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  • 特許-温度センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/08 20210101AFI20221221BHJP
   G01K 7/22 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G01K1/08 Z
G01K7/22 L
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018233385
(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公開番号】P2020094921
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 康一
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-258724(JP,A)
【文献】特開平11-183272(JP,A)
【文献】特開平7-248265(JP,A)
【文献】特開2004-354368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/08-1/12
G01K 7/22-7/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が閉じた筒状の金属ケース内に温度センサ素子を格納し、前記金属ケース内に、前記温度センサ素子の端子と信号線との電気的接続部分を有する温度センサであって、
前記金属ケース内に格納され、前記温度センサ素子が実装された平板状のリジット基板、を含み、
前記信号線の導体部は、前記リジット基板上の端子に固定されて、前記温度センサ素子の端子と電気的に接続されており、
前記リジット基板は、前記リジット基板の対向する両端部が前記金属ケースの内壁に接することにより、前記リジット基板の両面のそれぞれが前記金属ケースの内壁へ向かって移動することが阻止されるだけの、大きさを有しており、
前記リジット基板の一方の面に、前記温度センサ素子が実装されており、前記リジット基板の他方の面に、前記信号線の導体部が固定されており、
前記金属ケースの先端の内壁と、前記リジット基板との間には隙間が設けられており、
前記信号線は、前記リジット基板の一方の面から前記隙間を通って前記リジット基板の他方の面に折り返されて、前記リジット基板の他方の面にある端子に固定されている、
ことを特徴とする温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械の熱変位補正の用途等に使用される温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械を構成する金属は熱によって膨張(熱変位)し、工作機械による精密加工に影響を及ぼす。そのため、工作機械に1つ以上の温度センサを取り付け、温度センサの検出温度に基づいて、工具の移動位置などを補正している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、工作機械の熱変位補正の用途等に使用される、従来の温度センサの内部構造を示す図である。図3において、温度センサ素子1は、サーミスターや温度センサIC等である。温度センサ素子1のリード端子13,14のそれぞれは、多芯ケーブル2の信号線23,24に、半田付けにより接続されている。また、半田付け箇所を含む温度センサ素子1のリード端子13,14には、絶縁性の熱収縮チューブ45,46を被せて導体部が保護されている。温度センサ素子1、熱収縮チューブ45,46を被ったリード端子13,14、信号線23,24、および多芯ケーブル2の外皮の一部は、先端が半球状に閉じた円筒状の金属ケース3内に配置されている。
【0004】
このように、絶縁性の熱収縮チューブ45,46によりリード端子13,14のそれぞれを保護することで、金属ケース3内において、隣接するリード端子13,14同士の接触や、半田付け箇所と金属ケース3との接触を防止している(絶縁性を確保している)。
【0005】
