(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】帯状ゴム部材の成形方法及び成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 48/92 20190101AFI20221221BHJP
B29C 48/305 20190101ALI20221221BHJP
B29C 48/255 20190101ALI20221221BHJP
B29K 21/00 20060101ALN20221221BHJP
B29L 30/00 20060101ALN20221221BHJP
【FI】
B29C48/92
B29C48/305
B29C48/255
B29K21:00
B29L30:00
(21)【出願番号】P 2019093500
(22)【出願日】2019-05-17
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 賀貴
(72)【発明者】
【氏名】宮本 亮史
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-159608(JP,A)
【文献】特開2003-266555(JP,A)
【文献】特開2002-127234(JP,A)
【文献】特開2010-234707(JP,A)
【文献】国際公開第2008/001432(WO,A1)
【文献】特開2018-047561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00 - 48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出機により成形面上にゴムを押し出して帯状のゴム部材を成形する帯状ゴム部材の成形方法であって、
前記押出機の口金を押出開始距離まで前記成形面に接近させ、かつ前記口金からゴムの押し出しを開始させ、かつ前記成形面に平行な方向へ前記成形面の移動を開始させる押出開始工程と、
所定の時間にてゴムの押出量をゼロから所定の押出量となるように徐々に増加させ、かつ前記所定の時間にて前記成形面の移動速度をゼロから所定の移動速度となるように徐々に上昇させ、かつ前記所定の時間にて前記口金の前記成形面からの距離を前記押出開始距離から前記帯状ゴム部材の所望の厚みと同一である所定距離まで徐々に大きくすることにより、断面楔状の先端部を成形する先端部成形工程と、
ゴムの押出量を前記所定の押出量に維持し、かつ前記成形面の移動速度を前記所定の移動速度に維持し、かつ前記口金の前記成形面からの距離を前記所定距離に維持することにより、前記所望の厚みの中間部を成形する中間部成形工程と、
前記所定の時間にてゴムの押出量を前記所定の押出量からゼロとなるように徐々に減少させ、かつ前記所定の時間にて前記成形面の移動速度を前記所定の移動速度からゼロとなるように徐々に低下させ、かつ前記所定の時間にて前記口金の前記成形面からの距離を前記所定距離から押出終了距離まで徐々に小さくすることにより、断面楔状の後端部を成形する後端部成形工程と、
前記後端部成形工程の終了後、ゴムの押出量をゼロに維持し、かつ前記成形面の移動速度をゼロに維持し、かつ前記口金の前記成形面からの距離を前記押出終了距離に維持することにより、前記後端部を前記成形面に貼り付ける後端部貼り付け工程と、を備え
、
前記後端部貼り付け工程の終了後、前記口金の前記成形面からの距離を前記押出終了距離に維持したまま、前記成形面の移動を再開させる、帯状ゴム部材の成形方法。
【請求項2】
前記押出機には、内蔵されたギアを回転させることで前記口金に対してゴムを供給可能なギアポンプが設けられており、
前記後端部貼り付け工程において、前記ギアポンプのギアを所定の回転数及び回転時間にて逆回転させる、請求項
1に記載の帯状ゴム部材の成形方法。
【請求項3】
帯状のゴム部材を成形する帯状ゴム部材の成形装置であって、
ゴムを口金から押し出す押出機と、
前記口金から押し出されたゴムが貼り付けられる成形面と、
前記押出機を前記成形面に対して接近又は離間させる押出機移動装置と、
前記成形面と平行な方向へ前記成形面を移動させる成形面移動装置と、
前記押出機、前記押出機移動装置、及び前記成形面移動装置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記押出機の口金を押出開始距離まで前記成形面に接近させ、かつ前記口金からゴムの押し出しを開始させ、かつ前記成形面に平行な方向へ前記成形面の移動を開始させ、
所定の時間にてゴムの押出量をゼロから所定の押出量となるように徐々に増加させ、かつ前記所定の時間にて前記成形面の移動速度をゼロから所定の移動速度となるように徐々に上昇させ、かつ前記所定の時間にて前記口金の前記成形面からの距離を前記押出開始距離から前記環状ゴム部材の所望の厚みと同一である所定距離まで徐々に大きくすることにより、断面楔状の前記先端部を成形し、
ゴムの押出量を前記所定の押出量に維持し、かつ前記成形面の移動速度を前記所定の移動速度に維持し、かつ前記口金の前記成形面からの距離を前記所定距離に維持することにより、前記所望の厚みの中間部を成形し、
