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特許7198175車両ドア制御装置、車両ドア制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】車両ドア制御装置、車両ドア制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/00 20060101AFI20221221BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20221221BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B60J5/00 H
E05B49/00 J
G08B21/00 U
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019147042
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021024541
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-01-12
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】日本電産モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠暉
(72)【発明者】
【氏名】荒貝 隆
(72)【発明者】
【氏名】北條 貴大
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-142065(JP,A)
【文献】特開2001-78302(JP,A)
【文献】特開2017-7453(JP,A)
【文献】特開2008-179980(JP,A)
【文献】特開2004-30480(JP,A)
【文献】特開平9-156468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 5/00
B60R 25/00
E05B 49/00,83/00
G08B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられたドアを自動的にロックする予約を受け付けた後、所定のロック条件が成立すれば、前記ドアをロックし、前記ロック条件が成立しなければ、警報を出力する車両ドア制御装置において、
前記ロック条件が成立しなかった場合に、前記警報を解除するための入力部による入力を前記車両のユーザに要求する入力要求部と、
前記入力部により前記ユーザに固有の特定の入力が行われると、前記警報を解除する制御部と、を備えたことを特徴とする車両ドア制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両ドア制御装置において、
前記入力要求部は、前記特定の入力として、パスワードの入力を要求し、
前記制御部は、前記入力部により特定のパスワードが入力されると、前記警報を解除する、ことを特徴とする車両ドア制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両ドア制御装置において、
前記ドアの開閉状態を検出するドア開閉検出部をさらに備え、
前記ロック条件が成立しなかった場合に、前記ドアが開いた状態にあることが前記ドア開閉検出部により検出されると、前記制御部は前記警報を出力する、ことを特徴とする車両ドア制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両ドア制御装置において、
前記ドアが開いた状態にあることが前記ドア開閉検出部により検出されてから、所定時間が経過したときに、前記制御部は前記警報を出力する、ことを特徴とする車両ドア制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両ドア制御装置において、
前記警報の出力中に、
前記入力要求部は前記特定の入力を要求し、
前記制御部は、前記入力部により前記特定の入力が行われなければ、前記警報の出力を継続する、ことを特徴とする車両ドア制御装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両ドア制御装置において、
前記警報の出力前に、
前記入力要求部は前記特定の入力を要求し、
前記制御部は、前記入力部により前記特定の入力が行われなければ、前記警報を出力する、ことを特徴とする車両ドア制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の車両ドア制御装置において、
前記入力部は、当該車両ドア制御装置と電気的に接続された車載機器に備わっていて、
前記入力要求部は、前記特定の入力を要求する表示を前記車載機器に備わる表示部に表示させ、
前記制御部は、前記入力部により入力された内容を前記車載機器から取得して、当該入力の内容が前記特定の入力の内容と一致するか否かを判定する、ことを特徴とする車両ドア制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の車両ドア制御装置において、
前記ユーザが携帯する携帯機器と無線で通信する通信部をさらに備え、
前記入力部は、前記携帯機器に備わっていて、
前記入力要求部は、前記特定の入力を要求する情報を、前記通信部により前記携帯機器へ送信して、前記携帯機器に備わる表示部に表示させ、
前記入力部により前記特定の入力が行われたことに応じて前記携帯機器から送信される、前記警報の解除要求が前記通信部により受信されると、前記制御部は前記警報を解除する、ことを特徴とする車両ドア制御装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両ドア制御装置において、
前記警報の出力前に、前記制御部は、警報待機状態であることを示す情報を、前記通信部により前記携帯機器へ送信して、前記携帯機器の前記表示部に表示させる、ことを特徴とする車両ドア制御装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の車両ドア制御装置において、
前記警報の出力が開始されてから、所定時間が経過すると、前記制御部は前記警報を解除する、ことを特徴とする車両ドア制御装置。
【請求項11】
車両に設けられたドアを自動的にロックする予約を受け付けた後、前記ドアをロックする車両ドア制御システムであって、
前記予約が受け付けられた後、所定のロック条件が成立すれば、前記ドアをロックするドアロック装置と、
前記予約が受け付けられた後、前記ロック条件が成立しなければ、警報を出力する警報装置と、
前記ロック条件が成立しなかった場合に、前記警報を解除するための入力を前記車両のユーザに要求する入力要求部と、
前記入力要求部の要求に対し、前記ユーザに固有の特定の入力を行うための入力部と、
