(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B60R 1/20 20220101AFI20221221BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20221221BHJP
B60R 1/26 20220101ALI20221221BHJP
B60R 1/24 20220101ALI20221221BHJP
【FI】
B60R1/20 100
A01B69/00 301
B60R1/26 200
B60R1/24
(21)【出願番号】P 2019115204
(22)【出願日】2019-06-21
【審査請求日】2021-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】保屋野 史士
(72)【発明者】
【氏名】武岡 達
(72)【発明者】
【氏名】蓬▲莱▼ 覚
(72)【発明者】
【氏名】齊喜 範明
(72)【発明者】
【氏名】藤本 一隆
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-114925(JP,A)
【文献】特開2015-146748(JP,A)
【文献】特開2016-210262(JP,A)
【文献】実開昭56-138744(JP,U)
【文献】特開2005-335482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00
A01B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後部に配置される作業機を撮影可能な撮影部と、
前記撮影部により撮影された映像を表示可能な表示部と、
キャビンと、
前記キャビンに取り付けられ、前記撮影部の上下方向における位置が調整可能となるように、当該撮影部を支持する支持部と、
前記キャビンの後部に設けられ、開閉可能な窓と、
を具備
し、
前記支持部は、
前記キャビンに固定される固定部と、
前記撮影部を支持すると共に、前記固定部に対して上下方向に位置を調整可能に設けられる調整部と、
を具備し、
前記窓の左右方向における一側に配置され、
前記調整部は、
前記撮影部を支持すると共に、前記固定部に対して上下方向に移動可能な移動部と、
前記窓側から操作可能であり、前記移動部が前記固定部に対して移動可能な状態と、前記移動部が前記固定部に対して移動不能な状態と、を切り替え可能な移動規制部と、
を具備する、
作業車。
【請求項2】
前記支持部の少なくとも一部は、
前記キャビンの後部に設けられたピラーに対して背面視で重複するように、又は、前記ピラーよりも左右方向における外側に配置される、
請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記撮影部は、
前記キャビンの後部に設けられたピラーに対して背面視で重複するように、又は、前記ピラーよりも左右方向における外側に配置される、
請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記支持部は、
前記撮影部の上下方向における向きが調整可能となるように、当該撮影部を支持する、
請求項2又は請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記キャビンに設けられ、ライセンスプレートを取付可能な取付部をさらに具備し、
前記撮影部は、
前記取付部に取り付けられる、
請求項
1から請求項4までのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
前記キャビンの後方に取り付けられた作業灯をさらに具備し、
前記撮影部は、
前記作業灯と前後方向における位置が略同一であると共に、前記作業灯よりも下方に配置される、
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後部に作業機を配置可能な作業車の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、後部に作業機を配置可能な作業車の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のトラクタ(作業車)は、機体の後部に設けられた昇降装置(リフトアーム等)を介して作業機を装着することができる。エンジンからの動力を、装着された作業機に伝達させることで、当該作業機を駆動させて作業(例えば、耕耘作業)を行うことができる。
【0004】
このようなトラクタにおいて、運転者は、作業中に肉眼で作業機の状態を確認する場合がある。しかし、特許文献1に記載のトラクタでは、前方に進行しながらも、作業機の状態を確認するために後を振り返る必要があるため、視線を前後に交互に向ける必要があり、作業性が悪化するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、作業性を向上させることが可能な作業車を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、後部に配置される作業機を撮影可能な撮影部と、前記撮影部により撮影された映像を表示可能な表示部と、キャビンと、前記キャビンに取り付けられ、前記撮影部の上下方向における位置が調整可能となるように、当該撮影部を支持する支持部と、前記キャビンの後部に設けられ、開閉可能な窓と、を具備し、前記支持部は、前記キャビンに固定される固定部と、前記撮影部を支持すると共に、前記固定部に対して上下方向に位置を調整可能に設けられる調整部と、を具備し、前記窓の左右方向における一側に配置され、前記調整部は、前記撮影部を支持すると共に、前記固定部に対して上下方向に移動可能な移動部と、前記窓側から操作可能であり、前記移動部が前記固定部に対して移動可能な状態と、前記移動部が前記固定部に対して移動不能な状態と、を切り替え可能な移動規制部と、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記支持部の少なくとも一部は、前記キャビンの後部に設けられたピラーに対して背面視で重複するように、又は、前記ピラーよりも左右方向における外側に配置されるものである。
【0011】
請求項3においては、前記撮影部は、前記キャビンの後部に設けられたピラーに対して背面視で重複するように、又は、前記ピラーよりも左右方向における外側に配置されるものである。
【0014】
請求項4においては、前記支持部は、前記撮影部の上下方向における向きが調整可能となるように、当該撮影部を支持するものである。
【0015】
請求項5においては、前記キャビンに設けられ、ライセンスプレートを取付可能な取付部をさらに具備し、前記撮影部は、前記取付部に取り付けられるものである。
【0016】
請求項6においては、前記キャビンの後方に取り付けられた作業灯をさらに具備し、前記撮影部は、前記作業灯と前後方向における位置が略同一であると共に、前記作業灯よりも下方に配置されるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、作業性を向上させることができる。また、簡素な構成で撮影部の上下方向における位置を調整することができる。また、キャビン内から撮影部の上下方向における位置を容易に調整することができる。
【0020】
請求項2においては、運転者がキャビン内から作業機を直接見る際に、支持部が邪魔になるのを抑制することができる。
【0021】
請求項3においては、運転者がキャビン内から作業機を直接見る際に、撮影部が邪魔になるのを抑制することができる。
【0024】
請求項4においては、作業機を撮影し易くなるように、撮影部の向きを調整することができる。
【0025】
請求項5においては、撮影部の取り付けに要するコストを低減することができる。
【0026】
請求項6においては、作業機の状態を把握し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】キャビンの内部及び前方カメラを示した平面図。
【
図10】前方カメラ及び前側支持部を示した斜視図。
【
図11】(a)同じく、側面図。(b)同じく、正面図。
【
図14】後方カメラ及び後側支持部を示した斜視図。
【
図15】(a)同じく、側面図。(b)同じく、背面図。
【
図17】(a)前方映像が表示されたモニタを示した図。(b)後方映像が表示されたモニタを示した図。
【
図18】前方映像及び後方映像が同時に表示されたモニタを示した図。
【
図19】(a)前方映像及び目印が表示されたモニタを示した図。(b)目印の位置を変更した状態のモニタを示した図。
【
図20】(a)目印の形状を変更した状態のモニタを示した図。(b)複数の目印を表示した状態のモニタを示した図。
【
図21】(a)後方映像及び目印が表示されたモニタを示した図。(b)前方映像及び後方映像の相対的な位置関係を示す目印が表示されたモニタを示した図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0029】
まず、
図1から
図3を用いて本発明の一実施形態に係るトラクタ1の全体構成について説明する。
【0030】
トラクタ1は、主として機体フレーム2、エンジン3、ボンネット4、マフラ5、トランスミッションケース6、前輪7、後輪8、フェンダ9、昇降装置10、ロータリ耕耘装置11、キャビン20、座席12、ステアリングホイール13、ステアリングポスト14、シート部材15及び作業支援システム30等を具備する。