前記所定の時間にてゴムの押出量を前記所定の押出量からゼロとなるように徐々に減少させ、かつ前記所定の時間にて前記成形面の移動速度を前記所定の移動速度からゼロとなるように徐々に低下させ、かつ前記所定の時間にて前記口金の前記成形面からの距離を前記所定距離から押出終了距離まで徐々に小さくすることにより、断面楔状
の後端部を成形
し、
前記後端部を成形した後、ゴムの押出量をゼロに維持し、かつ前記成形面の移動速度をゼロに維持し、かつ前記口金の前記成形面からの距離を前記押出終了距離に維持することにより、前記後端部を前記成形面に貼り付け、
前記後端部を貼り付けた後、前記口金の前記成形面からの距離を前記押出終了距離に維持したまま、前記成形面の移動を再開させるように構成されている、帯状ゴム部材の成形装置。
【請求項4】
前記成形面に対向する前記口金の端面には、前記成形面の移動方向前方側及び後方側の縁部に湾曲面が形成されている、請求項
3に記載の帯状ゴム部材の成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状ゴム部材の成形方法及び成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2には、押出機からのゴムの押出量と、成形ドラムの回転と、押出機と成形ドラムとの距離とを制御することで、厚みを徐々に厚くした断面楔状の巻き始め部を成形し、厚みを徐々に薄くした断面楔状の巻き終わり部を巻き始め部の上に重ねて成形して、接合部での段差を無くす円筒状ゴム部材の成形方法が開示されている。
【0003】
下記特許文献3には、押出機から押し出したゴムシートを先端部から回転ドラムの外周面に巻き付けていき、ゴムシートが回転ドラムの外周面の全周に亘って巻き付けられる前に、回転ドラムの外周面上にあるゴムシートを先端部から回転するビードコアの外表面に貼り付けていくビードコア被覆方法が開示されている。
【0004】
特許文献1及び2では、巻き終わり部を成形する際、巻き始め部の上でなければ巻き終わり部を成形することができない。また、特許文献3では、ゴムの押出量を徐々に減少させるとともに、押出機と回転ドラムとの距離を徐々に小さくすることにより、断面楔状の巻き終わり部を成形しているが、回転ドラムを回転させながら巻き終わり部を成形しているため、巻き終わり部を回転ドラム上に貼り付けて保持させることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-220569号公報
【文献】特開2018-47561号公報
【文献】特開2017-193088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、断面楔状の後端部を成形面上に直接貼り付けて成形可能な帯状ゴム部材の成形方法及び成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の帯状ゴム部材の成形方法は、押出機により成形面上にゴムを押し出して帯状のゴム部材を成形する帯状ゴム部材の成形方法であって、
前記押出機の口金を押出開始距離まで前記成形面に接近させ、かつ前記口金からゴムの押し出しを開始させ、かつ前記成形面に平行な方向へ前記成形面の移動を開始させる押出開始工程と、
所定の時間にてゴムの押出量をゼロから所定の押出量となるように徐々に増加させ、かつ前記所定の時間にて前記成形面の移動速度をゼロから所定の移動速度となるように徐々に上昇させ、かつ前記所定の時間にて前記口金の前記成形面からの距離を前記押出開始距離から前記帯状ゴム部材の所望の厚みと同一である所定距離まで徐々に大きくすることにより、断面楔状の先端部を成形する先端部成形工程と、
ゴムの押出量を前記所定の押出量に維持し、かつ前記成形面の移動速度を前記所定の移動速度に維持し、かつ前記口金の前記成形面からの距離を前記所定距離に維持することにより、前記所望の厚みの中間部を成形する中間部成形工程と、
前記所定の時間にてゴムの押出量を前記所定の押出量からゼロとなるように徐々に減少させ、かつ前記所定の時間にて前記成形面の移動速度を前記所定の移動速度からゼロとなるように徐々に低下させ、かつ前記所定の時間にて前記口金の前記成形面からの距離を前記所定距離から押出終了距離まで徐々に小さくすることにより、断面楔状の後端部を成形する後端部成形工程と、を備えるものである。
【0008】
本発明の帯状ゴム部材の成形方法において、前記後端部成形工程の終了後、ゴムの押出量をゼロに維持し、かつ前記成形面の移動速度をゼロに維持し、かつ前記口金の前記成形面からの距離を前記押出終了距離に維持する後端部貼り付け工程を備えるようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の帯状ゴム部材の成形方法において、前記押出機には、内蔵されたギアを回転させることで前記口金に対してゴムを供給可能なギアポンプが設けられており、
前記後端部貼り付け工程において、前記ギアポンプのギアを所定の回転数及び回転時間にて逆回転させるようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の帯状ゴム部材の成形方法において、前記後端部貼り付け工程の終了後、前記口金の前記成形面からの距離を前記押出終了距離に維持したまま、前記成形面の移動を再開させるようにしてもよい。
