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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】拡張乗り物システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A63G 21/00 20060101AFI20221221BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20221221BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20221221BHJP
   H04N 21/234 20110101ALI20221221BHJP
   H04N 21/258 20110101ALI20221221BHJP
【FI】
A63G21/00
G06T19/00 600
G06F3/01 510
H04N21/234
H04N21/258
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019548473
(86)(22)【出願日】2018-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018021154
(87)【国際公開番号】W WO2018165165
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】62/467,817
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/909,694
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マクラッケン ショーン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ゲラティ トーマス マーティン
(72)【発明者】
【氏名】シュワルツ ジャスティン マイケル
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0346704(US,A1)
【文献】特開2012-147905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0206452(US,A1)
【文献】特開2013-027479(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0048203(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 21/00-29/02
G06T 19/00
G06F 3/01
H04N 21/234
H04N 21/258
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物システムであって、
遊園地において乗客を収容して乗車中に乗り物経路に沿って進むように構成された乗り物車両と、
前記乗り物車両に接続されて、前記乗客によって装着されるように構成されたヘッドマウントディスプレイと、
前記乗り物車両と一体化され、少なくとも前記ヘッドマウントディスプレイ及び前記乗り物車両を使用して、前記乗客の乗り物体験を前記乗車中に発生するイベントと協調させるように構成された乗り物及びゲーム制御システムと、
を備え、前記乗り物及びゲーム制御システムは、
前記乗客からの入力を受け取るように構成されたユーザインターフェイスと、
前記乗り物車両の動作パラメータに関するデータと前記乗客からの前記入力とに少なくとも基づいて前記乗り物車両の物理的動作を制御するように構成された乗り物コントローラと、
少なくとも前記ヘッドマウントディスプレイの位置及び配向、前記乗り物車両の位置及び配向、又はこれらの組み合わせをモニタするように構成されたモニタリングシステムと、
前記ヘッドマウントディスプレイに通信可能に結合されて、前記ヘッドマウントディスプレイ上に表示される拡張現実(AR)特徴を、前記乗り物コントローラ、前記モニタリングシステム、前記ユーザインターフェイス又はこれらのいずれかの組み合わせから受け取られたデータに基づいて選択的に生成し、前記乗り物車両における閾値数を上回るさらなる乗客が特定の現実世界の特徴を注視しているとの判断に応答して、前記特定の現実世界の特徴に関連する特定のAR特徴を前記乗客のヘッドマウントディスプレイ上に表示するように構成されたコンピュータグラフィックス生成システムと、
を含む、
ことを特徴とする乗り物システム。
【請求項2】
前記コンピュータグラフィックス生成システムは、前記モニタリングシステムから受け取られた前記乗り物車両の位置、ヨー及び速度を示すデータに少なくとも基づいて前記AR特徴を選択的に生成するように構成される、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項3】
前記モニタリングシステムは、1又は2以上の配向及び位置センサ、1又は2以上の動き追跡センサ、1又は2以上の慣性測定装置、1又は2以上の存在センサ、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項4】
前記コンピュータグラフィックス生成システムは、前記乗客の視野が妨げられていると判断したことに応答して、前記AR特徴の視点調整を実行するように構成される、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項5】
前記コンピュータグラフィックス生成システムは、前記乗客が前記AR特徴を遮られずに見ることができるように、前記AR特徴の視点調整を実行するように構成される、
請求項4に記載の乗り物システム。
【請求項6】
前記乗り物及びゲーム制御システムは、前記乗客に関する識別情報に対応する固有のAR体験を前記乗客に提供するように構成される、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項7】
前記コンピュータグラフィックス生成システムは、前記乗り物車両を取り囲む環境の1又は2以上の物理モデル及びデジタル3次元モデルのシミュレーションに基づいて前記AR特徴を生成するように構成される、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項8】
前記乗り物及びゲーム制御システムに通信可能に結合されたショー効果システムを備え、該ショー効果システムは、前記乗り物経路沿いに配置されたディスプレイ装置及び照明システムを含む、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項9】
前記ショー効果システムは、前記乗り物コントローラ、前記モニタリングシステム、前記ユーザインターフェイス又はこれらの組み合わせからのデータに基づいて、前記ディスプレイ装置の動作、前記照明システムの動作、又はこれらの両方を変更するように構成される、
請求項8に記載の乗り物システム。
【請求項10】
遊園地において1又は2以上の乗客を収容して乗車中に乗り物経路に沿って進むように構成された乗り物車両に一体化された乗り物及びゲーム制御システムを介して、前記1又は2以上の乗客、又は前記乗り物車両、或いはこれらの両方に関するデータを受け取って分析するステップと、
前記データに基づいて、前記乗り物及びゲーム制御システムを介して、前記乗り物車両を取り囲む環境内の第1の現実世界の物体が前記1又は2以上の乗客のそれぞれの乗客に対して前記環境内の第2の現実世界の物体によって少なくとも部分的に遮断されているかどうかを判定するステップと、
前記データに基づいて、前記乗り物及びゲーム制御システムのコンピュータグラフィックス生成システムを介して、前記第1の現実世界の物体が前記それぞれの乗客に対して少なくとも部分的に遮断されているとの識別に応答して生成された前記第1の現実世界の物体の拡張現実(AR)グラフィックスを含むゲーム効果を生成するステップと、
前記コンピュータグラフィックス生成システムを介して、前記乗り物車両における前記それぞれの乗客によって装着されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ上に表示される前記第1の現実世界の物体の前記ARグラフィックスを送信し、前記第1の現実世界の物体の前記ARグラフィックスが前記第2の現実世界の物体、前記環境又はこれらの両方に重なり合うように前記第1の現実世界の物体の前記ARグラフィックスを前記それぞれの乗客の視野に重ね合わせることによって前記それぞれの乗客の視点調整を実行するステップと、
を含む方法であって、
