(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/10 20060101AFI20221221BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20221221BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20221221BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B60W30/10
B60W40/04
B60W40/06
G08G1/16 D
(21)【出願番号】P 2019147946
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】余 開江
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083950(JP,A)
【文献】特開2019-036339(JP,A)
【文献】特開2019-123449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
G08G 1/00 ~ 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の走行状態を検出する第1検出部と、
前記自車両が合流路を進行している場合の本線を進行する他車両の走行状態、および前記本線の交通量を検出する第2検出部と、
前記他車両に対する前記自車両の前後方向距離が所定以上である場合に前記他車両の車線変更に寄らず前記自車両の合流を制御する合流制御部と、
を備え、
前記合流制御部は、前記第2検出部により前記本線の交通量が所定量以上であると検出された場合、自車両の合流制御を開始しやすく
し、
前記合流制御部は、前記第2検出部により前記本線を走行する他車両が複数存在し、且つ前記合流路に隣接する第1車線からの車線変更を行う前記他車両の数が、前記第1車線からの車線変更を行わない前記他車両の数以上であると検出された場合に、前記第2検出部により前記本線を走行する他車両が複数存在しない、または前記合流路に隣接する前記第1車線からの車線変更を行う前記他車両の数が、前記第1車線からの車線変更を行わない前記他車両の数未満であると検出された場合に比して前記自車両の合流制御を開始しやすくする、
車両制御装置。
【請求項2】
前記合流制御部は、前記本線が複数車線を含み、且つ前記本線のうち前記合流路に隣接する第1車線の交通量が所定量以上である場合に、前記本線が単線である場合または前記合流路に隣接する第1車線の交通量が所定量未満である場合に比して前記自車両の合流制御を開始しやすくする、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記合流制御部は、前記本線が複数車線を含み、且つ前記本線のうち前記合流路に隣接する第1車線と、前記本線のうち前記第1車線に隣接する第2車線の交通量が所定量以上である場合に、前記第1車線の交通量が所定量未満である場合に比して前記自車両の合流制御を開始しやすくする、
請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記合流制御部は、前記合流路から遠く、且つ前記第1車線と隣接する第2車線の交通量が所定量未満である場合に、前記第2車線の交通量が所定量以上である場合に比して前記自車両の合流制御を開始しやすくする、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
コンピュータが、
自車両の走行状態を検出し、
前記自車両が合流路を進行している場合の本線を進行する他車両の走行状態、および前記本線の交通量を検出し、
前記他車両に対する前記自車両の前後方向距離が所定以上である場合に前記他車両の車線変更に寄らず前記自車両の合流を制御し、
前記本線の交通量が所定量以上であると検出された場合、自車両の合流制御を開始しやすくする
ものであり、
前記本線を走行する他車両が複数存在し、且つ前記合流路に隣接する第1車線からの車線変更を行う前記他車両の数が、前記第1車線からの車線変更を行わない前記他車両の数以上であると検出された場合に、前記本線を走行する他車両が複数存在しない、または前記合流路に隣接する前記第1車線からの車線変更を行う前記他車両の数が、前記第1車線からの車線変更を行わない前記他車両の数未満であると検出された場合に比して前記自車両の合流制御を開始しやすくする、
車両制御方法。
【請求項6】
コンピュータに、
自車両の走行状態を検出させ、
前記自車両が合流路を進行している場合の本線を進行する他車両の走行状態、および前記本線の交通量を検出させ、
前記他車両に対する前記自車両の前後方向距離が所定以上である場合に前記他車両の車線変更に寄らず前記自車両の合流を制御させ、
前記本線の交通量が所定量以上であると検出された場合、自車両の合流制御を開始しやすくさせる
ものであり、
前記本線を走行する他車両が複数存在し、且つ前記合流路に隣接する第1車線からの車線変更を行う前記他車両の数が、前記第1車線からの車線変更を行わない前記他車両の数以上であると検出された場合に、前記本線を走行する他車両が複数存在しない、または前記合流路に隣接する前記第1車線からの車線変更を行う前記他車両の数が、前記第1車線からの車線変更を行わない前記他車両の数未満であると検出された場合に比して前記自車両の合流制御を開始しやすくさせる、
プログラム。
【請求項7】
自車両の走行状態を検出する第1検出部と、
前記自車両が合流路を進行している場合の本線を進行する他車両の走行状態、および前記本線の交通量を検出する第2検出部と、
前記他車両に対する前記自車両の前後方向距離が所定以上である場合に前記他車両の車線変更に寄らず前記自車両の合流を制御する合流制御部と、
を備え、
前記合流制御部は、前記第2検出部により前記本線の交通量が所定量以上であると検出された場合、自車両の合流制御を開始しやすくするものであり、
前記本線が複数車線を含み、且つ前記本線のうち前記合流路に隣接する第1車線の交通量が所定量以上である場合に、前記本線が単線である場合に比して前記自車両の合流制御を開始しやすくする、
