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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】コンテナおよびコンテナ荷役車両
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20221221BHJP
   B65F 3/28 20060101ALI20221221BHJP
   B65F 3/20 20060101ALI20221221BHJP
   B60P 1/48 20060101ALI20221221BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B65F3/00 L
B65F3/28
B65F3/20 B
B60P1/48 A
B60P3/00 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019023768
(22)【出願日】2019-02-13
(65)【公開番号】P2020132294
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中津 俊介
(72)【発明者】
【氏名】河津 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊之
(72)【発明者】
【氏名】前田 崇徳
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-139103(JP,A)
【文献】特開2000-335338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65F 3/00-3/28
B60P 1/48、3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置を備え、車台上に荷役装置が設けられたキャリアの前記荷役装置によって前記キャリアに対し積み降ろしされるコンテナにおいて、
塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後端部に連設される塵芥投入箱と、コンテナ側油圧回路と、コンテナ側制御部と、を備え、
前記作業装置は、前記塵芥投入箱に設けられた塵芥積込機構と、前記塵芥収容箱に前後移動自在に設けられた排出板と、前記塵芥積込機構と前記排出板とを動作させるコンテナ側アクチュエータと、を備え、
前記塵芥積込機構は、前記塵芥投入箱に配置された昇降自在なスライダと、前記スライダに連結されて前後に回動可能な圧縮板と、を有し、
前記コンテナ側アクチュエータは、前記スライダに連結された油圧シリンダからなるスライドシリンダと、前記圧縮板に連結された油圧シリンダからなる回動シリンダと、前記排出板に連結された油圧シリンダからなる排出シリンダと、を有し、
前記塵芥積込機構は、前記圧縮板が後方に回動するように前記回動シリンダを駆動する反転工程と、前記圧縮板が下降するように前記スライドシリンダを駆動する下降工程と、前記圧縮板が前方に回動するように前記回動シリンダを駆動する圧縮工程と、前記圧縮板が上昇するように前記スライドシリンダを駆動する上昇工程とを含む1サイクルの動作を塵芥積込時に行うように構成され、
前記コンテナ側油圧回路は、前記キャリアのキャリア側油圧回路と油圧カップリングを介して接続されるとともに前記コンテナ側油圧アクチュエータを動作させるために設けられ、
前記コンテナ側制御部は、前記コンテナ側油圧アクチュエータの動作制御を行うように構成され、
前記コンテナ制御部には、前記キャリアへ積み込むときの前記コンテナ側アクチュエータの停止位置と前記キャリアから降ろすときの前記コンテナ側油圧アクチュエータの停止位置とを合わせる制御を行わせるための位置調整スイッチが電気的に接続され、前記位置調整スイッチがコンテナ外壁部に設けられており、
前記位置調整スイッチは、一つのボタン操作で前記スライダの下降と前記排出板の前進とを連続的に行わせるように動作設定するものであって、前記塵芥投入箱の後部操作部に設けられていることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記コンテナ制御部には、前記排出板が最前進位置になったことを検出する排出板前進センサと、報知部とが接続され、
前記コンテナ制御部は、前記排出板前進センサからの信号を受信したときに報知部で周囲に前記排出板が最前進位置になったことを知らせるように構成した請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記キャリアに設けられた運転室には、前記コンテナ側制御部に操作信号を送る前部操作部が設けられ、前記コンテナが前記キャリアに搭載された請求項1または2に記載のコンテナ荷役車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧アクチュエータを有する作業装置を備え、キャリアの車台上に設けられた荷役装置によってキャリアに対し積み降ろしされるコンテナ、および当該コンテナをキャリアに搭載したコンテナ荷役車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンテナとして、塵芥積込機構と排出機構とを備えた塵芥収集コンテナが知られている。この塵芥収集コンテナの塵芥積込機構としては、塵芥投入箱の内部に設けられた昇降自在なスライダと、このスライダに連結されて前後に回動可能な圧縮板とを有し、スライダおよび圧縮板に、反転行程と下降行程と圧縮工程と上昇行程とを含む1サイクルの動作をさせるものが知られている。スライダと圧縮板は、コンテナ側アクチュエータとしてのスライドシリンダおよび回動シリンダにより駆動される。また、排出機構としては、塵芥収容箱の内部に前後移動自在に設けられた排出板を備えたものが知られている。排出板と塵芥収容箱内部の前壁とは、コンテナ側アクチュエータとしての多段の排出シリンダによって連結されている。この排出シリンダを伸長させると排出板は塵芥収容箱の後方へ移動する一方、収縮させると排出板は前方へ移動するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この塵芥収集コンテナにあっては、キャリア側油圧回路に油圧ポンプおよび作動油タンクを設けてキャリア側油圧アクチュエータを駆動するようになっているとともに、キャリア側油圧回路に設けた接続管とコンテナ側油圧回路に設けた接続管とを油圧カップリングにより接続して、コンテナ側油圧アクチュエータを駆動するようになっている。これにより、キャリアに塵芥収集コンテナを搭載した状態で、コンテナ側油圧アクチュエータを駆動させてごみ(塵芥)の積込作業を行うことが可能となっている。