前記ドアロック装置および前記警報装置の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記入力部で前記特定の入力が行われると、前記警報を解除する、ことを特徴とする車両ドア制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアを自動的にロックする予約を受け付けて、当該ロックを実行する車両ドアの制御装置および制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアをロックする場合、従来は、車両のドアが閉じるのを待ってから、ドアをロックする操作を行っていたが、最近では、ドアロックの予約操作を行うことにより、ドアが閉じると自動的にドアをロックする車両ドア制御装置が登場している。
【0003】
たとえば、特許文献1に開示された車両ドア制御装置では、ユーザがドア操作スイッチを操作して、車両のドアを自動で閉動作させているときに、さらにドアロックスイッチを操作すると、ドアを自動的にロックする予約(以下、「予約ロック」という。)が受け付けられる。そして、所定のロック条件が成立すれば、ドアを自動でロックし、ロック条件が成立しなければ、ドアを自動でロックせずに、警報を出力する。ロック条件には、ドアが閉まっていることや、ユーザの所持する電子キーが車両の車室内にないことが含まれている。
【0004】
また、特許文献2に開示された車両ドア制御装置では、車両に設けられた複数のドアのうち、少なくともいずれか1つのドアが開いていて、少なくともいずれか1つのドアが閉まっているときに、ユーザがその閉まっているドアに設けられたロックスイッチを操作すると、ユーザの所有する携帯機器の位置が検出される。このとき、携帯機器が車両の車室内に無く、車外にあることが検出されると、予約ロックが受け付けられて、自動施錠可能モードへ移行する。そして、所定のロック条件(全てのドアが閉まって、携帯機器が車室内に無いこと)が成立すると、全てのドア自動でロックされる。また、予約ロックの受け付け時、ロック条件の不成立検出時、およびドアの自動ロック時に、車外ブザーがそれぞれ異なる回数だけ吹鳴される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-150734号公報
【文献】特許第5173499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両のドアの予約ロックが受け付けられた後、所定のロック条件が成立せず、ドアが自動でロックされなかった場合、ユーザが気付かずに車両を離れると、悪意の第三者がそのアンロック状態のドアを開けて、車室内に侵入するおそれがある。またその際、車両の電子キーが車室内に置き忘れられていると、悪意の第三者により車両のエンジンが始動されて、車両が盗難されるおそれがある。この対策として、特許文献1では、ロック条件が成立しなかったときに、警報を出力するようにしている。しかるに、警報に対してユーザが適切に対応できれば問題はないが、ユーザが突然の警報に戸惑って、適切な対応をとれない場合もある。また、警報の出力が長時間続くと、周囲の迷惑になってしまう。その一方で、ドアの開操作やスイッチの単発操作などのような、誰にでもできる簡単な操作で警報を停止できるようにすると、防犯性が低くなってしまう。
【0007】
本発明は、予約ロックに基づいて車両のドアを自動的にロックすることができなかった場合に、ユーザによる対処が容易で、かつ高い防犯性を確保できる車両ドアの制御装置および制御システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による車両ドア制御装置は、車両に設けられたドアを自動的にロックする予約を受け付けた後、所定のロック条件が成立すれば、ドアをロックし、ロック条件が成立しなければ、警報を出力する。そして、ロック条件が成立しなかった場合に、警報を解除するための入力部による入力を車両のユーザに要求する入力要求部と、入力部によりユーザに固有の特定の入力が行われると、警報を解除する制御部とを備える。
【0009】
また、本発明による車両ドア制御システムは、車両に設けられたドアを自動的にロックする予約を受け付けた後、ドアをロックするシステムであって、予約が受け付けられた後、所定のロック条件が成立すれば、ドアをロックするドアロック装置と、予約が受け付けられた後、ロック条件が成立しなければ、警報を出力する警報装置と、ロック条件が成立しなかった場合に、警報を解除するための入力を車両のユーザに要求する入力要求部と、この入力要求部の要求に対し、ユーザに固有の特定の入力を行うための入力部と、ドアロック装置および警報装置の動作を制御する制御部とを備えており、制御部は、入力部でユーザに固有の特定の入力が行われると、警報を解除する。
【0010】
上記のような車両ドアの制御装置および制御システムによると、車両のドアを自動的にロックする予約を受け付けた後、ロック条件が成立しなければ、ドアがアンロック状態になり、警報が出力されるが、入力要求部が、警報を解除するための入力部による入力をユーザに要求する。そして、入力部によりユーザに固有の特定の入力が行われると、制御部が警報を解除する。このため、ユーザは、入力部により特定の入力を行うという、簡単な操作によって警報を解除することができる。また、警報の出力が長時間続いて、周囲の迷惑になるのを防ぐことができる。そして、警報の解除後に、ユーザは、予約したドアのロックが実現されなかった原因を解決したり、再度ドアのロックを予約したりするなど、適切に対処することができる。さらに、たとえば車両の電子キーが車室内に有っても、入力部により特定の入力が行われなければ、警報は解除されないので、防犯性を高めることができる。
【0011】
本発明では、入力要求部は、特定の入力として、パスワードの入力を要求し、制御部は、入力部により特定のパスワードが入力されると、警報を解除してもよい。
【0012】
また、本発明では、ドアの開閉状態を検出するドア開閉検出部をさらに備え、ロック条件が成立しなかった場合に、ドアが開いた状態にあることがドア開閉検出部により検出されると、制御部は警報を出力してもよい。この場合、ドアが開いた状態にあることがドア開閉検出部により検出されてから、所定時間が経過したときに、制御部は警報を出力してもよい。
【0013】
また、本発明では、警報の出力中に、入力要求部は特定の入力を要求し、制御部は、入力部により特定の入力が行われなければ、警報の出力を継続してもよい。
【0014】
または、警報の出力前に、入力要求部は特定の入力を要求し、制御部は、入力部により特定の入力が行われなければ、警報を出力してもよい。
【0015】
また、本発明では、入力部は、車両ドア制御装置と電気的に接続された車載機器に備わっていてもよい。この場合、入力要求部は、特定の入力を要求する表示を車載機器に備わる表示部に表示させ、制御部は、入力部により入力された内容を車載機器から取得して、当該入力の内容が特定の入力の内容と一致するか否かを判定してもよい。
【0016】
または、入力部は、ユーザが携帯する携帯機器に備わっていてもよい。この場合、車両ドア制御装置は、携帯機器と無線で通信する通信部をさらに備え、入力要求部は、特定の入力を要求する情報を、通信部により携帯機器へ送信して、携帯機器に備わる表示部に表示させ、入力部により特定の入力が行われたことに応じて携帯機器から送信される、警報の解除要求が通信部により受信されると、制御部は警報を解除してもよい。また、警報の出力前に、制御部は、警報待機状態であることを示す情報を、通信部により携帯機器へ送信して、携帯機器の表示部に表示させてもよい。
【0017】
