(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】適応型コモンモード調光器
(51)【国際特許分類】
H04L 25/02 20060101AFI20221221BHJP
H05B 47/00 20200101ALI20221221BHJP
【FI】
H04L25/02 V
H05B47/00
(21)【出願番号】P 2019555454
(86)(22)【出願日】2018-04-25
(86)【国際出願番号】 US2018029365
(87)【国際公開番号】W WO2018200676
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-22
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397050741
【氏名又は名称】マイクロチップ テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROCHIP TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】スサント、トニー
(72)【発明者】
【氏名】クイジク、マーテン
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-186197(JP,A)
【文献】特開2012-169905(JP,A)
【文献】特開2007-174030(JP,A)
【文献】米国特許第09209789(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0053032(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 25/02
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
適応型コモンモード調光器であって、
電源電圧と2線式伝送線との間に結合された第1の組の電流ドライバと、
接地又は共通電源と前記2線式伝送線との間に結合された第2の組の電流ドライバと、
第1及び第2の電圧比較器であって、
それぞれ、前記第1及び第2の組の電流ドライバに結合され、前記第1及び第2の組の電流ドライバを制御する出力と、
前記2線式伝送線に結合された第1の入力と、
第1の基準電圧に結合された第2の入力であって、前記第1の基準電圧が、前記電源電圧より小さく、かつ前記接地又は共通電源より大きい、第2の入力と、を含む、第1及び第2の電圧比較器と、を備え、
前記2線式伝送線上のコモンモード電圧が前記第1の基準電圧より大きいとき、前記第2の組の電流ドライバは、前記第1の組の電流ドライバが吐き出す電流より多くの電流を吸い込むように構成されており、
前記2線式伝送線上の前記コモンモード電圧が前記第1の基準電圧より小さいとき、前記第1の組の電流ドライバは、前記第2の組の電流ドライバが吸い込む電流より多くの電流を吐き出すように構成されており、
前記適応型コモンモード調光器は、
第3の電圧比較器であって、
第2の基準電圧に結合された第1の入力と、
前記2線式伝送線に結合されるように構成された第2の入力と、
前記コモンモード電圧が前記第2の基準電圧より大きいときに、それらの動作静止電流を増加させるように構成された前記第2の組の電流ドライバに結合された出力であって、前記第2の基準電圧が前記第1の基準電圧より大きい、出力と、を含む、第3の電圧比較器と、
第4の電圧比較器であって、
第3の基準電圧に結合された第1の入力と、
前記2線式伝送線に結合された第2の入力と、
前記コモンモード電圧が前記第3の基準電圧より小さいときに、それらの動作静止電流を増加させるように構成された前記第1の組の電流ドライバに結合された出力であって、前記第3の基準電圧が前記第1の基準電圧より小さい、出力と、を含む、第4の電圧比較器と、を更に備える、適応型コモンモード調光器。
【請求項2】
前記第1の基準電圧は、前記電源電圧の約1/2である、請求項1に記載の適応型コモンモード調光器。
【請求項3】