【0031】
F147引用
図1に示す機体フレーム2は、複数の板材を適宜組み合わせて形成される枠状の部材である。機体フレーム2は、平面視略矩形状に形成される。機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けてトラクタ1の前部に配置される。機体フレーム2の後部にはエンジン3が固定される。エンジン3はボンネット4に覆われる。ボンネット4の後端部における右側方には、エンジン3の排気ガスを排出するマフラ5が配置される。エンジン3の後方には、トランスミッションケース6が設けられる。
【0032】
機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構7a(
図2参照)を介して、操舵可能な左右一対の前輪7に支持される。トランスミッションケース6の後部は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪8に支持される。左右一対の後輪8は、概ね上方からフェンダ9によって覆われる。
【0033】
エンジン3の動力は、トランスミッションケース6に収容された変速装置(不図示)で変速された後、フロントアクスル機構7aを経て前輪7に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪8に伝達可能とされる。エンジン3の動力によって前輪7及び後輪8が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。
【0034】
トランスミッションケース6の後部には、昇降装置10が設けられる。
図1及び
図2に示す昇降装置10には、各種の作業機を装着することができる。本実施形態では一例として、昇降装置10にロータリ耕耘装置11を装着した例を示している。昇降装置10は油圧シリンダ等のアクチュエータによって、装着された作業機を昇降させることができる。ロータリ耕耘装置11には、図示せぬPTO軸を介してエンジン3の動力を伝達することができる。
【0035】
エンジン3の後方にはキャビン20が設けられる。キャビン20の内部には、運転者が搭乗する居住空間が形成される。
図3に示すキャビン20の略中央には、運転者が着座するための座席12が配置される。また、キャビン20の前部には、前輪7の切れ角を調節するためのステアリングホイール13が配置される。当該ステアリングホイール13は、ステアリングポスト14に回動可能に支持される。また、キャビン20の左部(座席12の左前方)には、運転者以外の者が着座するためのシート部材15が配置される。
【0036】
また、トラクタ1には、作業支援システム30が設けられる。作業支援システム30は、トラクタ1の周囲の映像を後述するモニタ80に表示させることで、運転者にトラクタ1の状況を把握させるものである。なお、作業支援システム30の詳細については後述する。
【0037】
次に、
図4から
図6を用いて、作業支援システム30が設けられるキャビン20の構成について説明する。キャビン20は、主としてキャビンフレーム21、ルーフ22、開閉窓23、フロントコンビネーションランプ(以下、「コンビランプ24」と称する)、前側取付部25、作業灯26及び後側取付部27を具備する。
【0038】
キャビンフレーム21は、キャビン20の骨組みとなる部分である。キャビンフレーム21は、主として前側ピラー21a、中間ピラー21b、後側ピラー21c、下部フレーム21d、上部フレーム21e、仕切板21f、連結フレーム21gを具備する。
【0039】
前側ピラー21a、中間ピラー21b及び後側ピラー21cは、長手方向を略上下方向に向けて配置される柱状の部分である。前側ピラー21a、中間ピラー21b及び後側ピラー21cは、それぞれ左右一対設けられる。前側ピラー21a、中間ピラー21b及び後側ピラー21cは、前から後に向かって順に並ぶように配置される。
【0040】
下部フレーム21dは、前側ピラー21a、中間ピラー21b及び後側ピラー21cの下端部を互いに連結する部分である。下部フレーム21dは、長手状の部材を適宜組み合わせて、枠状に形成される。
【0041】
上部フレーム21eは、前側ピラー21a、中間ピラー21b及び後側ピラー21cの上端部を互いに連結する部分である。上部フレーム21eは、長手状の部材を適宜組み合わせて、枠状に形成される。
【0042】
仕切板21fは、ボンネット4の内部空間と、キャビン20の内部空間とを仕切るものである。仕切板21fは、板面を前後に向けた状態で、下部フレーム21dの前端の左右中央に設けられる。
【0043】
連結フレーム21gは、前側ピラー21aと仕切板21fとを連結するものである。連結フレーム21gは、長手方向を略左右方向に向けて配置される。連結フレーム21gは、左右一対設けられる。連結フレーム21gは、仕切板21fの上端部と、前側ピラー21aの上下中途部と、を連結するように設けられる。
【0044】
ルーフ22は、キャビン20の天井を成す部分である。ルーフ22は、キャビンフレーム21の上部(上部フレーム21e)に取り付けられる。
【0045】
開閉窓23は、左右一対の後側ピラー21cの間に設けられる、開閉可能な窓である。開閉窓23の上端部は、上部フレーム21eの後端部に回動可能に連結される。運転者は、キャビン20の内部から開閉窓23を前後に回動させることで、当該開閉窓23を開閉することができる。なお、キャビンフレーム21には、開閉窓23以外にも、適宜、窓やドアが設けられているが、それらについての詳細な説明は省略する。
【0046】
図4及び
図5に示すコンビランプ24は、方向指示器と車幅灯とが組み合わされて一体的に形成されたランプである。コンビランプ24は、後述する前側取付部25を介してキャビン20の前部に取り付けられ、当該キャビン20の前方に配置される。コンビランプ24は、左右一対設けられ、ボンネット4の左右外側方に配置される(
図3参照)。また、右側のコンビランプ24は、マフラ5の右前方に配置される。
【0047】
前側取付部25は、コンビランプ24や後述する第一作業灯26a等をキャビン20に対して固定するものである。前側取付部25は、コンビランプ24に対応するように、左右一対設けられる。なお、前側取付部25の詳細については、後述する。
【0048】
図4から
図6に示す作業灯26は、トラクタ1の周囲を照らすためのものである。作業灯26は、第一作業灯26a、第二作業灯26b及び第三作業灯26cを含む。
【0049】
第一作業灯26aは、前輪7を照らすためのものである。第一作業灯26aは、左右一対設けられ、前側取付部25(
図9参照)に固定される。これにより、第一作業灯26aは、キャビン20の前方に配置されると共に、左右のコンビランプ24の略上方に配置される。
【0050】
第二作業灯26bは、キャビン20の前方を照らすためのものである。第二作業灯26bは、キャビン20の上部フレーム21eの前端部に取り付けられる。第二作業灯26bは、左右一対設けられる。
【0051】
第三作業灯26cは、キャビン20の後方を照らすためのものである。第三作業灯26cは、後述する後側取付部27を介してキャビン20の上部フレーム21eの後端部に取り付けられる。第三作業灯26cは、左右一対設けられる。
【0052】
後側取付部27は、第三作業灯26c等をキャビン20に取り付けるためのものである。後側取付部27は、第三作業灯26cに対応するように、左右一対設けられる。なお、後側取付部27の詳細については、後述する。
【0053】
次に、
図7から
図16を用いて、作業支援システム30の構成について説明する。作業支援システム30は、主として前方カメラ40、前側支持部50、後方カメラ60、後側支持部70、モニタ80及びモニタ支持部90を具備する。
【0054】
図7から
図9に示す前方カメラ40は、前方を撮影するためのものである。前方カメラ40は、後述する前側支持部50を介してキャビン20に取り付けられる。前方カメラ40は、レンズを略前方に向けた状態で、右側のコンビランプ24及び第一作業灯26aの近傍に配置される。
【0055】
具体的には、前方カメラ40は、ボンネット4よりも右方に配置される。また前方カメラ40は、キャビン20及びマフラ5よりも前方に配置される。また前方カメラ40は、右側のコンビランプ24及び第一作業灯26aよりも左方に配置される。
【0056】
また前方カメラ40は、コンビランプ24及び第一作業灯26aと前後方向における位置が略同一となるように配置される。具体的には、前方カメラ40は、前後方向において、少なくとも一部がコンビランプ24又は第一作業灯26aと同一位置となるように配置される。また前方カメラ40は、コンビランプ24よりも上方、かつ、第一作業灯26aよりも下方に配置される。
【0057】
このように前方カメラ40は、右側のコンビランプ24及び第一作業灯26aの近傍に配置されることで、キャビン20の右部前方を撮影することができる。特に本実施形態の前方カメラ40は、右側の前輪7を撮影することができる。
【0058】
前側支持部50は、前方カメラ40を支持するためのものである。前側支持部50は、右側のコンビランプ24等が取り付けられる前側取付部25に固定される。よって以下では、まず当該前側取付部25の具体的な構成について説明する。
【0059】
前側取付部25は、第一ブラケット25a、接続パイプ25b、第二ブラケット25c及び載置部25dを具備する。
