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  • 特許-スロープ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】スロープ装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 23/00 20060101AFI20221221BHJP
   B61B 1/02 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B61D23/00
B61B1/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019143269
(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公開番号】P2021024406
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000163372
【氏名又は名称】近畿車輌株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】垂井 茂幸
(72)【発明者】
【氏名】寺村 弘
(72)【発明者】
【氏名】広沢 賢
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-211391(JP,A)
【文献】実開昭61-193865(JP,U)
【文献】特開2000-043718(JP,A)
【文献】特開2003-220093(JP,A)
【文献】特開2003-112628(JP,A)
【文献】特開2001-158347(JP,A)
【文献】特開2003-230599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 23/00-23/02
B61B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の車内側に載置される筐体内に起立状態で収納され、
前記筐体から起立状態のままで突出し、前記突出方向と平行な枢軸で回転し車外側に倒置することで前記車内側とプラットフォームの間をかけ渡すスロープを有するスロープ装置であって、
前記スロープが突出された際に占める突出時占有空間の障害物を検知する突出時センサと、
前記スロープが倒置する際に占める倒置時占有空間の障害物を検知する倒置時センサと、
前記筐体に配置された第1のマイクスピーカおよび前記倒置時センサの付近に配置された第2のマイクスピーカと、
少なくとも前記筐体と前記センサおよび前記第1および第2のマイクスピーカに電力を供給するバッテリと、
前記スロープの突出動作および回転動作を遠隔操作し、
前記突出時センサと前記倒置時センサからの信号を受信し、
前記第1および第2のマイクスピーカへ音声を送信できる無線通信機を有することを特徴とするスロープ装置。
【請求項2】
前記突出時センサと前記倒置時センサはカメラであることを特徴とする請求項1に記載されたスロープ装置。
【請求項3】
前記筐体には、降車通知手段が設けられていることを特徴とする請求項1または2の何れかの請求項に記載されたスロープ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は鉄道車両において、車いすでの乗降を可能にするために、車内とプラットフォームの間に渡り板となるスロープを設置するスロープ装置であって、車内側に載置されるスロープ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在鉄道車両に車いすで乗降する場合は、乗車駅と降車駅とで、連絡を取り合い、それぞれの駅で、乗車および降車の際に、プラットフォームと車内をつなぐスロープを駅員が設置する。このスロープは、車いすでの乗降がある都度、駅員が設置を行うので、手間としては大きいといえる。
【0003】
