(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】昇降機故障復旧支援システム及び昇降機故障復旧支援方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/02 20060101AFI20221221BHJP
B66B 5/00 20060101ALI20221221BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20221221BHJP
【FI】
B66B5/02 S
B66B5/00 G
B66B3/00 R
B66B3/00 U
(21)【出願番号】P 2020030054
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2022-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五嶋 匡
(72)【発明者】
【氏名】厚沢 輝佳
(72)【発明者】
【氏名】野中 久典
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-167957(JP,A)
【文献】特開平10-124477(JP,A)
【文献】特開2015-044667(JP,A)
【文献】特開2003-104644(JP,A)
【文献】特開平06-271240(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01164105(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 - 5/28
B66B 3/00 - 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降機の監視センタで、監視している昇降機の故障を示すエラー情報を受信した際に、
監視作業者または保守員に故障の発生を通知して、前記保守員の復旧作業を支援する昇降機故障復旧支援システムであって、
監視している昇降機の正常時及び異常時の稼働データを蓄積する稼働データ蓄積部と、
監視している昇降機の保全履歴を蓄積する保全履歴蓄積部と、
前記エラー情報を発報した昇降機の稼働データを取得する故障状態情報取得部と、
前記故障状態情報取得部が前記エラー情報を取得した昇降機と類似した故障履歴を検索する類似故障履歴検索部と、
前記類似故障履歴検索部が検索した故障履歴に基づいて、故障原因機器の候補を抽出する故障原因機器候補抽出部と、
前記稼働データ蓄積部に蓄積された稼働データと、前記保全履歴蓄積部が蓄積した保全履歴との少なくともいずれか一方に基づいて、
前記故障原因機器候補抽出部が抽出した故障原因機器
の候補の故障発生確率を補正する確率補正処理部と、
前記類似故障履歴検索部が検索した類似した故障履歴を、前記確率補正処理部が補正した確率で最適化し、最適化した故障原因機器候補の情報を通知する順序最適化部と、を備
え、
前記故障原因機器候補抽出部が抽出した候補の原因機器が複数の機器である場合に、前記確率補正処理部での故障原因機器の候補の故障発生確率の補正を行って、前記順序最適化部で最適化した故障原因機器候補の情報の通知を行い、
前記故障原因機器候補抽出部が抽出した候補の原因機器が1つの機器である場合に、前記確率補正処理部での補正と前記順序最適化部での最適化とを行わずに、故障原因機器候補の情報の通知を行う
昇降機故障復旧支援システム。
【請求項2】
前記確率補正処理部が、前記稼働データ蓄積部に蓄積された稼働データに基づいて故障原因機器候補の故障発生確率を補正する際に、
エラー情報を発報した昇降機の稼働データと類似度が高い稼働データを有する昇降機での故障原因機器を、故障発生確率を高くし、
エラー情報を発報した昇降機の稼働データと類似度が低い稼働データを有する昇降機での故障原因機器を、故障発生確率を低くする
請求項1に記載の昇降機故障復旧支援システム。
【請求項3】
前記稼働データ蓄積部に蓄積される稼働データは、昇降機のドアの開時間または閉時間のデータであり、
昇降機のドア故障の発生が前記エラー情報として発報されたとき、昇降機のドアの開時間または閉時間の変化が類似した稼働データを持つ昇降機で故障が発生した原因機器を、故障発生確率が高い機器とする
請求項2に記載の昇降機故障復旧支援システム。
【請求項4】
前記稼働データ蓄積部に蓄積される稼働データは、昇降機のブレーキ動作時間のデータであり、
昇降機のブレーキ故障の発生が前記エラー情報として発報されたとき、昇降機のブレーキ動作時間の変化が類似した稼働データを持つ昇降機で故障が発生した原因機器を、故障発生確率が高い機器とする
請求項2に記載の昇降機故障復旧支援システム。
【請求項5】
前記確率補正処理部は、
前記保全履歴蓄積部に蓄積された保全履歴に基づいて故障原因機器候補の故障発生確率を補正する際に、
エラー情報を発報した昇降機に部品交換または部品整備の保全履歴がない故障原因機器を、故障発生確率を高くし、
エラー情報を発報した昇降機に部品交換または部品整備の保全履歴がある故障原因機器を、故障発生確率を低くする