【0060】
第一ブラケット25aは、前側ピラー21aの上下中途部に固定される部材である。接続パイプ25bの一端部(後端部)は、第一ブラケット25aの前面に固定される。接続パイプ25bは、第一ブラケット25aから右前方に向かって延びるように配置される。
【0061】
第二ブラケット25cは、長手方向を上下方向に向けた略角筒状に形成される部材である。第二ブラケット25cは、接続パイプ25bの他端部(右前端部)に固定される。載置部25dは、第一作業灯26aが載置される部分である。載置部25dは、第二ブラケット25cの上端部に固定される。
【0062】
第二ブラケット25cの前面には、コンビランプ24が固定される。載置部25dの上面には、第一作業灯26aが載置された状態で固定される。このように、コンビランプ24及び第一作業灯26aは、前側取付部25を介してキャビン20に固定される。
【0063】
次に、前側支持部50の具体的な構成について説明する。
図10及び
図11に示すように、前側支持部50は、主として固定部51及び調整部52を具備する。
【0064】
固定部51は、前側取付部25に固定される部分である。固定部51は、板状の部材を屈曲させることで、側面視略L字状に形成される。これによって固定部51は、略水平な上面部、及び当該上面の後端部から下方に向かって延びる後面部を有する。固定部51は、長手方向を左右方向に向けた長尺状に形成される。固定部51には、長孔51aが形成される。
【0065】
長孔51aは、固定部51を上下に貫通する孔である。長孔51aは、固定部51の前後中途部に形成される。長孔51aは、左右方向に延びるように形成される。
【0066】
固定部51は、右端部が
図9に示す前側取付部25の載置部25dに載置される。当該固定部51の右端部には、第一作業灯26aが載置される。固定部51及び第一作業灯26aは、前側取付部25にまとめて固定される。
図7に示すように、当該固定部51は、マフラ5の前方に配置されると共に、左端部から右端部近傍までがマフラ5に対して正面視で重複するように配置される。
【0067】
図10及び
図11に示す調整部52は、前方カメラ40を支持すると共に、前方カメラ40の位置及び向きを調整するためのものである。調整部52は、上側移動部53、下側移動部54、第一ボルト55、第二ボルト56及び第三ボルト57を具備する。
【0068】
上側移動部53は、固定部51の上面において、左右方向へ移動可能な部分である。上側移動部53は、対向部53a、カメラ取付部53b及び貫通孔53cを具備する。
【0069】
対向部53aは、固定部51に対して対向する部分である。対向部53aは、長手方向を左右方向に向けた平面視略矩形状に形成される。対向部53aの前後方向幅(短手方向幅)は、長孔51aの前後方向幅(短手方向幅)よりも大きくなるように形成される。対向部53aは、固定部51(長孔51aの周辺)に載置され、固定部51の上面と対向する。
【0070】
カメラ取付部53bは、前方カメラ40を取り付けるための部分である。カメラ取付部53bは、開口部を上方へ向けた正面視略U字状(左右一対の側面、及び底面を有する形状)に形成される。カメラ取付部53bは、対向部53aに対して前方に隣接するように形成される。カメラ取付部53bは、側面視において、対向部53aから前上方へ延びるように形成される。カメラ取付部53bの内側には、前方カメラ40が配置される。カメラ取付部53bには、後述する第二ボルト56及び第三ボルト57を介して、当該前方カメラ40が取り付けられる。
【0071】
カメラ取付部53bは、対向部53aと一体的に形成される。具体的には、1枚の板状の部材を適宜切削したり屈曲させたりすることで、対向部53a及びカメラ取付部53bを一体的に形成することができる。
【0072】
貫通孔53cは、カメラ取付部53bを左右に貫通する孔である。貫通孔53cは、側面視において、後述する第二ボルト56を中心とする略円弧状に形成される。貫通孔53cは、カメラ取付部53bの前上部に形成される。貫通孔53cは、カメラ取付部53bの左部及び右部(左右一対の側面)にそれぞれ形成される。
【0073】
下側移動部54は、固定部51の下面において、左右方向へ移動可能な部分である。下側移動部54は、対向部53aと略同一形状となるように形成される。すなわち、下側移動部54は、長手方向を左右方向に向けた平面視略矩形状に形成される。下側移動部54は、固定部51を挟んで対向部53aの下方に配置される。
【0074】
第一ボルト55は、上側移動部53と下側移動部54とを連結するためのものである。第一ボルト55は、上方から対向部53a及び長孔51aに挿通されて、下側移動部54と締結される。本実施形態では、第一ボルト55を2つ設けることで、固定部51に対する上側移動部53と下側移動部54の回転(平面視における左右への回転)を規制している。
【0075】
第二ボルト56及び第三ボルト57は、前方カメラ40を揺動可能に支持するためのものである。第二ボルト56は、上側移動部53のカメラ取付部53bに対して左方及び右方からそれぞれ挿通される。第三ボルト57は、上側移動部53の貫通孔53cに左方及び右方からそれぞれ挿通される。当該第二ボルト56及び第三ボルト57は、前方カメラ40と締結される。
【0076】
このように構成された調整部52によって、前方カメラ40の位置や向きを調整することができる。
【0077】
具体的には、第一ボルト55を緩めることにより、上側移動部53及び下側移動部54を、固定部51に対して相対的に左右方向(長孔51aに沿う方向)へ移動させることができる。上側移動部53の移動に伴って、前方カメラ40を左右方向へ移動させることができる。また、第一ボルト55を締めることによって、上側移動部53と下側移動部54で固定部51を挟み込み、当該上側移動部53等を固定部51に対して固定することができる。これによって、前方カメラ40を一定の位置で保持することができる。このように、調整部52によって、前方カメラ40の左右方向の位置を任意に調整することができる。
【0078】
また、第三ボルト57を緩めることにより、当該第三ボルト57を貫通孔53cに対して摺動させることができる。これにより、第二ボルト56を中心として、前方カメラ40を上下方向に揺動させることができる。また、第三ボルト57を締めることによって、前方カメラ40をカメラ取付部53bに対して固定することができる。このように、調整部52によって、前方カメラ40の上下方向の向きを任意に調整することができる。
【0079】
図12及び
図13に示す後方カメラ60は、後方を撮影するためのものである。後方カメラ60は、後述する後側支持部70を介してキャビン20に取り付けられる。後方カメラ60は、レンズを略後方に向けた状態で、右側の第三作業灯26cの近傍に配置される。
【0080】
具体的には、後方カメラ60は、右側に設けられた後側ピラー21cよりも右方(左右外側方)に配置される。また後方カメラ60は、右側の第三作業灯26cよりも下方に配置される。また後方カメラ60は、第三作業灯26cと前後方向における位置が略同一となるように配置される。具体的には、後方カメラ60は、前後方向において、少なくとも一部が第三作業灯26cと同一位置となるように配置される。
【0081】
このように後方カメラ60は、右側の第三作業灯26cの近傍に配置されることで、キャビン20の右部後方を撮影することができる。特に本実施形態の後方カメラ60は、ロータリ耕耘装置11の右部を撮影することができる。
【0082】
後側支持部70は、後方カメラ60を支持するためのものである。後側支持部70は、右側の第三作業灯26cが取り付けられる後側取付部27に固定される。よって以下では、まず当該後側取付部27の具体的な構成について説明する。
【0083】
後側取付部27は、連結部27a及び載置部27bを具備する。
【0084】
連結部27aは、キャビン20の上部フレーム21eと連結される部分である。連結部27aは、板面を左右方向に向けた略板状に形成される。連結部27aは、上部フレーム21eの後部に設けられたブラケット21hに固定される。
【0085】
載置部27bは、第三作業灯26cが載置される部分である。載置部27bは、板状の部材を屈曲させることで、側面視略L字状に形成される。載置部27bは、長手方向を左右方向に向けた長尺状に形成される。載置部27bは、連結部27aの右面に固定される。
【0086】
載置部27bの上面には、第三作業灯26cが載置された状態で固定される。また、載置部27bの後面には、ライセンスプレートAが固定される。このように第三作業灯26c及びライセンスプレートAは、後側取付部27を介してキャビン20に固定される。
【0087】
次に、後側支持部70の具体的な構成について説明する。
図14及び
図15に示すように、後側支持部70は、主として固定部71及び調整部72を具備する。
【0088】
固定部71は、後側取付部27に固定される部分である。固定部71は、板状の部材を屈曲させることで、開口部を下方へ向けた背面視略U字状(左右一対の側面、及び上面を有する形状)に形成される。固定部71は、左側の側面の上下幅より、右側の側面の上下幅が大きくなるように形成される。固定部71には、長孔71aが形成される。
【0089】
長孔71aは、固定部71を左右に貫通する孔である。長孔71aは、固定部71の右側の側面に形成される。長孔71aは、固定部71の上端部近傍から下端部近傍に亘って、上下方向に延びるように形成される。
【0090】
