(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】インタポーザ、ソケット、ソケット組立体、及び、配線板組立体
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20221221BHJP
H01R 33/76 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
G01R31/26 J
H01R33/76 505A
(21)【出願番号】P 2019053516
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川島 敬史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 明彦
(72)【発明者】
【氏名】奥 圭史
(72)【発明者】
【氏名】汐田 夏基
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-40571(JP,A)
【文献】特表2008-541056(JP,A)
【文献】特開2007-12475(JP,A)
【文献】特表2017-508306(JP,A)
【文献】特開2007-322420(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0269997(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0110504(US,A1)
【文献】特開平7-92232(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 31/28
G01R 1/073
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケットと配線板との間に介在するインタポーザであって、
前記インタポーザは、
前記ソケットの第1の接触子を挿入可能な第1の貫通孔を有する基板と、
前記基板に設けられた第1の導電路と、
前記基板に実装され、前記第1の導電路が接続されたコネクタと、を備えており、
前記第1の導電路は、前記ソケットの第2の接触子が接触可能な第1の接触部分を有するインタポーザ。
【請求項2】
請求項1に記載のインタポーザであって、
前記インタポーザは、前記第1の導電路に接続された回路をさらに備えたインタポーザ。
【請求項3】
DUTが電気的に接続されるソケットであって、
前記ソケットは、
前記DUTの第1の端子に接触可能な第1の端部を有する第1の接触子と、
前記DUTの第2の端子に接触可能な第2の端部を有する第2の接触子と、
前記第1の端部と前記第2の端部とが実質的に同一の仮想平面上に位置するように、前記第1の接触子と前記第2の接触子を保持する保持部材と、を備えており、
前記第2の接触子は、前記第1の接触子の長さよりも短い長さを有しており、
前記ソケットは、前記保持部材とインタポーザとの間に空気層を形成する空気層形成手段をさらに備え
ており、
前記保持部材は、
樹脂材料から構成され、前記第1の接触子を保持する第1の部分と、
金属材料から構成され、前記第2の接触子を保持する第2の部分と、を含み、
前記インタポーザが有する第1の導電路は、前記空気層を介して、前記第2の部分に対向するソケット。
【請求項4】
請求項1
又は2に記載のインタポーザと、
DUTが電気的に接続可能であると共に、前記インタポーザが取り付けられたソケットと、を備え、
前記ソケットは、
前記DUTの第1の端子に接触可能な第1の端部を有し、前記インタポーザの前記第1の貫通孔に挿入された第1の接触子と、
前記DUTの第2の端子に接触可能な第2の端部を有し、前記インタポーザの前記第1の接触部分に接触している第2の接触子と、
前記第1の端部と前記第2の端部とが実質的に同一平面上に位置するように、前記第1の接触子と前記第2の接触子を保持する保持部材と、を備え、
第2の接触子は、前記第1の接触子の長さよりも短い長さを有しているソケット組立体。
【請求項5】
請求項
4に記載のソケット組立体であって、
前記保持部材と前記インタポーザとの間に空気層が形成されているソケット組立体。
【請求項6】
請求項
4又は
5に記載のソケット組立体であって、
前記インタポーザの前記基板は、前記ソケットから露出する露出領域を有しており、
前記コネクタは、前記基板に対して前記ソケットと同じ側に位置するように、前記露出領域に設けられているソケット組立体。
【請求項7】
請求項1
又は2に記載のインタポーザと、
前記インタポーザが取り付けられた配線板と、を備え、
前記配線板は、前記インタポーザの前記第1の貫通孔に対向するように配置された第2の接触部分を有する第2の導電路を備えた配線板組立体。
