(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B62D 49/00 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
B62D49/00 P
B62D49/00 H
(21)【出願番号】P 2019176530
(22)【出願日】2019-09-27
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】田仲 亮介
(72)【発明者】
【氏名】中村 正
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-233902(JP,A)
【文献】特開2002-004323(JP,A)
【文献】特開2005-061061(JP,A)
【文献】実開昭59-012747(JP,U)
【文献】特開2004-130970(JP,A)
【文献】特開平11-200408(JP,A)
【文献】特開2007-083753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームと、
前記機体フレームの下方に配置される油圧ホースと、
前記機体フレームの側面に固定され、前記油圧ホースを案内する案内部材と、
を具備し、
前記案内部材は、
少なくとも一部が前記機体フレームから下方に突出するように配置され、前記側面に固定される第一平板部と、
前記機体フレームの下方において、前記第一平板部の下端から前記機体フレームの左右内側に向かって突出するように配置される第二平板部と、
を具備
し、
前記第一平板部は、
1本のボルトによって前記側面に固定され、
前記第二平板部は、
前側又は後側の端部のうち、前記ボルトを締結する際に前記ボルトと共に前記第一平板部が回転したと仮定した場合に前記機体フレームに下方から近接する一側の端部が、前記機体フレームに対して下方から当接され、
前記第一平板部は、
前側又は後側の端部のうち、前記一側とは反対側である他側の端部に形成された切欠部を具備する、
作業車。
【請求項2】
前記第二平板部は、
前記第一平板部の下端に沿って前後に延びる第一部分と、
前記第一部分の前後幅の一部分から前記機体フレームの左右内側に向かって突出する第二部分と、
を具備する、
請求項1に記載の導入部材。
【請求項3】
前記第二部分は、
前記第一部分の前側又は後側の端部のうち、前記一側とは反対側である他側の端部に形成される、
請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記案内部材の左右外側に配置される燃料フィルタをさらに具備し、
前記第一平板部は、
側面視において、前記燃料フィルタと重複するように配置されている、
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項5】
前記油圧ホースは、
揺動可能なフロントアクスルケースに設けられ、前輪を操舵可能なアクチュエータへとオイルを供給する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ホースを案内する案内部材を具備する作業車の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ホースを案内する案内部材を具備する作業車の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のトラクタ(作業車)は、車体の前部(ボンネット近傍)に多数の油圧ホース及びハーネスが配置されている。具体的には、当該トラクタは、パワステホース、オイルクーラ用ホース、燃料ホース及びワイヤハーネス等を具備している。
【0004】
また当該トラクタは、油圧ホースやハーネスが他の部材等と干渉するのを防止するために、当該油圧ホース等を案内するための案内部材を具備している。例えば特許文献1には、機体フレームの下部に設けられた側面視略U字状に形成されたフック状の案内部材が図示されている。当該案内部材には、例えばパワステホース等が挿通されて案内される。
【0005】
特許文献1に記載のようなフック状の案内部材では、挿通された油圧ホース等が下方に垂れ下がるのを防止することができ、当該油圧ホース等が地面と接触するのを防止することができる。しかしながら、当該案内部材では、挿通される油圧ホース等が左右方向に比較的自由に動くことができる。このため、仮に当該案内部材の外側方に何らかの機器が配置された場合には、当該機器と油圧ホース等が干渉する可能性がある。