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  • 特許-入退室管理システム及び入退室管理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】入退室管理システム及び入退室管理方法
(51)【国際特許分類】
   G07C 1/00 20060101AFI20221221BHJP
【FI】
G07C1/00 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020024791
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021128727
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬幸
(72)【発明者】
【氏名】瀧下 裕明
(72)【発明者】
【氏名】寺端 郁美
(72)【発明者】
【氏名】毛塚 隆文
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-286912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
区画への入退室を管理する入退室管理システムであって、
複数の前記区画に対する入退室の履歴を勤務者ごとに蓄積する入退室履歴蓄積部と、
前記勤務者について、勤務の開始時刻及び終了時刻を勤務時刻情報として勤怠管理装置から取得する勤務時刻情報取得部と、
同一の勤務者に係る前記入退室の履歴と前記勤務時刻情報とに基づいて、規定の時間を超えて前記区画に所在した時間を超過在室時間として算出する超過在室時間算出部と、
前記複数の区画のレイアウトを表示するとともに、各区画の表示態様を前記超過在室時間に基づいて異なる態様で出力する表示制御部と
を備えた入退室管理システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記区画に対応付けて前記勤務者を示す記号を表示し、前記勤務者を示す記号の近傍に前記超過在室時間を表示する請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記勤務者の所属する組織単位で前記超過在室時間に基づく表示を行い、いずれかの組織が選択された場合には選択された組織の勤務地単位で前記超過在室時間に基づく表示を行い、いずれかの勤務地が選択された場合には選択された勤務地の階床単位で前記超過在室時間に基づく表示を行い、いずれかの階床が選択された場合には選択された階床の部屋単位で前記超過在室時間に基づく表示を行う請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項4】
前記超過在室時間算出部により算出される前記超過在室時間は、規定の勤務時間を超えて在室しているが申請した残業時間の範囲内である申請内残業と、申請によらず、もしくは申請した残業時間を超えて在室する超過残業とを含む請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項5】
前記超過在室時間算出部は、前記超過残業における各区間への所在時間を管理する請求項4に記載の入退室管理システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、いずれかの区画に所在中の勤務者については所在する区画に対応付けて表示し、区画にいない勤務者については最も長く所在した区画に対応付けて表示制御する請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記勤務者が職制上適切な区画に所在するか否かをさらに表示制御する請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項8】
区画への入退室を管理する入退室管理方法であって、
複数の前記区画に対する入退室の履歴を勤務者ごとに蓄積する入退室履歴蓄積ステップと、
前記勤務者について、勤務の開始時刻及び終了時刻を勤務時刻情報として勤怠管理装置から取得する勤務時刻情報取得ステップと、
同一の勤務者に係る前記入退室の履歴と前記勤務時刻情報とに基づいて、規定の時間を超えて前記区画に所在した時間を超過在室時間として算出する超過在室時間算出ステップと、
前記複数の区画のレイアウトを表示するとともに、各区画の表示態様を前記超過在室時間に基づいて異なる態様で出力する表示制御ステップと
を含む入退室管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、区画への入退出を管理する入退出管理システム及び入退室管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的にIDカードや生体認証による入退出管理システムは、ある時間帯に誰が入室したかを記録したり、扉自動施錠といったセキュリティ目的で利用される。また、勤休管理システムは、例えば就業者個人PCのログイン時間を勤務時間として算出している。
【0003】
