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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/64 20100101AFI20221221BHJP
【FI】
H01L33/64
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019077393
(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公開番号】P2020177961
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】栗城 新吾
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/203839(WO,A1)
【文献】特開2007-080532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0077299(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/48-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装領域を有する実装基板と、
前記実装領域内に分散して実装される複数の第1発光素子、複数の第2発光素子、及び複数の第3発光素子と、
前記複数の第1発光素子を直列に接続する第1ワイヤと、
前記複数の第2発光素子を直列に接続する第2ワイヤと、
前記複数の第3発光素子を直列に接続する第3ワイヤと、を有し、
前記複数の第1発光素子、前記複数の第2発光素子、及び前記複数の第3発光素子は、それぞれ異なる色の光を発し、
前記複数の第1発光素子、前記複数の第2発光素子、及び前記複数の第3発光素子のぞれぞれは、前記実装領域に実装される側と反対側にアノード及びカソードを有し、
前記第2ワイヤと前記第3ワイヤは、前記複数の第1発光素子の一部の第1発光素子のアノード及びカソード間であって、前記第1ワイヤが存在しない領域で交差するように結線されている、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1ワイヤは、前記第2ワイヤ及び前記第3ワイヤの何れとも交差しない、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記複数の第1発光素子のそれぞれは緑色光を放射し、前記複数の第2発光素子のそれぞれは青色光を放射し、前記複数の第3発光素子のそれぞれは赤色光を放射する、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の第1発光素子のそれぞれは、緑色光を発する緑色LEDダイを含む、請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記複数の第2発光素子のそれぞれは、青色光を発する青色LEDを含み、
前記複数の第3発光素子のそれぞれは、青色光を発する青色LED、及び前記青色LEDが発する光を変換して赤色の変換光を放射する蛍光体を含む、請求項4に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック基板又は金属基板などの汎用基板の上に発光素子として複数のLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)ダイが実装されたCOB(Chip On Board)の発光装置が知られている。こうした発光装置では、蛍光体を含有する透光性の樹脂によりLEDダイが封止されており、LEDダイが発した光と、LEDダイが発した光により励起された蛍光体から放射された光とを混合させることにより、白色光等の所望の色の光が得られる。
【0003】
例えば、特許文献1及び2には、RGBとも称される赤色、緑色及び青色の3原色のそれぞれを放射する3つの発光素子が含まれる発光素子群に別個に電流を供給することで、3原色から白色までの広い色範囲の光を放射可能な発光装置が記載されている。
【0004】
特許文献1及び2に記載される発光装置は、発光素子が実装される実装領域に形成された細電極からなる3つの対と、3つの発光素子群に含まれる発光素子とをそれぞれワイヤボンディングすることで、3つの発光素子群に含まれる発光素子に電流を供給する。細電極の対と発光素子とを接続するワイヤは、他の2つの発光素子群に含まれる発光素子に接続される細電極と交差するように配置される。このように、細電極と交差するようにワイヤを配置することにより、特許文献1及び2に記載される発光装置は、発光素子が実装される実装面の反対側の裏面に電極を形成必要が無くなり、実装面のみに形成された電極だけで3つの発光素子群への別個の電源供給を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-46113号公報