前記乗り物及びゲーム制御システムは、前記コンピュータグラフィックス生成システムを介して、前記乗客からの入力を受け取るように構成されたユーザインターフェイス、前記乗り物車両の動作パラメータに関するデータと前記乗客からの前記入力とに少なくとも基づいて前記乗り物車両の物理的動作を制御するように構成された乗り物コントローラ、少なくとも前記ヘッドマウントディスプレイの位置及び配向、前記乗り物車両の位置及び配向、又はこれらの組み合わせをモニタするように構成されたモニタリングシステム、又はこれらのいずれかの組み合わせから受け取ったデータに基づいて、前記ヘッドマウントディスプレイ上に表示されるARグラフィックスを選択的に生成するステップと、前記乗り物車両における閾値数を上回るさらなる乗客が特定の現実世界の特徴を注視しているとの判断に応答して、前記特定の現実世界の特徴に関連する特定のARグラフィックスを前記乗客のヘッドマウントディスプレイ上に表示するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記データを受け取るステップは、1又は2以上の配向及び位置センサ、1又は2以上の動き追跡センサ、1又は2以上の慣性測定装置、1又は2以上の存在センサ、又はこれらのいずれかの組み合わせを介して収集されたリアルタイムデータを受け取るステップを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ヘッドマウントディスプレイを介して、前記ヘッドマウントディスプレイの1又は2以上のディスプレイ上に前記ARグラフィックスを表示するステップを含み、前記ヘッドマウントディスプレイは前記乗り物車両に物理的に結合される、
請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ゲーム効果を生成するステップは、1又は2以上の物理モデル及び前記乗り物車両を取り囲む前記環境のデジタル3次元モデルのシミュレーションに基づいて前記ARグラフィックスを生成するステップを含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記データに基づいて、前記乗り物及びゲーム制御システムと通信するショー効果システムを使用して、前記乗り物経路沿いに配置された1又は2以上のディスプレイ上に可視化グラフィックスを表示するステップ、前記乗り物経路沿いに配置された1又は2以上の照明システムの動作を変更するステップ、又はこれらの両方を含み、前記ショー効果システムは、前記乗り物車両から独立している、
請求項10に記載の方法。
【請求項15】
乗り物経路に沿って乗客を搬送するように構成された乗り物車両と物理的に一体化された乗り物及びゲーム制御システムであって、
少なくともユーザインターフェイスから入力制御状態に関するリアルタイムデータを受け取るとともに、前記乗り物車両の動作パラメータに関するデータを受け取るように構成された乗り物コントローラと、
前記乗り物コントローラに通信可能に結合されて、前記入力制御状態と、前記動作パラメータのうちの少なくとも1つとに関する更新を、前記乗り物車両の特徴にプッシュ配信するように構成されたゲームコントローラと、
前記ゲームコントローラと、前記乗客によって装着されるように構成されたヘッドマウントディスプレイとに通信可能に結合されて、前記ゲームコントローラからの前記更新に少なくとも基づいて、前記ヘッドマウントディスプレイ上に表示される拡張現実(AR)グラフィックスを選択的にレンダリングするように構成されたコンピュータグラフィックス生成システムと、
を備え、
前記ゲームコントローラは、前記ARグラフィックスと前記乗客の注視方向とに基づいて、前記ヘッドマウントディスプレイによって前記乗客の視野に重なり合った前記ARグラフィックスを際立たせるように、前記乗り物経路沿いに配置された照明システムを調整するように構成され、
前記コンピュータグラフィックス生成システムは、前記ヘッドマウントディスプレイ上に表示される拡張現実(AR)特徴を、前記乗り物コントローラ、少なくとも前記ヘッドマウントディスプレイの位置及び配向、前記乗り物車両の位置及び配向、又はこれらの組み合わせをモニタするように構成されたモニタリングシステム、前記ユーザインターフェイス又はこれらのいずれかの組み合わせから受け取られたデータに基づいて選択的に生成し、前記乗り物車両における閾値数を上回るさらなる乗客が特定の現実世界の特徴を注視しているとの判断に応答して、前記特定の現実世界の特徴に関連する特定のARグラフィックスを前記乗客のヘッドマウントディスプレイ上に表示するように構成される、
ことを特徴とする乗り物及びゲーム制御システム。
【請求項16】
前記乗り物車両は、前記乗り物経路に沿って複数の乗客を搬送するように構成され、前記乗り物及びゲーム制御システムは、前記ゲームコントローラから前記更新を受け取って、前記複数の乗客の各乗客の視点に特有の、前記複数の乗客のそれぞれのヘッドマウントディスプレイ上に表示される対応するARグラフィックスをレンダリングするようにそれぞれが構成された複数のコンピュータグラフィックス生成システムを含む、
請求項15に記載の乗り物及びゲーム制御システム。
【請求項17】
前記ゲームコントローラは、
前記乗り物車両の車外に位置するサーバに前記乗り物車両の要約されたゲーム状態を提供し、
前記乗り物車両の車外に位置する投写型ゲームコンピュータ、又はショー効果システム、或いはこれらの両方にシーン固有のゲームイベントを提供する、
ように構成される、請求項16に記載の乗り物及びゲーム制御システム。
【請求項18】
1又は2以上の配向及び位置センサ、1又は2以上の動き追跡センサ、1又は2以上の慣性測定装置、1又は2以上の存在センサ、又はこれらの組み合わせを有するモニタリングシステムを備え、該モニタリングシステムは、前記乗客の前記注視方向を示すフィードバックを前記ゲームコントローラに提供するように構成される、
請求項15に記載の乗り物及びゲーム制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2017年3月6日に出願された「遊園地環境におけるデジタルオーバーレイのためのシステム及び方法(SYSTEMS AND METHODS FOR DIGITAL OVERLAY IN AN AMUSEMENT PARK ENVIRONMENT)」という名称の米国仮特許出願第62/467,817号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、この文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本明細書に開示する主題は、遊園地アトラクションに関し、具体的には、遊園地アトラクションにおいて拡張体験を提供することに関する。
【背景技術】
【0003】
遊園地又はテーマパークは、遊園地の来園客(例えば、家族及び/又は全ての年齢の人々)に楽しみを与える上で様々な娯楽アトラクションを含むことができる。例えば、これらのアトラクションは、乗り物アトラクション(例えば、閉ループ軌道、ダークライド、スリラーライド又はその他の同様の乗り物)を含むことができ、乗り物沿いには、伝統的に設備、備品、建物レイアウト、小道具、装飾を用いて構築できるテーマ別環境が存在することができる。テーマ別環境の複雑性によっては、テーマ別環境の設定及び置換が非常に困難で時間を要するものであると分かる。乗り物上の全ての乗客を楽しませるテーマ別環境を設定することも非常に困難になり得る。同じテーマの環境を魅力的に感じる乗客も存在すれば、そうでない乗客が存在することもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、異なる動作経路及び/又は乗り物車両内の乗客の異なる視点(view perspective)に起因して、全ての乗客に同じ乗り物体験を提供することが困難な場合もある。例えば、前列に座っている乗客は後列の乗客よりも視界が良好であり、従って乗り物体験への没入感も高くなり得る。現在では、アトラクションテーマの変更が可能と考えられるアトラクションを盛り込み、或いはこのようなアトラクションにおけるいくつかのテーマ化された特徴物を従来の方法に比べて柔軟かつ効率的に盛り込み又は除去することが望ましいと認識されている。また、現在では、より個人化又はカスタム化された没入的な乗り物体験を全ての乗客に提供することが望ましいとも認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、本開示と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を限定するものではなく、むしろ本実施形態の可能な形態の概要を示すものにすぎない。実際に、本実施形態は、以下に示す実施形態に類似することができる、又はそれとは異なることができる様々な形態を含むことができる。
【0006】
1つの実施形態では、乗り物システムが、遊園地において乗客を収容して乗車中に乗り物経路に沿って進むように構成された乗り物車両と、乗り物車両に接続されて、乗客によって装着されるように構成されたヘッドマウントディスプレイと、乗り物車両と一体化され、少なくともヘッドマウントディスプレイ及び乗り物車両を使用して、乗客の乗り物体験を乗車中に発生するイベントと協調させるように構成された乗り物及びゲーム制御システムと、を含む。乗り物及びゲーム制御システムは、乗客からの入力を受け取るように構成されたユーザインターフェイスと、乗り物車両の動作パラメータに関するデータと乗客からの入力とに少なくとも基づいて乗り物車両の物理的動作を制御するように構成された乗り物コントローラと、少なくともヘッドマウントディスプレイの位置及び配向、乗り物車両の位置及び配向、又はこれらの組み合わせをモニタするように構成されたモニタリングシステムと、を含む。乗り物及びゲーム制御システムは、ヘッドマウントディスプレイに通信可能に結合されて、ヘッドマウントディスプレイ上に表示されるAR特徴を、乗り物コントローラ、モニタリングシステム、ユーザインターフェイス又はこれらのいずれかの組み合わせから受け取られたデータに基づいて選択的に生成するように構成されたコンピュータグラフィックス生成システムも含む。
【0007】