車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路環境の検出結果と、車両の位置および速度の検出結果とに基づいて、各車両の車間距離や速度を制御するための制御目安となる閉塞区間を算出し、閉塞区間に基づいて車線変更の可否判定などを行うことにより多数の走行車両を安全にかつ高密度に制御する車両交通管理装置の技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、合流先の車線が渋滞している場合に好適な車線変更が行うことができない可能性があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、渋滞時に安定的な車線変更を行うことができる車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両制御装置は、自車両の走行状態を検出する第1検出部と、前記自車両が合流路を進行している場合の本線を進行する他車両の走行状態、および前記本線の交通量を検出する第2検出部と、前記他車両に対する前記自車両の前後方向距離が所定以上である場合に前記他車両の車線変更に寄らず前記自車両の合流を制御する合流制御部と、を備え、前記合流制御部は、前記第2検出部により前記本線の交通量が所定量以上であると検出された場合、自車両の合流制御を開始しやすくする、車両制御装置である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記合流制御部は、前記本線が複数車線を含み、且つ前記本線のうち前記合流路に隣接する第1車線の交通量が所定量以上である場合に、前記本線が単線である場合または前記合流路に隣接する第1車線の交通量が所定量未満である場合に比して前記自車両の合流制御を開始しやすくするものである。
【0008】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記合流制御部は、前記本線が複数車線を含み、且つ前記本線のうち前記合流路に隣接する第1車線と、前記本線のうち前記第1車線に隣接する第2車線が渋滞である場合に、前記第1車線の交通量が所定量未満である場合に比して前記自車両の合流制御を開始しやすくするものである。
【0009】
(4):上記(1)から(3)のいずれかの態様において、前記合流制御部は、前記第2検出部により前記本線を走行する他車両が複数存在し、且つ前記合流路に隣接する第1車線からの車線変更を行う前記他車両の数が、前記第1車線からの車線変更を行わない前記他車両の数以上であると検出された場合に、前記第2検出部により前記本線を走行する他車両が複数存在しない、または前記合流路に隣接する前記第1車線からの車線変更を行う前記他車両の数が、前記第1車線からの車線変更を行わない前記他車両の数未満であると検出された場合に比して前記自車両の合流制御を開始しやすくするものである。
【0010】
(5):上記(4)の態様において、前記合流制御部は、前記合流路から遠く、且つ前記第1車線と隣接する第2車線の交通量が所定量未満である場合に、前記第2車線の交通量が所定量以上である場合に比して前記自車両の合流制御を開始しやすくするものである。
【0011】
(6):この発明の一態様に係る車両制御方法は、コンピュータが、自車両の走行状態を検出し、前記自車両が合流路を進行している場合の本線を進行する他車両の走行状態、および前記本線の交通量を検出し、前記他車両に対する前記自車両の前後方向距離が所定以上である場合に前記他車両の車線変更に寄らず前記自車両の合流を制御し、前記本線の交通量が所定量以上であると検出された場合、自車両の合流制御を開始しやすくする、車両制御方法である。
【0012】
(7):この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、自車両の走行状態を検出させ、前記自車両が合流路を進行している場合の本線を進行する他車両の走行状態、および前記本線の交通量を検出させ、前記他車両に対する前記自車両の前後方向距離が所定以上である場合に前記他車両の車線変更に寄らず前記自車両の合流を制御させ、前記本線の交通量が所定量以上であると検出された場合、自車両の合流制御を開始しやすくさせる、プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
(1)~(7)によれば、渋滞時であっても安定的な車線変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の車両制御装置100を利用した車両システム1の構成図である。
【
図2】第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。
【
図5】第3場面の仮想枠設定部134-2による設定結果の一例を示す図である。
【
図6】時刻t6における仮想枠Rm1の拡大図である。
【
図7】仮想枠Rm1のオフセットについて説明するための図である。
【
図8】仮想枠Om1について説明するための図である。
【
図9】仮想枠Om1のオフセットについて説明するための図である。
【
図11】第4場面における仮想枠のサイズ変更について説明するための図である。
【
図12】サイズ変更時の仮想枠のサイズを説明するための図である。
【
図13】車両制御装置100による合流軌道生成処理の他の一例を示すフローチャートである。
【
図14】合流制御の開始しやすさの設定の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図15】合流制御の開始しやすさの設定の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図16】合流制御の開始しやすさの設定の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図17】実施形態の車両制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御装置、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。なお、実施形態の車両制御装置は、自動運転車両に適用される。自動運転とは、例えば、車両の操舵と加減速の双方を制御して運転制御を実行することである。実施形態の車両制御装置は、ACC(Adaptive Cruise Control System)やLKAS(Lane Keeping Assistance System)等の運転支援を行う車両に適用されてもよい。
【0016】
[全体構成]
図1は、第1実施形態の車両制御装置100を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0017】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、ファインダ14と、物体認識装置16と、運転操作子80と、車両制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、
図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0018】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0019】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0020】