金属ケース3内に配置される多芯ケーブル2の外皮の一部は、接着剤7で金属ケース3の内壁に接着固定されている。また、金属ケース3と温度センサ素子1との間には比較的熱伝導性のよい樹脂6を充填して、温度センサ素子1を金属ケース3に固定すると共に、金属ケース3の熱が温度センサ素子1へ伝導し易くしている。そのほか、樹脂6の充填は、温度センサ素子1や半田付け部等への湿気の侵入を防止する働きもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017‐170532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図3に示すような温度センサでは、リード端子を覆うための熱収縮チューブを、信号線側へずらして半田付けを行う必要があるため、少なくとも熱収縮チューブの長さ以上の、多芯ケーブルの外皮で覆われない信号線部分を用意する必要がある。そのため、金属ケースの延伸方向において、温度センサ素子が占める割合に比べて、リード端子や信号線が占める割合の方がかなり大きくなる。したがって、金属ケースの延伸方向の長さが、温度センサ素子の長さの何倍も長くなる傾向にある。
【0008】
金属ケースを短くする方法として、多芯ケーブルの外皮に覆われない信号線部分を折り曲げて、金属ケース内に押し込む方法もある。しかし、この方法では、温度センサ素子のリード端子に余計な外力が加わるため、断線等の不具合が生じる虞がある。
【0009】
金属ケースは、熱伝導性が良く、温度センサの温度検出性能を向上できる上に、外力による変形も小さい。そのため、温度センサを機械であけた穴等に挿入するときに発生する外力から、温度センサ素子を十分に保護することができる。一方で、金属ケースは固いため、挿入穴が途中で曲がっているような場合には、金属ケースが長すぎると、穴の奥までそれを挿入できなくなる問題がある。また、浅い挿入穴に対しては、金属ケースの一部が穴から飛び出し、可動する部材等と干渉する問題や、外見上の美観を損なう問題もある。そのため、金属ケースの延伸方向の長さを短くすることが望まれている。また、それを実現するに際し、当然に、金属ケース内にある、温度センサ素子の端子と信号線との電気的接続部分などの絶縁性が担保される必要がある。
【0010】
本発明の目的は、先端が閉じた筒状の金属ケース内に温度センサ素子を格納し、金属ケース内に、温度センサ素子の端子と信号線との電気的接続部分を有する温度センサにおいて、電気的接続部分の絶縁性を担保しつつ、金属ケースの延伸方向の長さを短くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の温度センサは、先端が閉じた筒状の金属ケース内に温度センサ素子を格納し、前記金属ケース内に、前記温度センサ素子の端子と信号線との電気的接続部分を有する温度センサであって、前記金属ケース内に格納され、前記温度センサ素子が実装された平板状のリジット基板、を含み、前記信号線の導体部は、前記リジット基板上の端子に固定されて、前記温度センサ素子の端子と電気的に接続されており、前記リジット基板は、前記リジット基板の対向する両端部が前記金属ケースの内壁に接することにより、前記リジット基板の両面のそれぞれが前記金属ケースの内壁へ向かって移動することが阻止されるだけの、大きさを有しており、前記リジット基板の一方の面に、前記温度センサ素子が実装されており、前記リジット基板の他方の面に、前記信号線の導体部が固定されている、ことを特徴とする。
【0012】
この温度センサによれば、温度センサ素子の端子、および、信号線の導体部が、固いリジット基板上に固定される。そのため、温度センサ素子の端子と、信号線の導体部との電気的接続部分が複数ある場合において、それらの間の絶縁性が十分に確保される。また、リジット基板は、変形しにくい上、リジット基板の対向する両端部が金属ケースの内壁に接することにより、リジット基板の両面のそれぞれが金属ケースの内壁へ向かって移動することが阻止されるだけの、大きさを有する。そのため、リジット基板上に固定された温度センサ素子の端子、信号線の導体部、および、それらの電気的接続部分は、金属ケースの内壁に対して一定の距離だけ離れており、金属ケースと接触することが確実に防がれている(絶縁性が確保されている)。これらのことから、絶縁性を確保するための熱収縮チューブ等が不要となり、その分だけ金属ケースの延伸方向の長さを短くすることが可能である。また、リジット基板の一方の面に温度センサ素子が実装されており、リジット基板の他方の面に信号線の導体部が固定されているため、リジット基板の面積を小さくすることができ、その分だけ金属ケースの延伸方向の長さを短くすることが可能である。
【0013】
また、本発明の温度センサにおいて、前記金属ケースの先端の内壁と、前記リジット基板との間には隙間が設けられており、前記信号線は、前記リジット基板の一方の面から前記隙間を通って前記リジット基板の他方の面に折り返されて、前記リジット基板の他方の面にある端子に固定されている、としてもよい。
