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特許7198186荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置
<図1>
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図1
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図2
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図3a
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図3b
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図3c
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図3d
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図4a
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図4b
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図5a
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図5b
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図6
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図7
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図8
  • 特許-荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置 図9
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/48 20060101AFI20221221BHJP
   B66C 1/38 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B66C13/48 Z
B66C1/38
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019173817
(22)【出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2021050065
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】安田 悠
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-131068(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0263523(US,A1)
【文献】特開2017-014017(JP,A)
【文献】特表2019-529201(JP,A)
【文献】国際公開第2017/078118(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
B66C 1/00- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置と、糸を含み、該搬送装置に取り付けられた運搬機構と、該糸に取り付けられた少なくとも1つの糸端部材と、運搬物が取り付けられ、該糸端部材に開放可能かつ保持可能にされた少なくとも1つの着脱装置と、を備える荷下ろし装置による搬送方法であって、
(a)該荷下ろし装置を目的地へ移動し、
(b)該目的地へ到着後、前記運搬機構により前記糸を出し、
(c)所定の高度で前記着脱装置を前記糸端部材から開放し、
(d)前記運搬機構により前記糸を戻し、
(e)前記荷下ろし装置を目的地へ移動する、
ものであり、
前記着脱装置の連結解除は、開放部材により行われる荷下ろし装置による搬送方法。
【請求項2】
前記(b)、(c)及び(d)を複数回繰り返し、前記目的地で複数の運搬物を荷下ろしする、請求項1に記載の荷下ろし装置による搬送方法。
【請求項3】
搬送装置と、糸を含み、該搬送装置に取り付けられた運搬機構と、該糸に取り付けられた少なくとも1つの糸端部材と、運搬物が取り付けられ、該糸端部材に開放可能かつ保持可能にされた少なくとも1つの着脱装置と、を備える荷下ろし装置による搬送方法であって、
(a)該荷下ろし装置を目的地へ移動し、
(b)前記運搬機構により前記糸を巻き、
(c)前記糸端部材の前記着脱装置への近接を検出し、
(d)前記着脱装置を前記糸端部材で保持し、
(e)前記運搬機構により前記糸を出し、
(f)所定の高度で前記着脱装置を前記糸端部材から開放し、
(g)前記運搬機構により前記糸を戻し、
(h)前記荷下ろし装置を目的地へ移動する、
荷下ろし装置による搬送方法。
【請求項4】
前記(b)から(f)までを複数回繰り返し、前記目的地で複数の運搬物を荷下ろしする、請求項3に記載の荷下ろし装置による搬送方法。
【請求項5】
前記着脱装置は、前記運搬機構に連結解除可能に連結され、前記(c)の後かつ前記(d)の前に、前記着脱装置の前記運搬機構への連結を解除する、請求項3に記載の荷下ろし装置による搬送方法。
【請求項6】
前記着脱装置は、複数の着脱装置を含み、各着脱装置は前記運搬機構若しくは他の着脱装置に連結解除可能に連結される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の荷下ろし装置による搬送方法。
【請求項7】