ファインダ14は、LIDAR(Light Detection and Ranging)である。ファインダ14は、自車両Mの周辺に光を照射し、散乱光を測定する。ファインダ14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。ファインダ14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0021】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を車両制御装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14の検出結果をそのまま車両制御装置100に出力してよい。車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。
【0022】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自動運転車両の周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して交通情報(例えば、道路渋滞情報、交通量調整や緊急車両通行などによる優先経路・優先車線の設定情報)等を提供する各種サーバ装置と通信する。
【0023】
HMI30は、自動運転車両の乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0024】
車両センサ40は、自動運転車両の速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自動運転車両の向きを検出する方位センサ等を含む。
【0025】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自動運転車両の位置を特定する。自動運転車両の位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自動運転車両の位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
【0026】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自動運転車両が、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0027】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報などが含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
【0028】
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール、異形ステア、ジョイスティックその他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、車両制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。
【0029】
車両制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160とを備える。第1制御部120と第2制御部160は、それぞれ、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め車両制御装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで車両制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0030】
図2は、第1制御部120および第2制御部160の機能構成図である。第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140とを備える。第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示などがある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
【0031】
認識部130は、自車両Mの周辺を認識し、認識した対象物の挙動を推定する。認識部130は、例えば、周辺認識部132を備える。
【0032】
周辺認識部132は、カメラ10、レーダ装置12、およびファインダ14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、自動運転車両の周辺にある物体(前走車両や対向車両、合流路の本線を走行する本線車両など)の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、自動運転車両の代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば自車両Mの先行車両が車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
【0033】
周辺認識部132は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自動運転車両の位置や姿勢を認識する。周辺認識部132は、例えば、自動運転車両の基準点の車線中央からの乖離、および自動運転車両の進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自動運転車両の相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、周辺認識部132は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自動運転車両の基準点の位置などを、走行車線に対する自動運転車両の相対位置として認識してもよい。
【0034】
周辺認識部132は、例えば、自動運転車両が走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、周辺認識部132は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自動運転車両の周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。なお、周辺認識部132は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自動運転車両の位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。また、周辺認識部132は、一時停止線、信号機、その他の道路事象を認識する。
【0035】
周辺認識部132は、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺車両と、カメラ10により撮像された画像、ナビゲーション装置50により取得された自車両Mの周辺の渋滞情報、または第2地図情報62から得られる位置情報に基づいて、周辺車両、特に自車両Mの走行予定の車道に関する情報を認識する。走行予定の車道に関する情報には、例えば、自車両Mの走行予定の車線幅(車道幅)などが含まれる。
【0036】
