(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20221221BHJP
B41J 3/42 20060101ALI20221221BHJP
B41J 21/00 20060101ALI20221221BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B41J29/38 202
B41J3/42
B41J21/00
G06F3/12 304
G06F3/12 344
G06F3/12 350
G06F3/12 381
G06F3/12 382
(21)【出願番号】P 2019013715
(22)【出願日】2019-01-30
【審査請求日】2021-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】小川 秀明
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-036138(JP,A)
【文献】特開2012-048059(JP,A)
【文献】特開2010-020578(JP,A)
【文献】特開平08-262814(JP,A)
【文献】特開2004-012982(JP,A)
【文献】特開2014-115382(JP,A)
【文献】特開2017-007259(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0174802(US,A1)
【文献】特開2012-226433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 3/42
B41J 21/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1印刷データに基づき媒体に印刷を行う第1印刷部と、
前記第1印刷部よりも前記媒体の搬送方向における下流側に配置され、前記媒体の表裏の反転動作を行う第1反転部と、
前記第1反転部よりも前記搬送方向における下流側に配置され、第2印刷データに基づき前記媒体に印刷を行う第2印刷部と、
前記媒体の表裏における前記第2印刷データの印刷ページの有無に基づき、前記第1反転部の前記反転動作の有無を決定する制御部と
を備え
、
前記第2印刷部は、前記第2印刷データに基づき前記媒体の表面及び裏面のうちの一方である片面に印刷を行い、
前記制御部は、前記第2印刷データの前記片面の印刷ページが前記媒体の表裏どちらを表すかに基づき、前記第1反転部の反転動作の有無を決定し、
前記第1印刷データ及び前記第2印刷データは、印刷制御装置によって生成され、
前記第1印刷データが両面印刷用である場合、前記第2印刷データは、非印刷ページに空白ページが挿入されることで前記第1印刷データのページ数に一致するページ数を有するように、前記印刷制御装置によって生成される
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記媒体の表裏における前記第2印刷データの印刷ページの有無、及び前記第1印刷データが両面印刷用であるか又は片面印刷用であるかに基づき、前記第1反転部の反転動作の有無を決定する
ことを特徴とする請求項
1記載の印刷システム。
【請求項3】
前記第2印刷部よりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記媒体の表裏の反転動作を行う第2反転部を更に備え、
前記制御部は、前記媒体の表裏における前記第2印刷データの印刷ページの有無に基づき、前記第2反転部の反転動作の有無を決定する
ことを特徴とする請求項1
又は2記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷部を備える印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙の搬送方向に直列に配置された複数の印刷装置を備える印刷システムが知られている。このような印刷システムとして、第1印刷装置と第2印刷装置との間に配置された反転装置が、用紙の表裏の反転動作を行う印刷システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搬送方向における上流側の第1印刷装置がCMYKやグレー色等の基本色のインクを用いて両面印刷を行った用紙(媒体)に対して、下流側の第2印刷装置がMICR(Magnetic ink character recognition:磁気インク文字認識)インク等の磁性体インクや特色インクを用いて片面印刷を行う態様が考えられる。このような印刷を行う場合には、パーソナルコンピュータなどの印刷制御装置(RIP(Raster image processor)コントローラ)からジョブ設定、画像データなどが第1印刷装置及び第2印刷装置に個別に通知される。
【0005】
しかしながら、上述のように第1印刷装置と第2印刷装置との間に配置された反転装置は、第1印刷装置及び第2印刷装置に個別に通知されたジョブ設定からは、用紙の表裏を反転させるべきかを判断することができない。
【0006】
反転装置の反転動作に関して、印刷ジョブ内の1セット当たりのページ数を固定した印刷フォームを用いることで、印刷ジョブ単位で反転装置の反転動作の有無を統一する方法が考えられる。しかし、この場合、請求書など1セット内のページ数が可変のジョブを印刷したい場合、ユーザはページ数に応じてジョブデータをまとめなおす作業が生じ、印刷準備の時間を数時間単位で増大させてしまう。
【0007】
また、印刷制御装置によって反転動作の有無を判断する態様も考えられる。しかしながら、ページを上流の第1印刷装置と下流の第2印刷装置とに割り当てる処理に並行して、反転動作の有無を、搬送機構を理解したうえでページ毎に判断する必要があり、本来の処理ではない印刷装置のメカニカルな制御を印刷制御装置に搭載すると、制御が複雑化することで不具合を誘発し、開発コストを増大させてしまう。