特許文献1は、このスロープを車内に取り付けたもので、車内床面に、車両長手方向に沿って設けられたスラレイドレールと、このスライドレールに沿って、乗降口の一側端部から乗降口側にスライド可能なスライダーと、このスライダーに対しヒンジ状に回転可能に取り付けられ、乗降口の前記側端部への収納状態で略垂直に立てられると共に、乗降口へスライドされた使用状態で、車外プラットフォーム側に倒されるスロープ板で構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-347607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、スロープが車内部で収納場所から突出し、車両外に回転倒置するため、乗客の安全のためには、駅員のサポートを必要とするものであった。また、スロープは鉄道車両の一部として製作したものであって、任意の車両に後付けできるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題に鑑みて想到されたものであり、乗降の際に、駅員がいなくても、安全を確認できるスロープ装置を提供するものである。
【0007】
より具体的に本発明に係るスロープ装置は、
鉄道車両の車内側に載置される筐体内に起立状態で収納され、
前記筐体から起立状態のままで突出し、前記突出方向と平行な枢軸で回転し車外側に倒置することで前記車内側とプラットフォームの間をかけ渡すスロープを有するスロープ装置であって、
前記スロープが突出された際に占める突出時占有空間の障害物を検知する突出時センサと、
前記スロープが倒置する際に占める倒置時占有空間の障害物を検知する倒置時センサと、
前記筐体に配置された第1のマイクスピーカおよび前記倒置時センサの付近に配置された第2のマイクスピーカと、
少なくとも前記筐体と前記センサおよび前記第1および第2のマイクスピーカに電力を供給するバッテリと、
前記スロープの突出動作および回転動作を遠隔操作し、
前記突出時センサと前記倒置時センサからの信号を受信し、
前記第1および第2のマイクスピーカへ音声を送信できる無線通信機を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るスロープ装置は、スロープが筐体から突出する際に突出予定空間の障害物を検知する突出時センサと、車外のプラットフォームに向かって倒置する際に障害物を検知する倒置時センサを有するので、スロープの展開時に、車内や、プラットフォームの障害物に接触する前に注意喚起や障害物排除を行うことができる。結果、駅員の助けがない場合であっても、車掌若しくは運転手がスロープ装置を操作することができる。
【0009】
また、本発明に係るスロープ装置は、バッテリを内蔵し、通信によって動作することができるため、車両取り付けの際に配線工事が不要であり、設置が容易に行えるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るスロープ装置の外観を示す図である。
図2】スロープ装置からスロープが突出した状態を示す図(図2(a))と、突出したスロープが枢軸を回転軸として回転倒置した状態を示す図(図2(b))である。
図3】スロープ装置の構成を示す図である。
図4】スロープ装置の動作のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明に係るスロープ装置について図面を示し説明を行う。なお、以下の説明は、本発明の一実施形態および一実施例を例示するものであり、本発明が以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変することができる。
【0012】
図1に本発明に係るスロープ装置1が、乗降口70が開いた車内72において、乗降口70のすぐ脇の床面74に載置され、プラットフォーム76にスロープ12を展開している様子を示す。また、図2は、スロープ装置1だけを示し、図2(a)はスロープ12が突出した状態を車内72(図1参照)側から示し、図2(b)は、スロープ12を回転倒置した状態を車外のプラットフォーム76側から示す。また、図3にスロープ装置1の構成を示す。
【0013】
図1図2図3を参照する。スロープ装置1は、筐体10とスロープ12と、バッテリ14と、駆動モータ16と、制御部18と、通信部20と、突出時センサ22と、倒置時センサ24(図2(b)参照)と、リモコン26を有する。なお、筐体10には、降車通知手段28およびマイクスピーカ10sが設けられていてもよい。
【0014】
スロープ装置1は、外観は略箱型の筐体10で鉄道車両の車内72の乗降口70に隣接する状態で配置される。乗降口70にできるだけ隣接して配置されるのが好ましい。スロープ12を突出させ、車外のプラットフォーム76に倒置させるためである。
【0015】