周辺認識部132は、例えば、第1検出部133と、第2検出部134とを備える。
【0037】
第1検出部133は、周辺認識部132の認識結果に基づいて、自車両Mの走行状態を検出する。第1検出部133は、自車両Mが合流路を進行している場合に、自車両Mの走行位置や速度、角速度などの走行状態を検出する。また、第1検出部133は、自車両Mが合流路を走行している場合に、合流路の混雑状態(渋滞であるか否か)を検出する。
【0038】
第2検出部134は、周辺認識部132の認識結果に基づいて、自車両Mが合流路を進行している場合の、合流先である本線を進行する他車両(以下、本線車両mN;Nは走行中の車線の符号の数字を付し、車線L1に複数車両が存在する場合には、本線車両m11、本線車両m12、本線車両m13…のように示す)の走行状態を検出する。第2検出部134は、例えば、本線車両m1が存在するか否か、本線車両m1の走行位置、速度、角速度、車長などの走行状態を検出する。また、第2検出部134は、本線車両m1の横移動状況を検出し、本線車両m1が走行中の車線を継続して走行しているか、走行中の車線から車線変更しようとしているかを検出する。
【0039】
第2検出部134は、例えば、交通量認識部134-1と、仮想枠設定部134-2とを備える。
【0040】
交通量認識部134-1は、本線に含まれる車線毎の交通量を認識し、本線が渋滞状態であるか否かを認識する。交通量認識部134-1は、車線の交通量が所定量以上であるか否かに基づいて、本線が渋滞状態であるか否かを認識する。「交通量が所定量以上」とは、例えば、ナビゲーション装置50などにより提供される交通情報に基づいて判定されるものであってもよいし、周辺認識部132の認識結果のうち、自車両Mの周辺車両の台数や走行位置に基づいて判定されるものであってもよい。
【0041】
仮想枠設定部134-2は、交通量認識部134-1による認識結果に基づいて、本線車両のそれぞれに対して、車両の基準箇所を内包する仮想枠を設定する。仮想枠は、例えば、直進中の車両を上面や側面から見たときの車両の輪郭線を内包するように設定される。仮想枠設定部134-2の詳細については後述する。
【0042】
行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応した自動運転が実行されるように、自車両Mが将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。
【0043】
行動計画生成部140は、目標軌道を生成するにあたり、自動運転のイベントを設定してよい。自動運転のイベントには、定速走行イベント、低速追従走行イベント、車線変更イベント、分岐イベント、接触回避イベント、合流イベント等がある。合流イベントとは、例えば、高速道路などの信号や停止線のない合流地点で自車両Mを本線に合流させるイベントである。行動計画生成部140は、起動させたイベントに応じた目標軌道を生成する。
【0044】
行動計画生成部140は、例えば、合流制御部142を備える。合流制御部142の機能の詳細については後述する。
【0045】
第2制御部160は、行動計画生成部140によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自動運転車両が通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0046】
図1に戻り、第2制御部160は、例えば、取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。取得部162は、行動計画生成部140により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自動運転車両の前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
【0047】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECUとを備える。ECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0048】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0049】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0050】
[合流制御部の機能]
以下、合流制御部142の機能の詳細について説明する。なお、以下に示す合流制御部142の機能は、合流イベントにより実行される機能であってもよく、その他の合流制御における機能であってもよい。
【0051】
[本線が単線の場合の合流制御]
以下、
図3および
図4を参照し、場面の進行と共に第1検出部133、第2検出部134、および合流制御部142の処理について説明する。
【0052】
図3は、第1場面を示す図である。第1場面は合流制御の開始前の場面である。第1場面において、自車両Mは本線である車線L1に合流する車線L3を走行している。本線の車線L1には、他車両(以下、本線車両m1)が走行している。合流地点付近には停止線が存在せず、本線車両m1は、車線L1を走行しているものとする。
【0053】
図3の例では、図中のX軸方向(進行方向)に延伸する本線(車線L1)と、車線L1の進行方向に対して左側から合流する合流車線(車線L3)を示している。自車両Mは、ナビゲーション装置50により設定された目的地までの経路に沿って自動運転が実行されており、車線L1を合流地点(或いは合流エリア、定義について後述)に向かって走行している。合流地点付近には停止線が存在せず、本線車両m1は、車線L1を走行しているものとする。
【0054】
なお、車線L3と、本線である車線L1は、合流地点よりも各車両の進行方向に関する手前側において、柵FFや分岐帯CC、ゼブラゾーン(導流帯)ZZなどにより区切られている。柵FFおよび分岐帯CCは、車線L1と車線L3とを物理的に分断するものであるが、ゼブラゾーンZZは、道路面に描画されているのみであり、車線L1と車線L3とを物理的に分断しない。なお、柵FFは、車線L1と車線L3のうち一方の車線から他方の車線が視認できない程度の高さを備えてもよい。
【0055】
合流地点は、車線L1と車線L3とが連結される地点であり、例えば、車線L3のソフトノーズからエンドノーズまでの領域を含む。自車両Mは、ソフトノーズからエンドノーズまでの領域を走行するまでに車線L1に合流する必要がある。なお、自車両Mは、物理的に通過可能であっても、法規上交通が制限されるゼブラゾーンZZを通過して車線L1に合流することはないものとする。
【0056】