固定部71の左側の側面は、ボルトによって
図12及び
図13に示す後側取付部27の連結部27aの右面に固定される。固定部71は、キャビン20の上部フレーム21e及び右側の後側ピラー21cの後方に配置される。固定部71は、背面視において、開閉窓23及び右側の後側ピラー21cよりも右方(左右外側方)に配置される。
【0091】
図14及び
図15に示す調整部72は、後方カメラ60を支持すると共に、後方カメラ60の位置及び向きを調整するためのものである。調整部72は、移動部73、カメラ取付部74、ナット75、第一ボルト76、第二ボルト77及び第三ボルト78を具備する。
【0092】
移動部73は、固定部71に対して上下方向へ移動可能な部分である。移動部73は、対向部73a、突出部73b及び固定部73cを具備する。
【0093】
対向部73aは、固定部71に対して対向する部分である。対向部73aは、長手方向を上下方向へ向けた側面視略矩形状に形成される。対向部73aの前後方向幅(短手方向幅)は、長孔71aの前後方向幅(短手方向幅)よりも大きくなるように形成される。対向部73aは、固定部71の右面と対向するように配置される。
【0094】
突出部73bは、対向部73aの上端部から右方へ突出する部分である。突出部73bは、長手方向を左右方向へ向けた平面視略矩形状に形成される。
【0095】
固定部73cは、突出部73bの後端部から下方へ突出する部分である。固定部73cは、長手方向を左右方向へ向けた背面視略矩形状に形成される。固定部73cは、突出部73bの右端部近傍に形成される。
【0096】
対向部73a、突出部73b及び固定部73cは、一体的に形成される。具体的には、1枚の板状の部材を適宜切削したり屈曲させたりすることで、対向部73a、突出部73b及び固定部73cを一体的に形成することができる。
【0097】
カメラ取付部74は、後方カメラ60を取り付けるための部分である。カメラ取付部74は、開口部を後方へ向けた平面視略U字状(左右一対の側面、及び前面を有する形状)に形成される。カメラ取付部74は、固定部73cの後面に固定される。カメラ取付部74の内側には、後方カメラ60が配置される。カメラ取付部74には、後述する第二ボルト77及び第三ボルト78を介して、後方カメラ60が取り付けられる。カメラ取付部74には、貫通孔74aが形成される。
【0098】
貫通孔74aは、カメラ取付部74を左右に貫通する孔である。貫通孔74aは、側面視において、後述する第二ボルト77を中心とする略円弧状に形成される。貫通孔74aは、カメラ取付部74の左部及び右部(左右一対の側面)にそれぞれ形成される。
【0099】
ナット75及び第一ボルト76は、固定部71と移動部73とを連結するためのものである。ナット75は、対向部73aの右面に溶接等により固定される。第一ボルト76の軸部は、左方から長孔71a及び対向部73aに挿通されて、ナット75と締結される。このようにして、第一ボルト76の頭部は、固定部71(の右側面)の左側に位置するように設けられる。これによって第一ボルト76は、開閉窓23側(左側)から容易に操作できるように設けられる。
【0100】
第二ボルト77及び第三ボルト78は、後方カメラ60を揺動可能に支持するためのものである。第二ボルト77は、カメラ取付部74に対して左方及び右方からそれぞれ挿通される。第三ボルト78は、カメラ取付部74の貫通孔74aに左方及び右方からそれぞれ挿通される。当該第二ボルト77及び第三ボルト78は、後方カメラ60と締結される。
【0101】
このように構成された調整部72によって、後方カメラ60の位置や向きを調整することができる。
【0102】
具体的には、第一ボルト76を緩めることにより、移動部73を固定部71に対して相対的に上下方向へ移動させることができる。移動部73の移動に伴って、後方カメラ60を上下方向へ移動させることができる。また、第一ボルト76を締めることによって、移動部73を固定部71に対して固定することができる。これによって、後方カメラ60を一定の位置で保持することができる。このように、調整部72によって、後方カメラ60の上下方向の位置を任意に調整することができる。
【0103】
また、第三ボルト78を緩めることにより、当該第三ボルト78を貫通孔74aに対して摺動させることができる。これにより、第二ボルト77を中心として、後方カメラ60を上下方向に揺動させることができる。また、第三ボルト78を締めることによって、後方カメラ60をカメラ取付部74に対して固定することができる。このように、調整部72によって、後方カメラ60の上下方向の向きを任意に調整することができる。
【0104】
図16に示すモニタ80は、前方カメラ40及び後方カメラ60で撮影した映像を表示するためのものである。モニタ80は、筐体81、パネル82、ボタン83及び制御部84を具備する。
【0105】
筐体81は、モニタ80の外郭を成す部分である。筐体81には、後述するパネル82等が設けられる。
【0106】
パネル82は、映像を表示する部分である。パネル82は、後述する制御部84から信号が送信されることにより、当該信号に応じた映像を表示することができる。
【0107】
ボタン83は、運転者によって操作可能な操作部である。ボタン83は、パネル82の下方に複数配置される。
【0108】
制御部84は、パネル82に表示される内容を制御するためのものである。制御部84は、前方カメラ40及び後方カメラ60と接続され、撮影された映像に関する信号を受信することができる。また、制御部84は、パネル82と接続され、当該パネル82に表示すべき映像に関する信号を送信することができる。
【0109】
制御部84は、前方カメラ40及び後方カメラ60により撮影された映像を、パネル82に表示させることができる。この際、制御部84は、運転者によるボタン83の操作に応じて、前方カメラ40等により撮影された映像を、適宜の態様でパネル82に表示させることができる。
【0110】
図3から
図5に示すように、モニタ80は、後述するモニタ支持部90を介してキャビン20に取り付けられる。当該モニタ80は、キャビン20内における右前部に配置される。
【0111】
具体的には、モニタ80は、座席12の右前方に配置される。またモニタ80は、ステアリングホイール13及びステアリングポスト14よりも右方に配置される。このように、モニタ80は、キャビン20内における右側、すなわち前方カメラ40と同じ側に配置される。
【0112】
モニタ支持部90は、モニタ80を支持するためのものである。モニタ支持部90は、前端部がキャビン20の右側の連結フレーム21gに固定される。また、モニタ支持部90の後端部には、モニタ80が取り付けられる。当該モニタ支持部90には、回動可能な関節部が1つ又は複数設けられる。モニタ支持部90の関節部を適宜回動させることにより、モニタ80の向き及び位置を任意に調整することができる。
【0113】
以下では、
図16から
図21を用いて、上述の如く構成された作業支援システム30の動作について説明する。作業支援システム30は、前方カメラ40及び後方カメラ60により撮影された映像をモニタ80に表示させることで、運転者にトラクタ1の状況を把握させ、トラクタ1による作業を支援することができる。以下、具体的に説明する。
【0114】
モニタ80は、前方カメラ40により撮影された映像(以下、「前方映像110」と称する)、及び後方カメラ60により撮影された映像(以下、「後方映像120」と称する)を、適宜表示することができる。
【0115】
具体的には、モニタ80は、運転者によるボタン83の操作に応じて、何も映像を表示しない状態(
図16参照)と、前方映像110を表示した状態(
図17(a)参照)と、後方映像120を表示した状態(
図17(b)参照)と、前方映像110及び後方映像120を同時に表示した状態(
図18参照)と、を適宜切り替えることができる。
【0116】
図17(a)に示すように、前方映像110には、前方カメラ40で撮影されたトラクタ1の前方の風景が含まれている。本実施形態では、前方映像110に右側の前輪7が含まれるように、前方カメラ40の位置及び向きが適宜調整されている。本実施形態においては、トラクタ1を用いて圃場での作業(具体的には、ロータリ耕耘装置11による耕耘作業)を行っている状態を想定しており、図中には、前方映像110中に圃場の畦A1が含まれている様子を示している。
【0117】
運転者は、前方映像110を確認することによって、トラクタ1の前方の様子を把握することができる。特に本実施形態では、前方映像110に右側の前輪7が含まれているため、運転者は、当該前方映像110を確認することで、前輪7の状態(前輪7の位置、切れ角、圃場の障害物や作物等との干渉の有無等)を把握することができる。運転者は、モニタ80によって把握した前輪7の状態に応じてステアリングホイール13を適宜操作することで、精度よく、かつ効率的に作業を行うことができる。
【0118】
また、このように運転者は、前輪7の状態を、モニタ80に表示された前方映像110によって把握することができる。このため運転者は、前輪7を肉眼で把握する必要がなくなる。これによって、前輪7の状態を確認する際にマフラ5等の部材が邪魔になることや、前輪7を視認するために姿勢を変更したりする必要がなくなり、前輪7の状態を容易に把握することができる。
【0119】
