IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マキタの特許一覧

<>
  • 特許-クリーナ 図1
  • 特許-クリーナ 図2
  • 特許-クリーナ 図3
  • 特許-クリーナ 図4
  • 特許-クリーナ 図5
  • 特許-クリーナ 図6
  • 特許-クリーナ 図7
  • 特許-クリーナ 図8
  • 特許-クリーナ 図9
  • 特許-クリーナ 図10
  • 特許-クリーナ 図11
  • 特許-クリーナ 図12
  • 特許-クリーナ 図13
  • 特許-クリーナ 図14
  • 特許-クリーナ 図15
  • 特許-クリーナ 図16
  • 特許-クリーナ 図17
  • 特許-クリーナ 図18
  • 特許-クリーナ 図19
  • 特許-クリーナ 図20
  • 特許-クリーナ 図21
  • 特許-クリーナ 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】クリーナ
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/00 20060101AFI20221221BHJP
   A47L 5/24 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
A47L9/00 103
A47L9/00 B
A47L5/24 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019019872
(22)【出願日】2019-02-06
(65)【公開番号】P2020124432
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩上 潤一
(72)【発明者】
【氏名】田原 隆如
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-178768(JP,A)
【文献】米国特許第04435877(US,A)
【文献】特開2006-247094(JP,A)
【文献】特開2001-146059(JP,A)
【文献】特開2015-104408(JP,A)
【文献】特開2017-000196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/00-9/19
A47L 9/22-9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン及び前記ファンを回転させる動力を発生するモータを収容するハウジングと、
前記ハウジングの少なくとも一部に設けられる排気口と、
前記ハウジングの内部空間において前記排気口に面するように配置され貫通孔を有する吸音部材と、を備え
前記吸音部材は、前記貫通孔の一端の第1開口の少なくとも一部が前記排気口に面し、前記貫通孔の他端の第2開口が前記内部空間に面するように配置され
前記排気口は細長く、
前記第1開口は、前記排気口の短手方向の寸法よりも大きく、
前記排気口は、前記排気口の短手方向に複数設けられ、
前記第1開口の内径は、短手方向における前記排気口の間隔よりも大きく、
前記第1開口と前記排気口の少なくとも一部とは、重複する、
クリーナ。
【請求項2】
前記吸音部材は、連続気泡の多孔質部材である、
請求項1に記載のクリーナ。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記吸音部材に複数設けられる、
請求項1又は請求項2に記載のクリーナ。
【請求項4】
複数の前記貫通孔は、実質的に平行である、
請求項3に記載のクリーナ。
【請求項5】
前記貫通孔は、前記排気口の短手方向及び長手方向のそれぞれに複数設けられる、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項6】
前記ハウジングの内面から突出し前記貫通孔に配置される支持部材を備える、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項7】
前記支持部材は、前記ハウジングの内面に固定されるロッド部と、前記ロッド部の先端に配置されるフック部とを有する、
請求項に記載のクリーナ。
【請求項8】
前記モータを支持するモータベースと、
前記ファン及び前記モータベースの周囲に配置されるファンカバーと、
前記ファンカバーの少なくとも一部を覆う防振ゴムと、を備える、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項9】
前記ファンカバーは、吸込口を有する前板部と、前記吸込口の周囲に配置され前記前板部から前方に突出する円筒部とを含み、
前記防振ゴムは、前記円筒部を囲むように配置される突出部を含む、
請求項に記載のクリーナ。
【請求項10】
前記突出部の前端面に設けられる溝を有する、
請求項に記載のクリーナ。
【請求項11】
電動工具用のバッテリが装着されるバッテリ装着部を備え、
前記モータは、前記バッテリから供給される電力により駆動する、
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
クリーナは、ファン及びファンを回転させる動力を発生するモータを備える。ファンが回転することにより、クリーナの吸込口から空気が塵埃とともに吸い込まれる。吸込口から吸い込まれた空気は、クリーナの内部空間を流通した後、排気口から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-061674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
クリーナから騒音が発生すると、クリーナの使用者に不快感を与える。
【0005】
本発明の態様は、騒音の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、ファン及び前記ファンを回転させる動力を発生するモータを収容するハウジングと、前記ハウジングの少なくとも一部に設けられる排気口と、前記ハウジングの内部空間において前記排気口に面するように配置され貫通孔を有する吸音部材と、を備えるクリーナが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、騒音の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るクリーナを示す側面図である。