前記第4の電圧比較器の前記出力と前記第1の組の電流ドライバとの間に第1のバッファトランジスタを更に備える、請求項1又は2に記載の適応型コモンモード調光器。
【請求項4】
前記第3の電圧比較器の前記出力と前記第2の組の電流ドライバとの間に第2のバッファトランジスタを更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の適応型コモンモード調光器。
【請求項5】
低い動作静止電流モード及び高い動作静止電流モードを有する適応型コモンモード調光器を含む、差動伝送線上で信号を伝送するためのシステムであって、
差動信号送信機に結合された第1の適応型コモンモード調光器を含む前記差動信号送信機と、
差動信号受信機に結合された第2の適応型コモンモード調光器を含む前記差動信号受信機と、
前記差動信号送信機及び前記差動信号受信機を結合する差動信号伝送線と、を備え、
前記第1及び第2の適応型コモンモード調光器は、請求項1~4に記載の前記適応型コモンモード調光器のうちのいずれかに従って実装される、システム。
【請求項6】
低い動作静止電流モード及び高い動作静止電流モードを含む
請求項1~4いずれか1項に記載の適応型コモンモード調光器を使用することによって、差動信号伝送線上のコモンモード電圧を低減するため
の方法。
【請求項7】
請求項5記載のシステムを使用することによって、差動信号伝送線上のコモンモード電圧を低減するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連特許出願)
本出願は、2017年4月27日に出願された同一所有者の米国仮特許出願第62/491,049号に対する優先権を主張するものであり、これは、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、電力技術に関し、特に、適応型コモンモード調光器に関する。
【背景技術】
【0003】
コモンモード(common-mode、CM)電流は、雑音源からの容量結合、電磁干渉(electromagnetic interference、EMI)及び/又は磁気結合による、バルク電流注入(bulk current injection、BCI)事象によって引き起こされ得る。CM電流は、電気システム内の意図しない放射器/受容体としてケーブルを作用させ得る。CM放射は、ケーブル長及び信号周波数に比例することが示されている。CM放射の低減には、一般に、CM電流又はCM信号周波数を最小化する必要がある。CM電流を低減する手法は、2線式差動信号伝送線上で通信する差動ドライバ及び受信機に結合されたCM調光器回路(複数可)を使用することである。これは、BCI事象を克服するのに十分な駆動/シンク電流容量を有するCM調光器回路内の差動駆動回路を必要とする。しかしながら、十分な駆動/シンク電流容量を保証するために、CM調光器差動駆動回路は、高い静止電流で動作しなければならない。これは、システム全体の著しい電力排出となる。
【発明の概要】
【0004】
したがって、BCI事象が発生しないが、高電流CM BCI事象が発生したときにそれらを処理することができる、通常動作中により低い電力消費を有するCM調光器回路が必要とされている。
【0005】
一実施形態によれば、適応型コモンモード調光器は、低い動作静止電流の第1のモード及びより高い動作静止電流の第2のモードを有するコモンモード調光器を備えてもよく、コモンモード調光器は、2線式伝送線に結合するように、かつ所望のコモンモード基準電圧でその伝送線上のコモンモード電圧を維持するように適合されてもよく、2線式伝送線は、差動信号を搬送してもよく、コモンモード調光器は、2線式伝送線上のコモンモード電圧が、高コモンモード基準電圧と低コモンモード基準電圧との間にあり得るときに第1のモードにあってもよく、さもなければ第2のモードにあってもよい。
【0006】