【文献】特開2016-31951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載される発光装置には、細電極が配置される領域に発光素子が配置されず、この領域で発光素子の配置間隔が広くなるため、照射距離が大きくなると所望の混色性が得られなくなるおそれがあった。
【0007】
本発明は、照射距離によらず所望の混色性が得られる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発光装置は、実装領域を有する実装基板と、実装領域内に分散して実装される複数の第1発光素子、複数の第2発光素子、及び複数の第3発光素子と、複数の第1発光素子を直列に接続する第1ワイヤと、複数の第2発光素子を直列に接続する第2ワイヤと、複数の第3発光素子を直列に接続する第3ワイヤと、を有し、複数の第1発光素子、複数の第2発光素子、及び複数の第3発光素子は、それぞれ異なる色の光を発し、複数の第1発光素子、複数の第2発光素子、及び複数の第3発光素子のぞれぞれは、実装領域に実装される側と反対側にアノード及びカソードを有し、第2ワイヤと第3ワイヤは、複数の第1発光素子の一部の第1発光素子のアノード及びカソード間であって、第1ワイヤが存在しない領域で交差するように結線されている。
【0009】
また、本発明に係る発光装置では、第1ワイヤは、第2ワイヤ及び第3ワイヤの何れとも交差しないことが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る発光装置では、複数の第1発光素子のそれぞれは緑色光を放射し、複数の第2発光素子のそれぞれは青色光を放射し、複数の第3発光素子のそれぞれは赤色光を放射することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る発光装置では、複数の第1発光素子のそれぞれは、緑色光を発する緑色LEDダイを含むことが好ましい。
【0012】
また、本発明に係る発光装置では、複数の第2発光素子のそれぞれは、青色光を発する青色LEDを含み、複数の第3発光素子のそれぞれは、青色光を発する青色LED、及び青色LEDが発する光を変換して赤色の変換光を放射する蛍光体を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る発光装置は、照射距離によらず所望の混色性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る発光装置の平面図である。
図2】(a)は図1に示すA-A線に沿った断面図であり、(b)は図1に示すB-B線に沿った断面図である。
図3図1に示す実装領域の部分拡大平面図である。
図4図1に示す実装領域の部分拡大斜視図である。
図5】発光装置の製造工程を示す図(その1)であり、(a)は第1工程を示す平面図であり、(b)は(a)に示すA-A線に沿った断面図である。
図6】発光装置の製造工程を示す図(その2)であり、(a)は第2工程を示す平面図であり、(b)は(a)に示すA-A線に沿った断面図である。
図7】発光装置の製造工程を示す図(その3)であり、(a)は第3工程を示す平面図であり、(b)は(a)に示すA-A線に沿った断面図である。
図8】発光装置の製造工程を示す図(その4)であり、(a)は第4工程を示す平面図であり、(b)は(a)に示すA-A線に沿った断面図である。
図9】発光装置の製造工程を示す図(その5)であり、(a)は第5工程を示す平面図であり、(b)は(a)に示すA-A線に沿った断面図である。
図10】発光装置の製造工程を示す図(その6)であり、(a)は第6工程を示す平面図であり、(b)は(a)に示すA-A線に沿った断面図である。
図11】発光装置の製造工程を示す図(その7)であり、(a)は第7工程を示す平面図であり、(b)は(a)に示すA-A線に沿った断面図である。
図12】(a)は比較例に係る発光装置のCIE色度図を示す図であり、(b)は図1に示す発光装置のCIE色度図を示す図である。
図13】第1変形例に係る発光装置の実装領域の部分拡大平面図である。
図14】第2変形例に係る発光装置の実装領域の部分拡大平面図である。
図15】第3変形例に係る発光装置の実装領域の部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面を参照して、本発明に係る発光装置について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明との均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0016】
(実施形態に係る発光装置の概要)
実施形態に係る発光装置は、第1発光素子群~第3発光素子群に含まれる第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子をアレイ状に配置し、第2発光素子群に接続されるワイヤと第3発光素子に接続されるワイヤとを互いに交差させる。実施形態に係る発光装置は、第2発光素子及び第3発光素子に接続されるワイヤを互いに交差させることで、細電極を実装領域に配置することなく第1発光素子、第2発光素子及び第3発光素子に別個に電流を供給可能とする。すなわち、実施形態に係る発光装置は、細電極を実装領域に配置することなく、発光素子を実装領域にアレイ状に配置することで、照射距離によらず所望の混色性を有する光を放射することができる。