【請求項8】
請求項
7に記載の配線板組立体であって、
前記配線板組立体は、
DUTが電気的に接続可能であると共に、前記インタポーザを介して前記配線板に取り付けられたソケットをさらに備え、
前記ソケットは、
前記DUTの第1の端子に接触可能な第1の端部を有し、前記インタポーザの前記第1の貫通孔に挿入されていると共に、前記配線板の前記第2の接触部分に接触している第1の接触子と、
前記DUTの第2の端子に接触可能な第2の端部を有し、前記インタポーザの前記第1の接触部分と接触している第2の接触子と、
前記第1の端部と前記第2の端部とが実質的に同一の仮想平面上に位置するように、前記第1の接触子と前記第2の接触子を保持する保持部材と、を備え、
前記第2の接触子は、前記第1の接触子の長さよりも短い長さを有している配線板組立体。
【請求項9】
請求項
8に記載の配線板組立体であって、
前記保持部材と前記インタポーザとの間に空気層が形成されている配線板組立体。
【請求項10】
請求項
8又は
9に記載の配線板組立体であって、
前記インタポーザの前記基板は、前記ソケットから露出する露出領域を有しており、
前記コネクタは、前記露出領域において前記配線板と対向する主面とは反対側の主面に実装されている配線板組立体。
【請求項11】
請求項
7~
9のいずれか一項に記載の配線板組立体であって、
前記配線板は、前記コネクタが挿入された第2の貫通孔を有している配線板組立体。
【請求項12】
請求項
7~
9のいずれか一項に記載の配線板組立体であって、
前記コネクタは、前記インタポーザの前記基板において前記配線板と対向する主面とは反対側の主面に実装されており、
前記基板は、前記コネクタが挿入された第3の貫通孔を有している配線板組立体。
【請求項13】
請求項5に記載のソケット組立体であって、
前記保持部材は、
樹脂材料から構成され、前記第1の接触子を保持する第1の部分と、
金属材料から構成され、前記第2の接触子を保持する第2の部分と、を含み、
前記第1の導電路は、前記空気層を介して、前記第2の部分に対向するように、前記基板に配置されているソケット組立体。
【請求項14】
請求項9に記載の配線板組立体であって、
前記保持部材は、
樹脂材料から構成され、前記第1の接触子を保持する第1の部分と、
金属材料から構成され、前記第2の接触子を保持する第2の部分と、を含み、
前記第1の導電路は、前記空気層を介して、前記第2の部分に対向するように、前記基板に配置されている配線板組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の被試験電子部品(DUT:Device Under Test)の試験に用いられるインタポーザ及びソケット、並びに、それらを備えたソケット組立体及び配線板組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被検査部品の外部端子と電気的に接続される接続端子を備えたソケットを、テストヘッドのロードボードに実装する技術が知られている(例えば特許文献1(段落[0038]及び
図1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高周波信号用の回路等の精細な回路をソケットとテストヘッドとの間に介在させる場合、上記の技術では、ロードボード上に当該回路を形成する必要があり、ロードボードの高コスト化を招来してしまう、という問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、低コスト化を図ることができるインタポーザ及びソケット、並びに、それらを備えたソケット組立体及び配線板組立体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明に係るインタポーザは、ソケットと配線板との間に介在するインタポーザであって、前記インタポーザは、前記ソケットの第1の接触子を挿入可能な第1の貫通孔を有する基板と、前記基板に設けられた第1の導電路と、を備えており、前記第1の導電路は、前記ソケットの第2の接触子が接触可能な第1の接触部分を有するインタポーザである。
【0007】
[2]上記発明において、前記インタポーザは、前記第1の導電路に接続された回路をさらに備えていてもよい。
【0008】
[3]上記発明において、前記インタポーザは、前記基板に実装され、前記第1の導電路が接続されたコネクタをさらに備えていてもよい。
【0009】