更なる実施形態によれば、高コモンモード基準電圧が、電源電圧より小さく、所望のコモンモード基準電圧が、高コモンモード基準電圧より小さく、低コモンモード基準電圧が、所望のコモンモード基準電圧より小さく、かつ接地又は共通電源より大きい。更なる実施形態によれば、所望のコモンモード基準電圧が、電源電圧の約半分であってもよい。電源電圧の半分であるための許容誤差は、例えば、1%、5%又は10%以内であり得る。更なる実施形態によれば、バルク電流注入(BCI)事象が、コモンモード電圧を、高コモンモード基準電圧を上回らせるようにしてもよく、又は低コモンモード基準電圧を下回らせるようにしてもよく、コモンモード調光器が、第2のモードにあってもよい。更なる実施形態によれば、コモンモード調光器は、第2のモードから第1のモードに変更する前に、コモンモード電圧を高コモンモード基準電圧と低コモンモード基準電圧との間に戻させてもよい。
【0007】
更なる実施形態によれば、コモンモード電圧が所望のコモンモード基準電圧を上回り得る場合、コモンモード調光器は、2線式伝送線から接地又は共通電源へと電流を吸い込んでもよい。更なる実施形態によれば、コモンモード電圧が所望のコモンモード基準電圧を下回り得る場合、コモンモード調光器は、2線式伝送線へと電源電圧から電流を吐き出してもよい。更なる実施形態によれば、コモンモード電圧が高コモンモード基準電圧より大きいか又は低コモンモード基準電圧より小さい可能性がある場合、BCI事象は、2線式伝送線上のコモンモード電流の少なくとも200ミリアンペアを生じさせ得、コモンモード調光器は、第2のモードにあり得る。
【0008】
別の実施形態によれば、低い動作静止電流モード及び高い動作静止電流モードを有する適応型コモンモード調光器を使用することによって、差動信号伝送線上のコモンモード電圧を低減する方法は、低い動作静止電流の第1のモード及びより高い動作静止電流の第2のモードを有するコモンモード調光器を提供するステップと、コモンモード調光器を、2線式伝送線上のコモンモード電圧を所望のコモンモード基準電圧に維持するための2線式伝送線に結合するステップであって、2線式伝送線は差動信号を搬送する、結合するステップと、2線式伝送線上のコモンモード電圧が高コモンモード基準電圧と低コモンモード基準電圧との間にあり得るときに、コモンモード調光器を第1のモードで動作させるステップと、2線式伝送線上のコモンモード電圧が、高コモンモード基準電圧より大きいか又は低コモンモード基準電圧より小さい可能性があるときに、コモンモード調光器を第2のモードで動作させるステップと、を含んでもよい。
【0009】
本方法の更なる実施形態によれば、高コモンモード基準電圧は、電源電圧より小さくてもよく、所望のコモンモード基準電圧は、高コモンモード基準電圧より小さくてもよく、低コモンモード基準電圧は、所望のコモンモード基準電圧より小さく、かつ接地又は共通電源より大きくてもよい。本方法の更なる実施形態によれば、所望のコモンモード基準電圧は、電源電圧の約半分であってもよい。本方法の更なる実施形態によれば、コモンモード電圧が高コモンモード基準電圧を上回り得るか、又は低コモンモード基準電圧を下回り得る場合、バルク電流注入(BCI)事象中にコモンモード調光器を第2のモードにさせるステップを含んでもよい。本方法の更なる実施形態によれば、コモンモード調光器が第2のモードにあり得る場合、コモンモード電圧を高コモンモード基準電圧と低コモンモード基準電圧との間に戻すステップを含んでもよい。本方法の更なる実施形態によれば、コモンモード電圧が所望のコモンモード基準電圧を上回り得る場合、2線式伝送線から接地又は共通電源へと電流を吸い込むステップを含んでもよい。本方法の更なる実施形態によれば、コモンモード電圧が所望のコモンモード基準電圧を下回り得る場合、2線式伝送線へと電源電圧から電流を吐き出すステップを含んでもよい。
【0010】
更に別の実施形態によれば、低い動作静止電流モード及び高い動作静止電流モードを有する適応型コモンモード調光器を有する、差動伝送線上で信号を伝送するためのシステムは、差動信号送信機に結合している第1の適応型コモンモード調光器を有する差動信号送信機と、差動信号受信機に結合している第2の適応型コモンモード調光器を有する差動信号受信機と、差動信号送信機と差動信号受信機とを結合する差動信号伝送線と、を備えてもよく、第1及び第2の適応型コモンモード調光器は、それぞれ、低い動作静止電流の第1のモード及びより高い動作静止電流の第2のモードを有し、第1及び第2の適応型コモンモード調光器は、2線式伝送線上のコモンモード電圧が、高コモンモード基準電圧と低コモンモード基準電圧との間にあり得るときに第1のモードにあってもよく、さもなければ第2のモードにあってもよい。