【0008】
本発明の目的は、複数の印刷部間に配置された反転部の反転動作の有無を、ユーザの負担を生じさせずに且つ簡単な制御で決定することができる印刷システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、印刷システムは、第1印刷データに基づき媒体に印刷を行う第1印刷部と、前記第1印刷部よりも前記媒体の搬送方向における下流側に配置され、前記媒体の表裏の反転動作を行う第1反転部と、前記第1反転部よりも前記搬送方向における下流側に配置され、第2印刷データに基づき前記媒体に印刷を行う第2印刷部と、前記媒体の表裏における前記第2印刷データの印刷ページの有無に基づき、前記第1反転部の前記反転動作の有無を決定する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
前記態様によれば、複数の印刷部間に配置された反転部の反転動作の有無を、ユーザの負担を生じさせずに且つ簡単な制御で決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施の形態に係る印刷システムを示す構成図である。
【
図2】一実施の形態に係る印刷システムの主要な制御構成を示す図である。
【
図3】一実施の形態における排出方式がフェイスダウンの場合の第1印刷装置及び第2印刷装置が受信する画像データを示す説明図である。
【
図4】一実施の形態における排出方式がフェイスダウンの場合の排紙状態を示す説明図である。
【
図5】一実施の形態における排出方式がフェイスダウンの場合の第1印刷装置の判断条件を示す表である。
【
図6】一実施の形態における排出方式がフェイスダウンの場合の第2印刷装置の判断条件を示す表である。
【
図7】一実施の形態における排出方式がフェイスアップの場合の第1印刷装置及び第2印刷装置が受信する画像データを示す説明図である。
【
図8】一実施の形態における排出方式がフェイスアップの場合の排紙状態を示す説明図である。
【
図9】一実施の形態における排出方式がフェイスアップの場合の第1印刷装置の判断条件を示す表である。
【
図10】一実施の形態における排出方式がフェイスアップの場合の第2印刷装置の判断条件を示す表である。
【
図11】一実施の形態の変形例における排出方式がフェイスダウンの場合の第1印刷装置及び第2印刷装置が受信する画像データを示す説明図である。
【
図12】一実施の形態の変形例における排出方式がフェイスダウンの場合の排紙状態を示す説明図である。
【
図13】一実施の形態の変形例における排出方式がフェイスダウンの場合の第1印刷装置の判断条件を示す表である。
【
図14】一実施の形態の変形例における排出方式がフェイスダウンの場合の第2印刷装置の判断条件を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る印刷システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、一実施の形態に係る印刷システム1を示す構成図である。
【0014】
図2は、印刷システム1の主要な制御構成を示す図である。
【0015】
図1及び
図2に示すように、印刷システム1は、給紙装置10と、第1印刷装置20と、第1反転装置30と、第2印刷装置40と、第2反転装置50と、排紙装置60とを備える。
【0016】
印刷システム1は、RIPコントローラとして機能するパーソナルコンピュータ(ユーザ端末)などの印刷制御装置100から、第1印刷装置20用の第1印刷データ及び第2印刷装置40用の第2印刷データを受信する。第1印刷データ及び第2印刷データは、例えば、画像データと、印刷モード(ジョブ設定)とを含む。なお、印刷システム1と印刷制御装置100とを備えるシステムを印刷制御システムとする。
【0017】
給紙装置10、第1印刷装置20、第1反転装置30、第2印刷装置40、第2反転装置50、及び排紙装置60は、媒体の一例である用紙Sの搬送経路に直列に配置されている。なお、給紙装置10、第1印刷装置20、第1反転装置30、第2印刷装置40、第2反転装置50、及び排紙装置60うちの少なくとも2つが共通の筐体内に一体に配置されていてもよい。
【0018】
図1には、用紙Sの直進搬送経路R1,R4-1,R5,R6-1及び排出経路R7を実線で、循環搬送経路R2を2点鎖線で、反転搬送経路R3,R4-2,R6-2を破線で示す。
【0019】
図1に示す給紙装置10は、媒体供給装置の一例である。給紙装置10は、印刷前の用紙Sが積載される給紙台11を有する。図示はしないが、給紙装置10には、給紙台11に積載された複数枚の用紙Sのうち最上位に位置する用紙Sを繰り出して搬送する給紙ローラや、この給紙ローラを駆動するモータ等の供給駆動手段(アクチュエータ)が配置されている。
【0020】
図1に示すように、第1印刷装置20は、複数の搬送ローラ対21と、第1印刷部22と、吸着搬送部23と、搬送経路切り替え部24,25と、スイッチバックローラ対26と、排紙台27とを有する。また、
図2に示すように、第1印刷装置20は、制御部28と、記憶部29aと、インターフェース部29bとを更に有する。
【0021】
搬送ローラ対21は、第1印刷装置20内に複数対配置され、用紙Sをニップしながら搬送する。
【0022】
第1印刷部22は、印刷制御装置100から受信する第1印刷データに基づき用紙Sに両面印刷を行う。第1印刷部22は、CMYKやグレー色等の基本色のインクを用いて用紙Sに印刷を行う。例えば、第1印刷部22は、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、第1印刷部22の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。