請求項1に記載の昇降機故障復旧支援システム。
【請求項6】
部品交換または部品整備の保全履歴がある故障原因機器の内で、特定の故障原因機器については、故障発生確率を高くする
請求項5に記載の昇降機故障復旧支援システム。
【請求項7】
前記順序最適化部で得られた故障原因機器候補の情報を、前記保守員が所持する端末に送信する通信部を備え、
前記端末は、前記通信部から送信された前記故障原因機器候補の情報を表示する
請求項1に記載の昇降機故障復旧支援システム。
【請求項8】
前記監視センタは、前記順序最適化部で得られた故障原因機器候補の情報を表示する表示部を備える
請求項1に記載の昇降機故障復旧支援システム。
【請求項9】
昇降機の監視センタで、監視している昇降機の故障を示すエラー情報を受信した際に、
監視作業者または保守員に故障の発生を通知して、前記保守員の復旧作業を支援する昇降機故障復旧支援方法であって、
監視している昇降機の正常時及び異常時の稼働データを蓄積する稼働データ蓄積処理と、
監視している昇降機の保全履歴を蓄積する保全履歴蓄積処理と、
前記エラー情報を発報した昇降機の稼働データを取得する故障状態情報取得処理と、
前記故障状態情報取得処理で前記エラー情報を取得した昇降機と類似した故障履歴を検索する類似故障履歴検索処理と、
前記類似故障履歴検索処理で検索した故障履歴に基づいて、故障原因機器の候補を抽出する故障原因機器候補抽出処理と、
前記稼働データ蓄積処理で蓄積した稼働データと、前記保全履歴蓄積処理で蓄積された保全履歴との少なくともいずれか一方に基づいて、
前記故障原因機器候補抽出処理で抽出された故障原因機器候補の故障発生確率を補正する確率補正処理と、
前記類似故障履歴検索処理で検索された類似した故障履歴を、前記確率補正処理で補正された確率で最適化し、最適化した故障原因機器候補の情報を通知する順序最適化処理と、を含
み、
前記故障原因機器候補抽出処理で抽出した候補の原因機器が複数の機器である場合に、前記確率補正処理での故障原因機器の候補の故障発生確率の補正を行って、前記順序最適化処理での最適化した故障原因機器候補の情報の通知を行い、
前記故障原因機器候補抽出処理で抽出した候補の原因機器が1つの場合に、前記確率補正処理での補正と、前記順序最適化処理による最適化とを行わずに、故障原因機器候補の情報の通知を行う
昇降機故障復旧支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降機故障復旧支援システム及び昇降機故障復旧支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の機器で構成される昇降機の保全において、故障が発生した場合、故障状態や昇降機自身が発報するエラーコードを元に、故障原因となる機器の候補をリストアップして、故障対応する保守員に提示することが行われている。これは、過去に発生したエラーコードや故障状態を蓄積し、故障日報などの故障履歴データから類似度の高い同種故障を抽出し、故障原因である可能性の高い機器をリストアップすることで故障の早期復旧を目指すものである。
なお、昇降機自身が発報するエラーコードは、例えば、かごドアの開閉不良、停止位置ずれ等の故障により発生した現象である故障状態を示すエラー情報であり、基本的には故障した機器を直接示すものではない。
【0003】
特許文献1には、建物のエレベーター設備に装備される通信端末より送られてくるエラーコードをもとに、既に蓄積されている故障履歴データの中から、エラーコードに該当する関連故障履歴データを抜き出し、保守員が携帯する端末に送信する技術が記載されている。この特許文献1に記載された技術では、現地で保守員が昇降機からエラーコードを抜き出す手間と、エラーコードに該当する関連故障履歴を調査する手間を省くことができ、速やかに原因機器を推定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載された従来技術は、過去の故障事例の蓄積データの中から、エラーコードや故障状態を検索条件として、当該故障と類似する故障事例を抽出して集計を行うものである。そして、抽出した類似故障事例の中で頻度の高い故障原因機器ほど、当該故障の原因機器である確率が高いものとして、確率の高い機器順に、原因機器の調査順序を決定している。
【0006】
このため、同型式の昇降機で故障が発生しやすい機器など、過去の故障事例が多い故障には非常に有効であるものの、当該号機に特有の故障など過去の故障事例が少ない故障については、候補順序を低く提示してしまう。このような場合には、候補リストを元に原因機器を探す作業を保守員が行っても、故障した機器が見つかるまでに時間がかかることになり、作業効率を低下させてしまう。
【0007】