【0011】
更に別の実施形態によれば、適応型コモンモード調光器は、電源電圧と2線式伝送線との間に結合された第1の組の電流ドライバと、接地又は共通電源と2線式伝送線との間に結合された第2の組の電流ドライバと、それぞれ、第1及び第2の組の電流ドライバに結合され、第1及び第2の組の電流ドライバを制御する出力と、2線式伝送線に結合された第1の入力と、第1の基準電圧に結合された第2の入力とを有する、第1及び第2の電圧比較器であって、第1の基準電圧は、電源電圧より小さくてもよく、かつ接地又は共通電源より大きくてもよく、2線式伝送線上のコモンモード電圧が第1の基準電圧より大きくなり得る場合、第2の組の電流ドライバは、第1の組の電流ドライバが吐き出す電流より多くの電流を吸い込み、また、2線式伝送線上のコモンモード電圧が第1の基準電圧より小さくなり得る場合、第1の組の電流ドライバは、第2の組の電流ドライバが吸い込む電流より多くの電流を吐き出す、第1及び第2の電圧比較器と、第2の基準電圧に結合された第1の入力と、2線式伝送線に結合された第2の入力と、コモンモード電圧が第2の基準電圧より大きくなり得る場合、それらの動作静止電流を増加させるために第2の組の電流ドライバに結合された出力とを有する、第3の電圧比較器であって、第2の基準電圧は、第1の基準電圧より大きくてもよい、第3の電圧比較器と、第3の基準電圧に結合された第1の入力と、2線式伝送線に結合された第2の入力と、コモンモード電圧が第3の基準電圧より小さくなり得る場合、それらの動作静止電流を増加させるために第1の組の電流ドライバに結合された出力とを有する、第4の電圧比較器であって、第3の基準電圧は、第1の基準の電圧より小さくてもよい、第4の電圧比較器と、を備えてもよい。
【0012】
更なる実施形態によれば、第1の基準電圧は、電源電圧の約半分であってもよい。更なる実施形態によれば、第1のバッファトランジスタが、第4の電圧比較器の出力と第1の組の電流ドライバとの間にあってもよい。更なる実施形態によれば、第2のバッファトランジスタが、第3の電圧比較器の出力と第2の組の電流ドライバとの間にあってもよい。
本開示に関するより完璧な理解は、添付の図面と合わせて、以下の説明を参照することで、得られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の教示に従う、差動送信機及び受信機対に結合されたコモンモード調光器をそれぞれ有する差動送信機及び受信機対の概略ブロック図を示す。
【
図2】本開示の教示に従う、コモンモード調光器の概略図を示す。
【
図3】本開示の特定の例示的実施形態に従う、適応型コモンモード調光器の概略図を示す。
【
図4】本開示の教示に従う、差動送受信機対に結合されたコモンモード調光器をそれぞれ有する差動送受信機対の概略ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、様々な修正及び代替の形態が可能である一方で、それらの特定の例示的実施形態が、図で示され、本明細書で詳細に記述される。しかしながら、特定の例示的実施形態に関する本明細書の説明は、本開示を本明細書で開示された形態に限定する意図はないことを、理解されるであろう。
【0015】
必要とされるときにのみ出力電流能力を増加させるために、コモンモード(CM)調光器回路には適応モードが追加されている。CM調光器中に適応モードを有しないと、出力電流ドライバは、バルク電流注入(BCI)事象を処理するために、大きな静止電流で動作しなければならない。したがって、適応モードを有さないCM調光器は、BCI事象が発生していないときでさえも、かなりの量の電力を消費する。適応モードを有すると、CM調光器は、通常の回路動作中に最小限の電力を消費しながら、例えば、トランスレス式の物理層(PHY)接続において、BCI事象を抑制するために効果的に使用することができる。
【0016】
図面を参照すると、例示的実施形態に関する詳細について、概略的に示す。図面の類似の要素は、類似の番号で示し、同様の要素は、異なる小文字の添え字が付いた同じ番号で示す。
【0017】