【0023】
吸着搬送部23は、第1印刷部22に対向するように配置されている。吸着搬送部23は、用紙Sを吸着しながらベルトによって用紙Sを搬送する。吸着搬送部23は、用紙Sを搬送する搬送手段の一例である。
【0024】
一方の搬送経路切り替え部24は、第1印刷部22によって片面印刷が行われた用紙Sの搬送経路を、第1反転装置30へ続く直進搬送経路R1と、排紙台27や反転搬送経路R3へ続く循環搬送経路R2とに切り替える。本実施の形態では、第1印刷部22が両面印刷を行うため、搬送経路切り替え部24は、用紙Sの片面印刷が終了した後には用紙Sの搬送経路を循環搬送経路R2に切り替え、用紙Sの両面印刷が終了した後には用紙Sの搬送経路を直進搬送経路R1に切り替える。
【0025】
他方の搬送経路切り替え部25は、用紙Sの循環搬送経路R2を、排紙台27へ続く搬送経路と、スイッチバックローラ対26によって用紙Sの表裏を反転させる反転搬送経路R3へ続く搬送経路とに切り替える。本実施の形態では、第1印刷部22が両面印刷を行うため、搬送経路切り替え部25は、用紙Sの循環搬送経路R2を、反転搬送経路R3へ続く搬送経路に切り替える。そして、反転搬送経路R3において表裏が反転した用紙Sは、再び第1印刷部22へ搬送される。
【0026】
排紙台27には、排紙装置60へ排出されない用紙Sが積載される。
【0027】
図2に示す制御部28は、演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit)を有し、第1印刷装置20の各部の動作を制御するとともに、第1反転装置30の第1反転部32の反転動作の有無を決定し、第1反転部32の反転動作を制御する。なお、第1反転部32の反転動作の有無の決定は、第1反転装置30自体が有する制御部などの印刷システム1の他の制御部によって行われてもよい。
【0028】
印刷システム1は、第1印刷装置20の制御部28、後述する第2印刷装置40の制御部44、後述する排紙装置60の制御部64などを有するが、これらをまとめて又はそれぞれを印刷システム1の制御部と呼ぶことができる。なお、第1印刷装置20の制御部28、第2印刷装置40の制御部44、及び排紙装置60の制御部64などのうちの少なくとも2つの制御部の処理を行う制御部を備えてもよい。
【0029】
記憶部29aは、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)などである。
【0030】
インターフェース部29bは、印刷制御装置100や、印刷システム1の各部などとの間で各種情報の授受を行う。
【0031】
図1に示すように、第1反転装置30は、複数の搬送ローラ対31と、第1反転部32とを有する。
【0032】
搬送ローラ対31は、第1印刷装置20から排出された用紙Sをニップしながら搬送する。
【0033】
第1反転装置30の図示しない搬送経路切り替え機構は、第1印刷装置20から排出された用紙Sをそのまま第2印刷装置40に搬送する直進搬送経路R4-1と、用紙Sの表裏を反転させる反転搬送経路R4-2とに搬送経路を切り替える。この反転搬送経路R4-2には、スイッチバックローラ対と、このスイッチバックローラ対を駆動する反転駆動手段(アクチュエータ)とを有する第1反転部32が配置されている。なお、第1反転装置30は、第1印刷装置20よりも用紙Sの搬送方向における下流側に配置されているため、第1反転部32は、第1印刷部22よりも搬送方向における下流側に配置されているといえる。
【0034】
図1に示すように、第2印刷装置40は、複数の搬送ローラ対41と、第2印刷部42と、吸着搬送部43とを有する。また、
図2に示すように、第2印刷装置40は、制御部44と、記憶部45と、インターフェース部46とを更に有する。
【0035】
搬送ローラ対41は、第2印刷装置40内に複数対配置され、用紙Sをニップしながら搬送する。
【0036】
第2印刷部42は、印刷制御装置100から受信する第2印刷データに基づき用紙Sに片面印刷を行う。第2印刷部42は、MICRインク等の磁性体インクを用いて用紙Sに印刷を行う。第2印刷部42は、透明色インクなどの基本色以外の色の特色インクや、UVインクなどを用いて用紙Sに印刷を行ってもよい。第2印刷部42で用いられる磁性体インク等のインクは、第1印刷部22で用いられるインク(CMYK等の基本色のインク)とは種類が異なるインクの一例である。なお、第2印刷部42が印刷で用いるインクが磁性体インクである場合には、成分の沈降を抑制するために、インクを攪拌する機構が配置されるとよい。
【0037】
第2印刷部42は、ラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、第2印刷部42の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。第2印刷装置40は、第1反転装置30よりも用紙Sの搬送方向における下流側に配置されているため、第2印刷部42は、第1反転部32よりも搬送方向における下流側に配置されているといえる。
【0038】
吸着搬送部43は、第2印刷部42に対向するように配置されている。吸着搬送部43は、用紙Sを吸着しながらベルトによって用紙Sを搬送する。吸着搬送部43は、用紙Sを搬送する搬送手段の一例である。
【0039】
なお、第2印刷装置40も、第1印刷装置20と同様に、搬送経路切り替え部24,25、スイッチバックローラ対26、排紙台27等を有し、用紙Sに両面印刷を行うことが可能であってもよいが、本実施の形態では、第2印刷部42が片面印刷用の第2印刷データに基づき用紙Sに印刷を行う場合に、この第2印刷データに基づいて第1反転部32の反転動作の有無を決定する制御について説明する。
【0040】