【0004】
上記油圧カップリングによる接続管同士の接続は、一方の接続管端部に取り付けられたソケット型カプラと、他方の接続管端部に取り付けられたプラグ型カプラとを嵌入結合することで行われる。このように塵芥収集コンテナがキャリアに積み降ろし可能になっているのは、例えば、工場やイベント会場等において塵芥収集コンテナをキャリアから降ろして定置使用できるようにするためである。塵芥収集コンテナを定置使用するときは、プラグ型カプラとソケット型カプラとの結合を解除してコンテナ側接続管とキャリア側接続管とを外し、塵芥収集コンテナをキャリアから降ろしてコンテナ側接続管を現地(工場等)に設けられている油圧ユニットに接続してコンテナ側油圧アクチュエータを駆動するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-273448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の塵芥収集コンテナでは、空荷の状態からごみを積み込み始める場合、排出板は後退させた状態から始めることにしている。そして、塵芥収容箱に積み込まれるごみ量が増加するに従って、排出板は少しずつ塵芥収容箱の前壁の方に前進するようになっている。これにより、ごみを適度に圧縮できるため、より多くのごみの積み込みが可能になっている。
空荷の塵芥収集コンテナをキャリアに搭載した状態では、その状態でごみの積込作業が始められるように排出板は予め後退位置に移動させることがある。
そのため、従来では、空荷の塵芥収集コンテナをキャリアから降ろすときに排出板を後退位置にしたままにすることがあった。一方で、定置使用されてごみが満載状態の塵芥収集コンテナをキャリアに積み込むときには、排出板は最前進位置となっていた。
排出板を前後移動させる排出シリンダは、伸長状態の時は内部の作動油量が多くなり、収縮状態になると内部の作動油量が少なくなる。従って、従来では、排出シリンダを伸長させた排出板の後退位置で塵芥収集コンテナをキャリアから降ろし、排出シリンダを収縮させた排出板の最前進位置で塵芥収集コンテナをキャリアに搭載することにより、キャリアから現地の油圧ユニットに作動油が持ち出されてしまうという問題点があった。
【0007】
また、塵芥収集コンテナでは、定置使用でごみが積み込まれた状態で長期間待機させておくと、コンテナ内でごみが膨張し、排出板を駆動する排出シリンダやスライダを駆動するスライドシリンダがごみの膨張圧で押されて収縮し、油圧シリンダの内部圧力が高まる。これにより、キャリア側接続管のカプラをコンテナ側接続管のカプラに嵌入させようとしても、閉じ込め圧が嵌入力に勝って結合できない事態が生ずる。これを防ぐため、従来では、閉じ込め圧が高まった部分を大気に開放する圧抜き手段がコンテナ側接続管に介設され、キャリアへの積み込み時にこれを作動させていた。圧抜き手段を作動させた場合、スライドシリンダは収縮して、スライダは本来の1サイクル停止位置(スライダが上昇位置で圧縮板が前方回動した位置)よりも少し降下した状態になる。一方、従来では、キャリアから塵芥収集コンテナを降ろす場合にはスライダと圧縮板を本来の1サイクル停止位置の状態で降ろすようにしていた。このため、従来では、塵芥収集コンテナをキャリアから降ろすときとキャリアへの積み込みのときとでスライドシリンダの伸縮量の違いが生じ、キャリアから現地の油圧ユニットに作動油が持ち出されてしまうという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述したような実情を考慮してなされたものであって、コンテナをキャリアから降ろすときにキャリアから作動油を持ち出すことを容易に抑制可能なコンテナおよびこれをキャリアに搭載したコンテナ荷役車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、第1の発明は、作業装置を備え、車台上に荷役装置が設けられたキャリアの前記荷役装置によって前記キャリアに対し積み降ろしされるコンテナにおいて、前記キャリアのキャリア側油圧回路と油圧カップリングを介して接続されるとともに前記作業装置のコンテナ側油圧アクチュエータを動作させるためのコンテナ側油圧回路と、前記コンテナ側油圧アクチュエータの動作制御を行うコンテナ側制御部と、を備え、前記コンテナ制御部には、前記キャリアへ積み込むときと前記キャリアから降ろすときとの両方で前記コンテナ側油圧アクチュエータの停止位置を合わせる制御を行わせるための位置調整スイッチが電気的に接続され、前記位置調整スイッチがコンテナ外壁部に設けられていることを特徴とする。
【0010】
第1の発明によれば、コンテナ外壁部に設けられた位置調整スイッチの操作により、キャリアへ積み込むときとキャリアから降ろすときとの両方でコンテナ側油圧アクチュエータの停止位置を合わすことができる。これにより、例えば伸縮量の変化により内部の作動油量が変化する油圧シリンダについて、コンテナをキャリアへ積み込むとき降ろすときとで伸縮量が変化しないことによりシリンダ内部の作動油量が変化しないようにできる。その結果、キャリアから現地の油圧ユニットに作動油が持ち出されてしまうということを防ぐことができる。