第1検出部133は、周辺認識部132の認識結果に基づいて、自車両Mの速度VMを含む自車両Mの走行状態を検出する。また、第2検出部134は、例えば、自車両Mの基準箇所(車頭、重心、前輪軸中心、後輪軸中心など)が分岐帯CCに到達したタイミングから、自車両Mの基準箇所がゼブラゾーンZZの終端であるソフトノーズに到達するタイミングまでの間に、本線車両m1を選択する。なお、第2検出部134は、車線L1を走行する複数の車両を認識した場合には、複数車両のうち自車両Mから近く、且つ、自車両Mよりも進行方向後方に位置する車両を本線車両m1として選択してもよい。これにより、合流制御部142は、自車両Mが車線L3を減速しながら進行して本線の車線L1に合流する場合に、合流目標としやすい車両を本線車両m1として選択することができる。
【0057】
第2検出部134は、本線車両m1の進行方向の速度Vxm1や、進行方向に対して横方向(図中のY軸方向)の速度Vym1を検出する。
【0058】
図4は、第2場面を示す図である。第2場面は、第1場面から所定時間経過した状態を示す場面である。
【0059】
合流制御部142は、車線L3の終端であるエンドノーズに到達するタイミングまでに、自車両Mを本線に合流させるように合流制御する。合流制御部142は、第2検出部134により検出された本線車両m1の検出結果に基づいて、自車両Mを車線L1に合流させる合流制御を行う。合流制御部142は、本線を走行する本線車両m1に対する自車両Mの前後方向距離Dが所定距離以上である場合に、本線車両m1の車線変更に寄らず自車両Mの合流を制御する。前後方向距離Dは、例えば、図示のように自車両Mの前端部から本線車両m1の後端部からまでの距離であってもよいし、自車両Mの基準箇所から本線車両m1の基準箇所までの距離であってもよい。
【0060】
合流制御部142により合流制御が開始される場合、仮想枠設定部134-2は、本線車両m1の仮想枠Rm1を設定する。仮想枠Rm1は、例えば、本線車両m1の進行方向の前後に余裕距離を持たせて設定され、本線車両m1の先行車両が急停止したり、後続車両が急加速したり、本線車両m1の前後に車線変更車を受け付けたりした場合でも通常の制動手段で安全に制御(または回避)可能な程度の大きさが設定される。
【0061】
また、合流制御部142は、本線を走行する本線車両m1に対する自車両Mの前後方向距離Dが所定距離未満である場合、自車両Mを減速させて前後方向距離Dが所定距離以上となるようにしたり、合流制御の目標とする車両を本線車両m1の後方を走行する車両に変更するなどしたりすることで、自車両Mの合流を制御する。
【0062】
[本線が複数車線の場合の合流制御]
図5は、第3場面の仮想枠設定部134-2による設定結果の一例を示す図である。第3場面は、本線が複数車線である場合の合流制御について説明する場面である。自車両Mは本線である車線L1およびL2に合流する車線L3を走行している。本線車両m1は、本線の車線L1を走行しており、自車両Mが合流するのに合わせて車線L2に車線変更している。合流地点付近には停止線が存在せず、本線車両m1は、車線L1を走行しているものとする。
【0063】
図5には、自車両Mが車線L3から車線L1に車線変更するまでの時刻t0~t9のそれぞれにおける自車両M、および仮想枠設定部134-2により本線車両m1に設定された仮想枠Rm1の位置を示す。時刻t0~時刻t9は、任意の時間経過を示すものであり、数〔sec〕間隔の時間経過を示すものであってもよい。仮想枠Rm1は、例えば、本線車両m1の将来位置の予測領域を示すものであり、枠内が本線車両m1との干渉する可能性が高い領域を示すものである。
【0064】
なお、以下の説明において、時刻t2は、本線車両m1がウインカーランプを点灯させたタイミングであるものとして説明する。時刻t3は、本線車両m1が減速を開始したタイミングであり、横方向の移動量は所定未満であるものとして説明する。また、本線車両m1は、時刻t4に車線L1から車線L2への車線変更を開始し、時刻t8に車線変更を終了するものとして説明する。この間の本線車両m1の横方向の移動量は、所定以上であるものとして説明する。時刻t9は、本線車両m1が車線L2を車線維持した状態で走行開始した時刻である。
【0065】
第2検出部134は、周辺認識部132の認識結果に基づいて、自車両Mが合流路を進行している場合の、合流先である本線を進行する本線車両m1の走行状態を検出する。例えば、第2検出部134は、本線車両m1がウインカーランプを点灯させているか否か、本線車両m1の進行方向の速度Vxm1、および進行方向の横方向の速度Vym1を検出する。
【0066】
仮想枠設定部134-2は、第2検出部134の検出結果、特に横方向の速度Vym1に基づいて仮想枠Rm1を設定する。仮想枠設定部134-2は、本線車両m1が車線変更を行う走行状態にあることが検出された場合、本線車両m1から合流路から離間する方向に仮想枠Rm1をオフセットさせる。
【0067】
仮想枠設定部134-2は、本線車両m1が車線変更を行う走行状態にあることが検出された場合、図示のように、時刻t2から図中Y軸方向(車線L1から車線L2に向かう方向)に仮想枠Rm1をオフセットさせる。なお、オフセット量は、横方向の速度Vym1に基づいて設定されてもよい。仮想枠設定部134-2は、例えば、横方向の速度Vym1が所定以上である場合、横方向の速度Vym1の大きさに応じて、仮想枠Rm1をより大きくオフセットさせる。
【0068】
例えば、仮想枠設定部134-2は、車線変更に向けて減速を開始した時刻t3のオフセット量は、実際の横方向の速度Vym1が小さいため、所定量(例えば、数十[cm]程度)を設定する。仮想枠設定部134-2は、時刻t4~時刻t8とのオフセット量は、横方向の速度Vym1の大きさに応じてオフセット量を設定する。
【0069】
仮想枠Rm1は本線車両m1の将来位置の推定領域を示すものであるため、仮想枠設定部134-2は、横方向の移動量が小さい時刻t3においても仮想枠Rm1をオフセットさせる。
【0070】
なお、仮想枠設定部134-2は、第2検出部134により本線車両m1が車線変更を行う走行状態にあることが検出された場合、第2検出部134による縦方向の速度Vxm1の検出結果に基づいて仮想枠Rm1をオフセットしてもよい。その場合、例えば、仮想枠設定部134-2は、本線車両m1が減速している場合には仮想枠Rm1を本線車両m1よりも進行方向後方にオフセットする。また、例えば、仮想枠設定部134-2は、本線車両m1が加速している場合には仮想枠Rm1を本線車両m1よりも進行方向前方にオフセットする。
【0071】
合流制御部142は、仮想枠設定部134-2により設定された仮想枠による時空間行動予測(時刻t0~時刻t8において設定された仮想枠Rm1の位置の移動状況)に基づいて本線車両m1の走行軌道の曲率導出を行うなどの処理を行い、自車両Mを本線に合流させる合流制御を行う。
【0072】
合流制御部142は、車線L3の終端であるエンドノーズに到達するタイミングまでに、自車両Mを本線に合流させるように合流制御する。合流制御部142は、第2検出部134により検出された本線車両m1の検出結果に基づいて、自車両Mを車線L1に合流させる合流開始を制御する。合流制御部142は、本線を走行する本線車両m1に対する自車両Mの前後方向距離Dが所定距離以上である場合に、本線車両m1の車線変更に寄らず自車両Mの合流を制御する。
