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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】課金装置、課金方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20221221BHJP
   G08G 1/14 20060101ALI20221221BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20221221BHJP
【FI】
G07B15/00 N
G08G1/14 A
G06Q50/10
G07B15/00 510
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019067298
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020166631
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】野口 順平
(72)【発明者】
【氏名】杉原 智衣
(72)【発明者】
【氏名】田口 龍馬
(72)【発明者】
【氏名】高田 雄太
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-079469(JP,A)
【文献】特開2018-151858(JP,A)
【文献】特開2018-145655(JP,A)
【文献】特開平07-037130(JP,A)
【文献】特開2007-183752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00 - 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の利用者が車両からの降車または車両への乗車を行うためのスペースとして前記駐車場に付随して設けられる乗降場に関し、前記乗降場を利用する車両および前記車両の乗員構成を認識する認識部と、
前記車両の前記乗降場付近の滞在時間を測定する測定部と、
前記認識部による認識結果と、前記測定部によって測定された前記滞在時間とに基づいて前記乗降場の利用料金を含む前記駐車場の利用料金を決定する決定部と、
を備える、課金装置。
【請求項2】
前記認識部は、前記車両に乗車したまたは乗車しようとしているユーザの数を前記乗員構成として認識し、
前記決定部は、前記ユーザの数に応じて前記車両に対して前記乗降場の利用を許容する基本時間を計算し、前記測定部により測定された前記滞在時間が前記基本時間より短い場合、前記ユーザに報酬を与える、
請求項1に記載の課金装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記報酬の発生を事前予測し、前記事前予測した結果を前記ユーザに通知する、
請求項2に記載の課金装置。
【請求項4】
前記報酬は、前記利用料金の課金レートをより割安なレートに変更すること、前記乗降場の利用に対する料金の割引または値引きのうち少なくともいずれかを提供することである、
請求項2または3に記載の課金装置。
【請求項5】
前記認識部は、前記車両に乗車したまたは乗車しようとしているユーザの数を前記乗員構成として認識し
前記決定部は、前記ユーザの数に応じて前記車両に対して前記乗降場の利用を許容する基本時間を計算し、前記測定部により測定された前記滞在時間が前記基本時間より長い場合、前記ユーザにペナルティを与える、
請求項1から4のうちいずれか1項に記載の課金装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記ペナルティの発生を事前予測し、前記事前予測した結果を前記ユーザに通知する、
請求項5に記載の課金装置。
【請求項7】
前記ペナルティは、前記利用料金の課金レートをより割高なレートに変更することと、前記利用料金に加えて追加料金を徴収することのうち少なくとも一方である、
請求項5または6に記載の課金装置。
【請求項8】
前記認識部は、前記車両に乗車したまたは乗車しようとしているユーザの種別を前記乗員構成として認識し、
前記決定部は、前記ユーザの種別に応じて前記車両に対して前記乗降場の利用を許容する基本時間を計算する、
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の課金装置。
【請求項9】
前記駐車場および前記乗降場の混雑情報に基づいて、前記車両のユーザに出庫時間の変更を提案する出庫時間提案部をさらに備える、
請求項1から8のうちいずれか1項に記載の課金装置。
【請求項10】
前記出庫時間提案部は、前記駐車場および前記乗降場の混雑情報に基づいて、前記ユーザの出庫予定時間における前記乗降場の混雑度合を予測し、混雑度合が閾値以上である場合に前記ユーザに前記混雑度合が閾値未満の出庫時間に変更するよう提案し、
前記決定部は、前記ユーザが前記出庫時間提案部による提案に同意して出庫時間を変更した場合に前記ユーザに報酬を与えると決定する、
請求項9に記載の課金装置。
【請求項11】
コンピュータが、
駐車場の利用者が車両からの降車または車両への乗車を行うためのスペースとして前記駐車場に付随して設けられる乗降場に関し、前記乗降場を利用する車両および前記車両の乗員構成を認識し、
前記車両の前記乗降場付近の滞在時間を測定し、
前記車両および前記車両の乗員構成の認識結果と、測定された前記滞在時間とに基づいて前記乗降場の利用料金を含む前記駐車場の利用料金を決定する、
課金方法。
【請求項12】
コンピュータに、