前記着脱装置の前記糸端部材からの開放は、開閉部材により行われる、請求項1からまでのいずれか1項に記載の荷下ろし装置による搬送方法。
【請求項8】
前記糸端部材は、前記開閉部材の閉状態で前記着脱装置に保持され、該開閉部材の開状態で該着脱装置から開放される、請求項に記載の荷下ろし装置による搬送方法。
【請求項9】
前記所定の高度は、地表への到達である、請求項1からまでのいずれか1項に記載の荷下ろし装置による搬送方法。
【請求項10】
前記所定の高度での前記着脱装置の前記糸端部材からの開放は、前記着脱装置の絶対高度を検出することにより行う、請求項1からまでのいずれか1項に記載の荷下ろし装置による搬送方法。
【請求項11】
前記所定の高度での前記着脱装置の前記糸端部材からの開放は、前記着脱装置と地表との相対高度を検出することにより行う、請求項1からまでのいずれか1項に記載の荷下ろし装置による搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬物を搬送する搬送装置全般、例えば、ドローンや小型ヘリコプタなどに使用され得る若しくはこれらの搬送装置を含む荷下ろし装置による搬送方法及び荷下ろし装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような搬送装置による搬送方法に用いられる荷下ろし装置の構造として、フックやロック機構など様々な構成を有するものが知られている。
【0003】
このような荷下ろし装置として、例えば、特許文献1では、ヘリコプタ等に取り付けたワイヤロープの下端に装着し、物体を吊り上げる際に使用される遠隔操作用フック装置であって、フック装置基部から下方に向けて鉛直に二本の棒状ロードアームを、フック装置基部の回動支点を中心に開閉自在に設置し、棒状ロードアームの一方の下端には、他方の棒状ロードアームの方向に突出するワイヤロープ受部を備えると共に、フック装置基部には棒状ロードアーム作動手段を備え、当該棒状ロードアーム作動手段により棒状ロードアームを閉状態にしたときに、二本の棒状ロードアーム間にワイヤロープが摺動可能な隙間を生じるフック装置に係る構成が開示されている。
【0004】
また、このような荷下ろし装置として、例えば、特許文献2では、ヘリコプタによって資材等を掛けて搬出するためのフック装置であって、吊部を有するハンガー部材の両端下部に、それぞれ撤去用スリングワイヤを吊るためのフックを取り付けて、これら両フックの開口を互いに向かい合わせに配置すると共に、両フックの開口間には撤去用スリングワイヤを受け入れるためのガイドバーを架設したフック装置に係る構成も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-118251号公報
【文献】特開2006-315835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る構成では、1回の移動で複数の運搬物を搬送し得る一方で、一回の移動で複数の目的地に運搬物を搬送することができないという問題があった。また、ヘリコプタ等のワイヤロープに複数のフック装置を取り付けた場合、1回の移動で複数の目的地に運搬物を搬送することが可能であるものの、各目的地で複数のフック装置のそれぞれを制御するのは実際上困難であり、運搬物の円滑な荷下ろしが難しいという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に係る構成でも、1回の移動で複数の運搬物を搬送し得るものの、一回の移動で複数の目的地に運搬物を搬送することができないという問題があった。また、ヘリコプタ等のワイヤロープに複数のフック装置を取り付けた場合、1回の移動で複数の目的地に運搬物を搬送することが可能であるものの、同様に、各目的地で複数のフック装置のそれぞれを制御するのは実際上困難であり、運搬物の円滑な荷下ろしが難しいという問題があった。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、1回の移動で複数の目的地に所望の運搬物を搬送し、また各運搬物の荷下ろしを簡易かつ確実に行うことができる搬送方法及びこれを行う荷下ろし装置を提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法は、搬送装置と、糸を含み、該搬送装置に取り付けられた運搬機構と、該糸に取り付けられた少なくとも1つの糸端部材と、運搬物が取り付けられ、該糸端部材に開放可能かつ保持可能にされた少なくとも1つの着脱装置と、を備える荷下ろし装置により、(a)該荷下ろし装置を目的地へ移動し、(b)該目的地へ到着後、前記運搬機構により前記糸を出し、(c)所定の高度で前記着脱装置を前記糸端部材から開放し、(d)前記運搬機構により前記糸を戻し、(e)前記荷下ろし装置を目的地へ移動する、各ステップを備える。
【0010】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法は、上記(b)、(c)及び(d)を複数回繰り返し、当該目的地で複数の運搬物を荷下ろしするよう構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法は、搬送装置と、糸を含み、該搬送装置に取り付けられた運搬機構と、該糸に取り付けられた少なくとも1つの糸端部材と、運搬物が取り付けられ、該糸端部材に開放可能かつ保持可能にされた少なくとも1つの着脱装置と、を備える荷下ろし装置により、(a)該荷下ろし装置を目的地へ移動し、(b)前記運搬機構により前記糸を巻き、(c)前記糸端部材の前記着脱装置への近接を検出し、(d)前記着脱装置を前記糸端部材で保持し、(e)前記運搬機構により前記糸を出し、(f)所定の高度で前記着脱装置を前記糸端部材から開放し、(g)前記運搬機構により前記糸を戻し、(h)前記荷下ろし装置を目的地へ移動する、各ステップを備える。