図2図2は、実施形態に係るクリーナの一部を破断した図である。
図3図3は、実施形態に係る左ハウジングに設けられた吸音部材を示す斜視図である。
図4図4は、実施形態に係る吸音部材を示す斜視図である。
図5図5は、実施形態に係る吸音部材を示す断面図である。
図6図6は、実施形態に係る吸音部材の一部を拡大した模式図である。
図7図7は、実施形態に係る吸音部材の吸音率を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る吸音部材と排気口との関係を説明するための図である。
図9図9は、実施形態に係る支持部材を説明するための図である。
図10図10は、実施形態に係る支持部材を示す斜視図である。
図11図11は、実施形態に係る駆動ユニットの分解斜視図である。
図12図12は、実施形態に係る駆動ユニットの分解断面図である。
図13図13は、実施形態に係る駆動ユニットの断面図である。
図14図14は、実施形態に係る駆動ユニットの斜視図である。
図15図15は、実施形態に係る防振ゴムを示す断面図である。
図16図16は、実施形態に係る防振ゴムを示す正面図である。
図17図17は、実施形態に係るハウジングの内部空間を示す図である。
図18図18は、実施形態に係る凹部にケーブルが配置されている状態を示す模式図である。
図19図19は、実施形態に係るシール構造を模式的に示す側面図である。
図20図20は、実施形態に係るシール構造を模式的に示す断面図である。
図21図21は、実施形態に係る回転防止機構を示す図である。
図22図22は、実施形態に係る集塵機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明は実施形態に限定されない。
【0010】
実施形態においては、XYZ直交座標系を規定して、XYZ直交座標系を参照しながら各部の位置関係について説明する。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。X軸と直交する所定面内のY軸と平行な方向をY軸方向とする。所定面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。X軸方向は、前後方向である。Y軸方向は、左右方向である。Z軸方向は、上下方向である。+X方向が前方であり、-X方向が後方である。+Y方向が左方であり、-Y方向が右方である。+Z方向が上方であり、-Z方向が下方である。
【0011】
[クリーナの概要]
図1は、実施形態に係るクリーナ1を示す側面図である。図1に示すように、クリーナ1は、吸込口3及び排気口10を有するハウジング2と、電動工具用のバッテリ5が装着されるバッテリ装着部6と、ファン7及びファン7を回転させる動力を発生するモータ8を含む駆動ユニット40とを備える。
【0012】
ハウジング2は、ファン7及びモータ8を含む駆動ユニット40を収容する。ハウジング2は、吸込口3を有する前ハウジング21と、排気口10を有する後ハウジング22とを含む。ハウジング2の外部空間の空気は、塵埃とともに吸込口3に吸い込まれる。吸込口3から吸い込まれた空気は、ハウジング2の内部空間を流通した後、排気口10からハウジング2の外部空間に排出される。吸込口3は、前ハウジング21の少なくとも一部に設けられる。前ハウジング21は、筒状の吸込ノズル部4を含む。吸込口3は、吸込ノズル部4に設けられる。排気口10は、後ハウジング22の少なくとも一部に設けられる。排気口10は、後ハウジング22のY軸方向の側面に設けられる。
【0013】
前ハウジング21は、後ハウジング22の少なくとも一部が挿入される開口11を有する。後ハウジング22の前部は、前ハウジング21の後部に設けられた開口11に挿入される。後ハウジング22の前部が開口11に挿入されることによって、前ハウジング21と後ハウジング22とが接続される。前ハウジング21と後ハウジング22とは、着脱可能である。
【0014】
後ハウジング22は、左ハウジング22Lと、左ハウジング22Lに接続される右ハウジング22Rとを含む。左ハウジング22Lと右ハウジング22Rとは、ねじのような固定具により固定される。
【0015】
後ハウジング22は、ハンドル12を有する。ハンドル12は、クリーナ1の使用者に保持される。ハンドル12にトリガスイッチ13が設けられる。トリガスイッチ13は、使用者に操作される。使用者は、ハンドル12を保持した状態で、トリガスイッチ13を操作することができる。トリガスイッチ13が操作されると、モータ8が駆動する。トリガスイッチ13の操作が解除されると、モータ8が停止する。
【0016】
使用者は、ハンドル12を保持した状態で、トリガスイッチ13を操作して、クリーニング作業を実施する。クリーナ1は、ハンドル12を使用者に保持された状態でクリーニング作業を実施可能なハンディクリーナである。
【0017】
電動工具用のバッテリ5は、バッテリ装着部6に装着される。モータ8は、バッテリ5から供給される電力により駆動する。バッテリ装着部6は、ハンドル12の下部に配置される。
【0018】
バッテリ装着部6は、バッテリ5をガイドする一対のガイドレールと、一対のガイドレールの間に配置される接続端子とを有する。
【0019】
バッテリ5は、充電式のバッテリである。バッテリ5は、一対のスライドレールと、一対のスライドレールの間に配置されるバッテリ端子とを有する。
【0020】
バッテリ5をバッテリ装着部6に装着する場合、使用者は、バッテリ装着部6のガイドレールにバッテリ5のスライドレールをガイドさせながら、バッテリ5を前方へスライドさせる。バッテリ5が前方にスライドすることにより、バッテリ5とバッテリ装着部6とが固定され、バッテリ5のバッテリ端子とバッテリ装着部6の接続端子とが接続される。これにより、バッテリ5がバッテリ装着部6に装着される。
【0021】