筐体10には、少なくとも一方の側面にスロープ12の出入り口10aが設けられている。出入り口10aは他方の側面にも設けられていてもよい。出入り口10aが両側の側面にあれば、スロープ装置1は、乗降口70に対して左右のどちら側にも取り付けられるからである。
【0016】
スロープ12は、車内72と車外のプラットフォーム76にかけ渡し、車いすがプラットフォーム76側から車内72に(またはその逆に)移動できれば、特に限定されるものではない。基本的には、少なくとも車いすの車輪が乗る部分に強度を持たせた板状をしている。
【0017】
スロープ12は、一辺側の延長に枢軸12aが設けられている。スロープ12はこの枢軸12aの回転によって、回転し、車内72から車外のプラットフォーム76へかけ渡しを行うことができる。スロープ12は、枢軸12aを下側にして倒立状態で筐体10内に収納されている。スロープ12の材質は、特に限定されるものではない。
【0018】
筐体10内には、スロープ12を筐体10から伸長される際の駆動モータ16が備えられている。なお、駆動モータ16は、スロープ12を突出または収納させるための移動用モータ(または伸縮用モータ)(図示せず。)と枢軸12aを軸として回転倒置または起立させるために倒置用モータ(図示せず。)が搭載されていてもよい。
【0019】
筐体10内には、バッテリ14と制御部18と通信部20がさらに備えられている。バッテリ14は、駆動モータ16や、制御部18、通信部20、および後述する突出時センサ22、倒置時センサ24およびその他の機器に電力を供給する。その結果、本発明に係るスロープ装置1は、車両から電力供給を受けることなく、動作することができる。制御部18はスロープ装置1の動作を制御する。通信部20は、筐体10とリモコン26との間の通信を行う。なお、制御部18はMPU(マイクロプロセッサユニット)でもよいしPLC(プログラマブルロジックコントローラ)を用いてもよい。
【0020】
図2(a)を参照して、スロープ装置1には、スロープ12が筐体10から突出した際にスロープ12が占める空間内の異物を検出する突出時センサ22を有している。この空間を「突出時占有空間30」と呼び、突出時占有空間30とは、筐体10からスロープ12が突出した状態を少なくとも覆うことのできる、床面74(図1参照)を含めた空間である。
【0021】
突出時センサ22は、突出時占有空間30内の異物を検出できれば、その形態は特に限定されるものではない。例えば、突出時占有空間30に対応する床面積を覆うシート状の重さセンサ22a若しくは突出時占有空間30を映すカメラ22bといったセンサが好適に利用できる。
【0022】
図2(b)を参照して、スロープ装置1は、筐体10から突出したスロープ12が車外のプラットフォーム76に向かって倒置された際にスロープ12の可動範囲と倒置された部分の空間(これを「倒置時占有空間32」と呼ぶ)内の異物を検出する倒置時センサ24を有する。倒置時センサ24は、スロープ12の中央裏側に設けられたカメラ24aが好適に利用できる。カメラ24aの付近にはマイクスピーカ12sが配置されていてもよい。
【0023】
なお、突出時センサ22および倒置時センサ24とも、それぞれ突出時占有空間30と倒置時占有空間32内の異物を検出することができれば、他の方法であってもよい。また、これらのセンサ22、24の検出信号(映像を含む)は、制御部18から通信部20を経由してリモコン26に送信される。
【0024】
図1を再び参照し、筐体10には、さらに、降車通知手段28が備えられていてもよい。降車通知手段28は、車いすの乗客が次に降車する意思を車掌若しくは運転手に伝えるための手段である。押下することで、車いすの乗客が降車の意思を伝えることのできる、降車ボタン28aから制御部18、通信部20によって、リモコン26に降車ボタン28aが押下されたという信号は、降車通知手段28として好適に利用できる。しかし、それ以外の手段であってもよい。以下では、降車通知手段28が、降車ボタン28a、制御部18および通信部20からリモコン26に伝えられる構成として説明する。
【0025】
図3を参照して、リモコン26は、筐体10の動きを遠隔操作することができ、また突出時センサ22と倒置時センサ24の検出結果を受信することができる。リモコン26は、リモコン制御部26a、リモコン通信部26b、入出力部26c、ディスプレイ26d、マイクスピーカ26eなどで構成することができる。
【0026】