本発明の目的は、昇降機が故障した際の故障原因機器の推定を従来よりも精度よく行うことができる昇降機故障復旧支援システム及び昇降機故障復旧支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する部を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、昇降機の監視センタで、監視している昇降機の故障を示すエラー情報を受信した際に、監視作業者または保守員に故障の発生を通知して、保守員の復旧作業を支援する昇降機故障復旧支援システムであって、監視している昇降機の正常時及び異常時の稼働データを蓄積する稼働データ蓄積部と、監視している昇降機の保全履歴を蓄積する保全履歴蓄積部と、エラー情報を発報した昇降機の稼働データを取得する故障状態情報取得部と、故障状態情報取得部がエラー情報を取得した昇降機と類似した故障履歴を検索する類似故障履歴検索部と、類似故障履歴検索部が検索した故障履歴に基づいて、故障原因機器の候補を抽出する故障原因機器候補抽出部と、稼働データ蓄積部が蓄積した稼働データと、保全履歴蓄積部が蓄積した保全履歴との少なくともいずれか一方に基づいて、故障原因機器候補抽出部が抽出した故障原因機器候補の故障発生確率を補正する確率補正処理部と、類似故障履歴検索部が検索した類似した故障履歴を、確率補正処理部が補正した確率で最適化し、最適化した故障原因機器候補の情報を通知する順序最適化部と、を備える。そして、障原因機器候補抽出部が抽出した候補の原因機器が複数の機器である場合に、確率補正処理部での故障原因機器の候補の故障発生確率の補正を行って、順序最適化部で最適化した故障原因機器候補の情報の通知を行い、故障原因機器候補抽出部が抽出した候補の原因機器が1つの機器である場合に、確率補正処理部での補正と順序最適化部での最適化とを行わずに、故障原因機器候補の情報の通知を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、過去の類似故障の頻度と当該号機に特有の情報とを考慮した確率の高い故障原因機器を保守員または監視作業者に提示することができる。したがって、保守員は、確率の高い機器から順に故障原因の調査ができ、効率的な復旧作業を実施することができるので、昇降機の停止時間を低減することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態例によるシステム構成例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施の形態例による監視センタのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施の形態例による昇降機の故障発生時の処理例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施の形態例による故障状態情報から故障原因機器の確率の算出までの処理の概要を示す図である。
【
図5】本発明の一実施の形態例による稼働データ原因確率補正処理部での補正処理の例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施の形態例による機器別異常モデルの一例(ドア開データ)を示す図である。
【
図7】本発明の一実施の形態例による保全履歴原因確率補正処理部での処理の例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施の形態例による類似故障事例から導出した原因機器候補について、確率を補正して調査順序を最適化する一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態例(以下「本例」と称する)を、添付図面を参照して説明する。
【0012】
[システム全体の構成]
図1は、本例の昇降機故障復旧支援システムの全体の構成を示す。
本例の昇降機故障復旧支援システムは、ビルなどに設置された昇降機(エレベーター)1と、昇降機1から離れた場所に設置された監視センタ2と、保守員4が携帯する携帯端末5とによって構成されている。監視センタ2は、通信回線6を介して、昇降機1や携帯端末5と通信を行うことができる。また、昇降機1が設置されたビルの住人又は管理人3が所有する携帯端末7から、通信回線6を介して監視センタ2に通報などを行うこともできる。
なお、
図1では説明を簡単にするために昇降機1は1台のみを示すが、実際には監視センタ2は、複数(多数)の昇降機1を監視する。
【0013】
昇降機1は、昇降機1の運転制御を司る昇降機1の制御盤11と、通信部12が設けられている。通信部12は、制御盤11のエラーコード出力端子に常時接続され、少なくとも昇降機1の故障発生時に、昇降機識別データや故障内容を示すエラーコードを含む異常信号を、監視センタ2に送信する。エラーコードにより示される故障内容には、例えばドア異常や停止位置ずれ発生などが含まれる。
【0014】
また、昇降機1の制御盤11は、運転制御を行う際に、昇降機1の各機器の稼働データを取得する。稼働データとしては、例えばドア開指令してからドア開が完了するまでのドア開時間や、ブレーキ動作時間などが含まれる。制御盤11が取得した稼働データは、通信部12を介して監視センタ2に送信される。
【0015】
監視センタ2は、通信部211、故障状態情報取得部212、昇降機情報蓄積部213、故障履歴蓄積部214、類似故障履歴検索部215、故障原因機器候補抽出部216、及び調査機器順序最適化部217を備える。また、監視センタ2は、稼働データ蓄積部218、稼働データ原因確率補正処理部219、保全履歴蓄積部220、及び保全履歴原因確率補正処理部221を備える。