【0011】
本発明の帯状ゴム部材の成形方法では、所定の時間にてゴムの押出量を所定の押出量からゼロとなるように徐々に減少させ、かつ所定の時間にて成形面の移動速度を所定の移動速度からゼロとなるように徐々に低下させ、かつ所定の時間にて口金の成形面からの距離を所定距離から押出終了距離まで徐々に小さくすることにより、断面楔状の後端部を成形するようにしている。この構成によれば、断面楔状の後端部を成形面上に直接貼り付けて成形することができる。また、断面楔状の後端部を断面楔状の先端部に重ねて接合することで、接合部での段差を無くすことができる。
【0012】
また、本発明の帯状ゴム部材の成形装置は、帯状のゴム部材を成形する帯状ゴム部材の成形装置であって、
ゴムを口金から押し出す押出機と、
前記口金から押し出されたゴムが貼り付けられる成形面と、
前記押出機を前記成形面に対して接近又は離間させる押出機移動装置と、
前記成形面と平行な方向へ前記成形面を移動させる成形面移動装置と、
前記押出機、前記押出機移動装置、及び前記成形面移動装置を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記押出機の口金を押出開始距離まで前記成形面に接近させ、かつ前記口金からゴムの押し出しを開始させ、かつ前記成形面に平行な方向へ前記成形面の移動を開始させ、
所定の時間にてゴムの押出量をゼロから所定の押出量となるように徐々に増加させ、かつ前記所定の時間にて前記成形面の移動速度をゼロから所定の移動速度となるように徐々に上昇させ、かつ前記所定の時間にて前記口金の前記成形面からの距離を前記押出開始距離から前記環状ゴム部材の所望の厚みと同一である所定距離まで徐々に大きくすることにより、断面楔状の前記先端部を成形し、
ゴムの押出量を前記所定の押出量に維持し、かつ前記成形面の移動速度を前記所定の移動速度に維持し、かつ前記口金の前記成形面からの距離を前記所定距離に維持することにより、前記所望の厚みの中間部を成形し、
前記所定の時間にてゴムの押出量を前記所定の押出量からゼロとなるように徐々に減少させ、かつ前記所定の時間にて前記成形面の移動速度を前記所定の移動速度からゼロとなるように徐々に低下させ、かつ前記所定の時間にて前記口金の前記成形面からの距離を前記所定距離から押出終了距離まで徐々に小さくすることにより、断面楔状の前記後端部を成形するように構成されているものである。
【0013】
本発明の帯状ゴム部材の成形装置において、前記成形面に対向する前記口金の端面には、前記成形面の移動方向前方側及び後方側の縁部に湾曲面が形成されていてもよい。
【0014】
かかる構成による帯状ゴム部材の成形装置の作用効果は、上記の帯状ゴム部材の成形方法で述べた通りであり、断面楔状の後端部を成形面上に直接貼り付けて成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ビードコア被覆装置の構成の一例を示す模式図
【
図2】押出機及び回転ドラムの構成の一例を示す模式図
【
図6】ゴムシートを成形する際の回転ドラムの回転数、ギアポンプのギア回転数、及び口金からドラム外周面までの距離の時間変化を示すグラフ
【
図7】ゴムシートを成形する成形装置の構成の別例を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、所定幅を有する長尺な帯状のゴムシートSで環状のビードコア8を被覆するビードコア被覆装置1を示している。本発明の帯状ゴム部材の成形方法及び成形装置は、押出機2により回転ドラム3のドラム外周面3a(成形面に相当)上にゴムを押し出して帯状のゴムシートS(帯状ゴム部材に相当)を成形するためのものである。なお、本実施形態のビードコア8は、断面六角形状のものとして説明するが、本実施形態のビードコア被覆方法及びビードコア被覆装置により被覆可能なビードコアの断面形状は、六角形に限らず四角形や丸形等でもよい。
【0017】
図1はビードコア被覆装置1の構成の一例を示す模式図である。ビードコア被覆装置1は、押出機2と、回転ドラム3と、カバーリング装置4と、押出機2、回転ドラム3、及びカバーリング装置4を制御する制御部5と、を備えている。
【0018】
図2は押出機2及び回転ドラム3の構成の一例を示す模式図である。押出機2は、円筒形のバレル2aと、バレル2aの供給口に接続されたホッパー2bと、ゴムを混練して先端側に送り出すスクリュー2cと、スクリュー2cを回転駆動させるスクリュー用モータ2dとを有する。スクリュー用モータ2dは、後述するように制御部5により回転数が制御される。
【0019】
押出機2の押出方向先端側にはギアポンプ20が接続され、ギアポンプ20の先端側は口金21に接続されている。押出機2により混練されたゴム材料は、ギアポンプ20に供給され、ギアポンプ20は、口金21に対して定量のゴムを供給する。口金21からは所定の押出量でゴムシートSが押し出される。
【0020】