[4]本発明に係るソケットは、DUTが電気的に接続されるソケットであって、前記ソケットは、前記DUTの第1の端子に接触可能な第1の端部を有する第1の接触子と、前記DUTの第2の端子に接触可能な第2の端部を有する第2の接触子と、前記第1の端部と前記第2の端部とが実質的に同一の仮想平面上に位置するように、前記第1の接触子と前記第2の接触子を保持する保持部材と、を備えており、前記第2の接触子は、前記第1の接触子の長さよりも短い長さを有するソケットである。
【0010】
[5]上記発明において、前記ソケットは、前記保持部材とインタポーザとの間に空気層を形成する空気層形成手段をさらに備えていてもよい。
【0011】
[6]本発明に係るソケット組立体は、上記のインタポーザと、DUTが電気的に接続可能であると共に、前記インタポーザが取り付けられたソケットと、を備え、前記ソケットは、前記DUTの第1の端子に接触可能な第1の端部を有し、前記インタポーザの前記第1の貫通孔に挿入された第1の接触子と、前記DUTの第2の端子に接触可能な第2の端部を有し、前記インタポーザの前記第1の接触部分に接触している第2の接触子と、前記第1の端部と前記第2の端部とが実質的に同一平面上に位置するように、前記第1の接触子と前記第2の接触子を保持する保持部材と、を備え、第2の接触子は、前記第1の接触子の長さよりも短い長さを有しているソケット組立体である。
【0012】
[7]上記発明において、前記保持部材と前記インタポーザとの間に空気層が形成されていてもよい。
【0013】
[8]上記発明において、前記インタポーザの前記基板は、前記ソケットから露出する露出領域を有しており、前記コネクタは、前記基板に対して前記ソケットと同じ側に位置するように、前記露出領域に設けられていてもよい。
【0014】
[9]本発明に係る配線板組立体は、上記のインタポーザと、前記インタポーザが取り付けられた配線板と、を備え、前記配線板は、前記インタポーザの前記第1の貫通孔に対向するように配置された第2の接触部分を有する第2の導電路を備えた配線板組立体である。
【0015】
[10]上記発明において、前記配線板組立体は、前記インタポーザを介して前記配線板に取り付けられたソケットをさらに備え、前記ソケットは、前記DUTの第1の端子に接触可能な第1の端部を有し、前記インタポーザの前記第1の貫通孔に挿入されていると共に、前記配線板の前記第2の接触部分に接触している第1の接触子と、前記DUTの第2の端子に接触可能な第2の端部を有し、前記インタポーザの前記第1の接触部分と接触している第2の接触子と、前記第1の端部と前記第2の端部とが実質的に同一の仮想平面上に位置するように、前記第1の接触子と前記第2の接触子を保持する保持部材と、を備え、前記第2の接触子は、前記第1の接触子の長さよりも短い長さを有していてもよい。
【0016】
[11]上記発明において、前記保持部材と前記インタポーザとの間に空気層が形成されていてもよい。
【0017】
[12]上記発明において、前記インタポーザの前記基板は、前記ソケットから露出する露出領域を有しており、前記コネクタは、前記露出領域において前記配線板と対向する主面とは反対側の主面に実装されていてもよい。
【0018】
[13]上記発明において、前記配線板は、前記コネクタが挿入された第2の貫通孔を有していてもよい。
【0019】
[14]上記発明において、前記コネクタは、前記インタポーザの前記基板において前記配線板と対向する主面とは反対側の主面に実装されており、前記基板は、前記コネクタが挿入された第3の貫通孔を有していてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るインタポーザでは、ソケットの第1の接触子を挿入可能な第1の貫通孔を基板が有していると共に、当該ソケットの第2の接触子が接触可能な第1の接触部分を第1の導体部が含んでいる。また、これに対応するように、本発明に係るソケットでは、上記の第1及び第2の接触子の端部が実質的に同一の仮想平面上に位置していると共に、第2の接触子の長さが第1の接触子の長さよりも短くなっている。そのため、第1の接触子を配線板に接続すると共に、第2の接触子を回路が形成されたインタポーザに接続することができるので、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態における電子部品試験装置の全体構成を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態における配線板組立体を示す平面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態における配線板組立体を示す断面図であり、