【0014】
この温度センサによれば、金属ケースの中へリジット基板を挿入する前の工程において、信号線を十分に長くした状態で、信号線の導体部をリジット基板に固定することができるため、作業性がよくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、先端が閉じた筒状の金属ケース内に温度センサ素子を格納し、金属ケース内に、温度センサ素子の端子と信号線との電気的接続部分を有する温度センサにおいて、電気的接続部分の絶縁性を担保しつつ、金属ケースの延伸方向の長さを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態の温度センサの内部構造を示す正面図(a)、正面図(a)のA-A断面図(b)、および背面図(c)である。
図2】本発明の別の実施形態の温度センサの内部構造を示す図である。
図3】従来技術の温度センサの内部構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。以下で述べる形状、材質等は、説明のための例示であって、温度センサの仕様等に合わせて適宜変更が可能である。
【0018】
図1(a)は、本発明の実施形態の温度センサの内部構造を示す正面図であり、図1(b)は、図1(a)のA-A断面図であり、図1(c)は、本発明の実施形態の温度センサの内部構造を示す背面図である。なお、図1(c)には、図1(a)に示す温度センサを、金属ケース31の延伸方向(図1(a)の左右方向)を軸として180度回転させた状態の温度センサが示されている。
【0019】
本実施形態の温度センサは、工作機械の熱変位補正の用途等に使用される温度センサである。図1に示すように、温度センサは、先端が半球状に閉塞し、後端が開口した円筒状の金属ケース31と、平板状のリジット基板4と、リジット基板4の一方の面に表面実装された(半田付けされた)温度センサ素子11と、複数の信号線25,26の束を外皮で覆って構成された多芯ケーブル21と、を含む。金属ケース31は、ステンレス製である。多芯ケーブル21の先端の外皮は剥がされて、2つの信号線25,26の一部が露出している。
【0020】
温度センサ素子11は、2つの信号線で外部と通信可能なシリアル通信タイプの温度センサICである。温度センサ素子11は、8ピンの表面実装型のパッケージを有し、そのうちの信号用の2ピンが、リジット基板4を介して信号線25,26と電気的に接続されている。
【0021】
リジット基板4は、長方形であり、両面に導体パターンが形成されている。リジット基板4の一方の面には、温度センサ素子11の端子が半田付けされる端子が形成されており、他方の面(図1(c)参照)には、信号線25,26の導体部が半田付けされる端子15,16が形成されている。端子15,16のそれぞれは、リジット基板4の板厚方向に延びる基板内部に形成された配線(不図示)により、一方の面にある、温度センサ素子11の信号用の2ピンが半田付けされた端子に電気的に繋がっている。
【0022】
2つの信号線25,26の先端部は、被覆が剥がされて、内部の導体が露出した導体部を構成している。
【0023】
ここで、温度センサの組み立て工程を順に説明しながら、さらに詳しく温度センサの構造について説明する。組み立て工程において、まず、温度センサ素子11の各端子が、リジット基板4の一方の面にある各端子に半田付けされる。これは、一般的に、複数のリジット基板4が繋がった状態(大きなサイズの1枚のリジット基板に面付けされた状態)で行われる。なお、この場合、各リジット基板4の間にはV字状の溝等が形成されて、後の工程において、そこを起点に個別のリジット基板4に分離できるように構成される。
【0024】
次に、2つの信号線25,26の導体部のそれぞれが、リジット基板4の他方の面にある端子15,16に半田付けされる。これは、大きなサイズの1枚のリジット基板に面付けされた状態で行われ、しっかりと基板が固定された状態で行われる。そのため、個別の小さなリジット基板4に分離した状態で半田付けする場合に比べて、作業性が非常によい。しかも、信号線25,26を折り曲げる(後述)前の長い状態で半田付けされるため、その点においても作業性がよい。この工程を経ることで、温度センサ素子11の信号用の2ピンが、リジット基板4を介して信号線25,26と電気的に接続される。
【0025】
次に、大きなサイズの1枚のリジット基板から、個別のリジット基板4に分離される。