特許文献1には、自己申告された残業開始時間・終了時間と、入退室管理手段による最も早い入室時間と最も遅い退室時間とを比較し、時間差が所定以上であれば管理者に通知する機能が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-286912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された技術は、自己申告を逸脱した残業を通知するに過ぎない。勤務実態の適正化を行うには、不適正な勤務が発生した事実を単に管理者に通知するのみでは不十分であり、不適正な残業の発生状況を管理者に効率的に認識させることが重要となる。
【0006】
例えば、不適正な残業がどの区画でどの程度発生しているか、不適正な残業が発生している区画と他の区画の位置関係などを残業の履歴から読み取ることが勤務実態の改善に有効である。このような情報の読み取りを全て管理者が行うこととすれば、管理者の負担が過大となる。
【0007】
そこで、本発明では、残業に係る情報の取捨選択、加工、分析を行って、残業の発生状況を管理者に効率的に認識させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明によれば、複数の区画に対する入退室の履歴を勤務者ごとに蓄積し、勤務者の勤務の開始時刻及び終了時刻を勤務時刻情報として勤怠管理装置から取得し、同一の勤務者に係る入退室の履歴と勤務時刻情報とに基づいて、規定の時間を超えて区画に所在した時間を超過在室時間として算出し、複数の区画のレイアウトを表示するとともに、各区画の表示態様を超過在室時間に基づいて異なる態様で出力する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、残業の発生状況を管理者に効率的に認識させることが可能となる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態による表示制御についての説明図である。
図2】本発明の一実施形態に係る入退出管理システムの構成図である。
図3】勤務時間外在室管理装置として動作するコンピュータの構成図である。
図4】本発明の一実施形態に係る勤務時間外在室管理の管理テーブルの構成例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る勤務時間外在室管理装置の動作フローチャート(管理プロセス(常時動作))である。
図6】本発明の一実施形態に係る表示プロセス(管理者が定時後に起動して管理)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による表示制御についての説明図である。詳細については後述するが、本実施形態に係る入退室管理システムは、複数の区画に対する入退室の履歴を勤務者ごとに蓄積し、規定の時間を超えて区画に所在した時間を超過在室時間として算出する。そして、複数の区画のレイアウトを表示するとともに、各区画の表示態様を超過在室時間に基づいて異なる表示態様で出力する。ここで、レイアウトとは、複数の区画がどのように配置されているか、すなわち区画の位置関係を示すものである。
【0012】
図1では、建物表示として、超過在室時間の合計値が大きい階床(フロア)を他の階床とは異なる表示態様で示している。具体的には、建物の4階で超過在室時間の合計値が大きい場合を示している。
【0013】
建物表示でいずれかの階床を選択すると、入退室管理システムは、選択された階床の平面図を表示するフロア表示を行う。フロア表示では、階床は部屋で区切られており、部屋の表示態様が超過在室時間に基づいて異なっている。
【0014】
図1では、エリアAとエリアBの2つの部屋を示している。エリアAとエリアBの出入口には、IDカードリーダー11が設置されている。IDカードリーダー11は、勤務者のIDカードがかざされると、IDカードから認証IDを読み取って出入口を開錠する。IDカードリーダー11は、出入口の外側と内側に設置されている。出入口の外側に設置されたIDカードリーダー11が読み取った認証IDは、入室履歴として用いられ、出入口の内側に設置されたIDカードリーダー11が読み取った認証IDは、退室履歴として用いられる。
【0015】
エリアBは、エリアAの内側に位置する。このため、エリアBに出入りするためには、エリアAを通過する必要がある。
【0016】
フロア表示では、入退室管理システムは、部屋に対応付けて勤務者を示す記号を表示し、勤務者を示す記号の近傍に超過在室時間を表示している。また、超過在室時間には、規定の勤務時間を超えて在室しているが申請した残業時間の範囲内である申請内残業と、申請によらず、もしくは申請した残業時間を超えて在室する超過残業とを含め、これらを識別可能に表示する。一例として、残業時間の表示の色を異ならせればよい。図1では、便宜上、超過残業を斜字で記して申請内残業と区別する。
【0017】