【0012】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法は、上記(b)から(f)までを複数回繰り返し、当該目的地で複数の運搬物を荷下ろしするよう構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法において、当該着脱装置は、当該運搬機構に連結解除可能に連結され、上記(c)の後かつ上記(d)の前に、当該着脱装置の当該運搬機構への連結を解除するよう構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法において、当該着脱装置は、複数の着脱装置を含み、各着脱装置は当該運搬機構若しくは他の着脱装置に連結解除可能に連結される。
【0015】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法において、当該着脱装置の連結解除は、開放部材により行われる。
【0016】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法において、当該着脱装置の前記糸端部材からの開放は、開閉部材により行われる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法において、当該糸端部材は、当該開閉部材の閉状態で当該着脱装置に保持され、該開閉部材の開状態で該着脱装置から開放される。
【0018】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法において、当該所定の高度は、地表への到達である。
【0019】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法において、当該所定の高度での当該着脱装置の当該糸端部材からの開放は、当該着脱装置の絶対高度を検出することにより行う。
【0020】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法は、当該所定の高度での当該着脱装置の当該糸端部材からの開放は、当該着脱装置と地表との相対高度を検出することにより行う。
【0021】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置は、糸を含む運搬機構と、該糸に取り付けられた少なくとも1つの糸端部材と、運搬物が取り付けられ、該糸端部材に開放可能に保持された少なくとも1つの着脱装置と、を備え、該着脱装置は、該着脱装置が所定の高度に達していない場合に該糸端部材に保持され、該所定の高度に到達した場合に該糸端部材から開放されるよう構成される。
【0022】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置は、搬送装置を含み、該搬送装置に前記運搬機構が取り付けられるよう構成される。
【発明の効果】
【0023】
上記実施形態によれば、1回の移動で複数の目的地に所望の運搬物を搬送することができるだけでなく、各運搬物の荷下ろしを簡易かつ確実に行うことできる搬送方法及びこれを行う荷下ろし装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置の一態様を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置の一態様を示す図である。
図3a】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の動作を説明する図である。
図3b】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の動作を説明する図である。
図3c】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の動作を説明する図である。
図3d】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の動作を説明する図である。
図4a】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法を説明する図である。
図4b】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法を説明する図である。
図5a】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法を説明する図である。
図5b】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法を説明する図である。
図6】本発明の一実施形態の荷下ろし装置1の開放部材を説明する図である。
図7】本発明の一実施形態の荷下ろし装置1の開閉部材を説明する図である。
図8】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の糸検知手段を説明する図である。
図9】本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の目的高度検出手段を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る荷下ろし装置の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0026】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置は、運搬物を搬送する搬送装置全般、例えば、ドローンや小型ヘリコプタなどに使用することができる。本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置は、運搬物を搬送するこのような搬送装置全般含むものとして構成してもよい。このような搬送装置には様々なものが考えられ、上記例に限定されるものではないが、以下では、一例として、荷下ろし装置がドローン(以下、搬送装置という)を含むものとして説明する。