また、コンテナ外壁部に設けられた専用の位置調整スイッチの操作により複数種類のコンテナ側油圧アクチュエータの位置調整を行うように設定できるので、作業者は、キャリアからの作動油の持ち出しを容易に抑制することができる。
また、位置調整スイッチをコンテナ外壁部に設けることにより、キャリア側に位置調整スイッチを設ける場合と比較してキャリアおよびコンテナの独立性が高まり、複数のキャリアに対するコンテナの運用の自由度を高めることができる。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、塵芥収容箱と、前記塵芥収容箱の後端部に連設される塵芥投入箱と、を備え、前記作業装置は、前記塵芥投入箱に設けられた塵芥積込機構と、前記塵芥収容箱に前後移動自在に設けられた排出板とを有し、前記塵芥積込機構と前記排出板とは前記コンテナ側アクチュエータにより動作され、前記位置調整スイッチは、前記排出板を車両前側へ前進させるものである。
【0012】
第2の発明によれば、排出板の後退位置でキャリアから降ろす一方で排出板の最前進位置でキャリアに搭載することによりキャリアから作動油が持ち出されてしまうことがあった従来の塵芥収集コンテナと異なり、積み降ろし(積み込みと降ろし)の際の排出板の前後位置を車両前側に限定することを、コンテナ外壁部の位置調整スイッチから容易に設定することができる。これにより、キャリアからの作動油の持ち出しを容易に抑制することができる。
また、位置調整スイッチの操作による排出板の移動方向が車両後方への後退ではなく前進に設定されていることにより、塵芥収容箱内にごみをある程度積み込んでいたとしても、そのごみに排出板の動きが妨げられることなく、排出板の前後位置を所定位置に容易に移動させることができる。
【0013】
第3の発明では、第2の発明において、前記塵芥積込機構は、前記塵芥投入箱に配置された昇降自在なスライダと、前記スライダに連結されて前後に回動可能な圧縮板と、を有し、前記コンテナ側アクチュエータは、前記スライダに連結された油圧シリンダからなるスライドシリンダと、前記圧縮板に連結された油圧シリンダからなる回動シリンダと、を有し、前記塵芥積込機構は、前記圧縮板が後方に回動するように前記回動シリンダを駆動する反転工程と、前記圧縮板が下降するように前記スライドシリンダを駆動する下降工程と、前記圧縮板が前方に回動するように前記回動シリンダを駆動する圧縮工程と、前記圧縮板が上昇するように前記スライドシリンダを駆動する上昇工程とを含む1サイクルの動作を塵芥積込時に行うように構成され、前記位置調整スイッチは、前記スライダを下降させるものである。
【0014】
第3の発明によれば、コンテナをキャリアから降ろすときとキャリアへ積み込むときとでスライドシリンダの伸縮量の違いが生じていた従来の塵芥収集コンテナと異なり、排出板を車両前側へ前進させた上で、積み降ろし(積み込みと降ろし)の際のスライダの上下位置を下降位置に容易に限定することができる。これにより、圧抜き手段を作動させて接続管の閉じ込め圧を低下させた場合であっても、キャリアからの作動油が持ち出しを容易に抑制することができる。
【0015】
第4の発明では、第3の発明において、前記位置調整スイッチは、一つのボタン操作で前記スライダの下降と前記排出板の前進とを連続的に行わせるように動作設定するものである。
【0016】
第4の発明によれば、スライダの下降と排出板の前進とをそれぞれ別の位置調整スイッチで動作設定する場合と比較して、容易に作業を行うことができる。また、スライダの下降と排出板の前進のどちらか一方の操作を忘れてしまうことを防ぐことができる。
【0017】
第5の発明では、第2~第4のいずれか1つの発明において、前記位置調整スイッチは、前記塵芥投入箱の後部操作部に設けられている。
【0018】
第5の発明によれば、作業者は、位置調整スイッチの操作に基づいた塵芥積込機構のスライダや排出板の位置調整を、塵芥積込機構の動きを間近で確認しながら行うことができる。これにより、スライダや排出板の位置調整中に塵芥積込機構に何かが巻き込まれることを防止することができ、安全である。
【0019】
第6の発明では、第2~第5のいずれか1つの発明において、前記コンテナ制御部には、前記排出板が最前進位置になったことを検出する排出板前進センサと、報知部とが接続され、前記コンテナ制御部は、前記排出板前進センサからの信号を受信したときに報知部で周囲に前記排出板が最前進位置になったことを知らせるように構成した。
【0020】
第6の発明によれば、作業者が排出板の位置調整を止めるタイミングを容易に知ることができる。これにより、作業者は、塵芥収集コンテナのキャリアへの積み降ろしの全体作業を容易に行うことができる。
【0021】
第7の発明では、第1~第6のいずれか1つの発明において、前記キャリアに設けられた運転室には、前記コンテナ側制御部に操作信号を送る前部操作部が設けられ、前記コンテナが前記キャリアに搭載されたコンテナ荷役車両である。
【0022】
第7の発明の発明によれば、コンテナ側制御部が、前部操作部からの信号と、位置調整スイッチからの信号とを受けて好適な制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るコンテナおよびコンテナ荷役車両によれば、位置調整スイッチの操作により、コンテナをキャリアへの積み込むときとキャリアから降ろすときとの両方でコンテナ側油圧アクチュエータの内部の作動油量が変化しないようにできる。その結果、キャリアから現地の油圧ユニットに作動油が持ち出されてしまうということを防ぐことができる。
また、コンテナ外壁部に設けられた専用の位置調整スイッチの操作により複数種類のコンテナ側油圧アクチュエータの位置調整を行うようにできるので、作業者は、キャリアからの作動油の持ち出しを容易に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るコンテナ荷役車両の側面図である。
図2】本実施形態のコンテナ荷役車両におけるキャリアの概略側面図である。
