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特許7198231スクリュープレスおよびスクリュープレスの洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】スクリュープレスおよびスクリュープレスの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B30B 9/16 20060101AFI20221221BHJP
   B01D 29/17 20060101ALI20221221BHJP
   B01D 29/25 20060101ALI20221221BHJP
   B01D 29/37 20060101ALI20221221BHJP
   B01D 29/66 20060101ALI20221221BHJP
   C02F 11/125 20190101ALI20221221BHJP
【FI】
B30B9/16
B01D29/30 501
B01D29/38 520C
C02F11/125
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020009972
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021115590
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】市川 浩之
(72)【発明者】
【氏名】森本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】板山 倫也
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-051582(JP,A)
【文献】特開2019-214077(JP,A)
【文献】特開昭61-162298(JP,A)
【文献】特開昭61-245999(JP,A)
【文献】特開2017-042781(JP,A)
【文献】実開平05-065494(JP,U)
【文献】特開2007-307526(JP,A)
【文献】特開2010-253536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 9/16
B01D 29/17
B01D 29/25
B01D 29/37
B01D 29/66
C02F 11/125
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体含有物が投入されるろ過筒と、
前記ろ過筒の下方に配置されたろ液受けと、
前記ろ過筒内で、前記ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を所定の移送方向に移送する第1スクリューおよび第2スクリューと、
前記ろ過筒の外側に配置されたろ過筒洗浄装置から噴射された洗浄液を受ける受け部と、
前記受け部で受けた洗浄液を前記ろ液受けに移送する排液管と、を備え、
前記受け部は、前記ろ過筒の排出側端部に隣接して配置されている、スクリュープレス。
【請求項2】
前記スクリュープレスは、前記受け部が連結可能なリング部材を備えており、
前記受け部は、前記リング部材の最下端に形成された連通穴に接続された開口を有している、請求項1に記載のスクリュープレス。
【請求項3】
前記スクリュープレスは、前記受け部の開口を覆う固液分離スクリーンを備えており、
前記固液分離スクリーンは、前記液体含有物から分離された脱水汚泥の通過を許容せず、前記ろ過筒洗浄装置から噴射された洗浄液の通過を許容するように構成されている、請求項1または請求項2に記載のスクリュープレス。
【請求項4】
前記第2スクリューは、前記移送方向において前記第1スクリューの下流側に配置されており、
前記第1スクリューおよび前記第2スクリューは、前記第2スクリューから前記第1スクリューに向かって斜め下方に傾斜している、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のスクリュープレス。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のスクリュープレスの洗浄方法であって、