さらに、本発明では、警報の出力が開始されてから、所定時間が経過すると、制御部は警報を解除してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、予約ロックに基づいて車両のドアを自動的にロックすることができなかった場合に、ユーザによる対処が容易で、かつ高い防犯性を確保できる車両ドアの制御装置および制御システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の車両ドア制御システムの電気ブロック図である。
図2】車両ドア制御装置が搭載される車両を示した図である。
図3】第1実施形態の車両ドア制御装置の動作を示したフローチャートである。
図4】パスワード入力画面を示した図である。
図5】第2実施形態の車両ドア制御システムの電気ブロック図である。
図6】第2実施形態の車両ドア制御装置とスマートフォンの動作を示したフローチャートである。
図7】第3実施形態の車両ドア制御装置とスマートフォンの動作を示したフローチャートである。
図8】警報前のパスワード入力画面を示した図である。
図9】第4実施形態の車両ドア制御装置の動作を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0021】
図1は、第1実施形態の車両ドア制御システム100の電気ブロック図である。車両ドア制御システム100は、車両ドア制御装置10と、その周辺の各ブロック20、31~37とから構成される。車両ドア制御装置10は、自動四輪車から成る車両50(図2参照)に搭載されている。車両ドア制御装置10には、制御部11とLF・UHF通信部17とが備わっている。
【0022】
制御部11は、マイクロコンピュータなどから構成されている。制御部11には、キー位置検出部12、予約ロック受付部13、ドア開閉検出部14、入力要求部15、および入力判定部16が備わっている。これらのブロック12~16の各機能(詳細は後述)は、ソフトウェアにより実現される。
【0023】
LF・UHF通信部17は、車内アンテナ17Aと車外アンテナ17Bを有している。LF・UHF通信部17は、制御部11の制御の下で、アンテナ17A、17Bを介して、車両50のユーザが所持する電子キー20に対してLF(Low Frequency)信号を送信したり、電子キー20から送信されたUHF(Ultra High Frequency)信号を受信したりする。
【0024】
電子キー20には、LF・UHF通信部、制御部、操作部、表示部、バッテリなどが備わっている(図示省略)。電子キー20は、車両ドア制御装置10とともに、スマートキーシステムを構成している。
【0025】
スマートキーシステムにおいては、電子キー20の操作によって車両50のドアの施錠・解錠を行うキーレスエントリや、ドアハンドルの操作に基づく電子キー20と車両ドア制御装置10との間の双方向通信によりドアの施錠・解錠を行う、パッシブエントリなどの動作が行われる。
【0026】
車両ドア制御装置10には、ドア操作スイッチ31、ドアロックスイッチ32、ドアセンサ33、ドア開閉装置34、ドアロック装置35、警報装置36、およびナビゲーション装置37が接続されている。これらの各部31~37は、車両50に設けられている。
【0027】
ドア操作スイッチ31は、車両50のドアを開閉する際に操作されるスイッチである。ドアロックスイッチ32は、車両50のドアが閉じた後に、ドアをロックするためのスイッチである。ドアセンサ33は、車両50のドアが開状態にあるか閉状態にあるかを検出するセンサである。これらの各部の出力は、車両ドア制御装置10の制御部11に入力される。ドア開閉検出部14は、ドアセンサ33からの出力信号に基づいて、車両50のドアの開閉状態を検出する。
【0028】
ドア開閉装置34は、ドア操作スイッチ31の操作に基づいて、車両50のドアを開閉する装置である。ドア開閉装置34には、車両50のドアを開閉するためのモータなどが備わっている。ドアロック装置35は、ドアロックスイッチ32の操作に基づいて、車両50のドアをロックする装置である。警報装置36は、車両50のユーザや車両50の周囲にいる人に対して、音や光による警報を出力する装置である。
【0029】
ナビゲーション装置37は、車両50の現在位置から目的地までの経路を案内する装置である。ナビゲーション装置37には、タッチパッド38が備わっている。ナビゲーション装置37は、本発明の「車載機器」の一例である。タッチパッド38は、本発明の「入力部」と「表示部」の一例である。
【0030】
図2は、図1の車両50を示した図である。図2に示すように、車両50の左右側部には、複数のドア51、52が設けられている。各ドア51、52を開放することで、車両50の車室55内に対して人が出入り可能になる。
【0031】
ドア51、52のうち、車両50の前側にある各フロントドア51は、手動で開閉される。各フロントドア51の後方にある各ドア52は、ドア開閉装置34に備わるモータ(図示省略)の駆動力で開閉するパワースライドドアである。
【0032】
車両50の車室55内には、ナビゲーション装置37と複数(ここでは3つ)の車内アンテナ17Aが設けられている。複数の車内アンテナ17Aは、車両50の車室55内の全域にわたる車内通信領域Zaを形成している。ここでいう車内通信領域Zaとは、少なくともいずれか1つの車内アンテナ17Aから送信される電波が届いて、車室55内にある電子キー20(図1)との通信が可能な範囲のことである。
【0033】
各フロントドア51には、車外アンテナ17Bが設けられている。詳しくは、車外アンテナ17Bは、各フロントドア51に備わるドアハンドル(図示省略)に1個ずつ設けられている。各車外アンテナ17Bは、車両50の左右側方(車室55外)に、それぞれ所定の大きさの車外通信領域Zbを形成している。ここでいう車外通信領域Zbとは、いずれかの車外アンテナ17Bから送信される電波が届いて、車両50の外側のドア近傍にある電子キー20(図1)との通信が可能な範囲のことである。
【0034】
図1のキー位置検出部12は、LF・UHF通信部17の各アンテナ17A、17Bによる電子キー20との通信結果に基づいて、電子キー20の位置を検出する。
【0035】
具体的には、たとえばLF・UHF通信部17が、少なくともいずれか1つの車内アンテナ17Aを介して電子キー20と相互に通信(LF信号とUHF信号を送受信)することができ、かつ車外アンテナ17Bを介して電子キー20と相互に通信(LF信号とUHF信号を送受信)することができなかった場合、キー位置検出部12は、電子キー20が車室55内(車内通信領域Za)に有ると判定する。また、LF・UHF通信部17が、いずれかの車外アンテナ17Bを介して電子キー20と相互に通信することができ、かつ車内アンテナ17Aを介して電子キー20と相互に通信することができなかった場合、キー位置検出部12は、電子キー20が車室55外の車外通信領域Zbに有ると判定する。
【0036】
図2に示すように、車両50の左右側部には、車外アンテナ17B以外に、ドアロックスイッチ32とドア操作スイッチ31とが設けられている。詳しくは、ドアロックスイッチ32は、左右のフロントドア51に備わるドアハンドル(図示省略)に1個ずつ設けられている。ドア操作スイッチ31は、左右のスライドドア52に備わるドアハンドル(図示省略)に1個ずつ設けられている。図1のドアセンサ33は、図2で図示されていないが、各ドア51、52の近傍に設けられている。