【0027】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1は、搬送装置3と、該搬送装置3に取り付けられた運搬機構(接続機構)2、例えば、糸と、該糸を巻き上げ可能な糸巻き装置(ウインチ)とを備える。また、運搬機構には様々のものが考えられ、特定の装置、構造、形状、寸法に限定することを意図するものではない。また、糸についても、様々な材料、形状、寸法が考えられるが特定の態様に限定することを意図するものではない(以下同様)。
【0028】
運搬物4の荷下ろし装置1への取り付けは、荷下ろし装置1自体に直接取り付けられてもよいし、運搬物4を収容するケース等の収容体に間接的に取り付けるようにしてもよい。当該収容体には様々なものが考えられ、特定のものに限定されない。以下、説明の便宜上、運搬物の荷下ろし装置への取り付け(連結若しくは接続)などとして記載する。
【0029】
引き続き図1を参照して、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1のより具体的構成につき説明する。
【0030】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1は、糸を含む運搬機構2と、該糸に取り付けられた少なくとも1つの糸端部材5(図示の例では3つの糸端部材)と、運搬物4(図示の例では3つの運搬物)が取り付けられ、該糸端部材5に開放可能に保持された少なくとも1つの着脱装置6(図示の例では3つの着脱装置)と、を備え、該着脱装置6若しくは該着脱装置6と該運搬物4とが地表に到達していない場合(所定の高度が地表である場合)に該着脱装置は該糸端部材5に保持され、地表に到達した場合(所定の高度が地表である場合)に該糸端部材から開放されるよう構成される。ここで、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法において、既述の通り、当該所定の高度は地表への到達でもよい。
【0031】
これは、該着脱装置6若しくは該着脱装置6と該運搬物4とが地表に到達していないと、該着脱装置6と該運搬物4との間に一定の力(張力)が作用しているために該糸端部材5に保持されるものであり、他方、該着脱装置6若しくは該着脱装置6と該運搬物4とが地表に到達していると、該着脱装置6と該運搬物4との間の力が発生しない(若しくは発生していても所定値以下である)ため、該着脱装置6は該糸端部材5から開放されるよう構成されるためである。
【0032】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1により、1回の移動で複数の目的地に所望の運搬物を搬送することができるだけでなく、各運搬物の荷下ろしを簡易かつ確実に行うことが可能となる。
【0033】
なお、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の運搬機構2は、ウインチを含むよう構成されるが、これに限られない。当該ウインチは、図示しないドローン等に取り付けられる。また、ウインチはモータによって糸巻を正回転させることで、糸7を巻き取ることができる。
【0034】
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の別の具体的構成につき説明する。
【0035】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1は、糸を含む運搬機構2と、該糸に取り付けられた少なくとも1つの糸端部材5(図示の例では1つの糸端部材)と、運搬物4(図示の例では2つの運搬物)が取り付けられ、該糸端部材5に開放可能に保持された少なくとも1つの着脱装置6(図示の例では2つの着脱装置)と、を備え、該着脱装置6若しくは該着脱装置6と該運搬物4とが地表に到達していない場合に該着脱装置は該糸端部材5に保持され、地表に到達した場合に該糸端部材から開放されるよう構成される。
【0036】
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1において、当該着脱装置6は、開閉部材9を備え、該糸端部材5は該開閉部材9の閉状態で該着脱装置6に保持され、該開閉部材9の開状態で該着脱装置6から開放されるよう構成される。
【0037】
また、図2に示すように、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1において、当該着脱装置6は、その中央部に糸が挿通可能な開口部18を有し、該開閉部材9は、開状態で該開口部18の面積が増加し、糸端部材5が該開口部18から開放されるよう構成される。
【0038】
図2に示すように、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1において、当該着脱装置6は、当該糸端部材5が当該開閉部材9に近接したことを検出する近接検出手段12と、該着脱装置の接地を検出する接地検出手段13とを備え、当該糸端部材5が当該開閉部材9に近接した場合に、該開放部材8は、該着脱装置と該他の着脱装置とを切り離すよう構成される。
【0039】
次に、図3a‐3dを参照して、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の動作につき説明する。
【0040】
まず、図3aの状態では、運搬機構2に2つの着脱装置6が開放部材8により直列に連結され、糸端部材5は最下部の着脱装置6から離れた場所に位置している。この状態から、図3bに示すように、糸端部材5が最下部の着脱装置6に接近すると、該着脱装置6の近辺に配置された近接検出手段12により糸端部材5の接近が検出される。その結果、図3cに示すように、開放部材8による最下部の着脱装置6による連結が解除され、該着脱装置6は自重により糸端部材5の方向へ向け降下し、糸端部材5と接触する(着脱装置6が糸端部材5に保持される状態となる)。その後、図3dに示すように、運搬機構2により着脱装置6及び糸端部材5は目的地の地面へ向け降下され、該着脱装置6が接地すると接地検出手段13により検出可能にされると共に、開閉部材9は開状態となり、糸端部材5は着脱装置6から開放される。