図2のIII-III線に沿った図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態における配線板組立体の分解断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態におけるインタポーザを示す平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態におけるインタポーザの変形例を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1実施形態におけるテスト用配線板を示す平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態における配線板組立体を示す断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の第3実施形態における配線板組立体を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の第3実施形態におけるソケット組立体を示す底面図である。
【
図11】
図11は、本発明の第4実施形態における配線板組立体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明の第1実施形態における電子部品試験装置の全体構成を示す概略断面図である。
【0024】
本実施形態における電子部品試験装置1は、DUT90(
図3参照)の電気的特性を試験する装置である。試験対象であるDUT90の具体例としては、SoC(System on a chip)やロジック系のデバイスを例示することができる。なお、電子部品試験装置1の試験対象であるDUT90は、電子部品であれば特に上記に限定されず、例えば、メモリ系のデバイスであってもよい。
【0025】
この電子部品試験装置1は、
図1に示すように、DUT90をハンドリングするハンドラ2と、テスト時にDUT90に電気的に接続されるテストヘッド3と、テストヘッド3を介してDUT90に対して試験信号を送出し、当該DUT90のテストを実行するテスタ本体(メインフレーム)4と、を備えている。この電子部品試験装置1は、DUTに高温又は低温の熱ストレスを印加した状態でDUT90を試験し、当該試験結果に応じてDUT90を分類する。
【0026】
テストヘッド3の上部には、DUT90と当該テストヘッド3との間の電気的な接続を中継する配線板組立体5が装着されている。この配線板組立体5は、テスト用配線板10と、テスト用配線板10に実装されたソケット20と、テスト用配線板10とソケット20の間に介装されたインタポーザ30(
図3参照)と、を備えている。本実施形態におけるテスト用配線板10が、本発明における「配線板」の一例に相当する。
【0027】
ソケット20は、ハンドラ2に形成された開口2aを介してハンドラ2の内部に進入しており、ハンドラ2内を搬送されてきたDUT90がこのソケット20に押し付けられ、ソケット20にDUT90が電気的に接続される。
【0028】
特に図示しないが、ハンドラ2は、DUT90を保持して移動させるアームを有しており、このアームの先端には、DUT90の温度を調整する温度調整機構が設けられている。この温度調整機構によってDUT90に熱ストレスが印加された状態で、アームが当該DUT90をソケット20に押し付ける。
【0029】
以下に、本発明の第1実施形態における配線板組立体5の構成について、
図2~
図7を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図2及び
図3は本実施形態における配線板組立体を示す平面図及び断面図、
図4は本実施形態における配線板組立体の分解断面図、
図5は本実施形態におけるインタポーザを示す平面図、
図6は本実施形態におけるインタポーザの変形例を示す平面図、
図7は本実施形態におけるテスト用配線板を示す平面図である。
【0031】
ソケット20は、
図2~
図4に示すように、2種類のコンタクトプローブ21,22と、内側ハウジング23と、外側ハウジング26と、を備えている。
【0032】
本実施形態における第1のコンタクトプローブ21が本発明における「第1の接触子」の一例に相当し、本実施形態における第2のコンタクトプローブ22が本発明における「第2の接触子」の一例に相当し、本実施形態における内側ハウジング23が本発明における「保持部材」の一例に相当し、本実施形態における外側ハウジング26が本発明における「空気層形成手段」の一例に相当する。
【0033】
第1及び第2のコンタクトプローブ21,22は、特に限定されないが、いずれも所謂ポゴピン(POGO pin)である。
図3及び
図4に示すように、第1のコンタクトプローブ21は、プランジャ211がDUT90の第1の端子91に当接するように、内側ハウジング23に保持されている。このDUT90の第1の端子91は、低周波信号、電源、又は、グランド用の端子であり、第1のコンタクトプローブ21も、低周波信号、電源、又は、グランド用の接触子である。