そこで、油圧ホース等の下方への移動だけでなく、外側方への移動を効果的に抑制することが可能な案内部材が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、油圧ホースが左右外側方及び下方に張り出すのを抑制することが可能な作業車を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、機体フレームと、前記機体フレームの下方に配置される油圧ホースと、前記機体フレームの側面に固定され、前記油圧ホースを案内する案内部材と、を具備し、前記案内部材は、少なくとも一部が前記機体フレームから下方に突出するように配置され、前記側面に固定される第一平板部と、前記機体フレームの下方において、前記第一平板部の下端から前記機体フレームの左右内側に向かって突出するように配置される第二平板部と、を具備し、前記第一平板部は、1本のボルトによって前記側面に固定され、前記第二平板部は、前側又は後側の端部のうち、前記ボルトを締結する際に前記ボルトと共に前記第一平板部が回転したと仮定した場合に前記機体フレームに下方から近接する一側の端部が、前記機体フレームに対して下方から当接され、前記第一平板部は、前側又は後側の端部のうち、前記一側とは反対側である他側の端部に形成された切欠部を具備するものである。
【0011】
請求項2においては、前記第二平板部は、前記第一平板部の下端に沿って前後に延びる第一部分と、前記第一部分の前後幅の一部分から前記機体フレームの左右内側に向かって突出する第二部分と、を具備するものである。
【0012】
請求項3においては、前記第二部分は、前記第一部分の前側又は後側の端部のうち、前記一側とは反対側である他側の端部に形成されるものである。
【0014】
請求項4においては、前記案内部材の左右外側に配置される燃料フィルタをさらに具備し、前記第一平板部は、側面視において、前記燃料フィルタと重複するように配置されているものである。
【0015】
請求項5においては、前記油圧ホースは、揺動可能なフロントアクスルケースに設けられ、前輪を操舵可能なアクチュエータへとオイルを供給するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、板状の部材(第一平板部及び第二平板部)により油圧ホースを案内することにより、油圧ホースが機体フレームの左右外側方及び下方に張り出すのを抑制することができる。また、構成を簡略化することができる。また、油圧ホースをより安定して案内することができる。
【0019】
請求項2においては、油圧ホースをより安定して案内することができる。
【0020】
請求項3においては、油圧ホースをより安定して案内することができる。
【0022】
請求項4においては、油圧ホースと燃料フィルタの干渉を抑制することができる。
【0023】
請求項5においては、フロントアクスルケースの揺動に伴って移動する油圧ホースを案内することで、当該油圧ホースが他の部材と干渉するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係るトラクタの全体的な構成を示した右側面図。
【
図3】フロントアクスル機構に接続された油圧ホースの配置を示した底面図。
【
図5】機体フレームに固定された右側案内部材を示した右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0026】
まず、
図1を用いて、本発明に係る作業車の一実施形態に係るトラクタ1の概略構成について説明する。
【0027】
トラクタ1は、主として機体フレーム2、エンジン3、ボンネット4、トランスミッションケース5、フロントアクスル機構6、前輪7、後輪8、フェンダ9、昇降装置10、キャビン11、座席12、ステアリングホイール13等を具備する。
【0028】
機体フレーム2は、複数の板材を適宜組み合わせて形成される枠状の部材である。機体フレーム2は、平面視略矩形状に形成される。機体フレーム2は、その長手方向を前後方向に向けてトラクタ1の前部に設けられる。エンジン3は、機体フレーム2の後部に配置され、ボンネット4に覆われる。エンジン3の後部には、トランスミッションケース5が固定される。
【0029】
機体フレーム2の前部は、フロントアクスル機構6を介して左右一対の前輪7に支持される。トランスミッションケース5の後部は、リアアクスル機構(不図示)を介して左右一対の後輪8に支持される。左右一対の後輪8は、概ね上方からフェンダ9によって覆われる。
【0030】
トランスミッションケース5の後部には、昇降装置10が設けられる。昇降装置10には、各種の作業装置(例えば、耕運機等)を装着することができる。昇降装置10は油圧シリンダ等のアクチュエータによって、装着された作業装置を昇降させることができる。当該昇降装置10には、図示せぬPTO軸を介してエンジン3の動力を伝達することができる。
【0031】
エンジン3の動力は、トランスミッションケース5に収容された変速装置(不図示)で変速された後、フロントアクスル機構6を経て前輪7に伝達可能とされると共に、前記リアアクスル機構を経て後輪8に伝達可能とされる。エンジン3の動力によって前輪7及び後輪8が回転駆動され、トラクタ1は走行することができる。またエンジン3の動力によって、昇降装置10に装着された作業装置を駆動させることができる。