また本実施形態においては、前側支持部50によって、前方カメラ40の位置や向きを任意に調整することができる。運転者は、前方カメラ40の位置や向きを任意に調整することで、所望の前方映像110を取得することができる。特にトラクタ1の前輪7は、作業に応じて(例えば、管理作業を行う場合は畝の幅等に応じて)トレッド(左右の前輪7の中心間の距離)が変更される場合がある。このように、前輪7の位置が変更された場合でも、当該前輪7の位置に応じて前方カメラ40の位置等を調整することで、適切な前方映像110を取得することができる。例えば、前輪7が前方映像110の中心に位置するように前方カメラ40の位置や向きを調整することで、当該前輪7の状態を確認し易くすることができる。
【0120】
また、
図17(b)に示すように、後方映像120には、後方カメラ60で撮影されたトラクタ1の後方の風景が含まれている。本実施形態では、後方映像120にロータリ耕耘装置11の右端部が含まれるように、後方カメラ60の位置及び向きが適宜調整されている。
【0121】
運転者は、後方映像120を確認することによって、トラクタ1の後方の様子を把握することができる。特に本実施形態では、後方映像120にロータリ耕耘装置11の右端部が含まれているため、運転者は、当該後方映像120を確認することで、ロータリ耕耘装置11の状態(ロータリ耕耘装置11の位置、作業の様子、圃場の障害物や作物等との干渉の有無等)を把握することができる。運転者は、モニタ80によって把握したロータリ耕耘装置11の状態に応じてステアリングホイール13や各種操作具(ロータリ耕耘装置11に関する操作具)を適宜操作することで、精度よく、かつ効率的に作業を行うことができる。
【0122】
また、このように運転者は、ロータリ耕耘装置11の状態を、モニタ80に表示された後方映像120によって把握することができる。このため運転者は、ロータリ耕耘装置11を肉眼で把握する必要がなくなる。これによって、ロータリ耕耘装置11の状態を確認するために後を振り返る必要がなくなり、ロータリ耕耘装置11の状態を容易に把握することができる。
【0123】
また本実施形態においては、後側支持部70によって、後方カメラ60の位置や向きを任意に調整することができる。運転者は、後方カメラ60の位置や向きを任意に調整することで、所望の後方映像120を取得することができる。特にトラクタ1には、ロータリ耕耘装置11に限らず、作業内容に応じて種々の作業機(例えば、ハロー、プラウ、施肥装置等)が装着される。このように、トラクタ1に装着される作業機が変更された場合でも、当該作業機に応じて後方カメラ60の位置等を調整することで、適切な後方映像120を取得することができる。
【0124】
なお、後方カメラ60の上下方向の位置を調整する際には、第一ボルト76を締めたり緩めたりする必要があるが、当該第一ボルト76の頭部は左右内側(開閉窓23側)を向くように配置されている(
図12、
図15等参照)。したがって運転者は、開閉窓23を開けて、キャビン20内から第一ボルト76の締結等を容易に行うことができ、ひいては後方カメラ60の位置の調整を容易に行うことができる。なお、第一ボルト76の頭部に運転者が把持しやすいような把持部(グリップ)を設けることで、当該第一ボルト76の締結等をより容易に行うことができる。
【0125】
また、
図18には、モニタ80に前方映像110及び後方映像120を同時に表示した状態を示している。本実施形態では、前方映像110及び後方映像120を左右に並べて表示した例を示している。このように、モニタ80に前方映像110及び後方映像120を同時に表示させることで、トラクタ1の前方及び後方の様子を同時に容易に確認することができる。
【0126】
さらにモニタ80は、前方映像110及び後方映像120に、トラクタ1による作業の目安になる目印を表示させることができる。以下、具体的に説明する。
【0127】
図19(a)に示すように、モニタ80は、運転者によるボタン83の操作に応じて、前方映像110上に目印111を表示させることができる。本実施形態の目印111は、上下方向に延びる直線で形成される。
図19(a)には、目印111が、前方映像110中の前輪7の内側面に概ね沿うような位置に表示された例を示している。
【0128】
運転者は、目印111を参考にしながらトラクタ1を運転することで、精度よく、かつ効率的に作業を行うことができる。例えば、目印111を参考にしながらトラクタ1の進行方向を調整することで、トラクタ1を容易に直進させることができる。また、目印111と前輪7の相対的な位置関係(例えば、目印111に対する前輪7の傾き等)を把握することで、前輪7の切れ角を容易に把握することができる。
【0129】
また、モニタ80は、運転者によるボタン83の操作に応じて、前方映像110中の目印111の位置を変更することができる。例えば、
図19(b)には、目印111の位置を、前輪7の内側面に沿う位置(
図19(a)参照)から、前輪7の左右中央と重複する位置へと変更した状態を示している。このようにモニタ80は、目印111の位置を運転者の所望の位置へと変更することができる。これによって運転者は、自らが把握し易い位置へと目印111を移動させ、作業性を向上させることができる。
【0130】
なお、
図19(b)には、目印111の位置を変更する様子を示しているが、例えば目印111の向き(前方映像110中の直線の傾斜角度)を変更可能としてもよい。このように構成することで、運転者が把握し易い傾きとなるように目印111の向きを調整し、作業性をより向上させることができる。
【0131】
また、モニタ80は、運転者によるボタン83の操作に応じて、前方映像110中の目印111の形状を変更することができる。例えば、
図20(a)には、目印111の形状を、直線(
図19参照)から点(円)に変更した状態を示している。このようにモニタ80は、目印111の形状を運転者の所望の形状へと変更することができる。これによって運転者は、自らが把握しやすい形状の目印111を利用することで、作業性を向上させることができる。
【0132】
なお、
図19及び
図20には、目印111の形状の一例として直線及び点(円)を示しているが、目印111の形状はこれに限らず、種々の形状(例えば、三角、矢印、文字、記号等)とすることが可能である。
【0133】
また、モニタ80は、運転者によるボタン83の操作に応じて、前方映像110上に複数の目印111を表示させることができる。例えば、
図20(b)には、前方映像110に、複数の目印111(目印111a、111b、111c)を表示した状態を示している。
【0134】
目印111aは、上下方向に延びる直線で形成される。目印111aは、
図19(b)に示した目印111と同様、前輪7の左右中央に表示される。目印111aは、直進する際の前輪7の移動軌跡(これから前輪7が移動することになる軌跡)に沿うように表示される。運転者は、当該目印111aを参考にして、前輪7の移動軌跡を把握することができる。
【0135】
目印111bは、上下方向に延びる直線(破線)で形成される。目印111bは、前輪7(目印111a)の側方(左右外側)に表示される。目印111bの位置を、圃場の畝や作物に応じた位置に調整することで、当該目印111bを畝や作物の位置を把握するために利用することができる。例えば運転者は、目印111bが畝や作物と重複しないようにトラクタ1を運転することで、前輪7が畝や作物を踏みつけるのを防止することができる。
【0136】
目印111cは、点(円)で形成される。目印111cは、前輪7から斜め方向に離れた位置(
図20(b)の例では、前輪7の左右外側の上方)に表示される。運転者は、当該目印111cを、トラクタ1の旋回開始の目安にすることができる。例えば、トラクタ1が前進し、進行方向(前方)の畦A1と目印111cが重複した時点で、トラクタ1の旋回を開始するように運転することで、トラクタ1を一定の位置(畦A1から一定の距離)で旋回させることができる。
【0137】
なお、
図20(b)に示した目印111a、111b、111cは一例であり、目印111の形状、位置、個数等は任意に変更することができる。また、目印111の用途(前輪の軌跡や、旋回の開始の目安の把握等)は限定するものではなく、運転者の必要に応じた用途で適宜利用することができる。
【0138】
またモニタ80は、前方映像110上に目印111を表示させるのと同様に、
図21(a)に示すように、後方映像120上に目印121を表示させることができる。目印121は、目印111と同様に、位置や形状等を任意に変更することができる。
図21(a)には、上下方向に延びる直線で形成された目印121を示している。また目印121が、後方映像120中のロータリ耕耘装置11の右端部に概ね沿うような位置に表示された例を示している。
【0139】
運転者は、目印121を参考にしながらトラクタ1を運転することで、精度よく、かつ効率的に作業を行うことができる。例えば、目印121を参考にしながら、ロータリ耕耘装置11によって耕された跡の状態(直線的に耕すことができているか等)を確認することができる。また、目印121とロータリ耕耘装置11の相対的な位置関係(例えば、目印121に対するロータリ耕耘装置11の傾き等)を把握することで、ロータリ耕耘装置11の姿勢(左右の傾斜等)を容易に把握することができる。
【0140】
以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車)は、操舵可能な前輪7を撮影可能な前方カメラ40(撮影部)と、前記前方カメラ40により撮影された映像を表示可能なモニタ80(表示部)と、を具備するものである。
【0141】