入出力部26cは、筐体10に対する指示信号の選択等に使われる。ディスプレイ26dは、現在の筐体10の処理状態や、突出時センサ22や倒置時センサ24からの信号(映像信号であってもよい)を表示する。リモコン制御部26aはリモコン26全体を制御し、リモコン通信部26bは、筐体10の通信部20と信号の送受信を行う。
【0027】
筐体10側からリモコン26へ送られる信号を信号Srとし、リモコン26から筐体10側に送る信号を信号Scとする。信号Srは、音声信号、画像信号、ステータスを表す信号が含まれる。また、信号Scは、指示信号、音声信号を含む。なお、筐体10とリモコン26の間は無線通信として示したが、有線で結んでもよい。
【0028】
以上の構成を有するスロープ装置1の動作について、以下に詳述する。図4には、スロープ装置1の動作フローを記す。以下の説明では図1および図2も参照する。スロープ装置1は、車掌若しくは運転手の何れか若しくは車両に同乗する他の鉄道車両関係者が操作する。ここでは車掌が操作するとして説明する。
【0029】
まず、車内72には車いすの乗客はいないとする。処理がスタートすると(ステップS100)、終了判定が行われる(ステップS102)。終了判定の基準は、特に限定されない。スロープ装置1の電源を落とすことで終了と判定する場合が好適に採用される。終了の場合(ステップS102のY分岐)は、スロープ装置1は停止する(ステップS104)。終了しない場合(ステップS102のN分岐)は、処理を次のフローに移す。
【0030】
次に筐体10に設けられた降車ボタン28aが押されたか否かを判断する(ステップS106)。降車ボタン28aが押された場合(ステップS106のY分岐)は、降車ボタン28aが押されたことをリモコン26に通信する(ステップS108)。今車内72に車いすの乗客はいないとしているので、降車ボタン28aは押されない。したがって、処理は次のステップに移動する(ステップS106のN分岐)。
【0031】
次にリモコン26からの指示があったか否かを判断する。リモコン26からの指示がなかった場合(ステップS110のN分岐)は、再びステップS102の終了判定に戻る。車掌は、車両がプラットフォーム76に入るまでは、スロープ装置1になにもしない。したがって、車両の走行中はステップS102からステップS110の間を処理は回り、待機状態となる。
【0032】
車掌は停車駅が接近し、電車が減速しながらプラットフォーム76に入ってきた場合は、プラットフォーム76上を観察し、車いすの乗客の有無を確認する。若しくは停車予定の駅の駅員から車いすの乗客がいる旨の連絡をあらかじめ受けていてもよい。その場合、車掌はリモコン26でスロープ装置1に指示を出す。その場合に処理はステップS110のY分岐からステップS112に移る。
【0033】
ステップS112では突出時占有空間30の障害物の有無を確認する。これは突出時センサ22を用いて行われる。ここで「障害物」とは、乗客若しくは手荷物等である。障害物があった場合(ステップS112のN分岐)、車掌は、車内アナウンス若しくは筐体10のマイクスピーカ10sで突出時占有空間30から立ち退く、若しくは手荷物の撤去などを指示する(ステップS114)。なお、マイクスピーカ10sを用いる場合、車掌の声は、リモコン26のマイクスピーカ26eから信号Scによって筐体10の通信部20で受信され、マイクスピーカ10sから出力される。
【0034】
障害物の有無は、突出時センサ22にカメラ22bを用いた場合は、画像データを通信部20からリモコン26に送信することで、車掌が目視で行うことができる。なお、障害物の有無は制御部18自身が画像認識といった手法を用いて行ってもよい。
【0035】
障害物がなくなったと判断した場合(ステップS112のY分岐)は、スロープ12を突出させる(ステップS116)。なお、ステップS112からステップS116に向かう矢印の根本に黒四角印を入れた。これは、筐体10側から、ステップS112の判断がYになったことをリモコン26に送信し、それを確認した車掌の指示信号ScによってステップS116に処理を移すことを示す。すなわち、ここで処理は一時止まり、人の判断が行われた後、次の処理が実行される。以降のステップも同様である。
【0036】
スロープ12が突出時占有空間30に突出したら、次の指示まで待機する(ステップS116)。ここで車掌は車両の乗降口70を開ける。
【0037】
