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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】電気錠制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 41/00 20060101AFI20221221BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20221221BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
E05B41/00 E
E05B49/00 B
E05B49/00 C
G08B25/04 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019162277
(22)【出願日】2019-09-05
(65)【公開番号】P2021038618
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小林 春輝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 壮
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-151833(JP,A)
【文献】特開2015-158892(JP,A)
【文献】特開2016-146011(JP,A)
【文献】特開2001-317244(JP,A)
【文献】特開2008-268988(JP,A)
【文献】特開平5-205167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
G08B 23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアに取り付けられており、前記ドアに設けられた錠を制御する電気錠制御装置であって、
利用者による操作を受け付ける操作受付部と、
利用者に情報を表示する表示部と、
前記ドアに係る利用者の入退出を監視する監視部と
を備え、
前記監視部は、最後の入退出からの経過時間を計時するとともに、前記操作受付部が特定操作を受け付けたとき前記表示部に前記経過時間を表示させる、
電気錠制御装置。
【請求項2】
前記監視部は、前記ドアに係る利用者の入退出として前記錠の施解錠を監視し、前記最後の入退出からの経過時間として前記錠の施解錠が最後に行われた時からの経過時間を計時する、
請求項1記載の電気錠制御装置。
【請求項3】
前記操作受付部が施解錠操作を受け付けたとき、前記錠の施解錠を行う施解錠制御部
をさらに備え、
前記施解錠操作は、解錠用符号列の入力を含み、
前記特定操作は、前記解錠用符号列とは異なる表示用符号列の入力を含む、
請求項1又は請求項2に記載の電気錠制御装置。
【請求項4】
前記施解錠制御部は、前記操作受付部が前記表示用符号列の入力を受け付けるとともに、前記経過時間が所定時間以上であるとき、前記錠の解錠を行う、
請求項3記載の電気錠制御装置。
【請求項5】
前記操作受付部が施解錠操作を受け付けたとき、前記錠の施解錠を行う施解錠制御部
をさらに備え、
前記監視部は、前記操作受付部が前記施解錠操作及び前記特定操作を受け付けたとき、前記経過時間を表示する、
請求項1又は請求項2に記載の電気錠制御装置。
【請求項6】
前記施解錠操作は、解錠用符号列の入力を含み、
前記特定操作は、前記解錠用符号列の入力よりも操作量が少ない簡易操作である、
請求項5記載の電気錠制御装置。
【請求項7】
前記施解錠制御部は、前記操作受付部が前記施解錠操作及び前記特定操作を受け付けたとき、前記錠の施解錠を非実施とする、
請求項5又は請求項6に記載の電気錠制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに設けられた錠を制御する電気錠制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化及び核家族化が進み、家屋又は住戸(以下「家屋等」と呼ぶ)に高齢者が一人で住むということも徐々に増えてきている。例えば下記の特許文献1等では、高齢者等の居住者の安否を遠隔地から確認するための安否確認システムが提案されている。このような安否確認システムは、家屋等の各部屋にセンサーが設けられ、センサーの出力に基づき制御装置がレポートを作成し、通信回線を介して制御装置が遠隔地にレポートを送信するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-18525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来システムでは、多くの機器が必要とされるため、導入費用が非常に高くなってしまうという問題がある。