ギアポンプ20は、一対のギア20aを有しており、口金21に向けて出口側にゴムを送り出す機能を有する。一対のギア20aは、それぞれギア用モータ20bによって回転駆動され、その回転数は、制御部5により制御される。ギア用モータ20bの回転数、及びスクリュー用モータ2dの回転数を制御部5により連動させて制御することで、口金21から押し出されるゴムシートSの押出量を制御することができる。なお、図示の都合上、1対のギア20aは、
図2の上下方向に並べられているが、実際は平面方向(ギア20aの回転軸が
図2の上下となる方向)に並べてもよい。
【0021】
ギアポンプ20の入口側、すなわち押出機2に近い側には、第1圧力センサー22が設けられ、押出機2から供給されてくるゴムの圧力を検出する。また、ギアポンプ20の出口側には、第2圧力センサー23が設けられ、口金21から押し出されるゴムシートSの圧力を検出する。
【0022】
ギアポンプ20の入口側の圧力は、ギアポンプ20のギア20aと押出機2のスクリュー2cによるゴム送り量によって決定される。この入口側の圧力を一定に保つことで、ギアポンプ20は定量のゴムを口金21へ供給でき、口金21からの押出量も安定する。しかし、入口側の圧力が不安定であると、口金21からの押出量にばらつきが生じ、所望の寸法のゴムシートSを成形することが困難となる。
【0023】
ギアポンプ20の入口側の圧力を制御する方法としては、ギアポンプ20のギア20aの回転数と押出機2のスクリュー2cの回転数とをPID制御することが知られている。このPID制御は、一般的にゴムを定量で連続的に押し出す際に使用される。
【0024】
制御部5は、第1圧力センサー22で検出されたギアポンプ20の入口側の圧力に基づいて、押出機2のスクリュー用モータ2dの回転数を制御する。制御部5は、予め定められた(時間の係数による)制御プログラムに基づいて、ギア用モータ20bの回転数を制御する。
【0025】
なお、本実施形態では、押出機2の押出方向先端側にギアポンプ20が接続された、いわゆる外付けギアポンプを用いる例を示している。ただし、これに替えて、押出機内にギアポンプを内蔵したギアポンプ内蔵型押出機を用いるようにしてもよい。本発明において、ギアポンプ内蔵型押出機は、外付けギアポンプを接続した押出機に比べ、押出量を容易に制御することができ、なおかつギア用モータが不要なので押出機先端部がコンパクトになりより好ましい。
【0026】
押出機2、ギアポンプ20及び口金21は、一体として前後駆動装置24により押出方向の前後に移動可能に構成されており、回転ドラム3に対して近付いたり遠ざかったりすることができる。かかる前後の移動も、制御部5によって制御される。
【0027】
回転ドラム3は、サーボモータ30によりX方向に回転可能に構成されている。サーボモータ30の回転数は、制御部5により制御される。回転ドラム3のドラム外周面3aには、口金21を介して押し出されたゴムシートSが供給され、ゴムシートSが貼り付いた状態で回転ドラム3をX方向に回転駆動することにより、ゴムシートSを周方向に沿って巻き付けることができる。回転ドラム3のドラム外周面3aは金属製となっている。本実施形態の回転ドラム3の外径は、例えば200~400mmである。
【0028】
回転ドラム3は、外周面を冷却する冷却機構又は加熱する加熱機構を備えることが好ましい。冷却機構又は加熱機構としては、例えば、回転ドラム3の内部に冷却水又は温水を循環させる機構が用いられる。また、回転ドラム3のドラム外周面3aは、貼り付けたゴムシートSを剥がしやすいような表面処理(サンドブラスト処理等)が行われたり、材質が用いられたりする。一方、ドラム外周面3aの一部、具体的には後述するゴムシートSの先端部S1及び後端部S3が成形される部分には、ゴムが貼り付きやすいように硬質クロムメッキ等のメッキ処理やバフ仕上げが行われるのが好ましい。
【0029】
カバーリング装置4は、押出機2よりも回転ドラム3の回転方向X前方側の位置で回転ドラム3のドラム外周面3aとビードコア8の外表面が近接するようにビードコア8を支持し、支持したビードコア8を回転させる。本実施形態では、押出機2の口金21の先端と回転ドラム3の外周面とが最も近接する位置と、ビードコア8の内周面と回転ドラム3のドラム外周面3aとが最も近接する位置とは、回転ドラム3の回転方向Xに180°ずれている。また、本実施形態では、回転ドラム3の外径がビードコア8の内径よりも小さくなっており、回転ドラム3は、カバーリング装置4に支持されるビードコア8の内周側に配置されている。
【0030】
カバーリング装置4は、ビードコア8の外表面に貼り付けられたゴムシートSをビードコア8の断面形状に沿って巻き付けるためのものである。カバーリング装置4は、支持したビードコア8をY方向に回転させることができる。ビードコア8は、回転ドラム3の回転により従動的に回転する。
【0031】
図3は、ビードコア8の断面図を示す。本実施形態のビードコア8は、断面六角形状をしており、ビードコア8の内周面を下面8a、外周面を上面8dとし、内周側の側面を下側面8b,8fとし、外周側の側面を上側面8c,8eとする。ビードコア8の表面には、ゴムシートSが巻き付けられている。また、ビードコア8の外周側には、断面が略三角形状のビードフィラー9が配設される。本実施形態のビードコア8の内径は、例えば400~650mmである。
【0032】