図3】本実施形態のコンテナの内部機構を示す概略側面図である。
図4】コンテナの後部操作部を示す要部拡大側面図である。
図5】コンテナのプレート位置調整動作を示す動作説明図である
図6】コンテナ荷役車両におけるキャリアとコンテナの油圧回路図である。
図7】コンテナ荷役車両の制御回路図である。
図8】コンテナ荷役車両において作業者によるコンテナ降ろし作業を示すフローチャートである。
図9】コンテナ制御部によるプレート位置調整動作の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るコンテナ荷役車両について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において前後、左右および上下方向とは、コンテナ荷役車両の運転室内の作業者から見た方向をいうものとする。
本実施形態のコンテナ荷役車両200は、図1に示すように、キャリア100に塵芥収集コンテナ1が積み降ろし可能(脱着可能)に搭載されたものである。
キャリア100では、図2に示すように、車台101上に運転室102と荷役装置110とが設けられている。
【0026】
荷役装置110は、車台101上に設けられたサブフレーム111とサブフレーム111に前後回動自在に設けられて先端が開口したアウターアーム112と、アウターアーム112の先端開口部に基端部が挿入されたL字アーム113と、サブフレーム111の後端部に設けられた案内ローラ116と、を備えている。サブフレーム111とアウターアーム112とはアーム回動シリンダ115(キャリア側アクチュエータ)により連結されており、アーム回動シリンダ115を伸縮させることによってアウターアーム112はL字アーム113と一体的に車両前後方向(図2の矢印E方向)へ回動可能となっている。また、L字アーム113は、アウターアーム112の内部に配置されたアーム伸縮シリンダ114(キャリア側アクチュエータ)によって、アウターアーム112に対してアウターアーム112の長手方向へ伸縮が可能となっている。L字アーム113の先端部には、フック113aが設けられている。このフック113aは、図1に示すように、塵芥収集コンテナ1の前端に設けられた係合ピン7と係合するようになっている。
そして、フック113aと係合ピン7とが係合状態でアウターアーム112およびL字アーム113を車両前後方向に回動させることで、塵芥収集コンテナ1はキャリア100に対し積み降ろしされるようになっている。
【0027】
アウターアーム112およびL字アーム113は、図1および図2に示すように、塵芥収集コンテナ1の積み降ろしの際には、アーム伸縮シリンダ114の収縮状態で回動されるようになっている。この動作は、作業者が運転室102に設けられたリモコン操作部104において、脱着操作スイッチ104aを操作することによって行われるようになっている。
なお、キャリア100の後端部には、塵芥収集コンテナ1の積み降ろしの際に収縮状態にされる伸縮式のバンパ103が設けられている。バンパ103は、塵芥収集コンテナ1の積み降ろしのときに脱着操作スイッチ104aを操作するのに連動して自動的に伸縮が行われるようになっている。
【0028】
塵芥収集コンテナ1は、図1および図3に示すように、塵芥収容箱2と、塵芥収容箱2の後端部に連設される塵芥投入箱3と、を備えている。
塵芥収容箱2は、前壁2bを有し、この前壁2bには係合ピン7が設けられている。また、塵芥収容箱2の後端は開口部2aとなっている。開口部2aの上縁部には収容箱ヒンジ部2dが設けられている。塵芥収容箱2の床部2eの底面側には、前後方向に延びて左右一対のコンテナ主桁4が設けられている。
【0029】
塵芥収容箱2の内部には、作業装置8の一部としての塵芥排出機構20が備わっている。塵芥排出機構20は、塵芥収容箱2に対し前後移動自在に設けられた排出板21と、排出板21と前壁2bとに端部が連結された排出シリンダ22と、を有している。
排出シリンダ22は、コンテナ側アクチュエータの一つであり、多段式の油圧シリンダからなる。排出板21は、塵芥収容箱2の内側面に車両前後方向に延びるように設けられたレール部2cと係合しており、排出シリンダ22の伸縮に従って、前後に動作される。
排出板21は、排出シリンダ22の最収縮状態において前壁2bの近傍まで前進する一方、排出シリンダ22の最伸長状態で開口部2aまで後退可能になっている。排出板21は、塵芥収容箱2の中に積み込まれたごみを開口部2aから排出するために設けられている。また、排出板21は、空荷のときには、開口部2a付近の所定の後退位置まで後退される。そして塵芥収容箱2に積み込まれるごみ量が増加するに従って、排出板21は、少しずつ開口部2aの方に前進するようになっている。これにより、ごみを適度に圧縮しながらごみの積込作業が可能になっている。
塵芥収容箱2の前壁2b内面側には、排出板21が最前進位置になったことを検出する近接センサ等の排出板前進センサ20cが設けられている。
【0030】
塵芥投入箱3は、上部の投入箱側ヒンジ部3aを塵芥収容箱2の収容箱ヒンジ部2dに連結して塵芥収容箱2に対して上下回動が可能となっている。
塵芥投入箱3は、後面側に塵芥投入口3bが設けられるとともに、前面側の上部から上下中間部にかけてディフレクタ3cが設けられている。また、塵芥投入箱3は、内部下方に内底部3dが設けられており、外部底面側には、図1に示すように塵芥収集コンテナ1をスムーズに積み降ろすためのローラ部6が設けられている。また、塵芥投入口3b近傍のコンテナ外壁部には、後部操作部30が設けられている。
【0031】
塵芥投入箱3の内部には、図3に示すように、作業装置8の一部としての塵芥積込機構10が備わっている。塵芥積込機構10は、塵芥投入口3bから投入されたごみを圧縮してディフレクタ3cの下方から塵芥収容箱2へごみを積み込むものである。
塵芥積込機構10は、ディフレクタ3cに沿って昇降自在に設けられたスライダ11と、スライダ11の下端部に連結されて前後に回動可能な圧縮板12と、を有する。