【0005】
一方、上記のようなシステムに依らず、例えば大家や警察官等の近隣者に居住者の安否を確認してもらうということも考えられる。しかしながら、居住者の聴力が弱っているような場合には、インターホンで呼びかけても応答が無いこともあり、居住者の安否確認が不確実となる虞がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、導入費用を抑えつつ、居住者の安否をより確実に確認することができる電気錠制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気錠制御装置は、ドアに取り付けられており、ドアに設けられた錠を制御する電気錠制御装置であって、利用者による操作を受け付ける操作受付部と、利用者に情報を表示する表示部と、ドアに係る利用者の入退出を監視する監視部とを備え、監視部は、最後の入退出からの経過時間を計時するとともに、操作受付部が特定操作を受け付けたとき表示部に経過時間を表示させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電気錠制御装置によれば、監視部は、最後の入退出からの経過時間を計時するとともに、操作受付部が特定操作を受け付けたとき表示部に経過時間を表示させるので、導入費用を抑えつつ、居住者の安否をより確実に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1による電気錠制御装置を示す正面図である。
図2図1の電気錠制御装置を示す側面図である。
図3図1の電気錠制御装置がドアに取り付けられた状態を示す斜視図である。
図4図1の操作受付部を拡大して示す正面図である。
図5図1の制御装置本体が行う解錠/表示制御動作を示すフローチャートである。
図6図1の制御装置本体が行う施錠制御動作を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施の形態2による制御装置本体が行う解錠/表示制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0011】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による電気錠制御装置1を示す正面図であり、図2図1の電気錠制御装置1を示す側面図であり、図3図1の電気錠制御装置1がドア2に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0012】
図1図3に示す本実施の形態1の電気錠制御装置1は、家屋等のドア2に取り付けられて、そのドア2に設けられた錠20(図2参照)の施解錠を制御するための装置である。本実施の形態の電気錠制御装置1は、ケース10、操作受付部11及び制御装置本体12を有している。
【0013】
ケース10は、電気錠制御装置1の外観として現れる外装体である。図1に特に表れているように、ケース10の下部には、貫通孔10aが設けられている。図3に示すように電気錠制御装置1がドア2に取り付けられた際、ドア2に設けられたハンドル21の操作軸21aが貫通孔10aに挿通される。ハンドル21は、錠20に設けられたラッチ(図示せず)を操作するための部材である。
【0014】
本実施の形態の電気錠制御装置1では、ケース10により操作受付部11及び制御装置本体12が一体に設けられている。しかしながら、操作受付部11及び制御装置本体12が別体として設けられていてもよい。
【0015】
操作受付部11は、利用者による操作を受け付けるための部分である。本実施の形態の操作受付部11は、ケース10の上部に設けられている。操作受付部11については、後に図を用いてより詳しく説明する。
【0016】