車両の乗降口70が開いたら、車掌はリモコン26で指示(信号Sc)を出し、倒置時占有空間32に障害物があるか否かを確認する(ステップS118)。ここでは、スロープ12がすでに突出しており、スロープ12の裏側に設けられた倒置時センサ24であるカメラ24aが車内72からプラットフォーム76を撮影することとなる。
【0038】
倒置時占有空間32の障害物の有無については、筐体10から送られてくるカメラ24aの画像を車掌が確認することで行ってもよいし、制御部18が画像処理技術を用いて判断してもよい。
【0039】
障害物があった場合(ステップS118のN分岐)は、車掌が車両に搭載された車外スピーカー若しくはスロープ12のカメラ24a付近に設置したマイクスピーカ12sによって、場所を空けるようにアナウンス(ステップS120)してもよい。なお、車掌の声は、リモコン26のマイクスピーカ26eから信号Scによって筐体10の通信部20で受信され、マイクスピーカ12sから出力される。
【0040】
倒置時占有空間32に障害物がなくなったら(ステップS118のY分岐)、リモコン26からの指示で次のフローに処理を移す。次の処理では、スロープ12が枢軸12aを回転軸として、車外側に倒れ、車内72とプラットフォーム76をかけ渡すように倒置する(ステップS122)。
【0041】
スロープ12によって、車内72とプラットフォーム76の間の隙間が覆われ、車いすは安全に車内72に乗り込むことができる。スロープ装置1の処理は、車いすの乗客が乗車するまで、待ち状態になる(ステップS122の黒四角)。
【0042】
車掌は、車いすの乗客が乗車し終わったら、筐体10にリモコン26から指示(信号Sc)を出し、突出時占有空間30に障害物がないかを確認する(ステップS126)。障害物がある場合(ステップS126のN分岐)は、アナウンスを行い(ステップS128)、障害物の移動を促す。障害物がない場合(ステップS126のY分岐)は、車掌の指示でスロープ12を引き上げる(ステップS130)。
【0043】
スロープ12が引き上げられたら、車掌は乗降口70を閉め、スロープ12を筐体10内に収納するように指示を出す。その指示によってスロープ12は筐体10内に収納(ステップS132)され、処理はステップS102に戻り、再び待ち状態になる。全ての処理が終了したら車両を発車させる。
【0044】
次に車いすの乗客が降車する場合について説明する。車いすの乗客は、予め行き先を駅員に通知し、降車駅の駅員が迎えに来る(現在の運用)のようにしてもよい。しかし、本発明に係るスロープ装置1では、車いすの乗客は乗車中に降車駅を選び、停車前に筐体10の降車ボタン28aを押すことで降車の意思を車掌に伝えることができる。
【0045】
ステップS102からステップS110の処理を回りながら、待機状態になっている制御部18は、降車ボタン28aが押されたら(ステップS106)、車掌に「降車通信」をリモコン26に送信する。(ステップS106のY分岐)車掌は降車通信を受けたら、(ステップS108)次の駅で車いすの乗客が降車する意思があることを知る。したがって、目的の駅が接近してきたら、筐体10に指示信号Sc(遠隔指令)を送る(ステップ109)。その指示信号Scによって、筐体10の制御部18は処理をステップS110からステップS112に移る。
【0046】
それ以降の処理(ステップS112からステップS132)は、上記ステップS122でスロープ12が倒置したら、車いすの乗客が降車するのを確認する以外は、上記の説明と全く同じ処理が行われ、再びステップS102に戻る。
【0047】
以上のように本発明に係るスロープ装置1は、リモコン26からの指示によって、周囲を確認しながらスロープ12を展開できるので、リモコン26の操作者から直接見えない若しくは見えにくい車両に配置されても、安全に操作することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は鉄道車両に好適に利用することができる。また、船舶や大型車両の乗降時に利用することもできる。
【符号の説明】
【0049】
1 スロープ装置
10 筐体
10a 出入り口
10s マイクスピーカ
12 スロープ
12a 枢軸
14 バッテリ
16 駆動モータ
18 制御部
20 通信部
22 突出時センサ
22a 重さセンサ
22b カメラ
24 倒置時センサ
24a カメラ
26 リモコン
26a リモコン制御部
26b リモコン通信部
26c 入出力部
26d ディスプレイ
26e マイクスピーカ
28 降車通知手段
28a 降車ボタン
30 突出時占有空間
32 倒置時占有空間
図1
図2
図3
図4