駐車場の利用者が車両からの降車または車両への乗車を行うためのスペースとして前記駐車場に付随して設けられる乗降場に関し、前記乗降場を利用する車両および前記車両の乗員構成を認識させ、
前記車両の前記乗降場付近の滞在時間を測定させ、
前記車両および前記車両の乗員構成の認識結果と、測定された前記滞在時間とに基づいて前記乗降場の利用料金を含む前記駐車場の利用料金を決定させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金装置、課金方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両を自動的に制御することについて研究が進められている。これに関連して、自動バレーパーキングに適した乗降場を有する駐車場についての技術が開示されている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、降車と乗車のエリアを一体にした乗降場を設け、入庫状況および出庫状況の判定結果に応じて乗降エリアにおける乗車専用エリアと降車専用エリアの割合を変更することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-145655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、乗降場を先に利用開始した車両が長時間乗降エリアを占有する可能性があり、乗降場が混雑する可能性があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、乗降場の混雑を緩和することができる課金装置、課金方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る課金装置、課金方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る課金装置は、駐車場の乗降場を利用する車両および前記車両の乗員構成を認識する認識部と、前記車両の前記乗降場付近の滞在時間を測定する測定部と、前記認識部による認識結果に基づいて前記乗降場の利用料金を決定する決定部と備える課金装置である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記認識部は、前記車両に乗車したまたは乗車しようとしているユーザの数を前記乗員構成として認識し、前記決定部は、前記ユーザの数に応じて前記車両に対して前記乗降場の利用を許容する基本時間を計算し、前記認識部により認識された前記滞在時間が前記基本時間より短い場合、前記ユーザに報酬を与えるものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記決定部は、前記報酬の発生を事前予測し、前記事前予測した結果を前記ユーザに通知するものである。
【0009】
(4):上記(2)または(3)の態様において、前記報酬は、前記利用料金の課金レートをより割安なレートに変更すること、前記乗降場の利用に対する料金の割引または値引きのうち少なくともいずれかを提供することであるものである。
【0010】
(5):上記(1)から(4)のいずれかの態様において、前記認識部は、前記車両に乗車したまたは乗車しようとしているユーザの数を前記乗員構成として認識し
前記決定部は、前記ユーザの数に応じて前記車両に対して前記乗降場の利用を許容する基本時間を計算し、前記認識部により認識された前記滞在時間が前記基本時間より長い場合、前記ユーザにペナルティを与えるものである。
【0011】
(6):上記(5)の態様において、前記決定部は、前記ペナルティの発生を事前予測し、前記事前予測した結果を前記ユーザに通知することである。
【0012】
(7):上記(5)または(6)の態様において前記ペナルティは、前記利用料金の課金レートをより割高なレートに変更することと、前記利用料金に加えて追加料金を徴収することのうち少なくとも一方であるものである。
【0013】
(8):上記(1)から(7)のいずれかの態様において、前記認識部は、前記車両に乗車したまたは乗車しようとしているユーザの種別を前記乗員構成として認識し、前記決定部は、前記ユーザの種別に応じて前記車両に対して前記乗降場の利用を許容する基本時間を計算するものである。
【0014】
(9):上記(1)から(8)のいずれかの態様において、前記駐車場および前記乗降場の混雑情報に基づいて、前記車両のユーザに出庫時間の変更を提案する出庫時間提案部をさらに備えるものである。
【0015】
(10):上記(9)の態様において、前記出庫時間提案部は、前記駐車場および前記乗降場の混雑情報に基づいて、前記ユーザの出庫予定時間における前記乗降場の混雑度合を予測し、混雑度合が閾値以上である場合に前記ユーザに前記混雑度合が閾値未満の出庫時間に変更するよう提案し、前記決定部は、前記ユーザが前記出庫時間提案部による提案に同意して出庫時間を変更した場合に前記ユーザに報酬を与えると決定するものである。
【0016】
(11):この発明の一態様に係る課金方法は、コンピュータが、駐車場の乗降場にいる車両および前記車両の乗員構成を認識し、前記車両の前記乗降場付近の滞在時間を測定し、認識結果に基づいて前記乗降場の利用料金を決定する、課金方法である。
【0017】
(12):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、駐車場の乗降場にいる車両および前記車両の乗員構成を認識させ、前記車両の前記乗降場付近の滞在時間を測定させ、認識結果に基づいて前記乗降場の利用料金を決定させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0018】