制御装置本体12は、例えばプログラムに基づいて演算処理を行うコンピューター(又は専用回路)及び機械的な機構等の機器により構成されるものである。制御装置本体12は、複数のコンピューター、専用回路及び機構を含んでいてよい。図1及び図2では図示を簡略化して制御装置本体12を単なる矩形で表しているが、実際にはより複雑な形状又は構成を有する。制御装置本体12は、操作受付部11及び錠20に機械的及び/又は電気的に接続されており、操作受付部11の動作を制御するとともに、操作受付部11からの信号に基づいて錠20の施解錠を行う。制御装置本体12は、利用者による施解錠操作を操作受付部11が受け付けたとき錠20の施解錠を行う。
【0017】
制御装置本体12は、図2に示すドライブ軸12aを有する。ドライブ軸12aは、錠20に機械的に接続される。図示はしないが、制御装置本体12は、ドライブ軸12aを介して錠20を駆動するアクチュエータを含んでいる。本実施の形態のアクチュエータは、ケース10に内蔵されたバッテリー(図示せず)からの電力で駆動され得る。
【0018】
また、制御装置本体12は、ドア2に係る利用者の入退出を監視する。すなわち、本実施の形態の制御装置本体12は、ドア2に係る利用者の入退出を監視する監視部と、操作受付部11が施解錠操作を受け付けたとき錠20の施解錠を行う施解錠制御部とを含んでいる。
【0019】
次に、図4は、図1の操作受付部11を拡大して示す正面図である。本実施の形態の操作受付部11は、操作開始ボタン13及び操作受付部本体14を有している。
【0020】
操作開始ボタン13は、利用者による操作を受け付けるボタンであり、操作受付部11の下部に設けられている。
【0021】
操作受付部本体14は、利用者による操作を受け付ける部分である。また、本実施の形態の操作受付部本体14は、利用者に情報を表示する表示部を兼ねている。本実施の形態の操作受付部本体14は、ディスプレイが組み込まれた静電容量タッチセンサ(タッチディスプレイ)によって構成されている。操作受付部本体14は、例えば抵抗膜方式等の他の方式のタッチディスプレイであってもよい。利用者による操作を受け付ける部分とは別に表示部としての専用のディスプレイが設けられていてもよい。
【0022】
図4に示すように、操作受付部本体14は、施錠状態表示マーク14a、解錠状態表示マーク14b、テンキー14c、エンターキー14d、モード管理キー14e、カードマーク14f、ミュート通知マーク14g及びバッテリ消耗マーク14hを表示可能に設けられている。図4ではすべてのマーク及びキーが表示されているように示しているが、制御装置本体12の制御に応じてマーク及びキーが選択的に表示される。
【0023】
施錠状態表示マーク14aは、点灯されることで錠20が施錠状態であることを表示するマークである。解錠状態表示マーク14bは、点灯されることで錠20が解錠状態であることを表示するマークである。
【0024】
テンキー14cは、0から9の整数が並べて配置されたキーである。本実施の形態テンキー14cは、3×3の格子に含まれる各セグメントに「1」から「9」の数字がそれぞれ配置されるとともに、その格子の下に「0」が配置されている。利用者は、テンキー14cに表示された数字の上を触れることにより、符号列(数字列)を入力することができる。本実施の形態のテンキー14cは、スワイプ操作により符号列の入力を可能としている。
【0025】
エンターキー14dは、例えば符号列の入力が終了した際等のタイミングで利用者に操作されるキーである。本実施の形態は、エンターキー14dが「*」マークであるように示しているが、エンターキー14dを構成するマークは任意である。テンキー14cとの混同を回避するため、エンターキー14dは数字以外のマークであることが好ましい。
【0026】
モード管理キー14eは、管理ステップへの遷移に使用されるキーである。ここで、本実施の形態の電気錠制御装置1では、錠20の施解錠操作として、テンキー14cによる解錠用符号列の入力と、例えばICカード等の認証媒体による認証情報の入力との両方を受け付けることができる。管理ステップでは、例えば解錠用符号列の新規登録、及び操作の優先順位(解錠用符号列の入力及び認証媒体による認証情報の入力のどちらを優先して受け付けるか)等の設定を管理することができる。
【0027】
カードマーク14fは、認証媒体による認証情報の入力を受け付けることができるときに表示されるマークである。図示はしないがカードマーク14fの奥には、認証情報を認証媒体から非接触で読み取るカードリーダーが設けられている。カードマーク14fは、認証媒体をかざすべき位置も表している。
【0028】