【0037】
車両50の全てのドア51、52を自動的にロック(施錠)する予約ロックを設定するには、たとえば電子キー20を携帯したユーザが、いずれかのスライドドア52に設けられたドア操作スイッチ31を操作して、当該スライドドア52を自動で閉動作(閉方向にスライド)させているときに、いずれかのフロントドア51に設けられたドアロックスイッチ32を操作する。図1の予約ロック受付部13は、上記のようなドア操作スイッチ31とドアロックスイッチ32の連続した2段階操作と、該操作時に電子キー20がいずれかの車外通信領域Zbに有ることとを検出したときに、予約ロックを受け付ける。
【0038】
予約ロックの受け付け後、後述する所定のロック条件が成立した場合は、制御部11の制御の下で、図1のドアロック装置35が各ドア51、52をロックする(自動ロック状態)。
【0039】
また、予約ロックの受け付け後、ロック条件が成立しなかった場合は、制御部11の制御の下で、ドアロック装置35が各ドア51、52をロックせず、図1の警報装置36が警報を出力する。つまり、少なくともいずれか1つのドア51、52がアンロック状態で放置されるため、警報が出力される。
【0040】
図1の入力要求部15は、上記の警報装置36による警報を解除するための入力を、車両50のユーザに要求する。入力判定部16は、ユーザにより警報解除用の正しい入力が有ったか否かを判定する。
【0041】
なお、上述した予約ロックによらずに、各ドア51、52のロックを行う際にも、ドアロックスイッチ32は操作される。つまり、全ドア51、52が閉じた後で、ドアロックスイッチ32を操作することで、全ドア51、52がドアロック装置35によりロックされる。また、全ドア51、52がロックされた状態で、ドアロックスイッチ32を操作することで、全ドア51、52がドアロック装置35によりアンロック(解錠)される。
【0042】
図3は、第1実施形態の車両ドア制御装置10の動作を示したフローチャートである。本フローチャートの各ステップは、制御部11によって実行される。
【0043】
図3において、前述したように予約ロック受付部13は、ドア操作スイッチ31とドアロックスイッチ32の連続した2段階操作と、該操作時に電子キー20がいずれかの車外通信領域Zbに有ることとを検出して、ドア51、52の予約ロックを受け付ける(ステップS1;YES)。すると、制御部11は、所定のロック条件が成立したか否かを判定する(ステップS2)。
【0044】
このとき、制御部11は、LF・UHF通信部17の各アンテナ17A、17Bを介して電子キー20との通信を試み、該通信結果に基づいて、キー位置検出部12により電子キー20の位置を検出する。また、制御部11は、ドア開閉検出部14により各ドア51、52の開閉状態を検出する。
【0045】
そして、たとえば、電子キー20が車室55内に無いことをキー位置検出部12により検出し、かつ全てのドア51、52が閉じていることをドア開閉検出部14により検出すると、制御部11は、ロック条件が成立したと判定する(ステップS2:YES)。この場合、制御部11は、ドアロック装置35により全てのドア51、52をロックする(ステップS3)。つまり、受け付けた予約ロックが実現される(予約ロック成功)。
【0046】
一方、たとえば、電子キー20が車室55内に有ることをキー位置検出部12により検出したり、または、少なくともいずれか1つのドア51、52が開いていることをドア開閉検出部14により検出したりすると、制御部11は、ロック条件が成立しないと判定する(ステップS2:NO)。この場合、制御部11は、全てのドア51、52をそのままの状態に放置する(ステップS4)。これにより、全てのドア51、52のうち、既にロックされていたドアはそのままロック状態となり、ロックされていなかったドアはアンロック状態となる。つまり、受け付けた予約ロックが実現されず、少なくともいずれか1つのドア51、52がアンロック状態になる(予約ロック失敗)。
【0047】
また、予約ロック失敗時に、制御部11は、警報装置36により警報を出力する(ステップS5)。この警報は、たとえば、警報装置36に含まれる、車両50のブザーやホーンを吹鳴させたり、車両50の照明類を点灯・点滅させたりすることによって行う。
【0048】
上記警報の出力中に、入力要求部15が、ナビゲーション装置37とCAN(Controller Area Network)などで通信して、警報解除用のパスワードの入力を要求するパスワード入力画面60(図4)を、ナビゲーション装置37のタッチパッド38に表示させる(ステップS6)。
【0049】
図4は、パスワード入力画面60を示した図である。図4に示すように、パスワード入力画面60には、警報解除用のパスワードの入力を要求するメッセージ61と、パスワードの入力欄62と、複数のソフトキー63~66が設けられている。ソフトキー63~66のうち、複数あるソフトキー63は、数字、英字、または記号を入力欄62に入力するためのキーである。ソフトキー64は、各ソフトキー63により入力する情報を切り替えるためのキーである。ソフトキー65は、ソフトキー63により一旦入力した数字など情報を削除する(取り消す)ためのキーである。ソフトキー66は、入力したパスワードを決定するためのキーである。
【0050】
図4(a)では、各ソフトキー63に数字(「0」~「9」)が表示されているため、各ソフトキー63をタッチ操作することで、操作したソフトキー63に対応する数字が入力される。図4(a)において、ソフトキー64をタッチ操作することで、図4(b)に示すように、各ソフトキー63に英字または記号が表示される。図4(b)において、各ソフトキー63を1回または複数回タッチ操作することで、操作したソフトキー63に対応する英字または記号が入力される。たとえば、「ABC」が表示されたソフトキー63を、1回、2回、または3回タッチ操作することで、英小文字「a」、「b」、または「c」が入力され、4回、5回、または6回タッチ操作することで、英大文字「A」、「B」、または「C」が入力される。また、図4(b)において、ソフトキー64をタッチ操作することで、図4(a)に示すように、各ソフトキー63に数字が表示される。
【0051】
ソフトキー63をタッチ操作して、数字、英字、または記号を入力すると、図4(b)に示すように、入力欄62にその入力情報に代えて「*」が表示される。そして、ソフトキー66をタッチ操作すると、当該入力情報(文字列)がパスワードとして決定されて、ナビゲーション装置37から制御部11に送信される。
【0052】
入力判定部16は、ナビゲーション装置37からパスワードを受信(取得)すると、該パスワードと、予め記憶された所定のパスワードとを比較する。そして、両パスワードが一致すると、入力判定部16は、警報解除用の正しいパスワードの入力が有ったと判定する(図3のステップS7:YES)。この場合、制御部11が、警報装置36による警報を解除(警報の出力を停止)する(ステップS8)。また、入力要求部15が、ナビゲーション装置37に表示停止指令を送信して、タッチパッド38によるパスワード入力画面60の表示を停止(オフ)させる(ステップS9)。
【0053】