(1)~(12)によれば、乗降場の混雑を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】車両システム1の構成図である。
図2】第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。
図3】自走駐車イベントが実行される場面を模式的に示す図である。
図4】駐車場管理装置400の構成の一例を示す図である。
図5】課金装置500の構成の一例を示す図である。
図6】課金レート582の一例を示す図である。
図7】駐車場混雑情報564の一例を示す図である。
図8】ユーザ種別566の一例を示す図である。
図9】駐車場管理装置400および課金装置500の処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
図10】課金装置500の課金処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】課金装置500の課金処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】実施形態の課金装置500のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の課金装置、課金方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0021】
[全体構成]
図1は、車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0022】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、運転操作子80と、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0023】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0024】
レーダ装置12は、車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0025】
ファインダ14は、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダ14は、車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダ14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダ14は、車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0026】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。
【0027】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、車両のユーザが利用する端末(以下、ユーザ端末T)、車両Mの周辺に存在する他車両または駐車場管理装置(後述)、課金装置(後述)、或いは各種サーバ装置と通信する。
【0028】
HMI30は、車両Mのユーザに対して各種情報を提示すると共に、ユーザによる入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0029】
車両センサ40は、車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0030】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、車両Mの位置を特定する。車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いてユーザにより入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、ユーザの保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
【0031】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0032】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
【0033】
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。
【0034】
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160とを備える。第1制御部120と第2制御部160は、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで自動運転制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0035】
図2は、第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140とを備える。第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示などがある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
【0036】