ミュート通知マーク14gは、操作音がミュート状態の際に点灯されるマークである。バッテリ消耗マーク14hは、ケース10に内蔵されたバッテリの残量が所定値を下回った際に点灯されるマークである。
【0029】
利用者により操作開始ボタン13又は操作受付部本体14が操作されたとき、操作開始ボタン13又は操作受付部本体14から制御装置本体12に信号が入力される。制御装置本体12は、錠20の施解錠状態を監視しており、錠20の施解錠状態並びに操作開始ボタン13及び操作受付部本体14からの信号に基づき、操作受付部本体14の動作を制御するとともに錠20の施解錠を行う。
【0030】
解錠用符号列の入力の優先順位が高く設定されているときであって、錠20が施錠状態であるとき、制御装置本体12は、操作開始ボタン13からの信号を検出した際に、テンキー14cの各数字を点灯させる。制御装置本体12は、テンキー14cの各数字を点灯させた後に、所定時間内にテンキー14cの操作により符号列が入力されたとき、その符号列が予め登録されている解錠用符号列と一致するか否か(解錠用符号列の入力であるか否か)を判定する。制御装置本体12は、入力された符号列が解錠用符号列と一致するとき錠20を解錠する。
【0031】
また、解錠用符号列の入力の優先順位が高く設定されているときであって、錠20が解錠状態であるとき、制御装置本体12は、操作開始ボタン13からの信号を検出した際に、錠20を施錠する。
【0032】
これに対して、認証媒体による認証情報の入力の優先順位が高く設定されているときであって、錠20が施錠状態であるとき、制御装置本体12は、操作開始ボタン13からの信号を検出した際に、テンキー14cの各数字ではなく、カードマーク14fを点灯させる。制御装置本体12は、カードマーク14fを点灯させた後に、所定時間内に認証媒体による認証情報の入力があった際に、錠20を解錠する。
【0033】
また、認証媒体による認証情報の入力の優先順位が高く設定されているときであって、錠20が解錠状態であるとき、制御装置本体12は、操作開始ボタン13からの信号を検出した際に、カードマーク14fを点灯させる。制御装置本体12は、カードマーク14fを点灯させた後に、所定時間内に認証媒体による認証情報の入力があった際に、錠20を施錠する。
【0034】
換言すると、利用者(居住者)は、帰宅した際に、家屋等の外において操作受付部11で施解錠操作を行うことにより、錠20を解錠できる。具体的には、利用者は、操作開始ボタン13を押下するとともに、テンキー14cにより解錠用符号列を入力するか、又は認証媒体により認証情報を入力することで、錠20を解錠できる。すなわち、本実施の形態の電気錠制御装置1では、利用者による施解錠操作には、解錠用符号列の入力、及び認証媒体による認証情報の入力が含まれている。
【0035】
また、利用者は、外出する際に、家屋等の中でサムターンにより錠20を解錠した後に、家屋等の外において操作受付部11で施解錠操作を行うことにより、錠20を施錠できる。具体的には、利用者は、家屋等の外において操作開始ボタン13を押下するか、又は操作開始ボタン13を押下した後に認証媒体により認証情報を入力することで、錠20を施錠できる。すなわち、本実施の形態の電気錠制御装置1では、利用者による施解錠操作には、操作開始ボタン13の押下、及び操作開始ボタン13の押下と認証媒体による認証情報の入力との組み合わせが含まれている。操作開始ボタン13ではなく、他のボタンの押下により錠20を施錠できてもよい。
【0036】
すなわち、本実施の形態の電気錠制御装置1がドア2に取り付けられた家屋等では、錠20の施解錠がドア2に係る利用者の入退出に密接に関連している。この錠20の施解錠が長期に行われていない場合、利用者の安否を疑った方が良いと判断される。
【0037】
本実施の形態の制御装置本体12は、ドア2に係る利用者の入退出として錠20の施解錠を監視し、最後の入退出からの経過時間として錠20の施解錠が最後に行われた時からの経過時間を計時する。また、本実施の形態の制御装置本体12は、操作受付部11が特定操作を受け付けたとき操作受付部11(表示部)にその経過時間を表示させる。操作受付部11に表示される経過時間の単位は任意であり、例えば10日間等の日数単位であってもよいし、例えば240時間等の時間単位であってもよい。
【0038】