前記第1スクリューを回転させることにより、前記ろ過筒内の前記液体含有物を前記第2スクリューに移送して、前記第2スクリューのスクリュー軸の周りにプラグケーキを形成し、
前記プラグケーキが形成された状態で、前記ろ過筒洗浄装置を動作させて、前記ろ過筒を洗浄する、方法。
【請求項6】
前記ろ過筒を洗浄した後に、前記第2スクリューの回転により、前記プラグケーキを排出する、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥などの液体含有物を圧搾して該液体含有物から液体を分離するスクリュープレスに関する。さらに、本発明は、スクリュープレスの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下水処理場、し尿処理場などの液体処理施設から排出される汚泥(液体含有物)を圧搾して、該汚泥から水を分離する(すなわち、脱水する)装置として、スクリュープレスが知られている。
【0003】
このスクリュープレスは、スクリーン(多孔板)から形成されたろ過筒と、ろ過筒の内部に配置されたスクリューと、を備える。スクリューは、ろ過筒に投入された汚泥を圧搾し、脱水する。脱水された汚泥(ケーキ)は、ろ過筒の排出側端部から排出される。ケーキは、その含水率ができる限り低下した状態で、ろ過筒の排出側端部から排出されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-253536号公報
【文献】特開2018-51582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スクリューは、汚泥をろ過筒に押し付けることによって、汚泥から水を分離するため、ろ過筒には、目詰まりが起こる可能性がある。そこで、ろ過筒の目詰まりを防止するために、ろ過筒は、定期的に洗浄される。
【0006】
しかしながら、高圧の洗浄液をろ過筒の外側から内側に向けて噴射することによって、ろ過筒を洗浄するため、洗浄液は、ろ過筒を伝って流れる。結果として、洗浄液は、ろ過筒の排出側端部のケーキ排出部から流出するおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、洗浄液のケーキ排出部からの流出を確実に防止することができるスクリュープレスおよびスクリュープレスの洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、液体含有物が投入されるろ過筒と、前記ろ過筒の下方に配置されたろ液受けと、前記ろ過筒内で、前記ろ過筒と同心状に配置され、前記液体含有物を所定の移送方向に移送する第1スクリューおよび第2スクリューと、前記ろ過筒の外側に配置されたろ過筒洗浄装置から噴射された洗浄液を受ける受け部と、前記受け部で受けた洗浄液を前記ろ液受けに移送する排液管と、を備え、前記受け部は、前記ろ過筒の排出側端部に隣接して配置されている、スクリュープレスが提供される。
【0009】
一態様では、前記スクリュープレスは、前記受け部が連結可能なリング部材を備えており、前記受け部は、前記リング部材の最下端に形成された連通穴に接続された開口を有している。
一態様では、前記スクリュープレスは、前記受け部の開口を覆う固液分離スクリーンを備えており、前記固液分離スクリーンは、前記液体含有物から分離された脱水汚泥の通過を許容せず、前記ろ過筒洗浄装置から噴射された洗浄液の通過を許容するように構成されている。
一態様では、前記第2スクリューは、前記移送方向において前記第1スクリューの下流側に配置されており、前記第1スクリューおよび前記第2スクリューは、前記第2スクリューから前記第1スクリューに向かって斜め下方に傾斜している。
【0010】
一態様では、上記スクリュープレスの洗浄方法が提供される。前記第1スクリューを回転させることにより、前記ろ過筒内の前記液体含有物を前記第2スクリューに移送して、前記第2スクリューのスクリュー軸の周りにプラグケーキを形成し、前記プラグケーキが形成された状態で、前記ろ過筒洗浄装置を動作させて、前記ろ過筒を洗浄する。