別の実施形態では、方法が、遊園地において1又は2以上の乗客を収容して乗車中に乗り物経路に沿って進むように構成された乗り物車両に一体化された乗り物及びゲーム制御システムを介して、1又は2以上の乗客、又は乗り物車両、或いはこれらの両方に関するデータを受け取って分析するステップを含む。この方法は、受け取られて分析されたデータに基づいて、乗り物及びゲーム制御システムのコンピュータグラフィックス生成システムを介して、拡張現実(AR)グラフィックスを含むゲーム効果を生成するステップを含む。この方法は、コンピュータグラフィックス生成システムを介して、乗り物車両における1又は2以上の乗客のそれぞれの乗客によって装着されるように構成されたヘッドマウントディスプレイ上に表示されるARグラフィックスを送信するステップも含む。
【0008】
別の実施形態では、乗り物経路に沿って乗客を搬送するように構成された乗り物車両と物理的に一体化された乗り物及びゲーム制御システムが、少なくともユーザインターフェイスから入力制御状態に関するリアルタイムデータを受け取るとともに、乗り物車両の動作パラメータに関するデータを受け取るように構成された乗り物コントローラを含む。乗り物及びゲーム制御システムは、乗り物コントローラに通信可能に結合されて、入力制御状態と、動作パラメータのうちの少なくとも1つとに関する更新を、乗り物車両の特徴にプッシュ配信するように構成されたゲームコントローラを含む。乗り物及びゲーム制御システムは、ゲームコントローラと、乗客によって装着されるように構成されたヘッドマウントディスプレイとに通信可能に結合されて、ゲームコントローラからの更新に少なくとも基づいて、ヘッドマウントディスプレイ上に表示される拡張現実(AR)グラフィックスを選択的にレンダリングするように構成されたコンピュータグラフィックス生成システムも含む。
【0009】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態による、ヘッドマウントディスプレイを介して乗客に拡張現実(AR)体験を提供する乗り物システムの実施形態の斜視図である。
図2】本実施形態による、図1の乗り物システムにおいて使用される乗り物及びゲーム制御システムの実施形態のブロック図である。
図3】本実施形態による、図1のヘッドマウントディスプレイの実施形態例の斜視図である。
図4】本実施形態による、図1の乗り物及びゲーム制御システムを用いてAR強化された没入的体験をもたらすプロセスの実施形態を示すフロー図である。
図5】本実施形態による、図1の乗り物及びゲーム制御システムを用いたシミュレーションに基づいてリアルなAR体験をもたらすプロセスの実施形態を示すフロー図である。
図6】本実施形態による、図1の乗り物及びゲーム制御システムによって行われる視点調整を含むAR体験例を示す概略図である。
図7】本実施形態による、乗り物視点を動的に調整する方法の実施形態のフロー図である。
図8】本実施形態による、図1の乗り物及びゲーム制御システムによって行われる動的相互作用を含むAR体験例を示す概略図である。
図9】本実施形態による、図1の乗り物及びゲーム制御システムによって提供される同じAR体験を複数の乗客が共有するAR体験例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の1又は2以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明していない場合もある。あらゆる工学又は設計プロジェクトにおいて見られるようなあらゆるこのような実施の開発においては、実施によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑かつ時間の掛かるものとなり得るが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0012】
本実施形態は、乗り物(例えば、閉ループ軌道、ダークライド、又はその他の同様の乗り物)上の乗客などの、テーマ別アトラクションを訪れる来園客に拡張体験を提供するシステム及び方法に関する。拡張体験は、乗客が遊園地又はテーマパーク内の乗り物経路を移動する際に実行することができる。具体的には、アトラクションに関連する乗り物及びゲーム制御システムが、ヘッドマウントディスプレイを通じた拡張現実(AR)体験をもたらすゲーム効果を提供することができる。乗り物及びゲーム制御システムは、乗り物経路沿いに配置されたショー効果システム(例えば、投写型ディスプレイ装置、デジタルディスプレイ装置、音響システム、照明システムなど)を使用して他の娯楽体験を提供することもできる。乗り物及びゲーム制御システムは、さらに個人化された没入的AR体験を提供するために、乗り物に関連するゲームプレーに対する乗客の視聴関心(viewing interest)及び/又は参加に基づいて選択的にAR体験を提供することができる。一例として、乗り物及びゲーム制御システムは、乗客がどの現実世界の特徴(例えば、物理的な遊園地アトラクションの外観)を見ているかを判断し、乗客の関心に従ってAR体験を提供し、現実世界の特徴に関連するAR特徴と乗客との相互作用(例えば、参加、獲得、選択、標的化、移動など)を可能にすることができる。
【0013】
別の例として、乗り物及びゲーム制御システムは、他の乗客及び/又は現実世界の物体によって乗客の可視化体験が遮断又は妨害されないように、(例えば、ゲーム及び/又はショー効果を乗客の眼の前に持って来ることによって)AR特徴の視点を動的に変更することができる。別の例として、乗り物及びゲーム制御システムは、別の乗客が参加したゲームの効果に対応するAR特徴を動的に提供及び/又は更新することができる。さらに、乗り物及びゲーム制御システムは、乗客の反応及び/又は参加に基づいて適応的リアルタイムAR体験を提供することもできる。例えば、何人の乗客が見ているか、乗客がAR体験を楽しんでいると思えるかどうか、ARベースのゲームプレーに乗客が参加しているかどうかなどに基づいて、AR特徴の存在及び/又は内容をリアルタイムで更新又は変更することができる。
【0014】
本実施形態は様々な設定で実装することができるが、図1には、遊園地12内で乗り物及びゲーム制御システム10を使用する設定例を概略的に示す。図示のように、遊園地12は、乗り物14と、テーマ別アトラクション16(例えば、テーマに対応する固定設備、建物レイアウト、小道具、装飾など)と、他の遊園地アトラクション18(例えば、観覧車又はその他のアトラクション)とを含むことができる。いくつかの実施形態では、乗り物14が、ダークライド又はその他の同様の絶叫マシン(thrill ride)を含むことができ、従って車両経路(例えば、閉ループ軌道又は閉ループ軌道システム20)をさらに含むことができる。軌道20は、乗客24、26、28及び30が乗り物車両22に収容されている時に乗り物車両22が移動できるインフラとして設けることができる。従って、軌道20は、乗り物車両22の動きを定めることができる。しかしながら、例えば別の実施形態では、軌道20を、軌道20以外の電子システム、磁気システム又は他の同様のシステムインフラを介して乗り物車両22の動きを制御できる制御経路に置き換えることもできる。換言すれば、車両22の乗り物経路は、正確な経路に物理的に制約されないことにより、乗客24、26、28及び30に動作経路、視点などの一定程度の制御を許可することもできる。なお、乗り物車両22を4人乗り車両として示すことがあるが、他の実施形態では、乗客用乗り物車両22が、単一の又は複数グループの乗客を収容するあらゆる数の乗客空間(例えば、1、2、4、8、10又は11以上の空間)を含むこともできると理解されたい。また、乗り物14は、1つの乗り物車両22を有するものとして示すこともあるが、あらゆる数の乗り物車両22(例えば、1、2、4、8、10又は11以上)を含むことができると理解されたい。乗り物車両22が軌道20に沿って進む際には、乗客に風景(例えば、あるテーマに対応する固定設備、建物レイアウト、小道具、装飾などを含むことができるテーマ別環境)の移動ツアーを提供することができる。風景は、乗り物14を取り囲む環境、及び/又は乗り物14を完全に又は部分的に収容できるインフラ内の環境を含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、乗客が乗り物14を非常に楽しい体験であると感じることができる一方で、乗り物体験を強化することが有用となり得る。具体的には、風景のみを物理的に眺めるのではなく、ヘッドマウントディスプレイ32を通じた拡張現実(AR)体験を含むゲーム効果を用いて、乗客24、26、28及び30に提供される乗り物体験を強化することができる。例えば、乗り物及びゲーム制御システム10は、乗り物車両22が軌道20に沿って進む際に、ARオブジェクト36などのARイメージ又は特徴を協調させて、乗客24、26、28及び30のそれぞれのヘッドマウントディスプレイ32上に表示されるようにすることができる。また、乗り物及びゲーム制御システム10は、(例えば、乗り物車両22から離れた)車外エンターテイメントを協調させて、乗客24、26、28及び30に提供される乗り物体験を強化することもできる。例えば、乗り物及びゲーム制御システム10は、乗り物車両22が軌道20に沿って進む際に、軌道20沿いに配置された投写型ゲームコンピュータ、ディスプレイ装置(例えば、投写型ディスプレイ装置、デジタルディスプレイ装置)、照明システム及び効果音装置(例えば、スピーカ)を含むことができるショー効果システム34を通じて提供される視覚的表現及び/又は音響表現を協調させることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、乗客24、26、28及び30に提供される乗り物体験を、AR体験を含むゲームプレーによって強化することができる。例えば、乗り物14のいくつかの実施形態では、乗り物車両22がARオブジェクト36の付近を通る際又はそこを通過する際に、乗客がARイメージ又は特徴と相互作用(例えば、ARオブジェクト36とのシミュレートされた相互作用)を行うことができる。乗り物車両22のいくつかの実施形態はユーザ制御型とすることができ、乗り物車両22をARオブジェクト36の方に導くことによって様々なARオブジェクト36と相互作用し、及び/又は特定のARオブジェクト36から離れて操縦することによってARオブジェクト36との衝突を避けることをゲームの1つの側面とすることができる。シミュレートされた相互作用では、乗り物及びゲーム制御システム10に記憶されているいくつかの所定の又はモデル化された応答に従ってARオブジェクト36に影響を与えることができる。一例として、所定の又はモデル化された応答は、乗り物及びゲーム制御システム10が実装する物理モデル、エンジン又は同様のモジュールによって実行することができる。