カバーリング装置4は、ビードコア8の回転方向Yの後方側から前方側へ向かって順に、押さえローラ41、第1型付けローラ42、下側面圧着ローラ43、第2型付けローラ44、第1上側面圧着ローラ45、第1折り曲げローラ46、第2上側面圧着ローラ47、第2折り曲げローラ48、仕上げローラ49を備えている。また、カバーリング装置4は、回転するビードコア8の蛇行を防止する複数のガイドローラ40が設けられている。
【0033】
図4Aは、
図1のA-A線断面図である。回転ドラム3のドラム外周面3aには、ゴムシートSが巻き付けられている。本実施形態のゴムシートSの断面は、幅方向の両端部が薄くなっており、ゴムシートSをビードコア8の表面に巻き付けて幅方向両端部を接合する際に、薄くなった部分同士を重ねることで、接合部が厚くなることを防止している。
【0034】
押さえローラ41は、ビードコア8の一部を挟んで回転ドラム3と対向する位置に配置される。押さえローラ41の回転軸は、回転ドラム3及びビードコア8の回転軸と平行となっており、押さえローラ41の外周面がビードコア8の上面8dに接触しながら押さえローラ41は回転する。また、押さえローラ41は、ビードコア8の径方向の内外に移動可能に構成されている。これにより、ドラム外周面3a上にあるゴムシートSの幅方向の一部を回転するビードコア8の下面8aに貼り付ける際、押さえローラ41はビードコア8の上面8dを押圧することができる。なお、押さえローラ41は、ビードコア8の回転により従動的に回転する従動ローラである。
【0035】
図4Bは、
図1のB-B線断面図である。第1型付けローラ42は、ビードコア8の内周側に配置されている。第1型付けローラ42の回転軸は、ビードコア8の回転軸と平行となっている。第1型付けローラ42は、
図4Bに示すように、左右に対して中央が凹んだ糸巻状をしている。第1型付けローラ42の凹部421は、ゴムシートSを介してビードコア8の下面8a及び左右の下側面8b,8fと接触するように配置される。また、ビードコア8を挟んで第1型付けローラ42に対向する位置には、ビードコア8の径方向の内外に移動可能に構成された補助ローラ42aが配置されている。補助ローラ42aの回転軸は、第1型付けローラ42及びビードコア8の回転軸と平行となっている。これにより、第1型付けローラ42の凹部421によってゴムシートSをビードコア8の左右の下側面8b,8fに沿って上方に折り返すことができる。なお、第1型付けローラ42及び補助ローラ42aは、ビードコア8の回転により従動的に回転する従動ローラである。
【0036】
図4Cは、
図1のC-C線断面図である。下側面圧着ローラ43は、ビードコア8の内周側に配置されている。下側面圧着ローラ43の回転軸は、ビードコア8の回転軸と平行となっている。下側面圧着ローラ43は、ビードコア8の左右に対向して一つずつ設けられている。一対の下側面圧着ローラ43は、ビードコア8の幅方向の左右に移動可能に構成されている。下側面圧着ローラ43は、円錐台状をしており、テーパ面をなす外周面が、ゴムシートSを介してビードコア8の下側面8b,8fとそれぞれ接触するように配置される。また、ビードコア8を挟んで下側面圧着ローラ43に対向する位置には、ビードコア8の径方向の内外に移動可能に構成された補助ローラ43aが配置されている。補助ローラ43aの回転軸は、下側面圧着ローラ43及びビードコア8の回転軸と平行となっている。これにより、下側面圧着ローラ43によってビードコア8の下側面8b,8fに対してゴムシートSを圧着することができる。なお、下側面圧着ローラ43は、不図示のモータによって駆動する駆動ローラであり、補助ローラ43aは、ビードコア8の回転により従動的に回転する従動ローラである。
【0037】
図4Dは、
図1のD-D線断面図である。第2型付けローラ44は、ビードコア8の内周側に配置されている。第2型付けローラ44の回転軸は、ビードコア8の回転軸と平行となっている。第2型付けローラ44は、ビードコア8の下面8aに沿って回転する胴体部441と、胴体部441の両端にそれぞれ設けられる円板状のフランジ部442とを備える。左右のフランジ部442の間隔は、ビードコア8の幅に両側のゴムシートSの厚さを加えた幅と略同じとなっている。また、第2型付けローラ44は、ビードコア8の径方向の内外に移動可能に構成されている。これにより、第2型付けローラ44のフランジ部442によってゴムシートSの幅方向両端部を上方に立たせることができる。なお、第2型付けローラ44は、ビードコア8の回転により従動的に回転する従動ローラである。
【0038】
図4Eは、
図1のE-E線断面図である。第1上側面圧着ローラ45は、ビードコア8の側方に配置されている。第1上側面圧着ローラ45の回転軸は、ビードコア8の径方向と平行となっている。第1上側面圧着ローラ45は、2つの円錐台部451,452を結合させた糸巻状をしている。一方の円錐台部451の外周面は、ゴムシートSを介してビードコア8の上側面8cと接触するように配置される。第1上側面圧着ローラ45は、ビードコア8の幅方向の左右に移動可能に構成されている。また、ビードコア8を挟んで第1上側面圧着ローラ45に対向する位置には、ビードコア8の幅方向の左右に移動可能に構成された補助ローラ45aが配置されている。補助ローラ45aの回転軸は、第1上側面圧着ローラ45の回転軸と平行となっている。これにより、第1上側面圧着ローラ45の一方の円錐台部451によってビードコア8の上側面8cに対してゴムシートSを折り曲げて圧着することができる。なお、第1上側面圧着ローラ45は、不図示のモータによって駆動する駆動ローラであり、補助ローラ45aは、ビードコア8の回転により従動的に回転する従動ローラである。