このように構成することにより、モニタ80によって前輪7の状態を把握し易くなる。これにより、作業性を向上させることができる。
【0142】
また、トラクタ1は、ボンネット4をさらに具備し、前記前方カメラ40は、前記ボンネット4の左右方向における一側(右側)に配置されるものである。
【0143】
このように構成することにより、一側(右側)に配置された前輪7を撮影し易い位置に、前方カメラ40を配置することができる。
【0144】
また、トラクタ1は、キャビン20と、コンビランプ24(ランプ)と、前記キャビン20に設けられ、前記コンビランプ24が取り付けられる前側取付部25(取付部)をさらに具備し、前記前方カメラ40は、前記前側取付部25に取り付けられるものである。
【0145】
このように構成することにより、コンビランプ24及び前方カメラ40を取り付ける部材を1つにまとめることができる。これにより、前方カメラ40を取り付ける部材を別途用意しなくても済むため、前方カメラ40の取り付けに要するコストを低減することができる。特に、本実施形態においては、コンビランプ24及び前方カメラ40だけではなく、第一作業灯26aも前側取付部25に取り付けられている。これにより、第一作業灯26a、コンビランプ24及び前方カメラ40を取り付ける部材を1つにまとめることができ、コストを効果的に低減することができる。
【0146】
また、トラクタ1は、前記キャビン20の前方に取り付けられた第一作業灯26a(作業灯)をさらに具備し、前記前方カメラ40は、前記第一作業灯26aと前後方向における位置が略同一であると共に、前記第一作業灯26aよりも下方に配置されるものである。
【0147】
このように構成することにより、第一作業灯26aで前輪7を照らしながら、当該前輪7を撮影することができる。これにより、夕方等の前輪7が見え難い時間帯においても、前輪7の切れ角を把握し易くすることができる。
【0148】
また、前記前方カメラ40の位置又は向きのうち少なくとも一方が調整可能となるように、当該前方カメラ40を支持する前側支持部50(支持部)をさらに具備するものである。
【0149】
このように構成することにより、前輪7を撮影し易くなるように、前方カメラ40の位置又は向きを調整することができる。これによって、モニタ80で前輪7の状態を把握し易くすることができ、作業性をより向上させることができる。
【0150】
また、前記前側支持部50は、前記前方カメラ40の左右方向における位置を調整可能である。
【0151】
このように構成することにより、前輪7を撮影し易くなるように、前方カメラ40の位置を調整することができる。また、前輪7のトレッドに合わせて、前方カメラ40の位置を調整することができる。
【0152】
また、前記前側支持部50は、車体に固定される固定部51と、前記前方カメラ40を支持すると共に、前記固定部51に対して左右方向に位置を調整可能に設けられる調整部52と、を具備するものである。
【0153】
このように構成することにより、簡素な構成で前方カメラ40の左右方向における位置を調整することができる。
【0154】
また、前記前側支持部50は、前記前方カメラ40の上下方向における向きを調整可能である。
【0155】
このように構成することにより、前輪7を撮影し易くなるように、前方カメラ40の向きを調整することができる。
【0156】
また、トラクタ1は、排気ガスを排出するマフラ5をさらに具備し、前記前側支持部50は、前記マフラ5よりも前方に配置されるものである。
【0157】
このように構成することにより、前輪7を撮影するときに、マフラ5が映り込むのを防止することができる。
【0158】
また、前記前側支持部50の少なくとも一部は、前記マフラ5に対して正面視で重複するように配置されるものである。
【0159】
このように構成することにより、運転者が前輪7を直接見る際に、前側支持部50が邪魔になるのを抑制する(固定部51を見え難くする)ことができる。
【0160】
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、作業車の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前方カメラ40は、撮影部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るモニタ80は、表示部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るコンビランプ24は、ランプの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前側取付部25は、取付部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一作業灯26aは、作業灯の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前側支持部50は、支持部の実施の一形態である。
【0161】
また、以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車)は、周囲を撮影する撮影部(前方カメラ40及び後方カメラ60)と、前記撮影部により撮影された映像上に、所定の目印111・121を表示させた状態で表示可能なモニタ80(表示部)と、を具備するものである。
【0162】
このように構成することにより、映像上に表示された目印111・121を参考にしながら運転することで、トラクタ1を思い通りに運転し易くなる。これにより、作業性を向上させることができる。
【0163】
また、前記モニタ80は、前記映像における前記所定の目印111・121の位置を変更可能である。
【0164】
このように構成することにより、運転者の所望の位置(運転者が確認し易い位置)に目印111・121の位置を変更することで、目印111・121を参考にした運転を行い易くすることができる。これにより、作業性をより向上させることができる。
【0165】
また、前記撮影部には、前方を撮影する前方カメラ40(前方撮影部)が含まれるものである。
【0166】
このように構成することにより、モニタ80により前方の様子を表示可能となるため、トラクタ1を思い通りに前進させ易くすることができる。これにより、作業性をより向上させることができる。
【0167】
また、ボンネット4と、キャビン20と、をさらに具備し、前記前方カメラ40は、前記ボンネット4の左右方向における一側(右側)に配置され、前記モニタ80は、前記キャビン20内における前記一側に配置されるものである。
【0168】
このように構成することにより、前方カメラ40とモニタ80とを同じ側に配置することができる。これにより、モニタ80の映像だけでなく、肉眼で前方を確認する際にも、視点の移動を少なくすることができ、確認をし易くすることができる。
【0169】
また、前記前方カメラ40は、操舵可能な前輪7を撮影可能に配置されるものである。
【0170】
このように構成することにより、トラクタ1を思い通りに運転し易くなるため、作業性を向上させることができる。
【0171】
また、前記撮影部には、後方を撮影する後方カメラ60(後方撮影部)が含まれるものである。
【0172】
このように構成することにより、モニタ80により後方の様子を表示可能となるため、トラクタ1の後方や、後部に設けられたロータリ耕耘装置11の状態を確認することができる。これにより、作業性をより向上させることができる。
【0173】
また、前記後方カメラ60は、後部に配置されるロータリ耕耘装置11(作業機)を撮影可能に配置されるものである。
【0174】
このように構成することにより、ロータリ耕耘装置11の状態を把握し易くなるため、作業性をより向上させることができる。
【0175】
また、前記モニタ80は、前記前方カメラ40により撮影された映像(前方映像110)を表示可能な状態と、前記後方カメラ60により撮影された映像(後方映像120)を表示可能な状態と、を切替可能である。
【0176】
このように構成することにより、必要に応じて表示を切り替えることができる。具体的には、例えば、トラクタ1の後部に作業機を連結していない場合においては、前方映像110に切り替えて前方の様子を確認し、作業機を連結している場合においては、後方映像120に切り替えて後方の様子を確認することができる。これによって、利便性を向上させることができる。
【0177】
また、前記モニタ80は、前記前方カメラ40及び前記後方カメラ60により撮影された映像を同時に表示可能である。
【0178】
このように構成することにより、前方の様子と後方の様子とを同時に確認することができる。これにより、利便性を向上させることができる。
【0179】
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、作業車の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前方カメラ40及び後方カメラ60は、撮影部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るモニタ80は、表示部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る前方カメラ40は、前方撮影部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る後方カメラ60は、後方撮影部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るロータリ耕耘装置11は、作業機の実施の一形態である。