【0016】
監視センタ2の通信部211は、通信回線6を介して昇降機1の通信部12や、保守員4が所持する携帯端末5と通信を行う。
故障状態情報取得部212は、通信部211が受信した情報の内の、故障状態情報を取得する(故障状態情報取得処理)。故障状態情報には、昇降機1の通信部211から送信される情報の他に、住人又は管理人3の携帯端末7から送信される情報や、保守員4が所持する携帯端末5から送信される情報などが含まれる。
昇降機情報蓄積部213は、保全対象の全ての昇降機1の識別データや型式、機器仕様などの情報を蓄積するデータベースである。いずれかの昇降機1から識別データが送信されたとき、昇降機情報蓄積部213は、受信した識別データをキーにして、蓄積した情報から該当する昇降機1の仕様情報を抽出することができる。
【0017】
故障履歴蓄積部214は、過去に各昇降機1で発生した故障についての情報を、故障履歴として蓄積するデータベースである。故障履歴蓄積部214が蓄積する故障履歴には、少なくとも昇降機の型式、製造番号等の識別データ、エラーコード、故障状態、故障原因、復旧作業内容、原因調査時間、対策時間のデータが含まれる。
類似故障履歴検索部215は、通信部211が昇降機1の異常発報を受信したときに、昇降機1の型式などの識別データとエラーコードをもとに、故障履歴蓄積部214から類似した故障履歴を検索して抽出する(類似故障履歴検索処理)。
【0018】
故障原因機器候補抽出部216は、類似故障履歴検索部215が抽出した類似故障を原因機器別に分類及び集計して、原因機器となる確率を算出する。
稼働データ蓄積部218は、通信部211が受信した故障当該号機を含む保全対象の全ての昇降機1の稼働データを、計測日時を含む時系列付で記録する稼働データ蓄積処理を行うデータベースである。稼働データ蓄積部218は、稼働データを記録する際に、故障履歴蓄積部214と連携し、稼働データに関連する機器毎に、故障発生時の稼働データには故障フラグ、それ以外の稼働データには正常フラグを付与して蓄積する。
【0019】
稼働データ原因確率補正処理部219は、復旧対象の稼働データを入力データとし、稼働データ蓄積部218に蓄積された正常時及び異常時の稼働データを元に、作成した機器別の異常モデルとの類似度を算出する。そして、稼働データ原因確率補正処理部219は、算出した類似度を使って、復旧対象の稼働データについて、類似度を元に機器別の確率補正値を出力する。
保全履歴蓄積部220は、昇降機毎の点検機器、機器の交換履歴を記録するデータベースであり、この保全履歴蓄積部220に保全履歴が蓄積される(保全履歴蓄積処理)。
【0020】
保全履歴原因確率補正処理部221は、故障した当該号機の昇降機1について、故障前に、点検及び部品交換実績がある場合は、故障原因機器候補抽出部216が導出した機器別の確率を補正する確率補正値を出力する。
調査機器順序最適化部217は、故障原因機器候補抽出部216が導出した機器別の確率について、稼働データ原因確率補正処理部219が算出した確率補正値と保全履歴原因確率補正処理部221が算出した確率補正値をもとに確率を再計算する。そして、調査機器順序最適化部217は、再計算の結果から、確率の高い順に調査順序を最適化する。
調査機器順序最適化部217で調査順序が得られたとき、通信部211は、調査順序の情報を保守員4が携帯する携帯端末5に送信する。また、監視センタ2が備える表示装置207(
図2)が、調査機器順序最適化部217で得られた調査順序の情報を表示し、監視作業者が保守員4に調査順序を連絡してもよい。
【0021】
[監視センタのハードウェア構成]
図2は、監視センタ2をコンピュータ装置で構成した場合のハードウェア構成例を示す。
監視センタ2として機能するコンピュータ装置は、バスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit:中央処理ユニット)201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203を備える。さらに、コンピュータ装置は、不揮発性ストレージ204と、ネットワークインタフェース205と、入力装置206と、表示装置207を備える。
【0022】
CPU201は、エレベーターを監視する演算処理、並びに故障原因を推定するための演算処理を実行する演算処理部であり、ソフトウェアのプログラムコードをROM202から読み出して実行する。RAM203には、演算処理の途中で発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。
【0023】
不揮発性ストレージ204には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの大容量の情報記憶部が用いられる。不揮発性ストレージ204には、例えば
図1に示す各蓄積部213,214,218,220の情報が蓄積される。
【0024】