【0011】
一態様では、前記ろ過筒を洗浄した後に、前記第2スクリューの回転により、前記プラグケーキを排出する。
【発明の効果】
【0012】
スクリュープレスは、洗浄液を受ける受け部と、排液管と、を備えている。したがって、スクリュープレスは、洗浄液のケーキ排出部からの流出を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係るスクリュープレスを示す模式図である。
図2図1に示す第2スクリューの概略断面図である。
図3】洗浄液移送構造体および洗浄装置を示す図である。
図4】洗浄装置を第1スクリューおよび第2スクリューの軸線方向から見た図である。
図5】スクリュープレスの他の実施形態を示す図である。
図6】リング部材に接続された受け部を示す図である。
図7】スクリュープレスのさらに他の実施形態を示す図である。
図8】スクリュープレスの洗浄工程を示すフローチャートである。
図9】第2スクリュー羽根の巻数を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係るスクリュープレスを示す模式図である。図1に示すスクリュープレスは、円筒状のスクリーンケーシング(ろ過筒)1と、スクリーンケーシング1内で、該スクリーンケーシング1と同心状に配置され、汚泥(液体含有物)を所定の移送方向Dに移送する第1スクリュー3および第2スクリュー4と、第1スクリュー3を回転させる第1回転機構7と、第1スクリュー3とは独立に第2スクリュー4を回転させる第2回転機構20と、を備えている。
【0015】
スクリーンケーシング1は、パンチングメタルなどのスクリーン(多孔板)から形成されている。スクリーンケーシング1の上流側端部には、汚泥の投入口2が形成されている。投入口2からスクリーンケーシング1に投入された汚泥は、回転する第1スクリュー3および第2スクリュー4によりスクリーンケーシング1内で所定の移送方向Dに移送される。さらに、スクリュープレスは、第1回転機構7と第2回転機構20の動作を制御する制御部6を有する。
【0016】
第2スクリュー4は、第1スクリュー3とは独立に回転可能なように、第1スクリュー3に連結されている。第1スクリュー3および第2スクリュー4は、スクリーンケーシング1および排出チャンバー33をそれぞれ貫通して延びている。排出チャンバー33は、スクリーンケーシング1に接続されている。この排出チャンバー33に、後述するプラグケーキがスクリーンケーシング1から排出される。第2スクリュー4の軸方向の長さは、第1スクリューの軸方向の長さよりも短い。
【0017】
第1スクリュー3は、汚泥の移送方向Dにおける下流側に向かってその径が徐々に大きくなる円錐台形状(テーパ形状)の第1スクリュー軸3Aと、第1スクリュー軸3Aの外面に固定された第1スクリュー羽根3Bと、を有している。第2スクリュー4は、円筒形状の第2スクリュー軸4Aと、第2スクリュー軸4Aの外面に固定された第2スクリュー羽根4Bと、を有している。第2スクリュー4は、汚泥の移送方向Dにおいて第1スクリュー3の下流側に配置されている。
【0018】
スクリーンケーシング1の上流側の端部は閉塞壁8によって密封されている。第1スクリュー軸3Aの一方の端部(移送方向Dにおける上流側端部)はこの閉塞壁8を貫通して延びている。この閉塞壁8には、該閉塞壁8と第1スクリュー軸3Aとの間の隙間をシールする水封装置10が設置されている。閉塞壁8を貫通して延びる第1スクリュー軸3Aの上流側端部は、ベース(図示せず)に設置された軸受11,12により軸方向の移動を拘束されながら回転自在に支持されている。なお、軸受11,12の一方を省略することができる。
【0019】
第1スクリュー軸3Aの上流側端部は、第1スクリュー3を回転させるための第1回転機構7に連結されている。本実施形態では、第1回転機構7は、第1駆動機(例えば、電動機)14と、第1駆動機14の回転軸に固定されたスプロケット15と、第1スクリュー軸3Aに固定されたスプロケット16と、これらスプロケット15,16に巻きかけられたチェーン17と、を備える。