【0032】
エンジン3の後方にはキャビン11が設けられる。キャビン11の内部には、作業者が搭乗する居住空間が形成される。キャビン11の略中央には、作業者が着座するための座席12が配置される。キャビン11の前部には、前輪7の切れ角を調節するためのステアリングホイール13が配置される。また、キャビン11には、前記居住空間に空調空気を送るためのエアコンユニット(不図示)が設けられる。
【0033】
次に、
図2から
図4までを参照して、トラクタ1の前部(ボンネット4の近傍)に配置された各部材について説明する。
【0034】
機体フレーム2は、主として左右一対の側板(左側板2L及び右側板2R)、前板2F、底板2B等を具備する。
【0035】
左側板2L及び右側板2Rは、長手方向を前後に向けた略矩形状に形成される。左側板2L及び右側板2Rは、板面を左右に向けて、左右に並ぶように配置される。左側板2L及び右側板2Rの前端部は、前板2Fによって連結される。左側板2L及び右側板2Rの前後中途部は、底板2Bによって連結される。このようにして機体フレーム2は、長手方向を前後に向けた枠状に形成される。
【0036】
図2に示すように、機体フレーム2には、エンジン3、バッテリ21、ラジエータ23、エアクリーナ30、DPF42、マフラ43、燃料タンク47、燃料フィルタ48、フロントアクスル機構6、パワーステアリング機構49、左側油圧ホース50L、右側油圧ホース50R、左側案内部材60L、右側案内部材60R等が配置される。
【0037】
エンジン3は、機体フレーム2の後部に配置される。バッテリ21は、トラクタ1の給電対象(例えば、エアコンや作業灯等)へ電力を供給するためのものである。バッテリ21は、機体フレーム2の前部に配置される。
【0038】
ラジエータ23は、エンジン3の冷却水を冷却するためのものである。ラジエータ23は、バッテリ21の後方、かつエンジン3の前方に配置される。エアクリーナ30は、空気を浄化してエンジン3へと送るためのものである。エアクリーナ30は、ラジエータ23の後方、かつエンジン3の上方に配置される。
【0039】
DPF(Diesel Particulate Filter)42は、エンジン3から排出される排気ガス中のPMを捕集するためのものである。DPF42は、エアクリーナ30の後方、かつエンジン3の上方に配置される。マフラ43は、排気ガスを外部に排出するためのものである。マフラ43は、DPF42と接続される。マフラ43は、機体フレーム2の右側方に配置される。
【0040】
燃料タンク47は、燃料を貯溜するための部材である。燃料タンク47は、エンジン3及びDPF42の後方に配置される。燃料フィルタ48は、エンジン3へと供給される燃料に含まれる不純物を除去するものである。燃料フィルタ48は、マフラ43の後方、かつエンジン3の右側方(機体フレーム2の右側方)に配置される。
【0041】
図2から
図4までに示すフロントアクスル機構6は、機体フレーム2の下部に配置される。フロントアクスル機構6は、主としてフロントアクスルケース6A、左右一対のギヤケース(左側ギヤケース6BL及び右側ギヤケース6BR)、左右一対の油圧シリンダ(左側油圧シリンダ6CL及び右側油圧シリンダ6CR)、並びに前後一対のケースホルダ(前側ケースホルダ6DF及び後側ケースホルダ6DB)を具備する。
【0042】
フロントアクスルケース6Aは、長手方向を左右に向けた中空状の部材である。フロントアクスルケース6Aの左右両端には、左側ギヤケース6BL及び右側ギヤケース6BRがそれぞれ回動可能に設けられる。左側ギヤケース6BL及び右側ギヤケース6BRには、それぞれ前輪7(
図1参照)が設けられる。
【0043】
左側油圧シリンダ6CL及び右側油圧シリンダ6CRは、長手方向に伸縮可能なアクチュエータである。左側油圧シリンダ6CL及び右側油圧シリンダ6CRは、フロントアクスルケース6Aに設けられる。左側油圧シリンダ6CLは、適宜のリンク部材を介して左側ギヤケース6BLに連結される。右側油圧シリンダ6CRは、適宜のリンク部材を介して右側ギヤケース6BRに連結される。
【0044】
前側ケースホルダ6DF及び後側ケースホルダ6DBは、フロントアクスルケース6Aを機体フレーム2に対して取り付けるための部材である。前側ケースホルダ6DF及び後側ケースホルダ6DBは、フロントアクスルケース6Aの左右中央部を前後から挟むように配置される。前側ケースホルダ6DF及び後側ケースホルダ6DBは、機体フレーム2の底面(底板2B)に固定される。前側ケースホルダ6DF及び後側ケースホルダ6DBは、フロントアクスルケース6Aを揺動可能に支持する。これによって、フロントアクスルケース6Aは、走行中や作業中等において、地面の凹凸に応じて適宜揺動することができる。
【0045】