図1を参照すると、本開示の教示に従う、差動送信機及び受信機対に結合されたコモンモード調光器をそれぞれ有する差動送信機及び受信機対の概略ブロック図が描写されている。
図1は、送信機114及び受信機116にそれぞれ結合されたコモンモード(CM)調光器回路104、108をそれぞれ有する、差動出力を有する送信機114と差動入力を有する受信機116との間の簡略化された典型的な接続を示す。差動送信機114と差動受信機116との間の電気信号接続は、伝送線110、例えば、非シールドツイストペア(unshielded twisted pair、UTP)ワイヤ又は同軸(シールド付き)ケーブルを形成する一対のワイヤを有してもよい。
【0018】
任意の外部干渉からのコモンモード電流IBCI(電流源112によって表される)は、容量結合、電磁干渉によって注入されてもよく、及び/又は伝送線路110の上に磁気的に誘導されてもよい。この現象は、一般に「バルク電流注入」(BCI)と呼ばれる。このBCI事象中、コモンモード電圧(伝送線110を形成する差動的に接続された一対のワイヤ(OUTP、OUTN、INP、INN)のワイヤ及び接地の間の電圧)は、注入されたCM電流IBCIが正であるときに増加し、負であるときに減少する。次いで、CM調光器回路104、108は、差動的に接続された一対のワイヤ110の上に電流を吐き出すか又は吸い込んで、BCI事象からの外部から誘導されたコモンモード電流IBCIを相殺する。
【0019】
図4を参照すると、本開示の教示に従う、差動送受信機対に結合されたコモンモード調光器をそれぞれ有する差動送受信機対の概略ブロック図が描写されている。送受信機414及び416は、差動伝送線110と共に結合されており、差動伝送線110上で通信する。送受信機414及び416の動作は、
図1に示される差動送信機102及び受信機106対と機能的に同じであるが、半二重モードで通信することができる。通信の全二重モードでは、第2の差動伝送線が提供されてもよく(図示せず)、受信機406と送信機402との間に直接結合されてもよいが、この構成では、追加のCM調光器が、第2の差動伝送線に対して提供され、かつ第2の差動伝送線に結合されなければならないであろう。
【0020】
図2を参照すると、本開示の教示に従う、コモンモード調光器の概略図が描写されている。CM調光器回路104、108のそれぞれは、電圧比較器224、226、抵抗器220、222、236、238及びトランジスタ228、230、232、234、240、242、244、246を備えてもよい。番号付けされていない追加の抵抗器及びコンデンサは、本明細書の議論に関連しないが、回路の完全性のために含まれている。
図2に示されるCM調光器回路104、108は、差動信号対SIGP、SIGNのコモンモード電圧、Vcmを測定し、それをコモンモード基準電圧、Vmid(Vmid=V
DD/2、抵抗器220及び222の値は同じである)と実質的に同じであるように調整する。CM調光器回路104、108は、比較器224及び226、並びにミラートランジスタ228及び234を通るトランジスタ240及び242(同様にトランジスタ244及び246)のゲート電圧、したがって、電流を増加又は減少させる。VcmがVmidより大きいとき、比較器224はトランジスタ230をオフにし、比較器226はトランジスタ232をオンにする。VcmがVmidより小さいとき、比較器224はトランジスタ230をオンにし、比較器226はトランジスタ232をオフにする。例えば、VcmがVmidより高いとき、比較器224及び226は、トランジスタ228及び234のゲート電圧を増加させる。この電流ミラーリングのため、トランジスタ240及び244は電流の吐き出しを少なくし、トランジスタ242及び246は、より多くの電流を吸い込み、その結果、コモンモード電圧Vcmはこのフィードバック動作を通じて低減される。
【0021】