塵芥積込機構10は、コンテナ側アクチュエータにより動作される。具体的には、このコンテナ側アクチュエータは、塵芥投入箱3の側壁とスライダ11とに連結された油圧シリンダからなる左右一対のスライドシリンダ13(図6参照)と、スライダ11と圧縮板12に連結された油圧シリンダからなる左右一対の回動シリンダ14(図6参照)と、を有している。
塵芥積込機構10は、圧縮板12が後方に回動するように回動シリンダ14を駆動する反転工程(図3の矢印A)と、圧縮板12が下降するようにスライドシリンダ13を駆動する下降工程(図3の矢印B)と、圧縮板12が前方に回動するように回動シリンダ14を駆動する圧縮工程(図3の矢印C)と、圧縮板12が上昇するようにスライドシリンダ13を駆動する上昇工程(図3の矢印D)とを含む1サイクルの動作を塵芥積込時に行うように構成されている。
【0032】
上記構成の塵芥積込機構10は、後部操作部30によって操作される。図4に示すように、後部操作部30は、上下一列に並んだ積込スイッチ31と、下降スイッチ34と、上昇スイッチ33と、反転スイッチ32と、緊急停止ボタンスイッチ36とを有している。これらのスイッチは、押しボタン式となっている。
積込スイッチ31が一度押されると、圧縮板12が図3の1サイクル停止位置から反転工程、下降工程、圧縮工程、上昇行程を経て1サイクル停止位置に戻る動作が、一度行われる。
反転スイッチ32は、ごみが圧縮板12と内底部3dの間に噛み込む等したときにマニュアルで作業者が圧縮板12を反転させるものである。このマニュアルの反転動作は反転スイッチ32を押している間だけ行われる。
上昇スイッチ33は、反転スイッチ32と同様、ごみが圧縮板12と内底部3dの間に噛み込む等したときにマニュアルで作業者が圧縮板12を上昇させるものである。このマニュアルの上昇動作は上昇スイッチ33を押している間だけ行われる。
下降スイッチ34は、マニュアルで作業者が圧縮板12を下降させるものである。このマニュアルの下降動作は下降スイッチ34を押している間だけ行われる。
【0033】
ここで、本発明の特徴として、後部操作部30には、位置調整スイッチ35が設けられている。
位置調整スイッチ35は、塵芥収集コンテナ1をキャリア100へ積み込むときとキャリア100から降ろすときとの両方でコンテナ側油圧アクチュエータ(排出シリンダ22,スライドシリンダ13,回動シリンダ14)の停止位置(伸縮量)を合わせるためのものである。位置調整スイッチ35は、トグルスイッチからなり、塵芥収集コンテナ1のキャリア100へ積み降ろしのときにコンテナ側油圧アクチュエータの停止位置を合わせるモードである「脱着時」と、通常のごみの積込作業を行うモードである「作業時」のいずれかを選択できるようになっている。コンテナ側油圧アクチュエータの停止位置を合わせるというのは、スライダ11を下降させ、圧縮板12を前方へ回動させ、排出板21を車両前側へ前進させるようにすることである。
位置調整スイッチ35を「脱着時」にした場合、一つのボタン操作でスライダ11の下降と圧縮板12の前方回動と排出板21の前進とを連続的に行わせるように動作設定される。
【0034】
より具体的に説明する。位置調整スイッチ35を「作業時」に選択した場合、積込スイッチ31を押したときの動作は上述したように反転工程、下降工程、圧縮工程、上昇行程の1サイクル動作が行われる。一方、位置調整スイッチ35を「脱着時」に選択した場合、積込スイッチ31を押したときの動作が「作業時」から変更される。位置調整スイッチ35を「脱着時」に選択してから積込スイッチ31を押し続けた場合、図5に示すように、1サイクル停止位置の状態からスライダ11が圧縮板12とともに矢印F方向に下降し、圧縮板12が実線の圧縮位置で停止するようになっている。もし正規の1サイクル停止位置から始めることなく、圧縮板12が反転した状態からスライダ11が下降される場合には、スライダ11が下降した後に圧縮板12が前方に回動されて、圧縮板12が実線の圧縮位置で停止するようになっている。
【0035】
スライダ11が下降されて圧縮板12が圧縮位置になった後も積込スイッチ31を押し続けている場合、今度は排出板21が図5の二点鎖線の後退位置から矢印G方向に前進し、実線の最前進位置で停止されるようになっている。排出板21が最前進位置で停止された状態では、塵芥収容箱2の前壁2bに設けられた排出板前進センサ20cと排出板21に設けられた図示省略の被検知部とが近接状態となる。これにより、排出板前進センサ20cにより排出板21が最前進位置になったことが検知されるようになっている。この積込スイッチ31による一つのボタン操作でスライダ11の下降と排出板21の前進とを連続的に行わせる動作をプレート位置調整動作と呼ぶことにする。
【0036】
上述のプレート位置調整動作は、図1に示すように、キャリア100の運転室102に設けられた前部操作部50の積込排出切替スイッチ51において、「積込」が選択されている場合に行われるようになっている。この積込排出切替スイッチ51は、後述のコンテナ側制御部66(図7参照)に操作信号を送るために設けられており、作業者が運転室102の中において、積込作業を行うときに「積込」を選択し、排出作業を行うときには「排出」を選択するのが基本的な使い方である。
前部操作部50には、積込排出切替スイッチ51の他、投入箱開閉スイッチ52や排出動作スイッチ53が設けられている。排出作業を行うときは、積込排出切替スイッチ51を「排出」に切り替えた後、投入箱開閉スイッチ52を操作して塵芥投入箱3を上方回動させ、排出動作スイッチ53を操作して排出板21を後退させることによって、塵芥収容箱2に積み込まれたごみを排出可能となっている。ごみの排出後は排出動作スイッチ53を操作して排出板21を前進させることも可能になっている。しかし、排出動作スイッチ53は、ごみの排出のために排出板21のみを移動させるものであり、塵芥積込機構10のスライダ11の下降と排出板21の前進とを連続的に行わせることはできないようになっている。仮に運転室102内から塵芥積込機構10のスライダ11の下降と排出板21の前進とを連続的に行わせるとすれば、塵芥投入箱3の塵芥投入口3b付近に作業者がいないまま塵芥積込機構10を動作させることになり、危険である。