図2に示すパワーステアリング機構49は、左側油圧シリンダ6CL及び右側油圧シリンダ6CRを伸縮させて前輪7を操舵するためのものである。パワーステアリング機構49は、燃料タンク47の後方に配置される。パワーステアリング機構49は、ステアリングシャフト13aを介してステアリングホイール13と連結される。パワーステアリング機構49は、ステアリングホイール13の操作に応じて作動油を給排可能な装置(例えば、オービットロール等)により構成される。パワーステアリング機構49は、後述する左右一対の油圧ホース(左側油圧ホース50L及び右側油圧ホース50R)を介して左右一対の油圧シリンダ(左側油圧シリンダ6CL及び右側油圧シリンダ6CR)へと作動油を給排することで、前輪7を操舵することができる。
【0046】
左右一対の油圧ホース(左側油圧ホース50L及び右側油圧ホース50R)は、パワーステアリング機構49と左右一対の油圧シリンダ(左側油圧シリンダ6CL及び右側油圧シリンダ6CR)とを接続するものである。左側油圧ホース50Lは、パワーステアリング機構49と左側油圧シリンダ6CLとを接続する。右側油圧ホース50Rは、パワーステアリング機構49と右側油圧シリンダ6CRとを接続する。左側油圧ホース50L及び右側油圧ホース50Rを介して、パワーステアリング機構49と左右一対の油圧シリンダとの間で作動油の給排を行うことができる。
【0047】
図3に示すように、左側油圧ホース50L及び右側油圧ホース50Rは、機体フレーム2の左側板2Lに沿って後方(パワーステアリング機構49側)から機体フレーム2の前後中途部(底板2Bの後端部近傍)に向かって配置される。左側油圧ホース50Lは、さらに機体フレーム2の左側板2Lに沿って前方まで延びるように配置され、左側油圧シリンダ6CLに接続される。
【0048】
右側油圧ホース50Rは、底板2Bの後端部近傍において、機体フレーム2の下方を左から右に亘るように配置される。さらに右側油圧ホース50Rは、機体フレーム2の右側板2Rに沿って前方まで延びるように配置され、右側油圧シリンダ6CRに接続される。右側油圧ホース50Rは、機体フレーム2の左側板2Lに設けられた左側案内部材60L、及び機体フレーム2の右側板2Rに設けられた右側案内部材60Rによって案内される。これによって、右側油圧ホース50Rの自由な移動がある程度規制され、右側油圧ホース50Rと他の部材等とが干渉するのを防止することができる。
【0049】
左側案内部材60Lは、機体フレーム2の左側板2L近傍において右側油圧ホース50Rを案内する部材である。左側案内部材60Lは、略U字状(フック状)に形成される。左側案内部材60Lは、底板2Bよりも後側において、機体フレーム2の左側板2Lに固定される。
【0050】
右側案内部材60Rは、機体フレーム2の右側板2R近傍において右側油圧ホース50Rを案内する部材である。以下では、右側案内部材60Rについて具体的に説明する。
【0051】
図5から
図8までに示す右側案内部材60Rは、板状の部材を適宜屈曲等させて形成された部材である。右側案内部材60Rは、主として第一平板部61及び第二平板部62を具備する。
【0052】
第一平板部61は、板面を左右方向に向けて配置される部分である。第一平板部61は、側面視矩形状の板の一部に切欠部61aを形成することで、側面視略台形状となるように形成される。切欠部61aは、第一平板部61の前上部に形成される。切欠部61aを形成することによって、第一平板部61の前部には、側面視において後上方から前下方に向かう直線状の辺(台形の脚)が形成される。また第一平板部61には、後述するボルトBを挿通するための貫通孔61bが形成される。
【0053】
第二平板部62は、板面を略上下方向に向けて配置される部分である。第二平板部62は、第一平板部61の下端から左方(機体フレーム2の左右内側)に向かって突出するように形成される。第二平板部62は、主として第一部分62a及び第二部分62bを具備する。
【0054】
第一部分62aは、第一平板部61の下端に沿って前後に延びるように形成された部分である。第一部分62aは、第一平板部61の前端から後端に亘って形成される。第一部分62aは、左右幅が機体フレーム2の右側板2Rの板厚(左右方向幅)よりも大きくなるように形成される。
【0055】
第二部分62bは、第一部分62aの前後幅の一部分から左方(機体フレーム2の左右内側)に向かって突出する部分である。第二部分62bは、第一部分62aの前端に形成される。第二部分62bの前後幅は、第一部分62aの前後幅の第一部分62aの前後幅の略3分の1程度に形成される。
【0056】
第一部分62a及び第二部分62bによって、第二平板部62は底面視略L字状となるように形成される。
【0057】
次に、上述の右側案内部材60Rの固定方法について説明する。
【0058】
右側案内部材60Rは、1本のボルトBによって機体フレーム2に固定される(
図5参照)。具体的には、まず右側案内部材60Rの第一平板部61が機体フレーム2の右側板2Rの外側面に当接される。この際、第一平板部61の下端が、機体フレーム2から下方に突出するように配置される。すなわちこの状態では、第一平板部61の下端と連続するように形成された第二平板部62が、機体フレーム2の左右内側(機体フレーム2の下方)に向かって突出するように配置される。