一方、上記のパスワード入力画面60でパスワードが入力されなかったときや、パスワードが入力されても、該パスワードが所定のパスワードと一致しなかったときは、入力判定部16が、警報解除用の正しいパスワードの入力が無いと判定する(ステップS7:NO)。この場合、警報装置36による警報の出力と、タッチパッド38によるパスワード入力画面60の表示とが継続される。
【0054】
上述した第1実施形態によると、車両50のドア51、52を自動的にロックする予約ロックを受け付けた後、所定のロック条件が成立しなければ、少なくともいずれか1つのドア51、52がアンロック状態となり、警報装置36により警報が出力される。然るに、入力要求部15が、車室55内に設置されたナビゲーション装置37のタッチパッド38によりパスワード入力画面60を表示して、警報を解除するためのパスワードを入力することをユーザに要求する。そして、ユーザによりタッチパッド38が操作されて、ユーザだけが知り得る正しいパスワードが入力されると、警報装置36による警報が解除される。
【0055】
このため、ユーザは、タッチパッド38のパスワード入力画面60で正しいパスワードを入力するという簡単な操作を行うことで、警報装置36が出力している警報を停止させることができる。そして、警報装置36による警報の出力が長時間続いて、周囲の迷惑になるのを防ぐことができる。また、警報の解除後に、ユーザは、予約したドア51、52のロックが実現されなかった原因を解決したり、再度ドア51、52のロックを予約したりするなど、適切に対処することができる。さらに、たとえば電子キー20が車室55内に有っても、タッチパッド38のパスワード入力画面60で正しいパスワードが入力されなければ、警報装置36による警報の出力が継続される。このため、防犯性を高めることができ、警報解除用の正しいパスワードを知らない悪意の第三者が車両50や車内の物品を盗難することを抑制することが可能となる。
【0056】
また、上述した第1実施形態では、警報装置36による警報の出力中に、入力要求部15が、ナビゲーション装置37のタッチパッド38によりパスワード入力画面60を表示する。このため、ロック条件が成立しなかったことで、警報装置36により警報が出力されても、ユーザは、パスワード入力画面60を見て、警報解除用の正しいパスワードを入力することにより、当該警報を速やかに停止させることができる。また、パスワード入力画面60で正しいパスワードが入力されなければ、警報装置36による警報の出力が継続される。このため、正しいパスワードを知らない悪意の第三者が、パスワード入力画面60で誤った情報を入力しても、警報装置36による警報の出力を継続して、防犯性を一層高めることができる。
【0057】
図5は、第2実施形態の車両ドア制御システム100の電気ブロック図である。図5では、図1のナビゲーション装置37に代えて、車両50のユーザが携帯するスマートフォン40が用いられる。また、スマートフォン40と無線で通信するBLE通信部18が、車両ドア制御装置10に備わっている。BLE通信部18は、本発明の「通信部」の一例である。スマートフォン40は、本発明の「携帯機器」の一例である。
【0058】
BLE通信部18は、制御部11の制御の下で、スマートフォン40に対してBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)信号を送信したり、スマートフォン40から送信されたBLE信号を受信したりする。
【0059】
スマートフォン40には、制御部41、BLE通信部42、およびタッチパッド43などが備わっている。図5では、制御部11から図1の入力判定部16が省略された代わりに、スマートフォン40の制御部41に入力判定部44が設けられている。この入力判定部44の機能は、ソフトウェアにより実現される。
【0060】
BLE通信部42は、制御部41の制御の下で、車両ドア制御装置10に対してBLE信号を送受信する。タッチパッド43には、図4のパスワード入力画面60が表示され、警報解除用のパスワードが入力される。タッチパッド43は、本発明の「入力部」と「表示部」の一例である。
【0061】
図6は、第2実施形態の車両ドア制御装置10とスマートフォン40の動作を示したフローチャートである。図6で左側にあるフローチャートの各ステップは、車両ドア制御装置10の制御部11が実行する。図6で右側にあるフローチャートの各ステップは、スマートフォン40の制御部41が実行する。
【0062】
図6では、図3のステップS6、ステップS7、およびステップS9に代えて、ステップS11~ステップS17が設けられている。また、図6では、ステップS4の次に、ステップS10が追加されている。
【0063】
図6において、車両ドア制御装置10では、ステップS1、ステップS2、およびステップS4の後、制御部11が、ドア開閉検出部14によりドア51、52の開閉状態を検出する(ステップS10)。ここで、少なくともいずれか1つのドア51、52が開いた状態にあることがドア開閉検出部14により検出されると(ステップS10:YES)、制御部11は、警報装置36により警報を出力する(ステップS5)。
【0064】
そして、入力要求部15が、警報解除用のパスワードの入力を要求するため、図4に示したパスワード入力画面60のデータを、BLE通信部18によりスマートフォン40へ送信する(ステップS11)。
【0065】
スマートフォン40では、パスワード入力画面60のデータをBLE通信部42により受信すると(ステップS12:YES)、制御部41が、タッチパッド43にパスワード入力画面60を表示する(ステップS13)。このとき、スマートフォン40から音を出力したり、スマートフォン40を振動させたりして、タッチパッド43にパスワード入力画面60が表示されたことをユーザに通知してもよい。
【0066】
ユーザがタッチパッド43を操作して、パスワード入力画面60でパスワードを入力すると、入力判定部44が、当該パスワードと、予め記憶された所定のパスワードとを比較する。そして、両パスワードが一致すると、入力判定部44は、警報解除用の正しいパスワードの入力が有ったと判定する(ステップS14:YES)。この場合、制御部41は、警報を解除する要求(信号)を、BLE通信部42により車両ドア制御装置10へ送信し(ステップS15)、パスワード入力画面60の表示を停止(オフ)する(ステップS16)。
【0067】
一方、ユーザが、パスワード入力画面60でパスワードを入力しなかったときや、パスワードを入力しても、該パスワードが所定のパスワードと一致しなかったときは、入力判定部44が、警報解除用の正しいパスワードの入力が無いと判定する(ステップS14:NO)。この場合、タッチパッド43によるパスワード入力画面60の表示と、警報装置36による警報の出力とが継続される。
【0068】
車両ドア制御装置10では、ステップS11の後、スマートフォン40から送信された警報を解除する要求をBLE通信部18により受信すると(ステップS17:YES)、制御部11は、警報装置36による警報を解除する(ステップS8)。
【0069】