【0017】
さらに、乗り物及びゲーム制御システム10は、(例えば、乗り物車両22上の)車内AR、及び上述した(例えば、乗り物車両22から離れた)車外娯楽体験を含むこれらのゲーム効果を協調させて、乗客24、26、28及び30の乗り物体験を集合的に強化することもできる。例えば、乗り物及びゲーム制御システム10は、無線通信ネットワーク(例えば、無線ローカルエリアネットワーク[WLAN]、無線ワイドエリアネットワーク[WWAN]、近距離通信[NFC])を介してサーバ38(例えば、リモートサーバ、現場サーバ又は外部サーバ)に通信可能に結合することができる。サーバ38は、車内体験と車外体験とを協調させるマスタゲームサーバとすることができる。いくつかの実施形態では、サーバ38がユーザ情報を記憶及び/又は処理することにより、乗り物及びゲーム制御システム10が、乗客24、26、28及び30のユーザ情報に基づいて乗客に個人化されたゲーム効果を提供できるようにすることができる。ユーザ情報は、支払い情報、会員情報、個人情報(例えば、年齢、身長、特殊なニーズなど)、ゲーム情報(例えば、テーマ別アトラクション16に関連するビデオゲームに関する情報、ビデオゲーム内でユーザに関連付けられた特定のキャラクタに関する情報、ユーザのゲーム歴に関する情報)などの、ユーザによって提供又は許可されたあらゆる好適な情報を含むことができる。
【0018】
図2は、乗り物及びゲーム制御システム10の様々なコンポーネントのブロック図である。図示の実施形態では、乗り物及びゲーム制御システム10を、乗り物車両22上に配置された、又は乗り物車両22と一体化された専用システムとすることができる。乗り物及びゲーム制御システム10は、通信ネットワーク40(例えば、WLAN、WWAN及びNFCなどの有線及び/又は無線通信ネットワーク)と、乗り物コントローラ42と、ゲームコントローラ44と、モニタリングシステム46と、1又は2以上のゲームシステム48とを含むことができる。通信ネットワーク40は、軌道20沿いに配置された投写型ゲームコンピュータ、1又は2以上のディスプレイ装置35、1又は2以上の照明システム37及びその他の装置(例えば、音響システム、スピーカ)を含むことができるサーバ38及びショー効果システム34に乗り物及びゲーム制御システム10を通信可能に結合することができる。通信ネットワーク40は、様々な車内コンポーネント(例えば、乗り物コントローラ42、ゲームコントローラ44、モニタリングシステム46、1又は2以上のゲームシステム48、ヘッドマウントディスプレイ32)を互いに通信可能に結合することもできる。
【0019】
乗り物コントローラ42は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又はその他の好適な制御装置とすることができる。乗り物コントローラ42は、乗り物車両22の動作パラメータ又はフォーメーションを追跡する命令を実行する、メモリ(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体及び/又はその他の記憶装置)に動作可能に結合されたプロセッサ(例えば、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)装置、特定用途向け集積回路(ASIC)、又は他の何らかの同様のプロセッサ構成)を含むことができる。例えば、乗り物車両22の動作パラメータ又は情報は、以下に限定するわけではないが、(例えば、ミリメートル範囲内の精度レベルでの)位置、乗り物車両22のヨー、ピッチ、ロール及び速度、並びに入力制御状態(例えば、乗り物車両22を駆動するために1又は2以上の乗客が行った入力)を含むことができる。いくつかの実施形態では、乗り物コントローラ42を、1又は2以上の乗客によって提供された(例えば、乗り物車両22の位置、ヨー、ピッチ、ロール及び速度を変更するための)入力制御状態に基づいて、乗り物車両22の物理的動作を制御又は変更するように構成することもできる。
【0020】
ゲームコントローラ44は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又はその他の好適な制御装置とすることができる。ゲームコントローラ44は、メモリに記憶された命令を実行する、メモリ(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体及び/又はその他の記憶装置)に動作可能に結合されたプロセッサ(例えば、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)装置、特定用途向け集積回路(ASIC)又は他の何らかの同様のプロセッサ構成)を含むことができる。ゲームコントローラ44は、乗り物車両22に関する動作パラメータ又は情報(例えば、乗り物車両22の積算ゲーム状態(summed game state))を1又は2以上のゲームシステム48及び/又はサーバ38に提供するように構成することができる。動作パラメータ又は情報は、以下に限定するわけではないが、乗り物車両22の位置、ヨー、ピッチ、ロール及び速度を含むことができる。いくつかの実施形態では、ゲームコントローラ44が、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)を介して1又は2以上のゲームシステム48及び/又はサーバ38に動作パラメータ又は情報を送信することができる。なお、UDPを介したデータ送信は遅延が少なく、本開示の個人化された没入的乗り物体験をもたらす方法などの遅延の影響を受けやすい用途のための魅力的な選択肢であると理解することができる。
【0021】
モニタリングシステム46は、乗客(例えば、乗客24、26、28及び30)の位置、場所、配向及び存在など、及び/又は乗り物車両22の位置、場所又は配向を追跡する、乗り物車両22上に配置又は一体化されたあらゆる好適なセンサ及び/又はコンピュータシステムを含むことができる。このようなセンサは、配向センサ及び位置センサ(例えば、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、全世界測位システム[GPS]受信機)、動き追跡センサ(例えば、電磁動き追跡センサ及び固体動き追跡センサ)、慣性測定装置(IMU)、存在センサなどを含むことができる。モニタリングシステム46によって取得された情報は、各乗客の注視方向、視点(viewing perspective)、視野、視聴関心、及びゲームとの相互作用などを判断する上で有用となり得る。いくつかの実施形態では、モニタリングシステム46が、ヘッドマウントディスプレイ32によって取得された、それぞれの乗客の注視方向、視点、視野、視聴関心、ゲームとの相互作用などを示すデータ(例えば、ヘッドマウントディスプレイ32の位置及び配向データ)を受け取ることもできる。
【0022】
一般に、1又は2以上のゲームシステム48は、現実環境ビューに重ね合わせるための仮想又は拡張グラフィックスをレンダリングするように構成することができる。1又は2以上のゲームシステム48は、ゲームロジックに関与するとともに、現実世界の乗り物車両のシミュレーション、及び実際の空間に仮想オブジェクトを配置するためのステージ形状のシミュレーションの実行に関与することもできる。いくつかの実施形態では、1又は2以上のゲームシステム48が、乗客(例えば、乗客24、26、28及び30)にAR体験及び/又はゲームプレー体験を提供するように構成される。具体的には、乗り物車両22の各座席が専用ゲームシステム48を含むことができる。いくつかの実施形態では、乗客が共有ゲーム(shared fame)(例えば、複数のプレーヤを有するゲーム)に参加できるように、1又は2以上のゲームシステム48を互いに通信可能に結合することができる。1又は2以上のゲームシステム48は、ゲームコントローラ44、モニタリングシステム46、サーバ38及びショー効果システム34に(直接的又は間接的に)通信可能に結合することができる。1又は2以上のゲームシステム48の各々は、ユーザインターフェイス50とコンピュータグラフィックス生成システム52とを含むことができる。ユーザインターフェイス50は、コンピュータグラフィックス生成システム52に通信可能に結合することができ、コンピュータグラフィックス生成システム52は、それぞれのヘッドマウントディスプレイ32に(例えば、通信ネットワーク40を介して)通信可能に結合することができる。
【0023】