【0020】
スプロケット16は、上記軸受11,12の間に位置している。第1回転機構7の第1駆動機14を駆動すると、この第1駆動機14の回転軸に固定されたスプロケット15が回転し、チェーン17を介して第1スクリュー軸3Aに固定されたスプロケット16を回転させる。その結果、第1スクリュー3が第1回転機構7により回転させられる。第1駆動機14は、制御部6に接続され、制御部6は、第1駆動機14の動作を制御することができるように構成されている。
【0021】
図示はしないが、第1駆動機14の回転軸を、減速機を介して第1スクリュー軸3Aに連結してもよい。あるいは、第1駆動機14の回転軸を、直接第1スクリュー軸3Aに連結してもよい。
【0022】
図2は、図1に示す第2スクリュー4の概略断面図である。図2に示すように、第2スクリュー軸4Aは、中空構造を有している。第1スクリュー軸3Aの他方の端部(移送方向Dにおける下流側端部)には、円筒形状の第2スクリュー軸4Aに挿入される縮径部3Cが形成されている。
【0023】
縮径部3Cを第1スクリュー軸3Aに形成することによって、第1スクリュー軸3Aには、その軸方向と垂直な壁面3Dが形成される。縮径部3Cは、円筒形状の第2スクリュー軸4Aに挿入され、第2スクリュー軸4Aの内壁4Cに固定されたすべり軸受30,31に回転自在に支持されている。このような構成で、第1スクリュー3は、第2スクリュー4と回転可能に連結される。
【0024】
図1および図2に示すように、第2スクリュー4の第2スクリュー軸4Aは、第1スクリュー軸3Aと同心状に配置される。第2スクリュー軸4Aの外径は第1スクリュー軸3Aの最大径と同一である。第2スクリュー軸4Aには、排出チャンバー33の内壁33Aを貫通して延びる縮径部4Fが形成されている。縮径部4Fを第2スクリュー軸4Aに形成することにより、第2スクリュー軸4Aには、その軸方向と垂直な壁面4Dが形成される。
【0025】
第2スクリュー軸4Aの上流側端部は、上記すべり軸受30,31を介して第1スクリュー軸3Aに回転自在に支持され、第2スクリュー軸4Aの下流側端部は、ベース(図示せず)に設置された軸受22,23により軸方向の移動を拘束されながら回転自在に支持されている。なお、軸受23を省略することができる。
【0026】
第2スクリュー軸4Aの下流側端部は、第2スクリュー4を回転させるための第2回転機構20に連結されている。本実施形態では、第2回転機構20は、第2駆動機(例えば、電動機)24と、第2駆動機24の回転軸に固定されたスプロケット25と、第2スクリュー軸4Aに固定されたスプロケット26と、これらスプロケット25,26に巻きかけられたチェーン27と、を備える。
【0027】
スプロケット26は、軸受22,23の間の位置している。第2回転機構20の第2駆動機24を駆動すると、この第2駆動機24の回転軸に固定されたスプロケット25が回転し、チェーン27を介して第2スクリュー軸4Aに固定されたスプロケット26を回転させる。その結果、第2スクリュー4が第2回転機構20により回転させられる。
【0028】
第2駆動機24は、上記制御部6に接続される。第2駆動機24には、インバータ(図示せず)が内蔵されており、制御部6は、インバータを介して第2駆動機24の動作を制御することができるように構成されている。すなわち、制御部6は、インバータを介して第2駆動機24の回転速度および回転方向を制御することができる。第2駆動機24は、第2スクリュー4を第1スクリュー3とは独立して回転させることが可能である。なお、上記第1駆動機14も、該第1駆動機14の回転速度および回転方向を変更可能なインバータを内蔵していることが好ましい。
【0029】
図示はしないが、第2駆動機24の回転軸を、減速機を介して第2スクリュー軸4Aに連結してもよい。あるいは、第2駆動機24の回転軸を、直接第2スクリュー軸4Aに連結してもよい。
【0030】
第1スクリュー羽根3Bは、第1スクリュー軸3Aの軸方向に沿って螺旋状に延びており、第2スクリュー羽根4Bは、第2スクリュー軸4Aの軸方向に沿って螺旋状に延びている。第1スクリュー羽根3Bが固定されている第1スクリュー3の部分と、第2スクリュー羽根4Bが固定されている第2スクリュー4の部分を合計した長さは、スクリーンケーシング1の軸方向の長さと同一か、または長い。