認識部130は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、車両Mの周辺にある物体の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
【0037】
また、認識部130は、例えば、車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、認識部130は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、認識部130は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、認識部130は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。
【0038】
認識部130は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する車両Mの位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部130は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する車両Mの相対位置として認識してもよい。
【0039】
認識部130は、後述する自走駐車イベントにおいて起動する駐車スペース認識部132を備える。駐車スペース認識部132の機能の詳細については後述する。
【0040】
行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、車両Mの周辺状況に対応できるように、車両Mが自動的に(運転者の操作に依らずに)将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
【0041】
行動計画生成部140は、目標軌道を生成するにあたり、自動運転のイベントを設定してよい。自動運転のイベントには、定速走行イベント、低速追従走行イベント、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベント、テイクオーバーイベント、バレーパーキングなどにおいて無人走行して駐車する自走駐車イベントなどがある。行動計画生成部140は、起動させたイベントに応じた目標軌道を生成する。行動計画生成部140は、自走駐車イベントを実行する場合に起動する自走駐車制御部142を備える。自走駐車制御部142の機能の詳細については後述する。
【0042】
第2制御部160は、行動計画生成部140によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0043】
図2に戻り、第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部140により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
【0044】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECU(Electronic Control Unit)とを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0045】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0046】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0047】
[自走駐車イベント-入庫時]
自走駐車制御部142は、例えば、通信装置20によって駐車場管理装置400から取得された情報に基づいて、車両Mを駐車スペース内に駐車させる。図3は、自走駐車イベントが実行される場面を模式的に示す図である。なお、以下の説明において駐車場PAの一部または全部においてバレーパーキング方式が採用されているものとして説明する。車両Mのユーザ(乗員)は、駐車場利用前にバレーパーキング方式の駐車場に入庫するか、手動駐車方式の駐車場に入庫するかを選択する。手動駐車方式の駐車場に入庫する場合、ユーザは駐車スペースPSに到着するまで車両Mに乗車している。手動駐車方式の駐車場から出庫する場合、ユーザが自ら駐車スペースPSまで移動して車両Mに乗車してから車両Mを発進させる。一方、バレーパーキング方式の駐車場に入庫する場合、ユーザは駐車スペースの手前の専用位置(以下、停止エリア310)に車両Mを停止させ、停止エリア310に隣接する乗降エリア320を利用して車両Mから降車する。バレーパーキング方式の駐車場に入庫した場合、ユーザは乗車時も同様に、乗降エリア320を利用して車両Mに乗車する。バレーパーキング方式の駐車場におけるユーザ降車後の車両Mの駐車方法については後述する。停止エリア310および乗降エリア320を合わせたものが「乗降場」の一例である。
【0048】
図3の道路Rdから訪問先施設に至るまでの経路には、ゲート300-inおよび300-outが設けられている。車両Mは、手動運転または自動運転によって、ゲート300-inを通過して停止エリア310まで進行する。停止エリア310は、訪問先施設に接続されている乗降エリア320に面している。乗降エリア320には、雨や雪を避けるための庇が設けられている。乗降エリア320には、乗車専用エリアおよび降車専用エリアが設定されてもよいし、利用を希望するユーザの有無や数に応じて乗車専用エリアや降車専用エリアが変更されてもよい。以下の説明では、乗降エリア320は固定の乗車専用エリアおよび降車専用エリアは特に設けられず、乗車ユーザと降車ユーザとによって共同利用されるものとして説明する。また、乗降エリア320の利用者を撮像するためのカメラCが設けられている。カメラCにより撮像された画像は、例えば、駐車場管理装置400や、課金装置500、各車両などに送信され、利用者の認識に用いられる。