ユーザインターフェイス50は、乗り物車両22上に配置された、乗客による入力の提供を可能にするための1又は2以上のユーザ入力装置(例えば、ハンドヘルドコントローラ、ジョイスティック、押しボタン)を含むことができる。例えば、ユーザインターフェイス50は、AR環境における異なるアクション及び/又は効果の適用を可能にするように構成することができる。例えば、ユーザインターフェイス50は、乗客がAR環境内でAR特徴のキャラクタ又はオブジェクトを異なる方向(例えば、上、下、左、右)に制御できるようにすることができる。より具体的な例として、ユーザインターフェイス50は、乗客によるAR環境内のAR特徴の選択の実行、又はそのオブジェクトの獲得/解放を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェイス50が、乗客による乗り物車両22の速度及び/又は方向の変更などの動作制御を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェイス50が、乗客への乗り物及びゲーム関連情報の通信を可能にする表示画面及び/又はタッチ画面を含むこともできる。
【0024】
コンピュータグラフィックス生成システム52は、AR体験によって強化された没入的乗り物体験をそれぞれの乗客が楽しむことができるように、それぞれのヘッドマウントディスプレイ32上に表示されるARグラフィックスを生成して送信することができる。コンピュータグラフィックス生成システム52は、プロセッサ54(例えば、汎用プロセッサ又はその他のプロセッサ)などの処理回路及びメモリ56を含み、それぞれの乗客にAR体験をもたらす上で有用なデータを処理することができる。AR体験をもたらす上で有用なデータは、以下に限定するわけではないが、ヘッドマウントディスプレイ32、ユーザインターフェイス50及びゲームコントローラ44から受け取られる(例えば、乗り物コントローラ42、モニタリングシステム46、サーバ38からのデータを含む)リアルタイムデータ、及びメモリ56に記憶されているデータを含むことができる。
【0025】
コンピュータグラフィックス生成システム52は、このようなデータを使用して、例えば生成された現実世界のイメージ又は実際の物理的環境などの現実環境にARグラフィックスを位置合わせするための基準系を生成することができる。具体的に言えば、いくつかの実施形態では、コンピュータグラフィックス生成システム52が、配向データ、位置データ、視点データ及び動き追跡データなどに基づいて生成された基準系を使用して、ARグラフィックスのビューを、それぞれの乗客がヘッドマウントディスプレイ32を装着していない場合に知覚すると思われるものに時間的及び空間的に整合するようにレンダリングすることができる。コンピュータグラフィックス生成システム52は、テーマ別環境を含む乗り物14の現実世界の物理的特徴の空間的情報を用いて構築された乗り物14のモデルを記憶することができる。このモデルを、例えば乗り物コントローラ42、ゲームコントローラ44、モニタリングシステム46及び/又はヘッドマウントディスプレイ32からの他の入力と共に使用して、それぞれの乗客の位置の特定、並びに乗客の注視方向及び/又は視野の決定を行う。このモデルを使用して、乗客が軌道20に沿って進む際に動的に更新される表示信号をヘッドマウントディスプレイ32に供給することができる。
【0026】
例えば、コンピュータグラフィックス生成システム52は、それぞれの乗客の配向、位置、注視方向、視野及び動きなどの変化を反映するように選択的にARグラフィックスを生成することができる。コンピュータグラフィックス生成システム52は、モニタリングシステム46から受け取られた乗り物車両22の位置、ヨー及び速度、及び/又はその他の動作パラメータを示すデータに基づいて選択的にARグラフィックスを生成することもできる。コンピュータグラフィックス生成システム52は、それぞれの乗客がユーザインターフェイス50を使用して提供した入力の変化を反映するように選択的にARグラフィックスを生成することもできる。さらに、コンピュータグラフィックス生成システム52は、コンピュータグラフィックス生成システム52が(例えば、メモリ56に)記憶しているいくつかの所定の又はモデル化された応答に従ってARオブジェクトが影響を受けるようにすることができるシミュレートされた相互作用に基づいてARグラフィックスを生成することもできる。一例として、所定の又はモデル化された応答は、物理エンジン又は同様のモジュールによって、或いはコンピュータグラフィックス生成システム52の一部として実行することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータグラフィックス生成システム52が、共有ゲーム内の他のプレーヤが適用したゲーム効果を共有ゲーム内の乗客が見ることができるように、共有ゲーム内の複数の乗客(例えば、乗客24、26、28及び30)に対応する上述した情報又はデータを追跡することができる。
【0027】
図3は、ヘッドマウントディスプレイ32の実施形態を示す図である。いくつかの実施形態では、ヘッドマウントディスプレイ32を乗り物車両22に結合する(例えば、ケーブル又はワイヤを介して接続する)ことができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両22の乗客が、ヘッドマウントディスプレイ32を購入又は別様に入手することができる。ヘッドマウントディスプレイ32は、電子眼鏡60(例えば、AR眼鏡、ゴーグル)と、電子眼鏡60の少なくとも一部を収容するように構成された装着部分62とを含むことができる。ヘッドマウントディスプレイ32は、単独で又は他の特徴と組み合わせて使用して、乗客25のためのAR体験又は他の同様の非現実的環境を含むことができる非現実的環境64(例えば、AR環境)を生成することができる。具体的に言えば、乗客25は、乗り物の継続時間全体を通じてヘッドマウントディスプレイ32を装着することができる。
【0028】
ヘッドマウントディスプレイ32は、プロセッサ66及びメモリ68(例えば、有形の非一時的コンピュータ可読媒体)を含むことができる。プロセッサ66及びメモリ68は、ヘッドマウントディスプレイ32のディスプレイとしての機能を可能にする(例えば、最終的にディスプレイを駆動する信号をコンピュータグラフィックス生成システム52から受け取る)ように構成することができる。プロセッサ66は、汎用プロセッサ、システムオンチップ(SoC)装置、特定用途向け集積回路(ASIC)又は他の何らかの同様のプロセッサ構成とすることができる。
【0029】
ヘッドマウントディスプレイ32は、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、GPS受信機、動き追跡センサ、電磁動き追跡センサ及び固体動き追跡センサ、IMU及び存在センサなどの配向センサ及び/又は位置センサを含むことができる追跡システム70を含むことができる。追跡システム70は、乗客の位置、配向、焦点距離、注視方向、視野、動き又はこれらのいずれかの組み合わせを示すリアルタイムデータを収集することができる。ヘッドマウントディスプレイ32は、追跡システム70を介して取り込まれたリアルタイムデータを処理のためにプロセッサ66及び/又はコンピュータグラフィックス生成システム52に送信できる(例えば、無線トランシーバを含む)通信インターフェイス72を含むことができる。通信インターフェイス72は、コンピュータグラフィックス生成システム52によって送信された表示信号をヘッドマウントディスプレイ32が受信できるようにすることもできる。
【0030】
ヘッドマウントディスプレイ32の電子眼鏡60は、1又は2以上のディスプレイ74を含むことができる。1又は2以上のディスプレイ74は、シースルー型液晶ディスプレイ(LCD)、シースルー型有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、又は現実世界のイメージ及びARグラフィックイメージを乗客25に表示する上で有用な他の同様のディスプレイなどの、イメージが投影されるシースルー表示面を含むことができる。例えば、乗客25は、それぞれのディスプレイ74上に出現するARグラフィックスを、実際の物理的現実環境への重ね合わせとして見ることができる。本実施形態によれば、ヘッドマウントディスプレイ32は、通信インターフェイス72を介して表示信号(例えば、1又は2以上のディスプレイ74に関する空間的及び/又は時間的情報などのそれぞれのオーバーレイ情報を伴うARグラフィックス)を受け取り、乗客25が、ARグラフィックスが現実環境に一体化されていると感じるように、プロセッサ66を介してARグラフィックスを処理して1又は2以上のディスプレイ74上に重ね合わせることができる。いくつかの実施形態では、ヘッドマウントディスプレイ32が、1又は2以上の音響装置(例えば、イヤホン、スピーカ、マイク)を含むことができる。
【0031】