【0034】
これに対し、第2のコンタクトプローブ22は、プランジャ221がDUT90の第2の端子92に当接するように、内側ハウジング23に保持されている。このDUT90の第2の端子92は、高周波信号用の端子であり、第2のコンタクトプローブ22も、高周波信号用の接触子である。
【0035】
内側ハウジング23は、
図2~
図4に示すように、第1の本体部24と第2の本体部25を備えた部材である。特に限定されないが、本実施形態では、第1の本体部24は、樹脂材料等の電気絶縁性を有する材料から構成されている。これに対し、第2の本体部25は、金属材料等の導電性を有する材料から構成されており、グランドに接続されている。
【0036】
第1の本体部24は、矩形板状の部材である。この第1の本体部24には、当該第1の本体部24を貫通する複数の保持孔241が形成されている。本実施形態では、16個の保持孔241が4行4列の配列で等間隔に配置されている。当該複数の保持孔241には第1のコンタクトプローブ21がそれぞれ挿入されている。保持孔241の内面に第1のコンタクトプローブ21の側面が接触しており、それぞれの第1のコンタクトプローブ21は第1の本体部24に直接保持されている。
【0037】
第2の本体部25は、第1の本体部24を囲む枠形状の部材である。この第2の本体部25の開口251に第1の本体部24が挿入されており、第1の本体部24は第2の本体部25によって保持されている。この第2の本体部25にも、当該第2の本体部25を貫通する複数の保持孔252が形成されている。本実施形態では、20個の保持孔252が開口251に沿って環状に配置されている。この第2の本体部25の保持孔252のピッチは、第1の本体部24の保持孔241のピッチと実質的に同一となっており、結果的に、36個の保持孔241,252が6行6列の配列で等間隔に配置されている。
【0038】
当該複数の保持孔252には第2のコンタクトプローブ22がそれぞれ挿入されている。この保持孔252の内径は、第2のコンタクトプローブ22の外径よりも大きくなっている。このため、第2のコンタクトプローブ22は、当該コンタクトプローブ22の上部及び下部に設けられた樹脂部材253を介して、第2の本体部25に保持されている。結果的に、樹脂部材253を除いて、保持孔252の内面と第2のコンタクトプローブ22の側面との間には空気層254が形成されており、この空気層254と金属製の第2の本体部25とによって、第2のコンタクトプローブ22の同軸構造が確保されている。
【0039】
なお、ソケット20が備える第1のコンタクトプローブ21の数や配置は特に上記に限定されない。また、ソケット20が備える第2のコンタクトプローブ22の数や配置も特に上記に限定されない。ソケット20が備えるコンタクトプローブ21,22の数や配置は、DUT90の端子91,92の数や配置に応じて設定される。
【0040】
本実施形態では、
図4に示すように、第1のコンタクトプローブ21のプランジャ211の先端と、第2のコンタクトプローブ22のプランジャ221の先端とが、実質的に同一の仮想平面VP上に位置している。また、本実施形態では、第2のコンタクトプローブ22の全長L
2は、第1のコンタクトプローブ21の全長L
1よりも短くなっている(L
2<L
1)。
【0041】
このため、第2のコンタクトプローブ22の下側の端部が、第1のコンタクトプローブ21の下側の端部よりも上方に位置しており、第2のコンタクトプローブ22の下側の端部と第1のコンタクトプローブ21の下側の端部との間に段差が形成されている。第1及び第2のコンタクトプローブ21,22がこのような段差構造を有していることにより、本実施形態では、第2のコンタクトプローブ22がインタポーザ30に接触しているのに対し、第1のコンタクトプローブ21がインタポーザ30を貫通してテスト用配線板10に接触している。
【0042】
本実施形態における第1のコンタクトプローブ21のプランジャ211の先端が本発明における「第1の端部」の一例に相当し、本実施形態における第2のコンタクトプローブ22のプランジャ221の先端が本発明における「第2の端部」の一例に相当する。
【0043】
外側ハウジング26は、矩形枠形状を有している。この外側ハウジング26の開口261は、第1の部分262と、第2の部分263と、第3の部分264と、を備えている。
【0044】
第1の部分262は、テスト用配線板10とは反対側(図中の上方)に向かって開口している。この第1の部分262は、外側に向かうに従ってテーパ状に広がっている。第2の部分262は、この第1の部分261と繋がっており、DUT90の外形よりも大きな内形を有している。DUT90は、この第1及び第2の部分262,263を介して、外側ハウジング26内に進入する。