ネットワークインタフェース205には、例えば、NIC(Network Interface Card)などが用いられる。このネットワークインタフェース205が、通信部211として機能する。
入力装置206は、監視センタ2を操作する監視作業者が入力操作するキーボードやマウスなどで構成される。
表示装置207には、エレベーターの監視状況や、故障発生時の故障原因機器の候補などが表示される。監視作業者は、この表示装置207の表示内容を確認して、監視作業を実行する。
【0025】
なお、監視センタ2を
図2に示すコンピュータ装置で構成するのは一例であり、コンピュータ装置以外のその他の演算処理を行う装置で構成してもよい。例えば、監視センタ2が行う機能の一部又は全部を、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアによって実現してもよい。
【0026】
[昇降機故障時の復旧支援処理の流れ]
図3は、本例の昇降機故障復旧支援システムによる昇降機故障時の復旧支援処理の流れを示すフローチャートである。
まず、昇降機1で故障が発生すると、制御盤11と連携している通信部12は、昇降機1を識別する識別データと、エラーコードとを含む故障状態情報を異常発報する。監視センタ2の通信部211は、この異常発報を受信したか否かを判断する(ステップS1)。
このステップS1で異常発報を受信したと判断した場合(ステップS1のYES)、故障状態情報取得部212は、受信データから昇降機1の識別データとエラーコードとを含む故障状態情報を取得する(ステップS2)。
【0027】
また、ステップS1で異常発報を受信していないと判断した場合(ステップS1のNO)、監視センタ2の通信部211は、住人又は管理人3が所持する携帯端末7から呼出しがあるか否かを判断する(ステップS3)。
このステップS3で呼出しがないと判断したとき(ステップS3のNO)、監視センタ2の通信部211は、ステップS1の異常発報の受信判断に戻る。
そして、ステップS3で呼出しがあると判断したとき(ステップS3のYES)、監視センタ2では、携帯端末7から入手した情報をもとに、監視作業者が昇降機識別データおよび不具合情報などの故障状態を入力する(ステップS4)。あるいは、保守員4が故障した昇降機1が設置された現地に行き、昇降機1の状態を確認して、携帯端末5で故障状態を入力する。
【0028】
ステップS2で故障状態情報を取得した後、又はステップS4で故障状態の入力があった後、故障状態情報取得部212は、故障状態情報に含まれる昇降機識別データをもとに昇降機情報蓄積部213から故障が発生した昇降機1の型式等の情報を抽出する(ステップS5)。
そして、類似故障履歴検索部215は、昇降機1の型式ならびに、エラーコード、不具合事象などの故障状態を検索条件として、故障履歴蓄積部214が蓄積した履歴の中に、今回の故障と類似する故障があるか否かを判断する(ステップS6)。
このステップS6で、故障履歴蓄積部214が蓄積した履歴の中に、今回の故障と類似する過去の故障履歴があると判断した場合は(ステップS6のYES)、故障履歴蓄積部214が蓄積した類似故障群の情報を抽出し、抽出した故障履歴を故障原因機器別に集計する(ステップS7)。
【0029】
また、ステップS6で、今回の故障の類似する故障履歴がないと判断した場合は(ステップS6のNO)、監視センタ2は、過去の類似事例を故障原因調査に活用する意味がないと判断し、不図示のサポートセンタへ通報する(ステップS13)。通報を受けたサポートセンタでは、専門技術者と現地の保守員4がやり取りして故障原因を究明する処理を行う。
【0030】
そして、ステップS7で故障原因機器を分類した結果を故障原因機器候補抽出部216が取得すると、故障原因機器候補抽出部216は、取得した結果に、複数の故障原因機器があるか否かを判断する(ステップS8)。このステップS8で、複数の故障原因機器があると判断した場合(ステップS8のYES)、故障原因機器候補抽出部216は、抽出した類似故障群を母数とし、分類した故障原因機器別の割合を故障原因機器別の故障確率として算出する(ステップS9)。また、ステップS8で、故障原因機器が1つであると判断した場合(ステップS8のNO)には、監視センタ2は、保守員が所持する携帯端末5に故障原因機器の情報を送信し、保守員に調査機器を指示する(ステップS14)。
【0031】
ステップS9で故障原因機器別の故障確率を算出すると、稼働データ原因確率補正処理部219は、当該号機の故障発生時の各機器の稼働データについて、稼働データ蓄積部218が予め蓄積した異常モデルとの類似度から、故障確率の補正値を算出する(ステップS10)。ここで、稼働データ蓄積部218に予め蓄積されている異常モデルは、各昇降機1の正常及び異常時の稼働データを元に作成したものである。稼働データ原因確率補正処理部219での補正処理の具体例は、
図5及び
図6で後述する。
【0032】
さらに、ステップS9で得た故障原因機器別の故障確率について、保全履歴原因確率補正処理部221は、保全履歴蓄積部220に蓄積された保全履歴から、点検と部品交換の実績を確認する。そして、故障原因機器の候補の中に、直近に点検又は交換した部品がある場合、保全履歴原因確率補正処理部221は、その機器の故障確率を補正する補正値を出力する(ステップS11)。保全履歴原因確率補正処理部221での補正処理の具体例は、