【0073】
合流制御部142は、本線を走行する本線車両m1に対する自車両Mの前後方向距離Dが所定距離未満であり、且つ、本線車両m1が車線L1から車線L2に車線変更を行う場合に、自車両Mの合流開始を制御する。合流制御部142は、本線を走行する本線車両m1に対する自車両Mの前後方向距離Dが所定距離未満であり、且つ、本線車両m1が車線L1から車線L2に車線変更を行わない場合に、自車両Mを減速させて前後方向距離Dが所定距離以上となるようにしたり、合流制御の目標とする車両を本線車両m1の後方を走行する車両に変更するなどしたりすることで、自車両Mの合流を制御する。
【0074】
〔仮想枠〕
以下、仮想枠設定部134-2による仮想枠Rm1の設定例について説明する。仮想枠設定部134-2は、少なくとも本線車両m1の基準箇所を包含する仮想枠Rm1を設定する。仮想枠設定部134-2は、本線車両m1が車線維持している場合には、仮想枠Rm1が本線車両m1の輪郭線を内包するように設定する。仮想枠設定部134-2は、本線車両m1が車線変更している場合には、仮想枠Rm1が車線変更先の車線に近づくようにオフセットしつつ、本線車両m1の基準箇所を内包するように設定する。
【0075】
図6は、
図5に示した時刻t6における仮想枠Rm1の拡大図である。仮想枠設定部134-2は、仮想枠Rm1が車線変更先の車線L3に近づくようにオフセットする場合であっても、本線車両m1の基準箇所Fを包含するように設定する。
【0076】
図7は、
図6に示した仮想枠Rm1のオフセットについて説明するための図である。仮想枠設定部134-2は、例えば、時刻t6において横方向の移動を終了した場合に本線車両m1の予測姿勢(図中に破線で示す車両vm1)に対して、仮想枠Rm1を設定する。
【0077】
図8は、仮想枠の変形例である略円形の仮想枠Om1について説明するための図である。仮想枠Om1は、上述の矩形の仮想枠Rm1と同様に、本線車両m1を上面や側面から見たときの本線車両m1の輪郭線を内包するように設定される。
【0078】
図9は、
図8に示した仮想枠Om1のオフセットについて説明するための図である。
図9に示す本線車両m1は、
図6および
図7に示す時刻t6時点の本線車両m1と同じである。仮想枠設定部134-2は、仮想枠Om1が車線変更先の車線L3に近づくようにオフセットする場合であっても、本線車両m1の基準箇所Fを包含するように設定する。以下、仮想枠は矩形であるものとして説明するが、矩形に限定するものではなく、例えば、
図8および
図9に示したように略円形であってもよいし、矩形以外の多角形であってもよい。
【0079】
[合流制御の始動性向上]
合流制御部142は、第2検出部134により本線の交通量が所定量以上である(本線が渋滞状態である)と検出された場合(本線が渋滞状態であると検出された場合)、本線の交通量が所定量未満(本線が渋滞状態でない)であると検出された場合に比して自車両Mの合流制御を開始しやすくする。「自車両Mの合流制御を開始しやすくする」ことには、例えば、他車両に対する前後方向の余裕距離を小さくすることなどが含まれる。本線の交通量が所定量以上であり、本線を走行中の車両同士の車間距離が合流制御のための十分な距離がない場合であっても、本線車両m1は合流路の自車両Mの存在を認識して、自車両Mが合流できるよう徐行して本線車両m1の先行車両との車間距離を確保するなどにより、自車両Mは、合流可能となる可能性が高い。そのため、合流制御部142は、本線の交通量に応じて合流制御の始動性を向上してもよい。
【0080】
なお、他車両に対する前後方向の余裕距離を小さくすることには、例えば、仮想枠設定部134-2による仮想枠Rm1の枠の車長側のサイズを、平常時の仮想枠Rm1のサイズよりも小さくすることが含まれてもよい。また、他車両に対する前後方向の余裕距離を小さくすることには、仮想枠設定部134-2による仮想枠Rm1の枠の全体的なサイズを、平常時よりも小さくする(例えば、平常時の仮想枠Rm1のサイズの90[%]程度に小さくする)ことが含まれてもよい。
【0081】
また、合流制御部142は、本線が複数車線を含み、且つ本線のうち合流路に隣接する第1車線が渋滞である場合に、本線が単線である場合または第1車線が渋滞でない場合に比して自車両Mの合流制御を開始しやすくしてもよい。第1車線の交通量が所定量以上であり、本線車両の車間距離が合流制御のための十分な距離がない場合であっても、本線車両m1が合流路の自車両Mの存在を認識して、自車両Mが合流できるよう徐行して本線車両m1の先行車両との車間距離を確保したり、第1車線以外の車線(以下、第2車線と称する)に車線変更したりすることにより、自車両Mは合流可能となる可能性が高い。そのため、合流制御部142は、本線が単線であるか否かに基づいて合流制御の始動性を変更してもよい。
【0082】
また、合流制御部142は、本線が複数車線を含み、且つ本線のうち合流路に隣接する第1車線が渋滞であり、合流路から遠く且つ第1車線と隣接する第2車線の交通量が所定量未満である場合に、第2車線の交通量が所定量以上である場合に比して自車両Mの合流制御を開始しやすくしてもよい。これは、第1車線が渋滞である場合であっても、本線車両m1が合流路の自車両Mの存在を認識して、自車両Mが合流できるよう徐行して本線車両m1の先行車両との車間距離を確保したり、第2車線に車線変更したりすることにより、自車両Mが合流可能となる可能性が高いためである。
【0083】
[車線変更車両数に応じた始動性向上]
また、合流制御部142は、本線車両の走行態様に応じて自車両Mの車線変更の始動性を変更してもよく、例えば、第1車線において車線変更を行う本線車両の台数と、第1車線において車線変更を行わずに直進する本線車両の台数とに基づいて車線変更の始動性を変更する。
【0084】
図10は、第4場面を示す図である。第4場面は、本線の車線L1から車線L2に車線変更する車両が複数存在する場面である。なお、以下の説明において、車線L1を走行する車両を本線車両m1(本線車両m10、m11…)、車線L2を走行する車両を本線車両m2(本線車両m20、m21…)、合流路の車線L3を走行する自車両M以外の車両を合流車両m3(合流車両m31、m32…)と称する。
【0085】
第4場面において、車線L1を走行中の車両のうち本線車両m13、本線車両m14および本線車両m16は、車線L1から車線L2への車線変更を試みているが、その他の本線車両は走行中の車線を直進している。また、第4場面において、合流車両m31~m33および自車両Mは、車線L1へ車線変更しようとしている。例えば、合流車両m31は、車線L1を走行中の本線車両m12と本線車両m13の間に車線変更しようとしている。また、本線車両m13は、合流車両m31の車線変更に伴い、車線L1から車線L2に車線変更しようとしている。
【0086】