そこで、本実施形態では、作業者が運転室102内で積込排出切替スイッチ51の「積込」を選択した後に車両後方に回り、作業者が周囲の安全を確認しながら後部操作部30を使用してプレート位置調整動作を行わせるようになっている。
なお、従来の塵芥車や塵芥収集コンテナでは、後部操作部は塵芥積込機構の操作のみを行えるようになっており、本実施形態のように後部操作部30から排出板21を前進させることが可能なものはなかった。
【0037】
次に、図6を参照して、本実施形態のキャリア100に設けられるキャリア側油圧回路THCと、塵芥収集コンテナ1に設けられるコンテナ側油圧回路CHCについて説明する。
キャリア側油圧回路THCは、キャリア100の走行エンジン(図示せず)から動力を取り出して駆動される油圧ポンプ81と、アーム伸縮シリンダ114と、アーム回動シリンダ115と、バンパ伸縮シリンダ84と、キャリア側バルブユニット83と、作動油タンク82と、を備えている。油圧ポンプ81は、作動油タンク82の作動油を吐出し、その吐出油はキャリア側バルブユニット83を経て作動油タンク82に戻り、キャリア側バルブユニット83を経てアーム伸縮シリンダ114、アーム回動シリンダ115およびバンパ伸縮シリンダ84に圧油が供給される。また、キャリア側油圧回路THCには、キャリア側バルブユニット83に対する油圧配管から分岐されたキャリア上流側接続管85およびキャリア下流側接続管86が設けられている。キャリア上流側接続管85およびキャリア下流側接続管86は、フレキシブル油圧ホースからなる。
キャリア上流側接続管85は、油圧ポンプ81の吐出側の接続管であり、キャリア下流側接続管86は、作動油タンク82に戻る配管と接続される接続管である。キャリア上流側接続管85の端部には、プラグ型のキャリア上流側カプラ87が、キャリア下流側接続管86の端部には、ソケット型のキャリア下流側カプラ88が、それぞれ取り付けられている。
【0038】
コンテナ側油圧回路CHCは、スライドシリンダ13と、回動シリンダ14と、排出シリンダ22と、投入箱開閉シリンダ72と、コンテナ側バルブユニット71と、を備えている。
スライドシリンダ13および回動シリンダ14は上述の塵芥積込機構10に属してスライダ11および圧縮板12を駆動する油圧シリンダである。また、排出シリンダ22は、上述の塵芥排出機構20に属して排出板21を駆動する油圧シリンダである。また、投入箱開閉シリンダ72は、塵芥投入箱3を塵芥収容箱2に対して上下方向に回動させるための油圧シリンダである。また、ロックシリンダ73は、塵芥投入箱3を塵芥収容箱2に対してロックするための油圧シリンダである。スライドシリンダ13、回動シリンダ14、排出シリンダ22、投入箱開閉シリンダ72には、コンテナ側バルブユニット71を経て圧油が供給される。
【0039】
また、コンテナ側油圧回路CHCは、コンテナ側バルブユニット71に対する油圧配管から分岐されたコンテナ上流側接続管75およびコンテナ下流側接続管76が設けられている。コンテナ上流側接続管75およびコンテナ下流側接続管76は、鋼管からなる。コンテナ上流側接続管75は、油圧ポンプ81に対して吐出側となる接続管であり、コンテナ下流側接続管76は、作動油タンク82に戻る配管と接続される接続管である。コンテナ上流側接続管75の端部には、ソケット型のコンテナ上流側カプラ77が、コンテナ下流側接続管76の端部には、プラグ型のコンテナ下流側カプラ78が、それぞれ取り付けられている。コンテナ上流側カプラ77には、キャリア100側のキャリア上流側カプラ87が着脱可能に嵌入結合され、コンテナ下流側カプラ78には、キャリア下流側カプラ88が着脱可能に嵌入結合される。つまり、キャリア100のキャリア側油圧回路THCと塵芥収集コンテナ1のコンテナ側油圧回路CHCとは、油圧カップリングを介して接続されている。
【0040】
コンテナ下流側接続管76には、圧抜き手段90が介設されている。この圧抜き手段90は、圧抜き電磁弁91と圧抜きタンク92とを有している。圧抜きタンク92は大気開放されている。圧抜き電磁弁91は、通電されなくなると開作動する。つまり、電源供給がされていない塵芥収集コンテナ1のキャリア100への積込時には、圧抜き電磁弁91は消磁され、コンテナ下流側接続管76の圧油を圧抜きタンク92に逃がすようになっている。
【0041】
図7は、コンテナ荷役車両200における制御回路図である。この図7において、二点鎖線で四角に囲まれた領域(2個)内はキャリア100側に設けられた電気系統であり、それ以外は、塵芥収集コンテナ1側に設けられた電気系統である。キャリア100と塵芥収集コンテナ1の電気系統はコネクタ接続されており、塵芥収集コンテナ1のキャリア100への降ろし時に接続解除され、積込時に接続される。
塵芥収集コンテナ1には、塵芥積込機構10や塵芥排出機構20のコンテナ側アクチュエータの動作制御を行うコンテナ側制御部66(PLC(プログラマブル ロジック コントローラ))が設けられている。コンテナ側制御部66への電力供給は、図7の左上に示すバッテリ61によって行われる。このバッテリ61の正極から図7の右側に延びてグランドラインK1に至る通電ラインK2には、キャリア100のイグニッションスイッチ62、PTOスイッチ63、リレーコイル64等が介設されている。
【0042】
また、バッテリ61およびイグニッションスイッチ62の中間において通電ラインK2から分岐するように、通電ラインK3の上流端が接続されており、その上流側(バッテリBTに近い側)には、リレーコイル64に対応するリレースイッチ65が介設されている。通電ラインK3の下流端は、コンテナ側制御部66に接続されており、これにより、コンテナ側制御部66の信号用電力供給部(図示せず)に電力が供給されるようになっている。つまり、リレースイッチ65が閉じられると、通電ラインK3を介してコンテナ側制御部66に電力が供給される。