【0180】
また、以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車)は、後部に配置されるロータリ耕耘装置11(作業機)を撮影可能な後方カメラ60(撮影部)と、前記後方カメラ60により撮影された映像を表示可能なモニタ80(表示部)と、キャビン20と、を具備するものである。
【0181】
このように構成することにより、モニタ80によってロータリ耕耘装置11の状態を把握することができる。これにより、作業性を向上させることができる。
【0182】
また、トラクタ1は、前記キャビン20に取り付けられ、前記後方カメラ60の上下方向における位置が調整可能となるように、当該後方カメラ60を支持する後側支持部70(支持部)をさらに具備するものである。
【0183】
このように構成することにより、ロータリ耕耘装置11を撮影し易くなるように、後方カメラ60の位置を調整することができる。これによって、モニタ80でロータリ耕耘装置11の状態を把握し易くすることができ、作業性をより向上させることができる。また、トラクタ1に連結される作業機に応じて撮影し易い位置に、後方カメラ60の位置を調整することができる。
【0184】
また、前記後側支持部70の少なくとも一部は、前記キャビン20の後部に設けられた後側ピラー21c(ピラー)に対して背面視で重複するように、又は、前記後側ピラー21cよりも左右方向における外側に配置されるものである。
【0185】
このように構成することにより、運転者がキャビン20内からロータリ耕耘装置11を直接見る際に、後側支持部70が邪魔になるのを抑制することができる。すなわち、後側ピラー21cの背後に後側支持部70を隠すように配置することで、前方(キャビン20内)の運転者から後側支持部70が見え難くなる。また、後側ピラー21cよりも左右外側に後側支持部70を配置することで、運転者が左右中央の開閉窓23から後方を確認する際に、後側支持部70が邪魔になり難くなる。
【0186】
また、前記後方カメラ60は、前記キャビン20の後部に設けられた後側ピラー21cに対して背面視で重複するように、又は、前記後側ピラー21cよりも左右方向における外側に配置されるものである。
【0187】
このように構成することにより、運転者がキャビン20内からロータリ耕耘装置11を直接見る際に、後方カメラ60が邪魔になるのを抑制することができる。
【0188】
また、前記後側支持部70は、前記キャビン20に固定される固定部71と、前記後方カメラ60を支持すると共に、前記固定部71に対して上下方向に位置を調整可能に設けられる調整部72と、を具備するものである。
【0189】
このように構成することにより、簡素な構成で後方カメラ60の上下方向における位置を調整することができる。
【0190】
また、トラクタ1は、前記キャビン20の後部に設けられ、開閉可能な開閉窓23(窓)をさらに具備し、前記後側支持部70は、前記開閉窓23の左右方向における一側(右側)に配置され、前記調整部72は、前記後方カメラ60を支持すると共に、前記固定部71に対して上下方向に移動可能な移動部73と、前記開閉窓23側から操作可能であり、前記移動部73が前記固定部71に対して移動可能な状態と、前記移動部73が前記固定部71に対して移動不能な状態と、を切り替え可能な第一ボルト76(移動規制部)と、を具備するものである。
【0191】
このように構成することにより、キャビン20内から後方カメラ60の上下方向における位置を容易に調整することができる。
【0192】
また、前記後側支持部70は、前記後方カメラ60の上下方向における向きが調整可能となるように、当該後方カメラ60を支持するものである。
【0193】
このように構成することにより、ロータリ耕耘装置11を撮影し易くなるように、後方カメラ60の向きを調整することができる。
【0194】
また、トラクタ1は、前記キャビン20に設けられ、ライセンスプレートAを取付可能な後側取付部27(取付部)をさらに具備し、前記後方カメラ60は、前記後側取付部27に取り付けられるものである。
【0195】
このように構成することにより、ライセンスプレートA及び後方カメラ60を取り付ける部材を1つにまとめることができる。これにより、後方カメラ60を取り付ける部材を別途用意しなくても済むため、後方カメラ60の取り付けに要するコストを低減することができる。特に、本実施形態においては、ライセンスプレートA及び後方カメラ60だけではなく、第三作業灯26cも後側取付部27に取り付けられている。これにより、第三作業灯26c、ライセンスプレートA及び後方カメラ60を取り付ける部材を1つにまとめることができ、コストを効果的に低減することができる。
【0196】
また、トラクタ1は、前記キャビン20の後方に取り付けられた第三作業灯26c(作業灯)をさらに具備し、前記後方カメラ60は、前記第三作業灯26cと前後方向における位置が略同一であると共に、前記第三作業灯26cの下方に配置されるものである。
【0197】
このように構成することにより、第三作業灯26cでロータリ耕耘装置11を照らしながら、ロータリ耕耘装置11を撮影することができる。これにより、夕方等のロータリ耕耘装置11が見え難い時間帯においても、ロータリ耕耘装置11の状態を把握し易くすることができる。
【0198】
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、作業車の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るロータリ耕耘装置11は、作業機の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る後方カメラ60は、撮影部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るモニタ80は、表示部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る後側支持部70は、支持部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る後側ピラー21cは、ピラーの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第一ボルト76は、移動規制部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る後側取付部27は、取付部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る第三作業灯26cは、作業灯の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る開閉窓23は、窓の実施の一形態である。
【0199】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0200】
例えば、本実施形態に係る作業車はトラクタ1であるものとしたが、本発明に係る作業車の種類はこれに限定されるものでない。本発明に係る作業車は、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であってもよい。
【0201】
また、トラクタ1には、ロータリ耕耘装置11が連結されるものとしたが、トラクタ1に連結される作業機はこれに限定されるものではなく、必要に応じて種々の作業機(例えば、ハローやプラウ等)を連結することができる。
【0202】
また、前方カメラ40は、ボンネット4の右方に配置されるものとしたが、ボンネット4に対する位置関係は、これに限定されるものではない。前方カメラ40は、例えば、ボンネット4の左方や左右中央に配置されていてもよい。また、前方カメラ40は、必ずしもキャビン20に1つだけ取り付けられる必要はなく、複数取り付けられていてもよい。
【0203】
また、前方カメラ40は、前側取付部25を介してキャビン20に取り付けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、キャビン20に直接取り付けられていてもよい。
【0204】
また、本実施形態においては、前輪7を操舵可能なトラクタ1を例示して、前方カメラ40によって前輪7(操舵輪)を撮影するものとしたが、後輪が操舵可能な作業車に適用する場合には、当該後輪(操舵輪)をカメラによって撮影してもよい。
【0205】
また、本実施形態においては、前方カメラ40を長孔51aに沿って左右に移動させる例を示したが、これに限定されるものではない。例えば固定部51に、長孔51aではなく複数の孔(第一ボルト55を挿通可能な円形断面を有する孔)を左右方向に沿って形成してもよい。このように構成することで、第一ボルト55を任意の孔に挿通して固定することで、前方カメラ40の位置を変更することができる。
【0206】
また、前側支持部50は、前方カメラ40の位置及び向きをそれぞれ調整可能であるものとしたが、これに限定されるものではない。前側支持部50は、例えば、前方カメラ40の位置又は向きのいずれか一方のみを調整可能であってもよい。
【0207】
