駆動軸に対し、上述した操作装置9におけるクラッチ94の出力軸943を相対回転不能に連結するように、上述した伝達部材96を変形適用すればよい。
【0051】
〔第2実施形態〕
(全体構成)
図8は、本発明による第2実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンの概略構成を示す正面図である。尚、図8において、第1実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
【0052】
図8に示す第2実施形態のロールスクリーンは、第1実施形態と同様に、取付ブラケット1を介して窓枠等の取付面に取着されるフレーム2の両端に支持部材3が取着され、その支持部材3に1本の巻取軸6が回転可能に支持されている。支持部材3には意匠性の観点からサイドカバー4が取着されている。
【0053】
また、第1実施形態と同様に、巻取軸6にはスクリーン5の上端部が取着され、巻取軸6により、スクリーン5を巻き取り、或いは巻き戻してスクリーン5を昇降可能としている。スクリーン5の下端部には錘部材として機能するウェイトバー12が設けられている。
【0054】
そして、図8に示す右方の支持部材3には、第1実施形態における操作装置9と同様に構成される第1の操作装置9Rが取着され(図10(b)参照)、その操作装置9Rからスクリーン5の前後から操作可能に垂下させる一対の操作コード7A,7Bが垂下されている。第1の操作装置9Rにおける一対の操作コード7A,7Bの下端にはそれぞれ第1グリップ8A及び第2グリップ8Bが取着されている。ただし、本実施形態では、第1の操作装置9Rにおける一対の操作コード7A,7Bの操作により、巻取軸6の回転を操作してスクリーン5を「降下」操作可能としている。
【0055】
一方、図8に示す左方の支持部材3には、第1実施形態における操作装置9と同一構造ではあるがスクリーン5を「上昇」操作可能とするようぜんまいばね92(付勢部材)及び操作プーリー93が対称的に作動するよう構成される第2の操作装置9Lが取着され(図10(a)参照)、その操作装置9Lからスクリーン5の前後から操作可能に垂下させる一対の操作コード7A,7Bが垂下されている。第2の操作装置9Lにおける一対の操作コード7A,7Bの下端にはそれぞれ第1グリップ8A及び第2グリップ8Bが取着されている。即ち、本実施形態では、第2の操作装置9Lにおける一対の操作コード7A,7Bの操作により、巻取軸6の回転を操作してスクリーン5を「上昇」操作可能としている。
【0056】
このように、第1の操作装置9Rにおける一対の操作コード7A,7Bはスクリーン5の閉操作用として構成され、第2の操作装置9Lにおける一対の操作コード7A,7Bはスクリーン5の開操作用として構成されている。
【0057】
このため、本実施形態の例では、巻取軸6内には第1実施形態におけるスプリングモーター10及びストッパ部11は設けられていない。
【0058】
より具体的には、第1の操作装置9Rは、図3乃至図6に示したように、操作プーリー(第1の操作プーリー)93と、この第1の操作プーリーに、それぞれ一端を接続し他端をスクリーン5の前後から操作可能に垂下させる一対の操作コード(第1の操作コード)7A,7Bと、第1の操作プーリーに対して当該一対の第1の操作コードを巻き付ける方向に常に付勢するぜんまいばね(第1の付勢部材)92と、第1の操作プーリーの一方向の回転(スクリーン5を下降させる方向)のみを巻取軸6に伝達するクラッチ部94(第1のクラッチ部)を有している。
【0059】
一方、第2の操作装置9Lは、構造として第1の操作装置9Rと同様であるため同一の参照番号を付して説明するが、第1の操作装置9Rとはぜんまいばね92(付勢部材)及び操作プーリー93が対称的に作動するよう構成され、操作プーリー(第2の操作プーリー)93と、この第2の操作プーリーに、それぞれ一端を接続し他端をスクリーン5の前後から操作可能に垂下させる一対の操作コード(第2の操作コード)7A,7Bと、第2の操作プーリーに対して当該一対の第2の操作コードを巻き付ける方向に常に付勢するぜんまいばね(第2の付勢部材)92と、上記の第1の操作プーリーの一方向の回転とは逆方向となる第2の操作プーリーの一方向の回転(スクリーン5を上昇させる方向)のみを巻取軸6に伝達するクラッチ部94(第2のクラッチ部)を有している。
【0060】