【0039】
図4Fは、
図1のF-F線断面図である。第1折り曲げローラ46は、ビードコア8の外周側に配置されている。第1折り曲げローラ46の回転軸は、ビードコア8の回転軸と平行となっている。第1折り曲げローラ46は、ビードコア8の上面8dに沿って回転する円柱部461と、円柱部461の一端に設けられる円錐台部462とを備える。円錐台部462の外周面は、ゴムシートSを介してビードコア8の上側面8cと接触するように配置される。ビードコア8を挟んで第1折り曲げローラ46の円柱部461に対向する位置には、ビードコア8の径方向の内外に移動可能に構成された補助ローラ46aが配置されている。補助ローラ46aの回転軸は、第1折り曲げローラ46及びビードコア8の回転軸と平行となっている。これにより、第1折り曲げローラ46の円柱部461によってゴムシートSの一方の端部をビードコア8の上面8dに沿って折り曲げて圧着することができる。なお、第1折り曲げローラ46は、不図示のモータによって駆動する駆動ローラであり、補助ローラ46aは、ビードコア8の回転により従動的に回転する従動ローラである。
【0040】
図4Gは、
図1のG-G線断面図である。第2上側面圧着ローラ47は、ビードコア8の側方に配置されている。第2上側面圧着ローラ47の回転軸は、ビードコア8の径方向と平行となっている。第2上側面圧着ローラ47は、2つの円錐台部471,472を結合させた糸巻状をしている。一方の円錐台部471の外周面は、ゴムシートSを介してビードコア8の上側面8eと接触するように配置される。第2上側面圧着ローラ47は、ビードコア8の幅方向の左右に移動可能に構成されている。また、ビードコア8を挟んで第2上側面圧着ローラ47に対向する位置には、ビードコア8の幅方向の左右に移動可能に構成された補助ローラ47aが配置されている。補助ローラ47aの回転軸は、第2上側面圧着ローラ47の回転軸と平行となっている。これにより、第2上側面圧着ローラ47の一方の円錐台部471によってビードコア8の上側面8eに対してゴムシートSを折り曲げて圧着することができる。なお、第2上側面圧着ローラ47は、不図示のモータによって駆動する駆動ローラであり、補助ローラ47aは、ビードコア8の回転により従動的に回転する従動ローラである。
【0041】
図4Hは、
図1のH-H線断面図である。第2折り曲げローラ48は、ビードコア8の外周側に配置されている。第2折り曲げローラ48の回転軸は、ビードコア8の回転軸と平行となっている。第2折り曲げローラ48は、ビードコア8の上面8dに沿って回転する。また、ビードコア8を挟んで第2折り曲げローラ48に対向する位置には、ビードコア8の径方向の内外に移動可能に構成された補助ローラ48aが配置されている。補助ローラ48aの回転軸は、第2折り曲げローラ48及びビードコア8の回転軸と平行となっている。これにより、第2折り曲げローラ48によってゴムシートSの他方の端部をビードコア8の上面8dに沿って折り曲げて圧着することができる。なお、第2折り曲げローラ48は、不図示のモータによって駆動する駆動ローラであり、補助ローラ48aは、ビードコア8の回転により従動的に回転する従動ローラである。
【0042】
図4Iは、
図1のI-I線断面図である。仕上げローラ49は、ビードコア8の外周側に配置されている。仕上げローラ49の回転軸は、ビードコア8の回転軸と平行となっている。仕上げローラ49は、ビードコア8の上面8dに沿って回転する。仕上げローラ49は、ビードコア8の径方向の内外に移動可能に構成されている。また、ビードコア8を挟んで仕上げローラ49に対向する位置には、ビードコア8の径方向の内外に移動可能に構成された補助ローラ49aが配置されている。補助ローラ49aの回転軸は、仕上げローラ49及びビードコア8の回転軸と平行となっている。これにより、仕上げローラ49によってゴムシートSの両端部をビードコア8の上面8dに圧着することができる。なお、仕上げローラ49は、不図示のモータによって駆動する駆動ローラであり、補助ローラ49aは、ビードコア8の回転により従動的に回転する従動ローラである。また、仕上げローラ49と補助ローラ49aは、圧着力を高めるために、ローラ自体を温める温度調節機構を備えるようにしてもよい。温度調節機構としては、温水、ヒータ、ガス等による温度調節機構が例示される。
【0043】
次に、上記のビードコア被覆装置1を用いたビードコア被覆方法を説明する。本実施形態のビードコア被覆方法は、押出機2により口金21を介して押し出したゴムシートSを先端部から回転ドラム3のドラム外周面3aに巻き付ける工程と、ゴムシートSがドラム外周面3aの全周に亘って巻き付けられる前に、ドラム外周面3a上にあるゴムシートSの幅方向の一部を先端部から回転するビードコア8の外表面に貼り付ける工程と、ビードコア8の外表面に貼り付けられたゴムシートSの幅方向の残部を、幅方向の一部から幅方向の端部へ向かって順にビードコア8の断面形状に沿って貼り付けながら巻き付ける工程と、を備えるものである。