図2に示す制御部44は、演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU)を有し、第2印刷装置40の各部の動作を制御するとともに、第2反転装置50の反転動作の有無を決定し、この反転動作を制御する。
【0041】
記憶部45は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAMなどである。
【0042】
インターフェース部46は、印刷制御装置100や、印刷システム1の各部などとの間で各種情報の授受を行う。
【0043】
図1に示すように、第2反転装置50は、複数の搬送ローラ対51と、第2反転部52とを有する。
【0044】
搬送ローラ対51は、第2印刷装置40から排出された用紙Sをニップしながら搬送する。
【0045】
第2反転装置50の図示しない搬送経路切り替え機構は、第2印刷装置40から排出された用紙Sをそのまま排紙装置60に搬送する直進搬送経路R6-1と、用紙Sの表裏を反転させる反転搬送経路R6-2とに搬送経路を切り替える。この反転搬送経路R6-2には、スイッチバックローラ対と、このスイッチバックローラ対を駆動する反転駆動手段(アクチュエータ)とを有する第2反転部52が配置されている。
【0046】
なお、第2反転装置50は、第2印刷装置40よりも用紙Sの搬送方向における下流側に配置されているため、第2反転部52は、第2印刷部42よりも搬送方向における下流側に配置されているといえる。
【0047】
排紙装置60は、排紙台61と、上面検知センサ62と、
図2に示す排紙台昇降駆動部63とを有する。排紙装置60は、印刷が行われた用紙Sが排出される媒体排出装置の一例である。
【0048】
排紙台61には、第2反転装置50から排出される用紙S、すなわち印刷が行われた用紙Sが順次積載される。排紙台61は、排紙台昇降駆動部63の駆動によって昇降する。なお、排紙台61は、用紙Sが積載されるベルトコンベアやローラコンベアなど、すなわち、搬送手段を有する排紙台であってもよい。
【0049】
上面検知センサ62は、排紙台61における積載面の高さ、すなわち、最上位の用紙Sの高さ(用紙Sが積載されていない状態では排紙台61の上面の高さ)を検知するためのセンサである。上面検知センサ62は、例えば、所望の積載面となる高さに水平に光(
図1に点線で図示)を照射する発光部と、この光を受光する受光部とを有する。後述する制御部64は、上面検知センサ62の発光部によって照射された光が用紙Sによって遮られて上面検知センサ62の受光部が受光しない場合に、排紙台61を例えば用紙S数枚分の高さだけ下降させるように排紙台昇降駆動部63を制御する。
【0050】
図2に示す排紙台昇降駆動部63は、排紙台61を昇降させる。排紙台昇降駆動部63は、例えばモータ等のアクチュエータである。
【0051】
制御部64は、演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU)を有し、排紙装置60の各部の動作を制御する。
【0052】
記憶部65は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAMなどである。
【0053】
インターフェース部66は、印刷制御装置100や、印刷システム1の各部などとの間で各種情報の授受を行う。
【0054】
以下、まずは排出方式(印刷順)がフェイスダウンの場合、すなわち、ページ番号が少ない順に印刷が行われ、ページ番号が少ないページが下となるように用紙Sが排紙台61に排出される排出方式の場合の印刷システム1の動作について説明する。
【0055】
図3及び
図4は、排出方式がフェイスダウンの場合の第1印刷装置20及び第2印刷装置40が受信する画像データを示す説明図、及び排紙状態を示す説明図である。
【0056】
図2に示す印刷制御装置100が第1印刷装置20に送信する第1印刷データ、及び第2印刷装置40に送信する第2印刷データのそれぞれは、画像データと、両面印刷か片面印刷か、排出方式がフェイスダウンであるかフェイスアップであるかなどの情報を含む印刷モードとを有する。一例ではあるが、第1印刷データ及び第2印刷データのそれぞれは、ページ数が8ページの1つの印刷ジョブに対応する。
【0057】
第1印刷装置20が受信する第1印刷データの画像データは、
図3に示すように、ページP1~P8の画像データを含み、そのうちページP6,P7は非印刷ページ、すなわち印刷対象が無い空白ページである。第1印刷装置20が用紙Sに両面印刷を行う場合、ページP1から順に印刷が行われる。また、ページP1,P2が1枚目の用紙Sの表裏に対応し、同様に、ページP3,P4、ページP5,6、ページP7,P8のそれぞれが2~4枚目の用紙Sの表裏に対応する。そのため、第1印刷装置20が用紙Sに両面印刷を行う場合、ページP1,P3,P5,P7の画像データが1~4枚目の用紙Sの表面に印刷され、ページP2,P4,P6,P8の画像データが1~4枚目の用紙Sの裏面に印刷される。
【0058】
なお、第1印刷装置20が用紙Sに両面印刷ではなく片面印刷を行う場合、すなわち、循環搬送経路R2及び反転搬送経路R3を介さずに、第1印刷部22による片面印刷後に用紙Sがそのまま第1反転装置30に搬送される場合、ページP1,P3,P5,P7の画像データが1~4枚目の用紙Sの表面に印刷されると、用紙Sの表面が印刷面(上面)となった状態で第1反転装置30に搬送される。一方、第1印刷装置20が用紙Sに両面印刷を行う場合、ページP1,P3,P5,P7の画像データが1~4枚目の用紙Sの表面に印刷された後、反転搬送経路R3のスイッチバックローラ対26において用紙Sの表裏が反転して裏面に印刷されるため、用紙Sの裏面が印刷面(上面)となった状態で第1反転装置30に搬送される。このように、第1印刷装置20が片面印刷を行う場合には、用紙Sの表面が印刷面となった状態で第1反転装置30に搬送され、第1印刷装置20が両面印刷を行う場合には、用紙Sの裏面が印刷面となった状態で第1反転装置30に搬送される。したがって、第1印刷装置20が両面印刷を行うか片面印刷を行うかによって、第1反転部32の反転動作の有無が反対になる。