【0049】
車両Mは、停止エリア310でユーザを下した後、無人で自動運転を行い、駐車場PA内の駐車スペースPSまで移動する自走駐車イベントを開始する。自走駐車イベントの開始トリガは、例えば、ユーザによる何らかの操作であってもよいし、駐車場管理装置400から無線により所定の信号を受信したことであってもよい。自走駐車制御部142は、自走駐車イベントを開始する場合、通信装置20を制御して駐車リクエストを駐車場管理装置400に向けて発信する。そして、車両Mは、停止エリア310から駐車場PAまで、駐車場管理装置400の誘導に従って、或いは自力でセンシングしながら移動する。
【0050】
図4は、駐車場管理装置400の構成の一例を示す図である。駐車場管理装置400は、例えば、通信部410と、制御部420と、記憶部430とを備える。記憶部430には、駐車場地図情報432、駐車スペース状態テーブル434などの情報が格納されている。
【0051】
通信部410は、車両Mその他の車両と無線により通信する。制御部420は、通信部410により取得された情報と、記憶部430に格納された情報とに基づいて、車両を駐車スペースPSに誘導する。駐車場地図情報432は、駐車場PAの構造を幾何的に表した情報である。また、駐車場地図情報432は、駐車スペースPSごとの座標を含む。駐車スペース状態テーブル434は、例えば、駐車スペースPSの識別情報である駐車スペースIDに対して、空き状態であるか、満(駐車中)状態であるかを示す状態と、満状態である場合の駐車中の車両の識別情報である車両IDとが対応付けられたものである。
【0052】
制御部420は、通信部410が車両から駐車リクエストを受信すると、駐車スペース状態テーブル434を参照して状態が空き状態である駐車スペースPSを抽出し、抽出した駐車スペースPSの位置を駐車場地図情報432から取得し、取得した駐車スペースPSの位置までの好適な経路を通信部410を用いて車両に送信する。また、制御部420は、複数の車両の位置関係に基づいて、同時に同じ位置に車両が進行しないように、必要に応じて特定の車両に停止・徐行などを指示する。
【0053】
経路を受信した車両(以下、車両Mであるものとする)では、自走駐車制御部142が、経路に基づく目標軌道を生成する。また、目標となる駐車スペースPSが近づくと、駐車スペース認識部132が、駐車スペースPSを区画する駐車枠線などを認識し、駐車スペースPSの詳細な位置を認識して自走駐車制御部142に提供する。自走駐車制御部142は、これを受けて目標軌道を補正し、車両Mを駐車スペースPSに駐車させる。
【0054】
[自走駐車イベント-出庫時]
自走駐車制御部142および通信装置20は、車両Mが駐車中も動作状態を維持している。自走駐車制御部142は、例えば、通信装置20がユーザの端末装置から迎車リクエストを受信した場合、車両Mのシステムを起動させ、車両Mを停止エリア310まで移動させる。この際に、自走駐車制御部142は、通信装置20を制御して駐車場管理装置400に発進リクエストを送信する。駐車場管理装置400の制御部420は、入庫時と同様に、複数の車両の位置関係に基づいて、同時に同じ位置に車両が進行しないように、必要に応じて特定の車両に通行経路や停止・徐行などを指示する。停止エリア310まで車両Mを移動させてユーザを乗せると自走駐車制御部142は動作を停止し、以降は手動運転、或いは別の機能部による自動運転が開始される。
【0055】
なお、上記の説明に限らず、自走駐車制御部142は、通信に依らず、カメラ10、レーダ装置12、ファインダ14、または物体認識装置16による検出結果に基づいて空き状態の駐車スペースを自ら発見し、発見した駐車スペース内に車両Mを駐車させてもよい。
【0056】
図5は、課金装置500の構成の一例を示す図である。課金装置500は、車両Mがゲート300-inを通過してからゲート300-outに到達するまでの利用時間や、訪問先施設でのユーザの行動などに応じて駐車場の駐車料金を計算する。駐車場管理装置400および課金装置500は、別体の装置であってもよいし、一体の装置であってもよいし、クラウドサーバによって制御されるものであってもよい。
【0057】
課金装置500は、例えば、通信部510と、認識部520と、測定部530と、決定部540と、出庫時間提案部550と、記憶部560とを備える。
【0058】
通信部510は、駐車場管理装置400やユーザ端末T、カメラC、車両M、その他の車両と無線により通信する。認識部520は、通信部510が受信した情報や、カメラCにより撮像された画像に基づいて、停止エリア310の車両、および乗降エリア320における車両Mの乗員構成、特に車両Mに対応付いたユーザの数とユーザ種別を認識する。車両Mに対応付いたユーザの認識方法は、例えば、すべてのユーザは車両Mの入庫時にユーザが乗車してきた車両Mに再度乗車した状態で出庫するものとして認識してもよいし、カメラCの複数の撮像結果を解析して車両Mが停止エリア310に停止した後で車両Mに接近し、乗車しようとするユーザを認識してもよいし、ユーザ端末Tにより乗車人数の設定をあらかじめ受け付けるものであってもよい。また、認識部520は、車両Mのユーザの性別、年代、ユーザの手荷物の有無、ユーザが乗降に際して他者の手助けを要するかなどを認識してもよい。
【0059】