経過時間は、テンキー14cを用いて表示することができる。例えば10日間を表示する場合、テンキー14cの数字「1」を点灯させた後に、数字「0」を点灯させることができる。テンキー14cの「5」を除く「1」~「9」の数字を点灯させて、日数を意味する文字「D」を表現してもよい。同様に、例えば240時間を表示する場合、テンキー14cの数字「2」、数字「4」及び数字「0」を順に点灯させることができる。テンキー14cの「2」及び「8」を除く「1」~「9」の数字を点灯させて、時間を意味する文字「H」を表現してもよい。
【0039】
錠20の施解錠が最後に行われた時からの経過時間を表示するための特定操作は任意に設定してよいが、本実施の形態では、解錠用符号列とは異なる表示用符号列の入力を特定操作として説明する。また、以下に説明するように、本実施の形態の制御装置本体12は、表示用符号列が入力されるとともに、錠20の施解錠が最後に行われた時からの経過時間が所定時間以上であるとき、錠20の解錠を行うことができる。
【0040】
次に、図5は、図1の制御装置本体12が行う解錠/表示制御動作を示すフローチャートである。図5に示す解錠/表示制御動作は、錠20が施錠状態のときに行われる。図5に示すように、制御装置本体12は、操作開始ボタン13の押下を検出すると(ステップS501)、テンキー14cを点灯させる(ステップS502)。
【0041】
制御装置本体12は、テンキー14cを点灯させた後に、利用者がテンキー14cを操作することによる符号列の入力を検出したとき(ステップS503)、そのテンキー14cによる入力が、予め登録されている解錠用符号列の入力であるか否かを判定する(ステップS504)。
【0042】
制御装置本体12は、テンキー14cによる入力が解錠用符号列の入力であると判定したとき、錠20の解錠を行うとともに(ステップS505)、タイマーをリセットし(ステップS506)、錠20の施解錠が行われた時からの経過時間の計時を開始する(タイマーをスタートさせる)(ステップS507)。その後、制御装置本体12は、テンキー14cを消灯する(ステップS508)。
【0043】
一方、制御装置本体12は、テンキー14cによる入力が解錠用符号列の入力でないと判定したとき、そのテンキー14cによる入力が、予め登録されている表示用符号列の入力であるか否かを判定する(ステップS509)。
【0044】
制御装置本体12は、テンキー14cによる入力が表示用符号列の入力でないと判定したとき、エラー報知を行う(ステップS510)。エラー報知は、例えばエラー音を発生させるとともに、施錠状態表示マーク14aを点滅させる等の動作により行われる。
【0045】
これに対して、制御装置本体12は、テンキー14cによる入力が表示用符号列の入力であると判定したとき、錠20の施解錠が最後に行われた時からの経過時間を表示する(ステップS511)。上述のように、本実施の形態の電気錠制御装置1では、テンキー14cにより経過時間が表示される。
【0046】
その次に、制御装置本体12は、経過時間が所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS512)。制御装置本体12は、経過時間が所定時間以上であると判定したとき、エンターキー14d(「*」マーク)を点滅させるとともに(ステップS513)、所定時間内にエンターキー14dが押下されるか否か(表示後解錠用特定操作が行われるか否か)を判定する(ステップS514)。制御装置本体12は、所定時間内にエンターキー14dが押下されたと判定したとき、錠20の解錠を行う(ステップS505)。錠20の解錠が行われた後の動作は、解錠用符号列の入力に応じて錠20の解錠を行った後の動作(ステップS506~S508)と同様である。
【0047】
一方、制御装置本体12は、経過時間が所定時間未満であると判定したとき(ステップS512でNoと判定したとき)、エンターキー14dを点灯させることなく、テンキー14cを消灯する(ステップS508)。また、制御装置本体12は、経過時間が所定時間以上であると判定する一方で、所定時間内にエンターキー14dが押下されないと判定したとき(ステップS514でNoと判定したとき)、錠20の解錠を行わずにテンキー14cを消灯する(ステップS508)。すなわち、経過時間を表示させただけでは、計時(タイマー)のリセットが行われない。換言すると、本実施の形態の電気錠制御装置1では、経過時間の表示は、錠20の施解錠が最後に行われた時からの経過時間の計時に影響を与えない。
【0048】