【0031】
スクリーンケーシング1の内面と第1スクリュー羽根3Bとの間には微小な隙間が形成されており、第1スクリュー羽根3Bはスクリーンケーシング1に接触することなく回転することができるようになっている。同様に、スクリーンケーシング1の内面と第2スクリュー羽根4Bとの間には微小な隙間が形成されており、第2スクリュー羽根4Bはスクリーンケーシング1に接触することなく回転することができるようになっている。
【0032】
スクリーンケーシング1の上流側端部に形成された投入口2からスクリーンケーシング1に投入された汚泥を、回転する第1スクリュー羽根3Bおよび第2スクリュー羽根4Bによって排出チャンバー33に向かって(すなわち、移送方向Dに)移送することができる。
【0033】
本実施形態では、第2スクリュー羽根4Bの巻き方向(すなわち、螺旋方向)は、第1スクリュー羽根3Bの巻き方向とは逆である。したがって、投入口2から投入された汚泥を、排出チャンバー33へ送り出すときは、図1に示すように、第2スクリュー4を第1スクリュー3とは逆方向に回転させることになる。
【0034】
一実施形態では、第2スクリュー羽根4Bの巻き方向を、第1スクリュー羽根3Bの巻き方向と同一にしてもよい。この場合、投入口2から投入された汚泥を、排出チャンバー33へ送り出すときは、第2スクリュー4を第1スクリュー3と同方向に回転させることになる。
【0035】
図1に示すように、スクリーンケーシング1は、第1スクリュー3が配置された脱水領域1Aと、第2スクリュー4が配置されたプラグ形成領域1Bとに分割される。脱水領域1Aで汚泥が移送される空間は、スクリーンケーシング1の内面と、第1スクリュー羽根3Bと、第1スクリュー軸3Aと、によって形成される。
【0036】
この移送空間の断面積は、図1に示すように、汚泥の移送方向Dに沿って漸次減少する。したがって、投入口2から投入された汚泥がこの移送空間を第1スクリュー羽根3Bによって移送されるに従って、汚泥は圧搾され、脱水される。スクリーンケーシング1のスクリーン(多孔板)を通過したろ液は、スクリーンケーシング1の下方に配置されたろ液受け38によって回収される。ろ液受け38には、ドレイン39が接続されており、ろ液受け38によって回収されたろ液は、ドレイン39を介してスクリュープレスから排出される。
【0037】
プラグ形成領域1Bで汚泥が移送される空間は、スクリーンケーシング1の内面と、第2スクリュー羽根4Bと、第2スクリュー軸4Aとによって形成される。図1に示すように、この移送空間の断面積は一定である。プラグ形成領域1Bでは、脱水領域1Aで脱水された汚泥(すなわち、ケーキ)によって、プラグケーキが形成される。プラグケーキを形成する方法については後述する。
【0038】
上述したように、汚泥からろ液を分離すると、スクリーンケーシング1には、目詰まりが起こる可能性があるため、スクリーンケーシング1は、定期的に洗浄される。スクリーンケーシング1の洗浄によって、洗浄液が排出チャンバー33(言い換えれば、ケーキ排出部)から流出すると、洗浄液は、排出チャンバー33から排出されたケーキ(すなわち、排出ケーキ)に混入するおそれがある。結果として、排出ケーキの含水率が高くなってしまう。ケーキの処分にかかるコストを低下させる観点から、排出チャンバー33から排出されたケーキは、その含水率ができる限り低下した状態で、スクリュープレスの外部に搬送されることが望ましい。
【0039】
そこで、本スクリュープレスは、スクリーンケーシング1の排出側端部110に隣接して配置された洗浄液移送構造体100を備えている。洗浄液移送構造体100は、スクリーンケーシング1を洗浄する洗浄液を移送する構造を有している。以下、洗浄液移送構造体100の構造およびスクリーンケーシング1を洗浄する洗浄装置(すなわち、ろ過筒洗浄装置)の構造について、図面を参照して説明する。
【0040】
図3は、洗浄液移送構造体100および洗浄装置150を示す図である。図4は、洗浄装置150を第1スクリュー3および第2スクリュー4の軸線方向CLから見た図である。図4では、第1スクリュー羽根3Bおよび第2スクリュー羽根4Bの図示は省略されている。