【0026】
そして、信号線25,26が、リジット基板4の他方の面から、リジット基板4の先端側の脇を通って、リジット基板4の一方の面に折り返される(折り曲げられる)。そして、この状態で、リジット基板4が、金属ケース31の後端の開口から挿入される。
【0027】
ここで、図1に示すように、リジット基板4の上下方向の大きさは、金属ケース31の内径よりもわずかに小さい。それにより、リジット基板4を金属ケース31に挿入した後、リジット基板4は、重力により、金属ケース31の中で若干傾くかもしれない。しかし、リジット基板4の対向する上下の両辺(両端部)が金属ケース31の内壁に接することにより、リジット基板4は、金属ケース31の輪切り断面視(図1(b))において、金属ケース31内の中央付近に拘束される。そのため、リジット基板4上に半田付けされた各端子と、金属ケース31の内壁との間に一定以上のギャップを確保できる。すなわち、リジット基板4を金属ケース31へ挿入した後に、半田付け部が金属ケース31に接触する心配がない。このように、リジット基板4は、リジット基板4の対向する上下の両辺(両端部)が金属ケース31の内壁に接することにより、リジット基板4の両面のそれぞれが金属ケース31の内壁へ向かって移動することが阻止されるだけの、上下方向の大きさを有している。
【0028】
なお、このような構造であるため、リジット基板4を金属ケース31へ挿入する時にも、半田付け部が金属ケース31に接触する心配がない。
【0029】
組み立て工程の説明を続ける。リジット基板4を金属ケース31内に挿入した後、金属ケース31内に熱伝導性のよい樹脂6を充填して、リジット基板4を金属ケース31内に固定する。そして、金属ケース31の後端側に配置される多芯ケーブル21の外皮の一部を、接着剤7により金属ケース31の内壁に接着固定する。以上の工程を経ることにより、温度センサが組み立てられる。
【0030】
次に、本実施形態の温度センサの作用効果について説明する。
【0031】
本実施形態の温度センサによれば、温度センサ素子11の端子、および、信号線25,26の導体部が、固いリジット基板4上に固定される。そのため、温度センサ素子11の各端子、信号線25,26の導体部、および、それらの電気的接続部分のそれぞれの間の絶縁性が十分に確保される。また、リジット基板4は、リジット基板4の対向する上下の両端部が金属ケース31の内壁に接することにより、リジット基板4の両面のそれぞれが金属ケース31の内壁へ向かって移動することが阻止されるだけの、大きさを有する。そのため、リジット基板4上に固定された温度センサ素子11の端子、信号線25,26の導体部、および、それらの電気的接続部分は、金属ケース31の内壁に対して一定の距離だけ離れており、金属ケース31に対して絶縁性が確保される。これらのことから、絶縁性を確保するための熱収縮チューブ等が不要となり、その分だけ金属ケース31の延伸方向の長さを短くすることができる。
【0032】
また、本実施形態の温度センサによれば、リジット基板4の一方の面に温度センサ素子11が実装されており、リジット基板4の他方の面に信号線25,26の導体部が固定されている。リジット基板4において、金属ケース31の延伸方向のほぼ同じ領域の両面に、温度センサ素子11と、信号線25,26の導体部のそれぞれが固定されている。よって、リジット基板4の同じ面に、それらが金属ケース31の延伸方向に離れて固定される場合に比べて、リジット基板4の延伸方向の長さを短くできる。よって、その分だけ金属ケース31の延伸方向の長さを短くすることができる。
【0033】
なお、本実施形態のように、信号線25,26の導体部が半田付けされる端子15,16を、温度センサ素子11が実装される面とは異なる面に形成することにより、端子15,16のサイズを大きくすることができる。そして、信号線25,26の被覆のむき代を大きくして(導体部を長くして)、信号線25,26を端子15,16に半田付けすることができる。信号線25,26の被覆のむき代を大きくできるので、むき代の長さに制約のある自動機(信号線の被覆を自動で剥く装置)でも、信号線25,26の被覆むきが可能となり、温度センサの製造が容易になる。
【0034】