【0017】
(第1実施形態に係る発光装置の構成及び機能)
図1は第1実施形態に係る発光装置の平面図であり、図2(a)は図1に示すA-A線に沿った断面図であり、図2(b)は図1に示すB-B線に沿った断面図である。図3図1に示す実装領域の部分拡大平面図であり、図4図1に示す実装領域の部分拡大斜視図である。図1及び図3において、全てが1つの平面に含まれる第1方向~第4方向が矢印で示される。第2方向は第1方向から45度回転した方向であり、第3方向は第2方向に直交する方向であり、第4方向は第1方向に直交する方向である。
【0018】
図1図4に示すように、発光装置1は、6個の第1発光素子10Gと、3個の第2発光素子10Bと、3個の第3発光素子10Rと、第1ワイヤ11Gと、第2ワイヤ11Bと、第3ワイヤ11Rとを有する。また、発光装置1は、基板17上に、第1アノード電極12Gと、第2アノード電極12Bと、第3アノード電極12Rと、第1カソード電極13Gと、第2カソード電極13Bと、第3カソード電極13Rと、ダム材14と、封止材15とを更に有する。発光装置1は、第1ツェナーダイオード16Gと、第2ツェナーダイオード16Bと、第3ツェナーダイオード16Rと、実装基板17とを更に有する。なお、図3及び図4において、第1発光素子10Gの上面には「G」が付され、第2発光素子10Bの上面には「B」が付され、第3発光素子10Rの上面には「R」が付されている。
【0019】
第1発光素子10Gは、矩形の平面形状を有し、例えば発光波長帯域が500~570nm程度の緑色光を発する緑色LEDダイである。第2発光素子10Bは、矩形の平面形状を有し、例えば発光波長帯域が450~460nm程度の青色光を発する青色LEDダイである。図2に示すように、第3発光素子10Rは、青色LEDダイ20Bと、青色LEDダイ20Bのそれぞれの発光面に搭載された赤色系蛍光体10Pとを有する。青色LEDダイ20Bは、第2発光素子10Bと同様に、矩形の平面形状を有し、例えば発光波長帯域が450~460nm程度の青色光を発する。赤色系蛍光体10Pは、例えばカズン(CaAlSiN3、CASN)又はSCASN((Sr,Ca)AlSiN3)であり、青色LEDダイ20Bの発光を吸収して赤色の変換光を放射する。
【0020】
第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rは、アレイ状に配置される。第1発光素子10Gは、第2、3発光素子10B、10Rに対し市松模様状に配置される。第2発光素子10Bと第3発光素子10Rは、斜め方向(第1方向及び第4方向)で隣接する。すなわち、第1発光素子10Gは、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rのそれぞれの対角線方向に延伸する第1方向に3個ずつ隣接して配置される。第2発光素子10B及び第3発光素子10Rのそれぞれは、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rのそれぞれの辺に平行な第2方向及び第3方向に第1発光素子10Gと隣接して実装領域170に配置される。第2発光素子10B及び第3発光素子10Rは、第1方向に及び第1方向に直交する第4方向に交互に隣接して実装領域170に配置される。
【0021】
以上のように、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rのぞれぞれは、辺の延伸方向である第2方向及び第3方向に同一光を発する発光素子が隣接して配置しないよう互い違いに実装領域170に実装される。第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rは、ぞれぞれのダイの実装領域170に実装される側の面(実装面)とは反対側の面(発光面)に、アノード22G及びカソード23G、アノード22B及びカソード23B、並びにアノード22R及びカソード23Rを有する(なお、第3発光素子10Rのアノード22R及びカソード23Rは赤色系蛍光体10Pの下側に存在する。)。
【0022】
第1ワイヤ11G、第2ワイヤ11B及び第3ワイヤ11Rのそれぞれは、例えば金及び銅等の導電体により形成されたワイヤであり、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rのそれぞれの間を接続する。
【0023】
第1ワイヤ11Gは、第1アノード電極12G及び第1カソード電極13Gと第1発光素子10Gとを接続する。第2ワイヤ11Bは、第2アノード電極12B及び第2カソード電極13Bと第2発光素子10Bとを接続する。第3ワイヤ11Rは、第3アノード電極12R及び第3カソード電極13Rと第3発光素子10Rとを接続する。
【0024】