【0043】
また、通電ラインK3のリレースイッチ65よりも下流側の位置において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK4の上流端が接続されている。通電ラインK4から分岐されてコンテナ側制御部66に入力される通電ラインが複数設けられており、それら通電ラインの一つには、スライダ11の上昇位置を検出する上昇位置センサ10eが介設されている。
通電ラインK4の下流端には積込排出切替スイッチ51が設けられている。積込排出切替スイッチ51の積込側の接点には、通電ラインK5の上流端が接続されている。通電ラインK5から分岐されてコンテナ側制御部66に入力される通電ラインが複数設けられており、それぞれの通電ラインには、積込スイッチ31、反転スイッチ32、上昇スイッチ33、緊急停止ボタンスイッチ36が介設されている。
また、通電ラインK2上におけるイグニッションスイッチ62とPTOスイッチ63との間には、通電ラインK6の上流端が接続されている。通電ラインK6から分岐されてコンテナ側制御部66に入力される通電ラインが複数設けられており、それら通電ラインには、排出板21が最前進位置になったことを検出する排出板前進センサ20c、圧縮板12の反転位置を検出する反転位置センサ10f、スライダ11の下降位置を検出する下降位置センサ10g、圧縮板12の圧縮位置を検出する圧縮位置センサ10h等がそれぞれ介設されている。
【0044】
作業者による積込スイッチ31、反転スイッチ32、上昇スイッチ33、下降スイッチ34の操作入力や、上昇位置センサ10e、反転位置センサ10f、下降位置センサ10g、圧縮位置センサ10hの検出信号入力を受けて、コンテナ側制御部66は、コンテナ側バルブユニット71に設けられた各電磁弁のソレノイドに切換信号を出すようになっている。すなわち、コンテナ側制御部66には上昇ソレノイド10a、反転ソレノイド10b、下降ソレノイド10c、圧縮ソレノイド10d、排出板後退ソレノイド20a、排出板前進ソレノイド20b等が接続されており、これらにコンテナ側制御部66は制御信号を送るようになっている。
また、コンテナ側制御部66は、ブザー等の報知部67と接続されている。報知部67は、塵芥投入箱3に設けられている。コンテナ側制御部66は、スライダ11の下降を下降位置センサ10gにより検知し、圧縮板12の前方回動を圧縮位置センサ10hにより検知した上で、排出板21の排出板前進センサ20cからの信号を受信したときに、周囲に排出板21が最前進位置になったことを音で知らせるようになっている。
【0045】
通電ラインK4からは、通電ラインK7が分岐されている。この通電ラインK4の下流端部には、プレート移動規規制スイッチ68が接続されている。プレート移動規規制スイッチ68は、塵芥収容箱2の前壁2bの内壁に設けられている(図3参照)。プレート移動規規制スイッチ68は、メンテナンス時に前壁2bと排出板21の間に作業者が入り込むような場合にオンにして排出板21の動作を規制することにより、安全を確保するものである。プレート移動規規制スイッチ68がオンされれば、コンテナ側制御部66に入力されていた信号が切断される。
通電ラインK7とコンテナ側制御部66とをつなぐ通電ラインが設けられており、この通電ラインには、上述の位置調整スイッチ35が介設されている。位置調整スイッチ35は、作業者が「脱着時」を選択したときにオンとなり、その信号がコンテナ側制御部66に入力されるようになっている。コンテナ側制御部66は、位置調整スイッチ35からの信号入力があった場合、積込排出切替スイッチ51が「排出」に選択されていないことと、プレート移動規規制スイッチ68からの信号入力があることを条件に、積込スイッチ31の操作によるプレート位置調整動作を許可するようになっている。
【0046】
また、図7において、符号91aは、圧抜き手段90の圧抜き電磁弁91の圧抜きソレノイドである。圧抜きソレノイド91aは、塵芥収集コンテナ1がキャリア100に搭載されている場合、イグニッションスイッチ62をオンにすると励磁されて、図6の圧抜きタンク92へ作動油が流れないようになる。一方、塵芥収集コンテナ1のキャリア100に対する積み降ろし時には、圧抜きソレノイド92の通電ラインにつながる電気コネクタが外されており、圧抜きソレノイド92は消磁されるようになっている。この場合、圧抜きタンク92へ作動油が流れるようになって閉じ込め圧を下げることができる。
【0047】
次に、主に図7、および図8のフローチャートに基づいて、キャリア100から塵芥収集コンテナ1を降ろす際の作業者の行動を説明する。
まず、ステップS1において、キャリア100へ塵芥収集コンテナ1が搭載された状態で、作業者はコンテナ荷役車両200を運転してごみの収集現場まで向かい、エンジンをかけたまま車両停止させる。
次に、作業者は、キャリア100の運転室102内に設けられたPTOスイッチ63をオンにする(ステップS2)。すると、リレーコイル64が通電されてリレースイッチ65が閉じることにより、コンテナ側制御部66への各種スイッチ(積込スイッチ31等)の入力が有効となる。
次に、作業者は、前部操作部50の積込排出切替スイッチ51を「積込」に選択し(ステップS3)、運転室102から外に出て、車両後方へ移動する(ステップS4)。
【0048】
次に、作業者は、塵芥投入箱3の後部操作部30に設けられた位置調整スイッチ35を「脱着時」に選択する(ステップS5)。
次に、作業者は、後部操作部30に設けられた積込スイッチ31を押し、その押した状態を続ける(ステップS6)。すると、塵芥積込機構10のスライダ11および圧縮板12は、図5の矢印F方向に下降し、圧縮板12が実線の圧縮位置で停止する。それに連続して今度は、塵芥排出機構20の排出板21が図5の二点鎖線の後退位置から矢印G方向に前進し、実線の最前進位置まで前進する。作業者は、報知部67から音が発せられると、排出板21が最前進位置まできたと判断し、積込スイッチ31から手を離してオフにする(ステップS7)。