【0045】
この第2の部分263の内面には、溝263aが全周に亘って形成されている。この溝263aに内側ハウジング23の外縁が入り込んでいることで、内側ハウジング23が外側ハウジング26に保持されている。第1及び第2の部分262,263を介してDUT90が外側ハウジング26内に進入すると、当該DUT90の端子91,92が、内側ハウジング23に保持されたコンタクトプローブ21,22の先端に接触する。
【0046】
一方、第3の部分264は、テスト用配線板10に向かって開口している。この第3の部分264は、第2の部分263の内形よりも大きい内形を有しており、第2の部分263と第3の部分264との間に段差が形成されている。この第3の部分264の内形は、インタポーザ30の外形よりも大きくなっており、インタポーザ30がこの第3の部分264内に収容されている。この際、当該インタポーザ30と内側ハウジング23との間の所定の間隔(すなわち空気層35)が形成されるように、外側ハウジング26は内側ハウジング23を保持している。
【0047】
インタポーザ30は、
図3~
図5に示すように、基板31と、配線パターン32と、回路33と、同軸コネクタ34と、を備えている。本実施形態における基板31が本発明における「基板」の一例に相当し、本実施形態における配線パターン32が本発明における「第1の導電路」の一例に相当し、本実施形態における同軸コネクタ34が本発明における「コネクタ」の一例に相当する。
【0048】
基板31は、電気絶縁性を有する材料から構成されている。特に限定されないが、この基板31を構成する材料としては、例えば、樹脂材料、シリコン、ガラス、又は、セラミックス等を例示することができる。基板31を構成する樹脂材料の具体例としては、ポリイミド(PI)やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を挙げることができる。
【0049】
本実施形態では、この基板31は、ソケット20の外形よりも小さな外形を有している。また、この基板31には、16個の貫通孔311が4行4列の配列で形成されている。この貫通孔311は、内側ハウジング23の第1の本体部24の保持孔241と同軸上に配置されており、それぞれの貫通孔311に第1のコンタクトプローブ21が挿入されている。
【0050】
なお、基板31が有する貫通孔311の数や配置は、特に上記に限定されず、第1のコンタクトプローブ21の数や配置に応じて設定される。本実施形態における貫通孔311が、本発明における「第1の貫通孔」の一例に相当する。
【0051】
また、この基板31には、一対の貫通孔312が形成されている。この貫通孔312は、当該基板31を貫通しており、それぞれの貫通孔312には同軸コネクタ34の嵌合部341が挿入されている。本実施形態における貫通孔312が、本発明における「第3の貫通孔」の一例に相当する。
【0052】
なお、
図6に示すように、16個の貫通孔311に代えて、基板31に1つの貫通孔311’が形成されていてもよい。この貫通孔311’は、内側ハウジング23の第1の本体部24の全ての保持孔241に対向するような形状を有している。
【0053】
図3~
図5に戻り、基板31の上面31aには配線パターン32が設けられている。この配線パターン32は、基板31の上面31aを線状に延在しており、その一端にパッド321を有している。このパッド321は、内側ハウジング23の第2の本体部25の保持孔252に対向するように配置されており、第2のコンタクトプローブ22がこのパッド321に接触している。
【0054】
なお、このパッド331の数や配置は、特に上記に限定されず、第2のコンタクトプローブ22の数や配置に応じて設定される。本実施形態におけるパッド331が、本発明における「第1の接触部分」の一例に相当する。
【0055】
本実施形態では、この配線パターン32に回路33が設けられている。この回路33は、高周波信号用の精細な回路であり、基板31の上面31aに直接形成された部分(配線パターンや抵抗体等)と、当該上面31aに実装された部分(電子部品等)と、の少なくとも一方を含んでいる。特に限定されないが、この回路部34の具体例としては、例えば、ミリ波帯信号分配回路を例示することができる。
【0056】
配線パターン32の他端には、同軸コネクタ34が接続されている。この同軸コネクタ34は、SMT(Surface Mount Type)タイプの同軸コネクタであり、相手方の同軸コネクタ50と嵌合する筒状の嵌合部341と、当該嵌合部341を支持するベース部342と、を有している。
【0057】