バッテリ装着部6からバッテリ5を外す場合、使用者は、バッテリ5に設けられている固定解除ボタンを操作する。固定解除ボタンが操作されることにより、バッテリ5とバッテリ装着部6との固定が解除される。バッテリ5とバッテリ装着部6との固定が解除された後、バッテリ5が後方にスライドされることにより、バッテリ装着部6から抜去される。これにより、バッテリ装着部6からバッテリ5が外される。
【0022】
図2は、実施形態に係るクリーナ1の一部を破断した図である。図2に示すように、クリーナ1は、複数の樹脂リブ14と、樹脂リブ14の周囲に配置されるフィルタ15とを備える。樹脂リブ14は、フィルタ15を支持する。樹脂リブ14及びフィルタ15は、前ハウジング21の内部空間において、吸込口3とファン7との間に配置される。
【0023】
駆動ユニット40は、X軸と平行な回転軸AXを中心に回転可能なファン7と、ファン7を回転させる動力を発生するモータ8と、モータ8を支持するモータベース16と、ファン7及びモータベース16を収容するファンカバー17とを有する。ファンカバー17の少なくとも一部は、防振ゴム18で覆われる。駆動ユニット40は、後ハウジング22の内部空間に配置される。
【0024】
ファン7は、回転軸AXを中心に回転することにより、吸込口3に吸込力を発生させる。モータ8は、回転軸AXを中心にファン7を回転させる動力を発生する。
【0025】
モータベース16は、モータ8の周囲に配置され、モータ8に固定される。
【0026】
ファンカバー17は、ファン7及びモータベース16の周囲に配置され、モータベース16に固定される。モータベース16は、ファンカバー17を介して後ハウジング22に固定される。モータ8は、モータベース16及びファンカバー17を介して後ハウジング22に固定される。ファン7は、ファンカバー17の内側において回転する。
【0027】
防振ゴム18は、ファンカバー17の少なくとも一部を覆う。防振ゴム18の少なくとも一部は、ファンカバー17と後ハウジング22との間に配置される。防振ゴム18は、ファンカバー17及び後ハウジング22のそれぞれと接触するように配置される。防振ゴム18は、モータ8で発生した振動が後ハウジング22に伝達されることを抑制する。
【0028】
排気口10は、左ハウジング22L及び右ハウジング22Rのそれぞれに設けられる。排気口10は、後ハウジング22の+Y側の側面及び-Y側の側面のそれぞれに設けられる。排気口10は、後ハウジング22の内部空間と外部空間とを接続する。
【0029】
トリガスイッチ13が操作され、モータ8が駆動すると、ファン7が回転する。ファン7が回転することにより、吸込口3において吸込力が発生する。吸込口3において吸込力が発生することにより、ハウジング2の外部空間の空気が塵埃とともに吸込口3に吸い込まれる。吸込口3から吸い込まれた空気は、前ハウジング21の内部空間に流入する。前ハウジング21の内部空間に流入した空気は、フィルタ15を通過する。フィルタ15は、空気に含まれる塵埃を捕集する。フィルタ15を通過した空気は、ファン7及びモータ8を含む駆動ユニット40を通過した後、排気口10からハウジング2の外部空間に排出される。
【0030】
[吸音部材]
クリーナ1は、後ハウジング22の内部空間において排気口10に面するように配置される吸音部材30を備える。吸音部材30は、連続気泡の多孔質部材である。吸音部材30は、空気を伝播する音を吸収して、騒音の発生を抑制する。クリーナ1が発生する騒音として、空気の流通により発生する風切音、及びファン7の回転により発生するNZ音が例示される。
【0031】
図3は、実施形態に係る左ハウジング22Lに設けられた吸音部材30を示す斜視図である。図4は、実施形態に係る吸音部材30を示す斜視図である。図5は、実施形態に係る吸音部材30を示す断面図である。
【0032】
図3図4、及び図5に示すように、吸音部材30は、第1面31と、第1面31の反対方向を向く第2面32と、第1面31と第2面32とを結ぶ貫通孔33とを有する。貫通孔33の一端の第1開口35は、第1面31に配置される。貫通孔33の他端の第2開口36は、第2面32に配置される。吸音部材30は、第1開口35の少なくとも一部が排気口10に面し、第2開口36が後ハウジングの内部空間の中央に面するように、後ハウジング22の内部空間に配置される。
【0033】
貫通孔33は、吸音部材30に複数設けられる。複数の貫通孔33は、実質的に平行である。
【0034】
図6は、実施形態に係る吸音部材30の一部を拡大した模式図である。吸音部材30は、連続気泡の多孔質部材である。吸音部材30は、多数の微小な気泡34を有する。連続気泡とは、相互に繋がる複数の気泡34をいう。貫通孔33の内径は、1つの気泡34の大きさよりも大きい。連続気泡の多孔質部材として、軟質ウレタンスポンジ、グラウスール、ロックウール、及びフェルトの少なくとも一つが例示される。
【0035】
連続気泡は、吸音機能を有する。音は、吸音部材30の表面の気泡34に入射する。吸音部材30の表面の気泡34に入射した音は、隣の気泡34に伝播する。音は、気泡34の内面に当たる。複数の気泡34は繋がっている。音は、気泡34の内面で反射しながら、複数の気泡34を伝播する。音のエネルギーは、気泡34の内面に何度も当たることにより減衰される。これにより、騒音が低減される。
【0036】
図7は、実施形態に係る吸音部材30の吸音率を示す図である。図7において、横軸は周波数を示し、縦軸は吸音率を示す。風切音の周波数は、約2000Hz程度といわれている。図7に示すように、吸音部材30として連続気泡の多孔質部材が使用されることにより、2000Hz以上の高周波の騒音が効果的に低減される。
【0037】
図8は、実施形態に係る吸音部材30と排気口10との関係を説明するための図である。排気口10は、X軸方向に細長いスリット状である。排気口10の長手方向は、X軸方向である。排気口10の短手方向は、Z軸方向である。
【0038】
排気口10は、Z軸方向に複数設けられる。複数の排気口10は、Z軸方向に一定の間隔で設けられる。実施形態において、排気口10は、Z軸方向に6つ設けられる。
【0039】
貫通孔33は、Z軸方向及びX軸方向のそれぞれに複数設けられる。複数の貫通孔33は、Z軸方向及びX軸方向のそれぞれに一定の間隔で設けられる。
【0040】
貫通孔33は、複数の貫通孔33Fと、2つの貫通孔33Aと、2つの貫通孔33Bとを含む。
【0041】