図7で後述する。
【0033】
次に、調査機器順序最適化部217は、ステップS9で得た故障原因機器別の故障確率に対し、ステップS10で得た稼働データに基づいた故障確率補正値とステップS11で得た保全履歴に基づいた故障確率補正値とを積算する。そして、調査機器順序最適化部217は、積算した補正値を使って故障原因機器確率を再計算し、再計算された確率で、高い機器順に原因を調査する機器を決める最適化を行う(ステップS12)。調査機器順序最適化部217が最適化を行う具体例は、
図8で後述する。
【0034】
ステップS12で決定した原因を調査する機器の順序の情報は、保守員4が所持する携帯端末5に送信され、携帯端末5が備える表示画面に表示される(ステップS14)。また、監視センタ2の表示装置207に、ステップS12で決定した原因を調査する機器の順序の情報を表示して、監視作業員に通知してもよい。
【0035】
携帯端末5に通知される原因を調査する機器の順序を確認した保守員4は、指示された調査順序に従って故障の原因調査や、対策を実施する(ステップS15)。
その後、監視センタ2は、昇降機1の故障が復旧したか否かを判断し(ステップS16)、故障が復旧しないと判断した場合には(ステップS16のNO)、ステップS15での保守員4の作業が終了するまで待機する。
そして、ステップS16で、故障が復旧したと判断した場合(ステップS16のYES)には、保守員4が故障状態、故障原因、対策内容を携帯端末5に入力する。携帯端末5に入力された故障状態、故障原因、対策内容の情報は、監視センタ2に送信され、監視センタ2の故障履歴蓄積部214に格納され(ステップS17)、異常発生時の処理が終了する。
【0036】
[具体的な故障原因の候補の算出例]
図4は、本例の昇降機故障復旧支援システムで行われる、故障発生から原因機器候補の確率の算出までの処理の概要を示す図である。
図4に基づいて説明すると、監視センタ2の故障状態情報取得部212が取得する故障状態情報は、住人又は管理人3の携帯端末7からの通報、昇降機1のエラーコード発報、保守員4の携帯端末5から送信される現地故障状態のいずれかである。
【0037】
例えば、住人又は管理人3の携帯端末7からの通報時には、故障状態情報取得部212が、「〇ビル△号機のエレベーターが3階で停止」などの情報を取得する。なお、携帯端末7からの通報が音声通話などで行われる場合には、これらの情報は、監視センタ2側の監視作業員が入力し、故障状態情報取得部212が取得する。
また、昇降機1のエラーコードが発報された際には、故障状態情報取得部212が、「〇ビル△号機、識別No.・・・・、機種:・・・、状態:3階で停止、エラーコードB01検出(加速度異常)」などの情報を取得する。
また、保守員4の携帯端末5から現地故障状態が送信された際には、故障状態情報取得部212が、「〇ビル△号機、識別No.・・・・、機種:・・・、到着時状態:3階で停止、エラーコードB01検出(加速度異常)、建屋電源:正常」などの情報を取得する。
【0038】
故障状態情報取得部212がこれらの情報のいずれか一つを取得すると、類似故障履歴検索部215に故障検索条件が入力され、類似故障履歴検索部215が故障履歴蓄積部214から類似故障を検索する。
図4は、類似故障履歴検索部215が600件の類似故障の情報を取得した例を示す。
類似故障履歴検索部215が類似故障を検索すると、故障原因機器候補抽出部216は、調査項目毎に原因候補機器と確率を求める処理を行う。ここでの原因候補機器と、それぞれが故障の原因機器である確率は、600件の候補の内で、故障履歴で実際に各候補機器が原因になった件数から求められる。例えば、エンコーダが故障原因機器である事例は600件の内の150件であり、確率25%になる。
【0039】
図5は、稼働データ原因確率補正処理部219での処理を図式化したものである。
稼働データ原因確率補正処理部219は、故障復旧対象の昇降機1における故障発生時の稼働データ10を入力とし、稼働データ蓄積部218に蓄積された稼働データを元に作成した機器別異常モデルにより、故障原因の確率を補正する補正値を出力する処理を行う。
ここでの故障復旧対象の昇降機1における故障発生時の稼働データ10は、例えばドア開指令してからドア開が完了するまでのドア開時間、ブレーキの吸引/釈放時間、荷重検出値などの、昇降機1が備える各機器の稼働データを示す。これらの稼働データは、故障した機器の種類によって特徴が異なる。例えば、時系列の傾きやばらつきに特徴が発生する。
【0040】
一方、稼働データ蓄積部218に蓄積される稼働データは、故障発生時の稼働データ10の各項目について、関連する機器別の正常・故障データに分類して蓄積する。
例えば、ドア開の稼働データは、ドアシュー301、ドアシル302、ドアスイッチ303、ドアモータ304が関連する機器で、機器故障時のデータ(ドア開の稼働データに変化有)と機器が正常時のデータ(ドア開の稼働データに変化小)とに分類して蓄積される。