測定部530は、認識結果に基づいて、車両Mが停止エリア310を利用した時間(以下、滞在時間)を計測する。測定部530は、例えば、停止エリア310における車両Mが完全に停車してから計測を開始し、ユーザが車両Mに乗車し終えて車両Mが発進して停止エリア310を離れたら計測を終了することで、乗降エリア320を利用した時間を計測する。測定部530は、車両Mのユーザが乗降エリア320を利用した時間を滞在時間として測定するものであってもよい。
【0060】
決定部540は、通信部510により受信された情報および認識部520により認識された結果に基づいて、車両Mに対して請求する駐車料金を決定する。駐車料金には、入出庫時の停止エリア310および乗降エリア320の利用料金と、駐車場PAの利用料金とが含まれる。
【0061】
決定部540は、駐車場PAでの停車時間などに応じて、駐車場PAの駐車料金を計算する。また、決定部540は、入出庫時の停止エリア310および乗降エリア320の利用料金を計算する。決定部540により決定された駐車料金は、通信部510を介して車両Mまたはゲート300-out付近に設置される料金所などに送信され、外部決済装置などにより決済される。
【0062】
出庫時間提案部550は、車両Mが駐車場の混雑情報や、停止エリア310および乗降エリア320の混雑情報に基づいて、ピークシフトのために出庫時間を混雑が緩和された時間に変更することをユーザに提案する。
【0063】
記憶部560には、例えば、課金レート562、駐車場混雑情報564、ユーザ種別566などの情報が格納されている。
【0064】
図6は、課金レート562の一例を示す図である。課金レート562には、例えば、通常時の課金レートR1に加え、通常時の課金レートより割高な課金レートR2およびR3や、通常時の課金レートより割安な課金レートR0など、複数段階の課金レートが格納される。なお、課金レート562に格納されるレート情報は、乗降エリア320を利用することに対する課金に用いるレートであるものとして説明する。
【0065】
図7は、駐車場混雑情報564の一例を示す図である。駐車場混雑情報564には、例えば、時間帯における駐車場PAや停止エリア310および乗降エリア320の混雑度合の情報が格納されている。駐車場混雑情報564は、例えば、駐車場管理装置400の駐車スペース状態テーブル434などが参照されてもよいし、ユーザ端末Tなどにより駐車場管理装置400に対して入出庫予約が行われた情報に基づいて作成されてもよい。また、駐車場混雑情報564は、駐車場管理装置400により随時提供される、入庫中の車両数、出庫中の車両数、停止エリア310の停車数、停止エリア310の空きを待っている車両の台数などの情報が反映されてもよい。
【0066】
図8は、ユーザ種別566の一例を示す図である。ユーザ種別566には、例えば、決定部540が利用料金を計算する際の基準を変更するユーザ種別と、決定部540による利用料金の計算方法をどのように変更するかの変更ルールが格納されている。
【0067】
[利用料金の計算]
以下、決定部540による課金処理について説明する。決定部540は、例えば、認識部520により認識されたユーザの滞在時間と基本時間とに基づいて、車両Mの乗降エリア320の利用料金の課金を制御する。基本時間とは、車両Mに対応付いたユーザの数に応じて乗降エリア320の利用を許容する単位時間のことである。例えば、ユーザ1[名]あたり10[sec]を許容する場合、ユーザが3[名]であれば基本時間は30[sec]である。基本時間の計算方法は、駐車場の管理者によりあらかじめ設定されるものである。
【0068】
決定部540は、上述のように基本時間を計算し、認識部520により認識された滞在時間が基本時間より短い場合、ユーザに報酬を与え、測定部530により計測された滞在時間が基本時間より長い場合、ユーザにペナルティを与えてもよい。報酬とは、例えば、割安な課金レートに変更すること(例えば、標準の課金レートR1から割安な課金レートR0に変更すること)、今回駐車料金の割引や値引き、次回駐車料金の割引クーポン、訪問先施設で利用可能なクーポン、電子マネー等によるポイント還元などである。ペナルティとは、例えば、課金レートを割高なレートに変更することや、計算した利用料金に加えて固定額(例えば、数百[円]程度)の追加料金を徴収することである。
【0069】
ペナルティが課金レートを変更することである場合、決定部540は、課金レート562を参照して、適用条件を満たす課金レートを選択する。決定部540は、例えば、ユーザの滞在時間が基本時間を1[min]超過した場合、課金レート562を参照して標準の課金レートR1よりも割高な課金レートR2を適用し、ユーザの滞在時間が基本時間を5[min]超過した場合、課金レートR2よりもさらに割高な課金レートR3を適用する。このように、滞在時間が延びることで利用料金が高くなることから、ユーザは車両Mに乗り込む時間を短縮しようとすることが期待される。
【0070】
上述のように計算された基本時間は、例えば、車両MのHMI30や、ユーザ端末T、または乗降エリア320に設けられた表示装置などを介して通知されてもよい。また、決定部540は、上述のように基本時間を計算し、さらに認識部520により認識された滞在時間の計測結果に基づいて、報酬またはペナルティが発生する可能性を事前予測し、事前予測した結果を含む情報を基本時間の表示と併せて各種表示装置等に通知させてもよい。通知には、「あと30[sec]以内に出発すると料金が割引になります」「あと2[min]で料金が上がります」などのように、報酬またはペナルティが発生するまでの時間についての情報が含まれることが望ましい。このような通知により、ユーザに対して効率的に乗降エリア320に利用するよう意識付けをすることができ、乗降エリアの混雑の緩和につながる。
【0071】
[変更ルールの適用]