次に、作業者は後部操作部30の位置から運転室102へ移動し(ステップS8)、運転室102内のPTOスイッチ63をオフにする(ステップS9)。
次に、作業者は、再び運転室102の外へ出て、キャリア100と塵芥収集コンテナ1とを電気接続するための図示省略の電気コネクタの接続を解除するとともに、塵芥収集コンテナ1側のコンテナ上流側カプラ77,コンテナ下流側カプラ78とキャリア100側のキャリア上流側カプラ87,キャリア下流側カプラ88との結合を解除する(ステップS10)。
【0049】
次に、作業者は運転室102に戻ってPTOスイッチ63をオンにする(ステップS11)。そして、作業者は、リモコン操作部104の脱着操作スイッチ104aを操作し(「降ろし」を選択)、L字アーム113およびアウターアーム112を後方回動させる(ステップS12)。これにより、塵芥収集コンテナ1が地上に降ろされる。
上述のステップS1~S12では、キャリア100から塵芥収集コンテナ1を降ろす際の作業者の行動を説明したが、定置使用された塵芥収集コンテナ1をキャリア100に積み込む際には、作業者が降ろすときとは逆の行動を行う。
【0050】
次に、主に図7、および図9のフローチャートに基づいて、キャリア100から塵芥収集コンテナ1を降ろす際のコンテナ側制御部66の動作を説明する。
まず、ステップS21において、コンテナ側制御部66はイグニッションスイッチ62のオンにより起動される。
次に、コンテナ側制御部66は、積込排出切替スイッチ51が「排出」に選択されているかどうかを判断する(ステップS22)。積込排出切替スイッチ51が「排出」に選択されていなければ、コンテナ側制御部66は、積込スイッチ31が押されたかどうかを判断する(ステップS23)。
コンテナ側制御部66は、積込スイッチ31が押されたと判断したとき、位置調整スイッチ35が「脱着時」に選択されているかどうかを判断する(ステップS24)。
コンテナ側制御部66は、ステップS24で「脱着時」に選択されてないと判断した場合、すなわち、コンテナ側制御部66は、位置調整スイッチ35が「作業時」に選択されていると判断した場合には、通常のごみ積込作業を行うものとして塵芥積込機構10に反転工程、下降工程、圧縮工程、上昇行程の1サイクル動作を行わせる(ステップS25)。
【0051】
一方、コンテナ側制御部66は、ステップS24で位置調整スイッチ35が「脱着時」に選択されていると判断した場合、プレート移動規制スイッチ68がオフかどうかを判断する(ステップS26)。
コンテナ側制御部66は、プレート移動規制スイッチ68がオフである場合、排出板21を前進させることに問題ないものとして、これ以降、プレート位置調整動作を行う。
具体的には、コンテナ側制御部66は、下降位置センサ10gがオンかどうかを判断し、オンでない場合には、スライダ11が下降しきれていないものとして下降位置センサ10gがオンになるまでスライダ11を下降させる(ステップS27)。次に、コンテナ側制御部66は、圧縮位置センサ10hがオンかどうかを判断し、オンでない場合には、圧縮板12が前方に回動しきれていないものとして圧縮位置センサ10hがオンになるまで圧縮板12を前方に回動させる(ステップS28)。
【0052】
コンテナ側制御部66は、圧縮位置センサ10hがオンになれば圧縮板12の動作を停止させ、次に排出板前進センサ20cがオンかどうかを判断する。排出板前進センサ20cがオンでない場合には、排出板前進センサ20cが最前進位置に達していないものとして排出板前進センサ20cがオンになるまで排出板21を前進させる(ステップS29)。
コンテナ側制御部66は、排出板前進センサ20cがオンになると、圧縮板12が最前進位置に達したと認識し、排出板12の前進動作を停止させる。そして、コンテナ側制御部66は、ブザー等の報知部67によって後部操作部30の積込スイッチ31を操作している作業者に対しそのことを知らせる。
【0053】
-その他の実施形態-
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【0054】
例えば、上記実施形態では、作業者が位置調整スイッチ35を「脱着時」に選択した後、積込スイッチ31を押すことによって塵芥積込機構10のスライダ11の下降と塵芥排出機構20の排出板21の前進とを連続的に行われるようになっていたが、本発明はこれに限らず、積込スイッチを押すことによって排出板の前進のみが行われるように構成してもよい。また、位置調整スイッチを選択した後に積込スイッチを押すことによって排出板やスライダを動作させるのではなく、位置調整スイッチを操作するのみで排出板やスライダが動作するように構成してもよい。
また、上記実施形態では、塵芥収集コンテナ1に対して本発明を適用したが、本発明はこれに限らず、従来キャリアから降ろすときにキャリアから作動油を持ち出す問題があった種々のコンテナに対して適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 塵芥収集コンテナ(コンテナ)
2 塵芥収容箱
3 塵芥投入箱
8 作業装置
10 塵芥積込機構
11 スライダ
12 圧縮板
13 スライドシリンダ(コンテナ側アクチュエータ)
14 回動シリンダ(コンテナ側アクチュエータ)
20 塵芥排出機構
20c 排出板前進センサ
21 排出板
22 排出シリンダ
30 後部操作部
35 位置調整スイッチ
66 コンテナ制御部
67 報知部
77 コンテナ上流側カプラ(油圧カップリング)
78 コンテナ下流側カプラ(油圧カップリング)
87 キャリア上流側カプラ(油圧カップリング)
88 キャリア下流側カプラ(油圧カップリング)
100 キャリア
101 車台
102 運転室
110 荷役装置
200 コンテナ荷役車両
THC キャリア側油圧回路
CHC コンテナ側油圧回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9