【0044】
初めに、カバーリング装置4にビードコア8をセットする。このとき、押出機2は、カバーリング装置4の外部に配置されている。
【0045】
次いで、押出機2を回転ドラム3の方向に前進させ、口金21をドラム外周面3aに接近させる。
【0046】
次いで、押出機2の口金21からゴムシートSの押し出しを開始し、同時に回転ドラム3の回転を開始する。より具体的には、押出機2のスクリュー2cの回転を開始し、第2圧力センサー23で検出されたギアポンプ20の出口側の圧力が所定値に達したとき、回転ドラム3の回転を開始する。これにより、押し出したゴムシートSを先端部からドラム外周面3aに巻き付けていくことができる。
【0047】
次いで、ドラム外周面3a上に巻き付けられたゴムシートSの幅方向の中央部を先端部から回転するビードコア8の下面8aに貼り付けていく(
図4Aを参照)。
【0048】
次いで、ビードコア8の下面8aに貼り付けられたゴムシートSは、カバーリング装置4によって、ゴムシートSの幅方向の両端部がビードコア8の断面形状に沿って巻き付けられる(
図4B~
図4Iを参照)。最後に、押出機2を後退させて、ゴムシートSで被覆したビードコア8をカバーリング装置4から取り外す。
【0049】
また、本実施形態の帯状のゴムシートSの成形方法は、押出機2の口金21を押出開始距離まで回転ドラム3のドラム外周面3aに接近させ、かつ口金21からゴムの押し出しを開始させ、かつドラム外周面3aの回転を開始させる押出開始工程と、
所定の時間にてゴムの押出量をゼロから所定の押出量となるように徐々に増加させ、かつ所定の時間にてドラム外周面3aの回転速度をゼロから所定の回転速度となるように徐々に上昇させ、かつ所定の時間にて口金21のドラム外周面3aからの距離を押出開始距離からゴムシートSの所望の厚みと同一である所定距離まで徐々に大きくすることにより、断面楔状の先端部S1を成形する先端部成形工程と、
ゴムの押出量を所定の押出量に維持し、かつドラム外周面3aの回転速度を所定の回転速度に維持し、かつ口金21のドラム外周面3aからの距離を所定距離に維持することにより、所望の厚みの中間部S2を成形する中間部成形工程と、
所定の時間にてゴムの押出量を所定の押出量からゼロとなるように徐々に減少させ、かつ所定の時間にてドラム外周面3aの回転速度を所定の回転速度からゼロとなるように徐々に低下させ、かつ所定の時間にて口金21のドラム外周面3aからの距離を所定距離から押出終了距離まで徐々に小さくすることにより、断面楔状の後端部S3を成形する後端部成形工程と、を備える。
【0050】
図5はゴムシートSを成形する様子を示す概略図である。
図6(a)は回転ドラム3の回転数の時間変化を示し、
図6(b)はギアポンプ20のギア回転数の時間変化を示し、
図6(c)は口金21から回転ドラム3のドラム外周面3aまでの距離の時間変化を示す。
【0051】
まず、押出機2、ギアポンプ20及び口金21を一体として前進させ、口金21を回転ドラム3に接近させる。このとき、口金21は、回転ドラム3のドラム外周面3aに押出開始距離(この例ではD1)まで接近させられる。D1は、0.1~0.3mmが好ましい。
【0052】
次に、前工程にて調整されたゴムシートSのゴム材料が、押出機2のホッパー2bに投入され、押出機2に充填される。ここで、ゴム材料としては特に制限がなく、例えば、天然ゴム、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)などの汎用のゴム原料に、配合材料を常法にて混練し、加熱架橋を可能に調製したものが挙げられる。また、投入されるゴム材料の形状としては、特に制限がなく、例えば、リボン状、シート状、ペレット状などの形状が挙げられる。
【0053】
ホッパー2bに投入されたゴム材料は、押出機2のスクリュー2cによって混練され、押出方向先端側に送り出されてギアポンプ20に供給される。そして、ギアポンプ20に供給されたゴム材料は、回転する一対のギア20aによって、口金21に向けて出口側に送り出される。
【0054】
ギア20aの回転によって口金21からゴムの押し出しを開始する。また、同時に回転ドラム3の回転を開始する。より具体的には、押出機2のスクリュー2cの回転を開始し、第2圧力センサー23で検出されたギアポンプ20の出口側の圧力が所定値に達したとき、回転ドラム3の回転を開始する。
【0055】
回転ドラム3の回転数は、
図6(a)のように所定の時間(この例ではT1)にてゼロから所定の回転数(この例ではR1)となるように徐々に上昇させられる。回転ドラム3の回転数は、一定の加速度で加速させられる。
【0056】
また、ギアポンプ20のギア回転数は、
図6(b)のように所定の時間(この例ではT1)にてゼロから所定の回転数(この例ではr1)となるように徐々に増加させられる。これにより、ゴムの押出量は、所定の時間(この例ではT1)にてゼロから所定の押出量となるように徐々に増加させられる。
【0057】