決定部540は、ユーザに応じて基本時間の計算方法や計算基準を変更してもよい。その場合、決定部540は、例えば、認識部520により認識されたユーザ種別に応じて、基本時間の計算ルールを変更する。
【0072】
認識部520は、ユーザ種別を認識する。決定部540は、例えば、認識部520により乗降エリア320を利用するユーザに変更ルールを適用する対象のユーザ種別に該当するユーザが含まれると認識された場合、ユーザ種別566を参照して、対応するユーザ種別における変更ルールを適用した上で許容時間の計算を行う。例えば、車両Mに対応付いたユーザに乳幼児が含まれる場合、決定部540は、ユーザ種別566を参照して、許容時間の計算方法を通常の基本時間の2倍に変更する。
【0073】
また、変更ルールは乗降エリア320のスムーズな利用に協力的であるユーザにも適用されてもよく、例えば、駐車場管理装置400により停止エリア310および乗降エリア320の利用順や割り当て位置の調整を行う場合、積み込み荷物が多いことをユーザ端末Tなどにより事前申告しているユーザの車両Mは、事前申告がないユーザに対して発生するペナルティ発生条件を適用させないなどの考慮がなされてもよい。決定部540は、このような場合にもユーザ種別566を参照して基本時間の計算ルールを変更する。
【0074】
[時間変更の提案]
なお、出庫時間提案部550は、駐車場PAおよび乗降エリア320の混雑情報に基づいて、ユーザの出庫予定時間における乗降エリア320の混雑度合を予測し、多数のユーザの利用が集中することが想定される場合、混雑度合が閾値以上である場合にユーザに混雑度合が閾値未満の出庫時間に変更するよう提案してもよい。混雑度合の閾値は、駐車場の管理者により固定値が設定されてもよいし、前後の時間の混雑度合と相対評価されてもよい。また、変更を提案する時間には上限(例えば、15~30[min]程度)が設定されてもよい。
【0075】
例えば、ユーザは、ユーザ端末Tを介して車両Mに13時5分に乗降エリア320まで車両Mに迎えに来てほしいと発進リクエストを送信する。車両Mは、駐車場管理装置400および課金装置500に13時5分前後で乗降エリア320の利用予約ができるかを問い合わせる。このとき、出庫時間提案部550は、13時、13時5分、13時10分など、ユーザの希望時間よりも幅を持たせて駐車場混雑情報564を参照する。図7に示すように13時5分頃は混雑が予想される場合、出庫時間提案部550は出庫時間を13時10分などの混雑度合が緩和すると予想される時間帯をユーザに提案する。出庫時間提案部550による提案は、例えば、ユーザ端末Tに通知される。
【0076】
決定部540は、ユーザが出庫時間提案部550による提案に同意して出庫時間を変更した場合にユーザに何らかの報酬を与えてもよい。また、一度出庫時間の変更した場合であっても、変更後の出庫予定時間においても混雑が予想される場合、出庫時間提案部550は、同一の車両Mのユーザに対してあらためて出庫時間の変更を提案してもよいし、出庫時間の変更の提案をする対象から除外してもよい。
【0077】
以上のように、課金装置500が車両Mの出庫時(すなわち、車両Mのユーザの乗車時)に車両Mが停止エリア310に停止する時間や、車両Mのユーザが乗降エリア320を利用する時間に応じて課金する処理について説明したが、これらの課金方法は、車両Mの入庫時(すなわち、車両Mのユーザの降車時)にも同様の方法で課金処理が行われてもよい。
【0078】
[処理フロー]
図9は、駐車場管理装置400および課金装置500の処理の流れの一例を示すタイミングチャートである。
【0079】
まず、車両Mはユーザ端末Tを介して受信したユーザからの発進リクエストを、駐車場管理装置400に送信する(ステップS11)。次に、駐車場管理装置400は課金装置500に出庫予定時間前後の駐車場の混雑情報を提供する(ステップS12)。次に、課金装置500は、出庫時間提案部550による時間変更の提案を行うか否かを判定し(ステップS13)、提案を行う場合にはその時間をユーザ端末Tに通知する。ユーザ端末Tは、ユーザによる変更に同意するか否かの入力を受け付ける(ステップS14)。ユーザ端末Tは、変更を受け付けた場合にはステップS11に処理を戻す。
【0080】
ステップS13において時間変更の提案を行わないと判定された場合、またはステップS14においてユーザによる変更の同意の入力が得られなかった場合、駐車場管理装置400は、車両Mに出庫開始許可を通知する(ステップS15)。次に、車両Mは、自走出庫イベントを開始して(ステップS16)、停止エリア310の内側に停止する。次に、認識部520は、停止エリア310に停止した車両M、および乗降エリア320の利用を開始したユーザを認識する(ステップS17)。
【0081】
次に、課金装置500の決定部540は、測定部530による車両Mの乗降エリア320の滞在時間を計測結果に基づいて、車両Mに対する乗降エリア320の利用料金を計算する(ステップS18)。次に、課金装置500は、ステップS18の計算結果と、駐車料金とを併せて課金・決済し(ステップS19)、車両Mまたはユーザ端末Tに課金結果を通知する(ステップS20)。以上、本タイミングチャートの処理の説明を終了する。
【0082】
[課金処理フロー]
図10および図11は、課金装置500の課金処理の流れの一例を示すフローチャートである。図10および図11に示す処理は、図9のタイミングチャートのステップS18に該当する処理であり、乗降エリア320の利用に対する課金の処理の流れの一例である。
【0083】