【0041】
図3に示すように、洗浄液移送構造体100は、洗浄装置150から噴射された洗浄液を受ける受け部101と、受け部101に回収された洗浄液をろ液受け38に移送する排液管102と、を備えている。図3に示す実施形態では、受け部101は、排出チャンバー33の内壁33Aに取り付けられており、第2スクリュー軸4Aの壁面4Dの下方に配置されている。図3に示す実施形態では、第2スクリュー羽根4Bは、第2スクリュー軸4Aの壁面4Dまで延びており、第2スクリュー羽根4Bの後端4B-1は、第2スクリュー軸4Aの壁面4Dに接続されている。
【0042】
排液管102の一端は、受け部101の下部に接続されており、他端は、排出チャンバー33の内壁33Aを貫通して、ろ液受け38の上方に配置されている。したがって、受け部101に回収された洗浄液は、排液管102を通じて、ろ液受け38に移送され、ドレイン39を通じて、スクリュープレスから排出される。
【0043】
図3および図4に示すように、洗浄装置150は、スクリーンケーシング1の外側(より具体的には、半径方向外側)に配置された複数の洗浄ノズル152を備えている。図4に示す実施形態では、複数の洗浄ノズル152がスクリーンケーシング1の周方向に沿って等間隔に配置されている。洗浄ノズル152の数は、図4に示す実施形態には限定されない。少なくとも1つの洗浄ノズル152が配置されてもよい。図4に示す実施形態では、複数の洗浄ノズル152は、洗浄液が供給される洗浄液供給管(図示しない)に接続されており、各洗浄ノズル152の噴射口は、スクリーンケーシング1を向いている。
【0044】
洗浄装置150が動作されると、洗浄液は、スクリーンケーシング1の外側から内側に向かって噴射され、スクリーンケーシング1に形成された多数の孔から汚泥を除去する。洗浄装置150(より具体的には、洗浄ノズル152)は、洗浄液が噴射された状態で、軸線方向CLに沿って移動し、スクリーンケーシング1の全体を洗浄する。
【0045】
図3に示すように、スクリュープレスを、汚泥からろ液を分離するろ液分離領域B1と、脱水された汚泥が排出される汚泥排出領域B2と、に分割した場合、受け部101は、汚泥排出領域B2に配置されており、排液管102は、汚泥排出領域B2からろ液分離領域B1に向かって延びている。このような構造を有する洗浄液移送構造体100は、受け部101によって、スクリーンケーシング1を流れる洗浄液を受け、排液管102によって、受け部101に受けられた洗浄液を汚泥排出領域B2からろ液分離領域B1に戻すことができる。
【0046】
図5は、スクリュープレスの他の実施形態を示す図である。本実施形態において、上述した実施形態と同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略する。図5に示すように、スクリュープレスは、受け部101が接続可能なリング部材50を備えてもよい。リング部材50は、第2スクリュー4の壁面4Dを取り囲むように、排出チャンバー33の内壁33Aに固定されている。図5に示す実施形態では、第2スクリュー4の第2スクリュー羽根4Bの後端4B-1は、リング部材50から突出していない。一実施形態では、ケーキを排出チャンバー33に確実に排出するために、第2スクリュー羽根4Bの後端4B-1は、リング部材50から突出してもよい。
【0047】
図6は、リング部材50に接続された受け部101を示す図である。図5および図6に示すように、洗浄液移送構造体100の受け部101は、リング部材50の最下端50aに連結されている。図5および図6に示す実施形態では、洗浄液移送構造体100は、受け部101の開口101aを覆う固液分離スクリーン103を備えている。固液分離スクリーン103の一例として、網部材または多孔板(例えば、パンチングメタル)を挙げることができる。
【0048】
リング部材50の最下端50aには、洗浄液が流れる連通穴51が形成されており、受け部101の開口101aは、リング部材50の連通穴51に接続されている。洗浄装置150から噴射された洗浄液は、リング部材50の最下端50aに集められ、連通穴51を通じて、受け部101に回収される。固液分離スクリーン103は、汚泥から分離されたケーキを捕捉しつつ、洗浄液の通過を許容する。