図4は、ゲーム効果(例えば、車内娯楽体験及びで車外娯楽体験)を提供して乗り物車両22の乗客の全体的な乗り物体験を強化するプロセス80の実施形態のフロー図である。プロセス80は、乗り物及びゲーム制御システム10、ヘッドマウントディスプレイ32及び/又はショー効果システム34の組み合わせによって実行することができる。プロセス80は、非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ56)に記憶された開始コード又は命令を表し、例えばコンピュータグラフィックス生成システム52、ヘッドマウントディスプレイ32内のプロセッサ66、又はこれらの両方に含まれるプロセッサ54によって実行することができる。プロセス80は、リアルタイムデータ及び/又は乗客に関するデータを受け取って分析するステップ(ブロック82)を含むことができる。なお、ブロック82において受信及び/又は分析されるデータは、乗り物及びゲーム制御システム10の様々なコンポーネント、及び/又は乗り物及びゲーム制御システム10に結合されたコンポーネント(例えば、ヘッドマウントディスプレイ32、サーバ38、乗り物コントローラ42、ゲームコントローラ44、モニタリングシステム46、1又は2以上のゲームシステム48、ユーザインターフェイス50)から提供することもできる。
【0032】
一例として、リアルタイムデータは、以下に限定するわけではないが、乗り物車両22の位置、ヨー、ピッチ、ロール及び速度を含むことができる、(例えば、乗り物コントローラ42、ゲームコントローラ44、ユーザインターフェイス50又はこれらの組み合わせからの)乗り物車両22の動作パラメータ又は情報を含むことができる。リアルタイムデータは、1又は2以上の乗客によって(例えば、ユーザインターフェイス50から)提供された、乗り物車両22を駆動するための入力を含むこともできる。乗客によって提供される入力は、乗り物車両22の位置、ヨー、ピッチ、ロール及び/又は速度の変更要求を含むことができる。リアルタイムデータは、(例えば、乗り物コントローラ42、ゲームコントローラ44、モニタリングシステム46、ヘッドマウントディスプレイ32からの)各乗客の位置/配向データを含むことができる。このようなデータは、乗客の位置、配向、注視方向、視野又はこれらのいずれかの組み合わせに関連し、又は別様にこれらを示すことができる。リアルタイムデータは、ARオブジェクトの獲得又は解放などの、AR特徴との相互作用又はAR特徴の制御を示すことができる(例えば、ユーザインターフェイス50からの)ユーザ入力データを含むこともできる。理解できるように、リアルタイムデータは、乗車中の各乗客の現状(例えば、乗客の現在の位置及び/又は配向、乗客が見ているもの、非現実的環境64における乗客とAR特徴との相互作用)を判断する上で有用となり得る。
【0033】
ブロック82において受け取られて分析されるデータは、乗客に関するデータも含む。例えば、乗客に関するデータは、限定するわけではないが、(例えば、サーバ38からの)乗客の識別及びゲーム歴を含むことができる。理解できるように、乗客に関するデータは、それぞれの乗客にとっての魅力的なAR特徴及び/又はその他の魅力的な視覚的表現及び/又は音響表現を判断する上で有用となり得る。いくつかの実施形態では、乗り物及びゲーム制御システム10が乗客(例えば、乗客24、26、28及び30)の乗り物体験全体を協調させることができるように、各ゲームシステム48のプロセッサ54によって受け取られたリアルタイムデータ及び/又は乗客に関するデータを互いに共有することができる。以下でさらに詳細に説明するように、モニタリングシステム46及び/又はヘッドマウントディスプレイ32からの位置/配向データは、乗客の視点と別の乗客の視点などのいくつかの視点間における同期を容易にする役割を果たすことができる。このような同期は、いくつかの固定特徴の既知の位置(例えば、特定のアトラクションの位置)に基づく乗客位置の三角測量、いくつかの(例えば、実際の及び/又は拡張された)特殊効果のタイミング合わせ、(例えば、物理モデルに基づく)リアルなAR効果のモデル化、及び後述するその他の効果にとって有用となり得る。
【0034】
さらに、ブロック82に従って受け取られるデータは、単一の乗客の体験に直接影響を与えるだけでなく、現実世界の及び/又はシミュレーション環境の物理的レイアウトを容易にして強化するためにも有用となり得る。例えば、乗り物及びゲーム制御システム10は、比較的大きなサンプルサイズ(例えば、対応するヘッドマウントディスプレイ32を有する10人、50人又は100人を上回る乗客)にわたって最も一般的な場所及び視界などの履歴データを追跡して、乗客への通知が目に付く場所に存在することを確実にすることができる。このようなデータは、特殊効果の選択的適用に使用することもできる。例えば、乗り物及びゲーム制御システム10は、ユーザインターフェイス50の履歴データを追跡し、乗客がゲームプレーヤである場合には(例えば、ユーザインターフェイス50のタイミング及び/又は使用がゲームに対応する場合には)ゲーム効果を生成することができ、乗客がゲームプレーヤでない場合には通常のショー効果を生成することができる。例えば、乗り物及びゲーム制御システム10は、乗客の視点を追跡し、乗客がテーマ別アトラクションの方向を見ている場合には、そのテーマ別アトラクションに対応する特殊効果(例えば、ゲーム効果、AR効果)を生成することができる。また、このようなデータを使用して、(例えば、ユーザ視点に基づいて)ほとんど見られていない場所を識別し、いくつかの現実世界の特徴を隠す(例えば、見苦しいケーブルなどを隠す、又は本明細書に示すようにこのような特徴を仮想的に除去する)ためのエリア、及び/又は経験的な見地から望ましいと考えられるいくつかのアイテムを隠す(例えば、仮想的な隠れキャラ(Easter egg)又は仮想的な借り物競走のアイテム(scavenger hunt items)を隠す)ためのエリアを特定することもできる。
【0035】
プロセス80は、リアルタイムデータに基づいてゲーム効果を生成するステップ(ブロック84)含むことができる。いくつかの実施形態では、ゲーム効果を生成するステップが、ヘッドマウントディスプレイ32上に表示すべきARグラフィックスを含む車内エンターテイメントを生成するステップを含むことができる。例えば、コンピュータグラフィックス生成システム52のプロセッサ54は、いずれか1つの要因又は要因の組み合わせに基づいて、ヘッドマウントディスプレイ32の1又は2以上のディスプレイ74上に表示すべきARグラフィックス及び/又はビデオを生成することができる。このような要因は、乗客の注視方向及び/又は視野、乗客によるユーザインターフェイス50の使用、乗客のゲームプレー歴、乗り物14のサイクル中の所与の時点における軌道20沿いの乗り物車両22の位置及び/又は配向(又は、軌道22が存在しない時には他の場所)、乗り物14のサイクル中の所定の時間経過後、或いは乗り物車両22の1又は2以上の乗客が1又は2以上の動作を実行した後に乗り物車両22が進んだ所定の距離を含むことができる。特に、コンピュータグラフィックス生成システム52のプロセッサ54は、乗客がヘッドマウントディスプレイ32の1又は2以上のディスプレイ74上に表示されたAR特徴を自身が眺めている実際の物理的な現実環境に重なり合ったものとして見ることができるように、投影、1又は2以上のビデオ統合及び/又は光学統合技術などを使用して重ね合わされたAR特徴を生成することができる。
【0036】
ARグラフィックスの生成は、環境からのオブジェクトのAR追加に使用して環境にオブジェクトを追加し、ゲームを作成して個人化されたテーマ別環境の体験を展開することができる。例えば、ヘッドマウントディスプレイ32の1又は2以上のディスプレイ74上の乗客のビューにアニメ特徴を仮想的に追加することができる。いくつかの実施形態では、見苦しい物体などを乗客から隠すために、或いは所望の視覚的効果のリアリズムを高めるためにいくつかの物体(例えば、特殊効果的特徴)が浮かんで見えるように、ARグラフィックスの生成を環境からの物体のAR除去に使用することができる。例えば、一連の支柱及びワイヤによって鳥又は同様のアニメロボット特徴を吊り下げ、支柱及びワイヤを環境から積極的に除去して、鳥が空を飛んでいるように見せることができる。別の例として、いくつかのテーマ別領域が工事用フェンスによって囲われていることがあり、これは良くない体験と見なされることが多い。AR特徴を使用して、工事用フェンスを仮想的に除去することができる(例えば、工事の進行中には、フェンスで囲われた領域に環境特徴を重ね合わせ又はこの領域を仮想アトラクションに変換することができる)。さらなる実施形態では、コンピュータグラフィックス生成システム52が、上述したリアルなAR効果を、いくつかの特殊効果をシミュレートする、及び/又はこれらの特殊効果のタイミングを合わせる物理モデルに基づいて生成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ゲーム効果の生成が、ショー効果システム34を用いた視覚的効果及び/又は音響効果を含む車外エンターテイメントを生成又は開始することを含むことができる。例えば、コンピュータグラフィックス生成システム52のプロセッサ54を、ショー効果システム34(例えば、投写型ゲームコンピュータ、1又は2以上のディスプレイ装置35及び1又は2以上の照明システム37)の動作を制御して乗客に現実世界のショー効果を提供するようにプログラムすることができる。コンピュータグラフィックス生成システム52は、ブロック82において取得された乗り物14、乗客の場所/配向、注視方向、視野のモデル及びその他のデータに基づいて、1又は2以上のディスプレイ装置35上にシーン特有のイメージ又はビデオを表示する信号を生成し、及び/又は1又は2以上の照明システム37の動作を変更する(例えば、照明方向、タイミング、強度及び色などの照明効果を変更する)ことができる。例えば、いくつかの実施形態では、プロセッサ54が、1又は2以上のディスプレイ装置35の表示コンテンツ及びタイミングを制御する信号を生成し、いずれか1つの要因又は要因の組み合わせに基づいて照明効果を制御する信号を生成することができる。このような要因は、乗客の注視方向及び/又は視野、乗客によるユーザインターフェイス50の使用、乗客のゲームプレー歴、乗り物14のサイクル中の所与の時点における軌道20沿いの乗客用乗り物車両22の位置及び/又は配向(又は、軌道22が存在しない時には他の場所)、乗り物14のサイクル中の所定の時間経過後、或いは乗り物車両22の1又は2以上の乗客が1又は2以上の動作を実行した後に乗り物車両22が進んだ所定の距離を含むことができる。