【0041】
また、稼働データの内のブレーキ動作時間の稼働データとしては、ブレーキチェックスイッチ311、ブレーキストローク調整ボルト312などが関連する機器で、機器故障時のデータと機器が正常時のデータとに分類して蓄積される。
【0042】
稼働データ原因確率補正処理部219は、稼働データ蓄積部218に蓄積された各昇降機1の稼働データを、ディープラーニングや決定木などで機械学習し、各機器別の異常モデルを作成する。
そして、稼働データ原因確率補正処理部219は、故障発生時の稼働データ10を入力として、作成された各機器別の異常モデルとの類似度を算出する。ここで、稼働データ原因確率補正処理部219は、異常モデルと稼働データ10の類似度が高いものは、故障の確率が高いとして、確率補正係数を1よりも高い値にする。
例えば、
図5の例では、ドア開データについて、ドアシューを補正係数2.0とし、ドアスイッチを補正係数1.2とし、ドアモータを補正係数1.5とし、稼働データ原因確率補正処理部219は、事故発生確率に補正係数を乗算した値に補正する。
【0043】
また、異常モデルと稼働データ10の類似度が低いものは、故障の確率が低いとして、確率補正係数を高く出力する。
例えば、
図5の例では、ドア開データについて、ドアシルを補正係数0.3とし、稼働データ原因確率補正処理部219は、事故発生確率に補正係数を乗算した値に補正する。
【0044】
図6は、ドア開データにおける機器別異常モデルの概要を示す図である。
図6に示す稼働データ10(
図6の最上段のデータ)は、故障復旧対象の当該号機の昇降機1の稼働データにおけるドア開データの変化を示した一例である。
図6では、当該号機の稼働データ10として、初期値から現在までの経過月ごとの故障復旧対象の昇降機1のドア開時間の変化を、各階(1階、2階、3階など)で示している。また、ドア開時間が、故障予兆検出判定値を示している。
【0045】
図6に示す表の2段目以降は、故障復旧対象の昇降機1と同じ形式の昇降機の機器別の異常モデルの例である。
図6の例では、かごドアのドアシューが異常であった際の稼働データの変化と、当該号機の稼働データ10の稼働データの変化との類似度が最も高くなる。したがって、かごドアのドアシューの場合は、最も高い確率補正係数(係数値2.0)を出力する。
また、かごドアのシルが異常であった際の稼働データの変化は、当該号機の稼働データ10の稼働データの変化と大きく異なっている。このため、かごドアのシルの場合は、低い確率補正係数(係数値0.3)を出力する。
【0046】
また、かごドアスイッチが異常であった際の稼働データの変化と、かごドアモータが異常であった際の稼働データの変化は、当該号機の稼働データ10の変化とある程度類似している。したがって、かごドアスイッチとかごドアモータの場合は、1よりも若干高い確率補正係数(係数値1.2及び1.5)を出力している。
【0047】
図7は、保全履歴原因確率補正処理部221での補正処理の概要を示す図である。
保全履歴原因確率補正処理部221は、故障が発生した当該号機の直近の所定期間内の作業実績を保全履歴蓄積部220から抽出する。直近の所定期間は、例えば1年以内とする。
保全履歴蓄積部220には、保全作業した機器の大分類と、保全結果及び機器の交換実績が登録される。
例えば、ブレーキ、乗り場ドア、かごドアなどの保全作業を行う分類項目ごとに、点検結果が、良好、是正済、是正要などの保全結果が登録される。また、分類項目ごとに、保全作業時に部品交換を行ったか否かの情報が、部品名とともに登録される。
【0048】
保全履歴原因確率補正処理部221は、このように保全履歴蓄積部220が蓄積した保全実績の機器大分類を、故障確率補正対象機器別に分類し、保全結果を元に確率補正値を設定する。
例えば、保全履歴原因確率補正処理部221は、当該号機に対して、直近のブレーキ点検の結果、良好であったため、ブレーキ関連機器が故障である確率は低いと判断し、ブレーキ故障に関連した機器は、故障が発生する確率の補正値を1よりも低い値(例えば0.4)に設定する。また、保全履歴原因確率補正処理部221は、乗り場ドアについても、直近の点検で部品交換をしたため、乗り場ドアに関連した機器は、故障が発生する確率の補正値を1よりも低い値に設定する。
これに対して、かごドアの例では、直近の点検の結果、要是正で、是正処置が未完であるため、保全履歴原因確率補正処理部221は、かごドアに関連した機器に対して、故障が発生する確率の補正値を1よりも高い値(例えば1.5)に設定する。
【0049】
図8は、調査機器順序最適化部217が、類似故障の事例から導出した原因機器の候補について、確率を補正して順序を最適化する例を示す。
調査機器順序最適化部217は、稼働データ原因確率補正処理部219で得た確率補正係数と、保全履歴原因確率補正処理部221で得た確率補正係数を取得する。
調査機器順序最適化部217は、これら2つの確率補正係数を乗算して、事例から求まる確率を補正した確率補正後の値を算出する。
【0050】