第1ワイヤ11Gは、第1方向に隣接して配置される一の第1発光素子10Gと他の第1発光素子10Gについて、対向する角の近傍でアノード22G及びカソード23Gを結線し、第1方向に隣接して配置される第1発光素子10G同士を接続する。すなわち、第1ワイヤ11Gは、第1方向に隣接して配置される2つの第1発光素子10Gについて、対向する角の近傍で第1発光素子10Gの間を短く接続するので、第1発光素子10Gの対角線に亘って第1発光素子10Gの上方を通過するような長い配線で接続されることはない。
【0025】
第2ワイヤ11Bは、第1発光素子10Gのアノード22Gとカソード23Gとの間を通るようにして、2つの第2発光素子10B同士を接続する。前述のように、アノード22Gとカソード23Gとの間は、第1ワイヤ11Gが存在しない領域である。すなわち、この領域では、第1ワイヤ11Gが第1発光素子10Gの上方を通過するように配線されていないので、第2ワイヤ11Bは、第1ワイヤ11Gと交差することはない。
【0026】
第3ワイヤ11Rも、第1発光素子10Gのアノード22Gとカソード23Gとの間を通るようにして、2つの第3発光素子10R同士を接続する。前述のように、アノード22Gとカソード23Gとの間は、第1ワイヤ11Gが存在しない領域である。この領域では、第1ワイヤ11Gが第1発光素子10Gの上方を通過するように配線されていないので、第3ワイヤ11Rは、第1ワイヤ11Gと交差することはない。
【0027】
第2ワイヤ11Bと第3ワイヤ11Rは、第1発光素子10Gのアノード22Gとカソード23Gとの間の領域で交差する。なお、第2ワイヤ11Bと第3ワイヤ11Rとは、平面視では交差して見えるが、後述するように側面視では接触していない。また、第2ワイヤ11Bと第3ワイヤ11Rとが交差する位置にある第1発光素子10Gは、図の中央部の2個である。したがって、第2ワイヤ11Bと第3ワイヤ11Rとは、第1ワイヤ11Gが存在しない領域で交差するように結線されている。ここで、図3の矢印Aは、この領域(以下「交差領域A」という)を示している。図4の矢印Bは、第2ワイヤ11Bと第3ワイヤ11Rが交差する点の垂線を示している。
【0028】
第2ワイヤ11Bと第3ワイヤ11Rが交差する交差領域Aは、第1発光素子10Gのアノード22Gとカソード23Gの間の領域であって、第1ワイヤ11Gが存在しないので、第2ワイヤ11Bと第3ワイヤ11Rは、交差領域Aで第1ワイヤ11Gと更に交差することはない。すなわち、発光装置1は、交差領域Aにおいて、第2ワイヤ11Bと第3ワイヤ11Rを交差させても、3本のワイヤが交差することがない構成を実現できる。
【0029】
第1アノード電極12G及び第1カソード電極13Gは、第1電極対とも称され、例えば銅等の導電体により形成され、6個の第1発光素子10Gのそれぞれに第1ワイヤ11Gを介して電流を供給する。第2アノード電極12B及び第2カソード電極13Bは、第2電極対とも称され、例えば銅等の導電体により形成され、3個の第2発光素子10Bのそれぞれに第2ワイヤ11Bを介して電流を供給する。第3アノード電極12R及び第3カソード電極13Rは、第3電極対とも称され、例えば銅等の導電体により形成され、3個の第3発光素子10Rのそれぞれに第3ワイヤ11Rを介して電流を供給する。
【0030】
ダム材14は、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rが配置される実装領域170を囲み、封止材15を堰き止める壁材であり、例えばシリコーン樹脂からなる。封止材15は、ダム材14に囲まれた実装領域170に注入され、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10R並びに第1ワイヤ11G、第2ワイヤ11B及び第3ワイヤ11Rを一体的に被覆し、例えばエポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の無色かつ透明な樹脂からなる。また、封止材15は、拡散材としてフィラーを含有してもよい。
【0031】
第1ツェナーダイオード16Gは、第1発光素子10Gに逆並列接続され、第1発光素子10Gに過電流が流れることを防止する。第2ツェナーダイオード16Bは、第2発光素子10Bに逆並列接続され、第2発光素子10Bに過電流が流れることを防止する。第3ツェナーダイオード16Rは、第3発光素子10Rに逆並列接続され、第3発光素子10Rに過電流が流れることを防止する。
【0032】
実装基板17は、例えば耐熱性及び放熱性に優れたアルミニウムで構成され、実装領域170に第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rを実装する。
【0033】
(実施形態に係る発光装置の製造方法)
図5図11は発光装置の製造工程を示す図である。図5(a)は第1工程を示す平面図であり、図5(b)は図5(a)に示すA-A線に沿った断面図であり、図6(a)は第2工程を示す平面図であり、図6(b)は図6(a)に示すA-A線に沿った断面図である。図7(a)は第3工程を示す平面図であり、図7(b)は図7(a)に示すA-A線に沿った断面図であり、図8(a)は第4工程を示す平面図であり、図8(b)は図8(a)に示すA-A線に沿った断面図である。図9(a)は第5工程を示す平面図であり、図9(b)は図9(a)に示すA-A線に沿った断面図であり、図10(a)は第6工程を示す平面図であり、図10(b)は図10(a)に示すA-A線に沿った断面図である。図11(a)は第7工程を示す平面図であり、図11(b)は図11(a)に示すA-A線に沿った断面図である。図5図11に示される各工程は、不図示の製造装置によって実行される。