【0038】
さらに別の実施形態では、プロセッサ54が、1又は2以上のディスプレイ35上の表示コンテンツと、1又は2以上の照明システム37によって提供される照明効果と、それぞれのヘッドマウントディスプレイ32上に表示されるARグラフィックスとが互いに同期するように、生成されたARグラフィックスに基づいてショー効果システム34を制御する信号を生成することができる。ゲーム効果を生成する異なる態様については、図5図8に関してさらに詳細に説明する。プロセス80は、生成されたゲーム効果を受信者に送信して表示する(ブロック86)ステップを含むことができる。具体的には、ブロック84において生成されたARグラフィックス及び/又は制御信号が、ヘッドマウントディスプレイ32及び/又はショー効果システム34にそれぞれ送信される。
【0039】
図5は、乗り物及びゲーム制御システム10を使用してリアルなAR体験をもたらすプロセス90を示すフロー図である。特に、プロセス90は、プロセス80のブロック84におけるゲーム効果を生成する方法の実施形態を表すものであると考えることができる。プロセス90は、コンピュータグラフィックス生成システム52に含まれるメモリ56に記憶された開始コード又は命令を表すことができる。図示のプロセス90は、乗り物コントローラ42、ゲームコントローラ44、ユーザインターフェイス50、モニタリングシステム46及び/又はヘッドマウントディスプレイ32からリアルタイムデータを受け取るステップ(ブロック92)を含む。
【0040】
プロセス90は、受け取ったリアルタイムデータに基づいてシミュレーションを実行するステップ(ブロック94)を含むこともできる。一例として、プロセッサ54は、メモリ56に記憶された物理モデルを使用してリアルなAR効果をシミュレートすることができる。物理モデルは、オブジェクトの動き及び相互作用の記述、シミュレーション及び/又は例示を実際に行う好適なソフトウェア又はアルゴリズムを用いて実装することができる。物理モデルは、リアルタイムデータから取得されたいずれか1つの要因又は要因の組み合わせを考慮してARグラフィックスの動き及び相互作用をシミュレートすることができる。このような要因は、シミュレートされたARグラフィックスを乗客がどのように感じるかに影響を及ぼし得る他の要素の中でも特に、乗客の注視方向及び/又は視野、乗客の位置/配向、又は位置/配向(例えば、移動速度及び移動方向、回転速度及び回転方向)の変化を含むことができる。
【0041】
物理モデルは、相互作用するARオブジェクト及び現実世界の物体の特性を考慮することもできる。例えば、いくつかの実施形態では、コンピュータグラフィックス生成システム52が、乗り物を取り囲む現実環境のコンピュータ支援設計又は同様の3次元表現(例えば、デジタル3次元モデル)を使用して、現実世界の物体とヘッドマウントディスプレイ32上に表示されるコンピュータ化された効果との間の相互作用のシミュレーションを強化することができる。例えば、乗り物を取り囲む現実世界の特徴とARオブジェクトとの間の相互作用を正確にシミュレートできるように、現実環境の特徴を幾何学的見地及び構成材料の見地から表現することができる。このようにして、現実世界の物体の位置、配向及び材料構成などをメモリ56に記憶することができる。コンピュータグラフィックス生成システム52の特別に構成されたソフトウェアは、AR特徴の生成及び更新の態様を左右する、現実世界の物体表現とARショー効果、ARゲームプレー及び1つ(又は複数)の物理モデルとの関連付けを可能にすることができる。
【0042】
この点、コンピュータグラフィックス生成システム52は、物理モデルを使用して、実際の物体とコンピュータ化されたオブジェクト(例えば、ARオブジェクトと現実世界の物体)との間のリアルな相互作用をシミュレートすることができる。一例として、コンピュータグラフィックス生成システム52は、コンピュータによって生成されたボールが壁などの現実世界の物体から跳ね返る様子を正確にシミュレートすることができる。コンピュータグラフィックス生成システム52は、壁のサイズ、形状及び材料構成などの記憶表現を有することができる。コンピュータグラフィックス生成システム52は、ボールが壁にぶつかった場合の相互作用をシミュレートする上で、例えばリアルなボールの変形、及び壁からのリアルなボールの跳ね返りなどをシミュレートすることによってこれらの変数を考慮する。コンピュータグラフィックス生成システム52の物理モデルは、シミュレートされるボールの運動量、速度、軌道などの変化に少なくとも部分的に影響を与える。
【0043】
コンピュータグラフィックス生成システム52が適切なシミュレーションを実行し終えると、プロセス90は、シミュレーションに基づいてゲーム効果を生成するステップ(ブロック96)含むことができる。具体的に言えば、プロセッサ54は、図4のブロック84において説明したプロセス80の態様によるシミュレートされたARグラフィックスを使用してゲーム効果を生成することができる。
【0044】
なお、例えば特定の経路又は一連の軌道などの既知の動きプロファイルが存在する乗り物では、コンピュータグラフィックス生成システム52に予めいくつかのシミュレーションを取り込んでおいて計算要件を低減することができる。例えば、乗り物車両22が経路20に沿って進む時には、一般に乗り物の乗客の配向、位置及び速度の数が制限される。この点、コンピュータグラフィックス生成システム52は、特定の乗客に関する情報と既知の動きプロファイル(例えば、特定のシミュレーションを既に実行したプロファイル)との比較を実行することができる。コンピュータグラフィックス生成システム52は、動きプロファイルが既知の動きプロファイルに一致する状況では、既に実行されたシミュレーションに従ってグラフィックスを生成することができる。
【0045】
さらに、いくつかの実施形態では、ARシミュレーションを現実世界の効果と組み合わせることもできる。例えば、移動可能な現実世界の物体にARオブジェクトがぶつかるシミュレーションを行う場合、様々な作動装置を始動させて、シミュレートされた相互作用に従って現実世界の物体を動かすことができる。
【0046】
図6は、乗り物及びゲーム制御システム10によってレンダリングされる視点調整を含むAR体験例を示す概略図である。図示の実施形態では、後部座席の乗客26及び前部座席の乗客28が、それぞれのヘッドマウントディスプレイ32を介してテーマ別アトラクション100を見ることができる。しかしながら、乗客26は、(例えば、シート配置に起因する)視点の違いに起因して、比較的視界が良好な乗客28に比べて十分に乗り物を体験できないこともある。例えば、テーマ別アトラクション100は、現実世界の物体とすることができる現実世界の特徴102(例えば、飛んでいる鳥)、或いは1又は2以上のディスプレイ装置35上に表示されるイメージを含むことができる。乗客28は前列に存在するので、現実世界の特徴102の妨げられていない(例えば、介在する物体によって遮られていない)視野角104を有することができる。しかしながら、後列の乗客26は、現実世界の特徴102の少なくとも一部が乗客28によって遮られるので、妨げられた視野106を有することができる。
【0047】
本開示の1つの実施形態によれば、乗り物及びゲーム制御システム10は、乗客が乗り物の一部を別の視点から体験できるようにするシミュレーションを実行することができる。具体的に言えば、乗り物及びゲーム制御システム10は、(例えば、乗り物コントローラ42、ゲームコントローラ44、ヘッドマウントディスプレイ32及び/又はモニタリングシステム46から取得された)取得されたリアルタイムデータに基づいて、乗客26の視野106が少なくとも部分的に遮られていると判断することができる。乗り物及びゲーム制御システム10は、この判断に応答して、乗客26が遮られていない現実世界の特徴102を眺めることができるように、調整視点108を提供するゲーム効果を生成し、この生成されたゲーム効果を乗客26のそれぞれのヘッドマウントディスプレイ32上に表示することができる。例えば、生成されるゲーム効果は、依然として乗客26が乗客28を見ている間に現実世界の特徴102が乗客の26の目前に来るように、現実世界の特徴102の位置を仮想的に調整することを含むことができる。いくつかの実施形態では、生成される調整視点108内のゲーム効果が、乗客28の視点(例えば、視野104)を示すAR特徴を含むことができる。
【0048】
視点調整を行う方法は、複数の要因に依存することができる。図7に、乗り物視点を動的に調整する方法110の一例をフロー図として示す。図示のように、方法110は、乗り物を仮想化するステップ(ブロック112)を含む。例えば、乗り物の仮想化は、乗り物のコンピュータグラフィックス表現、周囲環境及びショー効果をメモリ(例えば、メモリ56)に記憶することによって行うことができる。ショー効果は、現実世界の効果又は仮想効果(例えば、AR効果)とすることができ、コンピュータグラフィックス表現は、相対的なサイズ及び位置などに忠実な表面表現とすることができる。ブロック112に示す行為は、乗り物の既知の動きプロファイルと、この既知の動きプロファイルの視点とをシミュレートしてメモリ(例えば、メモリ56)に記憶するステップを含むこともできる。このように、既知の動きプロファイルと、この既知の動きプロファイルに沿って見られるショー効果とをメモリ(例えば、メモリ56)に記憶し、これにアクセスして将来的な表示及び/又は重ね合わせを可能にすることができる。