【0059】
ここで、第1印刷装置20は、3枚目の用紙Sの表面のページP5に印刷を行った後、3枚目の用紙Sの裏面のページP6に印刷を行わないため、3枚目の用紙Sを、上述の循環搬送経路R2及び反転搬送経路R3を介して再び第1印刷部22に搬送せずに、第1反転装置30に搬送してもよい。但し、本実施の形態では、3枚目の用紙Sの裏面のページP6に印刷が行われなくとも、3枚目の用紙Sが循環搬送経路R2及び反転搬送経路R3を介して再び第1印刷部22に搬送され、第1印刷部22を通過する例について説明する。なお、3枚目の用紙Sの表面のページP5に印刷が行われた後にそのまま第1反転装置30に3枚目の用紙Sが搬送される場合には、第1反転部32の反転動作の有無を、循環搬送経路R2及び反転搬送経路R3に3枚目の用紙Sを搬送する場合と反対(有りであれば無しに、無しであれば有り)に設定するとよい。
【0060】
第2印刷装置40は、用紙Sに片面印刷を行うが、第2印刷データの画像データは、印刷が行われない非印刷ページ(P1,P3,P4,P6,P7)に空白ページが挿入されることで両面印刷用の第1印刷データのページ数に一致するページ数(ページP1~P8)を有するように、印刷制御装置100によって生成されている。なお、非印刷ページ以外のページは、印刷ページP2,P5,P8である。
【0061】
ページP1~P8が印刷された4枚の用紙Sは、
図4に示すように、上述の排紙装置60の排紙台61上で、最も下の用紙Sの底面がページP1、最も上の用紙Sの上面がページP8となるように積載される。
【0062】
図5及び
図6は、排出方式がフェイスダウンの場合の第1印刷装置20の判断条件を示す表、及び第2印刷装置40の判断条件を示す表である。
【0063】
図5に示すように、第1印刷装置20は、画像データと印刷モードとを含む第1印刷データのほか、第2印刷データを
図2に示す印刷制御装置100から受信する。なお、第1印刷装置20は、第2印刷データを、第2印刷装置40を介して間接的に印刷制御装置100から受信してもよい。また、第1印刷装置20が受信する第2印刷データは、画像データのみであってもよい。
【0064】
第1印刷装置20の制御部28は、第2印刷データの画像データを参照し、少なくとも、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すかに基づき、第1反転部32の反転動作の有無を決定する。
【0065】
例えば、制御部28は、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すか、第1印刷データが両面印刷用であるか片面印刷用であるか、及び排出方式がフェイスダウンであるかフェイスアップであるかの3つに基づき、第1反転部32の反転動作の有無を決定する。
【0066】
ここでは、制御部28は、第1印刷装置20が両面印刷を行い、排出方式がフェイスダウンであるため、
図5に示す例では、以下のように第1反転部32の反転動作の有無を決定する。
【0067】
図5に示すように、ページP1,P2及びページP7,8については、第2印刷装置40において裏面のページP2,P8が印刷ページとなる。また、第1印刷装置20においては両面印刷のために用紙Sが1回反転することで裏面が印刷面(上面)となっている。そのため、制御部28は、第1反転部32の反転動作の有無を「無し」に決定する。
【0068】
また、ページP3,P4については、第2印刷装置40において印刷ページがない。そのため、第1印刷装置20において両面印刷のために用紙Sが1回反転することで裏面が印刷面となったまま用紙Sが第2印刷部42を通過するように、第1反転部32の反転動作の有無を「無し」に決定する。
【0069】
ページP5,P6については、第2印刷装置40において表面のページP5が印刷ページとなり、第1印刷装置20において両面印刷のために用紙Sが1回反転することで裏面が印刷面となっているため、第1反転部32の反転動作の有無を「有り」に決定する。
【0070】
図6に示すように、第2印刷装置40は、
図2に示す印刷制御装置100から受信する第2印刷データの印刷モードに基づき、それぞれが1枚の用紙Sの表裏に対応するページP1,P2、ページP3,P4、ページP5,P6、及びページP7,P8のそれぞれについて、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すか(第2印刷装置40の印刷の表面又は裏面)を判断する。なお、第2印刷装置40は、第1印刷装置20から第1印刷データの印刷モード(例えば、第1印刷装置20において両面印刷が行われるか又は片面印刷が行われるかの情報)を受信する。
【0071】
第2印刷装置40の制御部44は、少なくとも、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すかに基づき、第2反転部52の反転動作の有無を決定する。
【0072】
例えば、制御部44は、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すか、第1印刷データが両面印刷用であるか片面印刷用であるか、及び排出方式がフェイスダウンであるかフェイスアップであるかの3つに基づき、第2反転部52の反転動作の有無を決定する。
【0073】
また、
図6に示すように、制御部44は、第2反転部52の反転動作の有無を、第1反転部32の反転動作の有無と同じにすることができるため、第1反転部32の反転動作の有無に基づいて第2反転部52の反転動作の有無を決定してもよい。或いは、制御部28が第1反転部32の反転動作の有無を決定するのと同じ判断で、すなわち、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すかなどに基づいて、制御部44が第2反転部52の反転動作の有無を決定してもよい。