さらに、フロア表示では、区画に所在中の勤務者と、区画にいない勤務者(例えば、超過残業後に帰宅済みの勤務者)について各々勤務者を示す記号を表示し、これらを識別可能な表示態様とする。例えば、区画に所在中の勤務者を黒色の人型記号で示し、区画にいない勤務者勤務者を白色の人型記号で示す。区画に所在中の勤務者の人型記号は、所在中の区画の中に表示する。すなわち、その勤務者が現在どこに居るかが示される。区画にいない勤務者の人型記号は、超過残業のうちもっとも長い時間所在した区画の中に表示する。
【0018】
また、図1では、超過在室時間の表示に係る背景色を、対応する勤務者の職制に応じた区画の背景色としている。このため、勤務者が不適切な区画に所在していれば、超過在室時間の背景色と区画の背景色とが不一致となり、勤務者の職制と区画の不整合が明示される。
【0019】
図1では、建物表示からフロア表示に遷移する場合を示したが、他の階層をさらに含めてもよい。例えば、勤務者の所属する組織単位で超過在室時間に基づく表示を行い、いずれかの組織が選択された場合には選択された組織の勤務地単位で超過在室時間に基づく表示を行い、いずれかの勤務地が選択された場合には選択された勤務地の建物の階床単位で超過在室時間に基づく表示(建物表示)を行い、いずれかの階床が選択された場合には選択された階床の部屋単位で超過在室時間に基づく表示(フロア表示)を行ってもよい。すなわち、フロア表示では部屋が特許請求の範囲における「区画」に該当し、建物表示では階床が特許請求の範囲における「区画」に該当する。同様に、建物や組織を区画として用いた表示制御が可能である。また、フロア表示などから超過在室に係る一覧表示に移行できてもよい。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係る入退出管理システムの構成図である。図2に示すように、入退室管理システムは、1又は複数の入退室管理装置10、勤怠管理装置20、勤務時間外在室管理装置30、を包含する。
勤務時間外在室管理装置30には、管理者使用端末31、入退室管理装置10、勤怠管理装置20が接続されている。
入退室管理装置10は、例えば建物ごとに設置され、建物内の複数のIDカードリーダー11が接続されている。
勤怠管理装置20は、例えば組織ごとに設置され、その組織の勤務者である従業員が使用する複数の従業員使用端末21が接続されている。
【0021】
IDカードリーダー11は、組織が使用する建物内の各部屋に出入りするための扉近傍に設けられる。扉の外側には、入室検知のための入室用カードリーダーとしてのIDカードリーダー11が設置され、扉の内側には、退室検知のための退室用カードリーダーとしてのIDカードリーダー11が設置されている。そして、IDカードリーダー11で読み取られた認証IDは入退室管理装置10へ送信される。また、勤務者は、認証IDが格納されているICカードであるIDカードを各々所持している。
勤怠管理装置20は、従業員使用端末21から勤務者の始業終業時刻を取得する。始業終業時刻は、勤務の開始時刻及び終了時刻を示すものであり、特許請求の範囲における勤務時刻情報に対応する。また、勤怠管理装置20は、従業員使用端末21から残業申請情報を取得する。残業申請情報は、勤務者の識別情報、日付、残業の予定時間を示す。
勤務時間外在室管理装置30は、超過在室時間算出部43と、記憶装置33とを有する。記憶装置33は、従業員リスト33A及び管理テーブル33Bを記憶する。従業員リスト33Aは、勤務者である従業員の識別情報、認証ID、氏名、職制などを示す。管理テーブル33Bは、勤務者ごとの始業終了時刻、入退室履歴、残業申請時間、在室の有無、区画別の所在時間などを示す。
【0022】
超過在室時間算出部43は、入退室管理装置10の入退室時刻と、勤怠管理装置20の始業終業時刻と残業申請情報から、超過在室時間を算出し、在室の有無を状態フラグに設定する。この状態フラグと残業申請時間を用い、管理者使用端末31にて「通常勤務中」、「超過勤務中」、「超過勤務警告」などのアイコンを表示する。
管理者使用端末31は、勤務者の管理を行う管理者が使用する端末である。
【0023】
図1において、勤務時間外在室管理装置30は、サービス提供者側に帰属する。これに対し、入退室管理装置10、IDカードリーダー11、勤怠管理装置20、従業員使用端末21、管理者使用端末31は、顧客側に帰属する。
【0024】
図3は、勤務時間外在室管理装置30として動作するコンピュータの構成図である。コンピュータ50は、CPU51、メモリ52、通信インターフェイス53、接続インターフェイス54、記憶装置33を有する。コンピュータ50は、接続インターフェイス54を介して、表示部55及び入力部56と接続する。表示部55は、液晶ディスプレイなどであり、入力部はキーボードなどである。
【0025】
通信インターフェイス53は、入退室管理装置10、勤怠管理装置20、管理者使用端末31などとの通信に使用される。複数の記憶装置33は、すでに説明したように、従業員リスト33Aや管理テーブル33Bなどを記憶する。
【0026】
CPU51は、入退室履歴蓄積部41、勤務時刻情報取得部42、超過在室時間算出部43及び表示制御部44として機能するプログラムをメモリ52に展開して実行する。
【0027】
入退室履歴蓄積部41は、複数の区画に対する入退室の履歴を勤務者ごとに蓄積する。具体的には、入退室履歴蓄積部41は、入退室管理装置10の入退室時刻を取得して管理テーブル33Bに登録することで、入退室の履歴を管理する。