貫通孔33Fは、吸音部材30に設けられた複数の貫通孔33のうち、貫通孔33A及び貫通孔33B以外の貫通孔33である。
【0042】
貫通孔33Fの第1開口35及び第2開口36のそれぞれは、実質的に真円形である。貫通孔33Fの第1開口35の大きさと貫通孔33Fの第2開口36の大きさとは、実質的に等しい。
【0043】
貫通孔33Fの第1開口35の内径Dは、排気口10のZ軸方向の寸法Wよりも大きい。
【0044】
貫通孔33Fの第1開口35の内径Dは、Z軸方向における排気口10の間隔Gよりも大きい。
【0045】
Z軸方向における貫通孔33Fの第1開口35の間隔Hは、Z軸方向における排気口10の間隔Gと実質的に等しい。なお、間隔Hは、間隔Gよりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0046】
2つの貫通孔33Aは、吸音部材30の前部(+X側)において、Z軸方向に配置される。貫通孔33Aの第1開口35及び第2開口36のそれぞれは、実質的に長円形である。貫通孔33Aの第1開口35及び第2開口36のそれぞれは、X軸方向に長い。貫通孔33Aの第1開口35の大きさと貫通孔33Aの第2開口36の大きさとは、実質的に等しい。Z軸方向において、貫通孔33Aの寸法は、貫通孔33Fの寸法よりも小さい。
【0047】
2つの貫通孔33Bは、吸音部材30の後部(-X側)において、Z軸方向に配置される。貫通孔33Bの第1開口35及び第2開口36のそれぞれは、実質的に真円形である。貫通孔33Bの第1開口35の大きさと貫通孔33Bの第2開口36の大きさとは、実質的に等しい。貫通孔33Bの内径は、貫通孔33Fの内径よりも小さい。
【0048】
[支持部材]
図9は、実施形態に係る支持部材38を説明するための図である。支持部材38は、吸音部材30を支持する。図9に示すように、クリーナ1は、後ハウジング22の内面から突出し、貫通孔33に配置される支持部材38を備える。支持部材38は、Y軸方向を向く後ハウジング22の内面から、Y軸方向における後ハウジング22の内部空間の中央に向かって突出する。支持部材38は、後ハウジング22の内面において、排気口10の周囲の少なくとも一部に設けられる。
【0049】
支持部材38は、複数設けられる。実施形態において、支持部材38は、4つ設けられる。2つの支持部材38は、Z軸方向に配置される複数の排気口10のうち、最も+Z側に配置された排気口10の近傍において、X軸方向に配置される。2つの支持部材38は、Z軸方向に配置される複数の排気口10のうち、最も-Z側に配置された排気口10の近傍において、X軸方向に配置される。
【0050】
なお、支持部材38の少なくとも一つが、隣り合う排気口10の間の後ハウジング22の内面に設けられてもよい。
【0051】
支持部材38は、吸音部材30の貫通孔33に挿入される。実施形態において、+X側に配置された2つの支持部材38は、貫通孔33Aに挿入される。-X側に配置された2つの支持部材38は、貫通孔33Bに挿入される。
【0052】
図10は、実施形態に係る支持部材38を示す斜視図である。図10に示すように、支持部材38は、後ハウジング22の内面に固定されるロッド部38Aと、ロッド部38Aの先端に配置されるフック部38Bとを有する。ロッド部38Aの中心線LXは、実質的にY軸と平行である。Y軸と直交するXZ平面内において、フック部38Bの外形は、ロッド部38Aの外形よりも大きい。また、XZ平面内において、フック部38BのZ軸方向の寸法は、フック部38BのX軸方向の寸法よりも大きい。
【0053】
支持部材38が貫通孔33A及び貫通孔33Bに挿入されることにより、吸音部材30は、後ハウジング22に固定される。支持部材38は、ロッド部38Aの周囲に貫通孔33(33A,33B)の内面が配置されるように、貫通孔33(33A,33B)に挿入される。ロッド部38Aの周囲に貫通孔33(33A,33B)の内面が配置されることにより、図10に示すように、フック部38Bは、第2面32から突出する。第2面32の少なくとも一部は、フック部38Bに引っ掛けられる。これにより、吸音部材30は、支持部材38に支持され、後ハウジング22に固定される。
【0054】
XZ平面内において、フック部38BのZ軸方向の寸法は、フック部38BのX軸方向の寸法よりも大きい。XZ平面内において、貫通孔33AのZ軸方向の寸法は、貫通孔33AのX軸方向の寸法よりも小さい。フック部38BのZ軸方向の寸法は、貫通孔33AのZ軸方向の寸法よりも大きい。これにより、支持部材38が貫通孔33Aに挿入された状態で、フック部38Bは、第2面32に引っ掛かる。また、XZ平面内において、フック部38BのZ軸方向の寸法は、貫通孔33Bの寸法よりも大きい。これにより、支持部材38が貫通孔33Bに挿入された状態で、フック部38Bは、第2面32に引っ掛かる。吸音部材30がスポンジのような柔らかい多孔質部材である場合、支持部材38は、貫通孔33A及び貫通孔33Bのそれぞれに円滑に挿入される。
【0055】
[駆動ユニット]
図11は、実施形態に係る駆動ユニット40の分解斜視図である。図12は、実施形態に係る駆動ユニット40の分解断面図である。図13は、実施形態に係る駆動ユニット40の断面図である。図14は、実施形態に係る駆動ユニット40の斜視図である。
【0056】
駆動ユニット40は、ファン7と、モータ8と、モータベース16と、ファンカバー17とを有する。
【0057】
ファン7は、回転軸AXを中心に回転する。ファン7は、遠心ファンである。ファン7は、吸込口73を有する前板71Aと、前板71Aよりも後方に配置される後板71Bと、前板71Aと後板71Bとの間に配置される羽根72とを有する。複数の羽根72は、回転軸AXの周囲に複数配置される。隣り合う羽根72の間に吹出口74が設けられる。
【0058】
モータ8は、バッテリ5から供給される電力により駆動する。モータ8は、ファン7よりも後方に配置される。モータ8は、出力シャフト81と、出力シャフト81を回転可能に支持するベアリング82とを有する。
【0059】
ファン7は、モータ8の出力シャフト81が挿入される挿入孔75を有する。出力シャフト81が挿入孔75に挿入されることにより、モータ8とファン7とが連結される。出力シャフト81の回転によりファン7が回転すると、空気が吸込口73に吸い込まれる。吸込口73から吸い込まれた空気は、吹出口74から回転軸AXの放射方向に吹き出される。