【0059】
次に、右側方から第一平板部61の貫通孔61b及び機体フレーム2の右側板2RにボルトBを挿通し、右側案内部材60Rの位置決めを行う。この際、右側案内部材60Rを、ボルトBを中心として右側面視時計回りに回動させ、第二平板部62の後端を機体フレーム2の右側板2Rに下方から当接させる。すなわち、ボルトBを締結する際に、右側案内部材60Rが当該ボルトBと共に回動する(共回りする)方向と同じ方向に、予め右側案内部材60Rを回動させておく。
【0060】
その後、ボルトBを締結し、機体フレーム2に対して右側案内部材60Rが固定される。前述のように、予め第二平板部62の後端を機体フレーム2に下方から当接させておくことで、ボルトBを締結する際に右側案内部材60Rの位置(向き)がずれるのを防止することができる。
【0061】
このようにして右側案内部材60Rは、機体フレーム2の底板2Bのすぐ後側において、右側板2Rに固定される。右側案内部材60R(第一平板部61)は、燃料フィルタ48の左右内側方(側面視で重複する位置)に配置される(
図4参照)。機体フレーム2に固定された右側案内部材60Rは、前下がりの姿勢となる。すなわち、第二平板部62が前下方に向かって傾斜する姿勢で保持される。この状態では、第二平板部62の後端は機体フレーム2に下方から当接される。また、第二平板部62の前端と機体フレーム2との間には隙間が確保される。またこの状態では、側面視において、第一平板部61の切欠部61a(第一平板部61の台形の脚に相当する部分)が、機体フレーム2の右側板2Rの下端を上下に跨ぐように配置される。
【0062】
次に、上述の右側案内部材60Rによって右側油圧ホース50Rが案内される様子について説明する。
【0063】
前述のように、右側油圧ホース50Rは、機体フレーム2の下方を左から右に亘るように配置され、機体フレーム2の右側板2R側に到達した部分が右側案内部材60Rによって前方へと案内される。この際、左方から右側案内部材60Rに到達した右側油圧ホース50Rは、第二平板部62の上方に位置するように(第二平板部62に載置されるように)配置される。これによって、右側油圧ホース50Rが下方に張り出す(垂れ下がる)のを抑制することができる。
【0064】
特に本実施形態の第二平板部62は、第一部分62aと第二部分62bとによって底面視略L字状に形成されている。従って、第一部分62aと第二部分62bとの接続部分(角部)に納まるように右側油圧ホース50Rを案内することで、当該右側油圧ホース50Rの位置を安定させることができる。
【0065】
また、右側油圧ホース50Rは、第一平板部61の内側に位置するように配置される。これによって、右側油圧ホース50Rが機体フレーム2の左右外側方に張り出すのを抑制することができる。第一平板部61は板状に形成されているため、右側油圧ホース50Rが当該第一平板部61を超えて外側方に張り出すのを確実に防止することができる。
【0066】
また、右側油圧ホース50Rは、第二平板部62の前端と機体フレーム2との間の隙間を介して前方へと案内される。特に本実施形態では、第一平板部61に切欠部61aを形成しているため、当該切欠部61aを介して右側油圧ホース50Rを案内することもできる。
【0067】
以上の如く、本実施形態に係るトラクタ1(作業車)は、
機体フレーム2と、
前記機体フレーム2の下方に配置される右側油圧ホース50R(油圧ホース)と、
前記機体フレーム2の右側板2R(側面)に固定され、前記右側油圧ホース50Rを案内する右側案内部材60R(案内部材)と、
を具備し、
前記右側案内部材60Rは、
少なくとも一部が前記機体フレーム2から下方に突出するように配置され、前記右側板2Rに固定される第一平板部61と、
前記機体フレーム2の下方において、前記第一平板部61の下端から前記機体フレーム2の左右内側に向かって突出するように配置される第二平板部62と、
を具備するものである。
このように構成することにより、板状の部材(第一平板部61及び第二平板部62)により右側油圧ホース50Rを案内することにより、右側油圧ホース50Rが機体フレーム2の左右外側方及び下方に張り出すのを抑制することができる。
【0068】
また、前記第一平板部61は、
1本のボルトBによって前記右側板2Rに固定され、
前記第二平板部62は、
後側の端部(前側又は後側の端部のうち、前記ボルトBを締結する際に前記ボルトBと共に前記第一平板部61が回転したと仮定した場合に前記機体フレーム2に下方から近接する一側の端部)が、前記機体フレーム2に対して下方から当接されているものである。
このように構成することにより、構成を簡略化することができる。すなわち、第二平板部62を機体フレーム2に当接させることで、1つのボルトBでも右側案内部材60Rを所定の取り付け姿勢で固定(位置決め)することができる。
【0069】