【0074】
なお、上述の説明では、第2印刷部42が片面印刷用の第2印刷データに基づき用紙Sに印刷を行う場合に、第1印刷装置20の制御部28が、第2印刷データに基づいて第1反転部32の反転動作の有無を決定する制御について説明した。しかしながら、第2印刷装置40が、第1印刷装置20と同様に、搬送経路切り替え部24,25、スイッチバックローラ対26、排紙台27等(循環搬送経路及び反転搬送経路)を有し、用紙Sに両面印刷を行うことが可能であれば、第1印刷装置20の制御部28が、両面印刷用の第2印刷データに基づき、
図11~
図14に示す変形例の制御を行ってもよい。
【0075】
本変形例では、
図11に示すように、第2印刷装置40が受信する第2印刷データの画像データのページP1,P7が空白ページではなく印刷ページである点のみ、上述の
図3~
図6に示す例と相違する。そのため、上述の説明と重複する事項についての説明は省略する。
【0076】
図11に示すように、両面印刷用の第2印刷データの画像データは、1枚目の用紙SのページP1,P2、3枚目の用紙SのページP5、及び4枚目の用紙SのページP7,P8であり、表面のページP1,P5,P7が印刷ページとなる。一方、2枚目の用紙SのページP3,P4については印刷ページがない。なお、ページP1,P2及びページP7,P8は、両面とも印刷ページとなる。
【0077】
第1印刷装置20においては、両面印刷のために用紙Sが1回反転することで裏面が印刷面(上面)となっている。そのため、制御部28は、第2印刷データに関して、表面が印刷ページとなるページP1,P2、ページP5,P6、及びページP7,P8については、第1反転部32の反転動作の有無を「有り」に決定する。
【0078】
また、第2印刷データでは、ページP3,P4については印刷ページがない。そのため、制御部28は、第1印刷装置20において両面印刷のために用紙Sが1回反転することで裏面が印刷面となったまま用紙Sが第2印刷部42を通過するように、第1反転部32の反転動作の有無を「無し」に決定する。
【0079】
このように、第1印刷装置20の制御部28は、第2印刷データに、両面の印刷ページがある場合及び表面のみの印刷ページがある場合と、第2印刷データに裏面のみの印刷ページがある場合とで、第1反転部32の反転動作の有無が反対となるように反転動作の有無を決定する。
【0080】
上述のように、制御部28は、用紙Sの表裏における第2印刷データの印刷ページの有無に基づき、第1反転部32の反転動作の有無を決定すればよい。そのため、第2印刷データは、片面印刷用に限られず、両面印刷用であってもよい。
【0081】
なお、本変形例においては、第2印刷装置40において、1,4枚目の用紙Sに裏面の印刷が行われる。また、2枚目の用紙Sについては、裏面の印刷が行われないが、表面の印刷も行われずに、裏面が上面となったまま第2印刷部42を通過する。また、3枚目の用紙Sについては、表面のみ印刷が行われるが、第2印刷装置40の循環搬送経路及び反転搬送経路を介して再び第2印刷部42を通過する。そのため、第2印刷装置40の制御部44は、第2反転部52の反転動作の有無を全て無しに決定するとよい。
【0082】
但し、第2印刷装置40において、3枚目の用紙Sの表面のページP5に印刷が行われた後、3枚目の用紙Sの裏面のページP6に印刷が行われないため、3枚目の用紙Sに表面の印刷が行われた後、第2印刷装置の循環搬送経路及び反転搬送経路を介して再び第2印刷部42に搬送せずに、そのまま第2反転装置50に搬送してもよい。この場合、第2反転部52の反転動作の有無を、第2印刷装置40の循環搬送経路及び反転搬送経路に3枚目の用紙Sを搬送する場合と反対に設定(無しを有りに変更)するとよい。
【0083】
次に、排出方式(印刷順)がフェイスアップの場合、すなわち、ページ番号が多い順に印刷が行われ、ページ番号が少ないページが上となるように用紙Sが排紙台61に排出される排出方式の場合の印刷システム1の動作について説明する。
【0084】
図7及び
図8は、排出方式がフェイスアップの場合の第1印刷装置20及び第2印刷装置40が受信する画像データを示す説明図、及び排紙状態を示す説明図である。
【0085】
第1印刷装置20が受信する第1印刷データの画像データは、
図7に示すように、ページP8~P1の画像データを含み、そのうちページP7,P6は非印刷ページ、すなわち印刷対象が無い空白ページである。第1印刷装置20が用紙Sに両面印刷を行う場合、排出方式がフェイスダウンの場合(ページP1から印刷)とは反対に、ページP8から順に印刷が行われる。そのため、ページP8,P6,P4,P2の画像データが1~4枚目の用紙Sの表面に印刷され、ページP7,P5,P3,P1の画像データが1~4枚目の用紙Sの裏面に印刷される。
【0086】
ここで、第1印刷装置20は、1枚目の用紙Sの表面のページP8に印刷を行った後、1枚目の用紙Sの裏面に印刷を行わないため、1枚目の用紙Sを、上述の循環搬送経路R2及び反転搬送経路R3を介して再び第1印刷部22に搬送せずに、第1反転装置30に搬送してもよい。但し、本実施の形態では、1枚目の用紙Sの裏面の印刷が行われなくとも、1枚目の用紙Sが循環搬送経路R2及び反転搬送経路R3を介して再び第1印刷部22に搬送される例について説明する。1枚目の用紙Sの表面のページP8に印刷が行われた後にそのまま第1反転装置30に1枚目の用紙Sが搬送される場合には、第1反転部32の反転動作の有無を、循環搬送経路R2及び反転搬送経路R3に3枚目の用紙Sを搬送する場合と反対(有りであれば無しに、無しであれば有り)に設定するとよい。
【0087】