まず、認識部520は、車両Mが停止エリア310に到着して、ユーザが乗降エリア320から移動して車両Mに乗車できる状態になったか否かを判定する(ステップS100)。乗車できる状態になっていないと判定された場合、認識部520は、一定時間経過後に再度ステップS100の処理を行う。乗車できる状態になっていないと判定された場合、測定部530は、滞在時間の計測をスタートする(ステップS102)。
【0084】
次に、決定部540は、認識部520による車両Mに対応付いたユーザの数とユーザ種別の認識結果を取得して(ステップS104)、車両Mに対応付いたユーザに所定のユーザ種別が含まれるか否か(ユーザ種別566に定義されたユーザ種別に該当するユーザが含まれるか否か)を判定する(ステップS106)。
【0085】
所定のユーザ種別が含まれない場合、決定部540は、ユーザの数とユーザ一人当たりに許容される単位時間との積を計算することで基本時間を計算する(ステップS108)。所定のユーザ種別が含まれない場合、決定部540は、変更ルールを適用した基本時間を計算する(ステップS110)。
【0086】
次に、認識部520は、ユーザが車両Mへの乗車を完了して、車両Mが発進して乗降エリア320を離れたか否かを判定する(ステップS112)。車両Mが発進したと判定されなかった場合、一定時間経過後に再度ステップS112の処理を行う。車両Mが発進したと判定された場合、測定部530はステップS102で開始した滞在時間の計測をストップする(ステップS114)。
【0087】
図11に移り、決定部540は、滞在時間が基本時間を超過したか否かを判定する(ステップS116)。基本時間を超過した場合、決定部540は、課金レート562を参照して、適用条件を満たす課金レートを選択して利用料金を再計算する(ステップS118)。
【0088】
次に、決定部540は、所定の報酬条件を満たすか否かを判定する(ステップS120)。所定の報酬条件とは、例えば、図9のステップS14において時間変更に同意したことや、滞在時間が基本時間よりも短いことである。所定の報酬条件を満たす場合、決定部540は、車両Mのユーザに報酬を与えると決定する(ステップS122)。
【0089】
次に、決定部540は、所定のペナルティ条件を満たすか否かを判定する(ステップS124)。所定のペナルティとは、ステップS118における課金レート変更を除いたものであって、例えば、計算した利用料金に加えて追加料金を徴収することである。所定のペナルティ条件を満たす場合、決定部540は、車両Mのユーザにペナルティを与えると決定する(ステップS126)。以上、本フローチャートの処理の説明を終了する。
【0090】
以上説明したように、課金装置500によれば、認識部520が駐車場の乗降エリア320における車両M、車両Mに対応付いたユーザの数とそのユーザ種別などの乗員構成を認識し、測定部530が車両Mの停止エリア310の滞在時間を認識し、決定部540が滞在時間に基づいて駐車場、特に乗降エリア320の利用料金を計算して駐車料金を決定することにより、ユーザが乗降エリア320を利用する時間を短縮するように働きかけることができ、乗降エリア320の混雑を緩和することができる。
【0091】
[ハードウェア構成]
図12は、実施形態の課金装置500のハードウェア構成の一例を示す図である。図示するように、課金装置500は、通信コントローラ100-1、CPU100-2、ワーキングメモリとして使用されるRAM(Random Access Memory)100-3、ブートプログラムなどを格納するROM(Read Only Memory)100-4、フラッシュメモリやHDDなどの記憶装置100-5、ドライブ装置100-6などが、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。通信コントローラ100-1は、自動運転制御装置100以外の構成要素との通信を行う。記憶装置100-5には、CPU100-2が実行するプログラム100-5aが格納されている。このプログラムは、DMA(Direct Memory Access)コントローラ(不図示)などによってRAM100-3に展開されて、CPU100-2によって実行される。これによって、課金装置500のうち一部または全部が実現される。
【0092】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
駐車場の乗降場にいる車両および前記車両の乗員構成を認識し、
前記車両の前記乗降場付近の滞在時間を測定し、
認識結果に基づいて前記乗降場の利用料金を決定する、
ように構成されている、課金装置。
【0093】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0094】
1…車両システム、10…カメラ、12…レーダ装置、14…ファインダ、16…物体認識装置、20…通信装置、40…車両センサ、50…ナビゲーション装置、51…GNSS受信機、53…経路決定部、61…推奨車線決定部、80…運転操作子、100…自動運転制御装置、120…第1制御部、130…認識部、132…駐車スペース認識部、140…行動計画生成部、142…自走駐車制御部、160…第2制御部、162…取得部、164…速度制御部、166…操舵制御部、200…走行駆動力出力装置、210…ブレーキ装置、220…ステアリング装置、300-in…ゲート、300-out…ゲート、310…停止エリア、320…乗降エリア、400…駐車場管理装置、410…通信部、420…制御部、500…課金装置、510…通信部、520…認識部、530…測定部、540…決定部、550…出庫時間提案部、M…車両、U…ユーザ、T…ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12