BCI事象によって引き起こされるCM電流の量は非常に大きくなり得るため、トランジスタ240、242、244、246は、数百ミリアンペアのCM電流を発生させ得るBCI事象によって引き起こされるCM電流の一部を吐き出し、吸い込むように設計される。これだけ大きいCM電流を吐き出し、吸い込むために、これらのトランジスタ240、242、244、246は、高い静止電流で動作し(バイアスされ)なければならない。しかしながら、通常動作中、BCI事象が発生しない場合、適切なときにトランジスタ240、242、244、246をそれらの飽和領域(ハードなオン状態)に維持しながら、回路電力消費を最小化するために、静止電流の低減が望まれる。
【0022】
例えば、トランジスタ240、242、244、246が、BCI事象中に200ミリアンペアのCM電流能力を有するために、20倍の電流比を仮定すると、トランジスタ228及び234の回路は、最大10ミリアンペアを伝導するように設計され得る。しかしながら、通常動作下では、トランジスタ228及び234は、この最大電流のおよそ半分か、又は5ミリアンペアを消費することになり、これは、トランジスタ240、242、244、246が100ミリアンペアの静止電流を有することを意味する。100ミリアンペアは、ただ1つのCM調光器回路には莫大な電力消費であり、複数のCM調光器がデータ伝送システムにおいて使用されることを考慮すると、大きな電力消費ペナルティが生じる。
【0023】
図3を参照すると、本開示の特定の例示的実施形態に従う、適応型コモンモード調光器の概略図が描写されている。CM調光器104a、108aは、抵抗器320、348、350及び322、電圧比較器352及び354、並びにトランジスタ356及び358の追加を伴って、
図2に示されるCM調光器104、108と同様の回路を備える。抵抗器320、348、350及び322は、基準電圧Vhi、Vmid及びVloを提供するために抵抗はしご型ネットワークとして構成され、ここで、Vhi>Vmid>Vloである。
図3に示されるCM調光器104a、108aは、通常動作条件下での低電力消費及びBCI事象中の高電流容量の両方を提供する。
【0024】
比較器352、354及びトランジスタ356、358は、コモンモード電圧Vcmが、それぞれ、Vhi又はVloより高い又は低い場合にのみ、トランジスタ228、234上に追加電流を提供する。通常動作下では、BCI事象が発生することなく、トランジスタ228及び234はほとんど電流を消費せず、これは次にトランジスタ240、244、242及び246によって繰り返される。しかし、BCI事象が発生すると、コモンモード電圧Vcmは、SIGP及びSIGN信号線に注入される電流の量に応じて、Vhiより高くなり得るか、又はVloより低くなり得る。これが発生すると、トランジスタ228及び234、したがって、トランジスタ240、244、242及び246は、追加の電圧比較器352及び354、並びにトランジスタ356及び358に起因して、より多くの電流を吐き出し、吸い込むことになる。
【0025】
前の実施例を参照すると、好ましくは、トランジスタ228及び234は、10ミリアンペアの最大電流を有し、それにより、20倍の電流比では、トランジスタ240、244、242及び246は、200ミリアンペアのBCI事象を処理することができる。例示目的のために、限定するものではないが、トランジスタ230及び356を通って流れる最大電流は、それぞれ、1ミリアンペア及び9ミリアンペアに分割することができる。通常動作では、電圧VcmはVmidに近くなるため、したがって、比較器352及び354はオフになる。したがって、トランジスタ356及び358を通って電流は流れない。トランジスタ230及び232を通って流れる電流は、トランジスタ228及び234を通って流れる電流と同じ量である約0.5ミリアンペアとなる。そこで、トランジスタ240及び242を通って流れる静止電流は、約10ミリアンペアとなり、通常動作中の電力の大幅な節約となる。
【0026】
トランジスタ356及び358と組み合わせて電圧比較器352及び354によって実行される適応モードは、必要とされるときにのみ、例えば、BCI事象中に、出力電流能力を増大させるために使用されてもよい。電圧比較器352及び354並びにトランジスタ356及び358を有さないと、トランジスタ240、244、242及び246によって実装される出力電流ドライバは、BCI事象を処理するために、常に、大きな静止電流で動作する必要があるであろう。