次に、図6は、図1の制御装置本体12が行う施錠制御動作を示すフローチャートである。図6に示す施錠制御動作は、錠20が解錠状態のときに行われる。図6に示すように、制御装置本体12は、室内のサムターンによる錠20の解錠を検出するとともに(ステップS601)、操作開始ボタン13の押下を検出したとき(ステップS602)、錠20の施錠を行うとともに(ステップS603)、タイマーをリセットし(ステップS604)、錠20の施解錠を行ったときからの経過時間の計時を開始する(タイマーをスタートさせる)(ステップS605)。すなわち、本実施の形態の制御装置本体12は、錠20の解錠時のみならず、錠20の施錠時にも経過時間の計時を開始する。
【0049】
なお、図5及び図6では解錠用符号列の入力により錠20の施解錠が行われる態様について説明しているが、認証媒体による認証情報の入力が行われた際にも、錠20の施解錠が行われるとともに、タイマーがリセットされて、錠20の施解錠を行ったときからの経過時間の計時を開始することができる。
【0050】
このような電気錠制御装置1では、制御装置本体12は、最後の入退出からの経過時間を計時するとともに、操作受付部11が特定操作を受け付けたとき操作受付部11(表示部)に経過時間を表示させるので、導入費用を抑えつつ、居住者の安否をより確実に確認することができる。
【0051】
また、制御装置本体12は、ドア2に係る利用者の入退出として錠20の施解錠を監視し、最後の入退出からの経過時間として錠20の施解錠が最後に行われた時からの経過時間を計時するので、入退出を監視するため専用のセンサーを不要とでき、より確実に導入費用を抑えることができる。
【0052】
また、経過時間を表示させるための特定操作が解錠用符号列とは異なる表示用符号列の入力であるので、例えば大家や警察官等の近隣者に解錠用符号列を教える必要性を無くすことができ、防犯性を向上させることができる。
【0053】
また、制御装置本体12は、操作受付部11が表示用符号列の入力を受け付けるとともに、経過時間が所定時間以上であるとき、錠20の解錠を行うので、居住者の安否が疑われるようなときに解錠用符号列のみを知る近隣者であっても家屋等内に入ることができ、居住者の安否をより確実に確認できる。
【0054】
また、経過時間を表示するための表示部をテンキー14cが兼ねるので、専用の表示部を設ける場合と比較して導入費用を抑えることができる。
【0055】
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2による制御装置本体12が行う解錠/表示制御動作を示すフローチャートである。実施の形態2の電気錠制御装置1の全体的な構成は、実施の形態1の構成と同様である。実施の形態1では、経過時間を表示させるための特定操作が表示用符号列の入力であるように説明したが、他の操作により経過時間を表示させてもよい。
【0056】
図7に示す解錠/表示制御動作は、錠20が施錠状態のときに行われる。図7に示すように、本実施の形態2の制御装置本体12は、操作開始ボタン13の押下を検出すると(ステップS701)、テンキー14cを点灯させる(ステップS702)。制御装置本体12は、テンキー14cを点灯させた後に、利用者がテンキー14cを操作することによる符号列の入力を検出したとき(ステップS703)、そのテンキー14cによる入力が、予め登録されている解錠用符号列の入力であるか否かを判定する(ステップS704)。
【0057】
制御装置本体12は、テンキー14cによる入力が解錠用符号列の入力でないと判定した場合、エラー報知を行うとともに(ステップS705)、テンキー14cを消灯する(ステップS706)。
【0058】
これに対して、制御装置本体12は、テンキー14cによる入力が解錠用符号列の入力であると判定したとき、所定時間内に特定操作が行われるか否かを判定する(ステップS707)。
【0059】
制御装置本体12は、所定時間内に特定操作が行われないと判定したとき、タイマーをリセットし(ステップS708)、計時を開始するとともに(ステップS709)、錠20の解錠を行う(ステップS710)。このとき計時される時間は、錠20の施解錠が最後に行われた時からの経過時間として扱うことができる。すなわち、実施の形態1では錠20の解錠が行われた直後にタイマーがリセットされて計時が開始されるように説明したが、図7に示すように錠20の解錠が行われる直前にタイマーがリセットされて計時が開始されてもよい。このように計時開始と施解錠との順序が逆転されていても、無視できる程度の誤差しか発生しないためである。