【0049】
図示の方法110は、ヘッドマウントディスプレイ32のうちの特定の1つのヘッドマウントディスプレイの位置及び配向を、記憶されている仮想乗り物プロファイル(既知のプロファイル)に同期させるステップ(ブロック114)も含む。例えば、ブロック114の行為による同期させるステップは、識別されたヘッドマウントディスプレイ32の注視タイミングを、記憶されている仮想乗り物プロファイルと同期させるステップを含むことができる。別の例として、この同期は、ヘッドマウントディスプレイ32上のセンサによって測定される位置及び回転を既知の乗り物プロファイルと同期させるステップを含むこともできる。これにより、コンピュータグラフィックス生成システム52は、ヘッドマウントディスプレイ32の視点と既知の乗り物プロファイルの視点とを比較して、これらの間の差分を識別できるようになる。これらの差分を用いて適切な量の視点調整を識別して、ヘッドマウントディスプレイ32上に表示される付加物(augumentations)が既知の乗り物プロファイルの視点にさらに密接に一致するようなコンピュータグラフィックス生成システム52による調整を可能にすることができる。
【0050】
コンピュータグラフィックス生成システム52は、視点調整が適切であるかどうかを識別するために、例えばヘッドマウントディスプレイ32の態様をモニタして潜在的な注視障害を識別する(ブロック116)ことができる。例えば、乗り物車両22の動きプロファイルと、乗客の(例えば、アトラクション特徴の視点を含む)所望の視点とを知ることができる。これにより、コンピュータグラフィックス生成システム52は、潜在的な注視障害によって乗客の1人に特定のアトラクション特徴の全景が見えなくなることを乗車中の特定の時点に識別できるようになる。一例として、コンピュータグラフィックス生成システム52は、座席の位置及び他の乗客の存在、乗り物の固定特徴及びその既知の位置などの要因の組み合わせに起因する潜在的な注視障害を識別することができる。
【0051】
コンピュータグラフィックス生成システム52は、潜在的な注視障害又はある乗客(特定のヘッドマウントディスプレイ32)にアトラクション特徴の全景が見えなくなる同様の状況を識別したことに応答して、ヘッドマウントディスプレイ32上に表示される乗り物の少なくとも一部の視点を動的に調整する(ブロック118)ことができる。一例として、コンピュータグラフィックス生成システム52は、特定の仮想的付加物の位置(又は、複数の付加物の位置)を、他の乗客又は環境乗り物要素によって遮られていたはずの視点を有する乗客の全景内に存在するようにシフトさせることができる。
【0052】
図8は、本実施形態による乗り物及びゲーム制御システム10によってレンダリングされる動的相互作用を含むAR体験例を示す概略図である。図示の実施形態では、ヘッドマウントディスプレイ32を装着した乗客28が、現実世界の特徴(例えば、1又は2以上のディスプレイ装置35上に表示される現実世界の物体又はイメージ)及び/又はAR特徴を含むことができるテーマ別アトラクション120(例えば、火山)を見ることができる。乗車中、乗客28は、異なる方向を注視して視点を第1の視野122から第2の視野124、第3の視野126に変化させることができる。本開示の1つの実施形態によれば、乗り物及びゲーム制御システム10は、乗客の視野に基づいてゲーム効果を動的にレンダリングすることができる。この例では、乗り物及びゲーム制御システム10が、乗客28が第1の視野122を注視していると判断したことに応答して、ヘッドマウントディスプレイ32を装着した乗客28が休火山128しか見ることができないように、AR特徴をレンダリングしないことができる。乗り物及びゲーム制御システム10は、乗客28が第2の視野124を注視していると判断したことに応答して、ヘッドマウントディスプレイ32を装着した乗客28が火山の周囲を飛んでいる鳥を見ることができるようにAR特徴130をレンダリングすることができ。乗り物及びゲーム制御システム10は、乗客28が第3の視野126を注視していると判断したことに応答して、ヘッドマウントディスプレイ32を装着した乗客28が噴火中の火山を見ることができるようにAR特徴132をレンダリングすることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、乗り物及びゲーム制御システム10が、レンダリングされたAR特徴に基づいて、1又は2以上の照明システム37及び/又は他のショー効果(例えば、効果音)を変更することもできる。例えば、乗り物及びゲーム制御システム10は、乗客28が第2の視野124を注視していると判断したことに応答して、1又は2以上の照明システム37の照明条件(例えば、照明強度、方向、色など)を変更して、レンダリングされたAR特徴130(例えば、飛んでいる鳥)を際立たせることができる。例えば、乗り物及びゲーム制御システム10は、乗客28が第3の視野126を注視していると判断したことに応答して、特定の火山噴火シーンを反映するように1又は2以上の照明システム37の照明条件(例えば、照明強度、方向、色など)を変更し、及び/又は(例えば、ヘッドマウントディスプレイ32又はショー効果システム34の効果音装置を介して提供される)効果音を変更することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、乗り物及びゲーム制御システム10が、少なくとも閾値数(例えば、2人、4人、6人、10人又は11人以上)の乗客が視聴関心を示していると判断したことに応答してAR特徴をレンダリングすることができる。例えば、乗り物及びゲーム制御システム10は、少なくとも2人の乗客(例えば、乗客26及び28)が視野126を注視していると判断したことに応答して、AR特徴132(例えば、噴火中の火山)をレンダリングすることができる。なお、閾値数はシーン固有のものとすることができる。例えば、AR特徴132(例えば、噴火中の火山)の閾値数を2とし、AR特徴130(例えば、飛んでいる鳥)の閾値数を4とすることもできる。
【0055】
図9は、乗り物及びゲーム制御システム10の複数のゲームシステム48間の接続性/参加の例を示す概略図である。図示の実施形態では、(乗客24、26、28及び30によって操作される)単一の乗り物車両22内に配置された乗り物及びゲーム制御システム10の(図2に示す)1又は2以上のゲームシステム48が、互いに通信可能かつ動作可能に結合される。
【0056】
乗客28及び30は、いずれも現実世界の特徴(例えば、現実世界の物体、或いは1又は2以上のディスプレイ装置35上に表示されたイメージ)及び/又はAR特徴を含むことができるテーマ別アトラクション140(例えば、火山)において実質的に同じ方向を注視することができる。例えば、乗り物及びゲーム制御システム10は、乗客28の視野142が乗客30の視野144の一部に重なっていると判断したことに応答して、乗客28及び30のそれぞれのヘッドマウントディスプレイ32上に異なる視点からの同じAR特徴が表示されるようにレンダリングすることができる。さらに、乗客28及び30は、いずれも乗客28及び30のいずれかがゲームシステム48のそれぞれのユーザインターフェイス50上で適用したアクション146(例えば、AR環境内のアクション)を見ることもできる。図示の例では、乗客28がそれぞれのユーザインターフェイス50を操作して、火山150に向かって火の玉148を撃つことなどのアクション146を実行する。例えば、乗客28は、それぞれのユーザインターフェイス50の操作を、火の玉148の飛行軌道を変更するように調整することができる。これに対応して、乗客30は、それぞれのヘッドマウントディスプレイ32から、乗客28が適用したアクション146(例えば、火山150に向かって火の玉148を撃つこと)を見ることができる。いくつかの実施形態では、乗り物及びゲーム制御システム10が、乗客30が乗客28と同じゲームに参加していると判断し(例えば、乗客30は、ユーザインターフェイス50を使用して、乗客28と共にゲームに参加することを承諾する指示を与えることができる)、この判断に応答して、乗客28及び30のそれぞれのヘッドマウントディスプレイ32上にアクション146の結果を含む同じAR特徴を表示することができる。
【0057】
本明細書では、本実施形態のいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の実際の趣旨に該当する全てのこのような修正及び変更を含むものであると理解されたい。さらに、開示した実施形態のいくつかの要素は、互いに組み合わせ、又は入れ換えることもできると理解されたい。
【符号の説明】
【0058】
10 乗り物及びゲーム制御システム
40 通信ネットワーク
42 乗り物コントローラ
44 ゲームコントローラ
48 ゲームシステム
50 ユーザインターフェイス
52 コンピュータグラフィックス生成システム
54 プロセッサ
56 メモリ
32 ヘッドマウントディスプレイ
46 モニタリングシステム
38 サーバ
34 ショー効果システム
35 (単複の)ディスプレイ装置
37 (単複の)照明システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9