上述した第2実施形態によると、予約ロックを受け付けた後、ロック条件が成立せず、警報装置36により警報が出力されても、入力要求部15が、スマートフォン40のタッチパッド43によりパスワード入力画面60を表示して、警報を解除するためのパスワードを入力することをユーザに要求する。そして、ユーザによりタッチパッド43が操作されて、ユーザだけが知り得る正しいパスワードが入力されると、警報装置36による警報が解除される。このため、ユーザは、タッチパッド43のパスワード入力画面60で正しいパスワードを入力するという簡単な操作を行うことで、警報装置36が出力している警報を停止させることができ、また、当該警報の出力が周囲の迷惑になるのを防ぐことが可能となる。また、たとえば電子キー20が車室55内に有っても、タッチパッド43のパスワード入力画面60で正しいパスワードが入力されなければ、警報装置36により警報が出力される。このため、防犯性を高めることができ、正しいパスワードを知らない悪意の第三者による車両50や車内の物品の盗難を抑制することが可能となる。
【0070】
また、上述した第2実施形態では、ロック条件が成立しなかった場合に、いずれかのドア52、52が開いた状態にあることがドア開閉検出部14により検出されてから、警報装置36により警報が出力される。このため、開いた状態で放置されたドア51、52があることにより、第三者が車室55内に侵入するおそれがある場合や、閉じているがロックされずに放置されたドア51、52を第三者が開いて、車室55内に侵入した場合に、警報装置36により確実に警報を出力して、車両50の周囲にいるユーザや他の人に報知することができる。また、ロック条件が成立しなかった場合に、ドア51、52が閉まった状態で放置されている間は、警報装置36により警報が出力されないので、当該警報を出力するために消費される車両50のバッテリの電力を低減することができる。
【0071】
なお、図6のステップS10は、図3の実施形態においても採用することができる。
【0072】
図7は、第3実施形態の車両ドア制御装置10とスマートフォン40の動作を示したフローチャートである。図7で左側にあるフローチャートの各ステップは、車両ドア制御装置10の制御部11が実行する。図7で右側にあるフローチャートの各ステップは、スマートフォン40の制御部41が実行する。なお、本第3実施形態を実現するための構成は、図5に示した車両ドア制御システム100の構成と同様である。
【0073】
図7では、図6のステップS11~ステップS13とステップS16に代えて、ステップS18~ステップS29が設けられている。
【0074】
図7において、車両ドア制御装置10では、ステップS1、ステップS2、およびステップS4の後、入力要求部15が、警報待機状態(警報装置36により警報を出力する前)であることを示して警報解除用のパスワードの入力を要求するため、警報前のパスワード入力画面70(図8)のデータを、BLE通信部18によりスマートフォン40へ送信する(ステップS18)。
【0075】
スマートフォン40では、警報前のパスワード入力画面70のデータをBLE通信部42により受信すると(ステップS19:YES)、制御部41が、タッチパッド43に当該パスワード入力画面70を表示する(ステップS20)。
【0076】
図8は、警報前のパスワード入力画面70を示した図である。図8(a)に示すように、警報前のパスワード入力画面70には、警報待機状態であることを示すメッセージ77と、警報解除用のパスワードの入力を要求するメッセージ71と、パスワードの入力欄72と、複数のソフトキー73~76が設けられている。入力欄72と各ソフトキー73~76の機能は、図4の入力欄62と各ソフトキー63~66の機能と同一である。ソフトキー73、74をタッチ操作して、数字、英字、または記号の情報を入力した後、ソフトキー76をタッチ操作することで、当該入力情報がパスワードとして決定される。
【0077】
スマートフォン40の入力判定部44は、上記のように警報前のパスワード入力画面70でパスワードが入力されると、該パスワードと、予め記憶された所定のパスワードとを比較する。そして、両パスワードが一致すると、入力判定部44は、警報解除用の正しいパスワードの入力が有ったと判定する(図7のステップS21:YES)。この場合、制御部41は、警報待機状態を解除する要求を、BLE通信部42により車両ドア制御装置10へ送信し(ステップS22)、警報前のパスワード入力画面70の表示を停止する(ステップS23)。
【0078】
車両ドア制御装置10では、ステップS18の後、スマートフォン40から送信された警報待機状態を解除する要求を、BLE通信部18により受信すると(ステップS24:YES)、制御部11は、警報待機状態を解除する(ステップS25)。これによって、警報装置36による警報が事前に解除される。
【0079】
一方、スマートフォン40のタッチパッド43に表示されたパスワード入力画面70で、パスワードが入力されなかったときや、パスワードが入力されても、該パスワードが所定のパスワードと一致しなかったときは、入力判定部44が、警報解除用のパスワードの入力が無いと判定する(ステップS21:NO)。この場合、警報中のパスワード入力画面60(図4)のデータを、BLE通信部42により受信していなければ(ステップS27:NO)、タッチパッド43によるパスワード入力画面70の表示が継続され、またパスワードが入力されるのを待つ。
【0080】
車両ドア制御装置10では、ステップS18の後、警報待機状態を解除する要求をスマートフォン40から受信することなく(ステップS24:NO)、少なくともいずれか1つのドア51、52が開いた状態にあることをドア開閉検出部14により検出すると(ステップS10:YES)、制御部11が、警報装置36により警報を出力する(ステップS5)。また、入力要求部15が、警報中のパスワード入力画面60のデータをBLE通信部18によりスマートフォン40へ送信する(ステップS26)。
【0081】
スマートフォン40では、警報中のパスワード入力画面60のデータをBLE通信部42により受信すると(ステップS27:YES)、制御部41が、警報前のパスワード入力画面70に代えて、警報中のパスワード入力画面60をタッチパッド43に表示する(ステップS28)。
【0082】
警報中のパスワード入力画面60でパスワードが入力されて、該パスワードが所定のパスワードと一致すると、入力判定部44が、警報解除用の正しいパスワードの入力が有ったと判定する(ステップS14:YES)。そして、制御部41が、警報の解除を要求する情報をBLE通信部42により車両ドア制御装置10へ送信して(ステップS15)、警報中のパスワード入力画面60の表示を停止する(ステップS29)。
【0083】
一方、警報中のパスワード入力画面60で、警報解除用のパスワードの入力が無い場合は(ステップS14:NO)、当該パスワード入力画面60のタッチパッド43による表示と、警報装置36による警報の出力とが継続される。
【0084】
車両ドア制御装置10では、ステップS26の後、スマートフォン40から警報の解除を要求する情報をBLE通信部18により受信すると(ステップS17:YES)、制御部11が、警報装置36による警報を解除する(ステップS8)。これにより、警報装置36によって出力中の警報が停止される。
【0085】
上述した第3実施形態によると、予約ロックを受け付けた後、ロック条件が成立しなかった場合、警報装置36により警報を出力する前の警報待機状態で、入力要求部15が、スマートフォン40のタッチパッド43により警報前のパスワード入力画面70を表示して、警報を解除するためのパスワードを入力することをユーザに要求する。そして、パスワード入力画面70で正しいパスワードが入力されると、警報装置36による警報が出力されないので、当該警報を事前に解除することができる。また、パスワード入力画面70で正しいパスワードが入力されることなく、いずれかのドア51、52が開いた状態になると、警報装置36により警報が出力されるので、防犯性を高めることができる。