【0049】
したがって、洗浄液は、固液分離スクリーン103を通過し、その後、排液管102を通じて、ろ液受け38まで移送される。固液分離スクリーン103は、汚泥から分離されたケーキの通過を許容しないため、このケーキは、排出チャンバー33から排出される。一実施形態では、固液分離スクリーン103を備えた洗浄液移送構造体100は、図1乃至図4に示す実施形態に適用されてもよい。
【0050】
図7は、スクリュープレスのさらに他の実施形態を示す図である。本実施形態において、上述した実施形態と同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略する。図7に示す実施形態では、第1スクリュー3および第2スクリュー4は、第2スクリュー4から第1スクリュー3に向かって斜め下方に傾斜している。スクリーンケーシング1も第1スクリュー3および第2スクリュー4と同じ傾斜角度で傾斜している。図7に示す実施形態では、スクリュープレスの全体が斜め下方に傾斜している。
【0051】
図7に示す実施形態では、洗浄装置150から噴射された洗浄液は、第1スクリュー3に向かって、すなわち、移送方向Dとは反対方向に、積極的に流れるため、スクリュープレスは、受け部101に回収される洗浄液の量を減らすことができる。なお、図7に示す実施形態においても、洗浄液移送構造体100は、固液分離スクリーン103を備えてもよい(図5および図6参照)。
【0052】
次に、上述した実施形態に係るスクリュープレスの洗浄方法について、図面を参照して説明する。図8は、スクリュープレスの洗浄工程を示すフローチャートである。図8のステップS101に示すように、制御部6は、第2スクリュー4を停止させた状態で、第1回転機構7を駆動させて第1スクリュー3を回転させる。次いで、投入口2(図1参照)から汚泥をスクリーンケーシング1内に投入する。投入口2から投入された汚泥は、その場に滞ることなく、回転する第1スクリュー羽根3Bによって第2スクリュー4に向かって(すなわち、移送方向Dに)移送される。
【0053】
脱水領域1Aを移送されるに従って汚泥は圧搾され、汚泥に含まれる液体はスクリーンケーシング1によってろ過される。汚泥がスクリーンケーシング1の脱水領域1Aを移送される間に、汚泥は脱水されてケーキとなり、第2スクリュー4が配置されたプラグ形成領域1Bに送り込まれる。
【0054】
運転当初は、第2スクリュー4は回転していない(すなわち、停止している)ので、プラグ形成領域1B内のケーキは排出チャンバー33に排出されず、該プラグ形成領域1Bに滞留する。ケーキは第2スクリュー4上に徐々に蓄積され、脱水領域1Aからプラグ形成領域1Bに移送される汚泥(以下、「後続のケーキ」と称する)によって第2スクリュー羽根4Bに押し付けられる。
【0055】
プラグ形成領域1B内のケーキは、第2スクリュー羽根4Bによって移動を妨げられることで圧搾され、低含水率のケーキとなる。この低含水率のケーキが、後続のケーキの移動を妨げるプラグケーキを形成する(図8のステップS102参照)。第2スクリュー軸4Aの周りに形成されたプラグケーキによって、後続のケーキには背圧が加えられ、該後続のケーキはさらに圧搾される。プラグ形成領域1Bでプラグケーキから分離された液体は、ろ液受け38によって回収され、ドレイン39を介してスクリュープレスから排出される。
【0056】
スクリュープレスの運転が継続されるにしたがって、プラグケーキは、第2スクリュー軸4Aの全周に亘って均一に形成される。その結果、後続のケーキを確実に堰き止めるプラグケーキが第2スクリュー軸4Aの周りに形成される。したがって、後続のケーキの含水率が高い場合でも、プラグ形成領域1Bに形成されたプラグケーキによって、後続のケーキを確実に堰き止めることができるので、後続のケーキの片流れを防止することができる。この「片流れ」とは、プラグケーキよりも高い含水率を有する後続のケーキがプラグ形成領域1Bをそのまま通過して排出チャンバー33に排出されてしまうことを意味する。