第2印刷装置40は、用紙Sに片面印刷を行うが、第2印刷データの画像データは、印刷が行われない非印刷ページ(P7,P6,P4,P3,P1)に空白ページが挿入されることで両面印刷用の第1印刷データのページ数に一致するページ数(ページP8~P1)を有するように、印刷制御装置100によって生成されている。なお、非印刷ページ以外のページは、印刷ページP8,P5,P2である。
【0088】
ページP8~P1が印刷された4枚の用紙Sは、
図8に示すように、上述の排紙装置60の排紙台61上で、最も下の用紙Sの底面がページP8、最も上の用紙Sの上面がページP1となるように積載される。
【0089】
図9及び
図10は、排出方式がフェイスアップの場合の第1印刷装置20の判断条件を示す表、及び第2印刷装置40の判断条件を示す表である。
【0090】
図9に示すように、第1印刷装置20は、画像データ及び印刷モードを含む第1印刷データのほか、第2印刷データを
図2に示す印刷制御装置100から受信する。なお、第1印刷装置20は、第2印刷データを、第2印刷装置40を介して間接的に印刷制御装置100から受信してもよい。また、第1印刷装置20が受信する第2印刷データは、画像データのみであってもよい。
【0091】
第1印刷装置20の制御部28は、第2印刷データの画像データを参照し、少なくとも、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すかに基づき、第1反転部32の反転動作の有無を決定する。
【0092】
例えば、制御部28は、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すか、第1印刷データが両面印刷用であるか片面印刷用であるか、及び排出方式がフェイスダウンであるかフェイスアップであるかの3つに基づき、第1反転部32の反転動作の有無を決定する。
【0093】
ここでは、制御部28は、第1印刷装置20が両面印刷を行い、排出方式がフェイスアップであるため、
図9に示す例では、以下のように第1反転部32の反転動作の有無を決定する。
【0094】
図9に示すように、ページP7,8及びページP1,P2については、第2印刷装置40において表面のページP8,P2が印刷ページとなる。また、第1印刷装置20においては両面印刷のために用紙Sが1回反転することで裏面が印刷面(上面)となっている。そのため、制御部28は、第1反転部32の反転動作の有無を「有り」に決定する。
【0095】
また、ページP3,P4については、第2印刷装置40において印刷ページがない。そのため、第1印刷装置20において両面印刷のために用紙Sが1回反転することで裏面が印刷面となったまま用紙Sが第2印刷部42をするように、第1反転部32の反転動作の有無を「無し」に決定する。
【0096】
ページP5,P6については、第2印刷装置40において裏面のページP5が印刷ページとなり、第1印刷装置20において両面印刷のために用紙Sが1回反転することで裏面が印刷面となっているため、第1反転部32の反転動作の有無を「無し」に決定する。
【0097】
図10に示すように、第2印刷装置40は、
図2に示す印刷制御装置100から受信する第2印刷データに基づき、それぞれが1枚の用紙Sの表裏に対応するページP8,P7、ページP6,P5、ページP4,P3、及びページP2,P1のそれぞれについて、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すか(第2印刷装置40の表面又は裏面)を判断する。なお、第2印刷装置40は、第1印刷装置20から第1印刷データの印刷モード(例えば、第1印刷装置20において両面印刷が行われるか又は片面印刷が行われるかの情報)を受信する。
【0098】
第2印刷装置40の制御部44は、少なくとも、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すかに基づき、第2反転部52の反転動作の有無を決定する。
【0099】
例えば、制御部44は、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すか、第1印刷データが両面印刷用であるか片面印刷用であるか、及び排出方式がフェイスダウンであるかフェイスアップであるかの3つに基づき、第2反転部52の反転動作の有無を決定する。
【0100】
また、
図10に示すように、制御部44は、第2反転部52の反転動作の有無を、第1反転部32の反転動作の有無と同じにすることができるため、第1反転部32の反転動作の有無に基づいて第2反転部52の反転動作の有無を決定してもよい。或いは、制御部28が第1反転部32の反転動作の有無を決定するのと同じ判断で、すなわち、第2印刷データの片面の印刷ページが用紙Sの表裏どちらを表すかなどに基づいて、制御部44が第2反転部52の反転動作の有無を決定してもよい。
【0101】
以上説明した本実施の形態では、印刷システム1は、第1印刷データに基づき用紙S(媒体の一例)に印刷を行う第1印刷部22と、この第1印刷部22よりも用紙Sの搬送方向における下流側に配置され、用紙Sの表裏の反転動作を行う第1反転部32と、この第1反転部32よりも搬送方向における下流側に配置され、第2印刷データに基づき用紙Sに印刷を行う第2印刷部42と、用紙Sの表裏における第2印刷データの印刷ページの有無に基づき、第1反転部32の反転動作の有無を決定する制御部28とを備える。例えば、第2印刷部42は、第2印刷データに基づき用紙Sの表面及び裏面のうちの一方である片面に印刷を行い、制御部28は、第2印刷データの片面の印刷ページが媒体の表裏どちらを表すかに基づき、第1反転部32の反転動作の有無を決定する。
【0102】