この同軸コネクタ34は、ベース部342が基板31の上面31a側に位置すると共に嵌合部341が基板31の貫通孔312に挿入された状態で、基板31の上面31aに実装されている。より具体的には、ベース部342が、基板31の上面31a上で配線パターン32の他端と接続されており、嵌合部341が、当該ベース部342から下方に向かって突出して、貫通孔312を介して基板31を貫通している。相手方の同軸コネクタ50は、同軸コネクタ34の嵌合部341に下方から接続される。この相手方の同軸コネクタ50から同軸ケーブル51が導出している。
【0058】
なお、
図8に示すように、嵌合部341が上方に突出した状態で同軸コネクタ34を基板31の上面31aに実装してもよい。
図8は本発明の第2実施形態における配線板組立体5Bを示す断面図である。この場合には、基板31Bの幅をソケット20の幅よりも広くすることで、当該基板31Bにソケット20から露出する露出領域313を設け、当該露出領域313の上面31aに同軸コネクタ34を実装する。
【0059】
また、特に図示しないが、基板31の下面31bに同軸コネクタ34を実装してもよい。この場合には、第1の導電路は、配線パターン32に加えて、ビア等の基板31を貫通する貫通導電路を含む。
【0060】
テスト用配線板10は、所謂パフォーマンスボード(ロードボード)である。このテスト用配線板10は、
図3、
図4及び
図7に示すように、電気絶縁性を有する材料から構成された基板11と、当該基板11に設けられた導電路12と、基板11の下面11bに実装されたコネクタ13と、を備えている。なお、テスト用配線板10が、所謂ソケットボードであってもよい。本実施形態における導電路12が、本発明における「第2の導電路」の一例に相当する。
【0061】
基板11には、一対の貫通孔111が形成されている。それぞれの貫通孔111は、インタポーザ30の同軸コネクタ34に対応するように配置されており、当該基板11を貫通している。本実施形態における貫通孔111が、本発明における「第2の貫通孔」の一例に相当する。
【0062】
導電路12は、基板11の上面11a及び/又は下面11bに設けられた配線パターンや当該基板11を貫通するビア等から構成されており、その一端にパッド121を有している。このパッド121は、インタポーザ30の貫通孔311に対向するように配置されている。それぞれのパッド121に第1のコンタクトプローブ21が接触している。なお、図示の便宜上、
図3等では、パッド121が基板11に埋設されているが、実際には、基板11の上面11a上に設けられている。
【0063】
このパッド121の数や配置は、特に上記に限定されず、第1のコンタクトプローブ21の数や配置に応じて設定される。本実施形態におけるパッド121が、本発明における「第2の接触部分」の一例に相当する。
【0064】
この配線パターン12の他端は、コネクタ13に接続されている。このコネクタ13に嵌合する相手側のコネクタ60からケーブル61が導出している。なお、コネクタ13,60は、低周波信号、電源、又は、グランド用のコネクタであるため、上述の同軸コネクタ34,50とは異なり、同軸構造を有していない。
【0065】
以上に説明したテスト用配線板10、ソケット20、及び、インタポーザ30は、以下のように組み立てられる。
【0066】
すなわち、
図3及び
図4に示すように、ソケット20とテスト用配線板10との間にインタポーザ30を挟んだ状態で、ソケット20をテスト用配線板10に取り付ける。この際、第1のコンタクトプローブ21をインタポーザ30の貫通孔311を介してテスト用配線板10のパッド121に接触させると共に、第2のコンタクトプローブ22をインタポーザ30のパッド321に接触させる。また、同軸コネクタ34をテスト用配線板10の貫通孔111に挿入する。
【0067】
次いで、ボルト41を、外側ハウジング26及びテスト用配線板10の固定孔265,112に挿入して、ナット42と螺合する。これにより、ソケット20がテスト用配線板10に固定されると共に、ソケット20とテスト用配線板10によってインタポーザ30が挟持され、配線板組立体5が完成する。なお、テスト用配線板10へのソケット20の固定方法は、特に限定されず、ボルト締結以外の方法であってもよい。
【0068】
本実施形態では、上記のようにソケット20がテスト用配線板10に固定された状態において、インタポーザ30がソケット20の外側ハウジング26の開口261の第3の部分264に収容され、インタポーザ30と内側ハウジング23との間に空気層35が形成されている。この空気層35と金属製の第2の本体部25とによって、インタポーザ30の配線パターン32のマイクロストリップライン構造が確保されている。
【0069】
なお、特に図示しないが、例えば、インタポーザ30の基板31の下面31bにグランドの配線パターンを形成することで、インタポーザ30の配線パターン32のストリップライン構造を確保してもよい。