【0060】
モータベース16は、モータ8と後ハウジング22とを固定する。モータベース16の中心軸CXは、ファン7の回転軸AXと一致する。モータベース16は、ベース板161と、整流部材162とを有する。
【0061】
ベース板161は、円板状である。ベース板161は、ファン7の後板71Bと対向する。ベース板161の中央部に挿入孔163が設けられる。モータ8の出力シャフト81及びベアリング82は、挿入孔163に挿入される。
【0062】
整流部材162は、ファン7の吹出口74から吹き出された空気を後方にガイドする。整流部材162は、中心軸CXの周囲に複数配置される。実施形態において、整流部材162は、10個配置される。整流部材162は、ベース板161の後面に設けられる。整流部材162は、内側壁部162Aと、傾斜部162Bと、外側壁部162Cと、ストッパ部162Dとを有する。
【0063】
内側壁部162Aは、ベース板161の後面に固定される。内側壁部162Aは、ベース板161の後面から後方に突出する。傾斜部162Bは、内側壁部162Aの外面の後端部から中心軸CXの放射方向外側に延在する。外側壁部162Cは、傾斜部162Bの周縁部から後方に突出する。ストッパ部162Dは、外側壁部162Cの外面の後端部から中心軸CXの放射方向外側に突出する。
【0064】
外側壁部162Cに突起部164が設けられる。突起部164は、外側壁部162Cの外面から中心軸CXの放射方向外側に突出する。
【0065】
モータベース16は、モータ8を固定する固定リブ166を有する。固定リブ166は、ベース板161の後面に設けられる。固定リブ166は、ベース板161から後方に突出する。固定リブ166は、中心軸CXの周囲に複数設けられる。モータ8の出力シャフト81及びベアリング82が挿入孔163に挿入された状態で、固定リブ166は、ステータを含むモータ8のボディ84の周囲に配置される。ボディ84は、複数の固定リブ166に挟まれる。複数の固定リブ166がボディ84の周囲に配置されることにより、モータ8とモータベース16とが位置決めされる。固定リブ166は、ボディ84に接触した状態で、中心軸CXの放射方向外側に突出する。固定リブ166によりボディ84が放熱され、モータ8の温度が過度に上昇することが抑制される。
【0066】
ボディ84の周囲に複数の固定リブ166が配置された状態で、モータ8とモータベース16とは、ねじ19により固定される。モータベース16には、ねじ19が配置される孔165が設けられる。モータ8には、ねじ19のねじ山と結合されるねじ孔83が設けられる。
【0067】
ファンカバー17は、ファン7及びモータベース16を収容する。ファンカバー17は、モータベース16と後ハウジング22とを固定する。ファンカバー17は、吸込口171を有する前板部172と、吸込口171を囲むように配置され、前板部172から前方に突出する円筒部173と、前板部172の周縁部と接続される外筒部174と、外筒部174に設けられる突起部175とを有する。
【0068】
前板部172は、円板状である。吸込口171は、前板部172の中央に設けられる。円筒部173は、前板部172から前方に突出する。円筒部173の内側に吸込口171が設けられる。円筒部173の内側に円筒部176及びリブ177が配置される。リブ177は、円筒部173及び円筒部176のそれぞれに固定される。外筒部174は、前板部172の周縁部から後方に突出する。外筒部174の後端部に、後方に突出する突起部178が設けられる。外筒部174の一部に、突起部164が配置される孔179が設けられる。
【0069】
ファン7及びモータベース16は、ファンカバー17の内側に配置される。ファンカバー17の外筒部174は、ファン7及びモータベース16の周囲に配置される。モータベース16の突起部164は、外筒部174に設けられた孔179に配置される。突起部164が孔179に配置されることにより、モータベース16とファンカバー17とが位置決めされる。
【0070】
外筒部174の後端部は、モータベース16のストッパ部162Dに接触する。外筒部174の後端部とストッパ部162Dとが接触することにより、モータベース16とファンカバー17とが位置決めされる。外筒部174の突起部178は、隣り合うストッパ部162Dの間に配置される。
【0071】
外筒部174の内面は、モータベース16の整流部材162と対向する。外筒部174の内面と外側壁部162Cの外面とが対向する。
【0072】
ファンカバー17の吸込口171は、フィルタ15に面する。フィルタ15を通過した空気は、吸込口171から吸い込まれる。吸込口171を通過した空気は、ファン7の吸込口73に吸い込まれる。吸込口73を通過した空気は、吹出口74から回転軸AXの放射方向に吹き出される。
【0073】
吹出口74から吹き出された空気は、整流部材162により、モータベース16の後方にガイドされる。吹出口74から吹き出された空気の少なくとも一部は、内側壁部162Aと、傾斜部162Bと、ファンカバー17の外筒部174の内面とによって規定される流路を流れる。モータベース16を通過した空気は、吸音部材30を通過した後、排気口10を介してハウジング2の外部空間に排出される。
【0074】
モータ8のボディ84の周囲に吸音部材300が配置される。吸音部材300は、モータ8が発生する騒音を吸収する。吸音部材300は、連続気泡の多孔質部材である。連続気泡の多孔質部材として、軟質ウレタンスポンジ、グラウスール、ロックウール、及びフェルトの少なくとも一つが例示される。
【0075】
吸音部材300は、円筒状である。吸音部材300の内側にボディ84の少なくとも一部が挿入される。吸音部材300は、ボディ84の周囲において、固定リブ166に接触するように配置される。固定リブ166は、ボディ84に接触した状態で、中心軸CXの放射方向外側に突出する。吸音部材300は、ボディ84及び固定リブ166を覆うように配置される。吸音部材300は、固定リブ166に固定される。
【0076】
図15は、実施形態に係る防振ゴム18を示す断面図である。図16は、実施形態に係る防振ゴム18を示す正面図である。図15においては、ファンカバー17及び防振ゴム18が図示され、ファン7、モータ8、及びモータベース16の図示は省略している。