合流制御部142は、第2検出部134により本線を走行する他車両が複数存在し、且つ合流路に隣接する第1車線からの車線変更を行う他車両の数が、第1車線からの車線変更を行わない他車両の数以上である場合に、自車両Mの合流制御を開始しやすくする。例えば、合流制御部142は、少なくとも車線L3のソフトノーズからエンドノーズまでの領域に隣接する範囲内(図中の本線車両m12~m16が走行する範囲内)の、車線L2に車線変更する車両の台数と、車線L1を直進する車両の台数とに基づいて、合流制御の始動性を変更するか否かを決定する。合流制御部142は、車線L2に車線変更する車両の台数が本線車両m13、本線車両m14および本線車両m16の3台、車線L1を直進する車両の台数が本線車両m12および本線車両m15の2台であり、車線変更する車両の台数の方が多いことから、自車両Mの合流制御を開始しやすくする。
【0087】
なお、第2検出部134が車線変更する車両の台数をカウントする対象は、第2検出部134が検出可能な最大範囲であってもよく、本線車両m10~m19の全てがカウント対象であってもよい。
【0088】
また、合流制御部142は、第2検出部134により本線が渋滞状態であることが検出され(本線が複数車線である場合には、第1車線および第2車線の両方が渋滞であることが検出され)、且つ第1検出部133により自車両Mの走行する合流路が渋滞であることが検出された場合に、自車両Mの合流制御を開始しやすくしてもよい。
【0089】
[仮想枠のサイズ変更]
合流制御部142により合流制御の始動性を向上させる変更が行われている場合、例えば、仮想枠設定部134-2は、本線車両に設定する仮想枠のサイズ、特に車長方向のサイズを変更してもよい。
【0090】
図11は、第4場面における仮想枠のサイズ変更について説明するための図である。
図11に示すように、第4場面において仮想枠設定部134-2が本線車両m13~m15のそれぞれに仮想枠Rm13~Rm15を設定する。仮想枠設定部134-2は、例えば、車線L1から車線L2に車線変更中の本線車両m13およびm14には標準的な大きさの仮想枠Rm13およびRm14を設定する。一方、仮想枠設定部134-2は、例えば、車線変更しない本線車両m15の仮想枠Rm15のサイズを、仮想枠Rm13と比較してより小さいサイズに変更して設定する。
【0091】
図12は、サイズ変更時の仮想枠のサイズを説明するための図である。
図12の上図は
図11の本線車両m13に対して仮想枠設定部134-2が設定した仮想枠Rm13を示す図である。
図12の下図は
図11の本線車両m15に対して仮想枠設定部134-2が設定した仮想枠Rm15を示す図である。仮想枠設定部134-2は、車線変更をしない本線車両m15が検出された場合、車線間での車線変更をする本線車両(例えば、本線車両m13)に比して、仮想枠Rm15の進行方向に関する長さを短く設定する。これにより、合流制御部142Aは、本線車両m15の前方や後方に自車両Mを合流しやすくすることができる。このように、自車両Mが本線へ接近することにより本線車両への車線変更を促し、後方の本線車両が加速することに対するけん制を行い、自車両がより容易に合流できるように他車両(本線車両および合流車両)に働き掛けを行うことができる。なお、仮想枠Rm15の進行方向に関する長さを短くすることに加えて、本線車両m15の進行方向前方のみ余裕距離を小さくすることや、進行方向後方のみ余裕距離を小さくすること、仮想枠Rm15の車幅方向に関する長さを短くすることなどが行われてもよい。
【0092】
なお、合流制御部142は、合流制御の始動性の度合いを段階的に調整可能である場合、例えば、第1検出部133および第2検出部134による検出結果に基づいて、以下のように始動性の度合いを設定してもよい。
(度合い:低) 本線が単線であり且つ渋滞状態である場合、または、本線が複数車線であり且ついずれの車線も渋滞状態である場合:仮想枠設定部134-2による仮想枠のサイズを小さくする。
(度合い:高) 本線が複数車線であり且つ第1車線が渋滞状態であるが第2車線が渋滞状態でない場合、または、第1車線から第2車線に車線変更する車両台数が車線変更しない車両台数よりも多い場合、または、合流車線および本線が渋滞状態である場合:仮想枠設定部134-2による仮想枠のサイズをより小さくする。
【0093】
なお、ここでは合流制御部142により制御可能な始動性の度合いが3段階(変更なし、「度合い;低い」、「度合い:高い」)で定義される例を挙げて説明したが、これに限定するものではなく、始動性の度合いが4段階以上の多段階の度合いで制御可能であってもよい。例えば、合流制御部142は、後述する
図14~
図16のフローチャートにおいて、成立した条件が多い程、始動性の度合いを高くしてよい。
【0094】
[処理フロー]
図13は、車両制御装置100による合流軌道生成処理の他の一例を示すフローチャートである。
【0095】
まず、周辺認識部132は、自車両Mの周辺状況を認識する(ステップS100)。次に、第1検出部133は、自車両Mの状態を検出する(ステップS102)。次に、第2検出部134は、本線車両m1を検出し(ステップS104)、本線を走行する車両の台数に基づいて、本線の交通量を認識する(ステップS106)。次に、合流制御部142は、合流制御の開始のしやすさの設定を行う(ステップS108)。ステップS108の処理の流れの詳細については、後述する。
【0096】
次に、第2検出部134は、本線車両m1の時空間行動を予測し(ステップS110)、本線車両m1の目標軌道を予測(または実際の走行軌道を検出)する(ステップS112)。次に、曲率導出部134-3は、本線車両m1の走行軌道の曲率を導出する(ステップS114)。次に、合流制御部142は、ステップS102~S114の結果に基づいて、自車両Mの合流軌道を生成し(ステップS116)、合流制御を開始する(ステップS118)。以上、本フローチャートの処理を終了する。
【0097】
図14~
図16は、合流制御の開始しやすさの設定の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14~
図16に示すフローチャートは、
図13のフローチャートのステップS108の処理の詳細に当たる。
【0098】
まず、周辺認識部132は、本線が複数車線であるか否かを判定する(ステップS200)。複数車線であると判定した場合、第2検出部134は、第1車線の交通量が所定量以上か否か(第1車線が渋滞状態か否か)を判定する(ステップS202)。第1車線の交通量が所定量未満であると判定した場合、第2検出部134は、本フローチャートの処理を終了する(すなわち、合流制御の開始しやすさの設定を変更しない)。第1車線の交通量が所定量以上であると判定した場合、第2検出部134は、第2車線の交通量が所定量以上か否か(第2車線が渋滞状態か否か)を判定する(ステップS204)。第2車線の交通量が所定量未満であると判定した場合、第2検出部134は、第1車線を走行する本線車両のうち第2車線に車線変更中の車両の数が、第1車線からの車線変更を行わない他車両の数以上であるか否かを判定する(ステップS206)。第2車線に車線変更中の車両の数の方が多いと判定された場合、第1検出部133は、合流路が渋滞しているか否かを判定する(ステップS208)。合流路が渋滞していない場合、合流制御部142は、より合流制御しやすくして(ステップS210)、本フローチャートの処理を終了する。合流路が渋滞している場合、合流制御部142は、より合流制御しやすくして(ステップS212)、本フローチャートの処理を終了する。