【0086】
また、上述した第3実施形態では、警報待機状態であることを示すメッセージ77を、警報前のパスワード入力画面70に表示する。このため、いずれかのドア51、52がアンロック状態にあって、車両50が警報待機状態であることを、スマートフォン40を携帯したユーザに認知させることができる。そして、ユーザに、警報解除用のパスワードを入力することを促したり、車両50の全てのドア51、52がロックされていないことを知らせたりして、悪意の第三者による車両50や車内の物品の盗難を抑制することが可能となる。
【0087】
上述した第1~第3実施形態では、正しいパスワードが入力されることにより、警報が解除される例を挙げたが、次に述べる第4実施形態のように、正しいスイッチ操作(入力)が行われることにより、警報が解除されるようにしてもよい。正しいパスワードの入力や、正しいスイッチ操作は、本発明における「ユーザに固有の特定の入力」の一例である。
【0088】
図9は、第4実施形態の車両ドア制御装置10の動作を示したフローチャートである。なお、第4実施形態を実現するための構成は、図1に示した車両ドア制御システム100の構成と同様である。
【0089】
図9では、図3のステップS6~ステップS9に代えて、ステップS30~ステップS39が設けられている。また、図9では、ステップS4の次に、ステップS10が追加されている。
【0090】
図9において、ステップS1、ステップS2、およびステップS4の後、少なくともいずれか1つのドア51、52が開いた状態にあることが、ドア開閉検出部14により検出されると(ステップS10:YES)、入力要求部15が、ユーザに対して、第1所定時間経過後に警報を出力する旨と、警報解除用のスイッチ操作を要求する旨とを出力する(ステップS30)。このとき、たとえばナビゲーション装置37によって、上記2つの旨を示すメッセージを表示したり、または車両50に備わるスピーカから上記2つの旨を示す音声を出力したりする。
【0091】
上記警報解除用のスイッチ操作としては、たとえば、ドア操作スイッチ31またはドアロックスイッチ32の、複数回連続操作、長押し操作、もしくは連続操作と長押しの組み合わせ操作などのような、車両50のユーザだけが知り得る所定操作が予め設定されている。また、上記第1所定時間としては、たとえば、ユーザがドア操作スイッチ31またはドアロックスイッチ32の所定操作を行うのに要する時間(数秒~数十秒)が予め設定されている。
【0092】
いずれかのドア51、52の開状態を検出してから(ステップS10:YES)、第1所定時間が経過するまでに(ステップS32:NO)、ユーザがドア操作スイッチ31またはドアロックスイッチ32の所定操作を行うと、入力判定部16が、警報解除用の正しいスイッチ操作が有ったと判定する(ステップS31:YES)。この場合、制御部11は、警報装置36により警報を出力する前の警報待機状態であるため、該警報待機状態を解除する(ステップS33)。また、入力要求部15が、第1所定時間経過後に警報を出力する旨と、警報解除用のスイッチ操作を要求する旨の出力を停止する(ステップS34)。
【0093】
一方、いずれかのドア51、52の開状態を検出してから(ステップS10:YES)、警報解除用の正しいスイッチ操作が有ったと入力判定部16により判定されることなく(ステップS31:NO)、第1所定時間が経過すると(ステップS32:YES)、制御部11が、警報装置36により警報を出力する(ステップS5)。また、入力要求部15が、警報解除用のスイッチ操作を要求する旨だけを出力する(ステップS35)。
【0094】
そして、警報装置36により警報を出力してから(ステップS5)、第2所定時間が経過するまでに(ステップS36:NO)、入力判定部16が、警報解除用の正しいスイッチ操作が有ったと判定すると(ステップS37:YES)、制御部11が、警報装置36による警報を解除(警報の出力を停止)する(ステップS38)。また、入力要求部15が、警報解除用のスイッチ操作を要求する旨の出力を停止する(ステップS39)。
【0095】
上記ステップS36の第2所定時間は、ステップS32の第1所定時間より長い時間に設定されている。たとえば、第2所定時間としては、警報装置36により警報を出力してから、該警報が周囲の迷惑とならない程度の時間に設定されている。または、警報装置36を動作させることで消費する消費電力を所定値以下に抑えることができる時間や、警報装置36を動作させるためのバッテリの残量が所定値未満にならないようにする時間などに、第2所定時間を設定してもよい。
【0096】
また、警報装置36により警報を出力してから(ステップS5)、警報解除用の正しいスイッチ操作が有ったと入力判定部16により判定されることなく(ステップS37:NO)、第2所定時間が経過した場合(ステップS36:YES)も、制御部11が、警報装置36による警報を解除(警報の出力を停止)し(ステップS38)、入力要求部15が、警報解除用のスイッチ操作を要求する旨の出力を停止する(ステップS39)。
【0097】
上述した第4実施形態によると、予約ロックを受け付けて、ロック条件が成立しなかった場合、入力要求部15が、警報解除用のスイッチ操作を要求する旨をナビゲーション装置37などにより出力する。そして、当該要求に従って、ユーザだけが知り得るドア操作スイッチ31またはドアロックスイッチ32の簡単な所定操作を行うことにより、警報装置36による警報を解除することができる。また、警報装置36による警報の出力が長時間続いて、周囲の迷惑になるのを防ぐことができる。さらに、たとえば電子キー20が車室55内に有っても、ドア操作スイッチ31またはドアロックスイッチ32の所定操作が行われなければ、警報装置36による警報が解除されない。このため、防犯性を高めることができ、警報解除用の正しいスイッチ操作を知らない悪意の第三者が車両50や車内の物品を盗難することを抑制することが可能となる。
【0098】
また、上述した第4実施形態では、ロック条件が成立しなかった場合、いずれかのドア51、52が開いた状態にあることがドア開閉検出部14により検出されてから、第1所定時間が経過したときに、警報装置36により警報が出力される。このため、ユーザは、第1所定時間が経過するまでに、警報解除用の正しいスイッチ操作を行って、警報装置36による警報を事前に解除することができる。特に、いずれかのドア51、52が開いた状態にあることがドア開閉検出部14により検出されると、直ぐに入力要求部15が、ユーザに対して第1所定時間経過後に警報を出力する旨と、警報解除用のスイッチ操作を要求する旨とを出力するので、スイッチ31、32の所定操作による警報解除をユーザに促すことができる。
【0099】
また、上述した第4実施形態では、警報装置36により警報が出力されてから、警報解除用の正しいスイッチ31、32の操作が行われることなく、第2所定時間が経過すると、当該警報の出力が停止される。このため、警報装置36による警報の出力が長時間続いて周囲の迷惑になるのを確実に防ぐことができる。また、警報装置36における、警報を出力するための消費電力を低減することができる。