【0077】
図15及び図16に示すように、防振ゴム18は、外筒部174を被覆する被覆部181と、前板部172の少なくとも一部を被覆するように配置される突出部182とを有する。突出部182は、前板部172から前方に突出するように設けられる。突出部182は、円筒部173を囲むように配置される。突出部182は、ファンカバー17の中心軸DXを囲む円筒状である。中心軸DXと平行な方向において、突出部182の寸法Tは、被覆部181の厚さUよりも大きい。図2に示したように、突出部182の前端面は、後ハウジング22の少なくとも一部と接触する。
【0078】
防振ゴム18は、突出部182の前端面に設けられる溝183を有する。図16に示すように、中心軸DXを直交する面内において、溝183は、円環状である。溝183は、中心軸DXの放射方向に2重に設けられる。
【0079】
溝183により、突出部182にリブ182Rが設けられる。リブ182Rは、中心軸DXの放射方向に複数設けられる。図16に示すように、中心軸DXの放射方向に配置される複数のリブ182Rを連結するように、溝183の内側に連結リブ184が設けられる。
【0080】
ファンカバー17の外筒部174に設けられた突起部175は、外筒部174の外面からファンカバー17の中心軸DXの放射方向外側に突出する。被覆部181は、突起部175が配置される凹部185を有する。突起部175が凹部185に配置されることにより、ファンカバー17と防振ゴム18とが位置決めされる。
【0081】
なお、防振ゴム18は、インサート成型により製造されてもよい。
【0082】
防振ゴム18の硬度は、例えばHs30以下である。突出部182の寸法Tが十分に大きく、リブ182Rが設けられることにより、防振ゴム18は、撓みやすい。これにより、防振ゴム18は、十分な防振効果を発揮することができる。
【0083】
[シール構造]
図17は、実施形態に係るハウジング2の内部空間を示す図である。図17は、後ハウジング22から右ハウジング22Rを外した状態を示す。図17に示すように、クリーナ1は、トリガスイッチ13の操作により作動するスイッチング素子51と、クリーナ1を制御する制御基板52と、スイッチング素子51と制御基板52とを接続するケーブル53とを有する。使用者によりトリガスイッチ13が操作されると、スイッチング素子51は、操作信号を出力する。操作信号は、ケーブル53を介して制御基板52に入力される。制御基板52は、操作信号に基づいて、モータ8を駆動する。
【0084】
ハウジング2の内部空間は、ファン7及びモータ8を含む駆動ユニット40が配置される第1空間SP1と、区画壁60を介して第1空間SP1と区画される第2空間SP2とを含む。
【0085】
第2空間SP2は、ハンドル12の内部空間を含む。区画壁60は、第2空間SP2の前部と第1空間SP1とを区画する第1区画壁61と、第2空間SP2の後部と第1空間SP1とを区画する第2区画壁62とを含む。
【0086】
トリガスイッチ13は、ハンドル12に設けられる。スイッチング素子51は、第2空間SP2に設けられる。制御基板52及び駆動ユニット40は、第1空間SP1に設けられる。
【0087】
第1区画壁61は、左ハウジング22Lに設けられる。なお、第1区画壁61は、右ハウジング22Rに設けられてもよいし、左ハウジング22L及び右ハウジング22Rの両方に設けられてもよい。
【0088】
第2区画壁62は、左ハウジング22Lに設けられた左区画壁62Lと、右ハウジング22Rに設けられた右区画壁62Rとを含む。
【0089】
左区画壁62Lは、ケーブル53が配置される凹部63を有する。ケーブル53の一端部は、スイッチング素子51に接続される。ケーブル53の他端部は、制御基板52に接続される。ケーブル53の少なくとも一部は、凹部63に配置される。
【0090】
図18は、実施形態に係る凹部63にケーブル53が配置されている状態を示す模式図である。図18に示すように、第2区画壁62の左区画壁62Lは、ケーブル53が配置される凹部63を有する。
【0091】
ケーブル53は、リード線53Aと、弾性部材で形成されリード線53Aを被覆するチューブ53Bとを含む。リード線53Aは、導電性部材と、導線性部材を覆う被覆体とを含む。リード線53Aの導線性部材は、銅のような金属製である。チューブ53Bは、ゴムのような弾性部材である。
【0092】
図19は、実施形態に係るシール構造を模式的に示す側面図である。図20は、実施形態に係るシール構造を模式的に示す断面図である。
【0093】
右ハウジング22Rに設けられた右区画壁62Rは、凹部63に配置されたケーブル53を押す凸部を含む。左区画壁62Lは、左ハウジング22Lの内面から-Y方向に突出する。右区画壁62Rは、右ハウジング22Rの内面から+Y方向に突出する。
【0094】
左ハウジング22Lと右ハウジング22Rとは、ねじのような固定具により固定される。固定具による左ハウジング22Lと右ハウジング22Rとの固定が解除された状態で、凹部63にケーブル53が配置される。凹部63にケーブル53が配置された状態で、左ハウジング22Lと右ハウジング22Rとが固定される。凹部63にケーブル53が配置された状態で、左ハウジング22Lと右ハウジング22Rとが固定されることにより、右区画壁62Rは、凹部63に配置されているケーブル53を押し潰す。
【0095】
ケーブル53のチューブ53Bは、弾性変形可能である。ケーブル53が凹部63に配置された状態で、右区画壁62Rに押し潰されることにより、チューブ53Bは、凹部63の内面に密着するように変形する。これにより、チューブ53Bは、凹部63における第1空間SP1と第2空間SP2との境界をシールする。
【0096】
図20に示すように、左区画壁62Lは、板状である。右区画壁62Rは、板状である。XZ平面内において、左区画壁62Lの位置と右区画壁62Rの位置とは異なる。左ハウジング22Lと右ハウジング22Rとが固定されることにより、左区画壁62Lの表面と右区画壁62Rの表面の一部とが対向する。左ハウジング22Lと右ハウジング22Rとが固定されることにより、左区画壁62Lの表面と右区画壁62Rの表面の一部とが接触する。
【0097】