【0057】
プラグケーキを形成した後、図8のステップS103に示すように、制御部6は、第2回転機構20を駆動させて、第2スクリュー4を回転させ、洗浄装置150を駆動する。その後、制御部6は、洗浄装置150の洗浄ノズル152から洗浄液を噴射した状態で、洗浄装置150を、スクリーンケーシング1の排出側端部110まで、軸線方向CLに移動させる。
【0058】
このようにして、洗浄装置150は、スクリュープレスの運転中において、スクリーンケーシング1を洗浄する(ステップS104参照)。より具体的には、制御部6は、第2スクリュー4を第1スクリュー3の回転方向とは逆方向に回転させ、第2スクリュー羽根4Bによってプラグケーキを少しずつ排出チャンバー33から排出しつつ、洗浄装置150を動作させて、スクリーンケーシング1を洗浄する。
【0059】
図8に示す実施形態では、洗浄装置150は、プラグケーキが形成された状態でスクリーンケーシング1を洗浄するため、洗浄液の通過は、プラグケーキによって阻害される。したがって、このように、プラグケーキを形成した状態で、スクリーンケーシング1を洗浄する方法は、洗浄液の排出ケーキへの混入、すなわち、洗浄液の排出チャンバー33からの流出を確実に防止することができる。
【0060】
図8に示す実施形態では、プラグケーキを形成した状態で、スクリュープレスの運転中にスクリーンケーシング1を洗浄する方法について説明したが、一実施形態では、プラグケーキを形成した状態で、スクリュープレスの運転終了時にスクリーンケーシング1の洗浄を実行してもよい。この場合、制御部6は、必ずしも、第1スクリュー3および第2スクリュー4を回転させた状態で、洗浄装置150を動作させる必要はなく、プラグケーキを形成した後、第1スクリュー3および第2スクリュー4を停止した状態で、洗浄装置150を動作させてもよい。この場合、制御部6は、スクリーンケーシング1を洗浄した後に、第2スクリュー4を回転させて、プラグケーキを排出チャンバー33から排出する。
【0061】
一実施形態では、プラグケーキを形成せずに、スクリーンケーシング1を洗浄してもよい。この場合、制御部6は、洗浄液を噴射させつつ、洗浄装置150を軸線方向に移動させて、第2スクリュー羽根4Bの最後の1巻きの手前で、洗浄液の噴射および洗浄装置150の移動の少なくとも1つの動作を停止させる。以下、スクリュー羽根の巻線について、図面を参照して説明する。
【0062】
図9は、第2スクリュー羽根4Bの巻数を説明するための模式図である。図9に示すように、螺旋状に延びる第2スクリュー羽根4Bの巻数は、該第2スクリュー羽根4Bが始点S1から点S2まで第1スクリュー軸4Aの周りを360°進んだときに、1巻きとカウントする。図9に示す第2スクリュー4では、第2スクリュー羽根4Bの巻数は、2巻きである。したがって、図9では、制御部6は、点S2の位置で、洗浄液の噴射および洗浄装置150の移動の少なくとも1つの動作を停止させる。
【0063】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 スクリーンケーシング
1A 脱水領域
1B プラグ形成領域
2 投入口
3 第1スクリュー
3A 第1スクリュー軸
3B 第1スクリュー羽根
3C 縮径部
3D 壁面
4 第2スクリュー
4A 第2スクリュー軸
4B 第2スクリュー羽根
4B-1 後端
4C 内壁
4D 壁面
4F 縮径部
6 制御部
7 第1回転機構
8 閉塞壁
10 水封装置
11,12 軸受
14 第1駆動機
15,16 スプロケット
17 チェーン
20 第2回転機構
22,23 軸受
24 第2駆動機
25,26 スプロケット
27 チェーン
30,31 すべり軸受
33 排出チャンバー
38 ろ液受け
39 ドレイン
50 リング部材
50a 最下端
51 連通穴
100 洗浄液移送構造体
101 受け部
101a 開口
102 排液管
103 固液分離スクリーン
110 排出側端部
150 洗浄装置
152 洗浄ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9