【0028】
勤務時刻情報取得部42は、勤怠管理装置20から始業終業時刻と残業申請情報を取得して管理テーブル33Bに登録する。
【0029】
超過在室時間算出部43は、同一の勤務者に係る入退室の履歴と始業終業時刻に基づいて、規定の時間を超えて区画に所在した時間を超過在室時間として算出する。この超過在室時間算出部43により算出される超過在室時間は、規定の勤務時間を超えて在室しているが申請した残業時間の範囲内である申請内残業と、申請によらず、もしくは申請した残業時間を超えて在室する超過残業とを含む。さらに、超過在室時間算出部43は、超過残業における各区間への所在時間を管理する。
【0030】
表示制御部44は、複数の区画のレイアウトを表示するとともに、各区画の表示態様を超過在室時間に基づいて異なる表示態様で出力する。表示制御部44は、区画に対応付けて勤務者を示す記号を表示し、勤務者を示す記号の近傍に超過在室時間を表示することができる。
【0031】
また、表示制御部44は、勤務者の所属する組織単位で超過在室時間に基づく表示を行い、いずれかの組織が選択された場合には選択された組織の勤務地単位で超過在室時間に基づく表示を行い、いずれかの勤務地が選択された場合には選択された勤務地の建物の階床単位で超過在室時間に基づく表示を行い、いずれかの階床が選択された場合には選択された階床の部屋単位で超過在室時間に基づく表示を行うことができる。
【0032】
また、表示制御部44は、いずれかの区画に所在中の勤務者については所在する区画に対応付けて表示し、区画にいない勤務者については最も長く所在した区画に対応付けて表示制御することができる。また、表示制御部44は、勤務者が職制上適切な区画に所在するか否かをさらに表示制御することができる。
【0033】
図4に、本発明の一実施形態に係る勤務時間外在室管理の管理テーブルの構成例を示す。この管理テーブルは、従業員ごとに生成され、管理される。テーブルの構成要素として、テーブル内でのレコードの識別情報である番号(No)MA1、日付MA2、最も早い入室時刻MA3、始業時間MA4、終業時間MA5、残業申請MA6、最も遅い退室時刻MA7、状態フラグMA8、エリア1在室時間MA9、エリアN在室時間MA10、が設けられている。
管理テーブルにおけるレコードのパターンとして、No.1に通常業務の場合のレコード、No.2に残業申請した場合のレコード、No.3に残業申請せずエリア1に長時間在室し帰宅した場合のレコード、No.4に残業申請せずエリア1に在室中の場合のレコードを示す。
【0034】
図5に、本発明の一実施形態に係る勤務時間外在室管理装置の動作フローチャート(管理プロセス(常時動作))を示す。
まず、勤務時間外在室管理装置30は、従業員を従業員リストから選択する(SA1)。次に、入退室管理装置10より入退室時刻を取得する(SA2)。次に、勤怠管理装置20より始業終業時刻を取得する(SA3)。次に、現在時刻を取得する(SA4)。現在時刻が定時内の場合(SA5のYES)には、ステップSA1に戻る。次に、現在時刻が定時内でない場合(SA5のNO)には、ステップSA6に進む。ステップSA6で、残業申請の有無を判定する。残業申請がない場合(SA6のNO)には、ステップSA8へ進む。残業申請がある場合(SA6のYES)には、ステップSA7へ進む。スッテプSA7で、残業申請時間内であるかを判定する。残業申請時間内の場合(SA7のYES)には、ステップSA1に戻る。次に、残業申請時間内でない場合(SA7のNO)には、ステップSA8に進む。ステップSA8で、超過在室時間を算出する(SA8)。次に、入退室管理装置10より最新認証情報を入手する(SA9)。次に、退室している場合(SA10のYES)には、状態フラグを帰宅に設定し(SA11)、ステップSA1に戻る。退室していない場合(SA10のNO)には、状態フラグを在室に設定する(SA12)。次に、最新入室情報より在室エリアを決定する(SA13)。最後に、当該エリアの在室時間を増加し(SA14)、ステップSA1に戻る。
【0035】
図6に、本発明の一実施形態に係る表示プロセス(管理者が定時後に起動して管理)を示す。まず、勤務時間外在室管理装置30は、従業員を従業員リストから選択する(SB1)。次に、現在時刻を取得する(SB2)。次にステップSB3で、状態フラグは在室かを判定する。状態フラグは在室ではない場合(SB3のNO)には、ステップSB11へ進む。ステップSB11は後述する。状態フラグは在室である場合(SB3のYES)には、最新入室情報より在室エリアを決定する(SB4)。次に、ステップSB5で、残業申請時間内であるかを判定する。残業申請時間内の場合(SB5のYES)には、通常勤務中アイコン(黒)を在室エリアにプロットする(SB6)。次に、残業時間をアイコンのそばにプロットする(SB7)。次に、ステップSB8で、すべての従業員を選択したかを判定する。すべての従業員を選択していない場合(SB8のNO)には、ステップSB1に戻る。すべての従業員を選択している場合(SB8のYES)には、終了とする。