尚、第1実施形態とは異なり、圧縮バネ961は設けられておらず、第1の操作装置9R及び第2の操作装置9Lにおける各クラッチ部94の出力軸となる伝達部材96には、スクリーン5及びウェイトバー12による自重降下を防止するための制動力を巻取軸6の回転に付与するためのブレーキスプリング962が設けられている。図9は、本発明による第2実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンにおける第1の操作装置9R(第2の操作装置9Lもの同様)の概略構成を示す断面図である。ブレーキスプリング962は、固定軸941の左端側で巻き付けられて、伝達部材96に対し制動力が付与されるようになっている。尚、本実施形態では、図9に示すように、第1実施形態に係る図3に示す出力軸943を伝達部材96と一体の部品としているため、伝達部材96は軸ホルダ97に対して一体的に回転するように嵌合している。このため、巻取軸6は、ブレーキスプリング962によって制動力が付与される。尚、スクリーン5及びウェイトバー12による自重降下を防止するための制動力を付与する制動手段は本例に限定されず、種々のやり方がある。例えば、第1の操作装置9R内や第2の操作装置9L内に制動手段を設ける代わりに、第1の操作装置9R及び第2の操作装置9L間で各固定軸941を連結する別の固定軸を設け、その固定軸に対してブレーキスプリングを巻き付けて、直接的に、巻取軸6に対し制動力を付与してもよい。
【0061】
(装置動作)
図10(a),(b)は、それぞれ本発明による第2実施形態の遮蔽装置としての一例であるロールスクリーンにおける第2及び第1の操作装置9L,9Rの動作を示す側面断面図である。第2実施形態において、第1の操作装置9Rの動作は、上述した図10(b)に示すように、操作者は、姿勢を変えることなく第1グリップ8Aに手が届く範囲で、図10(b)に示す操作を繰り返すことで、ウェイトバー12を所望位置まで降下させることができるので、スクリーン5の閉操作が容易になる。
【0062】
一方、第2の操作装置9Lの動作は、図10(a)に示すように、操作者は、姿勢を変えることなく第1グリップ8Aに手が届く範囲で、図10(a)に示す操作を繰り返すことで、ウェイトバー12を所望位置まで上昇させることができるので、スクリーン5の開操作が容易になる。
【0063】
従って、本実施形態によれば、遮蔽材(本例では、スクリーン)を直接的に巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸6を有する遮蔽装置(本例では、ロールスクリーン)において、遮蔽材に対して室内外から操作できるようになり、且つ遮蔽材の開閉操作に係る操作性を向上させることができる。
【0064】
また、遮蔽材(本例では、スクリーン)を直接的に巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸6を有する遮蔽装置の代わりに、遮蔽材を開閉させるための昇降コードや牽引コード等の開閉コードを巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸を有する遮蔽装置において本発明に係る操作装置9L,9Rを適用することで、遮蔽材に対して室内外から操作できるようになり、且つ遮蔽材の開閉操作に係る操作性を向上させることができる。通常、横型ブラインド等に設けられる、このような開閉コードを巻き上げ又は巻き戻すための巻取軸には駆動軸が相対回転不能に挿通されており、この駆動軸に対し、上述した操作装置9,9L,9Rにおける各クラッチ94の出力軸と嵌合又は一体化される伝達部材96を相対回転不能に連結するように、上述した伝達部材96を変形適用すればよい。
【0065】
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した実施形態の例では、ロールスクリーンに適した形状の操作装置9,9L,9Rの例を説明したが、種々の遮蔽装置に適した形状の操作装置を構成することができる。例えば、遮蔽材を左右方向に開閉するための遮蔽装置の例として間仕切り装置、縦型ブラインド、或いはカーテンレール等があり、遮蔽材を上下方向に開閉するための遮蔽装置の例としてロールスクリーン、横型ブラインド、たくし上げカーテン、或いはプリーツスクリーン等があるが、いずれに対しても上述した各実施形態と同一の着想下で同様の構成要素を有する操作装置9,9L,9Rを構成して適用することができる。従って、本発明は、叙述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明によれば、従来技法よりも操作性が向上するので、操作コードを用いて遮蔽材の開閉を行う遮蔽装置の用途に有用である。
【符号の説明】
【0067】
1 取付ブラケット
2 フレーム
3 支持部材
5 スクリーン
6 巻取軸
7A,7B 操作コード
8A 第1グリップ
8B 第2グリップ
9 操作装置
9R 第1の操作装置
9L 第2の操作装置
10 スプリングモーター(付勢機構)
11 ストッパ部
12 ウェイトバー(錘部材)
91 固定軸部材
92 ぜんまいばね(付勢部材)
93 操作プーリー
94 クラッチ部(ワンウェイクラッチ)
95 プーリーケース
96 伝達部材
97 軸ホルダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10