また、前記第二平板部62は、
前記第一平板部61の下端に沿って前後に延びる第一部分62aと、
前記第一部分62aの前後幅の一部分から前記機体フレーム2の左右内側に向かって突出する第二部分62bと、
を具備するものである。
このように構成することにより、右側油圧ホース50Rをより安定して案内することができる。すなわち、第一部分62aと第二部分62bとの接続部分(角部)を利用して、右側油圧ホース50Rの位置を安定させることができる。
【0070】
また、前記第二部分62bは、
前記第一部分62aの前側の端部(前側又は後側の端部のうち、前記一側とは反対側である他側の端部)に形成されるものである。
このように構成することにより、右側油圧ホース50Rをより安定して案内することができる。すなわち、第一部分62aと第二部分62bとの接続部分(角部)に加えて、機体フレーム2と第二平板部62との間の隙間を利用して、右側油圧ホース50Rの位置を安定させることができる。
【0071】
また、前記第一平板部61は、
前側の端部(前側又は後側の端部のうち、前記一側とは反対側である他側の端部)に形成された切欠部61aを具備するものである。
このように構成することにより、右側油圧ホース50Rをより安定して案内することができる。すなわち、切欠部61aを利用して、右側油圧ホース50Rの位置を安定させることができる。
【0072】
また、トラクタ1は、
前記右側案内部材60Rの左右外側に配置される燃料フィルタ48をさらに具備し、
前記第一平板部61は、
側面視において、前記燃料フィルタ48と重複するように配置されているものである。
このように構成することにより、右側油圧ホース50Rと燃料フィルタ48の干渉を抑制することができる。
【0073】
また、前記右側油圧ホース50Rは、
揺動可能なフロントアクスルケース6Aに設けられ、前輪7を操舵可能な右側油圧シリンダ6CR(アクチュエータ)へとオイルを供給するものである。
このように構成することにより、フロントアクスルケース6Aの揺動に伴って移動する右側油圧ホース50Rを案内することで、当該右側油圧ホース50Rが他の部材と干渉するのを抑制することができる。
【0074】
なお、本実施形態に係るトラクタ1は、本発明に係る作業車の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る右側油圧ホース50Rは、本発明に係る油圧ホースの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る右側板2Rは、本発明に係る側面の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る右側案内部材60Rは、本発明に係る案内部材の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る右側油圧シリンダ6CRは、本発明に係るアクチュエータの実施の一形態である。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0076】
例えば、本実施形態に係る作業車はトラクタ1であるものとしたが、本発明に係る作業車の種類はこれに限定されるものでない。本発明に係る作業車は、その他の農業車両、建設車両、産業車両等であってもよい。
【0077】
また、本実施形態では、案内部材(右側案内部材60R)は右側油圧ホース50Rを案内するものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の油圧ホースを案内することが可能である。
【0078】
また、本実施形態では、案内部材(右側案内部材60R)は機体フレーム2の右側の側面(右側板2R)に設けられるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、機体フレーム2の左側の側面(左側板2L)に設けて使用することも可能である。
【0079】
また、本実施形態では、案内部材(右側案内部材60R)は1本のボルトBによって固定されるものとしたが、本発明はこれに限るものではなく、2本以上のボルトBで固定することも可能である。また案内部材(右側案内部材60R)は、溶接等によって固定することも可能である。
【0080】
また、本実施形態では、右側案内部材60Rを前下方に傾斜させて、第二平板部62の後端を機体フレーム2に下方から当接させるものとしたが、右側案内部材60Rを固定する際の姿勢はこれに限るものではない。例えば第二平板部62の前端を機体フレーム2に当接させることや、第二平板部62の前端から後端までを機体フレーム2に当接させることも可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 トラクタ
2 機体フレーム
2R 右側板
6 フロントアクスル機構
6A フロントアクスルケース
7 前輪
48 燃料フィルタ
50R 右側油圧ホース
60R 右側案内部材
61 第一平板部