そして、調査機器順序最適化部217は、確率補正後の値が高い順に、原因機器の調査順序を決め、その原因機器の調査順序の情報を、保守員4の携帯端末5に送信して表示させる。この情報を確認した保守員4は、調査順序が最も高い機器から順に調査すれば、故障機器を早期に発見できる可能性が高くなり、効率的な原因調査が可能になる。
【0051】
以上説明したように、本例のシステムによると、過去の類似事例に基づいて推定した故障原因機器に、故障号機特有の情報を加味することで、効率的な原因調査が可能となる。例えば、昇降機のドアやブレーキのように、故障時に多数の機器が原因機器となる可能性がある場合に、特に効率的な原因調査が可能になる。
また、保全履歴に基づいて原因機器の調査順序を補正するため、この点からも効率的な原因調査が可能となる。
【0052】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施の形態例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、
図8の例では、稼働データ原因確率補正処理部219で得た確率補正係数と、保全履歴原因確率補正処理部221で得た確率補正係数を積算するようにしたが、各補正係数を加算するようにしてもよい。また、機器ごとの該当故障に関する重要度別に関数を決めるようにしてもよい。
【0053】
また、上述した実施の形態例では、保全履歴原因確率補正処理部221は、保全履歴がある機器の確率補正値を低くした。これに対して、保全履歴原因確率補正処理部221は、難易度が非常に高い一部の保全作業については、作業不良が発生する可能性を考慮して、確率補正値を高く設定してもよい。つまり、難易度が非常に高い一部の特定の保全作業が行われた履歴が直近の所定期間内にある場合には、逆に保全作業が適正でないことで不良が発生する可能性があり、保全履歴原因確率補正処理部221は、確率補正値を高く設定する。但し、保全作業の難易度が非常に高いために、確率補正値を高く設定する際の直近の所定期間は、1ヶ月などの比較的短い期間として、作業実績全体を見る所定期間(例えば1年間)よりも短くするのが好ましい。
このように難易度が非常に高い一部の特定の保全作業が行われた場合にも、適切な確率の補正が可能になる。
【0054】
また、上述した実施の形態例では、昇降機としてエレベーターに適用した例を説明した。これに対して、エスカレーターなどのその他の昇降機に本発明を適用してもよい。また、
図4~
図8で説明したドア故障やブレーキ故障時の原因機器や故障発生確率についても、一例を示すものであり、その他の機器の稼働データを使用してもよい。例えば、ドア故障時には、ドア開時間の稼働データを判断する例を示したが、ドア閉時間の稼働データや、ドアモータを駆動する際の電流などの各種計測データから判断してもよい。補正値の値についても、一例を示すものであり、
図4~
図8で説明した値とは異なる補正値を設定してもよい。
【0055】
また、上述した実施の形態例では、稼働データ原因確率補正処理部219で確率補正係数を得る処理と、保全履歴原因確率補正処理部221で確率補正係数を得る処理の双方を行うようにした。
これに対して、調査機器順序最適化部217は、稼働データ原因確率補正処理部219で得た確率補正係数のみで確率を補正するようにしてもよい。あるいは、調査機器順序最適化部217は、保全履歴原因確率補正処理部221で得た確率補正係数のみで確率を補正するようにしてもよい。
【0056】
また、上述した実施の形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
さらに、上述した実施の形態例において、本発明の主旨を変えない範囲内で、装置又はシステム構成の変更や、一部の処理手順の省略や入れ替えを行ってもよい。
また、誘導処理を行うプログラム等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、光ディスク等の記録媒体に置くことができる。
【0057】
さらに、
図1のブロック図では、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものだけを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。また、
図3に示すフローチャートにおいて、処理結果に影響を及ぼさない範囲で、複数の処理を同時に実行するか、あるいは処理順序を変更してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…昇降機、2…監視センタ、3…住人又は管理人、4…保守員、5…携帯端末、6…通信回線、7…携帯端末、11…制御盤、12…通信部、201…中央処理ユニット(CPU)、202…ROM、203…RAM、204…不揮発性ストレージ、205…ネットワークインタフェース、206…入力装置、207…表示装置、211…通信部、212…故障状態情報取得部、213…昇降機情報蓄積部、214…故障履歴蓄積部、215…類似故障履歴検索部、216…故障原因機器候補抽出部、217…調査機器順序最適化部、218…稼働データ蓄積部、219…稼働データ原因確率補正処理部、220…保全履歴蓄積部、221…保全履歴原因確率補正処理部