【0060】
一方、制御装置本体12は、所定時間内に特定操作が行われたと判定したとき(ステップS707でYesと判定したとき)、錠20の施解錠が最後に行われたときからの経過時間を表示する(ステップS711)。すなわち、本実施の形態2の制御装置本体12は、操作受付部11が施解錠操作を受け付けた後に、所定時間内に操作受付部が特定操作を受け付けたとき、経過時間を表示する。制御装置本体12は、経過時間を表示した後、錠20の解錠を行わずにテンキー14cを消灯する(錠20の施解錠を非実施とする)。
【0061】
本実施の形態2における特定操作は、例えば何等かのマーク又はキーの2度押し、専用ボタンの押下又は認証媒体をかざす等、解錠用符号列の入力よりも操作量が少ない簡易操作としてよい。これは、経過時間を表示させるために解錠用符号列及び特定操作の両方が必要あり、簡易操作であっても、解錠用符号列を知らない第三者(正規の施解錠操作を行うことができない第三者)が任意に経過時間を確認できないように構成されているためである。操作量が解錠用符号列の入力よりも少ないか否かは、利用者が特定操作に要する操作回数又は操作時間が、解錠用符号列を入力する際に操作受付部11に触れる回数又は時間よりも少ないか否かに基づいて判断することができる。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0062】
このような電気錠制御装置1では、操作受付部11が施解錠操作及び特定操作を受け付けたとき、経過時間を表示するので、正規の施解錠操作を行うことができない第三者が任意に経過時間を確認することを防止でき、防犯性を向上できる。
【0063】
また、特定操作が、解錠用符号列の入力よりも操作量が少ない簡易操作であるので、経過時間を表示させるために操作が煩雑となる虞を低減できる。
【0064】
また、制御装置本体12は、操作受付部11が施解錠操作及び特定操作を受け付けたとき、錠20の施解錠を非実施とするので、経過時間を表示させた際に経過時間のリセットが行われることを防止でき、経過時間による居住者の安否確認をより正確することができる。
【0065】
なお、実施の形態2では操作受付部11が解錠用符号列を受け付けた後に特定操作が行われた際に経過時間を表示するように説明したが、操作受付部11が特定操作を受け付けた後に解錠用符号列を受け付けた際に経過時間を表示してもよい。また、実施環境によっては、操作受付部11が特定操作を受けた付けただけで経過時間を表示してもよい。
【0066】
また、実施の形態1,2では、錠20が施錠状態であるときに特定操作が行われた際に経過時間を表示するように説明したが、錠20が解錠状態であるときに特定操作が行われた際に経過時間を表示してもよい。そのような経過時間は、錠20の施錠を行わずに居住者が家屋等を離れてしまった際に、居住者が最後に帰宅した履歴として役に立つことがある。
【0067】
実施の形態3.
実施の形態1,2では、操作受付部11の操作により制御装置本体12が施解錠を行った際に経過時間の計時を行うように説明した。しかしながら、制御装置本体12(監視部)は、例えばメカニカルキー又はサムターン等の操作受付部11とは異なる手段により錠20の施解錠が行われた際に経過時間(最後の入退出からの経過時間)の計時を行ってもよい。その他の構成は実施の形態1,2と同様である。
【0068】
実施の形態4.
実施の形態1~3では、制御装置本体12(監視部)は、ドア2に係る利用者の入退出として錠20の施解錠を監視し、最後の入退出からの経過時間として錠20の施解錠が最後に行われた時からの経過時間を計時するように説明した。しかしながら、制御装置本体12(監視部)は、ドア2に係る利用者の入退出としてそのドア2の開閉を監視し、最後の入退出からの経過時間としてドア2の開閉が最後に行われた時からの経過時間を計時してもよい。ドア2の開閉は、任意の方法で監視できる。制御装置本体12(監視部)は、ドア2に設けられた例えばマグネットセンサに代表される近接センサー又は加速度センサー等のセンサーからの信号に基づきドア2の開閉を監視することができる。その他の構成は実施の形態1~3と同様である。
【符号の説明】
【0069】
1 電気錠制御装置
11 操作受付部
12 制御装置本体(監視部、施解錠制御部)
14c テンキー(表示部)
2 ドア
20 錠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7