また、残業申請時間内でない場合(SB5のNO)には、超過勤務中アイコン(赤)を在室エリアにプロットする(SB9)。次に、超過勤務時間をアイコンのそばにプロットする(SB10)。次に、ステップSB8に進む。
一方、ステップSB11でも、残業申請時間内であるかを判定する。残業申請時間内の場合(SB11のYES)には、ステップSB8に進む。残業申請時間内でない場合(SB11のNO)には、エリアごとに在室時間を集計する(SB12)。次に、最も在室時間が多いエリアを特定する(SB13)。次に、超過勤務警告アイコン(黄色)を当該エリアにプロットする(SB14)。次に、超過勤務時間をアイコンのそばにプロットする(SB15)。次に、ステップSB8に進む。
【0036】
上述してきたように、本実施形態によれば、区画への入退室を管理する入退室管理システムにおいて、複数の区画に対する入退室の履歴を勤務者ごとに蓄積し、勤務者について、勤務の開始時刻及び終了時刻を勤務時刻情報として勤怠管理装置から取得し、同一の勤務者に係る入退室の履歴と勤務時刻情報とに基づいて、規定の時間を超えて区画に所在した時間を超過在室時間として算出する。そして、複数の区画のレイアウトを表示するとともに、各区画の表示態様を超過在室時間に基づいて異なる表示態様で出力する。
このため、残業の発生状況を管理者に効率的に認識させることができる。
【0037】
また、区画に対応付けて勤務者を示す記号を表示し、勤務者を示す記号の近傍に超過在室時間を表示することで、区画と勤務者の関係を効果的に認識させることができる。
また、勤務者の所属する組織単位で超過在室時間に基づく表示を行い、いずれかの組織が選択された場合には選択された組織の勤務地単位で超過在室時間に基づく表示を行い、いずれかの勤務地が選択された場合には選択された勤務地の建物の階床単位で超過在室時間に基づく表示を行い、いずれかの階床が選択された場合には選択された階床の部屋単位で超過在室時間に基づく表示を行うことで、表示の態様を円滑に切り替えることができる。
【0038】
また、超過在室時間としては、規定の勤務時間を超えて在室しているが申請した残業時間の範囲内である申請内残業と、申請によらず、もしくは申請した残業時間を超えて在室する超過残業とを含むことができ、これらの同時且つ識別可能に表示することができる。
また、超過残業における各区間への所在時間を管理し、表示することができる。
【0039】
また、いずれかの区画に所在中の勤務者については所在する区画に対応付けて表示し、区画にいない勤務者については最も長く所在した区画に対応付けて表示制御することができる。
また、勤務者が職制上適切な区画に所在するか否かをさらに表示制御することができる。
【0040】
このように、残業に係る多様な情報の取捨選択、加工、分析を行って、残業の発生状況を管理者に効率的に認識させることは、勤務実態の適正化に寄与する。例えば、超過残業の多い区画に掲示を行えば、対象者に効率的に勧告を行うことができる。また、区画のレイアウト変更、職制の見直しなどの指針として用いることで勤務の合理化を図ることも可能である。
【0041】
なお、上述の実施形態は、あくまで一例であり、適宜変形して実施することができる。例えば、上述の実施形態では、勤務時間外在室管理装置30が表示画面を生成して管理者使用端末31に表示させる構成を例示したが、管理者使用端末31が勤務時間外在室管理装置30から取得した情報をもとに表示画面を生成する構成であってもよい。また、勤務時間外在室管理装置30自体が表示出力を行うことも可能である。
【0042】
さらに、上述の実施形態では、区画にいない勤務者については超過残業を行って帰宅済みの勤務者のみを表示する場合を例示したが、申請内で残業を終えて帰宅した勤務者や、残業を行わずに帰宅した勤務者を表示することも可能である。このとき、帰宅した勤務者について申請内の残業時間を表示してもよく、残業を行わなかった勤務者については残業時間をゼロとして表示してもよい。
【0043】
また、フロア表示において、部署で区切る、上位職制より並べるなど、適宜表示の形式を変更することが可能である。また、リスト表示からフロア表示など表示の推移も任意に設定可能である。
【0044】
また、上述の実施形態では、1日の残業時間を例に説明を行ったが、週単位、月単位、年単位などで任意に集計してよい。このとき、他の勤務地での残業時間も合算して表示することができる。
【0045】
このように、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
【符号の説明】
【0046】
10:入退室管理装置、11:IDカードリーダー、20:勤怠管理装置、21:従業員使用端末、30:勤務時間外在室管理装置、31:管理者使用端末、33:記憶装置、33A:従業員リスト、33B:管理テーブル、41:入退室履歴蓄積部、42:勤務時刻情報取得部、43:超過在室時間算出部、44:表示制御部、50:コンピュータ、51:CPU、52:メモリ、53:通信インターフェイス、54:接続インターフェイス、55:表示部、56:入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6