また、口金21は、ゴムの押出量の増加とともに、一定速度で徐々に後退される。口金21のドラム外周面3aからの距離は、
図6(c)のように所定の時間(この例ではT1)にて押出開始距離D1から所定距離(この例ではD2)まで徐々に大きくされる。
【0058】
回転ドラム3の回転数、ゴムの押出量、及び口金21のドラム外周面3aからの距離をこのように制御することにより、ゴムシートSの先端部S1を、断面楔状に成形することができる(
図5(a)を参照)。回転ドラム3の回転数、ギア回転数、及び口金21のドラム外周面3aからの距離は、先端部S1が所望の幅と長さの断面楔状となるように適宜設定される。なお、所定の時間T1は、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましい。
【0059】
その後は、
図6(b)のようにギア回転数を所定の回転数r1に維持することでゴムの押出量を所定の押出量に維持し、かつ
図6(a)のように回転ドラム3の回転数を所定の回転数R1に維持し、かつ
図6(c)のように口金21のドラム外周面3aからの距離を所定距離D2に維持する。ここで所定距離D2は、成形したいゴムシートSの所望の厚みに相当し、押し出されたゴムは、口金21とドラム外周面3aとの隙間を通過して、D2の厚みとなる。これにより、所望の厚みD2を有する中間部S2を成形することができる(
図5(a)を参照)。
【0060】
そして、ビードコア8の外表面を被覆するのに必要な長さの中間部S2が成形されると(この例ではタイミングT2)、回転ドラム3の回転数は、
図6(a)のように所定の時間(この例ではT3-T2)にて所定の回転数R1からゼロとなるように徐々に低下させられる。時間T3-T2は、時間T1と同じとなっている。
【0061】
また、ギアポンプ20のギア回転数は、
図6(b)のように所定の時間(この例ではT5-T2)にて所定の回転数r1からゼロとなるように徐々に減少させられる。これにより、ゴムの押出量は、所定の時間(この例ではT3-T2)にて所定の押出量からゼロとなるように徐々に減少させられる。ここで、ギア回転数をゼロとするタイミングT5は、回転ドラム3が停止するタイミングT3と同じ又は0.1~1秒早くなっている。
【0062】
また、口金21のドラム外周面3aからの距離は、
図6(c)のように所定の時間(この例ではT3-T2)にて所定距離D2から押出終了距離(この例ではD1)まで徐々に小さくされる。なお、本実施形態では、押出終了距離を押出開始距離と同じ距離D1としているが、押出終了距離は、押出開始距離よりも0.1~0.2mm大きくしてもよい。
【0063】
回転ドラム3の回転数、ゴムの押出量、及び口金21のドラム外周面3aからの距離をこのように制御することにより、ゴムシートSの後端部S3を、断面楔状に成形することができる(
図5(b)を参照)。後端部S3は、ビードコア8の外表面上で先端部S1の上に重ねられる。これにより、先端部S1と後端部S3の接合部の厚みが、中間部S2の厚みD2と略同じとなる。
【0064】
後端部S3を成形後、所定の時間(この例ではT4-T3)、ゴムの押出量をゼロに維持し、かつ回転ドラム3の回転数をゼロに維持し、かつ口金21のドラム外周面3aからの距離を押出終了距離に維持する。本実施形態では、時間T4-T3は、1~5秒である。これにより、ゴムシートSの後端部S3をドラム外周面3aに確実に貼り付けることができる。
【0065】
また、後端部S3を成形後、ギアポンプ20のギア20aを所定の回転数(この例ではr2)及び回転時間(この例ではT6-T3)にて逆回転させる。本実施形態では、ギア20aは、0.5~3rpmにて0.5~3秒間逆回転される。これにより、口金21内の圧力が下がり、吐出口からのゴム垂れを防ぐことができる。また、これにより、口金21内のゴムとゴムシートSの後端部S3とが分離され、後端部S3がドラム外周面3aに確実に貼り付けられやすくなる。
【0066】
後端部S3を貼り付けた後、口金21のドラム外周面3aからの距離を押出終了距離に維持したまま、回転ドラム3の回転を再開させる。回転ドラム3の回転を再開した後、押出機2を後退させ、口金21を回転ドラム3から離間させる。押出機2を後退させるタイミングT7は、回転ドラム3の回転を再開させるタイミングT4より0~2秒ほど遅くなっている。これにより、口金21内のゴムとゴムシートSの後端部S3とが確実に分離される。
【0067】
[他の実施形態]
(1)ドラム外周面3aに対向する口金21の端面には、
図7に示すようにドラム外周面3aの回転方向Xの前方側及び後方側の縁部に湾曲面21aが形成されているのが好ましい。これにより、ゴムシートSを成形する際、口金21が先端部S1及び後端部S3に接触するのを防止することができる。
【0068】
(2)前述の実施形態では、成形面が曲面のドラム外周面3aである例を示したが、成形面は、平坦面でもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 ビードコア被覆装置
2 押出機
20 ギアポンプ
20a ギア
21 口金
3 回転ドラム
3a ドラム外周面
4 カバーリング装置
5 制御部
8 ビードコア
S ゴムシート
S1 先端部
S2 中間部
S3 後端部