なお、実施形態においては、左区画壁62Lに凹部63が設けられ、右区画壁62Rが凹部63に配置されたケーブル53を押す凸部であることとした。右区画壁62Rに凹部63が設けられ、左区画壁62Lが凹部63に配置されたケーブル53を押す凸部でもよい。
【0098】
[回転防止機構]
図21は、実施形態に係る回転防止機構90を示す図である。回転防止機構90は、後ハウジング22の少なくとも一部が前ハウジング21の開口11に挿入された状態で、前ハウジング21と後ハウジング22との相対回転を規制する。回転防止機構90は、前ハウジング21に設けられた第1凸部91と、後ハウジング22に設けられ第1凸部91と接触可能な第2凸部92とを有する。
【0099】
後ハウジング22の前部に筒部22Tが設けられる。前ハウジング21の後部に開口11が設けられる。筒部22Tの外径は、開口11の内径よりも小さい。筒部22Tが開口11に挿入されることによって、前ハウジング21と後ハウジング22とが接続される。
【0100】
第1凸部91は、前ハウジング21の後部の内面に設けられる。第1凸部91は、前ハウジング21の内面から内側に突出する。第2凸部92は、後ハウジング22の筒部22Tの外面から外側に突出する。筒部22Tが開口11に挿入された状態で、第2凸部92は、前ハウジング21の内部空間に入り込む。筒部22Tが開口11に挿入された状態で、第1凸部91のX軸方向の位置と、第2凸部92の少なくとも一部のX軸方向の位置とは一致する。これにより、前ハウジング21と後ハウジング22とがX軸を中心とする回転方向に相対回転しようとしても、第1凸部91と第2凸部92とが接触することにより、前ハウジング21と後ハウジング22との相対回転が規制される。
【0101】
なお、前ハウジング21の後端部に、後ハウジング22に挿入される筒部が設けられもよい。第1凸部91が後ハウジング22に設けられ、第2凸部92が前ハウジング21に設けられてもよい。
【0102】
[動作]
次に、実施形態に係るクリーナ1の動作について説明する。使用者によりトリガスイッチ13が操作されると、モータ8が起動する。モータ8は、バッテリ5から供給される電力によって駆動する。モータ8が駆動することにより、ファン7が回転する。ファン7が回転することにより、吸込口3に吸込力が発生する。吸込口3に吸込力が発生することにより、ハウジング2の外部空間の空気が、吸込口3から吸い込まれ、前ハウジング21の内部空間に流入する。
【0103】
前ハウジング21の内部空間に流入した空気に含まれる塵埃は、フィルタ15に捕集される。フィルタ15を通過した空気は、ファン7の吸込口73に吸い込まれた後、吹出口74から吹き出される。吹出口74から吹き出された空気は、モータベース16の整流部材162にガイドされながら後方に流通する。モータベース16を通過した空気は、吸音部材30に送られる。吸音部材30に送られた空気の少なくとも一部は、貫通孔33を流通した後、排気口10を介してハウジング2の外部空間に排出される。
【0104】
ハウジング2の内部空間を流通する空気又は排気口10を流通する空気により、風切音のような騒音が発生する可能性がある。また、ファン7の回転により、NZ音のような騒音が発生する可能性がある。吸音部材30がハウジング2の内部空間において排気口10に面するように配置される。騒音の少なくとも一部は、吸音部材30に吸収される。これにより、騒音の発生が抑制される。
【0105】
[効果]
以上説明したように、ハウジング2の内部空間において排気口10に面するように吸音部材30が配置される。吸音部材30は、連続気泡の多孔質部材である。図6を参照して説明したように、吸音部材30は、音を吸収することができる。これにより、騒音の発生が抑制される。また、吸音部材30は、貫通孔33を有する。ハウジング2の内部空間から外部空間に排出される空気は、貫通孔33を通過する。吸音部材30に貫通孔33が設けられることにより、空気は、ハウジング2の内部空間から外部空間に円滑に排出される。貫通孔33を有する吸音部材30により、排気抵抗の増加が抑制されつつ、騒音の発生が抑制される。空気が円滑に流れるので、クリーナ1の吸込力の低下が抑制される。
【0106】
貫通孔33は、吸音部材30に複数設けられる。これにより、空気は、吸音部材30の貫通孔33を円滑に流れる。また、貫通孔33が複数設けられることにより、吸音部材30の表面積が大きくなる。したがって、吸音部材30の吸音効果が向上される。
【0107】
複数の貫通孔33は、実質的に平行である。これにより、空気は貫通孔33を円滑に流れることができる。
【0108】
吸音部材30は、貫通孔33の一端の第1開口35の少なくとも一部が排気口10に面し、貫通孔33の他端の第2開口36がハウジング2の内部空間の中央に面するように配置される。これにより、第2開口36から貫通孔33に流入した空気は、第1開口35から排出された後、排気口10を介してハウジング2の外部空間に円滑に排出される。
【0109】
排気口10は、X軸方向に細長いスリット状である。これにより、ハウジング2の外部空間の異物が、排気口10を介してハウジング2の内部空間に侵入することが抑制される。第1開口35の内径Dは、排気口10の短手方向の寸法Wよりも大きい。これにより、貫通孔33を流通し、第1開口35から流出した空気は、排気口10を介してハウジング2の外部空間に円滑に排出される。
【0110】
排気口10は、排気口10の短手方向に複数設けられる。これにより、空気は、複数の排気口10を介して円滑に排出される。第1開口35の内径Dは、排気口10の短手方向における排気口10の間隔Gよりも大きい。これにより、第1開口35と排気口10の少なくとも一部とは重複する。すなわち、第1開口35が排気口10の間のハウジング2の内面で塞がれることが抑制される。したがって、貫通孔33を流通し、第1開口35から流出した空気は、排気口10を介してハウジング2の外部空間に円滑に排出される。
【0111】
貫通孔33は、排気口10の短手方向及び長手方向のそれぞれに複数設けられる。これにより、ハウジング2の内部空間の空気は、複数の貫通孔33のそれぞれを流通した後、排気口10を介してハウジング2の外部空間に円滑に排出される。
【0112】