【0034】
まず、第1工程において、実装基板17が配置される。実装基板17には、第1アノード電極12G、第2アノード電極12B、第3アノード電極12R、第1カソード電極13G、第2カソード電極13B及び第3カソード電極13Rが実装領域170の周囲に形成されている。この実装基板17に、第1ツェナーダイオード16G、第2ツェナーダイオード16B及び第3ツェナーダイオード16Rが実装される。第1ツェナーダイオード16Gは第1アノード電極12G及び第1カソード電極13Gに接続され、第2ツェナーダイオード16Bは第2アノード電極12B及び第2カソード電極13Bに接続される。第3ツェナーダイオード16Rは、第3アノード電極12R及び第3カソード電極13Rに接続される。
【0035】
次いで、第2工程において、6個の第1発光素子10G、3個の第2発光素子10B及び3個の青色LEDダイ20Bが実装領域170にアレイ状に実装される。6個の第1発光素子10G、3個の第2発光素子10B及び3個の青色LEDダイ20Bは、例えば接着剤によって接着されることで実装領域170に実装される。図6(a)において、第1発光素子10Gの上面に「G」が付され、第2発光素子10Bの上面に「B」が付され、青色LEDダイ20Bの上面に「R」が付される。
【0036】
次いで、第3工程において、第1発光素子10Gの間、並びに第1発光素子10Gと第1アノード電極12G及び第1カソード電極13Gとの間を第1ワイヤ11Gによってワイヤボンディングする。第1アノード電極12G及び第1カソード電極13Gと第1発光素子10Gとの間が第1ワイヤ11Gによってワイヤボンディングされることで、第1発光素子10Gは、第1アノード電極12G及び第1カソード電極13Gを介して電流が供給可能になる。図7(a)において、ワイヤボンディングされていない第2発光素子10Bの上面に「B」が付され、青色LEDダイ20Bの上面に「R」が付される。
【0037】
次いで、第4工程において、第2発光素子10Bの間、並びに第2発光素子10Bと第2アノード電極12B及び第2カソード電極13Bとの間を第2ワイヤ11Bによってワイヤボンディングする。第2アノード電極12B及び第2カソード電極13Bと第2発光素子10Bとの間が第2ワイヤ11Bによってワイヤボンディングされることで、第2発光素子10Bは、第2アノード電極12B及び第2カソード電極13Bを介して電流が供給可能になる。図8(a)において、ワイヤボンディングされていない青色LEDダイ20Bの上面に「R」が付される。
【0038】
次いで、第5工程において、青色LEDダイ20Bの間、並びに青色LEDダイ20Bと第3アノード電極12R及び第3カソード電極13Rとの間を第3ワイヤ11Rによってワイヤボンディングする。第3アノード電極12R及び第3カソード電極13Rと青色LEDダイ20Bとの間が第3ワイヤ11Rによってワイヤボンディングされることで、青色LEDダイ20Bは、第3アノード電極12R及び第3カソード電極13Rを介して電流が供給可能になる。
【0039】
次いで、第6工程において、3個の青色LEDダイ20Bの表面に赤色系蛍光体10Pが配置されて、第3発光素子10Rが形成される。赤色系蛍光体10Pは、例えば3個の青色LEDダイ20Bのそれぞれに赤色系蛍光体10Pを含有する液体をポッティングし硬化することで、3個の青色LEDダイ20Bの表面に配置される。
【0040】
次いで、第7工程において、実装領域170の周囲にダム材14が配置される。ダム材14は、例えば硬化前のダム材14をディスペンサで塗布し硬化させることで形成される。
【0041】
そして、第8工程において、封止材15が形成されて、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10R並びに第1ワイヤ11G、第2ワイヤ11B及び第3ワイヤ11Rが封止材15によって封止される。封止材15は、例えば硬化前の封止材15をディスペンサで塗布し硬化させることで形成される。
【0042】
(実施形態に係る発光装置の作用効果)
発光装置1は、発光素子に電流を供給する細電極が実装領域に配置されないので、発光素子を実装領域にアレイ状に配置することで、照射距離によらず所望の混色性を有する光を放射することができる。
【0043】
また、発光装置1は、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rのそれぞれが互い違いに配置される(例えば、第1発光素子10G同士が隣接しないようにして配置される)ので、放射する光の混色性を更に向上させることができる。
【0044】
また、発光装置1は、緑色を放射する第1発光素子10Gとして緑色LEDダイを使用するので、青色発光素子と緑色系蛍光体とを組み合わせて緑色発光素子を形成するよりも彩度の高いフルカラー発光が可能になる。