【0099】
ステップS210およびステップS212は、例えば、合流制御部142による合流制御の始動性の度合いが「度合い:高い」に設定されることに該当する。なお、合流制御部142による始動性の度合いが4段階以上の多段階の度合いで制御可能である場合には、ステップS210よりもステップS212の方が、より高い度合いに設定されてもよい。
【0100】
ステップS206において、第2車線に車線変更中の車両の数が直進中の本線車両数以下であると判定された場合、第1検出部133は、合流路が渋滞しているか否かを判定する(ステップS214)。合流路が渋滞していない場合、合流制御部142は、より合流制御しやすくして(例えば、合流制御の始動性の度合いを「度合い:高い」に設定して)(ステップS216)、本フローチャートの処理を終了する。合流路が渋滞している場合、合流制御部142は、より合流制御しやすくして(例えば、合流制御の始動性の度合いを「度合い:高い」に設定して)(ステップS218)、本フローチャートの処理を終了する。
【0101】
次に、
図15について説明する。
図14のステップS204において、第2車線の交通量が所定量以上と判定された場合、第2検出部134は、第1車線を走行する本線車両のうち第2車線に車線変更中の車両の数が、第1車線からの車線変更を行わない他車両の数以上であるか否かを判定する(ステップS220)。第2車線に車線変更中の車両の数が直進中の本線車両数以下であると判定された場合、第1検出部133は、合流路が渋滞しているか否かを判定する(ステップS222)。合流路が渋滞していない場合、合流制御部142は、より合流制御しやすくして(例えば、合流制御の始動性の度合いを「度合い:高い」に設定して)(ステップS224)、本フローチャートの処理を終了する。合流路が渋滞している場合、合流制御部142は、より合流制御しやすくして(例えば、合流制御の始動性の度合いを「度合い:高い」に設定して)(ステップS226)、本フローチャートの処理を終了する。
【0102】
ステップS220において、第2車線に車線変更中の車両の数の方が多いと判定された場合、第1検出部133は、合流路が渋滞しているか否かを判定する(ステップS228)。合流路が渋滞していない場合、合流制御部142は、合流制御しやすくして(ステップS230)、本フローチャートの処理を終了する。合流路が渋滞している場合、合流制御部142は、より合流制御しやすくして(ステップS232)、本フローチャートの処理を終了する。
【0103】
なお、ステップS230は、ステップS232よりも合流制御の始動性の度合いが低い設定にすること(例えば、ステップS232において「度合い:高い」に設定される場合に、ステップS230において「度合い:低い」に設定すること)に該当する。
【0104】
次に、
図16について説明する。ステップS200において本線が複数車線でないと判定した場合、第2検出部134は、本線の交通量が所定量以上か否か(渋滞状態か否か)を判定する(ステップS234)。本線の交通量が所定量未満であると判定した場合、第2検出部134は、本フローチャートの処理を終了する(すなわち、合流制御の開始しやすさの設定を変更しない)。本線の交通量が所定量以上であると判定した場合、第1検出部133は、合流路が渋滞しているか否かを判定する(ステップS236)。合流路が渋滞していない場合、合流制御部142は、合流制御しやすくして(例えば、合流制御の始動性の度合いを「度合い:低い」に設定して)(ステップS238)、本フローチャートの処理を終了する。合流路が渋滞している場合、合流制御部142は、より合流制御しやすくして(例えば、合流制御の始動性の度合いを「度合い:高い」に設定して)(ステップS240)、本フローチャートの処理を終了する。以上、本フローチャートの処理の説明を終了する。
【0105】
以上説明した実施形態の車両制御装置100は、第2検出部134による本線車両の交通量などの車両の検出結果に基づいて、合流制御部142が合流制御のしやすさを変更することにより、渋滞時であっても安定的な車線変更を行うことができる。
【0106】
[ハードウェア構成]
図17は、実施形態の車両制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図示するように、各種制御装置は、通信コントローラ100-1、CPU100-2、ワーキングメモリとして使用されるRAM100-3、ブートプログラムなどを格納するROM100-4、フラッシュメモリやHDDなどの記憶装置100-5、ドライブ装置100-6などが、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。通信コントローラ100-1は、車両制御装置100以外の構成要素との通信を行う。記憶装置100-5には、CPU100-2が実行するプログラム100-5aが格納されている。このプログラムは、DMA(Direct Memory Access)コントローラ(不図示)などによってRAM100-3に展開されて、CPU100-2によって実行される。これによって、車両制御装置100の第1制御部120および第2制御部160のうち一部または全部が実現される。
【0107】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサは、前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、
自車両の走行状態を検出し、
前記自車両が合流路を進行している場合の本線を進行する他車両の走行状態、および前記本線の交通量を検出し、
前記他車両に対する前記自車両の前後方向距離が所定以上である場合に前記他車両の車線変更に寄らず前記自車両の合流を制御し、
前記本線の交通量が所定量以上であると検出された場合、自車両の合流制御を開始しやすくする、
ように構成されている、車両制御装置。
【0108】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0109】
1…車両システム、10…カメラ、12…レーダ装置、14…ファインダ、16…物体認識装置、20…通信装置、40…車両センサ、50…ナビゲーション装置、51…GNSS受信機、53…経路決定部、61…推奨車線決定部、80…運転操作子、100…車両制御装置、120…第1制御部、130…認識部、132…周辺認識部、133…第1検出部、134…第2検出部、140…行動計画生成部、142…合流制御部、160…第2制御部、162…取得部、164…速度制御部、166…操舵制御部、200…走行駆動力出力装置、210…ブレーキ装置、220…ステアリング装置、M…自車両、m1…本線車両、m2…本線車両、m3…合流車両