【0041】
次に、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法について説明する。まず、図4a、4bを参照して、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法を説明する。
【0042】
図示のように、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置による搬送方法は、搬送装置3と、糸を含み、該搬送装置3に取り付けられる運搬機構2と、該糸に取り付けられた少なくとも1つの糸端部材5と、運搬物4が取り付けられ、該糸端部材5に開放可能かつ保持可能にされた少なくとも1つの着脱装置6と、を備える荷下ろし装置1により、(aa)該荷下ろし装置を目的地へ移動し、(ab)該目的地へ到着後(ab1)、前記運搬機構により前記糸を出し(ab2)、(ac)所定の高度で(ac1)前記着脱装置を前記糸端部材から開放し(ac2)、(ad)前記運搬機構により前記糸を戻し、(ae)前記荷下ろし装置を目的地へ移動する、各ステップを備える。
【0043】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法は、上記(ab2)、(ac)及び(ad)を複数回繰り返し、当該目的地で複数の運搬物を荷下ろしするよう構成される。
【0044】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法によれば、1回の移動で複数の目的地に所望の運搬物を搬送することができるだけでなく、各運搬物の荷下ろしを簡易かつ確実に行うことできる搬送方法及びこれを行う荷下ろし装置を提供することが可能となる。
【0045】
次に、図5a、5bを参照して、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法を説明する。
【0046】
図示のように、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法は、搬送装置3と、糸を含み、該搬送装置3に取り付けられた運搬機構2と、該糸に取り付けられた少なくとも1つの糸端部材5と、運搬物4が取り付けられ、該糸端部材5に開放可能かつ保持可能にされた少なくとも1つの着脱装置6と、を備える荷下ろし装置1により、(ba)該荷下ろし装置を目的地へ移動し、(bb)目的地に到着後(bb1)、当該運搬機構により糸を巻き(bb2)、(bc)前記糸端部材の前記着脱装置への近接を検出し、(bd)前記着脱装置を開放し(bd1)、前記着脱装置を前記糸端部材で保持し(bd2)、(be)前記運搬機構により前記糸を出し、(bf)所定の高度で(bf1)前記着脱装置を前記糸端部材から開放し(bf2)、(bg)前記運搬機構により前記糸を戻し、(bh)前記荷下ろし装置を目的地へ移動する、各ステップを備える。
【0047】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法は、上記(bb)から(bf)までを複数回繰り返し、当該目的地で複数の運搬物を荷下ろしするよう構成される。
【0048】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法によれば、1回の移動で複数の目的地に所望の運搬物を搬送することができるだけでなく、各運搬物の荷下ろしを簡易かつ確実に行うことできる搬送方法及びこれを行う荷下ろし装置を提供することが可能となる。
【0049】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1による搬送方法において、当該着脱装置6は、当該運搬機構2に連結解除可能に連結され、上記(bc)の後かつ上記(bd)の前に、当該着脱装置6の当該運搬機構2への連結を解除するよう構成される。
【0050】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1は、糸を含む運搬機構2と、該糸に取り付けられた少なくとも1つの糸端部材5と、運搬物4が取り付けられ、該糸端部材5に開放可能に保持された少なくとも1つの着脱装置6と、を備え、該着脱装置6は、該着脱装置6が所定の高度に達していない場合に該糸端部材5に保持され、該所定の高度に到達した場合に該糸端部材5から開放されるよう構成される。
【0051】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1において、当該着脱装置6は、複数の着脱装置6を含み、各着脱装置6は当該運搬機構3若しくは他の着脱装置6に連結解除可能に連結される。
【0052】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1において、当該着脱装置6の連結解除は、開放部材8により行われる。
【0053】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1において、当該着脱装置6の前記糸端部材5からの開放は、開閉部材9により行われる。
【0054】
本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1において、当該糸端部材5は、当該開閉部材9の閉状態で当該着脱装置6に保持され、該開閉部材9の開状態で該着脱装置から開放される。
【0055】