【0070】
なお、
図9に示すように、ソケット20とインタポーザ30から構成されるソケット組立体6を予め組み立てておき、当該ソケット組立体6をテスト用配線板10に取り付けるように構成してもよい。この場合には、
図10に示すように、インタポーザ30がボルト
45によってソケット20に固定されることで、ソケット組立体6が構成されている。なお、インタポーザ30をソケット20に固定する方法は、特に限定されず、ボルト締結以外の方法であってもよい。
図9は本発明の第3実施形態における配線板組立体5Cを示す断面図、
図10は本発明の第3実施形態におけるソケット組立体6を示す底面図である。
【0071】
或いは、
図11に示すように、テスト用配線板10とインタポーザ30から構成される配線板組立体5Dを予め組み立てておき、当該配線板組立体5Dにソケット20を取り付けるように構成してもよい。この場合には、インタポーザ30がテスト用配線板10に固定されていてもよいし、インタポーザ30がテスト用配線板10に固定されずに単に載置されているだけであってもよい。
図11は本発明の第4実施形態における配線板組立体5Dを示す断面図である。
【0072】
図3及び
図4に戻り、配線板組立体5が完成したら、当該配線板組立体5をテストヘッド3に装着する。具体的には、インタポーザ30の同軸コネクタ34に相手方の同軸コネクタ50を接続すると共に、テスト用配線板10のコネクタ13に相手方のコネクタ60を接続する。これにより、配線板組立体5がテストヘッド3に電気的に接続される。
【0073】
そして、本実施形態の配線板組立体5を用いたDUT90のテストでは、第1のコンタクトプローブ21が当該DUT90の第1の端子91に接触すると共に、第2のコンタクトプローブ22が当該DUT90の第2の端子92に接触する。
【0074】
このため、高周波信号に関しては、第2のコンタクトプローブ22、インタポーザ30(配線パターン32、回路33、及び、同軸コネクタ34)、同軸コネクタ50、及び、同軸ケーブル51を介して、DUT90の第2の端子92とテストヘッド3とが電気的に接続される。一方、低周波信号、電源、及び、グランドに関しては、第1のコンタクトプローブ21、テスト用配線板10(導電路12、及び、コネクタ13)、コネクタ60、及び、コネクタ61を介して、DUT90の第1の端子91とテストヘッド3とが電気的に接続される。
【0075】
すなわち、本実施形態では、高周波信号用の経路が、低周波信号、電源、及び、グランド用の経路から独立しており、インタポーザ30を介してDUT90とテストヘッド3とが電気的に接続される。このため、ミリ波帯信号分配回路等の高周波信号用の精細な回路33を、大きなテスト用配線板10ではなく、当該テスト用配線板10よりも小さなインタポーザ30に形成することができ、低コスト化を図ることができる。
【0076】
特に、本実施形態のインタポーザ30では、第1のコンタクトプローブ21を挿入可能な貫通孔311を基板31が有していると共に、第2のコンタクトプローブ22が接触可能なパッド321を配線パターン32が有している。このため、低周波信号、電源、及び、グランド用の第1のコンタクトプローブ21をテスト用配線板10に接続するのに対し、高周波信号用の第2のコンタクトプローブ22を、高周波用の回路33を備えたインタポーザ30に接続することができる。
【0077】
また、本実施形態のソケット20では、第1のコンタクトプローブ21の先端と、第2のコンタクトプローブ22の先端とが実質的に同一の仮想平面VP上に位置していると共に、第2のコンタクトプローブ22の全長L2が、第1のコンタクトプローブ21の全長L1よりも短くなっている(L2<L1)。このため、第1のコンタクトプローブ21をテスト用配線板10に接続するのに対し、第2のコンタクトプローブ22をインタポーザ30に接続することができる。
【0078】
また、本実施形態では、テスト用配線板10よりもDUT90の近くにインタポーザ30を配置し、当該インタポーザ30に回路33を形成するので、DUT90の試験の精度の向上を図ることもできる。
【0079】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0080】
5,5B~5D…配線板組立体
6…ソケット組立体
10…テスト用配線板
11…基板
111…貫通孔
12…導電路
121…パッド
20…ソケット
21,22…コンタクトプローブ
23…内側ハウジング
26…外側ハウジング
30…インタポーザ
31…基板
311…貫通孔
312…貫通孔
313…露出領域
32…配線パターン
321…パッド
33…回路
34…同軸コネクタ
35…空気層
90…DUT