【0045】
図12(a)は比較例に係る発光装置のCIE色度図を示す図であり、図12(b)は発光装置1のCIE色度図を示す図である。図12(a)において、緑色発光素子の色度座標はG1で示され、青色発光素子の色度座標はB1で示され、赤色発光素子の色度座標はR1で示される。図12(b)において、第1発光素子10Gの色度座標はG2で示され、第2発光素子10Bの色度座標はB2で示され、第3発光素子10Rの色度座標はR2で示される。
【0046】
比較例に係る発光装置では、青色発光素子は青色LEDダイであり、緑色発光素子は青色LEDダイの表面にβサイアロン(SiAlON)蛍光体など緑色系蛍光体を配置して形成され、赤色発光素子は青色LEDダイの表面に赤色系蛍光体を配置して形成される。
【0047】
発光装置1は、緑色を放射する第1発光素子10Gの色度座標G2が、比較例に係る発光装置に搭載される緑色発光素子の色度座標G1よりも短波長側にシフトして、発光可能な感度領域が比較例に係る発光装置よりも広くなっている。発光装置1は、緑色系蛍光体を使用する比較例に係る発光装置よりも発光可能な感度領域が広いので、緑色系蛍光体を使用する比較例に係る発光装置よりも彩度の高いフルカラー発光が可能になる。
【0048】
(実施形態に係る発光装置の変形例)
発光装置1は、6個の第1発光素子10G、3個の第2発光素子10B及び3個の第3発光素子10Rが実装されるが、実施形態に係る発光装置に実装される発光素子の数は、これらの数に限定されない。第1発光素子の数は6個未満でもよく、7個以上であってもよく、第2発光素子及び第3発光素子の数は3個未満でもよく、4個以上であってもよい。
【0049】
また、6個の第1発光素子10G、3個の第2発光素子10B及び3個の第3発光素子10Rの配置関係及び接続関係は、図3等に示す配置関係及び接続関係に限定されない。
【0050】
図13は第1変形例に係る発光装置の実装領域の部分拡大平面図であり、図14は第2変形例に係る発光装置の実装領域の部分拡大平面図であり、図15は第3変形例に係る発光装置の実装領域の部分拡大平面図である。図13~15において、第1発光素子10Gの上面には「G」が付され、第2発光素子10の上面には「B」が付され、第3発光素子10Rの上面には「R」が付されている。
【0051】
発光装置2は、第2発光素子10Bが配置される位置と第3発光素子10Rが配置される位置とが発光装置1における配置位置と反対であることが発光装置1と相違する。また、発光装置3は、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rが配置される位置と第1発光素子10Gが配置される位置とが発光装置1における配置位置と反対であることが発光装置1と相違する。また、発光装置4は、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rが配置される位置と第1発光素子10Gが配置される位置とが発光装置1における配置位置と反対であることが発光装置1と相違する。
【0052】
発光装置2~4は、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rの配置関係が発光装置1と相違することにより、第1ワイヤ11G、第2ワイヤ11B及び第3ワイヤ11Rの接続関係が発光装置1と相違する。
【0053】
発光装置2~4は、発光素子の配置関係及びワイヤの接続関係以外は、発光装置1と同様なので、発光装置2~4の構成要素の構成及び機能は、ここでは詳細な説明は省略する。
【0054】
また、発光装置1では、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rは、互い違いに配置されるが、実施形態に係る発光装置では、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rは、分散して配置されてもよい。例えば、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rは、互いの辺が対向しないように配置されてもよく、互いの辺が平行とならないように配置されてもよい。また、第1発光素子10G、第2発光素子10B及び第3発光素子10Rは、発光色及び配列がランダムになるように配置されてもよい。
【0055】
また、発光装置1は、LEDダイとして青色LEDダイと緑色LEDダイを使用するが、実施形態に係る発光装置は、LEDダイとして青色LEDダイのみを使用してもよく、紫外線を発するLEDダイ等の他の光を発するLEDダイを使用してもよい。また、実施形態に係る発光装置は、シアン・マゼンタ・イエローの3色の光をそれぞれ発する発光素子を有してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1~4 発光装置
10G 第1発光素子
10B 第2発光素子
10R 第3発光素子
11G 第1ワイヤ
11B 第2ワイヤ
11R 第3ワイヤ
14 ダム材
15 封止材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図15