これにより、制御部28が、第2印刷装置40の印刷内容に応じて第1反転部32の反転動作の有無を決定することができる。そのため、第1反転部32の反転動作の有無を例えば有りに統一するために、ユーザが、ページ数を固定した特定の印刷フォームに合わせた画像データとなるようにページ構成の編集を行う場合と比較して、所望のページ構成で編集を行うことができるとともに、ユーザの編集作業を省略することができる。また、印刷制御装置100によって第1反転部32の反転動作の有無を決定するようにすると、印刷システム1の装置構成に応じた制御を行う必要があるため、制御が複雑になるのに対して、制御部28が反転動作の有無を決定することで印刷制御装置100の制御が複雑になるのを回避することができる。よって、本実施の形態によれば、第1印刷部22と第2印刷部42との間に配置された第1反転部32の反転動作の有無を、ユーザの負担を生じさせずに且つ簡単な制御で決定することができる。また、印刷制御装置100の制御が複雑になるのを回避することができることによって、印刷制御装置100が第1印刷データ及び第2印刷データの画像処理に処理リソースを集中することができるため第1印刷データ及び第2印刷データの画像処理の処理能力の低下を抑制することができるとともに、不具合の誘発や開発コストの増大を回避することもできる。
【0103】
また、本実施の形態では、第1印刷用データ及び第2印刷用データは、印刷制御装置100によって生成され、第1印刷データが両面印刷用である場合、第2印刷用データは、非印刷ページ(ページP1,P3,P4,P6,P7)に空白ページが挿入されることで第1印刷データのページ数に一致するページ数を有するように、印刷制御装置100によって生成される。これにより、制御部28は、第2印刷データの印刷ページの情報を第1印刷データの印刷ページの情報に対応させて第1反転部32の反転動作の有無の決定を行うことができる。したがって、第1反転部32の反転動作の有無をより一層簡単な制御で決定することができる。
【0104】
また、本実施の形態では、制御部28は、用紙Sの表裏における第2印刷データの印刷ページの有無、及び第1印刷データが両面印刷用であるか又は片面印刷用であるかに基づき、第1反転部32の反転動作の有無を決定する。これにより、第1印刷装置20において両面印刷と片面印刷とを選択的に行うことができることによって第1反転部32に搬送される用紙Sの表裏が変化する場合であっても、第1反転部32の反転動作の有無を決定することができる。
【0105】
また、本実施の形態では、印刷システム1は、第2印刷部42よりも搬送方向における下流側に配置され、用紙Sの表裏の反転動作を行う第2反転部52を更に備え、制御部44は、用紙Sの表裏における第2印刷データの印刷ページの有無に基づき、第2反転部52の反転動作の有無を決定する。これにより、第2反転部52の反転動作の有無を、第1反転部32の反転動作の有無と同様に決定することができるため、排紙装置60の排紙台61において所望の表裏の向きで用紙Sを積載することができる。
【0106】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0107】
[付記1]
第1印刷データに基づき媒体に印刷を行う第1印刷部と、
前記第1印刷部よりも前記媒体の搬送方向における下流側に配置され、前記媒体の表裏の反転動作を行う第1反転部と、
前記第1反転部よりも前記搬送方向における下流側に配置され、第2印刷データに基づき前記媒体に印刷を行う第2印刷部と、
前記媒体の表裏における前記第2印刷データの印刷ページの有無に基づき、前記第1反転部の前記反転動作の有無を決定する制御部と
を備えることを特徴とする印刷システム。
【0108】
[付記2]
前記第2印刷部は、前記第2印刷データに基づき前記媒体の表面及び裏面のうちの一方である片面に印刷を行い、
前記制御部は、前記第2印刷データの前記片面の印刷ページが前記媒体の表裏どちらを表すかに基づき、前記第1反転部の反転動作の有無を決定する
ことを特徴とする付記1記載の印刷システム。
【0109】
[付記3]
前記第1印刷用データ及び前記第2印刷用データは、印刷制御装置によって生成され、
前記第1印刷データが両面印刷用である場合、前記第2印刷用データは、非印刷ページに空白ページが挿入されることで前記第1印刷データのページ数に一致するページ数を有するように、前記印刷制御装置によって生成される
ことを特徴とする付記2記載の印刷システム。
【0110】
[付記4]
前記制御部は、前記媒体の表裏における前記第2印刷データの印刷ページの有無、及び前記第1印刷データが両面印刷用であるか又は片面印刷用であるかに基づき、前記第1反転部の反転動作の有無を決定する
ことを特徴とする付記1から3のうちいずれか記載の印刷システム。
【0111】
[付記5]
前記第2印刷部よりも前記搬送方向における下流側に配置され、前記媒体の表裏の反転動作を行う第2反転部を更に備え、
前記制御部は、前記媒体の表裏における前記第2印刷データの印刷ページの有無に基づき、前記第2反転部の反転動作の有無を決定する
ことを特徴とする付記1から4のうちいずれか記載の印刷システム。
【符号の説明】
【0112】
1 印刷システム
10 給紙装置
11 給紙台
20 第1印刷装置
21 搬送ローラ対
22 第1印刷部
23 吸着搬送部
24,25 搬送経路切り替え部
26 スイッチバックローラ対
27 排紙台
28 制御部
29a 記憶部
29b インターフェース部
30 第1反転装置
31 搬送ローラ対
32 第1反転部
40 第2印刷装置
41 搬送ローラ対
42 第2印刷部
43 吸着搬送部
44 制御部
45 記憶部
46 インターフェース部
50 第2反転装置
51 搬送ローラ対
52 第2反転部
60 排紙装置
61 排紙台
62 上面検知センサ
63 排紙台昇降駆動部
64 制御部
65 記憶部
66 インターフェース部
100 印刷制御装置
R1 直進搬送経路
R2 循環搬送経路
R3 反転搬送経路
R4-1 直進搬送経路
R4-2 反転搬送経路
R5 直進搬送経路
R6-1 直進搬送経路
R6-2 反転搬送経路
R7 排出経路
S 用紙