次に、図6を参照して、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の開放部材8のその他の例を説明する。図示のように、着脱装置6は、開放部材8として構成される連結ピンが、運搬機構2の一部として構成され得る着脱装置保持部14若しくは別の着脱装置6に形成された凹部15に挿入されることにより、着脱装置保持部14若しくは別の着脱装置6と連結可能とされている。この連結を解除するには、図示のモータ16を制御し、開放部材8を紙面の右方向に移動させることで、連結ピンが凹部15から離れ、その結果、当該着脱装置6は、着脱装置保持部14若しくは別の着脱装置6から連結解除される。また、図示しないが、モータ16に給電するための電力源と、モータ16を駆動するためのモータドライバを備えるように構成される。なお、本例は一例に過ぎず、その他様々な実施態様が考えられる。
【0056】
次に、図7を参照して、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の開閉部材9のその他の例を説明する。図示のように、着脱装置6は、その中央領域に開閉部材8が形成され、当該開閉部材8の開口面積により糸端部材5が保持若しくは開放される。図示のように、開閉部材8はロータ17に連結され、ロータ17には歯車が形成されている。他方、図示のモータ18には当該歯車と噛み合うような歯車が形成されているため、当該モータ18を制御し、開閉部材9の開閉状態を制御することができる。その結果、糸端部材5は、当該開閉部材9の閉状態で当該着脱装置6に保持され、該開閉部材9の開状態で該着脱装置から開放されることができる。また、図示しないが、モータ18に給電するための電力源と、モータ18を駆動するためのモータドライバを備えるように構成される。なお、本例は一例に過ぎず、その他様々な実施態様が考えられる。
【0057】
次に、図8を参照して、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の糸端部材検出手段の例について説明する。既述の通り、糸端部材5が着脱装置6に接近すると、該着脱装置6の近辺に配置された近接検出手段12により糸端部材5の接近が検出される。まず、図8(a)に示すように、近接検出手段12は、接触式スイッチ19として構成され、糸端部材5が着脱装置6若しくは着脱装置6の開閉部材9に近接すると、当該糸端部材5が着脱装置6に設けられた接触式スイッチ19と接触することにより、糸端部材5の接近が検出することができる。
【0058】
次に、図8(b)に示すように、近接検出手段12は、磁気センサ20として構成することができる。その場合、糸端部材5には磁石21が設けられ、糸端部材5が着脱装置6若しくは着脱装置6の開閉部材9に近接すると、着脱装置6に設けられた当該磁気センサ20が糸端部材5の磁石21の磁力を検知することにより、糸端部材5の接近を検出することができる。
【0059】
さらに、図8(c)に示すように、近接検出手段12は、発光部22及び受光部23として構成することができる。その場合、糸端部材5が着脱装置6若しくは着脱装置6の開閉部材9に近接すると、当該発光部22による光が糸端部材5により妨げられる結果、当該受光部23での光の検出量の変化を検知することにより、糸端部材5の接近を検出することができる。図示のように、発光部22及び受光部23は、脱着装置6に対向配置することができる。
【0060】
次に、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1は、目的高度検出手段24を備え、着脱装置の高度を検出し、所定の高度で着脱装置6から糸端部材5を開放を開放するように構成されるが、図9を参照して、本発明の一実施形態に係る荷下ろし装置1の目的高度検出手段の例について説明する。まず、図9aに示すように、目的高度検出手段24として、着脱装置6にGPS(又は高度計)25を設け、当該着脱装置6の絶対高度を検出することにより行う。
【0061】
また、図9bに示すように、目的高度検出手段24として、着脱装置6ではなく運搬機構(ウインチ)2にGPS(又は高度計)25を設けると共に、運搬機構(ウインチ)2に糸長検出部26を設け、運搬機構2の高度から、運搬機構2と糸端部材5との間の距離を差し引いたものが、着脱装置6の絶対高度となり、これを検出することにより行う。なお、運搬機構2から着脱装置6の信号受信部27へ高度情報を伝達する必要があるが、無線通信や糸を利用した有線通信が利用できる場合、高度情報を伝達することが可能となる。また、糸として導線を利用している場合は電気信号によって有線通信が行うことができる。また、糸の張力の振動を利用した音波通信により高度情報を伝達することも可能である。
【0062】
次に、図9cに示すように、目的高度検出手段24として、着脱装置6に距離計28を設け、着脱装置6から地表までの相対距離を検出することにより行うことができる。距離計28として、例えば、レーザ距離計などの光学式距離計、超音波式距離計、カメラによる画像認識、通常の接触式スイッチ(地表との接触の場合)を用いることができる。
【0063】
このようにして、目的高度検出手段24により、着脱装置6の所定の絶対高度、着脱装置と地表との所定の相対高度若しくは着脱装置6の接地が検出されると、開閉部材9は開状態となり、糸端部材5は着脱装置6から開放されるよう構成することができる。
【0064】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0065】
1 荷下ろし装置
2 運搬機構(接続機構)
3 搬送装置
4 運搬物
5 糸端部材
6 着脱装置
7 糸
8 開放部材
9 開閉部材
10 ウインチ
11 開口部
12 近接検出手段
13 接地検出手段
14 着脱装置保持部
15 凹部
16 モータ
17 ロータ
18 モータ
19 接触式スイッチ
20 磁気センサ
21 磁石
22 発光部
23 受光部
24 目的高度検出手段
25 GPS
26 糸長検出部
27 信号受信部
28 距離計
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9