また、前側支持部50は、前方カメラ40の左右位置を調整可能なものとしたが、例えば上下位置を調整可能としてもよい。また、前側支持部50は、前方カメラ40の上下方向における向きを調整可能なものとしたが、例えば左右方向における向きを調整可能としてもよい。この場合、例えば第一ボルト55を1本だけ設け、調整部52を固定部51に対して一箇所で固定する(1点止め)構成とすることで、当該第一ボルト55を中心とした前方カメラ40の左右方向における向きを調整可能とすることができる。
【0208】
また、前側支持部50の上側移動部53と下側移動部54との上下方向における位置関係は、本実施形態に限定されるものではない。前側支持部50は、上側移動部53と下側移動部54とを上下に反転させてもよい。すなわち、本実施形態では、
図7に示すように、前方カメラ40が固定部51の上方に位置するものとしたが、前方カメラ40が固定部51の下方に位置するように配置することも可能である。
【0209】
また、前方カメラ40は、第一作業灯26aの左方に配置されるものとしたが、第一作業灯26aに対する位置関係はこれに限定されるものではない。前方カメラ40は、例えば、第一作業灯26aの右方に配置されていてもよい。
【0210】
また、前側支持部50は、マフラ5の前方に配置されるものとしたが、マフラ5との位置関係これに限定されるものではない。前側支持部50は、例えば、マフラ5の下方等に配置されていてもよい。
【0211】
また、後方カメラ60は、キャビン20の右部に配置されるものとしたが、キャビン20に対する位置関係は、これに限定されるものではない。後方カメラ60は、例えば、キャビン20の左部や左右中央に配置されていてもよい。また、後方カメラ60は、必ずしもキャビン20に1つだけ取り付けられる必要はなく、複数取り付けられていてもよい。
【0212】
また、後方カメラ60は、後側取付部27を介してキャビン20に取り付けられるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、キャビン20に直接取り付けられていてもよい。
【0213】
また、後側支持部70は、後方カメラ60の位置及び向きをそれぞれ調整可能であるものとしたが、これに限定されるものではない。後側支持部70は、少なくとも後方カメラ60の上下方向における位置を調整可能であればよく、必ずしも向きを調整可能である必要はない。
【0214】
また、後側支持部70は、後方カメラ60の上下位置を調整可能なものとしたが、例えば左右位置を調整可能としてもよい。また、後側支持部70は、後方カメラ60の上下方向における向きを調整可能なものとしたが、例えば左右方向における向きを調整可能としてもよい。
【0215】
また、後方カメラ60及び後側支持部70は、後側ピラー21cに対して左右方向における外側に配置されるものとしたが、これに限定されるものではない。例えば、後方カメラ60及び後側支持部70は、後側ピラー21cに背面視で重複するように配置されるものであってもよい。
【0216】
また、後側支持部70の第一ボルト76は、固定部71に左方(開閉窓23側)から締結されるものとしたが、これに限定されるものではなく、固定部71に右方(左右外側)から締結されるものであってもよい。
【0217】
また、モニタ80は、目印111・121の位置及び向きを調整可能であるものとしたが、これに限定されるものではなく、目印111・121の位置及び向きを調整不能であってもよい。
【0218】
また、モニタ80は、目印111・121を表示可能なものとしたが、これに限定されるものではなく、目印111・121のいずれか一方のみを表示可能なもの(すなわち、前方映像110又は後方映像120のいずれか一方にのみ、目印を表示可能なもの)であってもよい。
【0219】
また、モニタ80は、前方映像110及び後方映像120(前方カメラ40及び後方カメラ60の映像)をそれぞれ表示可能であるものとしたが、これに限定されるものではなく、いずれか一方の映像のみを表示可能であってもよい。また、1台のモニタ80に前方映像110及び後方映像120を表示させるのではなく、複数のモニタ(例えば、2台のモニタ80)に、前方映像110及び後方映像120を個別に表示させることも可能である。
【0220】
また、モニタ80は、前方カメラ40と同じ側(キャビン20内の右側)に配置されるものとしたが、前方カメラ40との位置関係はこれに限定されるものではなく、例えば、前方カメラ40とは異なる側(キャビン20内の左側)に配置されていてもよい。
【0221】
また、後方カメラ60は、ロータリ耕耘装置11を撮影するものとしたが、後方カメラ60の撮影対象はロータリ耕耘装置11等の作業機に限定されるものではなく、例えば、後輪8等であってもよい。
【0222】
また、モニタ80は、前方映像110及び後方映像120を同時に表示させる場合において、前方映像110及び後方映像120を左右に並べて表示したが、これに限定されるものではなく、例えば、上下に並べて表示してもよい。
【0223】
また、モニタ80は、必ずしも前方映像110及び後方映像120を同時に表示可能である必要はない。
【0224】
また、モニタ80にはボタン83が設けられ、当該ボタン83を用いて操作されるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば表示部と操作部を兼ねるタッチパネル等を用いることも可能である。
【0225】
また、モニタ80は、前方映像110と後方映像120との相対的な位置関係を示すように目印を表示してもよい。
図21(b)に示す映像は、当該目印として、目印111・121を表示した状態を示している。
図21(b)において、パネル82には、前方映像110及び後方映像120が同時に表示されると共に、前方映像110に2つの目印111・121が表示される。
【0226】
目印111は、前輪7の内側面に沿った直線である。目印121は、ロータリ耕耘装置11の右端部に沿った直線である。モニタ80の制御部84には、予め前方映像110と後方映像120の相対的な位置関係(すなわち、後方映像120における左右位置と、前方映像110における左右位置との関係)が記憶されている。この相対的な位置関係に基づいて、ロータリ耕耘装置11の右端部に沿った直線(目印121)を、後方映像120中だけでなく、前方映像110中にも表示させている。
【0227】
このように、前方映像110と後方映像120との相対的な位置関係を目印121によって映像中に示すことで、運転者に両映像の相対的な位置関係を認識させることができる。これによって、作業精度や作業性を向上させることができる。
【0228】
例えば
図21(b)に示した例では、ロータリ耕耘装置11が通ることになる位置(ロータリ耕耘装置11の右端)を前方映像110中の目印121で確認することができるため、これからどの部分を耕耘することになるのかを運転者が事前に認識することができる。これに基づいてトラクタ1を適宜操舵することで、作業精度や作業性の向上を図ることができる。
【0229】
なお、前述の如く、前方カメラ40や後方カメラ60は左右や上下の位置、及び上下の向きを任意に調整できる。このため、前方カメラ40の位置等が調整されると、前方映像110と後方映像120の相対的な位置関係が変化することになる。そこで、前方カメラ40等の位置や向きを検出可能な適宜のセンサ(例えば、ポテンショメータ等)を設け、両カメラの相対的な位置関係を制御部84に把握させ、前方映像110と後方映像120に表示される目印121の位置を自動的に調整(補正)させることも可能である。このようにして、前方カメラ40等の位置や向きが変わっても、前方映像110と後方映像120の相対的な位置関係を目印121によって正確に表示させることができる。
【0230】
以上の如く、前記モニタ80は、前記所定の目印として、前記前方カメラ40により撮影された映像と、前記後方カメラ60により撮影された映像と、の相対的な位置関係を示す目印111・121(相対位置目印)を表示可能である。
【0231】
このように構成することにより、前方カメラ40により撮影された映像と、後方カメラ60により撮影された映像と、の相対的な位置関係を把握することができる。これにより、目印111・121を参考にした運転をより行い易くなって、作業性をより向上することができる。
【0232】
なお、
図21(b)に示す目印121は、相対位置目印の実施の一形態である。
【0233】
なお、
図21(b)においては、前方映像110と後方映像120の相対的な位置関係を示す目印121を、前方映像110と後方映像120の両方に表示させる例を示したが、これに限定されるものではなく、例えばいずれか一方の映像(例えば、前方映像110)にのみ目印121を表示させてもよい。この場合、前方映像110中の目印121の左右位置が、後方映像120におけるどの位置に相当するのか事前に設定しておくことで、両映像の相対的な位置関係を把握することができる。
【0234】
また、
図21(b)において、モニタ80は、目印111・121を表示させる場合に、前方映像110及び後方映像120を同時に表示させたが、目印111・121を表示させる態様はこれに限定されるものではない。モニタ80は、例えば、目印111・121を表示させる場合に、前方映像110及び後方映像120のうち一方の映像のみ(例えば、前方映像110のみ)を表示させてもよい。
【符号の説明】
【0235】
1 トラクタ
4 ボンネット
5 マフラ
7 前輪
11 ロータリ耕耘装置
20 キャビン
30 作業支援システム
40 前方カメラ
50 前側支持部
60 後方カメラ
70 後側支持部
80 モニタ
90 モニタ支持部