吸音部材30は、ハウジング2の内面から突出する支持部材38に支持される。支持部材38は、貫通孔33に配置される。貫通孔33に支持部材38が挿入されるだけで、吸音部材30は、ハウジング2に簡単に装着される。したがって、吸音部材30をハウジング2に装着するときの作業性の低下が抑制される。また、吸音部材30をハウジング2から外すときの作業性の低下が抑制される。
【0113】
支持部材38は、ハウジング2の内面に固定されるロッド部38Aと、ロッド部38Aの先端に配置されるフック部38Bとを有する。支持部材38が貫通孔33Aに挿入された状態で、フック部38Bは、吸音部材30の第2面32に引っ掛かる。これにより、支持部材38は、ハウジング2に安定して装着される。
【0114】
モータ8は、モータベース16に固定され、ファンカバー17を介して後ハウジング22に固定される。ファンカバー17の少なくとも一部を覆う防振ゴム18が設けられることにより、モータ8で発生した振動が後ハウジング22に伝達されることが抑制される。
【0115】
防振ゴム18は、ファンカバー17の円筒部173を囲むように配置される突出部182を含む。突出部182の寸法Tは、被覆部181の厚さUよりも大きい。これにより、振動の伝達が十分に抑制される。また、突出部182により、騒音が低減される。
【0116】
突出部182の前端面に溝183が設けられる。溝183により、突出部182は十分に撓むことができる。これにより、振動の伝達が十分に抑制され、騒音が低減される。
【0117】
ハウジング2の内部空間は、区画壁60により、ファン7及びモータ8を含む駆動ユニット40が配置される第1空間SP1と、トリガスイッチ13が配置される第2空間SP2とに区画される。区画壁60は、左ハウジング22L及び右ハウジング22Rのそれぞれに設けられる。左ハウジング22L及び右ハウジング22Rの一方に設けられた区画壁60は、ケーブル53が配置される凹部63を有する。左ハウジング22L及び右ハウジング22Rの他方に設けられた区画壁60は、左ハウジング22Lと右ハウジング22Rとが接続された状態で、凹部63に配置されたケーブル53を押し潰す凸部を含む。これにより、ハウジング2の内部空間にケーブル53が配設された状態で、第1空間SP1と第2空間SP2とが区画される。ケーブル53のチューブ53Bは、弾性部材であり、凸部に押し潰されることにより、第1空間SP1と第2空間SP2との境界をシールする。これにより、ファン7が回転しても、第1空間SP1の空気が第2空間SP2に流通することが抑制される。第2空間SP2には、トリガスイッチ13が設けられる。トリガスイッチ13とハンドル12(後ハウジング22)との間に間隙が設けられる。ファン7が回転しても、第1空間SP1と第2空間SP2との境界がシールされているので、トリガスイッチ13とハンドル12との間隙において、空気が流通することが抑制される。これにより、使用者に不快感を与えることが抑制される。また、第1空間SP1の空気が第2空間SP2に漏れ出すことが抑制されるため、塵埃によるクリーナ1の故障等が抑制される。
【0118】
第1凸部91と第2凸部92とを含む回転防止機構90が設けられる。これにより、前ハウジング21と後ハウジング22との相対回転が抑制される。
【0119】
モータ8は、バッテリ装着部6に装着された電動工具用のバッテリ5から供給される電力により駆動する。これにより、商用電源(交流電源)と接続されるケーブルが省略されるので、使用者は、クリーニング作業を円滑に実施することができる。
【0120】
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、吸音部材30がハンディクリーナに設けられることとした。吸音部材30は、キャスターを備えるクリーナに設けられてもよい。
【0121】
図22は、実施形態に係る集塵機1Bを示す図である。集塵機1Bは、クリーナの一種である。集塵機1Bは、ファン及びモータを含む駆動ユニットを収容するハウジング100と、ハウジング100を移動可能に支持するキャスター101とを備える。モータは、バッテリ装着部6に装着されたバッテリ5から供給される電力により駆動する。バッテリ5は、ハウジング100に接続されたガード部材102により保護される。ハウジング100には排気口10が設けられる。ハウジング100の内部空間に、上述の実施形態で説明した吸音部材30が配置される。図22に示す集塵機1Bにおいても、騒音の発生が抑制される。
【符号の説明】
【0122】
1…クリーナ、2…ハウジング、3…吸込口、5…バッテリ、6…バッテリ装着部、7…ファン、8…モータ、10…排気口、11…開口、12…ハンドル、13…トリガスイッチ、14…樹脂リブ、15…フィルタ、16…モータベース、17…ファンカバー、18…防振ゴム、19…ねじ、21…前ハウジング、22…後ハウジング、22L…左ハウジング、22R…右ハウジング、22T…筒部、30…吸音部材、31…第1面、32…第2面、33…貫通孔、33A…貫通孔、33B…貫通孔、33F…貫通孔、34…気泡、35…第1開口、36…第2開口、38…支持部材、38A…ロッド部、38B…フック部、40…駆動ユニット、51…スイッチング素子、52…制御基板、53…ケーブル、53A…リード線、53B…チューブ、60…区画壁、61…第1区画壁、62…第2区画壁、62L…左区画壁、62R…右区画壁、63…凹部、71A…前板、71B…後板、72…羽根、73…吸込口、74…吹出口、75…挿入孔、81…出力シャフト、82…ベアリング、83…ねじ孔、84…ボディ、90…回転防止機構、91…第1凸部、92…第2凸部、100…ハウジング、101…キャスター、102…ガード部材、161…ベース板、162…整流部材、163…挿入孔、162A…内側壁部、162B…傾斜部、162C…外側壁部、162D…ストッパ部、164…突起部、165…孔、166…固定リブ、171…吸込口、172…前板部、173…円筒部、174…外筒部、175…突起部、176…円筒部、177…リブ、178…突起部、179…孔、181…被覆部、182…突出部、182R…リブ、183…溝、184…連結リブ、185…凹部、300…吸音部材、AX…回転軸、CX…中心軸、DX…中心軸、LX…中心線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22