また、本実施形態の温度センサは、図1(a),(c)に示すように、金属ケース31の先端の内壁と、リジット基板4との間には隙間が設けられており、信号線25,26が、リジット基板4の一方の面からその隙間を通ってリジット基板4の他方の面に折り返されて、リジット基板4の他方の面にある端子15,16に固定されている。よって、前述したように、金属ケース31の中へリジット基板4を挿入する前の工程において、信号線25,26を十分に長くした状態で、信号線25,26の導体部をリジット基板4に固定(半田付け)することができるため、作業性がよくなる。また、多芯ケーブル21の外皮のむき代を長くできるため、むき代の長さに制約のある自動機でも、多芯ケーブル21の外皮をむくことが可能となり、温度センサの製造が容易になる。
【0035】
なお、本実施形態の温度センサは、金属ケース31の先端の内壁と、リジット基板4との間に隙間が設けられているが、この隙間は、デットスペースである。すなわち、金属ケース31の先端は半球状であるため、長方形のリジット基板4を金属ケース31内の先端側の壁に当たるまで挿入したときに、金属ケース31の先端の内壁とリジット基板4との間には自然な隙間(デットスペース)ができる。この隙間に、信号線25,26を通しているので、本実施形態のように信号線25,26を折り返す構造を採用しても、金属ケース31の延伸方向の長さが長くなってしまうことがない。なお、信号線25,26を折り返す構造を採用しなくてもよく、多芯ケーブル21からの信号線25,26を、直接、リジット基板4の裏面(他方の面)に向かわせて、リジット基板4の端子15,16に固定するようにしてもよい。
【0036】
次に、別の実施形態の温度センサについて説明する。図2は、別の実施形態の温度センサの内部構造を示す図である。上記した実施形態との違いは、温度センサ素子12が、温度センサICではなく、サーミスター素子である点である。その他は、上記した実施形態と同じ構造である。
【0037】
温度センサ素子12は、表面実装用の角型チップ状のサーミスター素子であり、2つの端子を有する。温度センサ素子12の2つの端子のそれぞれが、リジット基板5に形成された2つの端子17,18に半田付けされている。それにより、温度センサ素子12の2つの端子のそれぞれが、リジット基板5を介して信号線28,27と電気的に接続されている。
【0038】
角型チップ状のサーミスターは、リード線タイプの温度センサ素子よりも小型のものが多く、リジット基板5への実装面積を小さくできる。実装面積が小さくて済むので、リジット基板5のサイズを小さくでき、その分、金属ケース32の延伸方向の長さを短くすることができる。
【0039】
次に、変形例について説明する。以上説明した各実施形態の温度センサは、金属ケース内に樹脂を充填したものであった。しかし、樹脂の充填を行わなくとも、金属ケース内へリジット基板を挿入する前に、リジット基板を、コーティング剤に浸漬させる等して、導体部分を湿気などから保護することも可能である。この点においては、従来の温度センサでも熱収縮チューブを使用せずにコーティングにより、導体部分を保護することが可能である。しかし、従来の温度センサ素子では、金属ケースへの挿入時に、導体部分付近のコーティングが金属ケースの内壁等に接触し、コーティングが剥がれてしまう虞があった。それに対して、以上説明した各実施形態にコーティングを採用した場合には、リジット基板の導体部分付近のコーティングが金属ケースの内壁等に接触する心配がない。また、コーティングにより、金属ケースの内径よりもわずかにリジット基板が大きくなるようにすれば、リジット基板を挿入する時に、リジット基板のコーナー部分のコーティングが変形する等して、リジット基板を金属ケースに固定することも可能であり、リジット基板の固定作業も不要にできる。また、これにより、絶縁性や固定能力は期待できないが、熱伝導性には優れた充填剤等を使用することも可能となる。
【0040】
また、以上説明した各実施形態の温度センサは、金属ケースが円筒状であった。しかし、金属ケースは角筒状であってもよい。また、金属ケースの先端は、半球状であるものに限定されず、例えば、平坦な形状を有していてもよい。
【0041】
なお、以上の説明において、リジット基板は、リジット基板の対向する両端部が金属ケースの内壁に接することにより、リジット基板の両面のそれぞれが金属ケースの内壁へ向かって移動することが阻止されるだけの、大きさを有するとした。ここで、「リジット基板の対向する両端部が金属ケースの内壁に接する」とは、直接、接することだけを意味するのではなく、他の部材等を介して間接的に接することも含まれる。
【符号の説明】
【0042】
1,11,12 温度センサ素子、2,21,22 多芯ケーブル、3,31,32 金属ケース、4,5 リジット基板、6 樹脂、7 接着剤、13,14 リード端子、15,16,17,18 端子、23,24,25,26,27,28 信号線、45,46 熱収縮チューブ。
図1
図2
図3