【0100】
なお、図9のステップS32およびステップS36は、図6図7の実施形態においても採用することができる。
【0101】
本発明は、上述した実施形態以外にも、以下のような種々の実施形態を採用することができる。
【0102】
たとえば、前記の各実施形態では、ドアロックスイッチ32をフロントドア51のドアハンドルに設けた例を挙げたが、ドアロックスイッチ32は、スライドドア52のドアハンドルに設けてもよい。また、ドアロックスイッチ32をバックドアのドアハンドルに設けてもよい。
【0103】
前記の各実施形態では、電子キー20を携帯したユーザが、ドア操作スイッチ31を操作して、スライドドア52を自動で閉動作させているときに、ドアロックスイッチ32を操作することで、予約ロックを設定した例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、電子キー20を携帯したユーザが、ドアロックスイッチ32を操作した後、ドア操作スイッチ31を操作することで、予約ロックを設定してもよい。または、電子キー20の携帯・不携帯にかかわらず、ユーザがスイッチ31、32、車両50に設けられたその他の操作部、もしくは電子キー20やスマートフォン40などの携帯機器に設けられた操作部を操作することにより、予約ロックを行ってもよい。
【0104】
前記の各実施形態では、予約ロックによって車両50の全てのドア51、52をロックする場合を例に挙げたが、予約ロックの対象となるドアは、予約ロック時に操作したドア操作スイッチ31が設置されたスライドドア52のような、特定のドアだけに限定してもよい。また、車両のフロントドアやバックドアなどの他のドアを、予約ロックの対象にしてもよい。この場合、他のドアのドアハンドルやドア枠などに、ドア操作スイッチを設けてもよい。
【0105】
前記の各実施形態では、ロック条件として、電子キー20が車室55内に無くて、車両50の全てのドア51、52が閉じていることを例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、全てのドア51、52ではなく、予約ロックの受け付け時に閉動作中であったスライドドア52だけが閉じたことをロック条件に含めてもよい。または、車室55内に人が居ないことなどのような、他の条件をロック条件に加えてもよい。
【0106】
前記の各実施形態では、ロック条件が成立しなかった場合に、ドア51、52をそのままの状態に放置した例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ロック条件のうち、全てのまたは特定のドア51、52が閉じていることを検出して、当該ドアをドアロック装置35により一旦ロックした後、電子キー20が車室55内に有ることを検出して、全てのまたは特定のドア51、52をドアロック装置35によりアンロックしてもよい。
【0107】
前記の各実施形態では、車両50に設けられた警報装置36に含まれる、車両50のブザーやホーンを吹鳴させたり、車両50の照明類を点灯・点滅させたりすることによって、警報を出力する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、車両50に設けられたスピーカから警報となる音や音声を出力させてもよい。または、電子キー20やスマートフォン40などの携帯機器から、音や光による警報を出力してもよい。
【0108】
図6図7、および図9の各実施形態では、ロック条件が成立しなかった場合、いずれかのドア51、52が開いている状態を検出してから、警報を出力した例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。たとえば、いずれかのドア51、52のドアハンドルへの手の接近、接触、もしくは操作をセンサにより検出したり、車室55内への人の侵入をセンサにより検出したりしてから、警報を出力してもよい。
【0109】
図3図6、および図7の各実施形態では、警報解除用のパスワードの入力をユーザに要求するため、車両50に設けられたナビゲーション装置37のタッチパッド38、またはスマートフォン40のタッチパッド43に、パスワード入力画面60、70を表示させた例を挙げたが、本発明はこれらに限定されない。ナビゲーション装置37やスマートフォン40以外の、他の車載機器や携帯機器に備わる表示部に、少なくともいずれかのパスワード入力画面60、70を表示させてもよい。または、車載機器と携帯機器の両方に、パスワード入力画面60、70を表示させてもよい。また、車載機器や携帯機器の表示部とは異なる入力部により、パスワードを入力させるようにしてもよい。さらに、音声のような、パスワード入力画面60、70以外の形態により、警報解除用のパスワードの入力をユーザに要求してもよい。
【0110】
図6および図7の実施形態では、スマートフォン40において、警報解除用の正しいパスワードが入力されたか否かを判定した例を挙げが、当該判定は車両ドア制御装置10において行ってもよい。具体的には、たとえば、図5において、スマートフォン40の入力判定部44に代えて、車両ドア制御装置10に入力判定部16(図1)を設ける。そして、スマートフォン40では、タッチパッド43により入力されたパスワードを、制御部41がBLE通信部42により車両ドア制御装置10へ送信する。車両ドア制御装置10では、スマートフォン40からのパスワードをBLE通信部18により受信すると、入力判定部16が、当該受信したパスワードを所定のパスワードと比較し、該比較結果に基づいて、警報解除用の正しいパスワードが入力されたか否かを判定する。
【0111】
図3図6、および図7の各実施形態では、警報解除用のパスワードを車両ドア制御装置10またはスマートフォン40に予め記憶させた例を挙げたが、たとえば、ユーザがナビゲーション装置37やスマートフォン40などの端末装置で、警報解除用のパスワードを変更することができるようにしてもよい。また、パスワードを、図4図8に示した数字、英字、および記号以外の文字を含んだ文字列で構成してもよい。
【0112】
図3図6、および図7の各実施形態では、パスワードの入力により警報を解除し、図9の実施形態では、スイッチ31、32の所定操作により警報を解除した例を挙げたが、本発明はこれらに限定されない。たとえば、車両50に設けられたスイッチ31、32以外の操作部による入力操作、もしくは電子キー20やスマートフォン40などの携帯機器に設けられた入力部による入力操作によって、警報を解除するようにしてもよい。または、たとえば、車両や携帯機器に設けられたカメラによりユーザの顔を撮像した画像や、センサにより取得したユーザの指紋などの生体情報や、マイクにより入力されたユーザの音声などに基づいて、ユーザの認証に成功した場合に、警報を解除するようにしてもよい。つまり、ユーザが車両または携帯機器に設けられた入力部により行った、車両のユーザに固有の特定の入力に基づいて、警報を解除すればよい。
【符号の説明】
【0113】
10 車両ドア制御装置
11 制御部
14 ドア開閉検出部
15 入力要求部
18 BLE通信部(通信部)
37 ナビゲーション装置(車載機器)
38、43 タッチパッド(入力部、表示部)
40 スマートフォン(携帯機器)
50 車両
100 車両ドア制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9